(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1保持部材及び前記第2保持部材は、ズーム動作時とフォーカス動作時のいずれか一方の動作時において、両方が一体で移動し、いずれか他方の動作時において、一方のみが移動することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態に係るカメラ及び当該カメラが具備するレンズ鏡筒について、
図1〜
図5に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1には、本第1の実施形態に係るカメラ500が模式的に示されている。
図1に示すようにカメラ500は、撮像部200と、レンズ鏡筒100と、を備える。
【0017】
撮像部200は、筐体210と、筐体210内に収容された主鏡212、ペンタプリズム214、接眼光学系216を含む光学系と、焦点検出装置230と、シャッタ234と、撮像素子238と、メインLCD240と、主制御部250と、を有する。
【0018】
主鏡212は、
図1の状態では、レンズ鏡筒100から入射した入射光の大半を上方に配置されたフォーカシングスクリーン222に導く。フォーカシングスクリーン222は、レンズ鏡筒100内の光学系の合焦位置に配置され、レンズ鏡筒100内の光学系により形成された画像を結像させる。
【0019】
ペンタプリズム214は、フォーカシングスクリーン222に結像された画像を、反射した後、ハーフミラー224を介して、接眼光学系216まで導く。これにより、接眼光学系216では、フォーカシングスクリーン222上の映像を正像として観察することができる。この場合、ハーフミラー224は、ファインダLCD226に形成された撮影条件や設定条件等を示す表示画像をフォーカシングスクリーン222の映像に重畳させる。したがって、接眼光学系216の出射端においては、フォーカシングスクリーン222の映像とファインダLCD226の画像とが重ね合わせられた状態を観察することができる。なお、ペンタプリズム214の出射光の一部は、測光部228に導かれ、当該測光部228にて、入射光の強度及びその分布等が測定される。
【0020】
焦点検出装置230は、主鏡212を透過し、かつ主鏡212の裏面側に設けられた副鏡232にて反射された光を用いて、レンズ鏡筒100内の光学系の焦点調整状態(ピント状態)を検出する。なお、主鏡212及び副鏡232は、撮影の際には、レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路から退避するように、
図1に破線にて示す位置まで上昇する。
【0021】
シャッタ234は、主鏡212後方(レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路後方)に配置され、撮影の際には、主鏡212及び副鏡232の上昇動作と連動して、開放動作を行う。シャッタ234が開放された状態では、光学フィルタ236を介して撮像素子238にレンズ鏡筒100からの入射光が入射する。撮像素子238は、入射光が形成する画像を電気信号に変換する。
【0022】
メインLCD240は、その表示画面部分が筐体210の外部に露出した状態となっている。このメインLCD240の表示画面上には、撮像素子238上に形成された映像(撮影された映像)のほか、撮像部200における各種設定情報などが表示される。
【0023】
主制御部250は、上記各部の種々動作を統括的に制御する。また、主制御部250は、撮像部200内の焦点検出装置230が検出した光学系の焦点調整状態の情報を参照して、レンズ鏡筒100内の光学系(レンズL1〜L5)を駆動したり(オートフォーカス)、レンズ鏡筒100内の光学系の動作量を参照して、合焦していることをファインダLCD226に表示したりする(フォーカスエイド)。
【0024】
次に、レンズ鏡筒100の構成について、
図2〜
図5に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図2、
図3には、レンズ鏡筒100の断面図が示されている。これらのうち、
図2は、レンズ鏡筒100が広角端にある状態を示し、
図3は、レンズ鏡筒100が、望遠端までズームされた状態を示す。これらの図に示すように、レンズ鏡筒100は、共通の光軸AX上に配列された1群レンズL1、2群レンズL2、3群レンズL3、4群レンズL4、5群レンズL5を有する。なお、以下においては、光軸AX方向の1群レンズL1側を前側、5群レンズL5側を後側として説明する。
【0026】
レンズ鏡筒100は、
図2、
