(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能な第3レンズエレメントをさらに有し、前記第3レンズエレメントは前記第2レンズエレメントと前記第2レンズエレメントの屈折力と同符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成され、前記第1レンズエレメントまたは第2レンズエレメントまたは第3レンズエレメントの何れか1つのレンズエレメントを前記光軸と垂直方向の成分を含むようにシフトさせて像面補正を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の変倍光学系。
物体側から順に、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群と第4レンズ群とを有し、変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔と、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔と、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔とが変化することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の変倍光学系。
物体側から順に、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群と第4レンズ群とを有し、変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔と、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔と、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔とが変化することを特徴とする請求項9から11の何れか一項に記載の変倍光学系。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る光学系および撮像装置について説明する。
【0012】
まず、本発明に係る光学系から説明する。本発明に係る光学系は防振機能を有する光学系である。
【0013】
本発明に係る光学系は、それぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能な第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有し、第2レンズエレメントは、第1レンズエレメントと他のレンズエレメントとから構成されている。像ブレの補正は、第1レンズエレメントまたは第2レンズエレメントを光軸と垂直方向の成分を含むようにシフトさせて像面補正を行うようになっている。
【0014】
ここで、本明細書においてレンズエレメントとは、単一または複数のレンズよりなる1つのユニットをいう。
【0015】
第1レンズエレメントと第2レンズエレメントのどちらをシフトさせるかは、撮像装置に備えられた角速度センサ等によって検出された像ブレ量から制御部が決定する。
図28は、本発明に係る光学系における防振機能の構成の例を示す概略図である。制御部21は、複数の角速度センサ23、23が検出した角速度、すなわち撮像装置本体31の傾きの大きさおよび向きから像ブレの補正量を算出し、補正量の大きさに応じて、レンズエレメント25a、25bのどちらをシフトさせるかを決定する。そして制御部21は、決定したレンズエレメント(例えばレンズエレメント25a)を撮像装置本体31の傾きを打ち消す方向にモータ等の駆動装置27を介して駆動する。なお、制御部21は撮像装置本体31に備えられても良いし、光学系が配置されるレンズ鏡筒29に内蔵されても良い。
【0016】
このような構成とすることにより、本発明の光学系は複数の像面補正機能を持つ効果が得られ、好適な防振機能を有する光学系を実現することができる。
【0017】
本発明においては、このような構成のもとで、より好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
【0018】
また、本発明に係る光学系は、それぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能な第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有し、第2レンズエレメントにおいて、該第1レンズエレメントと該他のレンズエレメントとは、同符号の屈折力を有し、像ブレ補正は、第1レンズエレメントまたは第2レンズエレメントを光軸と垂直方向の成分を含むようにシフトさせて像面補正を行うようになっている。
【0019】
このような構成のもとで、より好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
また、次の条件式(1)を満足することで、より好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
【0020】
(1)|fA| > |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは同符号
条件式(1)を満足することで、第1レンズエレメントの焦点距離fAと第2レンズエレメントの焦点距離fBとが同符号であるとき、第1レンズエレメントの焦点距離fAの絶対値に比べて第2レンズエレメントの焦点距離fBの絶対値の方が小さいので、第2レンズエレメントの移動量が第1レンズエレメントと同じ移動量であっても、第2レンズエレメントをシフトさせた方が像面移動量を大きくできる。その結果、第2レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合の方が、第1レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合に比べて、レンズの移動量を増やすことなく多くの像ブレ補正が可能になり、大きな像面湾曲収差を良好に補正することができる。
【0021】
また、本発明に係る光学系は、次の条件式(2)を満足することが好ましい。
【0022】
(2) 0.24 < |fB|/|fA| < 1.00
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは同符号
条件式(2)は、像面補正を行う第1レンズエレメントおよび第2レンズエレメントの焦点距離を規定する条件式である。条件式(2)を満足することにより、第1レンズエレメントの焦点距離fAと第2レンズエレメントの焦点距離fBとが同符号であるとき、像面補正時においても良好な光学性能を実現することができる。
【0023】
条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、像面補正時のコマ収差の補正が困難になってしまい好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.30にするのが好ましい。
【0024】
条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、像面補正を行う第1レンズエレメントの焦点距離と第2レンズエレメントの焦点距離とが近くなり、その結果、複数の像面補正機能を持つ効果が得られなくなり、好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.96にするのが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る光学系は、光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能な第3レンズエレメントをさらに有し、第3レンズエレメントは、第2レンズエレメントと該第2レンズエレメントの屈折力と同符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成され、第1レンズエレメントまたは第2レンズエレメントまたは第3レンズエレメントの何れか1つのレンズエレメントを光軸と垂直方向の成分を含むようにシフトさせて像ブレの補正を行う。このような構成のもとで、より好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
また、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
【0026】
(3) |fA| > |fB|> |fC|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fC|:第3レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとfCとは同符号
本発明に係る光学系は、このような構成により、さらに好適な防振機能を有する光学系を実現することができる。第1レンズエレメント、第2レンズエレメント、第3レンズエレメントの何れをシフトさせるかは、上記
図28を用いて説明したのと同様に、角速度センサ等によって検出された像ブレ量から制御部が決定する。
【0027】
本発明においては、このような構成のもとで、条件式(3)を満足することで、さらに好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
【0028】
条件式(3)を満足することで、第1レンズエレメントの焦点距離fAと第2レンズエレメントの焦点距離fBと第3レンズエレメントの焦点距離fCとが同符号であるとき、第2レンズエレメントの焦点距離fBの絶対値に比べて第3レンズエレメントの焦点距離fCの絶対値の方が小さいので、第3レンズエレメントの移動量が第2レンズエレメントと同じ移動量であっても、第3レンズエレメントをシフトさせた方が像面移動量を大きくできる。その結果、第3レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合は、第2レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合に比べて、レンズの移動量を増やすことなく多くの像ブレ補正が可能になり、大きな像面湾曲収差を良好に補正することができる。
【0029】
また、本発明の光学系は、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0030】
(4)0.24 < |fC|/|fA| < 1.00
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fC|:第3レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfCとは同符号
条件式(4)は、像面補正を行う第1レンズエレメントおよび第3レンズエレメントの焦点距離を規定する条件式である。条件式(4)を満足することにより、像面補正時にも良好な光学性能を実現することができる。
【0031】
条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、像面補正時のコマ収差補正が困難になり好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするため、条件式(4)の下限値を0.30にするのが好ましい。
【0032】
