(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の光電変換素子群と、前記第1の光電変換素子群よりも所定方向側に備えられた第2の光電変換素子群と、前記第2の光電変換素子群よりも前記所定方向側に備えられた第3の光電変換素子群と、前記第3の光電変換素子群よりも前記所定方向側に備えられた第4の光電変換素子群とを含み、対象からの反射光を受光する受光部と、
前記第1の光電変換素子群の出力と前記第2の光電変換素子群の出力との差異が所定値よりも大きいとき、前記第1の光電変換素子群と前記第2の光電変換素子群との間に備えられた第5の光電変換素子群の出力を用いて本発光の発光量を制御し、前記第3の光電変換素子群の出力と前記第4の光電変換素子群の出力との差異が前記所定値よりも小さいとき、前記第3の光電変換素子群と前記第4の光電変換素子群との間に備えられた第6の光電変換素子群の出力を用いて本発光の発光量を制御しない制御部とを含むことを特徴とする発光制御装置。
第1の光電変換素子群と、前記第1の光電変換素子群よりも所定方向側に備えられた第2の光電変換素子群と、前記第2の光電変換素子群よりも前記所定方向側に備えられた第3の光電変換素子群と、前記第3の光電変換素子群よりも前記所定方向側に備えられた第4の光電変換素子群とを含み、対象からの反射光を受光する受光部と、
前記第1の光電変換素子群の出力と前記第2の光電変換素子群の出力との差異が所定値よりも大きく、前記第3の光電変換素子群の出力と前記第4の光電変換素子群の出力との差異が前記所定値よりも小さいとき、前記第1の光電変換素子群の出力及び前記第2の光電変換素子群の出力を用い、前記第3の光電変換素子群及び前記第4の光電変換素子群の少なくとも一方の出力を用いないで本発光の発光量を制御する制御部とを含むことを特徴とする発光制御装置。
第1の光電変換素子群と、前記第1の光電変換素子群よりも所定方向側に備えられた第2の光電変換素子群と、前記第1の光電変換素子群と前記第2の光電変換素子群との間の領域とは異なる領域に備えられた第3の光電変換素子群とを含み、対象からの反射光を受光する受光部と、
前記第1の光電変換素子群の出力と前記第2の光電変換素子群の出力との差異が所定の閾値より小さい場合、前記第3の光電変換素子群の出力を用い、前記第1の光電変換素子群及び前記第2の光電変換素子群の少なくとも一方の出力を用いないで本発光の発光量を制御する制御部とを含むことを特徴とする発光制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、電子カメラ1の要部の構成例を示す側面図である。なお、この電子カメラ1は、本発明の
発光制御装置を搭載した撮像装置の一実施形態である。
【0018】
電子カメラ1は、例えば一眼レフレックスタイプの電子カメラであり、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とを備える。撮影レンズユニット50は、被写体光をカメラ本体100に導くために、カメラ本体100の前面に形成されたレンズマウント100aに着脱自在に取り付けられる。なお、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とは、撮影レンズユニット50の装着時にレンズマウント100aの接点を介して電気的に接続される。
【0019】
さらに、被写体に照射光を照射するための閃光装置150が、カメラ本体100の上面に形成されたホットシュー(接続用端子)150aに着脱自在に取り付けられる。なお、カメラ本体100と閃光装置150とは、閃光装置150の装着時にホットシュー(接続用端子)150aの接点を介して電気的に接続される。
【0020】
撮影レンズユニット50は、レンズ系51及び絞り52を備える。レンズ系51は、被写体に焦点を合わせるフォーカスレンズや被写体像をズームするためのズームレンズを含む複数枚のレンズにより構成される。ここでは、説明の便宜上1枚のレンズで図示する。絞り52は、入射光量を絞り羽根の開閉で調整する。
【0021】
カメラ本体100は、クイックリターンミラー101、拡散スクリーン102、コンデンサレンズ103、ペンタダハプリズム104、測光用プリズム105、測光用レンズ106、測光センサ107、接眼レンズ108、レリーズ釦109、機械式シャッタ110及び撮像素子10を備える。