図3に示すように、固定筒10と、1群レンズL1を保持する1群レンズ摺動筒11と、2群レンズL2を保持する2群レンズ摺動筒12と、3群レンズL3及び5群レンズL5を保持する3,5群レンズ摺動筒13と、4群レンズL4を保持する4群レンズ摺動筒14と、を備える。1群レンズ摺動筒11、2群レンズ摺動筒12、3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14は、それぞれのレンズ(L1〜L5)の外周面に接触することによって、レンズを保持している。
【0027】
固定筒10は、基部10aにおいて、撮像部200に固定される。この固定状態では、固定筒10の撮像部200側の端面10bが撮像部200(
図1の筐体210)に密接することにより、固定筒10、すなわちレンズ鏡筒100が撮像部200に対して位置決めされる。固定筒10は、その内部の上側部分(天井部分)近傍に設けられた突起部60a,60bにおいて、ガイドパイプ36を支持する。また、固定筒10は、その内部の下側部分近傍に設けられた突起部60c,60dにおいて、ガイドバー30Bを支持する。なお、ガイドバー30Bは、突起部60cから2群レンズ摺動筒12側(前側)へ突出した状態となっている。
【0028】
1群レンズ摺動筒11は、当該1群レンズ摺動筒11の内側に設けられたズーム駆動筒16と連動可能に連結されている。具体的には、1群レンズ摺動筒11に植設されたカムピン15が、ズーム駆動筒16に形成されたカム溝16aに係合した状態となっている。
【0029】
一方、ズーム駆動筒16は、レンズ鏡筒100の最外周において光軸AX回りの回転が自在とされたズーム操作環18と連動可能に連結されている。具体的には、ズーム駆動筒16から外側に突設された駆動力伝達ピン19が、ズーム操作環18の内面に形成された光軸AXに平行な操作溝18aに係合している。これにより、ズーム駆動筒16は、ズーム操作環18の回転に連動して回転する。ズーム操作環18は、前後方向への移動ができないようになっており、その外周面には滑り止めのゴム層が設けられている。ズーム操作環18は、変倍動作(ズーミング)の際に、ユーザによって回転されるものである。
【0030】
また、ズーム駆動筒16は、その内側に設けられたズーム用案内筒22に対して回転可能とされている。ズーム用案内筒22には、
図2、
図3の下半部に示すように、カム溝22aが貫通形成され、このカム溝22aと、ズーム駆動筒16に貫通形成された直進溝16bには、固定筒10の内側に設けられたカムリング20に固定された回転連結部材21が係合している。
【0031】
上記構造によると、ズーム操作環18が回転されると、駆動力伝達ピン19の作用によりズーム駆動筒16が回転し、その回転とカムピン15の作用により、1群レンズ摺動筒11が前後方向(光軸AXに沿った方向)に移動する。また、ズーム操作環18の回転により、ズーム駆動筒16が回転すると、この回転力が回転連結部材21を介してカムリング20に伝達するため、カムリング20は回転しながら前後方向に移動する。なお、ズーム用案内筒22は、回転せずに前後方向に移動する。
【0032】
なお、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間には、カバー筒17が設けられている。このカバー筒17は、
図2、
図3に示すように、1群レンズ摺動筒11に連れ従って前後方向に移動して、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間を封止し、レンズ鏡筒100内への塵埃の浸入を防止する。
【0033】
図4(a)は、2群レンズ摺動筒12及びその近傍を取り出して示す図である。この
図4(a)に示すように、2群レンズ摺動筒12は、2群レンズL2を保持する保持筒24と、保持筒24に固定された押さえ環26と、保持筒24の外周を取り囲む状態で設けられた係合筒28と、を有する。保持筒24と押さえ環26とは、ネジ止め等により固定され、2群レンズL2の外縁部を挟持する。
【0034】
係合筒28は、ガイドバー30Aを片持ち支持する。ガイドバー30Aは、固定筒10に支持されたガイドパイプ36にスライド可能に挿入されている。なお、ガイドバー30Aとガイドパイプ36との間は、面接触して無くても良く、ガイドパイプ36の一端部近傍と他端部近傍の2点で点接触しているのみでも良い。
【0035】
また、係合筒28には、
図4(a)及び
図4(a)のA−A線断面図である
図4(b)に示すように、U字溝28a、28bが光軸方向に沿って連続して形成されている。これらのうち、U字溝28aの幅は、固定筒10に保持されたガイドバー30Bの直径と略同一に設定されている。係合筒28では、ガイドバー30BにU字溝28aを係合させることにより、ガイドバー30Aを中心とした回転方向の動きが抑制されている。なお、ガイドバー30Bの突起部60cから2群レンズ摺動筒12側(前側)へ突出する長さ(光軸AX方向の長さ)は、2群レンズ摺動筒12が光軸AX方向に移動しても、U字溝28aと係合し続けることができる程度の寸法とされている。
