【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業(CREST)「アニマルウォッチセンシングシステムの開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、加速度センサは、センサの質量部分の変位を、静電容量の変化、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化、歪ゲージ、圧電効果による電荷の変化等により、加速度を計測している。近年、このような加速度センサは、MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いて小型化が図られている。
【0003】
上記したような加速度センサのうち、静電容量や抵抗変化を検出するタイプのものにおいては、加速度を計測するためには駆動電力を必要とする。すなわち、常時電圧を印加しておき、通常時の静電容量や抵抗を基準として、静電容量や抵抗の変化を検出する。このため、加速度センサの用途によっては、加速度の計測対象に取り付けた場合、電源の確保が問題となる。特にこのような加速度センサを、動物に装着するような用途の場合、外部から電力を供給したり、バッテリの充電や交換を行うのは困難である。さらにこのような用途においては、電源を含めた加速度センサ全体を小型化・軽量化する必要があるために、大型のバッテリ等を備えることもできない。
【0004】
そこで、本発明者らは、加速度に応じて変形する変形部材の表面に、変形部材の変形に応じて電荷を発生する圧電材料部を複数備えるとともに、これら圧電材料部を電気的に直列に接続した加速度センサを既に提案した(特許文献1参照。)。この加速度センサにおいては、圧電材料部から印加された電圧が予め定めた設定電圧を超えたときに信号を発する信号処理回路を複数備え、これら信号処理回路は、直列に接続された複数の圧電材料部のうち、互いに異なる少なくとも2つの圧電材料部に接続した。そして、複数の信号処理回路のそれぞれにおいては、基準電位と、その信号処理回路が接続された圧電材料部との間に直列に接続されている圧電材料部の数に応じた電圧が印加されるようになっている。
このような加速度センサにおいては、加速度が作用すると変形部材が変形し、これにともない圧電材料部がその変形量に応じた電荷を発生する。そして、この圧電材料部は複数が電気的に直列に接続されているので、基準電位側からの配置(順番)によって、基準電位との間に直列に接続されている圧電材料部から印加される電圧が異なる。信号処理回路に圧電材料部から印加された電圧が設定電圧を超えた場合、信号処理回路は信号を発するが、この信号を発した信号処理回路を認識することで、作用した加速度の程度(レベル)を得ることができるものとなっている。つまり、複数の信号処理回路から発する信号に基づいて、加速度をデジタル的に測定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような加速度センサについて、本発明者らが研究を継続したところ、圧電材料部の直列接続による出力電圧の増幅が、必ずしもリニアにならないという問題があることを見出した。
その原因を追及したところ、複数の圧電材料部間において、その膜厚や、圧電材料部が形成されるシリコン基板表面に形成される絶縁膜(SiO
2)と、その表面に形成されるPt、Ti等からなる配線層との間に形成される寄生容量等に、ばらつきがあることが影響していることが判明した。
これらの影響により、特定の加速度を上回ったときに信号が切り替わるよう、直列接続された複数の圧電材料部の中から選定された圧電材料部に対し、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor ;相補型金属酸化膜半導体)インバータ等からなる信号処理回路を接続しても、実際にセンサを作動させると、前記の特定の加速度を上回っても、出力電圧が設計通りに変化せず、信号が切り替わらない、といった現象が生じた。
【0007】
また、用途に応じて、信号が切り替わる加速度を変更する場合には、直列接続された複数の圧電材料部の中から、信号処理回路を接続する圧電材料部を変更する必要がある。これには、基板上の配線を変更しなければならず、手間とコストがかかるという問題がある。
【0008】
加えて、
図8に示すように、基板1上に、絶縁膜2、下部電極層3を介して形成された複数の圧電材料部5A、5B、…を直列接続するには、圧電材料部5Aを覆う絶縁膜6に形成された開口に露出する上部電極7と、隣接する圧電材料部5Bの下方に位置する下部電極層3とを、配線パターン8によって接続する必要がある。このとき、配線パターン8は、圧電材料部5A、5Bによる段差を乗り越えて形成されるため、その作成プロセスが複雑化、困難化し、品質の安定性の確保が難しく、コストもかかる。
【0009】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、精度の高い加速度検出を行うことができ、また、検出する加速度を変更する場合にも容易かつ低コストに対応することのできる加速度センサ等を提供することを目的とする。
他の目的は、その作成プロセスを容易かつ確実なものとすることのできる加速度センサ等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的のもと、本発明の加速度センサは、加速度に応じて変形する変形部材と、変形部材の表面に形成され、変形部材の変形に応じて電荷を発生する圧電材料部と、圧電材料部で発生した電荷量に応じて得られる電圧が印加され、印加された電圧が予め定めた設定電圧を超えたときに信号を発する
複数のスイッチ回路を有した信号処理部と、を備える。そして、信号処理部は、複数のスイッチ回路を並列に備え、これら複数のスイッチ回路