条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、像面補正を行う第1レンズエレメント、第2レンズエレメント、および第3レンズエレメントのそれぞれの焦点距離が近くなり、その結果複数の像面補正機能を持つ効果が得られなくなり、好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を0.96にするのが好ましい。
【0033】
また、本発明の光学系は、第1および第2レンズエレメントは接合レンズを有することが好ましい。このような構成とすることにより、像面補正時の倍率色収差を良好に保つことができる。
【0034】
また、本発明の光学系は、第3レンズエレメントは接合レンズを有することが好ましい。このような構成とすることにより、像面補正時の倍率色収差を良好に保つことができる。
【0035】
また、本発明の光学系は、少なくとも4つのレンズ群を有し、少なくとも第1および第2レンズエレメントは4つのレンズ群のうち何れか1つのレンズ群に含まれることが好ましい。このような構成とすることにより、像面補正時のコマ収差を小さくすることができる。
【0036】
また、本発明の光学系は、物体側から順に、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群と第4レンズ群とを有し、変倍時に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔と、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔と、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔とが変化することが好ましい。このような構成とすることにより、高変倍を実現し、かつ球面収差を良好に補正することができる。
【0037】
また、本発明に係る光学系は、それぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能な第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有し、第2レンズエレメントにおいて、該第1レンズエレメントと該他のレンズエレメントとは異符号の屈折力を有し、第1レンズエレメントまたは第2レンズエレメントを光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフトさせて像面補正を行う。このような構成のもとで、より好適な防振機能を有する光学系を実現できる。
また、次の条件式(5)を満足することを特徴とする。
【0038】
(5)|fA| < |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは
同符号
第1レンズエレメントと第2レンズエレメントのどちらをシフトさせるかは、
図28を用いて説明したように、角速度センサ等によって検出された像ブレ量から制御部が決定する。
【0039】
上記構成とすることにより、本発明の光学系は複数の像面補正機能を持つ効果が得られ、好適な防振機能を有する光学系を実現することができる。
【0040】
本発明においては、このような構成のもとで、条件式(5)を満足することで、より好適な光学系を実現できる。
【0041】
条件式(5)を満足することで、fAとfBとが
同符号であるとき、第2レンズエレメントの焦点距離fBの絶対値に比べて第1レンズエレメントの焦点距離fAの絶対値の方が小さいので、第1レンズエレメントの移動量が第2レンズエレメントと同じ移動量であっても、第1レンズエレメントをシフトさせた方が像面移動量を大きくできる。その結果、第1レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合は、第2レンズエレメントをシフトさせて像ブレを補正する場合に比べて、レンズの移動量を増やすことなく多くの像ブレ補正が可能になり、大きな像面湾曲収差を良好に補正することができる。
【0042】
また、本発明の光学系は、次の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0043】
(6) 0.24 < |fA|/|fB| < 1.00
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは
同符号
条件式(6)は、像面補正を行う第1レンズエレメントの焦点距離と第2レンズエレメントの焦点距離とを規定する条件式である。条件式(6)を満足することにより、fAとfBとが
同符号であるとき、像面補正時においても良好な光学性能を実現することができる。
【0044】
条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、像面補正時のコマ収差補正が困難になってしまい好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を0.30にするのが好ましい。
【0045】
条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、像面補正を行う第1レンズエレメントの焦点距離と第2レンズエレメントの焦点距離とが近くなり、その結果複数の像面補正機能を持つ効果が得られなくなり、好ましくない。なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(6)の上限値を0.96にするのが好ましい。
【0046】
また、本発明の光学系は、第1および第2レンズエレメントは接合レンズを有することが好ましい。このような構成とすることにより、像面補正時の倍率色収差を良好に保つことができる。
【0047】
また、本発明の光学系は、少なくとも4つのレンズ群を有し、第1および第2レンズエレメントは4つのレンズ群のうち何れか1つのレンズ群に含まれることが好ましい。このような構成とすることにより、像面補正時のコマ収差を小さくすることができる。
【0048】
また、本発明の光学系は、物体側から順に、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群と第4レンズ群とを有し、変倍時に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔と、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔と、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔とが変化することが好ましい。このような構成とすることにより、高変倍を実現し、かつ球面収差を良好に補正することができる。
【0049】
また、本発明の撮像装置は、上述した構成の光学系を有することを特徴とする。これにより、好適な撮像装置を実現することができる。
【0050】
また、本発明の光学系の製造方法は、第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有する光学系の製造方法であって、前記第2レンズエレメントを前記第1レンズエレメントと前記第1レンズエレメントの屈折力と同符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成し、前記第1レンズエレメントと前記第2レンズエレメントとをそれぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能に配置し、像面補正は前記第1レンズエレメントまたは前記第2レンズエレメントの何れかを前記光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフトさせて行うように構成し、次の条件式(1)を満足するようにすることを特徴とする。
【0051】
(1)|fA| > |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは同符号
また、本発明の光学系の製造方法は、第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有する光学系の製造方法であって、前記第2レンズエレメントを前記第1レンズエレメントと前記第1レンズエレメントの屈折力と異符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成し、前記第1レンズエレメントと前記第2レンズエレメントとをそれぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能に配置し、像面補正は前記第1レンズエレメントまたは前記第2レンズエレメントの何れかを前記光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフトさせて行うように構成し、次の条件式(5)を満足するようにすることを特徴とする。
【0052】
(5)|fA| < |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは
同符号
斯かる本発明の光学系の製造方法により、好適な防振機能を備えた光学系を実現することができる。
【0053】
(数値実施例)
以下、本発明の数値実施例に係る光学系を添付図面に基づいて説明する。
図1、
図5、
図9、
図13、
図17、および
図21は、各実施例に係る光学系S1〜S6の構成を示す断面図であり、これら光学系S1〜S6の無限遠合焦時の広角端状態から望遠端状態への合焦状態の変化、すなわち各レンズ群の移動の様子を矢印で示している。
【0054】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る光学系S1の構成を示す図である。
【0055】
図1に示すように、本実施例に係る光学系S1は、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0056】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成されている。
【0057】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹形状の負レンズとの接合レンズL22とから構成されている。
【0058】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL31とから構成されている。
【0059】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と、両凸形状の正レンズと像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL42と、両凸形状の正レンズL43と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹形状の負レンズとの接合レンズL44と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL46と、両凸形状の正レンズL47とから構成されている。
【0060】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間に配置されている。撮像素子および開口絞りSPの構成は、後述する各実施例において同様である。
【0061】
本実施例に係る光学系S1は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1は像面Iに対して固定で、第2レンズ群G2は像面I側に移動し、第3レンズ群G3は像面I側に向かって略凹の軌跡で移動し、第4レンズ群は像面Iに対して固定である。
【0062】
