(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、石英製の処理容器を有する縦型熱処理装置においては、処理容器の熱容量が大きいため、低温域での昇温リカバリーにおける収束時間が長くかかるという問題があった。また、省エネルギー化等のために高断熱のヒータを使用する場合には、低温域に限らず生じる問題である。昇温リカバリーにおける収束時間が長くかかると、スループットの向上に影響が出る。このような収束時間が長くかかる問題は、昇温過程だけではなく、降温過程あるいは温度安定時にも同様に生じる問題である。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、低温域でのあるいは高い断熱性能を持つヒータを使用した際の昇温過程、降温過程あるいは温度安定時における収束時間を短縮することができ、処理容器内の温度を精度良く目標温度に収束することができる熱処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、炉本体と、炉本体内周面に設けられたヒータと、炉本体内に配置され、炉本体との間に空間を形成するとともに、内部に複数の被処理体を収納する処理容器と、炉本体に冷却媒体供給ラインを介して接続され、炉本体と処理容器との間の空間に冷却媒体を供給するブロアと、炉本体に設けられた排気管と、処理容器内部又は外部の温度を検出する炉内温度センサと、ヒータと、ブロアとを制御して、処理容器内の温度を調整して処理容器内の温度を所定の目標温度に収束させる制御装置とを備え、制御装置は予め定められたヒータ出力とブロア出力に関する数値モデルと、この数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求めるヒータ出力演算部と、数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいてブロア出力を求めるブロア出力演算部とを有し、数値モデルはヒータ出力用数値モデルと、ブロア出力用数値モデルとを有し、
このうちブロア出力用数値モデルは、予めヒータおよびブロアを動作させ、炉内温度センサ、ヒータ出力値およびブロア出力値に基づいて被処理体の温度を推測し、この温度推測値と被処理体の温度実測値とを比較しチューニングして得られたブロア出力に関するモデルであり、ヒータ出力演算部はヒータ出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部はブロア出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいてブロア出力を求めることを特徴とする熱処理装置である。
【0010】
本発明は、制御装置は更にブロア出力演算部からのブロア出力を冷却媒体流量に変換する流量制御演算部を更に有することを特徴とする熱処理装置である。
【0011】
本発明は、流量制御演算部は冷却媒体流量に基づいて、ブロアの回転数制御を行うことを特徴とする熱処理装置である。
【0012】
本発明は、排気管に排気温度センサが設けられ、制御装置は排気温度センサからの排気温度に追従する設定温度をもって追加ブロア出力を定める追加ブロア出力演算部と、ブロア出力演算部からのブロア出力と、追加ブロア出力演算部からの追加ブロア出力とを合算するブロア出力合算部とを更に有することを特徴とする熱処理装置である。
【0013】
本発明は、複数のゾーンに区画された炉本体と、炉本体の各ゾーンの内周面に設けられたヒータと、炉本体内に配置され、炉本体との間に空間を形成するとともに、内部に複数の被処理体を収納する処理容器と、炉本体の各ゾーンに冷却媒体供給ラインを介して接続され、炉本体と処理容器との間の空間に冷却媒体を供給するブロアと、炉本体の各ゾーンに設けられた排気管と、炉本体の各ゾーンに対応する処理容器の内部又は外部の温度を検出する炉内温度センサと、各ゾーンに対応するヒータとブロアとを制御して、処理容器内の温度を調整して処理容器内の温度を所定の目標温度に収束させる制御装置とを備え、制御装置は予め定められたヒータ出力とブロア出力に関する各ゾーン毎の数値モデルと、当該ゾーンに対応する数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいて当該ゾーンのヒータ出力を求めるヒータ出力演算部と、当該ゾーンに対応する数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいて当該ゾーンのブロア出力を求めるブロア出力演算部とを有し、数値モデルはヒータ出力用数値モデルと、冷却出力用数値モデルとを有し、
このうちブロア出力用数値モデルは、予めヒータおよびブロアを動作させ、炉内温度センサ、ヒータ出力値およびブロア出力値に基づいて被処理体の温度を推測し、この温度推測値と被処理体の温度実測値とを比較しチューニングして得られたブロア出力に関するモデルであり、ヒータ出力演算部はヒータ出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、冷却出力演算部は冷却出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいて冷却出力を求めることを特徴とする熱処理装置である。