【0022】
クイックリターンミラー101は、図中一点鎖線で示す光軸L上に回動自在に設けられる。被写体の撮影を行う場合には、クイックリターンミラー101は、回動により図中点線で示す位置に退避する。これにより、被写体からカメラ本体100に入射された被写体光は、撮像素子10に導かれる。
【0023】
一方、被写体の撮影を行わない場合、クイックリターンミラー101は、光軸Lに対して斜めの位置に配置される。この場合、クイックリターンミラー101は、レンズ系51を介してカメラ本体100に入射された被写体光を反射させて拡散スクリーン102に導く。
【0024】
拡散スクリーン102は、クイックリターンミラー101により導かれた被写体光を拡散し、拡散させた被写体光をコンデンサレンズ103を介してペンタダハプリズム104に導く。ペンタダハプリズム104は、被写体光を反射させて測光用プリズム105へ導くと共に接眼レンズ108へ導く。また、測光用プリズム105は、測光用レンズ106を介して被写体光を測光センサ107に導く。
【0025】
接眼レンズ108は、ペンタダハプリズム104により導かれた被写体光を被写体像として結像する。撮影者は、光学式ファインダ(不図示)を介して、接眼レンズ108により結像される被写体像を見ることで、被写体の構図等を判断できる。
【0026】
測光センサ107は、2次元に配列された画素の画像信号(出力信号)を選択的に読み出す撮像領域を有し、予備発光時の被写体からの反射光を撮像領域で測光する。具体的には、測光センサ107は、例えば、XYアドレス指定により任意のラインを読み出し可能なCMOS型の撮像素子を有する。この撮像素子の撮像領域には、被写体像をカラー検出するために、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3種類のカラーフィルタが、一例としてベイヤー配列で配置されている。
【0027】
図2は、測光センサ107における撮像領域の画素の配列例を示した図である。本実施形態では、撮像領域の画素の配列例として、撮像領域を360×240=86400の画素群に分割する。ここで、撮像領域の横(X方向)の座標は、iで表して0〜359までの値をとるものとし、撮像領域の縦(Y方向)の座標は、jで表して0〜239までの値をとるものとする。なお、本実施形態では、測光センサ107の撮像素子の撮像領域のサイズと、撮像素子10の撮像領域のサイズは同じとする。但し、撮像素子10の方が測光センサ107の撮像素子よりも高解像度とする。
【0028】
再び、
図1の説明に戻り、測光センサ107の撮像素子が出力する画像信号は、測光センサ107内部でゲイン調整やA/D変換等が施されて、後述するRAM(Random Access Memory)13又はCPU(Central Processing Unit)17内のメモリに一時的に記録される。
【0029】
なお、測光センサ107に用いられる撮像素子は、アドレス指定によりライン(例えば水平走査ライン)毎に電荷蓄積時間を制御するローリングシャッタ方式を採用する。これにより、ローリングシャッタ方式では、撮像素子が全ラインの電荷を蓄積して読み出す動作状態やライン単位に間引くことにより電荷を蓄積して読み出す動作状態(間引き読み出し)を選択することができる。
【0030】
レリーズ釦109は、半押し操作(撮影前におけるオートフォーカス(AF)等の動作開始の指示入力)と全押し操作(撮像動作開始)との指示入力とを受け付ける。機械式シャッタ110は、開閉式のシャッタ幕を備え、撮像素子10への入射光を遮光する遮光状態と、撮像素子10に入射光を到達させる非遮光状態とをシャッタ幕の開閉により切り替える。撮像素子10は、被写体像を撮像して画像を生成する。撮像素子10は、例えばCMOS型のカラーイメージセンサである。
【0031】
図3は、
図1に示す電子カメラ1及び閃光装置150の内部構成例を示す図である。電子カメラ1は、上述した通り、カメラ本体100と撮影レンズユニット50とを備える。
【0032】
なお、
図3では、説明の便宜上、
図1に示した拡散スクリーン102、コンデンサレンズ103、ペンタダハプリズム104、接眼レンズ108及び機械式シャッタ110の図示を省略する。
【0033】
