特許第5893428号(P5893428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893428
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】乾燥装置およびインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   B41J2/01 125
   B41J2/01 301
   B41J2/01 401
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-29414(P2012-29414)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-166258(P2013-166258A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】渕岡 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄士
(72)【発明者】
【氏名】泰地 亮
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−334647(JP,A)
【文献】 特開2009−045861(JP,A)
【文献】 特開平05−031893(JP,A)
【文献】 特開2000−019877(JP,A)
【文献】 特開2010−076404(JP,A)
【文献】 特開2007−303432(JP,A)
【文献】 特開2011−168021(JP,A)
【文献】 特開2002−361850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドから吐出されて印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる乾燥装置において、
前記印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられたヒータと、
前記ヒータに向けて送風する送風源と、
前記ヒータを囲う筐体であって、前記送風源から送られた風を流入させる流入口と、前記筐体の外側にある前記搬送経路に向けて前記ヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口と、を有する前記筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吹き付け口から前記搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部と、
前記送風源に空気を供給する吸気部と、
前記排気部で回収された熱風を前記吸気部に供給する熱風循環部と、を備え、
前記吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、前記熱風循環部よりも前記吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、
前記吸気送風源は、前記送風源よりも風量を小さくするように設定されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
請求項に記載された乾燥装置において、
前記送風源と前記吸気送風源との間の風量差を変化させる乾燥制御部を備えていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された乾燥装置において、
前記送風源は、前記筐体の流入口に設けられていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載された乾燥装置において、
前記吹き付け口に設けられた温度センサと、
前記温度センサで測定された温度に基づいて前記送風源からの風量を制御する乾燥制御部と、を備え、
前記乾燥制御部は、前記温度センサで測定された温度が低いほど前記送風源からの風量を小さくすることを特徴とする乾燥装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載された乾燥装置において、
前記搬送経路を挟んで前記吹き付け口の反対側に設けられ、前記印刷対象の裏面側から加熱して前記印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる裏面乾燥ユニットを備え、
前記吹き付け口は、前記印刷対象の表面に向けて熱風を吹き付けることを特徴とする乾燥装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載された乾燥装置において、
前記ヒータ、前記送風源および前記筐体を有する熱風乾燥ユニットを前記搬送経路に沿って複数個備えていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載された乾燥装置において、
前記送風源は、ファンを複数直列に組み合わせたもので構成されることを特徴とする乾燥装置。
【請求項8】
印刷対象にインク滴を吐出するインクジェットヘッドを備えたインクジェット印刷装置において、
前記インクジェットヘッドから吐出されて印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる乾燥部を備え、
前記乾燥部は、前記印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられたヒータと、
前記ヒータに向けて送風する送風源と、
前記ヒータを囲う筐体であって、前記送風源から送られた風を流入させる流入口と、前記筐体の外側にある前記搬送経路に向けて前記ヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口と、を有する前記筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吹き付け口から前記搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部と、
前記送風源に空気を供給する吸気部と、
前記排気部で回収された熱風を前記吸気部に供給する熱風循環部と、を有し、
前記吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、前記熱風循環部よりも前記吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、
