特許第5894152号(P5894152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5894152バッテリハウジングから水分輸送をするために水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体を備えるバッテリ
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  • 特許5894152-バッテリハウジングから水分輸送をするために水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体を備えるバッテリ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5894152
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】バッテリハウジングから水分輸送をするために水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体を備えるバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
   H01M2/10 S
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-515784(P2013-515784)
(86)(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公表番号】特表2013-529831(P2013-529831A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2011057522
(87)【国際公開番号】WO2011160888
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】102010030367.4
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung SDI Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グレス、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン、ウルリヒ
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−121618(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119037(WO,A1)
【文献】 特開2000−149888(JP,A)
【文献】 特開2008−103239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/12
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリセルと、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置とが中に配置されたハウジングを備えるバッテリにおいて、前記バッテリ(1)は水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体(7)を有しており、該成形体はハウジング内部空間(3)にもハウジング(2)の外部空間にも延びて水分を案内するようにこれらを相互に結合するように取り付けられており、ハウジング内部空間(3)にある前記成形体(7)の部分は、空気乾燥をする装置(5)から前記成形体(7)へと集められた水を移転可能であるように、ハウジング内部空間(3)にある空気を乾燥させる装置(5)と結合されており、
前記成形体(7)は、前記ハウジング(2)の外部に位置している前記成形体(7)の部分が液体の水との直接的な接触から防護され、それに対して前記成形体(7)と周囲空気との間での水蒸気の交換は確保されるように取り付けられており、
前記ハウジング(2)の外部に位置している前記成形体(7)の部分は微孔質の隔膜(10)を介して、周囲空気と接触しており、
前記隔膜(10)は、ポリテトラフルオロエチレンを含んでおり、もしくはこれでできていることを特徴とするバッテリ。
【請求項2】
前記成形体(7)は吸収された水(6)を前記成形体(7)の容積全体にわたって分配可能であるように構成されている、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項3】
水分を吸収する多孔性の素材は水(6)の毛管上昇を示す、請求項1または2に記載のバッテリ。
【請求項4】
水分を吸収する多孔性の素材からなる前記成形体(7)は、ハウジング内部に位置している前記成形体(7)の端部からハウジング(2)の外部に位置している前記成形体(7)の端部への毛管上昇による水輸送を可能にする平均半径をもつ毛管を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリ。
【請求項5】
水分を吸収する多孔性の素材は繊維、木材、白墨、紙、ポリマー、ガラス、および/またはスポンジを含んでおり、もしくはこれらでできている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッテリ。
【請求項6】
ハウジング内部にある空気を乾燥させる前記装置(5)は凝縮乾燥をする装置(5)を含んでおり、もしくはこれでできている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバッテリ。
【請求項7】
前記凝縮乾燥をする装置(5)は、冷却トラップを含んでおり、もしくはこれでできている、請求項6記載のバッテリ。
【請求項8】
前記成形体(7)は前記ハウジング(2)の外部に位置する側に前記成形体(7)から水分を抜き取る装置(8)を有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ。