カメラ本体100は、クイックリターンミラー101と、測光用プリズム105と、測光用レンズ106と、測光センサ107と、撮像素子10と、信号処理部11と、画像処理部12と、RAM13と、ROM(Read Only Memory)14と、記録インターフェース部(以下、「記録I/F部」という。)15と、操作部16と、レリーズ釦109と、CPU17と、データバス18と、レンズマウント100aと、ホットシュー150aとを備える。
【0034】
このうち、信号処理部11、画像処理部12、RAM13、ROM14、記録I/F部15及びCPU17は、データバス18を介して互いに接続されている。また、撮像素子10と、測光センサ107と、操作部16と、レリーズ釦109及びホットシュー150aは、CPU17と接続されている。
【0035】
信号処理部11は、撮像素子10が生成する画像信号に対して信号処理を施す回路である。この信号処理部11は、画像信号のゲイン調整やA/D変換などを行う。この信号処理部11が出力する画像信号は、画像データとしてRAM13に一時的に記録される。
【0036】
画像処理部12は、RAM13に記録されている画像データを読み出し、各種の画像処理(階調変換処理、ホワイトバランス処理等)を施す。RAM13は、揮発性のメモリである。ROM14は、電子カメラ1の制御を行うプログラム等を予め記憶している不揮発性のメモリである。
【0037】
記録I/F部15には、着脱自在の記録媒体30を接続するためのコネクタ(不図示)が形成されている。そして、記録I/F部15は、CPU17からの指示により、そのコネクタに接続された記録媒体30にアクセスして静止画像の記録処理等を行う。この記録媒体30は、例えば、不揮発性のメモリカードである。
図3では、コネクタに接続された後の記録媒体30を示している。
【0038】
操作部16は、例えば、コマンド選択用のコマンドダイヤル、電源ボタン等を有している。また、操作部16は、例えば、電子カメラ1を操作するための指示入力を受け付ける。
【0039】
CPU17は、電子カメラ1の統括的な制御を行うプロセッサである。CPU17は、ROM14に予め格納されたプログラムを実行することにより電子カメラ1の各部を制御する。また、CPU17は、発光制御部17aと本発光量導出部17bとしても機能する。発光制御部17aは、撮影時の閃光発光と予備発光を行わせる指示を発光制御回路150cに出す。本発光量導出部17bは、第1の予備発光により測光センサ107の撮像領域から間引き読み出しされるライン毎の第1の画像信号に基づいて、撮影時の本発光量の導出用に間引き読み出しするラインを設定する。そして、本発光量導出部17bは、その設定したライン毎に第2の予備発光により測光センサ107の撮像領域から間引き読み出しされる第2の画像信号に基づいて、本発光量を導出する。
【0040】
例えば、本発光量導出部17bは、間引き読み出し用の隣接する(間隔を空けて隣り合う)ライン間での第1の画像信号の差分に基づいて、差分を相対的に小さくするラインからの間引き読み出しの設定を解除すると共に、差分が相対的に大きいライン間に間引き読み出しするラインを新たに設定する。本実施形態では、差分が相対的に大きいライン間ほど、本発光量の算出に寄与することを意味する。また、本発光量導出部17bは、差分から本発光に対する寄与率を示す評価値を各々算出し、評価値に基づいて、間引き読み出しするラインを再設定する。つまり、本発光量導出部17bは、評価値に基づいて、本発光量の導出用に間引き読み出しするラインを決定できる(詳細は後述する)。
【0041】
また、閃光装置150は、発光部150bと発光制御回路150cとを備える。発光部150bは、コンデンサに充電された電気エネルギーを光エネルギーに変換する回路である。発光部150bには、例えばキセノン管が備えられており、このキセノン管の放電により発光を行う。なお、発光部150bは、例えばLED(発光ダイオード)を光源としても良い。発光制御回路150cは、発光部150bの発光量等を示す発光情報をCPU17の発光制御部17aから受信し、受信した発光情報に基づいて発光部150bに対して予備発光や本発光を行わせる。
【0042】
次に、電子カメラ1の閃光撮影の動作の一例について説明する。
図4は、電子カメラ1の閃光撮影の動作の一例を示すフローチャートである。ここで、レリーズ釦109が半押しの指示入力を受け付けた場合、CPU17は、
図4に示すフローの処理を開始させる。
【0043】