前記吸気送風源は、前記送風源よりも風量を小さくするように設定されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドと印刷対象(例えば印刷用紙)とを相対的に移動しつつインクジェットヘッドからインク滴を吐出して印刷対象に印刷を行う際に、印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる乾燥装置およびインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置は、例えば印刷用紙に複数のノズルからインク滴を吐出するインクジェットヘッドと、印刷用紙に付着(着弾)したインク滴を乾燥させる乾燥部とを備えている。
【0003】
乾燥部は、ヒータを内蔵したヒートドラム(ヒートローラともいう)を備えた構成のものある(例えば、特許文献1参照)。印刷用紙は、その裏面側でヒートドラムに接して、ヒートドラムに巻き付けられる。ヒートドラムは予め加熱されており、印刷用紙がヒートドラムに巻き付けられて通過すると、ヒートドラムの熱で印刷対象に付着したインク滴が乾燥する。また、乾燥部は、印刷用紙の表面に熱風を吹き付けて乾燥させる熱風供給部を備えた構成のものがある(例えば、特許文献2参照)。従来のインクジェット印刷装置101の乾燥部119は、図13に示すように、ヒートドラム131に加え、熱風供給部133を備えている。なお、インクジェットヘッドは符号123で示し、印刷用紙(連続紙)は符号WPで示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−188708号公報
【特許文献2】特開2010−082937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。すなわち、従来のインクジェット印刷装置101の乾燥部119は、ヒートドラム131と、熱風供給部133とを備えている。しかしながら、熱風供給部133は、大きな風量および熱量を容易に得るために、インクジェット印刷部102とは個別に設けられている。個別に設けられた熱風供給部133は、送風源(ブロア)139、ヒータ137、ダクト144の順番で構成されており、ヒータ137で加熱された空気は、送風源139により送風され、ダクト144を通じて、ヒートドラム131周囲まで送られる。このような熱風供給部133を有する乾燥部119では、ダクト144の長さにより、圧力損失および熱損失が大きくなり、また、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することが難しい問題がある。また、個別に設けられていた熱風供給部133をインクジェット印刷部102に内蔵させたいという要望がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、損失を小さくするとともに、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することが可能な乾燥装置およびインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る乾燥装置は、インクジェットヘッドから吐出されて印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる乾燥装置において、前記印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられたヒータと、前記ヒータに向けて送風する送風源と、前記ヒータを囲う筐体であって、前記送風源から送られた風を流入させる流入口と、前記筐体の外側にある前記搬送経路に向けて前記ヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口と、を有する前記筐体と、前記筐体の外側に設けられ、前記吹き付け口から前記搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部と、前記送風源に空気を供給する吸気部と、前記排気部で回収された熱風を前記吸気部に供給する熱風循環部と、を備え、前記吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、前記熱風循環部よりも前記吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、前記吸気送風源は、前記送風源よりも風量を小さくするように設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る乾燥装置によれば、ヒータは筐体で囲まれているので、加熱した空気を蓄積することができ、効率よく加熱することができる。送風源は、筐体に囲まれたヒータに向けて送風する。筐体は、流入口と、筐体の外側にある搬送経路に向けてヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口とを有している。熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風速を上げることができる。これにより、送風源からの風速が遅い場合でも、所望の風速を得ることができる。また、熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することができる。また、ヒータは、印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられている。そのため、従来の外部に設けられていたヒータよりも搬送経路までの距離が比較的に短くなるので、熱損失を抑えることができる。これにより、加熱力が小さなヒータの場合でも効率よく加熱することができる。
また、乾燥装置は、筐体部の外側に設けられ、吹き付け口から搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部を備えている。これにより、搬送経路に吹き付けられ、インク滴の湿気を含んだ熱風を排気することができ、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
また、乾燥装置は、送風源に空気を供給する吸気部と、排気部で回収された熱風を吸気部に供給する熱風循環部と、を備えている。熱風循環部によって、搬送経路に吹き付けられ、排気部で回収された熱風を、送風源に空気を供給する吸気部に供給する。これにより、ヒータは、外気(新鮮な空気)を加熱するよりも、一度加熱された空気を加熱するので、効率よく加熱することができる。
また、吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、熱風循環部よりも吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、吸気送風源は、送風源よりも風量を小さくするように設定されている。これにより、送風源と吸気送風源との間に風量差を生じさせ、この風量差により、熱風循環部から熱風を回収する吸引力を生じさせることができる。
【0012】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記送風源と前記吸気送風源との間の風量差を変化させる乾燥制御部を備えていることが好ましい。これにより、循環させる熱風の割合を変更させることができる。