【0014】
本発明は、炉本体と、炉本体内周面に設けられたヒータと、炉本体内に配置され、炉本体との間に空間を形成するとともに、内部に複数の被処理体を収納する処理容器と、炉本体に冷却媒体供給ラインを介して接続され、炉本体と処理容器との間の空間に冷却媒体を供給するブロアと、ブロアから供給される冷却媒体の流量を調整する弁機構と、炉本体に設けられた排気管と、処理容器内部又は外部の温度を検出する炉内温度センサと、ヒータと、弁機構とを制御して、処理容器内の温度を調整して処理容器内の温度を所定の目標温度に収束させる制御装置とを備え、制御装置は予め定められたヒータ出力と冷却出力に関する数値モデルと、この数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求めるヒータ出力演算部と、数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいて冷却出力を求める冷却出力演算部と、冷却出力演算部からの冷却出力を冷却媒体流量に変換する流量制御演算部と、を有し、流量制御演算部は冷却媒体流量に基づいて、弁機構を制御し、数値モデルはヒータ出力用数値モデルと、冷却出力用数値モデルとを有し、
このうちブロア出力用数値モデルは、予めヒータおよびブロアを動作させ、炉内温度センサ、ヒータ出力値およびブロア出力値に基づいて被処理体の温度を推測し、この温度推測値と被処理体の温度実測値とを比較しチューニングして得られたブロア出力に関するモデルであり、ヒータ出力演算部はヒータ出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、冷却出力演算部は冷却出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいて冷却出力を求めることを特徴とする熱処理装置である。
【0016】
本発明は、複数のゾーンに区画された炉本体と、炉本体の各ゾーンの内周面に設けられたヒータと、炉本体内に配置され、炉本体との間に空間を形成するとともに、内部に複数の被処理体を収納する処理容器と、炉本体の各ゾーンに冷却媒体供給ラインを介して接続され、炉本体と処理容器との間の空間に冷却媒体を供給するブロアと、ブロアから供給される冷却媒体の流量を調整する弁機構と、炉本体の各ゾーンに設けられた排気管と、炉本体の各ゾーンに対応する処理容器の内部又は外部の温度を検出する炉内温度センサと、各ゾーンに対応するヒータと弁機構とを制御して、処理容器内の温度を調整して処理容器内の温度を所定の目標温度に収束させる制御装置とを備え、制御装置は予め定められたヒータ出力と冷却出力に関する各ゾーン毎の数値モデルと、当該ゾーンに対応する数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいて当該ゾーンのヒータ出力を求めるヒータ出力演算部と、当該ゾーンに対応する数値モデルと炉内温度センサからの炉内温度に基づいて当該ゾーンの冷却出力を求める冷却出力演算部と、冷却出力演算部からの冷却出力を冷却媒体流量に変換する流量制御演算部と、を有し、流量制御演算部は冷却媒体流量に基づいて、弁機構を制御し、数値モデルはヒータ出力用数値モデルと、冷却出力用数値モデルとを有し、
このうちブロア出力用数値モデルは、予めヒータおよびブロアを動作させ、炉内温度センサ、ヒータ出力値およびブロア出力値に基づいて被処理体の温度を推測し、この温度推測値と被処理体の温度実測値とを比較しチューニングして得られたブロア出力に関するモデルであり、ヒータ出力演算部はヒータ出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、冷却出力演算部は冷却出力用数値モデルと、炉内温度センサからの炉内温度に基づいて冷却出力を求めることを特徴とする熱処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低温域での昇温過程、降温過程あるいは温度安定時における収束時間を短縮することができ、かつ処理容器内の温度を精度良く目標温度に収束することができ、これによりスループットの向上を図ることができる。あるいは、高い断熱性能のヒータを使用した場合に、スループットに影響を与えることなく、消費電力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の実施の形態
以下に、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。ここで
図1は本発明による熱処理装置を概略的に示す縦断面図、
図2は縦型熱処理装置の冷却媒体供給ラインおよび冷却媒体排気ラインを示す図、
図3は熱処理装置の制御方法を示す概略図、
図4は熱処理装置の制御装置を示す概略図である。
【0020】
図1において、縦型の熱処理装置1は、被処理体、例えば半導体ウエハwを一度に多数枚収容して酸化、拡散、減圧CVD等の熱処理を施すことができる縦型の熱処理炉2を備えている。この熱処理炉2は、内周面に発熱抵抗体(ヒータ)18Aが設けられた炉本体5と、炉本体5内に配置され、炉本体5との間に空間33を形成するとともに、ウエハwを収容して熱処理するための処理容器3とを備えている。このうちヒータ18Aは、後述のように複数のヒータエレメント18からなっている。