ステップS101:CPU17は、1回目の予備発光における測光センサ107の読み出しラインを設定する。例えば、CPU17は、画像信号を間引き読み出しするラインを12ライン毎に等間隔に設定する。具体例として、CPU17は、ライン番号y[n](n:0〜19)として、y[0]=6ラインとすることにより、y[n]=(6、18、30、42、54、66、78、90、102、114、126、138、150、162、174、186、198、210、222、234)のライン番号を設定する。
【0044】
ステップS102:CPU17の発光制御部17aは、1回目の予備発光を閃光装置150に行わせる。具体的には、発光制御部17aは、閃光装置150に1回目の予備発光の指示を出す。閃光装置150の発光部150bは、本発光よりも微少な光量に基づく予備発光を行う。
【0045】
ステップS103:CPU17は、1回目の予備発光及び定常光による測光を測光センサ107に行わせる。具体的には、CPU17は、
図1に示す通り、クイックリターンミラー101を光軸Lに対して斜めの位置に配置させる。また、CPU17は、測光センサ107に向けて駆動信号を送信する。
【0046】
ここで、発光部150bから照射された予備発光の閃光は、被写体を照明する。そして、被写体からの反射光は、定常光成分を含む。この反射光は、上述した通り、レンズ系51及び絞り52を通過し、クイックリターンミラー101を介して、拡散スクリーン102に到達する。そして、拡散スクリーン102は、反射光から被写体像を形成する。この被写体像の光は、コンデンサレンズ103を介してペンタダハプリズム104に導かれる。ペンタダハプリズム104は、被写体像の光を反射させて測光用プリズム105、測光用レンズ106を介して測光センサ107に導く。
【0047】
測光センサ107の撮像素子は、駆動信号を受信した後、ローリングシャッタ方式によりライン毎に電荷蓄積を行う。そして、測光センサ107の撮像素子は、ステップS101で指定されたライン番号の画素値としてVoymon[i、j](i:0〜359、j:0〜19)を出力する。これらの出力値(画像信号の各画素値)は、一旦RAM13に記録される。なお、ここでの変数jは、上記のy[n]の変数nに対応する。したがって、上記のライン番号y[n]の画像信号が出力される。
【0048】
ステップS104:CPU17は、定常光による測光を測光センサ107に行わせる。具体的には、CPU17は、測光センサ107に定常光のみの測光を行わせるための駆動信号を送信する。CPU17は、予備発光の測光を行ったときと同一の測光条件(ゲイン、電荷蓄積時間、読み出しライン等)の設定で、予備発光を行わない状態で測光センサ107に測光を行わせる。この場合、測光センサ107は、定常光の輝度値としてVoyback[i、j](i:0〜359、j:0〜19)を出力する。これらの出力値は、一旦RAM13に記録される。なお、ここでの変数jは、上記のy[n]の変数nに対応する。
【0049】
ステップS105:CPU17は、定常光成分の除去の処理を行う。具体的には、CPU17は、Voymon[i、j]とVoyback[i、j]を用いて、定常光の影響を式(1)により取り除いた画像(以下「予備画像」という)(Voy[i、j](i:0〜359、j:0〜19))を得る。
【0050】
Voy[i、j]=Voymon[i、j]−Voyback[i、j] (1)
CPU17は、Voy[i、j](予備画像)の各画素値をRAM13に記録する。
【0051】
ステップS106:CPU17の本発光量導出部17bは、予備画像を用いて、以下に説明する評価値を算出する。本発光量導出部17bは、予備画像に基づいて、間引き読み出しされた隣接するライン間での画像信号の差分から本発光に対する寄与率を示す評価値(Hyoka[k])を各々算出する。本実施形態では、評価値の算出に用いる画素として、輝度値に最も寄与するG(緑)画素を用いることにする。なお、本発光量導出部17bは、間引き読み出しする2本の隣接するライン間で1つの評価値を算出するため、評価値(Hyoka[k])の変数kの範囲は、0〜18となる。
【0052】
以下、具体的に評価値の算出について説明する。
図5は、評価値の算出方法の一例を説明する図である。本実施形態では、例えば、偶数行の画素の配列を、G、R、G、R・・・とし、奇数行の画素の配列を、B、G、B、G・・・とする。この場合、間引き読み出し用の隣接するラインの組み合わせは、