【0013】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記送風源は、前記筐体の流入口に設けられていることが好ましい。これにより、従来の外部に設けられていた送風源よりも搬送経路までの距離が比較的に短くなるので、圧力損失を抑えることができる。また、筐体の流入口に送風源が設けられるので、筐体と送風源とでヒータが囲まれる。これにより、加熱した空気がよく蓄積され、効率よく加熱することができる。
【0014】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記吹き付け口に設けられた温度センサと、前記温度センサで測定された温度に基づいて前記送風源からの風量を制御する乾燥制御部と、を備え、前記乾燥制御部は、前記温度センサで測定された温度が低いほど前記送風源からの風量を小さくすることが好ましい。これにより、吹き付け口から吹き付けられる熱風を予め設定された温度まで早く立ち上げることができる。
【0015】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記搬送経路を挟んで前記吹き付け口の反対側に設けられ、前記印刷対象の裏面側から加熱して前記印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる裏面乾燥ユニットを備え、前記吹き付け口は、前記印刷対象の表面に向けて熱風を吹き付けることが好ましい。インク滴が付着した印刷対象の表面に向けて吹き付け口により熱風を吹き付けて乾燥させる。これと共に、搬送経路を挟んで吹き付け口の反対側に設けられた裏面乾燥ユニットにより印刷対象の裏面側を加熱して乾燥させる。これにより、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
【0016】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記ヒータ、前記送風源および前記筐体を有する熱風乾燥ユニットを前記搬送経路に沿って複数個備えていることが好ましい。搬送経路に沿って複数の熱風乾燥ユニットを設けることにより、搬送経路に、より近くでかつ多数のヒータおよび送風源を配置することができ、熱損失および圧力損失を小さくすることができる。
【0017】
また、本発明に係る乾燥装置において、前記送風源は、ファンを複数直列に組み合わせたもので構成されることが好ましい。これにより、設置密度が高く大きな風量が得られ、筐体等、抵抗のあるところに送り込んでも風量および風速が落ちないようにすることができる。
【0018】
また、本発明に係るインクジェット印刷装置は、印刷対象にインク滴を吐出するインクジェットヘッドを備えたインクジェット印刷装置において、前記インクジェットヘッドから吐出されて印刷対象に付着したインク滴を乾燥させる乾燥部を備え、前記乾燥部は、前記印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられたヒータと、前記ヒータに向けて送風する送風源と、前記ヒータを囲う筐体であって、前記送風源から送られた風を流入させる流入口と、前記筐体の外側にある前記搬送経路に向けて前記ヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口と、を有する前記筐体と、前記筐体の外側に設けられ、前記吹き付け口から前記搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部と、前記送風源に空気を供給する吸気部と、前記排気部で回収された熱風を前記吸気部に供給する熱風循環部と、を有し、前記吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、前記熱風循環部よりも前記吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、前記吸気送風源は、前記送風源よりも風量を小さくするように設定されていることを有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、ヒータは筐体で囲まれているので、加熱した空気を蓄積することができ、効率よく加熱することができる。送風源は、筐体に囲まれたヒータに向けて送風する。筐体は、流入口と、筐体の外側にある搬送経路に向けてヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口とを有している。熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風速を上げることができる。これにより、送風源からの風速が遅い場合でも、所望の風速を得ることができる。また、熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することができる。また、ヒータは、印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられている。そのため、従来の外部に設けられていたヒータよりも搬送経路までの距離が比較的に短くなるので、熱損失を抑えることができる。これにより、加熱力が小さなヒータの場合でも効率よく加熱することができる。
また、乾燥部は、筐体部の外側に設けられ、吹き付け口から搬送経路に吹き付けられた熱風を排気する排気部を備えている。これにより、搬送経路に吹き付けられ、インク滴の湿気を含んだ熱風を排気することができ、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
また、乾燥部は、送風源に空気を供給する吸気部と、排気部で回収された熱風を吸気部に供給する熱風循環部と、を備えている。熱風循環部によって、搬送経路に吹き付けられ、排気部で回収された熱風を、送風源に空気を供給する吸気部に供給する。これにより、ヒータは、外気(新鮮な空気)を加熱するよりも、一度加熱された空気を加熱するので、効率よく加熱することができる。
また、吸気部には、外気を吸気する吸気口が設けられるとともに、熱風循環部よりも吸気口側の位置に外気を吸気させるための吸気送風源が設けられ、吸気送風源は、送風源よりも風量を小さくするように設定されている。これにより、送風源と吸気送風源との間に風量差を生じさせ、この風量差により、熱風循環部から熱風を回収する吸引力を生じさせることができる。

【0020】
なお、本明細書は、次のような乾燥装置に係る発明も開示している。
【0021】
(1)本発明に係る乾燥装置において、前記排気部は、前記搬送経路に沿った前記筐体の上流側に設けられ、前記筐体は、前記搬送経路の下流側から上流側に向けて斜めに熱風を吹き付けるように前記吹き付け口が設けられていることが好ましい。これにより、搬送経路に搬送される印刷対象と、吹き付け口から吹き付けられる熱風との相対速度を上げることができ、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
