(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゲート照射は、呼吸などの周期に同期させて照射する。呼吸の周期はある程度規則的であるが、患者の生理的活動に基づくものであり、不規則に変動する場合も有りうる。
【0008】
従来技術では、標的が出射許可範囲から出ると、すぐに荷電粒子ビーム発生装置は減速を開始する。そのため、標的が短時間だけ出射許可範囲から外に出たのち出射許可範囲に戻るような場合(不規則変動)、荷電粒子ビーム発生装置は既に減速を開始しており、標的が出射許可範囲内にあれどもビームを出射できない。効率のよい照射ができないことで、全体の照射時間が長くなり、結果的に治療時間が長くなるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、ゲート照射時に照射対象に不規則変動が生じたときも効率のよい照射を行うことで、照射時間を短縮し、治療時間を短縮できる荷電粒子照射システムおよび荷電粒子照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、荷電粒子の入射、加速、加速終了後における出射可能状態、減速を繰返す荷電粒子ビーム発生装置と、この荷電粒子ビーム発生装置からの荷電粒子ビームを照射対象に出射する照射装置と、前記荷電粒子ビーム発生装置と前記照射装置とを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、照射対象の状態変動を監視する照射対象監視装置からの信号を受信する照射対象状態変動信号受信機能と、この照射対象状態変動に同期して出射許可信号を出力し、出射許可状態を設定する出射許可状態設定機能と、前記荷電粒子ビーム発生装置が出射可能状態にあり、かつ、出射許可状態である場合は、荷電粒子ビーム出射を指令し、前記荷電粒子ビーム発生装置が出射可能状態にあっても、出射許可状態でない場合は、荷電粒子ビーム出射停止を指令する出射制御機能とを有する荷電粒子照射システムにおいて、前記制御装置は、更に、前記出射許可状態終了後に作動し、前記出射許可状態終了後も前記荷電粒子ビーム発生装置の出射可能状態を維持する出射可能状態維持機能を有し、前記出射制御機能は、前記出射可能状態維持機能作動中に、再び出射許可状態になると、再び荷電粒子ビーム出射を指令し、前記出射可能状態維持機能作動終了後は、前記荷電粒子ビーム発生装置の減速を指令する。
【0011】
従来技術においては、出射制御機能は、出射許可状態終了後、出射停止を指令し、直ちに荷電粒子ビーム発生装置の減速を指令する。標的が短時間後に出射許可状態に戻るような場合(不規則変動)でも、荷電粒子ビーム発生装置は既に減速を開始しており、出射許可状態にあれどもビームを出射できない。効率のよい照射ができないことで、全体の照射時間が長くなり、結果的に治療時間が長くなるという課題があった。
【0012】
このような出射可能状態維持機能が作動することにより、出射制御機能は、出射許可状態終了後、出射停止を指令する場合でも、直ちに荷電粒子ビーム発生装置の減速を指令しない。出射可能状態維持機能作動中に、再び出射許可状態になると、出射制御機能は再び荷電粒子ビーム出射を指令する。
【0013】
これにより、効率のよい照射を行い、照射時間を短縮し、治療時間を短縮できる。
【0014】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記出射可能状態維持機能は、設定された待機時間だけ作動する。
【0015】
これにより、荷電粒子ビーム発生装置の出射可能状態は、設定待機時間だけ維持される。設定待機時間経過前に再び出射許可状態になると、出射制御機能は再び荷電粒子ビーム出射を指令する。
【0016】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記出射可能状態維持機能は、前記出射許可状態終了を指令する信号に基づいて、作動開始する。
【0017】
(4)上記(2)において、好ましくは、前記出射可能状態維持機能は、前記荷電粒子ビーム出射停止を指令する信号に基づいて、作動開始する。
【0018】
(3)(4)の構成は、設定待機時間の始点を定めるものである。
【0019】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記出射可能状態維持機能は、前記照射対象の状態変動が設定範囲にある間だけ作動する。
【0020】
これにより、荷電粒子ビーム発生装置の出射可能状態は、照射対象の状態変動が設定範囲にある間だけ維持される。照射対象の状態変動が設定範囲にある間に再び出射許可状態になると、出射制御機能は再び荷電粒子ビーム出射を指令する。
【0021】
(6)上記(1)において、好ましくは、前記出射制御機能は、前記出射許可状態終了を指令する信号を受信後、所定線量を照射した後、荷電粒子ビーム出射停止を指令する。
【0022】
これにより、スポット照射の場合、スポット照射中に照射中断することがなくなる。より簡単な制御となる。
【0023】