【0036】
U字溝28bの幅は、U字溝28aの幅よりも大きく(すなわちガイドバー30Bの直径よりも大きく)設定されており、U字溝28bとガイドバー30Bとの接触が回避されている。また、U字溝28bの光軸AX方向の長さは、2群レンズ摺動筒12が光軸AX方向に移動しても、ガイドバー30Bと係合筒28(U字溝28b)とが接触しない程度の寸法とされている。
【0037】
なお、係合筒28には、U字溝28aに代えて、上下方向に長い長円孔を形成しても良い。また、係合筒28には、U字溝28bに代えて、係合筒28とガイドバー30Bとの接触を回避するための切欠きや開口を形成することとしてもよい。
【0038】
なお、ガイドバー30A、30B、及びガイドパイプ36は、光軸AX方向に延在するように設けられており、各レンズL2〜L5に対しての位置関係としては、各レンズL2〜L5の外周面より外側に設けられている。ガイドバー30A、30Bは、光軸AXを挟んで上下対称な位置に配置されている。ガイドバー30A,30Bの材料としては、強度が高く、軽量な材料、例えばステンレスなどを採用することができ、係合筒28とガイドバー30Aとの間は、接着又は圧入などの処理を経て固定されている。ガイドパイプ36の材料としては、ガイドバー30A,30Bと同様、ステンレスなどを採用することができる。ここで、ガイドパイプ36としては、例えば、直径が2〜3mm程度で、厚さ(内径と外径との差)が0.3〜0.4mm程度のものを採用することができる。この場合、ガイドパイプ36の内径とガイドバー30Aとの外径はほぼ一致している。なお、ガイドバー30A、30Bの位置関係は、必ずしも前述のように光軸AXに対して対称な位置関係でなくてもよいが、光軸AXを含む平面に対して、一方が他方の反対側となる位置に配置されるのが好ましい。
【0039】
係合筒28の外周面の一部には、
図4(a)に示すように、突起状のフォロワ28cが形成されている。このフォロワ28cは、係合筒28の外側に設けられた連動リング32の周溝32cと係合している。なお、フォロワ28cは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
【0040】
この周溝32cが形成されている連動リング32には、更に、連動溝32aと、カムフォロワ32bとが形成されている。連動溝32aには、略L字状の形状を有する連動キー34の一端部が係合している。この連動キー34は、
図2、
図3に示す、固定筒10の外周部に設けられたピントリング37に接続されており、ピントリング37の光軸AX回りの回転に伴って、光軸AXを中心とした回転方向に移動する。このように、連動キー34が光軸AXを中心とした回転方向に移動すると、連動リング32が光軸AX回りに回転する。また、連動キー34は、固定筒10のモータ室10c内に設けられたモータ38にも接続されている。したがって、連動リング32は、モータ38の回転動作に伴う連動キー34の光軸AXを中心とした回転方向への移動によっても、光軸AX回りに回転する。
【0041】
カムフォロワ32bは、
図2、
図3に示すように、カムリング20に形成されたカム溝20bに係合している。したがって、連動リング32が回転した場合には、連動リング32及びこれに連結している部材(2群レンズ摺動筒12、ガイドバー30A、2群レンズL2)が、カム溝20bとカムフォロワ32bの作用により、前後方向に移動するようになっている。この前後方向の移動において、連動リング32は、光軸AX回りに回転しながら前後方向に移動するが、ガイドバー30Aがガイドパイプ36の内周面に沿って移動することで2群レンズ摺動筒12を光軸AX方向にガイドするとともに、ガイドバー30Bにより2群レンズ摺動筒12の光軸回りの回転が抑制されているので、2群レンズ摺動筒12及び2群レンズL2は、回転することなく前後方向に移動する。なお、カムフォロワ32bは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
【0042】
図5は、3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14及びその近傍を取り出して示す図である。この
図5に示すように、3,5群レンズ摺動筒13は、3群レンズL3と5群レンズL5とを光軸AX方向に所定間隔あけた状態で保持する。この3,5群レンズ摺動筒13は、ガイドパイプ36に係合する2つの係合部13a,13bと、ガイドバー30Bに係合する1つの係合部13cを有している。
【0043】