【0022】
(2)本発明に係る乾燥装置において、前記排気部は、前記筐体を挟んで前記搬送経路の両側に設けられ、前記筐体は、前記搬送経路に垂直に熱風を吹き付けるように前記吹き付け口が設けられていることが好ましい。搬送経路に搬送される印刷対象に熱風を正面から確実に吹き付けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る乾燥装置およびインクジェット印刷装置によれば、ヒータは筐体で囲まれているので、加熱した空気を蓄積することができ、効率よく加熱することができる。送風源は、筐体に囲まれたヒータに向けて送風する。筐体は、流入口と、筐体の外側にある搬送経路に向けてヒータで加熱した熱風を搬送経路に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口とを有している。熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風速を上げることができる。これにより、送風源からの風速が遅い場合でも、所望の風速を得ることができる。また、熱風は、吹き付け口で絞られることにより、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することができる。また、ヒータは、印刷対象が搬送される搬送経路に対向して設けられている。そのため、従来の外部に設けられていたヒータよりも搬送経路までの距離が比較的に短くなるので、熱損失を抑えることができる。これにより、加熱力が小さなヒータの場合でも効率よく加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図2】実施例1に係る乾燥部の構成を示す側面図である。
図3】実施例1に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す側面図である。
図4】(a)は熱風乾燥ユニットにおける連続紙の幅方向の構成を示す図であり、(b)はヒータ筐体の流入口の一例を示す(a)のP方向から見た図であり、(c)はヒータ筐体の吹き付け口の一例を示す(a)のQ方向から見た図である。
図5】実施例2に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図である。
図6】実施例2に係る熱風乾燥ユニットと乾燥制御部との関係を示すブロック図である。
図7】(a)および(b)は実施例2に係る制御の説明に供する図である。
図8】実施例3に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図である。
図9】変形例に係る熱風乾燥ユニットにおける連続紙の幅方向の構成を示す図である。
図10】変形例に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図である。
図11】変形例に係る乾燥部の裏面乾燥ユニットの構成を示す図である。
図12】変形例に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図である。
図13】従来のインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。図2は、実施例1に係る乾燥部の構成を示す側面図であり、図3は、実施例1に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す側面図である。
【0026】
図1を参照する。インクジェット印刷装置1は、連続紙WPに印刷を行うインクジェット印刷部2と、インクジェット印刷部2に連続紙WPを供給する給紙部3と、印刷を終えた連続紙WPをロール状に巻き取る排紙部4とを備えている。なお、連続紙WPは本発明の印刷対象に相当する。
【0027】
給紙部3は、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持し、インクジェット印刷部2に対して連続紙WPを巻き出して供給する。また、排紙部4は、インクジェット印刷部2で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とすると、給紙部3はインクジェット印刷部2の上流側に配置されており、排紙部4はインクジェット印刷部2の下流側に配置されている。
【0028】
インクジェット印刷部2は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ7を上流側に備えている。駆動ローラ7によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、駆動機構を有さない回転可能な搬送ローラ9等に沿って下流側の排紙部4に向かって搬送される。後述する検査部21と排紙部4との間には、駆動ローラ11が配置されている。この駆動ローラ11は、後述する検査部21を通過した連続紙WPを排紙部4に向かって送り出す。
【0029】
インクジェット印刷部2は、駆動ローラ7と駆動ローラ11との間に、エッジ位置制御部13と、駆動ローラ15と、印刷ユニット17と、乾燥部19と、検査部21とを上流側からその順番で備えている。エッジ位置制御部13は、連続紙WPが蛇行すると自動で調整し、連続紙WPが正しい位置に流れるようにする。駆動ローラ15は、一定速度で回転し、他の駆動ローラ7,11および後述するヒートドラム31の回転数の基準となる。なお、乾燥部19は本発明の乾燥装置に相当する。
【0030】
なお、駆動ローラ7,11,15には、個別にニップローラ22が回転可能に設けられている。ニップローラ22は、連続紙WPを挟んで反対側から駆動ローラ7,11,15を押圧することで、連続紙WPの搬送力を与えている。押圧力は、例えばエアシリンダで与えられる。また、ニップローラ22は、例えばゴム等の弾性体で構成される。
【0031】
印刷ユニット17は、インク滴を吐出するインクジェットヘッド23を備えている。印刷ユニット17は、連続紙WPの搬送方向(副走査方向)201と直交する連続紙WPの幅方向(主走査方向)202に複数のインクジェットヘッド23が千鳥配列で配置されている。これにより、インクジェットヘッド23を、連続紙WPの搬送方向201と直交する連続紙WPの幅方向202に移動させることなく、位置固定のままで連続紙WPを送りながら連続紙WPに対してインク滴の吐出を行っている。なお、以下においては、連続紙WPの幅方向202に千鳥配列で配置された複数のインクジェットヘッド23を1つのインクジェットヘッド23として説明する。印刷ユニット17は、連続紙WPの搬送方向に沿って複数個のインクジェットヘッド23が配置されている。例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)について個別に4個のインクジェットヘッド23を備えている。印刷ユニット17には、図示しないインク供給部が接続されており、印刷ユニット17に必要に応じてインク滴を供給する。