【請求項9】
前記水分を抜き取る装置(8)は、加熱装置(8)を含んでおり、もしくはこれでできている、請求項8記載のバッテリ。
【請求項10】
前記バッテリ(1)は、前記成形体(7)から水分を抜き取る前記装置(8)が前記バッテリ(1)の始動によって、または充電プロセス中に作動可能であるように構成されている、請求項8に記載のバッテリ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のバッテリを含んでいる自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリハウジングから水分輸送をするために水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体を備えるバッテリ、特にリチウムイオンバッテリに関し、ならびにそのようなバッテリを備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
温度変化およびこれに伴う体積変化に暴露される空気量が封入されたハウジングを備えている機器では、通常、圧力補償部材が設けられている。このような圧力補償部材は、たとえば微孔質の隔膜として構成されていてよい。このような隔膜は通常、空気透過性である。
【0003】
このような微孔質の隔膜の問題は、多くの場合、それが液体の水に対しては不透過性であるが、水蒸気に対してはそうでないことにある。すなわち湿度が高い大気中では、湿った空気がこのような微孔質の隔膜を通ってハウジング内部に到達することがある。ハウジングの内部では、空気中の水分が凝縮して液体の水になるという事態が生じる可能性がある。そしてこのような凝縮物は、機器が悪影響をうけたり、場合によっては故障するとい
う結果につながる可能性がある。
【0004】
このような凝縮物をハウジング内部の相応の装置によって捕集し、ハウジングの中の適当なクリティカルでない個所に集めることがすでに試みられている。しかしこのような解決法では、集められた水がハウジング内部に残り、その結果、時間の経過とともに非常に多量の凝縮物が蓄積される可能性がある。機器が温度上昇に暴露されると、集められた凝縮物が場合により部分的に再び気化し、ハウジング内部の湿度が上昇する。そして再び温度が下がると、水がハウジングの中のクリティカルな個所で凝縮し、損害をもたらすという危険があらためて生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102007011026A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1より、微孔質の隔壁が圧力補償部材として設けられるのではなく、開口部およびこれと接続された換気ホースを通じて圧力補償が行われるバッテリが公知である。このバッテリでは、ハウジングの内部に水を集めるための冷却トラップがある。そして集められた凝縮物は、開口部と換気ホースを介して、ハウジング内部から周囲へと放出される。このようなバッテリ構造の問題は、凝縮した水を冷却トラップから周囲へ運び出せるようにするために、開口部と換気ホースが液体透過性に構成されていなければならないことにある。そのために、このような開口部と換気ホースを通ってバッテリの内部に水が入ることもあり、それは特に、バッテリおよびこれに伴って冷却トラップが能動的に作動していない場合である。したがって、このようなバッテリ構造は水をバッテリの内部から運び出す手段を有してはいるものの、周囲から水が吸収されるいっそう高い危険もこれに伴って生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、少なくとも1つのバッテリセルと、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置とが中に配置されたハウジングを備えるバッテリが提供され、バッテリは水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体を有しており、該成形体はハウジング内部空間にもハウジングの外部空間にも延びて水分を案内するようにこれらを相互に結合するように取り付けられており、ハウジング内部空間にある成形体の部分は、空気乾燥をする装置から成形体へと集められた水を移転可能であるように、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置と結合されていることを特徴としている。
【0008】
本発明は、水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体が、ハウジングの内部空間と外部空間をつなぐように、バッテリハウジングに組み込まれて存在することに依拠するものである。この成形体はバッテリハウジングの内部から水分を吸収し、これを毛管力によってその容積全体に分配することができる。そしてハウジングの外部に位置している成形体の部分は、この水分を再び周囲空気へ放出することができる。本発明によるバッテリは、水分をハウジング内部から効果的に取り除くことができ、それと同時に、微孔質の隔壁を通じての圧力補償が可能なままに保たれるという利点を有している。
【0009】