【0021】
また炉本体5はベースプレート6により支持され、このベースプレート6には処理容器3を下方から上方に挿入するための開口部7が形成されている。またベースプレート6の開口部7にはベースプレート6と処理容器3との間の隙間を覆うように図示しない断熱材が設けられている。
【0022】
処理容器3は、石英製からなり、上端が閉塞され、下端が炉口3aとして開口された縦長の円筒状形状を有する。処理容器3の下端には外向きのフランジ3bが形成され、フランジ3bは図示しないフランジ押えを介して上記ベースプレート6に支持されている。また処理容器3には、下側部に処理ガスや不活性ガス等を処理容器3内に導入する導入ポート(導入口)8及び処理容器3内のガスを排気するための図示しない排気ポート(排気口)が設けられている。導入ポート8にはガス供給源(図示せず)が接続され、排気ポートには例えば133×600Pa〜133×10
−2Pa程度に減圧制御が可能な真空ポンプを備えた排気系(図示せず)が接続されている。
【0023】
処理容器3の下方には、処理容器3の炉口3aを閉塞する蓋体10が図示しない昇降機構により昇降移動可能に設けられている。この蓋体10の上部には、炉口の保温手段である保温筒11が載置され、該保温筒11の上部には、直径が300mmのウエハwを多数枚、例えば100〜150枚程度上下方向に所定の間隔で搭載する保持具である石英製のボート12が載置されている。蓋体10には、ボート12をその軸心回りに回転する回転機構13が設けられている。ボート12は、蓋体10の下降移動により処理容器3内から下方のローディングエリア15内に搬出(アンロード)され、ウエハwの移替え後、蓋体10の上昇移動により処理容器3内に搬入(ロード)される。
【0024】
上記炉本体5は、円筒状の断熱材16と、該断熱材16の内周面に軸方向(図示例では上下方向)に多段に形成された溝状の棚部17とを有し、各棚部17に沿ってヒータエレメント(ヒータ線、発熱抵抗体)18が配置されている。断熱材16は、例えばシリカ、アルミナあるいは珪酸アルミナを含む無機質繊維からなっている。断熱材16は、縦に二分割されており、このためヒータエレメントの組付及びヒータの組立を容易に行うことができる。
【0025】
上記断熱材16には上記ヒータエレメント18を適宜間隔で径方向に移動可能に且つ棚部17から脱落ないし脱出しないように保持するピン部材(図示せず)が配設されている。上記円筒状の断熱材16の内周面にはこれと同心の環状の溝部21が軸方向に所定ピッチで多段に形成され、隣り合う上部の溝部21と下部の溝部21との間に周方向に連続した環状の上記棚部17が形成されている。上記溝部21におけるヒータエレメント18の上部と下部、及び溝部21の奥壁とヒータエレメント18との間にはヒータエレメント18の熱膨張収縮及び径方向の移動を許容し得る十分な隙間が設けられており、またこれらの隙間により強制冷却時の冷却媒体がヒータエレメント18の背面に回り込み、ヒータエレメント18を効果的に冷却できるようになっている。なお、このような冷却媒体としては、空気、窒素ガスあるいは水が考えられる。
【0026】
各ヒータエレメント18間は接続板により接合され、端部側に位置するヒータエレメント18は断熱材16を径方向に貫通するように設けられた端子板22a,22bを介して外部のヒータ駆動部18Bに接続されている。
【0027】
炉本体5の断熱材16の形状を保持すると共に断熱材16を補強するために、
図1に示すように、断熱材16の外周面は金属製例えばステンレス製の外皮(アウターシェル)28で覆われている。また、炉本体5の外部への熱影響を抑制するために、外皮28の外周面は水冷ジャケット30で覆われている。断熱材16の頂部にはこれを覆う上部断熱材31が設けられ、この上部断熱材31の上部には外皮28の頂部(上端部)を覆うステンレス製の天板32が設けられている。
【0028】
また
図1および
図2に示すように、熱処理後にウエハを急速降温させて処理の迅速化ないしスループットの向上を図るために、炉本体5には炉本体5と処理容器3との間の空間33内の雰囲気を外部に排出する排熱系35と、上記空間33内に常温(20〜30℃)の冷却媒体を導入して強制的に冷却する強制冷却媒体手段36とが設けられている。上記排熱系35は、例えば炉本体5の上部に設けられた排気口37からなり、該排気口37には、空間33内の冷却媒体を排気する冷却媒体排気ライン62が接続されている。
【0029】
さらに強制冷却媒体手段36は、上記炉本体5の断熱材16と外皮28の間に高さ方向に複数形成された環状流路38と、各環状流路38から断熱材16の中心斜め方向へ冷却媒体を吹き出して上記空間33の周方向に旋回流を生じさせるよう断熱材16に設けられた冷却媒体吹出し孔40とを有している。上記環状流路38は、断熱材16の外周面に帯状又は環状の断熱材41を貼り付けるか、或いは断熱材16の外周面を環状に削ることにより形成されている。上記冷却媒体吹出し孔40は、断熱材16における上下に隣接するヒータエレメント18の間である棚部17にこれを径方向の内外に貫通するように形成されている。このように冷却媒体吹出し孔40を棚部17に設けることにより、ヒータエレメント18に邪魔されることなく冷却媒体を上記空間33に噴出することができる。