【0032】
乾燥部19は、インクジェットヘッド23から吐出されて連続紙WPに付着したインク滴を乾燥させる。乾燥部19については後述する。検査部21は、印刷された部分に汚れや抜け等がないか検査する。検査後の連続紙WPは、排紙部4にロール状に巻き取られる。
【0033】
また、インクジェット印刷装置1は、主制御部25と操作部27とを備えている。主制御部25は、インクジェット印刷装置1の各構成を統括的に制御し、中央演算処理装置(CPU)などで構成される。操作部27は、インクジェット印刷装置1を操作するものであり、例えば、タッチパネルや各種スイッチで構成される。また、操作部27は、パーソナルコンピュータで構成され、マウスやキーボード等で操作を入力するものであってもよい。なお、駆動ローラ7,11,15および後述するヒートドラム31は、図示しないモータやギア等の駆動機構により回転駆動する。
【0034】
〔乾燥部〕
図2および図3を参照する。乾燥部19は、ヒートドラム31と、熱風乾燥ユニット(熱風供給部)33と、を備えている。ヒートドラム31は、上述のように、図示しないヒータを内蔵しており、予め設定された温度に加熱される。ヒートドラム31は連続紙WPの裏面側と接し、連続紙WPはヒートドラム31の外縁31aに巻き付けられる。ヒートドラム31は、連続紙WPの裏面側から加熱して、連続紙WPに付着したインク滴を乾燥させる。ヒートドラム31は、駆動ローラ7,11,15と同様に回転駆動するようになっている。なお、ヒートドラム31は、本発明の裏面乾燥ユニットに相当する。
【0035】
熱風乾燥ユニット33は、連続紙WPが搬送される搬送経路35に対向して設けられている。また、熱風乾燥ユニット33は、ヒートドラム31の外周、すなわち搬送経路35に沿って複数個設けられている。熱風乾燥ユニット33は、ヒータ37、ファン39、ヒータ筐体41、排気ダクト43、および吸気ダクト45を備えている。なお、ファン39は本発明の送風源に相当し、ヒータ筐体41は本発明の筐体に相当する。排気ダクト43は本発明の排気部に相当し、吸気ダクト45は本発明の吸気部に相当する。
【0036】
ヒータ37は、連続紙WPが搬送される搬送経路35に対向して設けられ、空気を加熱する。ヒータ37は、例えばシーズヒータで構成されるが、電気を導通させて発熱するもの等、他の発熱源であってもよい。ファン39は、ヒータ37に向けて送風する。ファン39は、ファンを複数直列に組み合わせたもの、例えば2重反転ファンで構成されることが好ましい。これにより、設置密度が高く大きな風量が得られ、後述するヒータ筐体41等、抵抗のあるところに送り込んでも風量および風速が落ちない性質がある。ファン39は、他のファン、ブロア等の送風源であってもよい。
【0037】
ヒータ筐体41は、ヒータ37を囲うものである。ヒータ筐体41は、ファン39から送られた風を流入させる流入口41aと、ヒータ筐体41の外側にある搬送経路35に向けてヒータ37で加熱した熱風を搬送経路35に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口41bとを備えている。ヒータ筐体41は、吹き付け口41bに向かうにつれて、搬送経路35に沿った方向に隔壁41c間の距離が狭くなるように構成されている。また、ヒータ筐体41は、搬送経路35の下流側から上流側に向けて斜めに熱風を吹き付けるように吹き付け口41bが設けられている。連続紙WPが搬送される搬送経路35を挟んで吹き付け口41bの反対側にヒートドラム31が設けられている。吹き付け口41bは連続紙WPの表面に向けて熱風を吹き付けるようになっている。
【0038】
ヒータ筐体41は、流入口41aおよび吹き付け口41b以外はヒータ37をほぼ囲うように構成されている。ヒータ筐体41は、耐熱材料で構成され、例えばステンレスなどの金属やプラスチックに耐熱塗料をコーティングしたもの等で構成される。吹き付け口41bは、搬送経路35に近接して配置される(例えば10mm)。
【0039】
排気ダクト43は、ヒータ筐体41の外側に設けられる。排気ダクト43は、吹き付け口41bから搬送経路35に吹き付けられた熱風を排気する。すなわち、排気ダクト43は、搬送経路35上を搬送される連続紙WPに吹き付けられて反射した熱風を排気する。排気ダクト43は、インクジェット印刷部2外部に回収した熱風を排気する。排気ダクト43は、搬送経路35に沿ったヒータ筐体41の上流側に設けられている。なお、排気ダクト43には、強制的に排気するように、ファンやブロア等の図示しない送風源が設けられているが、必要に応じて送風源を設けない構成としてもよい。また、熱風乾燥ユニット33ごとに設けられた排気ダクト43は、例えば、1本に繋がってインクジェット印刷部2外部に排気するようにしてもよい。
【0040】
吸気ダクト45は、ファン39に空気を供給する。吸気ダクト45は、隔壁45aで囲まれ、内部を空気が流れるようになっている。吸気ダクト45は、複数の熱風乾燥ユニット33で共有するように構成される。吸気ダクト45の一端は、ファン39を介在させてヒータ筐体41の流入部41aに連通接続され、他端は、例えばインクジェット印刷部2の外部に接続される。
【0041】
図4(a)は、熱風乾燥ユニット33における連続紙の幅方向202の構成を示す図である。ヒータ37は、連続紙WPの幅方向202に長い形状のものが複数個設けられる。ヒータ37は、連続紙WPの幅方向202の長さ47とほぼ同じ長さ、例えば連続紙WPの幅方向202の長さ47を包含する長さ49で構成される。これにより、連続紙WPの幅方向202に均一な熱量の風を送ることができる。ヒータ37は、図3中の3個のヒータ37がそれぞれ単体で構成されることが好ましいが、連続紙WPの幅方向202で複数個のヒータ37で構成されてもよい。また、連続紙WPの幅方向202に複数の熱風乾燥ユニット33で連続紙WPの幅方向202の長さ47を包含する長さ49のものを構成してもよい。
【0042】
ファン39は、連続紙WPの幅方向202に沿って複数個設けられることが好ましい。これにより、連続紙WPの幅方向202に均一な風量の風を送ることができる。なお、必要に応じて1個のファン39で構成されてもよい。ヒータ筐体41は、ヒータ37を囲っており、連続紙WPの幅方向202に長い流入口41a(図4(b))と、連続紙WPの幅方向202に長いスリット状の開口を有する吹き付け口41b(図4(c))とを備えている。なお、流入口41aは、ファン39から送られる風の流入部分のみ開口した構成であってもよい。
【0043】
また、熱風乾燥ユニット33は、連続紙WPの搬送経路35に沿って複数設けられている。熱風乾燥ユニット33の個数は、図2に示すように6個に限定されず、連続紙WPのインク滴の乾き易さに応じて設定される。
【0044】