また、本実施例に係る光学系S1は、
図1に示すように、第4レンズ群G4内の接合レンズL44をレンズエレメントAとし、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と同符号の屈折力を有する負メニスカスレンズL45とでレンズエレメントBを構成し、レンズエレメントBとレンズエレメントBの屈折力と同符号の屈折力を有する負メニスカスレンズL46とでレンズエレメントCを構成し、これらレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群のうちの何れか一つを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0063】
本実施例に係る光学系S1では、光学系S1全系の焦点距離をfとし、ブレ補正時の防振レンズ群の移動量に対する像面I上での像の移動量の比をKとするとき(以下、この比のことを防振係数Kという。)、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0064】
本実施例に係る光学系S1の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ95.0(mm)、163.1(mm)、226.6(mm)である(下記表1参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、B、Cによるブレ補正量および各レンズエレメントA、B、Cの移動量は、例えば以下のようになる。
【0065】
本実施例に係る光学系S1は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.26であり、焦点距離は95.0(mm)であるので、0.324°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.428(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.37であり、焦点距離は95.0(mm)であるので、0.354°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.428(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.69であり、焦点距離は95.0(mm)であるので、0.435°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.428(mm)である。
【0066】
また、本実施例に係る光学系S1の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.26であり、焦点距離は163.1(mm)であるので、0.301°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.680(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.37であり、焦点距離は163.1(mm)であるので、0.326°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.680(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.69であり、焦点距離は163.1(mm)であるので、0.403°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.680(mm)である。
【0067】
また、本実施例に係る光学系S1の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.26であり、焦点距離は226.6(mm)であるので、0.210°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.944(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.37であり、焦点距離は226.6(mm)であるので、0.326°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.944(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.69であり、焦点距離は226.6(mm)であるので、0.403°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.944(mm)である。
【0068】
このように、各焦点距離において、レンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCの順に防振係数Kが大きくなるので、より多くの補正が可能となる。すなわち、上記のように焦点距離が同じでレンズエレメントA、B、Cの移動量が同じであれば、レンズエレメントAよりもレンズエレメントBの方が多くの量の補正が可能であり、さらにレンズエレメントBよりもレンズエレメントCの方が多くの量の補正が可能となる。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントAを駆動し、補正量が多くなって所定量に達したらレンズエレメントBを駆動し、補正量がさらに多くなって、前記所定量よりも大きい値で設定された他の所定量に達したらレンズエレメントCを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズの移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0069】
以下の表1に、本発明の第1実施例に係る光学系S1の諸元値を掲げる。
【0070】
表1中の[全体諸元]において、fは焦点距離、FNOはFナンバー、TLは全長、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、(絞り)は開口絞りSP、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率d=1.00000の記載は省略している。また、レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0071】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の近軸曲率半径r、円錐定数κ、および非球面係数A4〜A12を示す。
【0072】
x=(h
2/r)/[1+{1−κ(h/r)
2}
1/2]+A4h
4+A6h
6+A8y
8+A10h
10+A12h
12
ここで、xは、面の頂点を基準としたときの光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位である。また、「E−n」は「×10
−n」を示し、例えば、「1.234E−05」は、「1.234×10
−5」を示す。
【0073】
[可変間隔データ]には、焦点距離fと、可変間隔の値を示す。[条件式対応値]は、各条件式の対応値を示す。
【0074】
ここで、表1に記載されている焦点距離fや曲率半径r、およびその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0075】
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0076】
(表1)第1実施例
[全体諸元]
W M T
f 95.0 163.1 226.6
FNO 4.68 4.68 4.70
TL 259.3 259.3 259.3
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 134.560 1.8 25.43 1.80518
2) 101.277 7.0 82.51 1.49782
3) 546.812 1.0
4) 77.194 4.0 82.51 1.49782
5) 124.044 D5
6) 40.981 5.0 25.68 1.78472
7) 59.996 1.5 40.77 1.88300
8) 36.961 6.7
9) −131.117 3.4 25.43 1.80518
10) −53.784 1.5 40.77 1.88300
11) 197.416 D11
12) −172.226 3.0 27.51 1.75520
13) −80.000 2.0 43.69 1.72000
14) −364.448 D14
15〉 絞り 3.0
16) −636.174 4.0 82.51 1.49782
17) −57.515 0.3
18) 84.998 6.0 70.45 1.48749
19) −47.705 2.0 35.04 1.74950
20) −289.998 25.9
21) 70.499 4.6 82.56 1.49782
22) −117.909 25.9
23) −188.780 3.5 28.46 1.72825
24) −111.267 1.5 47.38 1.78800
25) 46.602 5.0
26) −119.084 2.0 58.89 1.51823
27) −220.000 5.0
28) −30.419 3.0 64.12 1.51680
29) −48.713 0.2
30) 228.879 5.0 44.79 1.74400
31) −64.531 BF
像面 ∞
[可変間隔データ]
W M T
D5 1.6 46.7 68.9
D11 61.4 2.5 3.4
D14 11.8 25.7 2.7
BF 50.6 50.6 50.6
[各条件式対応値]
fA=−46.5
fB=−42.3
fC=−32.5
(1) |fA| > |fB| : 46.5>42.3
(2) |fB|/|fA|=0.91
(3) |fA| > |fB| > |fC| : 46.5>42.3>32.5
(4) |fC|/|fA|=0.70
【0077】
図2(a)は、第1実施例に係る光学系S1の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0078】
図3(a)は、第1実施例に係る光学系S1の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0079】
図4(a)は、第1実施例に係る光学系S1の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0080】
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示している。また、図中のdはd線(波長λ=587.6nm)での収差曲線を示し、gはg線(波長λ=435.8nm)での収差曲線を示している。非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。なお、以下に示す各実施例の諸収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0081】
各収差図から明らかなように、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0082】
(第2実施例)
図5は、本発明の第2実施例に係る光学系S2の構成を示す図である。
【0083】