【0030】
ところでヒータエレメント18として帯状の発熱抵抗体を用い、棚部17内に収納した例を示したが、ヒータエレメント18としてはこのような構造のものに限られず、他の種々の構造のヒートエレメントを用いることができる。また冷却媒体吹出し孔40からの冷却媒体により空間33内に旋回流を生じさせる例について示したが、冷却媒体吹出し孔40からの冷却媒体により必ずしも旋回流を生じさせる必要はない。
【0031】
上記外皮28の外周面には、各環状流路38に冷却媒体を分配供給するための共通の1本の供給ダクト49が高さ方向に沿って設けられ、外皮28には供給ダクト49内と各環状流路38とを連通する連通口が形成されている。供給ダクト49には冷却媒体を供給する冷却媒体供給ライン52が接続されている。
【0032】
また、処理容器3内には、当該処理容器3内の温度を検知する温度センサ(炉内温度センサ)50が設置され、この温度センサ50からの検知信号は信号ライン50aを介して制御装置51に送られる。なお、温度センサ50を必ずしも処理容器3内に設ける必要はなく、炉本体5と処理容器3との間の空間33内に温度センサ50を設ける、又は両方に設けてもよい(
図1の2点鎖線)。
【0033】
さらに排気口37内にも温度センサ(排気温度センサ)80が設置され、この温度センサ80からの検知信号は信号ライン80aを介して制御装置51に送られる。
【0034】
また
図1および
図2に示すように、冷却媒体供給ライン52と冷却媒体排気ライン62は各々独立してオープン系冷却媒体供給/排気ラインを構成している。このうち冷却媒体供給ライン52には、流量センサ52aおよび冷却媒体供給ブロア53が設けられ、この冷却媒体供給ブロア53はインバータ駆動部53aを有している。
【0035】
また冷却媒体供給ブロア53の入口側にはダンパ56が設けられ、冷却媒体供給ブロア53の出口側には、穴バルブ54およびバタフライ弁55が配置されている。これら冷却媒体供給ブロア53の入口側のダンパ56および冷却媒体供給ブロア53の出口側の穴バルブ54およびバタフライ弁55はいずれも開閉調整自在となっており、ダンパ56、穴バルブ54およびバタフライ弁55は冷却媒体供給ライン側弁機構54Aを構成している。
【0036】
また冷却媒体排気ライン62には流量センサ62aおよび冷却媒体排気ブロア63が設けられ、この冷却媒体排気ブロア63はインバータ駆動部63aを有している。
【0037】
さらに冷却媒体排気ブロア63の入口側にはバタフライ弁66および穴バルブ67が設けられ、冷却媒体排気ブロア63の出口側には穴バルブ64、バタフライ弁65が配置されている。これら冷却媒体排気ブロア63の入口側のバタフライ弁66および穴バルブ67、および冷却媒体排気ブロア63の出口側の穴バルブ64およびバタフライ弁65はいずれも開閉調整自在となっており、かつ冷却媒体排気ブロア63の入口側のバタフライ弁66および穴バルブ67、および冷却媒体排気ブロア63の出口側の穴バルブ64およびバタフライ弁65は冷却媒体排気ライン側弁機構64Aを構成している。
【0038】
そして冷却媒体供給ブロア53、冷却媒体供給ライン52、冷却媒体供給ライン側弁機構54A、冷却媒体排気ブロア63、冷却媒体排気ライン62および冷却媒体排気ライン側弁機構64Aによって、RCUシステム(Rapid Cooling Unit)1Aが構成されている。
【0039】
次に温度センサ50に接続された制御装置51について詳述する。
【0040】
温度センサ50は上述のように処理容器3内に設置されて処理容器3内の温度を検出するものであるが、炉本体5と処理容器3との間の空間33内に温度センサ50を設置することにより、間接的に処理容器3内の温度を検出してもよい。
【0041】
温度センサ50で検出された検知信号は、信号ライン50aを介して制御装置51に送られる。この制御装置51は例えば100℃〜500℃の低温領域での昇温過程、降温過程あるいは温度安定時において、所定の目標温度に対する収束時間を短縮させ、かつ精度良く目標温度に近づけるものである(
図4)。
【0042】
すなわち、制御装置51は、予め定められたヒータ出力とブロア出力に関する数値モデル71と、この数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求めるヒータ出力演算部51aと、数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求めるブロア出力演算部51bとを有している。
【0043】
このうち、数値モデル71はヒータ出力用数値モデル71aとブロア出力用数値モデル71bとを有しており、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求める。
【0044】
ここで数値モデル71のうち、ヒータ出力用数値モデル71aについて説明する。
【0045】
ヒータ出力用数値モデル71aは、温度センサ50およびヒータ駆動部18Bから、予め半導体ウエハwの温度を推測し、さらに、推測した温度を全体として目的温度に近接させるために、ヒータ18に供給する電力を特定可能な数学モデルであり、任意のモデル(多変数、多次元、多出力関数)を利用可能である。このようなヒータ出力用数値モデル71aとしては、例えば、米国特許第5,517,594号公報に開示されたモデルを使用することができる。