次に、インクジェット印刷装置1の乾燥部19の動作について説明する。図1を参照する。駆動ローラ7,9,15およびヒートドラム31(図2)により連続紙WPが搬送される。連続紙WPは、印刷ユニット17を通過した際に、インクジェットヘッド23によりインク滴が吐出されて印刷される。この状態では、インク滴が連続紙WPに定着しておらず、インク滴が付着した連続紙WPは、乾燥部19に搬送される。
【0045】
図2に示す乾燥部19において、連続紙WPは、その裏面がヒートドラム31に接して、ヒートドラム31の外縁31aに巻き付けられた状態で搬送される。このとき、ヒートドラム31は、予め設定された温度に加熱されているので、連続紙WPは、裏面側からヒートドラム31により加熱される。これにより、連続紙WPに付着したインク滴の乾燥が行われる。また、これと同時に、連続紙WPが搬送される搬送経路35に対向して設けられた熱風乾燥ユニット33による連続紙WPに付着したインク滴の乾燥が行われる。
【0046】
ヒータ37は、予め設定された温度に加熱される。ヒータ37は、ヒータ筐体41で囲まれている。そのため、ヒータ37で加熱された空気が蓄積されるので、効率よく空気を加熱させることができる。ヒータ37を囲うヒータ筐体41の流入口41aには、ファン39によって風が送られる。そのため、ヒータ37で加熱および蓄積された空気が、ヒータ筐体41の吹き付け口41bから搬送経路35に向けて吹き付けられる。これにより、搬送経路35を通過する連続紙WPの表面に付着したインク滴を乾燥させることができる。
【0047】
また、ヒータ筐体41は、吹き付け口41bに向かうにつれて、搬送経路35に沿った方向に隔壁41c間の距離が狭くなるように構成されている。そのため、ヒータ37で加熱されて蓄積された空気(熱風)は、ヒータ筐体41の吹き付け口41bにより絞られる。絞られた熱風は、連続紙WPの幅方向202が長手となる範囲に吹き付けられる。
【0048】
熱風は、吹き付け口41bで絞られることにより、熱風の風速を上げることができる。また、熱風は、吹き付け口41bで絞られることにより、熱風を連続紙WPの幅方向202が長手になる範囲に絞られるので、所望の位置に効率よく熱風を供給することができ、また、風量分布および熱量を均一にすることができる。また、連続紙WPの幅方向202に沿って複数のファン39を設ければ、風量を大きくすると共にさらに熱風の風量分布が均一になる。連続紙WPの幅方向202の長さ47とほぼ同じ長さのヒータ37を設ければ、さらに熱風の熱量が均一になる。
【0049】
また、ヒータ37は、連続紙WPが搬送される搬送経路35に対向して設けられている。従来のインクジェット印刷部102の外部に個別に設けられていたヒータ137よりも搬送経路35までの距離が比較的に短くなるので、熱損失を抑えられる。また、ファン39は、ヒータ筐体41の流入口41aに設けられている。図3では、例えばファン39は、ヒータ37を挟んで搬送経路35の反対側に設けられている。従来のインクジェット印刷部102の外部に設けられていた送風源139よりも搬送経路35までの距離が比較的に短くなるので、圧力損失が抑えられる。
【0050】
熱風乾燥ユニット33は、ヒータ37で加熱した熱風を搬送経路35に沿った方向に絞って吹き付けている。熱風による乾燥は、熱風の風速、風量および熱量に依存し、特に風速が速いと効果的である。また、連続紙WPに吹き付けられて反射した湿気を含んだ熱風は、排気ダクト43により回収されて排気される。
【0051】
このように、ヒートドラム31および複数の熱風乾燥ユニット33により、連続紙WPの裏面側および表面側の両方から乾燥が行われるので、連続紙WPに付着したインク滴を効率よく乾燥させることができる。乾燥部19を通過した連続紙WPは、検査部21を通過し、排紙部4に搬送される。
【0052】
本実施例に係るインクジェット印刷装置1の乾燥部19によれば、ヒータ37はヒータ筐体41で囲まれているので、加熱した空気を蓄積することができ、効率よく加熱することができる。ファン39は、ヒータ筐体41に囲まれたヒータ37に向けて送風する。ヒータ筐体41は、流入口41aと、ヒータ筐体41の外側にある搬送経路35に向けてヒータ37で加熱した熱風を搬送経路35に沿った方向に絞って吹き付ける吹き付け口41bとを有している。熱風は、吹き付け口41bで絞られることにより、熱風の風速を上げることができる。これにより、ファン39からの風速が遅い場合でも、所望の風速を得ることができる。また、熱風は、吹き付け口41bで絞られることにより、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することができる。また、ヒータ37は、連続紙WPが搬送される搬送経路35に対向して設けられている。そのため、従来の外部に設けられていたヒータ137よりも搬送経路35までの距離が比較的に短くなるので、熱損失を抑えることができる。これにより、加熱力が小さなヒータ37の場合でも効率よく加熱することができる。
【0053】
また、乾燥部19は、ヒータ筐体41の外側に設けられ、吹き付け口41bから搬送経路35に吹き付けられた熱風を排気する排気ダクト43を備えている。これにより、搬送経路35に吹き付けられ、インク滴の湿気を含んだ熱風を排気することができ、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
【0054】
また、ファン39は、ヒータ筐体41の流入口41aに設けられている。これにより、従来のインクジェット印刷部102外部に設けられていた送風源139よりも搬送経路35までの距離が比較的に短くなるので、圧力損失を抑えることができる。また、ヒータ筐体41の流入口41aにファン39が設けられるので、ヒータ筐体41とファン39とでヒータ37が囲まれる。これにより、加熱した空気がよく蓄積され、効率よく加熱することができる。
【0055】
また、乾燥部19は、連続紙WPが搬送される搬送経路35を挟んで吹き付け口41bの反対側に設けられ、連続紙WPの裏面側から加熱して連続紙WPに付着したインク滴を乾燥させるヒートドラム31を備え、吹き付け口41bは、連続紙WPの表面に向けて熱風を吹き付ける。インク滴が付着した連続紙WPの表面に向けて吹き付け口41bにより熱風を吹き付けて乾燥させる。これと共に、搬送経路35を挟んで吹き付け口41bの反対側に設けられたヒートドラム31により連続紙WPの裏面側を加熱して乾燥させる。これにより、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
【0056】
また、排気ダクト43は、搬送経路35に沿ったヒータ筐体41の上流側に設けられ、ヒータ筐体41は、搬送経路35の下流側から上流側に向けて斜めに熱風を吹き付けるように吹き付け口41bが設けられている。これにより、搬送経路35に搬送される連続紙WPと、吹き付け口41bから吹き付けられる熱風との相対速度を上げることができ、効率よくインク滴を乾燥させることができる。
【0057】