(7)上記目的を達成するために、
本発明は、荷電粒子ビーム発生装置と、照射装置と、これらの装置や照射対象監視装置を制御する制御装置とを備えた荷電粒子照射システムの
作動方法であって、
前記制御装置は、前記荷電粒子ビーム発生装置が荷電粒子の入射、加速、加速終了後における出射可能状態、減速を繰返す、出射待機ステップと、前記照射対象監視装置が照射対象の状態変動を監視する照射対象状態変動監視ステップと、前記照射対象状態変動監視ステップで監視した照射対象の状態変動に同期して出射許可状態を設定する出射許可状態設定ステップと、前記出射待機ステップで出射可能状態にあり、かつ、前記出射許可状態設定ステップで出射許可状態である場合は、荷電粒子ビームを荷電粒子ビーム発生装置から出射し、さらに、この荷電粒子ビームを照射装置か
ら出射する出射ステップと、前記出射待機ステップで出射可能状態にあっても、前記出射許可状態設定ステップで出射許可状態でない場合は、出射を停止する出射停止ステップとを
実行する荷電粒子照射
システムの作動方法において、
前記制御装置は、前記出射許可状態設定ステップで出射許可状態が終了した後も、前記荷電粒子ビーム発生装置の出射可能状態を維持する出射可能状態
維持ステップを更に
実行し、前記出射ステップでは、前記出射可能状態
維持ステップで出射可能状態維持中に、前記出射許可状態設定ステップで再び出射許可状態になると、再び荷電粒子ビームを出射し、前記出射待機ステップでは、前記出射可能状態
維持ステップで出射可能状態維持終了後に、前記荷電粒子ビーム発生装置が荷電粒子ビームを減速する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ゲート照射時に照射対象に不規則変動が生じたときも効率のよい照射を行うことで、照射時間を短縮し、治療時間を短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は荷電粒子照射システムの全体構成図である。荷電粒子照射システムは、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2、放射線治療室17及び制御システム7を備える。
【0028】
荷電粒子ビーム発生装置1は、イオン源(図示せず)、ライナック3(前段荷電粒子ビーム加速装置)及びシンクロトロン4を有する。シンクロトロン4は、高周波印加装置5、加速装置6を有する。高周波印加装置5はシンクロトロン4の周回軌道に配置された高周波印加電極8及び高周波印加電源9を備える。高周波印加電極8と高周波印加電源9はスイッチ(図示せず)により接続される。加速装置6はイオンビームの周回軌道に配置された高周波加速空洞(図示せず)及び高周波加速空洞に高周波電力を印加する高周波電源(図示せず)を備える。出射用デフレクタ11がシンクロトロン4とビーム輸送系2を接続する。
【0029】
ビーム輸送系2は、ビーム経路12、四極電磁石(図示せず)、偏向電磁石14,15,16を有する。ビーム経路12が、治療室17内に設置された照射装置21に接続される。
【0030】
治療室17内には略筒状のガントリー(図示せず)が設置されている。ガントリーには、ビーム輸送系2の一部である偏向電磁石15,16及び照射装置21が設置されている。ガントリーの内部にはカウチ24と呼ばれる治療用ベッドとベッド上の照射対象25の動きを計測する照射対象監視装置66が設置されている。
【0031】
ガントリーは、モーターにより回転可能な構造をしている。ガントリーの回転と共に偏向電磁石15,16と照射装置21が回転する。この回転により、照射対象25をガントリーの回転軸に垂直な平面内のいずれの方向からも照射することができる。
【0032】
図2は、照射装置21の構成図である。照射装置21は、走査電磁石31、走査電磁石32、ビーム位置検出器33および線量モニタ34を有する。本実施形態の荷電粒子照射システムにおいては、照射装置21が2台の走査電磁石31,32を備え、ビーム進行方向と垂直な面内の二つの方向(X方向,Y方向)にそれぞれイオンビームを偏向し、照射位置を変更する。ビーム位置検出器33は、イオンビームの位置とイオンビームの広がりを計測する。線量モニタ34は、照射されたイオンビームの量を計測する。照射対象25内には照射標的37があり、イオンビームを照射することで照射標的を覆うような線量分布を照射対象25内に形成する。ここで癌などの治療の場合は、照射対象25は人であり照射標的37は腫瘍(患部)である。
【0033】
図3は、標的の深さとイオンビームのエネルギーとの関係を説明する図である。
図3(a)は、単一エネルギーのイオンビームが照射対象内に形成する線量分布を深さの関数として示している。
図3(b)は、複数エネルギーのイオンビームが照射対象内に形成する線量分布を深さの関数として示している。
図3(a)におけるピークをブラッグピークと称する。ブラッグピークの位置はエネルギーに依存するため、照射標的の深さに合わせイオンビームのエネルギーを調整することでブラッグピークの位置で照射標的を照射することができる。照射標的は深さ方向に厚みを持っているが、ブラッグピークは鋭いピークであるので、