係合部13b(及び13a)は、円形の貫通孔を有している。この貫通孔は、ガイドパイプ36とほぼ同径であり、この貫通孔にガイドパイプ36が挿入された状態で、ガイドパイプ36により3,5群レンズ摺動筒13の自重が支持される。ここで、ほぼ同径とは、3,5群レンズ摺動筒13のスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ36と貫通孔の間に形成される寸法を意味する。この場合、ガイドパイプ36の外周面は、3,5群レンズ摺動筒13の光軸AX方向への移動をガイドするためのガイド面とされている。一方、係合部13cは、U字溝を有する。U字溝の幅は、ガイドバー30Bの直径と略同一、すなわち、3,5群レンズ摺動筒13のスライドに支障が無い程度の隙間が形成される寸法に設定されている。3,5群レンズ摺動筒13では、ガイドバー30BにU字溝が係合することにより、ガイドパイプ36を中心とした回転方向の動き(移動動作)が規制されている。なお、係合部13cには、U字溝に代えて、径方向(
図5中で光軸AXと直交する方向)に長い長円孔を形成しても良い。
【0044】
なお、3,5群レンズ摺動筒13の上部には、
図5に示すように、上部開口13dが形成され、下部には、下部開口13eが形成されている。
【0045】
4群レンズ摺動筒14は、3,5群レンズ摺動筒13の内部空間に設けられ、その上端部が3,5群レンズ摺動筒13の上部開口13dから表出し、その下端部が3,5群レンズ摺動筒13の下部開口13eから表出している。4群レンズ摺動筒14の上端部には、ガイドパイプ36に係合する係合部14a,14bが設けられ、下端部には、ガイドバー30Bに係合する係合部14cが設けられている。
【0046】
係合部14a(及び14b)は、円形の貫通孔を有している。この貫通孔は、ガイドパイプ36とほぼ同径、すなわち、4群レンズ摺動筒14のスライドに支障が無い程度の隙間が形成される径であり、この貫通孔にガイドパイプ36が挿入された状態で、4群レンズ摺動筒14の自重が支持されている。この場合、ガイドパイプ36の外周面は、4群レンズ摺動筒14の光軸AX方向への移動をガイドするためのガイド面とされている。一方、係合部14cは、U字溝を有している。このU字溝の幅は、ガイドバー30Bの直径と略同一、すなわち、4群レンズ摺動筒14のスライドに支障が無い程度の隙間が形成される寸法に設定されている。4群レンズ摺動筒14では、ガイドバー30BにU字溝が係合することにより、ガイドパイプ36を中心とした回転方向の動き(移動動作)が規制されている。なお、係合部14cには、U字溝に代えて、径方向(
図5中で光軸AXと直交する方向)に長い長円孔を形成しても良い。
【0047】
上記3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14は、カムフォロワ(不図示)を介してカムリング20のカム溝に係合している。これにより、カムリング20の光軸AX回りの回転動作に連動して、3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14は、前後方向(光軸AX方向)に駆動される。なお、3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14は、前述のようにガイドパイプ36及びガイドバー30Bに係合しているため、光軸AX回りに回転することなく、前後方向にのみ移動する。
【0048】
次に、ズーム動作を行うとき(ズーミング)の1群レンズL1〜5群レンズL5の移動動作、及びピントを合わせるとき(フォーカシング)の1群レンズL1〜5群レンズL5の移動動作について説明する。
【0049】
まず、ズーミングのときの各レンズの移動動作について説明する。ここでは、レンズ鏡筒100が広角端にある状態(
図2)から、望遠端にズームされるまで(
図3)の動作について説明する。
【0050】
図2の状態から、ユーザによりズーム操作環18が回転されると、ズーム駆動筒16が回転し、カム溝16a及びカムピン15を介して、1群レンズ摺動筒11及び1群レンズL1が前方に直進する。また、ズーム操作環18が回転されると、前述したように回転連結部材21等を介してカムリング20が回転される。この回転に伴い、連動リング32にもカムフォロワ32bを介して、回転力と前方向の移動力とが作用するが、連動リング32は、連動溝32aと係合する連動キー34(固定状態)により、前後方向にのみガイドされているので、回転することなく前側に直進する。また、この連動リング32の直進に伴って、連動リング32に係合する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)、及び2群レンズL2が前方向に移動する。
【0051】
更に、カムリング20の回転は、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14(3〜5群レンズL3〜L5)も前(後)方向に移動させる。
【0052】