図5に示すように、本実施例に係る光学系S2は、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSPと、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成され、最も物体側の負メニスカスレンズL11は像面I側のガラスレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した非球面レンズである。
【0085】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと両凸形状の正レンズとの接合レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とから構成されている。
【0086】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹形状の負レンズとの接合レンズL31と、物体側に凹面を向けた平凹レンズL32とから構成されている。
【0087】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側が平面の平凸レンズL41と、両凸形状の正レンズと像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL42とから構成されている。
【0088】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍の際に、第3レンズ群G3と共に移動する。
【0089】
本実施例に係る光学系S2は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1は像面Iに向かって移動し、第2レンズ群G2、第4レンズ群G4は一体に物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側に移動する。
【0090】
また、本実施例に係る光学系S2は、第3レンズ群G3内の接合レンズL31をレンズエレメントAとし、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と同符号の屈折力を有する平凹レンズL32とでレンズエレメントBを構成し、これらレンズエレメントAおよびレンズエレメントBをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群の何れかを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0091】
本実施例に係る光学系S2では、光学系S2全系の焦点距離をf、ブレ補正時の防振係数をKとするとき、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0092】
本実施例に係る光学系S2の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ18.5(mm)、35.0(mm)、53.5(mm)である(下記表2参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、Bによるブレ補正量および各レンズエレメントA、Bの移動量は、例えば以下のようになる。
【0093】
本実施例に係る光学系S2は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.04であり、焦点距離は18.5(mm)であるので、0.735°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.227(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.39であり、焦点距離は18.5(mm)であるので、0.927°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.216(mm)である。
【0094】
また、本実施例に係る光学系S2の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.29であり、焦点距離は35.0(mm)であるので、0.534°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.252(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.71であり、焦点距離は35.0(mm)であるので、0.681°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.243(mm)である。
【0095】
また、本実施例に係る光学系S2の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.66であり、焦点距離は53.5(mm)であるので、0.432°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.243(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは2.18であり、焦点距離は53.5(mm)であるので、0.553°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.236(mm)である。
【0096】
このように、レンズエレメントA、レンズエレメントBの順に防振係数Kが大きくなるので、より多くの補正が可能となる。すなわち、上記のように焦点距離が同じ場合、レンズエレメントBは、レンズエレメントAよりも移動量は少ないがレンズエレメントAよりも多い量の補正が可能となっている。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントAを駆動し、補正量が多くなり所定量に達するとレンズエレメントBを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズ群の移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0097】
以下の表2に、本発明の第2実施例に係る光学系S2の諸元値を掲げる。
【0098】
(表2)第2実施例
[全体諸元]
W M T
f 18.5 35.0 53.5
FNO 3.6 4.1 5.3
TL 130.2 122.3 131.5
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 115.556 1.9 64.12 1.51680
2) 15.601 0.2 38.09 1.55389
*3) 13.300 10.0
4) −159.479 1.5 58.22 1.62299
5) 35.685 1.1
6) 28.207 3.1 25.68 1.78472
7) 77.398 D7
8) 32.321 0.9 23.78 1.84666
9) 17.691 4.3 58.89 1.51823
10) −32.688 0.1
11) 23.144 1.8 64.10 1.5168
12) 59.408 D12
13〉 絞り 2.9
14) −40.000 2.75 32.40 1.85026
15) −12.280 0.8 46.60 1.804
16) 114.994 3.0
17) −90.000 1.4 70.50 1.48749
18) 0.000 D18
19) 0.000 3.2 52.30 1.51742
20) −21.120 0.1
21) 128.036 5.3 70.50 1.48749
22) −15.933 1.3 32.40 1.85026
23) −44.265 BF
像面 ∞
[非球面データ]
面番号:3
κ =1
A4 =2.63599E−05
A6 =7.76960E−08
A8 =−1.94524E−10
A10=1.27950E−12
[可変間隔データ]
W M T
D7 32.3 20.8 9.7
D12 2.6 4.3 8.0
D18 9.6 7.8 4.2
BF 38.1 43.4 52.8
[各条件式対応値]
fA=−40 .6
fB=−32.6
(1) |fA| > |fB| : 40.6>32.6
(2) |fB|/|fA|=0.80
【0099】
図6(a)は、第2実施例に係る光学系S2の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0100】
図7(a)は、第2実施例に係る光学系S2の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0101】
図8(a)は、第2実施例に係る光学系S2の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0102】
各収差図から明らかなように、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0103】
(第3実施例)
図9は、本発明の第3実施例に係る光学系S3の構成を示す図である。
【0104】
図9に示すように、本実施例に係る光学系S3は、図示しない物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSPと、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0105】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成され、最も物体側の負メニスカスレンズL11は像面I側のガラスレンズ面に樹脂層を設けて非球面を形成した非球面レンズである。
【0106】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと両凸形状の正レンズとの接合レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とから構成されている。
【0107】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹形状の負レンズとの接合レンズL31と、物体側に凹面を向けた平凹レンズL32とから構成されている。
【0108】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側が平面の平凸レンズL41と、両凸形状の正レンズと像面I側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL42とから構成されている。
【0109】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍の際に、第3レンズ群G3と共に移動する。
【0110】
本実施例に係る光学系S3は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1は像面Iに向かって凸の軌跡で移動し、第2レンズ群G2、第4レンズ群G4は一体に物体側へ移動し、第3レンズ群G3は物体側に移動する。
【0111】
また、本実施例に係る光学系S3は、第2レンズ群G2内の接合レンズL21をレンズエレメントAとし、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と同符号の屈折力を有する正メニスカスレンズL22とでレンズエレメントBを構成し、これらレンズエレメントAおよびレンズエレメントBをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群の何れかを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0112】