図3(b)に表すようにいくつかのエネルギーのイオンビームを適切な強度の割合で照射し、ブラッグピークを重ね合わせることで深さ方向に照射標的と同じ厚みを持った一様な高線量領域(SOBP)を形成する。
【0034】
図4は、ビーム軸に垂直な方向(XY平面の方向)の照射標的の横方向の広がりとイオンビームの関係について説明する図である。ビーム軸に垂直な方向を横方向と呼ぶ。イオンビームは照射装置21に達した後、互いに垂直に設置された二台の走査電磁石31,32により横方向の所望の位置へと到達する。イオンビームの横方向の広がりはガウス分布形状で近似することができる。ガウス分布を等間隔で配置し、その間の距離をガウス分布の標準偏差程度にすることで、足し合わされた分布は一様な領域を有する。このように配置されるガウス分布状の線量分布をスポットと呼ぶ。イオンビームを走査し複数のスポットを等間隔に配置することで横方向に一様な線量分布を形成することができる。
【0035】
以上により、走査電磁石による横方向へのビーム走査と、ビームエネルギー変更による深さ方向へのブラッグピークの移動により均一な照射野を形成することができる。なお、同一のエネルギーで照射され、走査電磁石によるイオンビーム走査により横方向へ広がりを持つ照射野の単位をスライスと呼ぶ。
【0036】
図1に戻り、照射計画装置41および付随する構成に付いて説明する。
【0037】
照射計画装置41は、イオンビームを照射標的37に照射する前に、照射に必要な各パラメータを決定する。パラメータの以下のように決定される。
【0038】
予め照射対象25をX線CT装置40にて撮影する。また、X線CT装置40に取り付けられた照射対象監視装置66と同等の装置(図示せず)から出力される患者の移動信号を取得する。X線CT装置40は、取得した撮像データに基づいて照射対象25の画像データを作成し、画像データを照射計画装置41に送信する。照射計画装置41は、受け取った画像データを表示装置(図示せず)の画面上に表示する。オペレータが画像上で照射したい領域を指定すると、照射計画装置41は照射に必要なデータを作成しそのデータで照射したときの線量分布を求める。照射計画装置41は、求めた線量分布を表示装置に表示する。照射したい領域は照射標的37を覆うように指定する。照射計画装置41は、指定された領域に線量分布を形成できるような照射対象の設置位置、ガントリー角度、照射パラメータを求めて決定する。また、照射計画装置41はカウチ24の初期位置を決定する。また、取得した移動信号から出射許可範囲を決定する。
【0039】
照射パラメータには、イオンビームのエネルギー、ビーム軸に垂直な平面内の位置情報(X座標,Y座標)、各位置に照射するイオンビームの目標照射量が含まれる。つまり、照射計画装置41は、オペレータが入力した患者情報に基づいて照射標的(患部)37を深さ方向の複数のスライスに分割し、必要となるスライス数Nを決定する。また、照射計画装置41はそれぞれのスライス(スライス番号i)の深さに応じた照射に適したイオンビームのエネルギーEiを求める。照射計画装置41は、さらに、各スライスの形状に応じてイオンビームを照射する照射スポットの数Ni,スポット番号j,各スポットの照射位置(Xij,Yij),各スポットの目標照射量Dijを決定する。
【0040】
照射計画装置41は決定したこれらの情報をデータベース42に送信する。データベース42は照射計画装置41から出力されたデータを記録する。
【0041】
図5は、データベース42に登録される照射パラメータのデータ構造である。照射パラメータはスライス数Nと各スライスのデータを持つ。各スライスのデータはスライス番号i,エネルギーEi,スポット数Ni,各スポットのデータから構成される。スポットのデータはさらにスポット番号j,照射位置(Xij,Yij),目標照射量Dijから構成される。
【0042】
図1に戻り、荷電粒子照射システムの制御システムに係る構成に付いて説明する。
【0043】
照射対象監視装置66は標的37の移動、又は移動と連動するものを計測できる機器である。例えば患者の体表の動きを計測するレーザー距離計、患者の吐く息の量を計測する呼吸量測定器、患者の腹に巻いたベルトの圧力を計測する装置などである。これらの方法を用いる場合、治療前に予め測定器の出力と標的の位置との関係を求めておく必要がある。また、照射対象監視装置66は、標的37付近に刺入されたマーカーの位置をX線撮影により求める、或いは標的37そのものの位置をX線撮影により直接求める装置でもよい。なお、照射対象監視装置66は荷電粒子照射システムに含まれる一構成としてもよいし、荷電粒子照射システムに別途付加する構成でもよい。
【0044】
照射対象監視装置66は、照射対象監視制御装置65により制御される。照射対象監視制御装置65は照射対象監視装置66からの移動信号を受信してその信号と出射許可範囲を比較し出射許可信号を出力する。出射許可範囲は予め設定されており、照射計画装置から送信される。又はオペレータにより指定されてもよい。出射許可信号には出射許可開始信号と出射許可終了信号がある。出射許可開始信号が出力されてから出射許可終了信号が出力されるまでの間が、出射許可状態として設定される。照射対象監視制御装置65は、制御システム7の一装置としてもよい。