【0046】
以下、米国特許5,517,594号公報に開示されたモデルを例に説明する。まず、
図1に示す熱処理装置に、中心と周縁部から例えば6mm離れた位置とに熱電対を組み込んだ5枚のテスト用半導体ウエハを用意する。次に、これらの5枚のテスト用半導体ウエハが、5つのゾーンに1つずつ位置するように、テスト用ウエハと通常のウエハとをボートに載置する。次に、このボートを処理容器にロードする。次に、ヒータに高周波帯域の信号及び低周波帯域の信号を印加し、温度センサの出力、テスト用ウエハ上の熱電対の出力(ウエハ温度)、ヒータに供給される電流などのデータを、例えば、1〜5秒のサンプリング周期で取得する。
【0047】
次に、一定の温度範囲、例えば400℃〜1100℃の範囲で、100℃間隔で温度帯域を設定する(広温度帯域を1つのモデルでカバーすると温度の推定などが不正確になってしまうため)。取得したデータから、各温度帯域について、数式1に示すARX(自動回帰)モデルを設定する。
【0048】
[数1]y
t + AA
1 y
t−1 + AA
2 y
t−2 + ... + AA
n y
t−n = BB
1 u
t−1 + BB
2 u
t−2 + ... + BB
n u
t−n + e
t
y
t:時点tでの以下の内容を成分とするp行1列のベクトル
内容:温度センサの出力の変動量(この例では5つの温度センサ電対が存在するため、5成分)、上記とは別の場所に置かれた温度センサの出力の変動量(この例では5つの温度センサが存在するため、5成分)、ウエハの中心部にセットした熱電対の出力の変動量(この例では5つ)、ウエハの周縁部にセットした熱電対の出力変動量(この例では5つ)。従って、この例では、y
1は20行1列のベクトルとなる。
u
t:時点tでのヒータ電力の変動量を成分とするm行1列のベクトル(この例では、ヒータが5台のため、5行1列)。
e
t:ホワイトノイズを成分とするm行1列のベクトル。
n:遅れ(例えば8)。
AA
1〜AA
n:p行p列の行列(この例では、20行20列)。
BB
1〜BB
n:p行m列の行列(この例では、20行50列)。
【0049】
ここで、各係数AA
1〜AA
nとBB
1〜BB
nを、最小二乗法などを用いて決定する。
【0050】
このARXモデル関係を、状態空間法に適用すると、その基本方程式は数式2で表すようになる。
【0051】
[数2]x
t+1 = Ax
t + Bu
t + K
Te
t
y
t = Cx
t+1 + e
t
ここで、xは状態変数、Kはカルマンフィルタのフィードバック系、A,B,Cは行列である。
【0052】
実際の成膜時の処理速度を向上するため、次数を10次程度まで低次元化し、数式2から温度帯域毎に数式モデルを作成する。
【0053】
こうして、温度帯域毎に、入力(温度センサ、及びヒータ電力P)からウエハの温度を導く数式3を導く。
【0054】
[数3]x^
t+1 = Ax^
t + B(Pinput,t + ubias)+ L(Tthermocouple,t−Csx^
t + Sbias)
Tmodel,t = Cwx^
1 + Wbias
【0055】
次に、再度、テスト用ウエハを処理し、数式3に基づいて推定されたウエハ温度Tmodelと実測値Twaferとを比較し、モデルをチューニングする。このチューニング動作を必要に応じて複数回繰り返す。
【0056】
このようにして、ウエハの処理枚数及びその配置に応じて、ウエハの温度推定及びウエハ温度を目標温度とするための出力を定義するヒータ出力用数値モデル71aが得られる。なお、推測したウエハ温度を制御対象とする例を示したが、観測温度そのものを制御対象とするモデルとしてもよい。
【0057】
他方、ブロア出力用数値モデル71bは、上述のヒータ出力用数値モデル71aを求める方法と同様に、ヒータ18Aを動作させながら、冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア63を実際に動作させ、半導体ウエハwの温度を実測することにより、ヒータ出力用数値モデル71aとともに取得可能である。
【0058】
なお、数値モデル71がヒータ出力用数値モデル71aとブロア出力用数値モデル71bの双方を有する例を示したが、単一の数値モデル71内にヒータ出力用数値モデルおよびブロア出力用数値モデルを含ませてもよい。
【0059】
またヒータ出力演算部51aにより求められたヒータ出力は、ヒータ駆動部18Bに送られ、このヒータ駆動部18Bにより、ヒータ出力演算部51により求められたヒータ出力に基づいてヒータ18Aのヒータエレメント18が駆動制御される。
【0060】
他方、ブロア出力演算部51bにより求められたブロア出力はインバータ駆動部53a,63aに送られ、これらインバータ駆動部53a,63aにより冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア63が駆動制御される。
【0061】
このようにして、冷却媒体供給ブロア53と冷却媒体排気ブロア63とによって、炉本体5と処理容器3との間の空間33内に冷却媒体が供給される。
【0062】