このように、ズーミングのときには、ズーム操作環18の回転動作に伴って、1〜5群レンズL1〜L5のそれぞれが前(後)方向に、別々の距離(ただし、レンズL3とL5は同一距離)だけ移動するようになっている。
【0053】
次に、フォーカシングのときの各レンズの移動動作について説明する。
【0054】
まず、ピントリング37がユーザにより回転されるか、あるいはモータ38が回転駆動されることにより、連動キー34が光軸AXを中心とする回転方向に移動すると、前述したように、連動キー34に係合する連動リング32が光軸AX回りに回転する。この回転により、連動リング32は、カムフォロワ32bをカムリング20のカム溝20bに沿わせて、前方向にも移動する。そして、この連動リング32の回転方向及び前方向の移動により、連動リング32の周溝32cに係合したフォロワ28cを有する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)及び2群レンズL2も前方向に移動することになる。ここで、カムフォロワ32b及びフォロワ28cは、ガイドバー30Aの近傍に配置されているので、連動リング32及び係合筒28に対して光軸AX方向の駆動力を効率的に作用させることができる。
【0055】
一方、カムリング20は、無回転の固定状態にあるため、1群レンズL1及び3〜5群レンズL3〜L5は前(後)方向に移動しない。
【0056】
このように、フォーカシングのときには、連動キー34の回転動作に伴って、2群レンズL2のみが前(後)方向に移動するようになっている。
【0057】
なお、フォーカシング時のモータ38の回転は、
図1の主制御部250が、焦点検出装置230の検出結果に基づいて制御する。すなわち、主制御部250によるモータ38の回転制御により、オートフォーカスが実行される。なお、レンズ鏡筒100と、撮像部200との間は、レンズ鏡筒100と撮像部200との間に設けられる接続端子により電気的に接続されており、これにより、レンズ鏡筒100(例えばモータ38など)に、撮像部200側から電力が供給されるようになっている。
【0058】
以上説明したように、本第1の実施形態のレンズ鏡筒100は、光軸AX方向に延在し、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14の光軸AX方向への移動をガイドする外周面を有するガイドパイプ36と、光軸AX方向に延在し、2群レンズ摺動筒12に固定され、ガイドパイプ36の内周面に沿って移動することで2群レンズ摺動筒12の光軸AX方向への移動をガイドするガイドバー30Aと、光軸AX方向に延在し、2群レンズ摺動筒12、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14の固定筒10に対する光軸AX方向回りの移動動作を規制するガイドバー30Bとを備えている。これにより、本第1の実施形態では、各レンズ摺動筒12,13,14を、同一軸(ガイドバー30A及びガイドパイプ36)に沿って移動させることができるとともに、各レンズ摺動筒12,13,14の回転方向の移動を同一部材を用いて規制することができる。これにより、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化を図ることが可能である。また、同一軸の部材に各レンズ摺動筒12,13,14の自重を保持させることから、別々の軸を有する部材に各レンズ摺動筒12,13,14を保持させる場合と比べ、レンズL2〜L5の中心あわせを簡易に行うことができる。
【0059】
また、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14は、2群レンズ摺動筒12に設けられたガイドバー30Aとは非接触であるため、フォーカシング時など、2群レンズ摺動筒12が単独で移動するような場合にも、他の摺動筒13,14が、ガイドバー30Aのスライドを妨げることがない。これにより、2群レンズ摺動筒12を移動させるのに必要な力を低減することができるので、モータ38の負担又はピントリング37を回転するユーザの負担を軽減することができる。
【0060】
また、本実施形態では、固定筒10に固定された1本のガイドバー30Bに各レンズ摺動筒12,13,14が接触することで、各レンズ摺動筒12,13,14の光軸AX方向回りの移動動作が規制されている。このように、ガイドバー30Bを固定筒10に固定することで、2群レンズ摺動筒12、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14の安定性を確保することができる。
【0061】
≪第2の実施形態≫
次に、第2の実施形態について
図6及び
図7に基づいて説明する。
図6には、本第2の実施形態に係るレンズ鏡筒100’の断面図が示されている。