【0045】
制御システム7は、データベース(記憶装置)42、中央制御装置46、加速器制御装置47及び照射制御装置48を備える。データベース42は接続された照射計画装置41に接続されている。照射計画装置41が作成する照射に必要なデータはデータベース42に記録される。
【0046】
中央制御装置46は、加速器制御装置47及び照射制御装置48に接続される。また、中央制御装置46は、データベース42に接続される。中央制御装置46は、データベース42からデータを受け取り、加速器制御装置47と照射制御装置48に必要な情報を送信し、これらの装置を制御する。
【0047】
加速器制御装置47は、荷電粒子ビーム発生装置1、ビーム輸送系2及びガントリーに接続され、これらを制御する。たとえば、荷電粒子ビーム発生装置1が荷電粒子の入射、加速、加速終了後における出射可能状態、減速を繰返すように制御し、出射可能状態において荷電粒子ビーム発生装置1が荷電粒子ビームを出射するように制御する。照射制御装置48は、走査電磁石31,32に流れる励磁電流量の制御と照射装置21内の各モニタ信号を処理する。
【0048】
中央制御装置46は、様々な演算処理機能を有し、その1つとしてゲート照射機能46aを有する。ゲート照射機能46aは、荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあり、かつ、出射許可状態である場合は、荷電粒子ビーム出射を指令し、荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあっても、出射許可状態でない場合は、荷電粒子ビーム出射停止を指令する。
【0049】
中央制御装置46は、本実施形態の特徴的機能として、出射可能状態維持機能46bを有する。出射可能状態維持機能46bは、照射対象監視制御装置65から出射許可終了信号を受信すると、設定待機時間だけ待機する。その結果、設定待機時間だけ、荷電粒子ビーム発生装置1の出射可能状態が維持される。
【0050】
ゲート照射機能46aは、設定待機時間中に照射対象監視制御装置65から出射許可開始信号を再受信すると、再び荷電粒子ビーム出射を指令する。出射許可開始信号を再受信しなければ、設定待機時間経過後、加速器制御装置47に荷電粒子ビーム発生装置1の減速を指令する。
【0051】
なお、ゲート照射機能46aおよび出射可能状態維持機能46bの処理内容は、制御フロー(
図6および
図7)とともに詳述する。
〜制御〜
照射制御を行うために、照射対象25をカウチ24上に設置し、照射計画装置41が指定した位置にカウチ24と照射対象25を移動する。
【0052】
図6は、照射対象監視制御装置65および中央制御装置46の処理内容を示す制御フローである。説明の便宜の為、加速器制御装置47と照射制御装置48の処理内容は簡略化して示す。
【0053】
照射対象監視制御装置65の処理内容について説明する。
【0054】
照射対象監視制御装置65は、照射対象監視装置66から取得する移動信号と出射許可範囲を比較する(ステップS121)。なお、出射許可範囲は、オペレータが照射前に指定してもよいし、予め照射計画装置41が生成したものを使用してもよい。
【0055】
ステップ121において移動信号が出射許可範囲内に入ると、出射許可開始信号を中央制御装置46に送信する(ステップS122)。移動信号が出射許可範囲外のときは、ステップS121の判定が肯定されるまで待機する。
【0056】
その後、照射対象監視装置66から取得する移動信号と出射許可範囲を比較し(ステップS123)、ステップS123において移動信号が出射許可範囲外に出るとにおいて出射許可終了信号を中央制御装置46に送信する(ステップS124)。
【0057】
以降、この制御処理を照射完了まで繰り返す。出射許可開始信号が出力されてから出射許可終了信号が出力されるまでの間が、出射許可状態として設定される。
【0058】
中央制御装置46の処理内容について説明する。
【0059】
中央制御装置46は、オペレータの指示を入力し、照射開始信号を加速器制御装置47と照射制御装置48に送信する(ステップS101)。さらに、
ビームを入射するため加速器制御装置47に対し入射信号を送信し(ステップS102)、ビームを加速するため加速器制御装置47へ加速信号を送信する(ステップS103)。
【0060】
ここで、ステップS101〜103に対応する加速器制御装置47の処理内容について簡単な説明を挿入する。
【0061】
加速器制御装置47は、中央制御装置46を介してデータベース42から照射パラメータの他、ガントリー角度情報を受信する。加速器制御装置47は、受け取ったガントリー角度情報に基づいてガントリーを所望のガントリー角度へ移動する。また、照射パラメータに基づいて各スライスのエネルギーEiに対応したシンクロトロン4とビーム輸送系2の電磁石を励磁する励磁電流量、高周波印加装置5が印加する高周波の値、加速装置6に印加する高周波の値を設定する。