図5(a)〜(d)に示す4通りになる。例えば、CPU17は、ステップS101で、偶数のライン番号をすべて設定しているので、画素の配列は、
図5(a)が適用される。したがって、本発光量導出部17bは、評価値の算出として、式(2)を適用する。
【0053】
<y[n]が偶数、かつ、y[n+1]が偶数の場合(
図5(a)参照)>
Hyoka[k]=Abs{(Voy[0、n]+Voy[2、n]+Voy[4、n]+ ・・・ +Voy[358、n])−(Voy[0、n+1]+Voy[2、n+1]+Voy[4、n+1] ・・・ +Voy[358、n+1])} (2)
ここで、Absは、絶対値を算出することを意味する。例えば、Hyoka[0]の場合、y[n]=6、y[n+1]=18となり、本発光量導出部17bは、6ライン目のVoy[i、6]と、18ライン目のVoy[i、18]とのG画素の差分を計算する。また、Hyoka[1]の場合、y[n]=18、y[n+1]=30となり、本発光量導出部17bは、18ライン目のVoy[i、18]と、30ライン目のVoy[i、30]とのG画素の差分を計算する。なお、ライン番号の設定の仕方によっては、
図5(b)〜
図5(d)に示す組み合わせも想定される。これらの場合、本発光量導出部17bは、評価値の算出として、式(3)〜式(5)を適用する。
【0054】
<y[n]が偶数、かつ、y[n+1]が奇数の場合(
図5(b)参照)>
Hyoka[k]=Abs{(Voy[0、n]+Voy[2、n]+Voy[4、n] ・・・ +Voy[358、n])−(Voy[1、n+1]+Voy[3、n+1]+Voy[5、n+1] ・・・ +Voy[359、n+1])} (3)
<y[n]が奇数、かつ、y[n+1]が偶数の場合(
図5(c)参照)>
Hyoka[k]=Abs{(Voy[1、n]+Voy[3、n]+Voy[5、n] ・・・ +Voy[359、n])−(Voy[0、n+1]+Voy[2、n+2]+Voy[4、n+1] ・・・ +Voy[358、n+1])} (4)
<y[n]が奇数、かつ、y[n+1]が奇数の場合(
図5(d)参照)>
Hyoka[k]=Abs{(Voy[1、n]+Voy[3、n]+Voy[5、n] ・・・ +Voy[359、n])−(Voy[1、n+1]+Voy[3、n+2]+Voy[5、n+1] ・・・ +Voy[359、n+1])} (5)
図6は、変数kに対する評価値を示す図である。横軸は、上述した変数kを表し、縦軸は、評価値の算出結果を表している。
【0055】
ステップS107:本発光量導出部17bは、評価値の判定を行う。具体的には、本発光量導出部17bは、ステップS106で得られた評価値に対して、閾値Thを設定する。ここで、閾値Thは、説明の便宜上、例えば1145の値とする。本発光量導出部17bは、閾値Th以上となった評価値は有意であると判断し、評価値の算出に用いた2ラインを重要性が高いラインとみなす。本発光量導出部17bは、すべての評価値について有意か否かの判定を行う。
【0056】
本実施形態では、可能な限り、閾値Th未満となったラインの読み出しを停止し、有意と判断されたライン間に間引き読み出し用のラインを割り当てる。すなわち、本発光量導出部17bは、評価値を相対的に小さくするラインの読み出しを停止する分、評価値が相対的に大きいライン間に間引き読み出し用のラインを新たに設定(選択)する。
【0057】
また、本実施形態では、新たに割り当て可能なライン数を、FreeLineとしてカウントする。但し、本実施形態では、Hyoka[k]の閾値Th未満の評価値であっても、Hyoka[k−1]と、Hyoka[k+1]が閾値Th以上である場合、FreeLineとしてカウントしないこととする。
【0058】
図7は、FreeLineの本数の決定の仕方を説明する図である。ここで、
図7では、閾値Th未満の評価値は7個ある。一方、
図7では、Hyoka[10]は、閾値Th未満であるが、Hyoka[9]とHyoka[11]とは閾値Th以上であるので、FreeLineとしてカウントしない。そのため、FreeLineは6本となる。
【0059】
そして、本実施形態では、FreeLineに基づいて新たに間引き読み出し可能なラインを決定するため、次のステップS108で重み付け係数を算出する。