なお、冷却媒体供給ブロア53と冷却媒体排気ブロア63を設置することによって、炉本体5と処理容器3との間の空間33内に冷却媒体を供給する例を示したが、これに限らず、冷却媒体供給ブロア53または冷却媒体排気ブロア63のうち、いずれか一方のみを設置して炉本体5と処理容器3との間の空間33内に冷却媒体を供給してもよい。また、その場合に冷却媒体供給ライン52と冷却媒体排気ライン62ともにブロアに接続し、クローズ系冷却媒体供給/排気ラインを構成してもよい。例えば冷却媒体供給ブロア53のみを設置する場合、ブロア出力演算部51bにより求められたブロア出力に基づいて、冷却媒体供給ブロア53のインバータ駆動部53aが駆動制御される。
【0063】
次にこのような構成からなる熱処理装置の作用について説明する。
【0064】
まず、ボート12内にウエハwが搭載され、ウエハwが搭載されたボート12が蓋体10の保温筒11上に載置される。その後蓋体10の上昇移動によりボート12が処理容器3内へ搬入される。
【0065】
次に制御装置51はヒータ駆動部18Aを制御してヒータエレメント18を作動させ、炉本体5と処理用器3との間の空間33を加熱し、処理容器3内のボート12に搭載されたウエハwに対して必要な熱処理を施す。
【0066】
この間、後述のように、必要に応じて熱処理作業の効率化を図るため、炉本体5と処理容器3との間の空間33内を強制的に冷却する。
【0067】
この場合、まず制御装置51によって冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア54が作動する。このとき冷却媒体(20〜30℃)が冷却媒体供給ライン52内に導入され、次に冷却媒体は冷却媒体供給ブロア53から供給ダクト49へ送られる。
【0068】
その後供給ダクト49内の冷却媒体は炉本体5の断熱材16外方に形成された各環状流路38内に進入し、次に環状流路38内の冷却媒体は断熱材16を貫通して設けられた冷却媒体吹出し孔40から炉本体5と処理容器3との間の空間33内に吹出されて、この空間33内を強制的に冷却する。
【0069】
空間33内の冷却媒体は冷却媒体排気ライン62を経て熱交換器69によって冷却された後、冷却媒体排気ブロア63によって外部へ排気される。
【0070】
この場合、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を定め、このヒータ出力に基づいてヒータ駆動部18Bがヒータ18Aを駆動制御する。またブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を定め、このヒータ出力に基づいてインバータ駆動部53a,63aが冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア54を回転数制御することにより駆動制御する。
【0071】
このことにより、例えば低温域での昇温過程、降温過程あるいは温度安定時において処理容器3内における温度を所定の目標温度に短時間でかつ、精度よく収束させることができる。
【0072】
第2の実施の形態
次に
図5および
図6により本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0073】
図5および
図6に示す第2の実施の形態は、制御装置51の構成が異なるのみであり、他の構成は
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0074】
図5および
図6に示す第2の実施の形態において、
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
図5および
図6に示すように、予め定められたヒータ出力とブロア出力に関する数値モデル71と、この数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求めるヒータ出力演算部51aと、数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求めるブロア出力演算部51bとを有している。
【0076】
このうち、数値モデル71はヒータ出力用数値モデル71aとブロア出力用数値モデル71bとを有しており、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求める。
【0077】
さらに
図5に示すように、制御装置51は排気温度センサ80からの排気温度に追従する設定温度(ブロア用設定温度)をもって追加ブロア出力を定める追加ブロア出力演算部51cを有している。
【0078】
そしてブロア出力演算部51bからのブロア出力と、追加ブロア出力演算部51cからの追加ブロア出力とがブロア出力合算部51dにおいて合算され、このように合算されたブロア出力に基づいてインバータ駆動部53a,63aにより冷却媒体供給ブロア53と冷却媒体排気ブロア63を各々回転数制御することにより駆動制御する。
【0079】
図5および
図6において、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求める。
【0080】
また追加ブロア出力演算部51cは排気温度センサ80からの排気温度に追従する設定温度をもって、追加ブロア出力を求める。