本発明によるバッテリは、適当に相互に配線されていてよい1つまたは複数のバッテリセルを含んでいる。「バッテリ」という用語は、ここでは電気化学式のエネルギー蓄積器を意味しており、特に、一般に用いられるあらゆる蓄電池テクノロジーのエネルギー蓄積器を意味している。Pb−鉛蓄電池、NiCd−ニッケルカドミウム蓄電池、NiH2−ニッケル水素蓄電池、NiMH−ニッケル金属ハイブリッド蓄電池、Li−Ion−リチウムイオン蓄電池、LiPo−リチウムポリマー蓄電池、LiFe−リチウム金属蓄電池、Li−Mn−リチウムマンガン蓄電池、LiFePO−リチウム鉄リン酸塩蓄電池、LiTi−リチウムチタン酸塩蓄電池、RAM−再充電可能なアルカリ二酸化マンガン電池、Ni−Fe−ニッケル鉄蓄電池、Na/NiCl−ナトリウム塩化ニッケル高温バッテリ、SCiB−Super Charge Ion Battery、銀亜鉛蓄電池、シリコン蓄電池、バナジウム酸化還元蓄電池、および/または亜鉛臭素蓄電池などの型式のバッテリまたは蓄電池を適用することができる。特に、リチウムイオンバッテリ、鉛/酸バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル金属ハイブリッドバッテリ、および/またはナトリウム/ナトリウム塩化ニッケルバッテリの型式のバッテリ適用することができる。リチウムイオンバッテリの型式のバッテリを使用するのが特別に好ましい。
【0010】
このとき本発明によるバッテリは、個々のセルだけでなく、複数のセルからなるモジュールも有することができ、また、複雑なアーキテクチャを含む複数のセルおよび/またはモジュールを有することもできる。
【0011】
Liイオン(リチウムイオン)またはLiPo(リチウムポリマーまたはリチウムイオンポリマーと呼ばれる)の型式のセル、モジュール、システム、または蓄電池が好ましい。次の用語は、このようなリチウムイオンセルで適用される活性材料の例を反映したものである:LiMn(LMO)、リチウムマンガンスピネルと呼ばれる;LiFePO(LFP)−リチウム鉄リン酸塩、LiTi12(LiTiO)−リチウムチタン酸塩。
【0012】
本発明によるバッテリは、少なくとも1つのバッテリセルと、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置とが中に配置されたハウジングを有している。このときバッテリは、1つまたは複数のバッテリセルをそれぞれ含む、ただ1つのハウジングまたは複数のハウジングを有することができる。バッテリは、バッテリのすべてのセル、システム、またはモジュールが中に配置された、1つの共通のハウジングを有しているのが好ましい。ここで「ハウジング」という用語は、1つまたは複数のバッテリセルを収容するのに適した内部空間を有する装置を意味している。ハウジングは、中に含まれるバッテリセルを周囲に対して全方向に向けて完全に区切っているのが好ましく、それにより、ハウジング内部には実質的に密閉された空間が生じる。ハウジングは、閉止可能なアクセス部、たとえば蓋で閉止可能な開口部を有することができる。本発明の目的にとってハウジングを、個々のセルの電気化学成分を環境から直接分離する直接的なセル外套と解することはできない。好ましくは、ハウジングは金属、金属板、またはセラミックを含む材料もしくはこれらからなる材料で製作されていてよく、もしくはそのような材料を有していてよい。特別に好ましくは、ハウジングはアルミニウムを有する材料もしくはこれからなる材料で製作されていてよい。
【0013】
本発明によるバッテリでは、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置がハウジングの中に配置されている。この乾燥装置は、ハウジング内部にある空気から水分を除去し、ハウジング内部の1つの場所に集める役目を果たす。それにより、ハウジング内部にある空気から水分がバッテリのクリティカルなコンポーネントや構成要素に凝縮し、そこで場合により機能低下や損傷を生じさせることがないことが確保される。好適な乾燥装置は従来技術に記載されており、当業者には周知である。ハウジング内部にある空気を、凝縮乾燥によって乾燥させる装置を適用するのが好ましい。凝縮乾燥をする好適な装置は、たとえば冷却トラップである。このような冷却トラップは、たとえば特許文献1に開示されている。
【0014】
本発明によるバッテリは、水分を吸収する多孔性の素材からなる成形体をバッテリが有しており、該成形体はハウジング内部空間にもハウジングの外部空間にも延びており、それによって水分を案内するようにバッテリ内部空間をバッテリの外部空間と結合するように取り付けられていることを特徴とする。このとき、ハウジング内部空間にある成形体の部分は、集められた水を空気乾燥をする装置から成形体へと移転可能であり、成形体を介してハウジング内部からバッテリの外部空間へ転送可能であるように、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置と結合されている。このとき成形体は、成形体により吸収された水が実質的に成形体の容積全体にわたって分配されるように構成されているのが好ましい。このような実質的に成形体の容積全体にわたる分配は、たとえば、成形体が一方の端部で吸収した水を毛管力により成形体にわたって分配することによって実現することができる。そのために成形体は、水の毛管上昇を示す、水分を吸収する多孔性の素材を有しており、もしくはそのような素材でできているのが好ましい。本発明の目的にとって成形体とは、幅と高さに加えて、本発明によるバッテリのハウジングの内部空間及び外部空間に接するだけではなく、当該内部空間及び外部空間に延びる長さ(または奥行き)を有している物体を意味する。このとき隔膜を、本発明の意味における成形体と解することはできない。
【0015】
ハウジング内部に位置する成形体の端部からハウジングの外部領域に位置する端部へと、成形体の長さ全体にわたって実質的に毛管現象による水輸送を可能にするために、成形体は、毛管を有する、水分を吸収する多孔性の素材を含んでおり、もしくはそのような素材でできており、毛管は事前に規定された平均半径を有しているのが好ましい。特に、本発明によるバッテリは、水分を吸収する多孔性の素材を有し、もしくはそのような素材でできており、その毛管がハウジング内部に位置している成形体の端部からハウジングの外部に位置している成形体の端部へと毛管上昇による水輸送を可能にする平均半径を有する成形体を有することができる。
【0016】