図6は、レンズ鏡筒100’が広角端にある状態を示している。なお、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と比較して、レンズ鏡筒の構成が一部異なるのみであるので、以下においてはこの点を中心に説明する。また、上記第1の実施形態と同一又は同等の構成には、同一の符号を付すものとする。
【0062】
本第2の実施形態のレンズ鏡筒100’では、上記第1の実施形態と異なり、ガイドバー30Bが、突起部60cから2群レンズ摺動筒12側(前側)へ突出した状態とはなっていない。また、本第2の実施形態のレンズ鏡筒100’では、ガイドバー30A,30Bに加えて、2群レンズ摺動筒12の係合筒28が片持ち支持するガイドバー30Cが設けられている。
【0063】
ガイドバー30Cは、他のガイドバー30A,30Bと比較して、光軸AX方向の長さが短く設定されている。
図7には、
図6のB−B線断面図が示されている。この
図7に示すように、ガイドバー30Cは、固定筒10の突起部60cに形成されたU字溝160に係合した状態となっている。ここで、U字溝28aの幅は、ガイドバー30Cの直径と略同一に設定されている。これにより、係合筒28のガイドバー30Aを中心とした回転方向の動きが規制されている。なお、ガイドバー30Bの光軸AX方向の長さは、2群レンズ摺動筒12が光軸AX方向に移動しても、U字溝160と係合し続けることができる程度の寸法とされている。
【0064】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、レンズ鏡筒100’がガイドバー30Bとガイドバー30Cを備えており、ガイドバー30Cは、2群レンズ摺動筒12と接触することで2群レンズ摺動筒12の光軸AX回りの回転を規制し、ガイドバー30Bは、レンズ摺動筒13,14と接触することでレンズ摺動筒13,14の光軸AX回りの回転を規制する。これにより、本第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同様、各レンズ摺動筒12,13,14の光軸AX回りの回転を規制しつつ、各レンズ摺動筒12,13,14を光軸AX方向にガイドすることが可能である。また、本第2の実施形態においても、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化を図ることが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、ガイドバー30Cの長さを短く設定することができるので、ガイドバー30Cの加工を精度良く行うことができる。これにより、2群レンズ摺動筒12の移動精度を向上することが可能となる。
【0066】
なお、上記第1、第2の実施形態では、ガイドパイプ36が、固定筒10と別体で構成され、固定筒10によりガイドパイプ36が支持されている場合について説明したがこれに限られるものではない。例えば、ガイドパイプ36と固定筒10とが一体成型されていても良い。
【0067】
また、上記第1、第2の実施形態では、3群レンズL3と5群レンズL5が、共通のレンズ摺動筒13により保持される場合について説明したが、これに限らず、3群レンズL3と5群レンズL5は、別々のレンズ摺動筒により保持されても良い。
【0068】
≪第3の実施形態≫
次に、第3の実施形態について
図8〜
図10に基づいて説明する。
図8、
図9には、本第3の実施形態に係るレンズ鏡筒100”の断面図が示されている。これらのうち、
図8は、レンズ鏡筒100”が広角端にある状態を示し、
図9は、レンズ鏡筒100”が、望遠端までズームされた状態を示す。これらの図に示すように、レンズ鏡筒100”は、共通の光軸AX上に配列された1群レンズL1、2群レンズL2、3群レンズL3、4群レンズL4、5群レンズL5、6群レンズL6を有する。
【0069】
また、レンズ鏡筒100”は、
図8、
図9に示すように、固定筒10と、1群レンズL1を保持する1群レンズ摺動筒11と、2群レンズL2を保持する2群レンズ摺動筒112と、3群レンズL3を保持する3群レンズ摺動筒113と、4群レンズL4を保持する4群レンズ摺動筒114と、5群レンズL5を保持する5群レンズ摺動筒115と、6群レンズL6を保持する6群レンズ摺動筒116と、を備える。なお、4〜6群レンズ摺動筒114〜116については、簡略化して示している。
【0070】
図10は、2群レンズ摺動筒112及び3群レンズ摺動筒113近傍を取り出して拡大して示す図である。本第3の実施形態では、2群レンズ摺動筒112は、保持筒128と、押さえ環126とを有している。また、保持筒128は、ガイドバー130A、130Bを片持ち支持している。
【0071】
一方のガイドバー130Aは、ガイドパイプ36に挿入された状態となっている。この場合、ガイドバー130Aがガイドパイプ36に対してスライドすることで、2群レンズ摺動筒112が光軸AX方向にガイドされるようになっている。