本実施例に係る光学系S3では、光学系S3全系の焦点距離をf、ブレ補正時の防振係数をKとするとき、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0113】
本実施例に係る光学系S3の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ18.5(mm)、35.0(mm)、53.5(mm)である(下記表3参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、Bによるブレ補正量および各レンズエレメントA、Bの移動量は、例えば以下のようになる。
【0114】
本実施例に係る光学系S3は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.39であり、焦点距離は18.5(mm)であるので、0.735°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.170(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.92であり、焦点距離は18.5(mm)であるので、1.014°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.170(mm)である。
【0115】
また、本実施例に係る光学系S3の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.80であり、焦点距離は35.0(mm)であるので、0.534°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.181(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.92であり、焦点距離は35.0(mm)であるので、0.742°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.181(mm)である。
【0116】
また、本実施例に係る光学系S3の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは2.31であり、焦点距離は53.5(mm)であるので、0.432°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.174(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは3.21であり、焦点距離は53.5(mm)であるので、0.600°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.174(mm)である。
【0117】
このように、レンズエレメントA、レンズエレメントBの順に防振係数Kが大きくなるので、より多くの補正が可能となる。すなわち、上記のように焦点距離が同じでレンズエレメントA、Bの移動量が同じであれば、レンズエレメントAよりもレンズエレメントBの方が多くの量の補正が可能となる。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントAを駆動し、補正量が多くなって所定量に達するとレンズエレメントBを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズ群の移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0118】
以下の表3に、本発明の第3実施例に係る光学系S3の諸元値を掲げる。
【0119】
(表3)第3実施例
[全体諸元]
W M T
f 18.5 35.0 53.5
FNO 3.6 4.0 5.2
TL 130.8 121.9 130.2
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 115.450 1.9 64.12 1.51680
2) 15.601 0.2 38.09 1.55389
*3) 13.300 10.0
4) −145.545 1.5 58.22 1.62299
5) 39.812 1.1
6) 28.306 3.1 25.68 1.78472
7) 67.883 D7
8) 29.022 0.9 23.78 1.84666
9) 16.347 4.3 58.89 1.51823
10) −31.176 0.1
11) 23.440 1.8 64.12 1.51680
12) 59.408 D12
13〉 絞り 2.9
14) −36.200 2.8 32.35 1.85026
15) −11.078 0.8 46.58 1.80400
16) 114.994 3.0
17) −68.000 1.4 70.45 1.48749
18) 0.000 D18
19) −125.598 3.2 52.32 1.51742
20) −20.199 0.1
21) 72.314 5.3 70.45 1.48749
22) −16.608 1.3 32.35 1.85026
23) −44.265 BF
像面 ∞
[非球面データ]
面番号:3
κ =1
A4 =2.71636E−05
A6 =7.76960E−08
A8 =−1.73581E−10
A10=1.27950E−12
[可変間隔データ]
W M T
D7 32.3 9.7 2.2
D12 2.6 8.0 12.2
D18 12.1 6.7 2.5
BF 38.1 54.0 67.7
[各条件式対応値]
fA=+39.5
fB=+25.9
(1) |fA| > |fB| : 39.5>25.9
(2) |fB|/|fA| =0.66
【0120】
図10(a)は、第3実施例に係る光学系S3の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0121】
図11(a)は、第3実施例に係る光学系S3の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0122】
図12(a)は、第3実施例に係る光学系S3の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0123】
各収差図から明らかなように、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0124】
(第4実施例)
図13は、本発明の第4実施例に係る光学系S4の構成を示す図である。
【0125】
図13に示すように、本実施例に係る光学系S4は、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0126】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成されている。
【0127】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が非球面形状になっており、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、両凸レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0128】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL32とから構成されている。
【0129】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズL41と、両凹レンズL42と、両凹レンズL43とから構成されている。
【0130】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、像面I側が非球面形状になっている両凸レンズL51と、両凸レンズL52と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53とから構成されている。
【0131】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍の際に、第3レンズ群G3と共に移動する。
【0132】
本実施例に係る光学系S4は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。
【0133】
また、本実施例に係る光学系S4は、第4レンズ群G4内の接合レンズL41をレンズエレメントAとし、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と同符号の屈折力を有する両凹レンズL42とでレンズエレメントBを構成し、レンズエレメントBとレンズエレメントBの屈折力と同符号の屈折力を有する両凹レンズL43とでレンズエレメントCを構成し、これらレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群の何れかを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0134】
本実施例に係る光学系S4では、光学系S4全系の焦点距離をf、ブレ補正時の防振係数をKとするとき、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0135】
本実施例に係る光学系S4の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ18.7(mm)、70.6(mm)、188.0(mm)である(下記表4参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、B、Cによるブレ補正量および各レンズエレメントA、B、Cの移動量は、例えば以下のようになる。
【0136】
本実施例に係る光学系S4は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.51であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、0.623°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.400(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.61であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、0.746°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.400(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.69であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、1.461°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.400(mm)である。
【0137】