また、乾燥部19は、ヒータ37、ファン39およびヒータ筐体41を有する熱風乾燥ユニット33を搬送経路35に沿って複数個備えている。すなわち、熱風乾燥ユニット33は、連続紙WPの搬送経路35に沿って複数設けられている。乾燥能力を上げる一例として、1個の熱風乾燥ユニット33におけるヒータ37およびファン39を高出力のものにすることが考えられる。しかしながら、搬送経路35に沿って複数の熱風乾燥ユニット33を設けることにより、搬送経路35に、より近くでかつ多数のヒータ37およびファン39を配置することができ、熱損失および圧力損失を小さくすることができる。
【0058】
また、熱風の熱損失および圧力損失が抑えられ、熱風の風量分布および熱量を均一に供給することができるので、乾燥部19は、簡単でかつ安価な構成により大きな乾燥効果を得ることができる。
【実施例2】
【0059】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図5は、実施例2に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図であり、図6は、実施例2に係る熱風乾燥ユニットと乾燥制御部との関係を示すブロック図である。図7(a)および(b)は、実施例2に係る制御の説明に供する図である。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0060】
本実施例は、実施例1の構成に加えて、次のように構成される。すなわち、乾燥部19は、熱風の温度を測定する温度センサ51と、乾燥部19を制御する乾燥制御部53とを備えている。
【0061】
温度センサ51は、図5に示すように、ヒータ筐体41の吹き付け口41bに設けられている。すなわち、温度センサ51は、吹き付け口41b付近であれば、ヒータ筐体41の内側であっても外側であってもよいし、隔壁41cに接して設けられても隔壁41cから離して設けられてもよい。温度センサ51は、例えば熱電対で構成されるが、サーミスタ等で構成されていてもよい。
【0062】
乾燥制御部53は、乾燥部19において、ヒートドラム31および複数の熱風乾燥ユニット33を制御する。乾燥制御部53は、熱風乾燥ユニット33において、ヒータ37およびファン39を制御する。そして、乾燥制御部53は、温度センサ51で測定された温度に基づいてファン39からの風量を制御する。また、乾燥制御部53は、温度センサ51で測定された温度が低いほどファン39からの風量を小さくするように制御する。なお、図6に示すように、温度センサ51は、熱風乾燥ユニット33ごとに設けられ、乾燥制御部53は、熱風乾燥ユニット33ごとのファン39を制御する。
【0063】
図7(a)および図7(b)を参照する。図7(a)および図7(b)において、縦軸は、温度センサ51で測定された温度(℃)、およびファン39から送られる風の風量、すなわち回転数(rpm)を示す。横軸は時間(t)を示す。また、実線は、温度変化を示し、破線は、ファン39の回転数の変化を示す。
【0064】
図7(a)に示すように、熱風乾燥ユニット33の立ち上げ時(t=0)など、ヒータ37を加熱し始めて温度が低いときは、ファン39を低回転で回転させる。ヒータ37の温度が上がるにつれてファン39を高回転にし、予め設定された温度(例えば100℃、符号55)まで達すると回転を一定にする。一方、図7(b)に示すように、熱風乾燥ユニット33の立ち上げ時(t=0)からファン39の回転数を一定の状態にしてヒータ37を加熱し始めるとする。この場合、一定時間、温度が上がらない状態のままが続き、その後、温度が上昇して予め設定された温度55に達する。すなわち、図7(a)に示すように、乾燥制御部53は、温度センサ51で測定された温度が低いほどファン39から送られる風の風量を小さくするように制御する。これにより、熱風乾燥ユニット33の立ち上がりを早くすることができる。
【0065】
なお、上述の説明では、1個の熱風乾燥ユニット33において、温度センサ51は、連続紙WPの幅方向202に沿って1個で構成される。しかしながら、温度センサ51が連続紙WPの幅方向202に沿って複数で構成されてもよい。この場合、乾燥制御部53は、測定された温度の平均値や最大値、最小値などの代表値に基づいて、ファン39からの風量を制御してもよい。また、1個の熱風乾燥ユニット33において、温度センサ51は、複数のファン39に対して個別に設けられてもよい。
【0066】
本実施例のインクジェット印刷装置1の乾燥部19によれば、吹き付け口41bに設けられた温度センサ51と、温度センサ51で測定された温度に基づいてファン39からの風量を制御する乾燥制御部53と、を備え、乾燥制御部53は、温度センサ51で測定された温度が低いほどファン39からの風量を小さくする。これにより、吹き付け口41bから吹き付けられる熱風を予め設定された温度55まで早く立ち上げることができる。
【実施例3】
【0067】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。図8は、実施例3に係る乾燥部の熱風乾燥ユニットの構成を示す図である。なお、実施例1および2と重複する説明は省略する。
【0068】
本実施例は、実施例1および2のいずれかの構成に加えて、次のように構成される。すなわち、熱風乾燥ユニット33は、図8に示すように、排気ダクト43と吸気ダクト45との間に設けられ、排気ダクト43で回収された熱風を吸気ダクト45に供給する熱風循環ダクト61を備えている。
【0069】
吸気ダクト45には、インクジェット印刷部2外部からの外気(新鮮な空気)と、熱風循環ダクト61から排気ダクト43で回収された熱風とが供給される。排気ダクト43で回収された熱風は、例えばその50%を排気して残り50%を循環させるようにする。この場合、排気ダクト43および熱風循環ダクト61の少なくともいずれかの構成には、ファンなどの送風源が設けられ、各ダクトの形状が調整される。
【0070】
本実施例のインクジェット印刷装置1の乾燥部19によれば、ファン39に空気を供給する吸気ダクト45と、排気ダクト43と吸気ダクト45との間に設けられ、排気ダクト43で回収された熱風を吸気ダクト45に供給する熱風循環ダクト61と、を備えている。熱風循環ダクト61によって、搬送経路35に吹き付けられて、排気ダクト43で排気された熱風を、ファン39に空気を供給する吸気ダクト45に供給する。これにより、ヒータ37は、外気(新鮮な空気)を加熱するよりも、一度加熱された空気(熱風)を加熱するので、効率よく加熱することができる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0072】
(1)上述した各実施例では、例えば図3において、ファン39は、ヒータ筐体41の流入口41aに設けられていた。しかしながら、図9に示すように、ヒータ筐体41の流入口41aとファン39との間に送風ダクト71を設けて離れた場所から送風するようにしてもよい。この場合、送風ダクト71は、ヒータ筐体41の流入口41aの連続紙WPの幅方向202に均一に送風するように構成される。ファン39は、インクジェット印刷部2の内部に配置されるが、必要に応じてインクジェット印刷部2外部に配置するようにしてもよい。これにより、ヒータ筐体41の流入口41aとファン39との間、すなわち送風ダクト71の長さにより圧力損失は大きくなるが、熱損失を抑えられ、風量分布や熱量を均一にすることができる。