【0060】
ステップS108:本発光量導出部17bは、間引き読み出しするラインを再設定するために重み付け係数の算出を行う。具体的には、本発光量導出部17bは、ステップS107で有意と判断されたラインの間に割り当てるライン数を決定するため、さらに、評価値に対して重み付け係数を算出する。先ず、本発光量導出部17bは、評価値の中の最小値(HyokaMin)を求める。
図6において、評価値の最小値(HyokaMin)は、例えば、Hyoka[0]=439の値となる。次に、本発光量導出部17bは、以下の式(6)で重み付け係数Wt[k]を算出する。このとき、閾値Th未満となった評価値Hyoka[k]においては、Wt[k]=0とする。
【0061】
Wt[k]=Hyoka[k]/HyokaMin (6)
=Hyoka[k]/439
さらに、本発光量導出部17bは、重み付け係数の合計値Wtsumを求める。
【0062】
Wtsum=ΣWt[k] (7)
重み付け係数の合計値Wtsumは、式(7)に基づいて、63.708となる。
【0063】
ステップS109:本発光量導出部17bは、2回目の予備発光の読み出しラインを決定する。具体的には、本発光量導出部17bは、ライン間に割り当てるライン数を式(8)に基づいて算出する。
【0064】
assinLine[k]=FL × (Wt[k] /63.708) (8)
ここで、FLは、FreeLineである。本実施形態では、assinLine[k]の結果の値をさらに四捨五入した結果の値をRound(assinLine[k])と定義する。
【0065】
図8は、重み付け係数に基づいて割り当てるラインを決定するための算出結果を示す図である。
図8では、各変数kに対して、Wt[k]、assinLine[k]、Round(assinLine[k])の値が対応付けられている。
図8において、Round(assinLine[k])の値が1であると、本発光量導出部17bは、ライン間に間引き読み出し用のラインを1本割り当てることができることとする。なお、四捨五入した結果の値が2であると、本発光量導出部17bは、ライン間に間引き読み出し用のラインを2本割り当てることができることとする。ここで、本発光量導出部17bは、ライン間に間引き読み出し用のラインを等間隔に割り当てることが好ましい。ライン間での偏りを避けるためである。なお、本発光量導出部17bは、Round(assinLine[k])の値によってはライン間に等間隔に割り当てられないことがある。例えば、Round(assinLine[k])の値が3であって、新たに間引き読み出し用のラインをライン間に3本等間隔に割り当てられない場合、本発光量導出部17bは、等間隔に割り当てられるまで、Round(assinLine[k])の値をデクリメントする。本発光量導出部17bは、デクリメントした際、余分なラインを他のラインに割り当てる。この場合、本実施形態では、本発光量導出部17bは、一例として、ステップS107で閾値Th未満となった評価値Hyoka[k]の中で、評価値の大きい方から1ラインずつ順に割り当てていくこととする。これにより、本発光量導出部17bは、閾値Th未満のうち、評価値の低いラインに割り当てないで済む。
【0066】
ここで、
図8に示す通り、本発光量導出部17bは、Round(assinLine[k])の値に基づいて、4本のラインを新たに割り当てることができる。この場合、本発光量導出部17bは、ステップS107で閾値Th未満となった評価値Hyoka[k]の中で、評価値の低い方から4本のラインについて間引き読み出しの設定を解除する。一例として、本発光量導出部17bは、2回目の予備発光の際に測光センサ107が画像信号を間引き読み出しするラインを以下のライン番号に決定する。これにより、y[n]=(42、66、78、90、102、114、126、138、150、162、168、174、186、198、204、210、216、222、228、234)のライン番号が決定される。
【0067】
ステップS110:本発光量導出部17bは、間引き読み出しするラインの再設定を行う。具体的には、本発光量導出部17bは、ライン番号(6、18、30及び54)からの間引き読み出しの設定を解除すると共に、ライン番号(168、204、216及び228)のラインを新たに間引き読み出し用のラインに割り当てる。
【0068】