【0062】
加速器制御装置47は入射信号を受信すると、イオン源を起動する。イオン源で発生したイオン(例えば陽子(又は炭素イオン))は、ライナック3に入射される。ライナック3は、イオンを加速して出射する。ライナック3からのイオンビームは、シンクロトロン4へ入射される。
【0063】
加速器制御装置47は加速信号を受信すると、シンクロトロン4の電磁石と加速装置6を制御し、ライナック3から入射されたイオンビームをスライス番号1のエネルギーE1まで加速する。つまり、加速器制御装置47は荷電粒子ビーム発生装置1を制御し、イオンビームを所望のエネルギーまで加速する。この加速は、高周波電源から高周波加速空洞に高周波を印加すること(シンクロトロン4を周回するイオンビームに、高周波電力によってエネルギーを与えること)によって行われる。また、加速器制御装置47はビーム輸送系2の電磁石の励磁量を制御し、加速したイオンビームを照射装置21へ輸送できる状態とする。この状態を出射可能状態と呼ぶ。
【0064】
中央制御装置46の処理内容の説明にもどる。
【0065】
中央制御装置46は、出射可能状態を認識すると、照射対象監視制御装置65からの出射許可開始信号受信の有無を判定する(ステップS104)。ステップS104において、出射許可開始信号受信がないときは、出射許可開始信号を受信するまで待機する。出射許可開始信号を受信すると、出射開始信号を照射制御装置48に送信する(ステップS105)。
【0066】
その後、中央制御装置46は、出射許可終了信号受信の有無(ステップS106)、線量満了信号受信の有無(ステップS107)、最大出射可能時間経過の真否(ステップS108)のいずれかの判定が肯定されるまで待機する(出射継続を指令する)。
【0067】
ステップS107またはステップS108の判定が肯定されると、照射制御装置48に出射停止信号を送信する(ステップS109)とともに、ビームを減速するため加速器制御装置47へ減速信号を送信する(ステップS110)。なお、ステップS107の線量満了信号は照射制御装置48から受信する信号である。ステップS108の最大出射可能時間は加速されたビームを出射可能状態に維持できる最大の時間である。最大出射可能時間はビームを出射した時間を含む。
【0068】
本実施形態の特徴的制御について説明する。
【0069】
出射継続中において、照射対象監視制御装置65からの出射許可終了信号受信の有無を判定する(ステップS106)。ステップS106において出射許可終了信号を受信した場合、出射停止信号を照射制御装置48に送信する(ステップS111)。
【0070】
その後、出射許可開始信号再受信の有無(ステップS112)、設定待機時間経過の真否(ステップS113)、最大照射時間経過の真否(ステップS114)のいずれかの判定が肯定されるまで待機する(出射停止継続を指令する)。
【0071】
ステップS112において、照射対象監視制御装置65からの出射許可開始信号を再受信した場合、ステップ105に戻り照射制御装置48に出射開始信号を再送信する。
【0072】
ステップS113において、出射許可終了信号受信後、設定待機時間を経過すると、ステップS110に進み、ビームを減速するため加速器制御装置47へ減速信号を送信する。設定待機時間は、出射許可終了信号受信から減速開始までの最大待機時間であり、オペレータが照射前に設定してもよいし、予め照射計画装置41が生成したものを使用してもよい。設定待機時間は照射毎に変更してもよいし一度決めた値を使用し続けてもよい。
【0073】
ステップS114において、最大出射可能時間を経過すると、ステップS110に進む。
【0074】
ここで、ステップS110に対応する加速器制御装置47の処理内容について簡単な説明を挿入する。
【0075】
加速器制御装置47は減速信号を受信すると、減速および入射の準備のため、シンクロトロン4の電磁石の励磁量を小さくし、ライナック3からのビームを入射できる状態にする。
【0076】
中央制御装置46の処理内容の説明にもどる。
【0077】
中央制御装置46は、照射制御装置48を参照し、照射パラメータに記載されたスポットで照射されていない残りスポットがあるか否か判定する(ステップS115)。残りスポットがあれば、ステップ102に戻り、ビームを入射し、ステップ103において次に照射するスポットのエネルギーまでビームを加速する。残りスポットがなければ、照射完了信号を加速器制御装置47と照射制御装置48に送信する(ステップS116)。
【0078】
図7は照射制御装置48の処理内容を示す制御フローである。説明の便宜の為、中央制御装置46と加速器制御装置47の処理内容は簡略化して示す。
【0079】
照射制御装置48は、中央制御装置46から照射開始信号を受信すると、照射装置21の制御を開始する(ステップS201)。スライス番号i=1,スポット番号j=1から照射を開始する(ステップS202)。
【0080】