【0081】
この場合、
図6に示すように、ヒータ18およびRCUシステム1Aを作動させて例えば、炉内温度を昇温させ、一定の目標温度まで昇温させたら、その目標温度に維持して炉内温度を安定化させておくことを考える。
【0082】
図6において、ブロア出力演算部51bによりブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求めることに加え、追加ブロア出力演算部51cにより排気温度センサ80からの排気温度に追従するよう設定温度を定め、この設定温度と排気温度センサ80からの排気温度に基づいて追加ブロア出力を求める。
【0083】
追加ブロア出力演算部51cにおいて設定される設定温度は、常にマイナスの追加ブロア出力を生じさせるよう排気温度センサ80からの排気温度に対して適切なオフセットをもつよう求められる。このように、追加ブロア出力演算部51cにおいて、常にマイナスの追加ブロア出力を生じさせることにより、とりわけ炉内温度を安定させる際(温度安定時)、ブロア出力合算部51dにおいて合算されるブロア出力をゼロに近づけることができる。このため炉内温度の温度安定時において、ヒータ18のみで炉内温度を調整することができ、RCUシステム1Aの使用を最小限に抑えることができる。
【0084】
第3の実施の形態
次に
図7により本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0085】
図7に示す第3の実施の形態は、制御装置51の構成が異なるのみであり、他の構成は
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0086】
図7に示す第3の実施の形態において、
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
図7に示すように、制御装置51は、予め定められたヒータ出力とブロア出力(冷却出力)に関する数値モデル71と、この数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求めるヒータ出力演算部51aと、数値モデル71と温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力(冷却出力)を求めるブロア出力演算部(冷却出力演算部)51bとを有している。
【0088】
このうち、数値モデル71はヒータ出力用数値モデル71aとブロア出力用数値モデル(冷却出力用数値モデル)71bとを有しており、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求める。
【0089】
また制御装置51はブロア出力演算部51bからのブロア出力を冷却媒体流量に変換する流量制御演算部51eを有している。この場合、流量制御演算部51eは、ブロア出力を炉本体5と処理容器3との間の空間33内に供給される適切な冷却媒体流量に変換する。
【0090】
図7において、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいてヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてブロア出力を求める。
【0091】
さらに流量制御演算部51eは、ブロア出力演算部51bで求めたブロア出力を冷却媒体流量に変換し、さらにこの冷却媒体流量と流量センサ52a,62aで検出された冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62の冷却媒体流量に基づいてインバータ駆動用信号を出力する。その後、インバータ駆動部53a,63aは、流量制御演算部51eで求めたインバータ駆動用信号に基づいて、冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア63を回転数制御することにより駆動制御して冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62の冷却媒体流量を制御する。
【0092】
このように、ブロア出力演算部51bで求めたブロア出力を流量制御演算部51eにおいて炉本体5と処理用器3との間の空間33内に供給される冷却媒体流量に変換し、流量センサ52a,62aで検出した冷却媒体流量を調整することにより、例えば冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62が長い配管を有する場合、あるいは冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62が短い配管を有する場合等、熱処理装置1の冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62の配置、形状が相違しても、炉本体5と処理容器3との間の空間33内に所望量の冷却媒体を供給することができる。
【0093】
このことにより熱処理装置1の冷却媒体供給ライン52および冷却媒体排気ライン62の配置、形状によらず、常に炉内温度を精度良く制御することができる。
【0094】