【0073】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、例えば図3において、まず、排気ダクト43は、搬送経路35に沿ったヒータ筐体41の上流側に設けられている。そして、ヒータ筐体41は、搬送経路35の下流側から上流側に向けて斜めに熱風を吹き付けるように吹き付け口41bが設けられている。しかしながら、図10に示すように構成してもよい。まず、排気ダクト43は、ヒータ筐体41を挟んで搬送経路35の上流側および下流側の両側に設けられている。そして、ヒータ筐体41は、搬送経路35に垂直に熱風を吹き付けるように吹き付け口41bが設けられている。これにより、搬送経路35に搬送される連続紙WPに熱風を正面から確実に吹き付けることができる。
【0074】
(3)上述した各実施例および変形例(1)では、例えば図3において、まず、排気ダクト43は、搬送経路35に沿ったヒータ筐体41の上流側に設けられている。そして、ヒータ筐体41は、搬送経路35の下流側から上流側に向けて斜めに熱風を吹き付けるように吹き付け口41bが設けられている。しかしながら、排気ダクト43とヒータ筐体41(ヒータ37およびファン39等を含む)の位置を必要に応じて逆にしてもよい。
【0075】
(4)上述した各実施例および各変形例では、熱風乾燥ユニット33は、搬送経路35に沿って複数個設けられている。搬送経路35を挟んで複数の熱風乾燥ユニット33の反対側に連続紙WPの裏面側から加熱して連続紙WPに付着したインク滴を乾燥させるヒートドラム31が設けられている。しかしながら、ヒートドラム31に代えて、図11に示すような、平板状ヒータ73を裏面乾燥ユニットとして設けてもよい。この場合、熱風乾燥ユニット33は、直線の搬送経路35に沿って複数個設けられる。
【0076】
(5)上述した各実施例および各変形例では、インクジェット印刷装置1は、インクジェット印刷部2に連続紙WPを供給していた。しかしながら、分離した紙を供給してもよい。また、紙に限定されず、プラスチックフィルムであってもよい。
【0077】
(6)上述した実施例3では、図8に示すように、熱風循環ダクト61は、排気ダクト43と吸気ダクト45との間に設けられ、排気ダクト43で回収された熱風を吸気ダクト45に供給していた。しかしながら、熱風乾燥ユニット81は、図12に示すように構成してもよい。すなわち、熱風乾燥ユニット81は、排気ダクト43と、送風ダクト71と、ファン39に空気を供給する吸気ダクト83とを備えている。排気ダクト43は、インクジェット印刷部2外部側の開口部43aに、回収した熱風を排気させるための排気ファン85が設けられている。
【0078】
吸気ダクト83は、隔壁83aで囲まれている。吸気ダクト83には、吹き付け口41bから搬送経路35に吹き付けられた熱風を排気する排気口87が設けられている。排気口87で回収した熱風は、吸気ダクト83内を通ってファン39に供給するようになっている。なお、排気口87は、熱風を吸気する吸気口ともいう。また、吸気ダクト83には、吸気ダクト83の外部、すなわちインクジェット印刷部2外部の外気(新鮮な空気)を吸気する吸気口83bが設けられている。また、吸気ダクト83には、排気口87よりも吸気口83b側の位置に外気を吸気させるための吸気ファン89が設けられている。排気ファン85および吸気ファン89は、2重反転ファンを含むファンやブロア等で構成されている。
【0079】
吸気ファン89は、ファン39よりも風量を小さくするように設定されている。これにより、ファン39と吸気ファン89との間に風量差を生じさせ、この風量差により、排気口87から熱風を回収するための吸引力を生じさせることができる。
【0080】
例えば、ファン39からの風量rの割合を“2”とし、吸気ファン89からの風量sの割合を“1”とする。これにより、ファン39と吸気ファン89との間に風量差が生じる。この風量差により、排気口87に吸引力が生じる。排気口87に回収される熱風の風量tの割合が“1”となることで、外気と、回収された熱風との割合を1:1(50%:50%)とすることができる。なお、ファン39からの風量の割合が“2”であるので、筐体41の吹き付け口41から風量uの割合が“2”の熱風が吹き付けられる。排気ファン85は、排気ダクト43を通じて、排気口87の残りの熱風(風量vの割合“1”)を回収して排気するようになっている。
【0081】
ファン39、排気ファン85および吸気ファン89は、乾燥制御部53で制御される。乾燥制御部53は、ファン39と吸気ファン89との間の風量差を変化させるようになっている。すなわち、乾燥制御部53は、ファン39からの風量および吸気ファン89からの風量をそれぞれの回転数を調整することで風量差を制御している。これにより、循環させる熱風の割合を変化させることができる。
【0082】
なお、排気口87が本発明の排気部および熱風循環部に相当する。排気口87は、熱風循環ダクトを介在させて吸気ダクト83に設けられてもよい。また、上述した各変形例に適応可能であり、例えば、変形例(2)の図10において、排気ダクト43は、ヒータ筐体41を挟んで搬送経路35の上流側および下流側の両側に設けられている。両側に設けられた2つの排気ダクト43のいずれかを排気口87としてもよい。また、図12において、送風ダクト71を設けずに、ファン39をヒータ筐体37の流入口41bに設けてもよい。また、図12において、図示の便宜上、吹き付け口41bと排気口87が紙面縦方向に吹き付け、または排気を行っている。しかしながら、吹き付け口41bは、例えば搬送経路35に斜めに熱風を吹き付け、排気口87は、例えば熱風を回収しやすい方向に開口するように構成される。また、ファン39、排気ファン85および吸気ファン89は、少なくとも1個以上で構成される。また、図12中の符号91は、ヒートドラム31の回転方向を示す。
【符号の説明】
【0083】
1 … インクジェット印刷装置
17 … 印刷ユニット
19 … 乾燥部
23 … インクジェットヘッド
31 … ヒートドラム
33,81… 熱風乾燥ユニット
35 … 搬送経路
37 … ヒータ
39 … ファン
41 … ヒータ筐体
41a… 流入口
41b… 吹き付け口
41c… 隔壁
43 … 排気ダクト
45,83 … 吸気ダクト
51 … 温度センサ
53 … 乾燥制御部
61 … 熱風循環ダクト
71 … 送風ダクト
73 … 平板状ヒータ
83b… 吸気口
87 … 排気口
89 … 吸気ファン
201… 搬送方向
202… 連続紙の幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13