照射制御装置48は、スライス1,スポット1に対応する中央制御装置46が計算した励磁電流値で走査電磁石31及び走査電磁石32を励磁する。これにより照射準備が整う(ステップS203)。
【0081】
照射準備完了後、中央制御装置46からの出射開始信号受信の有無を判定する(ステップS204)。ステップS204において、出射開始信号受信がないときは、出射開始信号を受信するまで待機する。出射開始信号を受信すると、加速器制御装置47へ出射信号を送信する(ステップS205)。
【0082】
ここで、ステップS205に対応する加速器制御装置47の処理内容について簡単な説明を挿入する。
【0083】
加速器制御装置47は出射信号を受信すると、高周波印加装置5を制御してシンクロトロン4からのイオンビームの出射を開始する。つまり、スイッチを繋ぎイオンビームに高周波印加装置5により高周波を印加する。安定限界内でシンクロトロン4内を周回していたイオンビームは、安定限界外に移行し、出射用デフレクタ11を通ってシンクロトロン4から出射される。出射されたイオンビームはビーム輸送系2を通過して照射装置21へ入射する。
【0084】
照射装置21内において、イオンビームは、走査電磁石31,32で走査された後、ビーム位置検出器33,線量モニタ34を通過して照射標的37に到達し、所定の線量を付与して停止する。
【0085】
照射制御装置48の処理内容の説明にもどる。
【0086】
その後、照射制御装置48は、出射停止信号受信の有無(ステップS206)、目標照射量到達の真否(ステップS207)、のいずれかの判定が肯定されるまで待機する(出射継続を指令する)。
【0087】
ステップS207において、照射制御装置48は、線量モニタ34から受け取った信号から照射量を線量カウンタでカウントする。線量カウンタの値が目標照射量まで達すると、スポットjへの照射は完了したと判断し、出射を停止するため加速器制御装置47に停止信号を送信する(ステップS208)。
【0088】
そして、同一スライス内に残りスポットがあるか否か判定する(ステップS209)。ステップS209において、残りスポットがあれば、すなわちj<Niならば、jの値を1増やしてステップ203に進み、次のスポットを照射する(ステップS212)。スポット照射を繰り返し、残りスポットがなければ、すなわちj=Niならば、スライスiへの照射は完了したと判断し、中央制御装置46に線量満了信号を送信する(ステップS210)。
【0089】
そして、残りスライスがあるか否か判定する(ステップS211)。ステップS211において、残りスライスがあれば、すなわちi<Nならば、iの値を1増やしてステップ203に進み、次のスライスを照射する(ステップS214)。これを繰り返し、残りスライスがなければ、すなわちi=Nならば、全スライスへの照射は完了したと判断し、照射が完了する(ステップS215)。
【0090】
本実施形態のようなゲート照射においては、ステップS206の判定が肯定されると、すなわち出射停止信号を受信すると、出射を停止するため加速器制御装置47に停止信号を送信する(ステップS213)。そして、ステップS204に戻り、次の出射開始信号を受信するまで待機する。
【0091】
ここで、ステップS208およびステップS213に対応する加速器制御装置47の処理内容について簡単な説明を挿入する。
【0092】
加速器制御装置47は停止信号を受信すると、高周波印加装置5を制御して出射を停止する。つまり。高周波印加電極8と高周波印加電源9をつなぐスイッチを切り高周波の印加を停止することによりシンクロトロン4からのイオンビームの出射が停止する。
【0093】
〜請求項との対応関係〜
照射対象監視制御装置65および照射対象監視制御装置65によるステップS122とステップS124の処理は、照射対象25の状態変動に同期して出射許可開始信号および出射許可終了信号を出力し、出射許可状態を設定する出射許可状態設定機能を構成する。
【0094】
中央制御装置46のゲート照射機能46aおよび中央制御装置46によるステップS104とステップS105とステップS106とステップS111の処理は、荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあり、かつ、出射許可状態である場合は、荷電粒子ビーム出射を指令し、荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあっても、出射許可状態でない場合は、荷電粒子ビーム出射停止を指令する出射制御機能を構成する。
【0095】
中央制御装置46の出射可能状態維持機能46bおよび中央制御装置46によるステップS113の処理は、出射許可終了信号受信後、設定待機時間だけ作動し、出射許可状態終了後も荷電粒子ビーム発生装置1の出射可能状態を維持する出射可能状態維持機能を構成する。
【0096】
中央制御装置46のゲート照射機能46aおよび中央制御装置46によるステップS112とステップS105とステップS110の処理は、出射可能状態維持機能46b作動中、すなわち待機中に、再び出射許可状態になると、再び荷電粒子ビーム出射を指令し、出射可能状態維持機能46b作動終了後、すなわち、設定待機時間経過後は、荷電粒子ビーム発生装置の減速を指令する出射制御機能を構成する。