なお、流量制御演算部51eにより求めた冷却媒体流量に基づいて、冷却媒体ブロア53および冷却媒体排気ブロア63を回転数制御することにより駆動制御した例を示したが、これに限らず、流量制御演算部51eにより求めた冷却媒体流量に基づいて、冷却媒体供給ライン側弁機構54Aを駆動制御してもよく、流量制御演算部51eにより求めた冷却媒体流量に基づいて、冷却媒体排気側弁機構64Aを駆動制御してもよい。さらに流量制御演算部51eは、ブロア出力を変換して冷却媒体流量を求め、流量センサ52a,62aからの冷却媒体流量を調整した例を示したが、流量センサ52a,62aのうち一方からの冷却媒体流量を用いて調整してもよい。
【0095】
第4の実施の形態
次に
図8により本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0096】
図8に示す第4の実施の形態において、炉本体5が上方から下方に向かって5つのゾーン5a,5b,5c,5d,5eに区画され、各ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎にヒータ18が設けられている。
【0097】
また炉本体5の各ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に、各々冷却媒体供給ライン52と冷却媒体排気ライン62とを有するRCUシステム1Aが接続されている。
【0098】
さらに炉本体5の各ゾーン5a,5b,5c,5d,5eに対応して、処理容器3の内部又は外部の温度を検出する炉内温度センサ50が設けられ、これら各炉内温度センサ50からの検知信号は制御装置51へ送られるようになっている。
【0099】
そして制御装置51は、炉本体5の各ゾーン5a,5b,5c,5d,5eに対応するヒータ18A、冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア63を制御して処理容器3内の温度を調整する。
【0100】
図8に示す第4の実施の形態において、他の構成は
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0101】
図8に示す第4の実施の形態において、
図1乃至
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0102】
図8において、制御装置51は予め定められたヒータ出力とブロア出力に関する各ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎の数値モデル71と、当該数値モデル71とゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に設置された温度センサ50からの炉内温度に基づいてゾーン5a,5b,5c,5d,5eのヒータ出力を求めるヒータ出力演算部51aと、数値モデル71とゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に設置された温度センサ50からの炉内温度に基づいてゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎のブロア出力を求めるブロア出力演算部51bとを有している。
【0103】
このうち数値モデル71はヒータ出力用数値モデル71aとブロア出力用数値モデル71bとを有しており、ヒータ出力演算部51aはヒータ出力用数値モデル71aと温度センサ50からの炉内温度に基づいて、ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎のヒータ出力を求め、ブロア出力演算部51bはブロア出力用数値モデル71bと温度センサ50からの炉内温度に基づいてゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎のブロア出力を求める。
【0104】
そして制御装置51は、このようにしてゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に求めたヒータ出力に基づいて、ヒータ駆動部18Bによりゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に設置されたヒータ18Aを駆動制御する。同時にゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に求めたブロア出力に基づいて、ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に設置されたRCUシステム1A内においてインバータ駆動部53a,63aにより空気供給ブロア53および空気排気ブロア63を回転数制御することにより駆動制御する。
【0105】
以上のように本実施の形態によれば、炉本体5内を複数のゾーン5a,5b,5c,5d,5eに区画するとともに、制御装置51により各ゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に設置されたヒータ18AおよびRCUシステム1Aの冷却媒体供給ブロア53および冷却媒体排気ブロア63を駆動制御するので、炉本体5内に設置された処理容器3内の温度をゾーン5a,5b,5c,5d,5e毎に木目細かく制御することができる。