また、本実施例に係る光学系S4の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.82であり、焦点距離は70.6(mm)であるので、0.267°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.399(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.99であり、焦点距離は70.6(mm)であるので、0.321°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.399(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.95であり、焦点距離は70.6(mm)であるので、0.630°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.399(mm)である。
【0138】
また、本実施例に係る光学系S4の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.04であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.126°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.400(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.25であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.152°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.400(mm)である。また、レンズエレメントCにて像ブレを補正する際の防振係数Kは2.46であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.197°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントCの移動量は0.400(mm)である。
【0139】
このように、レンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCの順に防振係数Kが大きくなるので、より多くの補正が可能となる。すなわち、上記のように焦点距離が同じでレンズエレメントA、B、Cの移動量が同じであれば、レンズエレメントAよりもレンズエレメントBの方が多くの量の補正が可能であり、さらにレンズエレメントBよりもレンズエレメントCの方が多くの量の補正が可能となる。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントAを駆動し、補正量が多くなって所定量に達したらレンズエレメントBを駆動し、補正量がさらに多くなって、前記所定量よりも大きい値で設定された他の所定量に達したらレンズエレメントCを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズ群の移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0140】
以下の表4に、本発明の第4実施例に係る光学系S4の諸元値を掲げる。
【0141】
(表4)第4実施例
[全体諸元]
W M T
f 18.7 70.0 188.0
FNO 3.64 5.44 6.60
TL 128.6 180.3 216.7
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 128.56287 1.8 37.18 1.834
2) 61.71903 9.4 82.57 1.49782
3) −368.67603 0.12
4) 55.98016 6.8 82.57 1.49782
5) 389.22661 D5
*6) 43.51896 1.2 47.25 1.77377
7) 11.20367 6.4
8) −27.87211 1.0 40.66 1.88300
9) 45.04115 0.15
10) 26.85149 4.22 23.8 1.84666
11) −30.94189 1.05
12) −19.31231 1.0 46.6 1.80400
13) −58.68682 D13
14〉 絞り 1.63
15) 31.09309 3.18 82.57 1.49782
16) −66.2335 0.12
17) 24.20499 4.26 82.57 1.49782
18) −22.11253 0.9 25.45 1.80518
19) −90.15429 D19
20) 90.00000 0.8 52.77 1.74100
21) 15.29423 2.5 25.45 1.80518
22) 33.33188 1.4
23) −450.00000 0.8 63.88 1.51680
24) 459.94923 1.2
25) −80.00000 1.2 54.61 1.72916
26) 183.82631 D26
27) 275.95449 4.0 82.47 1.49697
*28) −21.43596 0.08
29) 55.21481 4.25 70.31 1.48749
30) −30.00000 1.4
31) −15.80000 1.63 37.18 1.83400
32) −31.79204 BF
像面 ∞
[非球面データ]
面番号:6
κ =−45.4463
A4 =6.97E−05
A6 =−5.50E−07
A8 =3.61E−09
A10=−1.46E−11
A12=2.48E−14
面番号:28
κ =−5.3904
A4 =−9.11E−05
A6 =3.36E−07
A8 =−2.85E−09
A10=1.17E−11
A12=−3.50E−14
[可変間隔データ]
W M T
D5 1.0 36.0 56.8
D13 23.1 8.3 1.0
D19 0.9 1.1 2.3
D26 2.9 2.3 2.3
BF 38.7 70.6 92.2
[各条件式対応値]
fA=−89.0
fB=−74.1
fC=−37.2
(1) |fA| > |fB| : 89.0>74.1
(2) |fB|/|fA|=0.83
(3) |fA| > |fB| > |fC| : 89.0>74.1>37.2
(4) |fC|/|fA|=0.42
【0142】
図14(a)は、第4実施例に係る光学系S4の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0143】
図15(a)は、第4実施例に係る光学系S4の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0144】
図16(a)は、第4実施例に係る光学系S4の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントB、レンズエレメントCで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0145】
各収差図から明らかなように、第4実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0146】
(第5実施例)
図17は、本発明の第5実施例に係る光学系S5の構成を示す図である。
【0147】
図17に示すように、本実施例に係る光学系S5は、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0148】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズとの接合レンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12とから構成されている。
【0149】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が非球面形状になっており、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、両凸レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0150】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL32とから構成されている。
【0151】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズL41と、両凹レンズL42と、両凸レンズL43と、像面I側が非球面形状になっており、物体側に凹面を向けた凸メニスカスレンズL44と、両凸レンズL45と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL46とから構成されている。
【0152】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍の際に、第3レンズ群G3と共に移動する。
【0153】
本実施例に係る光学系S5は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4は物体側へ移動する。
【0154】
また、本実施例に係る光学系S5は、第4レンズ群G4内の接合レンズL41と両凹レンズL42とでレンズエレメントAを構成し、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と異符号の屈折力を有する両凸レンズL43とでレンズエレメントBを構成し、これらレンズエレメントA、レンズエレメントBをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群の何れかを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0155】
本実施例に係る光学系S5では、光学系S5全系の焦点距離をf、ブレ補正時の防振係数をKとするとき、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0156】
本実施例に係る光学系S5の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ18.7(mm)、70.1(mm)、188.0(mm)である(下記表5参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、Bによるブレ補正量および各レンズエレメントの移動量は、例えば以下のようになる。
【0157】
本実施例に係る光学系S5は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.14であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、1.466°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.421(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.60であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、0.772°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.421(mm)である。
【0158】
また、本実施例に係る光学系S5の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.83であり、焦点距離は70.1(mm)であるので、0.630°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.421(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.94であり、焦点距離は70.1(mm)であるので、0.322°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.421(mm)である。