【0097】
〜動作〜
本実施形態に係る荷電粒子照射システムの動作についてケース1〜3にわけて説明する。
【0098】
図8は、荷電粒子照射システムの動作について説明する概念図である。横軸は時間を示す。縦軸は、上段から移動信号、出射許可範囲、出射許可状態、加速器励磁量、待機時間経過、ビーム出射について示している。
【0099】
標的37の位置を表す移動信号が出射許可範囲にある時間において出射許可状態が設定される。出射許可状態は、出射許可開始信号が出力されてから出射許可終了信号が出力されるまでの時間に設定される。
【0100】
加速器励磁量はシンクロトロン4の偏向電磁石の励磁量を表す。励磁量が小さいときにビームをシンクロトロンに入射し、ビームを加速し、励磁量が大きくなり一定になっているときビームを出射することができる。この状態を出射可能状態と呼ぶ。出射可能状態において、出射許可開始信号によりビームの出射が開始される。出射許可終了信号によりビームの出射を停止した後、(本実施形態では、更に設定時間経過後)加速器励磁量を下げて減速し、次のビームの入射準備を開始する。
【0101】
(ケース1:通常出射)
荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあり、出射許可開始信号受信によりビームの出射が開始される(S101→S102→S103→S122→S104→S105)。
【0102】
スポットスキャニング照射法では、一のスポットにおいて目標線量を照射し、スポット照射が完了すると、次のスポット照射を行う。出射許可状態にある間は、スポット照射を繰り返す(S105→S204→S205→S206→S207→S208→S209→(S203〜S209繰り返し))。
【0103】
(ケース2:ゲートOFF→出射停止→減速)
規則的な移動信号により、規則的に出射許可終了信号が出力される。出射許可終了信号受信によりビームの出射が停止される(S124→S106→S111→S206→S213→(S204繰り返し))。
【0104】
一方、出射許可終了信号受信により、出射可能状態維持機能46bが作動する。すなわち、設定待機時間が経過するまでは、荷電粒子ビーム発生装置1は出射可能状態を維持する。待機中に出射許可開始信号が再受信されず、設定待機時間を経過すると、出射可能状態維持機能46bは作動終了となる。荷電粒子ビーム発生装置1はビームを減速する(S111→(S112→S113→S114繰り返し)→S112→S113→S110)。
【0105】
(ケース3:ゲートOFF→出射停止→出射再開)
照射中に、不規則的に出射許可終了信号が出力されることもある。出射許可終了信号受信によりビームの出射が停止される(S124→S106→S111→S206→S213→(S204繰り返し))。
【0106】
一方、出射許可終了信号受信により、出射可能状態維持機能46bが作動し、荷電粒子ビーム発生装置1は出射可能状態を維持する。待機中に出射許可開始信号が再受信されると、ビームの出射が再開される(S111→(S112→S113→S114繰り返し)→S112→S105→S204→S205)。
【0107】
〜効果〜
従来技術と比較しながら、本実施形態の効果について説明する。従来技術に係る荷電粒子照射システムは、本実施形態の特徴的構成である出射可能状態維持機能46bを有していない。
【0108】
図9は、従来技術に係る中央制御装置46の処理内容を示す制御フローである。
図6と同じ処理には同じ符号を付す。
【0109】
中央制御装置46は、出射継続中において、照射対象監視制御装置65からの出射許可終了信号受信の有無を判定する(ステップS106)。ステップ106において出射許可終了信号を受信した場合、出射停止信号を照射制御装置48に送信する(ステップ1109)とともに、ビームを減速するため加速器制御装置47へ減速信号を送信する(ステップS110)。
【0110】
図10は、従来技術に係る荷電粒子照射システムの動作について説明する概念図である。
図8のケース3に対応するケースについて説明する。
【0111】
荷電粒子ビーム発生装置1が出射可能状態にあり、出射許可開始信号受信によりビームの出射が開始される(S101→S102→S103→S122→S104→S105)。出射許可状態にある間は、スポット照射を繰り返す(S105→S204→S205→S206→S207→S208→S209→(S203〜S209繰り返し))。
【0112】
これにより、図示エリアaにおけるスポット照射が行われる。
【0113】
照射中に、不規則的に出射許可終了信号が出力されることもある。出射許可終了信号受信によりビームの出射が停止される(S124→S106→S109→S206→S213→(S204繰り返し))。
【0114】
一方、出射許可終了信号受信により、直ちに荷電粒子ビーム発生装置1はビームを減速する(S124→S106→S109→S110)。
【0115】