図9は、予備発光時に画像信号を間引き読み出しするラインを模式的に示す図である。
図9(a)が1回目の予備発光時に設定されるラインを表しており、
図9(b)が2回目の予備発光時に設定されるラインを表している。これにより、本発光量導出部17bは、予備発光による測光の際、画像信号を間引き読み出しするラインを最適化することができる。
【0069】
ステップS111:発光制御部17aは、閃光装置150に2回目の予備発光の指示を出す。閃光装置150の発光部150bは、予備発光を行う。
【0070】
ステップS112:CPU17は、2回目の予備発光時の測光を測光センサ107に行わせる。測光センサ107の撮像素子は、ローリングシャッタ方式により間引き読み出しするライン毎に電荷蓄積を行う。そして、測光センサ107の撮像素子は、ステップS109で指定されたライン番号の画素値Voymon[i、j](i:0〜359、j:0〜19)を出力する。なお、ここでの変数jは、ステップS109で決定されたy[n]の変数nに対応する(以下同様)。これらの出力値は、一旦RAM13に記録される。
【0071】
ステップS113:CPU17は、測光センサ107に定常光のみの測光を行わせる。具体的には、CPU17は、2回目の予備発光の測光を行ったときと同一の測光条件で測光センサ107に測光を行わせる。この場合、測光センサ107は、定常光輝度値 Voyback[i、j](i:0〜359、j:0〜19)を出力する。これらの出力値は、一旦RAM13に記録される。
【0072】
ステップS114:CPU17は、定常光成分の除去を行う。具体的には、CPU17は、Voymon[i、j]とVoyback[i、j]を用いて、定常光の影響を式1により取り除き、予備画像 Voy[i、j](i:0〜359、j:0〜19)を得る。
【0073】
ステップS115:CPU17は、本発光量の算出を行う。具体的には、CPU17は、予備画像において、G画素成分の平均値を算出する。この平均値をVoyAveと定義する。また、発光ガイドナンバーと予備発光のガイドナンバーの段数差GNMon(単位 EV)を発光量段差と定義する。
【0074】
また、発光量段数差をKGNは、式(9)で得られる。
【0076】
ここで、式(9)におけるKGNCONSTは、18%の反射率の標準反射板等の標準反射率の被写体に対して、本発光で撮影画像が適正な輝度値となるための発光量段数差である。また、Av0は、レンズ系51の開放F値である。Avは、撮影時の絞りF値(Apex値)である。本発光量GNHonは、式(9)のKGNを用いて、式(10)で得られる。
【0078】
ステップS116:CPU17は、本発光を行う。CPU17は、レリーズ釦109の押下による撮影(全押し操作)の指示入力を受け付けた場合、発光制御部17aは、ステップS115により求まった本発光量で撮影時の本発光を行わせる指示を発光制御回路150cに出す。発光部150bは、閃光発光を行う。
【0079】
ステップS117:CPU17は、静止画像の取得を行う。具体的には、CPU17は、本発光に同期して、撮像素子10を駆動する。信号処理部11は、画像信号のゲイン調整やA/D変換等を行う。この信号処理部11が出力する画像信号は、RAM13に画像データとして一旦記録される。画像処理部12は、RAM13に記録されている画像データを読み出し、各種の画像処理を施す。CPU17は、画像処理部12で画像処理が施された画像データを、記録I/F部15を介して、記録媒体30に記録する。
【0080】
以上より、本発明では、例えば1回目の予備発光により撮像領域から間引き読み出しされるライン毎の画像信号に基づいて、評価値を算出する。そして、本発明では、例えば評価値が閾値Th未満となったラインの読み出しを停止し、有意と判断されたライン間に間引き読み出しするラインを新たに割り当てる。これにより、閃光撮影時の本発光量を算出するための演算に寄与しないラインの出力信号の読み出しが抑制される。
【0081】
したがって、本発明では、演算に用いる出力信号を適切に選択することができる。
<実施形態の補足事項>
本実施形態では、一眼レフレックスタイプの電子カメラを例に挙げたが、レンズ交換を必要としないコンパクトタイプの電子カメラであっても良い。この場合、コンパクトタイプの電子カメラに用いられる撮像素子を本発明の
発光制御装置の測光手段として兼用する構成にしても良い。