成形体は、水分を吸収する多孔性の素材でできている。水分を吸収する適当な多孔性の素材は、繊維、木材、白墨、紙、ポリマーまたはポリマー混合体、ガラス、および/またはスポンジを含む、もしくはこれらからなる材料または材料複合体(複合素材)を含んでいる。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、本発明によるバッテリは、ハウジングの外部に位置している成形体の端部に、ハウジング内部から外部空間へ成形体を介しての水分輸送を促進するのに適した手段を有している。たとえば成形体はハウジングの外部に位置する側に、成形体から水分を抜き取るのに適した装置を有することができる。この装置がハウジングの外部に位置している成形体の端部にのみ取り付けられていることにより、当該端部に含まれる水分が成形体から優先的に除去される。それによって成形体の容積全体にわたる吸引作用が生じ、この吸引作用は、ハウジング内部に位置している成形体の端部から、ハウジングの外部に位置している成形体の端部へと水分が指向的に輸送されるという帰結をもたらす。1つの好ましい実施形態では、水分を抜き取る装置は、ハウジングの外部に位置している成形体の部分から温度変化によって水分を抜き取るのに適した加熱部材として構成されていてよい。
【0018】
成形体から水分を抜き取る装置は、バッテリの始動によって、または充填プロセス中に、作動可能であるように構成されていてよい。このことが特別に好ましい理由は、本発明によるバッテリの充電状態に直接負担をかけることなく、当該装置の作動を行わせることがそれによって可能となるからである。
【0019】
成形体は、実質的に、本発明によるバッテリのハウジング内部から水分を、特に水または凝縮物を受動的に輸送し、これを外界へ放出する装置である。基本的に、この輸送は水分勾配の方向で行われ、したがって、相応の条件のもとではハウジング内部に向かって反対方向に行うこともできる。このことは、通常の条件のもとではきわめて起こりにくいと思われる。成形体はそのハウジング内部に位置する端部で、ハウジング内部にある空気を乾燥させる装置の集められた水と接触しているので、当該端部における水濃度は、ハウジングの外部に位置している成形体の端部における水濃度よりも常に高いのが普通だからである。しかしながら、ハウジングの外部に位置している成形体の端部が液体の水と接触し、そのために濃度勾配の逆転が引き起こされる危険があるという状況も考えられる。こうした危険に対処するために、本発明によるバッテリはハウジングの外面に、ハウジングの外部に位置している成形体の部分が液体の水と直接的に接触しないように防護され、それに対して成形体と周囲空気との間での水蒸気の交換は確保されるという帰結につながる手段を有することができる。液体の水との直接的な接触に対するこのような防護は、たとえば機械的なカバーによって行うことができる。ハウジングの外部に位置している成形体の部分は、たとえば微孔質の隔膜を介して周囲空気と接触していてよい。このような微孔質の隔膜は、液体の水に対しては実質的に不透過性であるが、水蒸気に対しては透過性であるという特徴をもつ。微孔質の好適な隔膜は、たとえばポリテトラフルオロエチレンを含むことができ、もしくはこれでできていてよい。
【0020】
本発明は、本発明によるバッテリを含む自動車も対象としている。ここで「自動車」という用語は、電気化学式のエネルギー蓄積器を有するあらゆる駆動式の車両を意味しており、当該自動車がどのような駆動装置を有しているかを問わない。特に「自動車」の用語は、電気ハイブリッド車両(HEV)、プラグインハイブリッド車両(PHEV)、電気車両(EV)、燃料電池車両、ならびに、ドライブトレーンへの電気エネルギー供給および/または少なくとも部分的な供給のために電気化学式のエネルギー蓄積器を利用する一切の車両を含んでいる。
【0021】
以下の図面およびこれに対応する記述により、本発明の実施例について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるバッテリの第1の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、本発明によるバッテリの実施形態の模式図が示されている。本発明によるバッテリ1はハウジング2を含んでおり、このハウジングは、ハウジング内部空間3の中で実質的に密閉された空気空間が生じるように、ハウジング内部空間3を取り囲んでいる。ハウジング内部空間3には、1つまたは複数のバッテリセル4が配置されており、および、ハウジング内部空間3にある空気を乾燥させる装置5が配置されている。このとき装置5は、特に冷却トラップとして構成されていてよい。さらにバッテリ1は、水分を吸収する多孔性の素材で形成された成形体7を有している。成形体7は、ハウジング内部空間3にもハウジング2の外部空間にも延びるように配置されている。このように成形体7は、ハウジング内部空間3の雰囲気とハウジング2の外部空間の雰囲気とを、これら両方の雰囲気の間で成形体7を介して液体輸送を可能にするような形式で結合する。成形体7は、集められた水6を装置5からハウジング内部空間3にある成形体7の部分へ移行させることが可能であるように、ハウジング2の中で位置決めされて装置5と結合されている。ハウジング内部空間3から成形体7を介してハウジング2の外部空間へ、集められた水6のできるだけ効率的な輸送を可能にするために、ハウジング2の外部に位置している成形体7の部分には、加熱部材8が設けられている。このとき加熱部材8は、成形体7から水分を抜き取る装置としての役目を果たす。ハウジング2の外部に位置している成形体7の部分と液体の水との直接的な接触を避けるために、本発明によるバッテリは機械的なカバー9を有しており、これに微孔質の隔膜10が挿入されている。このとき微孔質の隔膜10と機械的なカバー9は、これらが液体の水に対して不透過性となるように施工されている。さらに微孔質の隔膜10は、液体の水に対しては不透過性であるが、水蒸気に対しては透過性であるという特徴があり、それにより、ハウジング2の外部に位置している成形体7の部分から放出される水を、微孔質の隔膜10を通してバッテリ1の周囲へ運び出すことが可能である。
図1