【0072】
ここで、ガイドパイプ36は、
図10に示すように、3群レンズ摺動筒113に形成された貫通孔113a,113bに挿入された状態で、3群レンズ摺動筒113によって保持されている。また、ガイドパイプ36は、固定筒10の突起部60a,60bそれぞれに形成された断面円形の貫通孔260a,260bに挿通された状態となっている。ここで、貫通孔260a,260bの直径は、ガイドパイプ36の直径と略同一とされ、貫通孔260a,260bとガイドパイプ36との間には、ガイドパイプ36のスライドに支障が無い程度の隙間が形成されている。本第3の実施形態では、ガイドパイプ36が、突起部60a、60bの貫通孔260a,260bに対してスライドすることで、3群レンズ摺動筒113が光軸AX方向にガイドされるようになっている。すなわち、突起部60a,60bに形成された貫通孔260a,260bは、ガイドパイプ36をガイドする軸受け部の機能を有している。
【0073】
他方のガイドバー130Bは、
図10に示すように、3群レンズ摺動筒113に形成された長円孔113cに挿通した状態で、かつ固定筒10に設けられた突起部60eに形成されたU字溝170に係合した状態となっている。長円孔113c及びU字溝170の幅(紙面直交方向の幅)は、ガイドバー130Bの幅と略同一となっている。これにより、ガイドバー30Aを中心とした2群レンズ摺動筒112の回転方向の動きが抑制されるとともに、ガイドパイプ36を中心とした3群レンズ摺動筒113の回転方向の動きが抑制されている。
【0074】
また、本第3の実施形態では、2群レンズ摺動筒112の保持筒128に、カム溝128aが形成されており、当該カム溝128aには連動リング32に設けられたカムフォロワ32pが係合している。
【0075】
また、本第3の実施形態では、3群レンズ摺動筒113にカムフォロワ113dが設けられており、当該カムフォロワ113dは、カムリング20に形成されたカム溝20kに係合している。また、3群レンズ摺動筒113には、周方向に沿って周溝113fが形成されており、当該周溝113fには、連動リング32に設けられたカムフォロワ32pが係合している。
【0076】
その他の構成については、上記第1、第2の実施形態と同様となっている。
【0077】
次に、本第3の実施形態のレンズ鏡筒100”においてズーム動作を行うとき(ズーミング)の1群レンズL1〜6群レンズL6の移動動作、及びピントを合わせるとき(フォーカシング)の2群レンズL2の移動動作について説明する。
【0078】
まず、ズーミングのときの各レンズの移動動作について説明する。ここでは、レンズ鏡筒100”が広角端にある状態(
図8)から、望遠端にズームされるまで(
図9)の動作について説明する。
【0079】
図8の状態から、ユーザによりズーム操作環18が回転されると、駆動力伝達ピン19を通じて回転駆動力が伝えられたズーム駆動筒16が回転する。ズーム駆動筒16が回転した場合、1群レンズ摺動筒11は、1群レンズL1とともに光軸AX方向に移動する。また、ズーム駆動筒16が回転した場合、回転連結部材21を介して、カムリング20も光軸AX回りに回転する。そして、カムリング20が回転した場合、カム溝20kに係合するカムフォロワ113dを介して3群レンズ摺動筒113が駆動される。3群レンズ摺動筒113は、ガイドパイプ36に案内されて、3群レンズL3とともに光軸AX方向に移動する。また、光軸AX方向に移動する3群レンズ摺動筒113は、周溝113fを貫通するカムフォロワ32pにも駆動力を伝え、連動リング32および2群レンズ摺動筒112も移動させる。2群レンズ摺動筒112は、ガイドバー130Aがガイドパイプ36にガイドされることで、光軸AX方向に移動する。
【0080】
なお、4〜6群レンズ摺動筒114〜116も、不図示の機構により、前後方向に移動して、相互の間隔が変化するようになっている。
【0081】
このように、ズーミングのときには、ズーム操作環18の回転動作に伴って、1〜6群レンズL1〜L6のそれぞれが前(後)方向に移動するようになっている。これにより、レンズ鏡筒100”全体の焦点距離が変化することになる。
【0082】
次に、フォーカシングのときの各レンズの移動動作について説明する。
【0083】
まず、ピントリング37がユーザにより回転されるか、あるいはモータ38が回転駆動されることにより、連動キー34が光軸AXを中心とする回転方向に移動すると、連動キー34の回転駆動力は、連動リング32に伝達される。この場合、連動リング32の回転に伴って、カムフォロワ32pが固定筒10の周方向に回転し、カムフォロワ32pは、周溝113fおよびカム溝128aの内部を周方向に移動する。
【0084】