【0159】
また、本実施例に係る光学系S5の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは2.31であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.296°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.421(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.17であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.150°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.421(mm)である。
【0160】
このように、本実施例においては、レンズエレメントB、レンズエレメントAの順に防振係数Kが大きくなる。すなわち、レンズエレメントBよりもレンズエレメントAで像ブレを補正したほうが、より多くの補正が可能となる。上記のように焦点距離が同じでレンズエレメントA、Bの移動量が同じであれば、レンズエレメントBよりもレンズエレメントAの方が多くの量の補正が可能となる。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントBを駆動し、補正量が多くなって所定量に達するとレンズエレメントAを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズ群の移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0161】
以下の表5に、本発明の第5実施例に係る光学系S5の諸元値を掲げる。
【0162】
(表5)第5実施例
[全体諸元]
W M T
f 18.7 70.1 188.0
FNO 3.64 5.60 6.97
TL 130.1 182.0 219.2
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 133.26500 1.4 37.18 1.83400
2) 63.25833 9.2 82.57 1.49782
3) −305.56559 0.12
4) 58.40597 6.4 82.57 1.49782
5) 444.97253 D5
*6) 45.03974 1.2 47.25 1.77377
7) 11.11015 6.4
8) −24.09331 1.0 40.66 1.88300
9) 68.33997 0.15
10) 31.75544 4.22 23.78 1.84666
11) −28.74651 1.05
12) −17.39728 1.0 46.6 1.80400
13) −38.14366 D13
14〉 絞り 1.63
15) 26.85327 3.18 82.57 1.49782
16) −48.92537 0.12
17) 28.73946 4.26 82.57 1.49782
18) −24.20835 0.9 25.4 1.80518
19) −150.19371 D19
20) −200.00000 0.8 52.77 1.74100
21) 19.52804 2.5 25.44 1.80518
22) 66.76603 2.0
23) −500.00000 0.8 54.61 1.72916
24) 68.99538 1.2
25) 184.90012 1.9 63.88 1.51680
26) −57.41433 2.3
27) −29.69333 3.0 82.47 1.49697
*28) −23.59223 0.08
29) 52.67285 4.25 70.31 1.48749
30) −20.13027 1.4
31) −15.95804 1.63 37.18 1.83400
32) −35.63406 BF
像面 ∞
[非球面データ]
面番号:6
κ =−42.8927
A4 =6.52E−05
A6 =−4.25E−07
A8 =2.51E−09
A10=−9.91E−12
A12=1.83E−14
面番号:28
κ =−7.2004
A4 =−7.79E−05
A6 =4.39E−07
A8 =−4.25E−09
A10=3.18E−11
A12=−1.36E−13
[可変間隔データ]
W M T
D5 1.0 36.0 56.8
D13 24.8 8.7 1.0
D19 1.5 1.9 3.7
BF 38.7 71.3 93.5
[各条件式対応値]
fA=−40.1
fB=−82.5
(5) |fA| < |fB| : 40.1<82.5
(6) |fA|/|fB|=0.486
【0163】
図18(a)は、第5実施例に係る光学系S5の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0164】
図19(a)は、第5実施例に係る光学系S5の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0165】
図20(a)は、第5実施例に係る光学系S5の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0166】
各収差図から明らかなように、第5実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0167】
(第6実施例)
図21は、本発明の第6実施例に係る光学系S6の構成を示す図である。
【0168】
図21に示すように、本実施例に係る光学系S6は、図示しない物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSPと、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0169】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズとの接合レンズL11と、両凸レンズL12とから構成されている。
【0170】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が非球面形状になっており、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と、両凸レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とから構成されている。
【0171】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズL32とから構成されている。
【0172】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとの接合レンズL41と、物体側に凹面を向けた凹メニスカスレンズL42と、物体側に凹面を向けた凸メニスカスレンズL43とから構成されている。
【0173】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、像面I側が非球面形状になっており、物体側に凹面を向けた凸メニスカスレンズL51と、両凸レンズL52と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53とから構成されている。
【0174】
像面I上には、CCDやCMOS等から構成された撮像素子(図示省略)が配置されている。また、開口絞りSPは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、広角端状態から望遠端状態への変倍の際に、第3レンズ群G3と共に移動する。
【0175】
本実施例に係る光学系S6は、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、第5レンズ群G5は物体側へ移動する。
【0176】
また、本実施例に係る光学系S6は、第4レンズ群G4内の接合レンズL41と凹メニスカスレンズL42とでレンズエレメントAを構成し、レンズエレメントAとレンズエレメントAの屈折力と異符号の屈折力を有する凸メニスカスレンズL43とでレンズエレメントBを構成し、これらレンズエレメントA、レンズエレメントBをそれぞれ防振レンズ群としている。これら防振レンズ群の何れかを光軸と直交する方向にシフトさせることで撮影画像のブレを防止している。
【0177】
本実施例に係る光学系S6では、光学系S6全系の焦点距離をf、ブレ補正時の防振係数をKとするとき、角度θの回転ブレを補正するには、ブレ補正用のレンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向にシフトさせれば良い。
【0178】
本実施例に係る光学系S6の広角端状態、中間焦点距離、望遠端状態における全系の焦点距離fは、それぞれ18.7(mm)、70.6(mm)、188.0(mm)である(下記表6参照)。各焦点距離におけるレンズエレメントA、Bによるブレ補正量および各レンズエレメントの移動量は、例えば以下のようになる。
【0179】
本実施例に係る光学系S6は、広角端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.06であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、1.446°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.446(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.62であり、焦点距離は18.7(mm)であるので、0.848°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.446(mm)である。
【0180】
また、本実施例に係る光学系S6の中間焦点距離においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.73であり、焦点距離は70.6(mm)であるので、0.631°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.446(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは0.99であり、焦点距離は70.6(mm)であるので、0.360°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.446(mm)である。
【0181】
また、本実施例に係る光学系S6の望遠端状態においては、レンズエレメントAにて像ブレを補正する際の防振係数Kは2.21であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.300°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントAの移動量は0.446(mm)である。また、レンズエレメントBにて像ブレを補正する際の防振係数Kは1.25であり、焦点距離は188.0(mm)であるので、0.169°の回転ブレを補正するためのレンズエレメントBの移動量は0.446(mm)である。
【0182】