その結果、図示エリアbにおけるスポット照射を行うことができない。効率のよい照射ができないことで、全体の照射時間が長くなり、結果的に治療時間が長くなるという課題があった。
【0116】
図8に戻り、本実施形態のケース3におけるビーム出射再開後の動作について説明する。
【0117】
出射許可開始信号再受信により、ビームの出射が再開し、スポット照射を繰り返す(S112→S105→S204→S205〜S209→(S203〜S209繰り返し))。
【0118】
規則的な移動信号により、規則的に出射許可終了信号が出力される。出射許可終了信号受信によりビームの出射が停止される(S124→S106→S111→S206→S213→(S204繰り返し))。
【0119】
その結果、図示エリアb’におけるスポット照射が行われる。効率のよい照射を行うことで、照射時間を短縮し、治療時間を短縮できる。
【0120】
〜変形例〜
本発明は、上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。
【0121】
1.出射可能状態維持機能46bの作動開始時点に関し、各種変形ができる。上記実施形態の出射可能状態維持機能46bは、ステップS124において、照射対象監視制御装置65から出射許可終了信号を受信すると、受信時から設定待機時間だけ待機するものであるが、例えば、ステップS111において、出射停止信号を照射制御装置48に送信すると、送信時から設定待機時間だけ待機するものでもよい。
【0122】
2.出射許可状態の設定に関し、各種変形ができる。上記実施形態の照射対象監視制御装置65は、出射許可開始信号出力から出射許可終了信号出力までの間を出射許可状態と設定しているが、継続して出射許可信号を出力をするものとし、出射許可信号出力開始から出射許可信号出力終了までの間を出射許可状態と設定してもよい。
【0123】
3.本実施形態は照射方法としてスポットスキャニング照射法を前提として説明したが、散乱体によりビームの分布を拡大する2重散乱体法、散乱体で広げたビームを円形に走査するワブラー法にも適用できる。
【0124】
<第2実施形態>
図11は第2実施形態に係る中央制御装置46の処理内容を示す制御フローである。
図6と同じ処理には同じ符号を付す。
【0125】
第1実施形態の出射可能状態維持機能46bは、出射許可終了信号受信後、設定待機時間だけ作動するものであったが(
図6のS113)、第2実施形態の出射可能状態維持機能46bは、出射許可終了信号受信後、減速開始指令信号受信まで(すなわち、移動信号が出射許可範囲外になってから減速開始指令値を超えるまでの範囲にある間)作動するものとしてもよい(
図11のS113A)。
【0126】
照射対象監視制御装置65は、ステップS124において出射許可終了信号を中央制御装置46に送信した後、移動信号が出射許可範囲外に設定された減速開始指令値を超えたか否かを判定し(ステップS125)、移動信号が減速開始指令値を超えると、減速開始指令信号を中央制御装置46に送信する(ステップS126)。
【0127】
図12は、第2実施形態に係る荷電粒子照射システムの動作について説明する概念図である。
【0128】
標的37の位置を表す移動信号が出射許可範囲にある時間において出射許可状態が設定される。荷電粒子ビーム発生装置1がビームを加速し、出射可能状態とする。更に、出射許可開始信号によりビームの出射が開始される(ケース1)。
【0129】
出射許可終了信号によりビームの出射が停止される一方、出射可能状態維持機能46bが作動し、荷電粒子ビーム発生装置1は出射可能状態を維持する(待機)。
【0130】
標的37の位置を表す移動信号が減速開始指令値を超えると、減速開始指令信号が出力される。
【0131】
待機中に出射許可開始信号が再受信されず、減速開始指令信号が受信されると、出射可能状態維持機能46bは作動終了となる。荷電粒子ビーム発生装置1はビームを減速する(ケース2)。
【0132】
照射中に、不規則的な出射許可終了信号受信によりビームの出射が停止される。一方、出射許可終了信号受信により、出射可能状態維持機能46bが作動し、荷電粒子ビーム発生装置1は出射可能状態を維持する。待機中に出射許可開始信号が再受信されると、ビームの出射が再開される(ケース3)。
【0133】
第2実施形態に係る荷電粒子照射システムの動作は、第1実施形態と同じであり、同じ効果が得られる。
【0134】
<第3実施形態>
図13は第3実施形態に係る照射制御装置48の処理内容を示す制御フローである。
図7と同じ処理には同じ符号を付す。
【0135】
第1実施形態においては、スポット照射中に出射停止信号を受信すると、出射を停止している(S206→S213)が、スポット照射を完了させてから、待機状態に移行してもよい。すなわち、本実施形態においては、ステップS206およびステップS213の処理は不要である。
【0136】
ひとつのスポットの照射時間が短くその時間内の標的の移動が無視できるような場合、スポット照射の途中で照射を停止しないことで、第1実施形態に比べ、制御が簡単になる。