ここで、周溝113fは、3群レンズ摺動筒113の周方向に延在するので、カムフォロワ32pが回転しても3群レンズ摺動筒113の光軸AX方向の位置は変化しない。一方、カム溝128aは光軸AXに対して傾斜して形成されるので、2群レンズ摺動筒112は、ガイドバー130A、130Bに案内されて光軸AX方向に移動する。このように、合焦動作においては、2群レンズL2のみが移動し、他のレンズL1、L3〜L6は移動しないようになっている。
【0085】
以上、説明したように、本第3の実施形態によると、ガイドパイプ36が、3群レンズ摺動筒113に固定され、固定筒10に設けられた貫通孔260a,260bにて光軸AX方向にスライド可能に保持されている。このようにしても、上記第1、第2の実施形態と同様、レンズ鏡筒100”内の構造の簡素化を図ることが可能である。
【0086】
また、本第3の実施形態では、ガイドバー130Bが、2群レンズ摺動筒112に固定(片持ち支持)されており、ガイドバー130Bと3群レンズ摺動筒113及び固定筒10の突起部60eとが接触することで、2群レンズ摺動筒112及び3群レンズ摺動筒113の固定筒10に対する光軸AX回り方向への移動動作が規制されている。これにより、簡素な構造で、2つのレンズ摺動筒112,113の回転動作を規制することができる。
【0087】
また、本第3の実施形態では、2本のガイドバー130A,130Bを2群レンズ摺動筒112が保持しているので、2本のガイドバー130A,130Bの精度(平行度など)の確保が容易となる。
【0088】
なお、上記第3の実施形態では、3群レンズ摺動筒113に長円孔113cを形成し、固定筒10に設けられた突起部60eにU字溝170を形成する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、3群レンズ摺動筒113にU字溝を形成しても良いし、突起部60eに長円孔を形成しても良い。
【0089】
なお、上記第3の実施形態では、2本のガイドバー130A、130Bを2群レンズ摺動筒112に保持させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、
図11や
図12に示すような構成(変形例1、2)を採用しても良い。
【0090】
(変形例1)
図11には、ガイドバー130Bが固定筒10の突起部60eに固定されたレンズ鏡筒110の例が示されている。本例では、2群レンズ摺動筒112の保持筒128にU字溝128gを形成するとともに、3群レンズ摺動筒113に長円孔113gを形成し、これらU字溝128g、長円孔113gにガイドバー130Bを接触させている。これにより、本例においても、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本例では、ガイドバー130Bを固定筒10(突起部60e)に固定するので、ガイドバー130Bの安定性を確保することができる。なお、本例では、U字溝128gに代えて2群レンズ摺動筒112の保持筒128に長円穴を形成してもよいし、長円孔113gに代えて3群レンズ摺動筒113にU字溝を形成してもよい。
【0091】
(変形例2)
図12には、ガイドバー130Bが3群レンズ摺動筒113に固定されたレンズ鏡筒110’の例が示されている。本例では、2群レンズ摺動筒112の保持筒128にU字溝128gを形成するとともに、固定筒10の突起部60eに長円孔360を形成し、これらU字溝128g、長円孔360にガイドバー130Bを接触させている。これにより、本例においても、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本例においても、U字溝128gに代えて2群レンズ摺動筒112の保持筒128に長円穴を形成してもよいし、長円孔360に代えて3群レンズ摺動筒113にU字溝を形成してもよい。
【0092】
なお、上記各実施形態では、ズーミングの際に、1〜5群レンズL1〜L5(又は1〜6群レンズL1〜L6)のすべてが光軸AX方向に移動し、フォーカシングの際には、2群レンズL2のみが光軸AX方向に移動する場合(内焦式)について説明したが、これに限られるものではない。例えば、フォーカシングの際に、2群レンズL2以外のレンズのいずれかが光軸AX方向に移動するようにしても良い。このうち、フォーカシングを1群レンズL1の移動により実行する方式は、前玉繰り出し方式と呼ばれる。また、フォーカシングの際に、すべてのレンズ又はこれらのうちの複数のレンズが移動するようにしても良い。このうち、すべてのレンズが移動する方式は全体繰り出し方式と呼ばれる。
【0093】
なお、上記各実施形態では、カムフォロワやフォロワなどの凸状の部材(部分)が設けられた部材に、当該凸状の部材(部分)に代えて、カム溝、周溝などの凹状の部分を設けることとし、カム溝、周溝などの凹状の部分が設けられた部材に、凹状の部分に代えて、カムフォロワやフォロワなどの凸状の部材(部分)を設けることとしても良い。