このように、本実施例においては、レンズエレメントB、レンズエレメントAの順に防振係数Kが大きくなる。すなわち、レンズエレメントBよりもレンズエレメントAで像ブレを補正したほうが、より多くの補正が可能となる。上記のように焦点距離が同じでレンズエレメントA、Bの移動量が同じであれば、レンズエレメントBよりもレンズエレメントAの方が多くの量の補正が可能となる。したがって、補正量が少ないときはレンズエレメントBを駆動し、補正量が多くなって所定量に達するとレンズエレメントAを駆動させるように制御すれば、補正量が多くなっても防振レンズ群の移動量を増加させずにより多くの補正が可能となる。その結果、広角端状態から望遠端状態に亘り、防振レンズ群を大きくシフトさせることなく、シフト量を適切な量とする制御が可能となる。
【0183】
以下の表6に、本発明の第6実施例に係る光学系S6の諸元値を掲げる。
【0184】
(表6)第6実施例
[全体諸元]
W M T
f 18.7 70.0 188.0
FNO 3.55 5.39 6.91
TL 129.7 182.7 222.5
[面データ]
面番号 r d νd nd
物面 ∞
1) 88.3686 1.4 37.18 1.834
2) 51.2341 9.8 82.57 1.49782
3) 588.9823 0.12
4) 65.0932 6.4 82.57 1.49782
5) −3559.6410 D5
*6) 37.4711 1.2 47.25 1.77377
7) 10.8979 6.4
8) −29.5092 1.0 40.66 1.88300
9) 58.3390 0.15
10) 26.3202 4.22 23.8 1.84666
11) −34.7037 1.05
12) −18.6800 1.0 46.6 1.80400
13) −67.5427 D13
14〉 絞り 1.63
15) 23.9912 3.18 82.57 1.49782
16) −62.5375 0.12
17) 33.2119 4.26 82.57 1.49782
18) −21.0524 0.9 25.45 1.80518
19) −74.2470 D19
20) 358.8111 0.8 52.77 1.74100
21) 18.2134 2.5 25.45 1.80518
22) 45.8626 2.0
23) −50.0000 0.8 54.61 1.72916
24) −254.5612 1.2
25) −248.3650 1.9 65.44 1.60300
26) −49.5474 D26
27) −30.0000 4.0 82.47 1.49697
*28) −20.4714 0.08
29) 43.8397 4.25 70.31 1.48749
30) −31.5343 1.4
31) −16.1983 1.63 37.18 1.83400
32) −30.0990 BF
像面 ∞
[非球面データ]
面番号:6
κ =−30.2672
A4 =7.83E−05
A6 =−5.54E−07
A8 =3.32E−09
A10=−1.18E−11
A12=1.88E−14
面番号:28
κ =−4.9613
A4 =−9.15E−05
A6 =3.67E−07
A8 =−3.27E−09
A10=1.76E−11
A12=−6.39E−14
[可変間隔データ]
W M T
D5 1.0 36.0 56.8
D13 23.9 8.3 1.0
D19 0.9 0.9 1.9
D26 1.8 1.8 2.3
BF 38.7 72.4 96.6
[各条件式対応値]
fA=−42.2
fB=−76.8
(5) |fA| < |fB| : 42.2<76.8
(6) |fA|/|fB|=0.55
【0185】
図22(a)は、第6実施例に係る光学系S6の無限遠合焦時の広角端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該広角端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0186】
図23(a)は、第6実施例に係る光学系S6の無限遠合焦時の中間焦点距離状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該中間焦点距離状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0187】
図24(a)は、第6実施例に係る光学系S6の無限遠合焦時の望遠端状態での諸収差図であり、(b)、(c)は、それぞれ、当該望遠端状態においてレンズエレメントA、レンズエレメントBで像ブレ補正を行ったときのメリディオナル横収差図である。
【0188】
各収差図から明らかなように、第6実施例では、広角端状態から望遠端状態に亘り、優れた結像性能を有することがわかる。
【0189】
以上説明したように、上記各実施例によれば、好適な防振機能を有する光学系を実現することができる。
【0190】
ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0191】
本発明の光学系の数値実施例として4群または5群構成のものを示したが、本発明はこれに限られず、他の群構成(例えば6群等)の光学系を構成することも可能である。具体的には、本発明の光学系の最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、空気間隔で分離された少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0192】
また、本発明の光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、あるいは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としても良い。合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。特に第1または第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。
【0193】
また、本発明の光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面または平面としても良く、あるいは非球面としても良い。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、レンズ加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防止することができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、またはガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも良い。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0194】
また、本発明の光学系の開口絞りSPは防振レンズ群近傍に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
【0195】
また、本発明の光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの光学性能を達成することができる。
【0196】
また、本発明の光学系は、変倍比が3〜20倍程度である。
【0197】
次に、本発明の光学系を備えた光学機器について説明する。
【0198】
図25は、本発明の光学系Sを備えたデジタル一眼レフカメラの概略を示す断面図である。
図25に示すデジタル一眼レフカメラ1において、図示しない物体(被写体)からの光は、光学系Sで集光されて、クイックリターンミラー3を介して集点板5に結像される。そして、集点板5に結像された光は、ペンタプリズム7中で複数回反射されて接眼レンズ9へと導かれる。これにより、撮影者は、物体(被写体)像を接眼レンズ9を介して正立像として観察することができる。
【0199】
また、撮影者によって図示しないレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、光学系Sで集光された物体(被写体)の光は撮像素子11上に被写体像を形成する。これにより、物体からの光は、撮像素子11により撮像され、物体画像としてメモリ(図示省略)に記憶される。このようにして、撮影者はカメラ1による物体の撮影を行うことができる。
【0200】
以上の構成により、本発明に係る光学系Sを備えたデジタル一眼レフカメラ1は、好適な防振機能を備え、諸収差を良好に補正し、高い光学性能を実現することができる。なお、
図25のカメラ1は、撮影レンズを着脱可能に保持するものでも良く、撮影レンズと一体に成形されるものでも良い。また、カメラは、一眼レフカメラでも良く、クイックリターンミラー等を有さないカメラでも良い。
【0201】
次に、本発明の光学系の製造方法について説明する。
【0202】
図26、27は、それぞれ本発明に係る光学系の製造方法の概略を示す図である。
【0203】
本発明の光学系の製造方法は、
図26に示すように、第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有する光学系の製造方法であって、以下の各ステップST1〜ST4を含むものである。
【0204】
ステップST1:前記第2レンズエレメントを前記第1レンズエレメントと前記第1レンズエレメントの屈折力と同符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成する。
【0205】
ステップST2:前記第1レンズエレメントと前記第2レンズエレメントとをそれぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能に配置する。
【0206】
ステップST3:像面補正は前記第1レンズエレメントまたは前記第2レンズエレメントの何れかを前記光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフトさせて行うように構成する。
【0207】
ステップST4:次の条件式(1)を満足するようにする。
【0208】
(1)|fA| > |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは同符号
また、本発明の光学系の製造方法は、
図27に示すように、第1レンズエレメントと第2レンズエレメントとを有する光学系の製造方法であって、以下の各ステップST1〜ST4を含むものである。
【0209】
ステップST1:前記第2レンズエレメントを前記第1レンズエレメントと前記第1レンズエレメントの屈折力と異符号の屈折力を有する他のレンズエレメントとから構成する。
【0210】
ステップST2:前記第1レンズエレメントと前記第2レンズエレメントとをそれぞれ光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフト可能に配置する。
【0211】
ステップST3:像面補正は前記第1レンズエレメントまたは前記第2レンズエレメントの何れかを前記光軸に対して垂直方向の成分を含むようにシフトさせて行うように構成する。
【0212】
ステップST4:次の条件式(5)を満足するようにする。
【0213】
(5)|fA| < |fB|
ただし、
|fA|:第1レンズエレメントの焦点距離の絶対値
|fB|:第2レンズエレメントの焦点距離の絶対値
ただし、fAとfBとは異符号
斯かる本発明の光学系の製造方法によれば、好適な防振機能を備えた光学系を製造することができる。