は、設定電圧が互いに異なり、複数の前記スイッチ回路は、それぞれ、
一端が前記圧電材料部に接続されて前記電荷量に応じた電圧が印加される単一のキャパシタ又は抵抗と、前記単一のキャパシタ又は抵抗の他端に入力端子が接続されており、前記単一のキャパシタ又は抵抗を介して入力される電圧がしきい値を超えたか否かに応じて異なる論理値のデジタル信号を出力する単一のスイッチ本体とからなる。
ここで、前記信号処理部は、前記複数のスイッチ回路において前記単一のキャパシタ又は抵抗の値が互いに異なり、かつ、前記スイッチ本体の前記しきい値が同一である構成とすることで、互いに前記設定電圧が異なる前記複数のスイッチ回路からなる構成であり、前記単一のキャパシタ又は抵抗に対して正負の基準電圧源からの正負の基準電圧と前記圧電材料部からの電圧とを切り替え入力することなく、前記圧電材料部からの電圧のみを前記単一のキャパシタ又は抵抗に印加し、その印加電圧に応じた論理値のデジタル信号を前記スイッチ本体から出力することを特徴とする。
【0012】
ところで、変形部材は、当該変形部材を制御する制御回路を備えたチップ基板上に積層した構成とすることができる。
この場合、圧電材料部が複数個備えられるとともに、これら複数個の圧電材料部が直列に接続されたとき、互いに前後する一方の圧電材料部の上部電極と、他方の圧電材料部の下部電極とを、ワイヤーボンディングにより形成された配線により接続するのが好ましい。
これにより、圧電材料部による段差を乗り越えた配線を行う必要ない。
【0013】
また、本発明は、管理対象となる鳥に装着され、少なくとも加速度を測定するとともに、測定の結果をデータとして無線送信するセンサと、センサから送信されたデータに基づき、鳥の健康状態に異常が生じているか否かの判定を行う判定装置と、を備え、センサが、上記したような加速度センサを備えることを特徴とする鳥インフルエンザ監視システムとすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設定電圧の異なる複数のスイッチ回路を用いることで、変形部材や圧電材料部のばらつきの影響を受けることもなく、精度の高い加速度検出を行うことができる。また、検出する加速度のレベルを変更する場合にも、スイッチ回路を構成するキャパシタや抵抗、スイッチ本体等の交換をすればよいだけなので、容易かつ低コストに対応することができる。
また、本発明によれば、圧電材料部による段差を乗り越えた配線を行う必要ないため、その作成プロセスが容易であり、品質の安定性の確保、低コスト化を図ることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による鳥インフルエンザ監視システム100を概念的に描いた図である。
図1に示すように、鳥インフルエンザ監視システム100は、管理区域110内で管理される鳥(生体)に装着されるセンサ120、管理区域110内をカバーするように1つ又は複数個設置される中継局130、管理区域110内に設置される全ての中継局130を集中制御する中継局コントローラ140、送受信装置150、制御装置(判定コンピュータ)160などから構成される。
【0017】
管理区域110は、鳥舎等、鳥を飼育するために設けられたものである。
管理区域110内においては、センサ120と中継局130との間は無線により通信が行われる。
【0018】
センサ120は、鳥の姿勢や行動、バイタルサインなどを検出するセンサ群と、検出処理回路、通信回路、電源およびパワーマネージメントデバイスを高密度集積化した、鳥の健康状態をモニタするためのシステムインパッケージである。
このセンサ120における測定データは無線により送信される。送信された測定データは中継局130によって受信され、さらに、中継局コントローラ140に転送される。
【0019】
中継局130と中継局コントローラ140とは、無線又は有線の各種通信ネットワークを介して接続される。中継局コントローラ140は、管理区域110に設置される中継局130のみならず、他の管理区域112や114の中継局も制御し、これらの中継局で受信されたセンサ120のデータを集めて送受信装置150へと転送する。
送受信装置150は、各種通信ネットワークを介してセンサ120の測定データを制御装置160へと送信する。
【0020】
制御装置160は、ハードウエア的にはコンピュータ装置であり、必要な機能を備えたソフトウエアを汎用のコンピュータにインストールすることで実現することができる。このため制御装置160の多くの機能は、一般的なコンピュータが備えている、CPUやメモリ、ネットワークアダプタ、モデム等のハードウエアと、ソフトウエアとの協働によって実現されている。
この制御装置160は、センサ120から送信された測定データに基づき、鳥インフルエンザの発生の有無を監視している。そして、センサ120から送信された測定データが、鳥インフルエンザの発生を示すものであると判定された場合には、その判定結果、すなわち鳥インフルエンザが発生したことを表す情報を、アラームの出力、印刷物のプリントアウト、予めインプットされた送付先への電子メールの送信等によって出力することもできる。制御装置160は管理区域110の近辺に設置されていてもよいが、全く離れた遠隔地に設置されていても良い。
【0021】
次に、
図2を用いてセンサ120の構成について説明する。
図2はセンサ120の構成を示す図である。
図2に示すように、センサ120は、例えば、所定の物理量を測定するセンサ部210と、センサ120として所定の動作を行うように各部をコントロールするためのICとメモリとから構成される回路からなるセンサ制御部220と、センサ制御部220の動作に必要な電力を蓄えるバッテリやコンデンサ等からなる蓄電部230と、中継局130との間で電波の送受信を行うための通信制御を行うための通信制御部240と、アンテナ250とを、薄帯状(フィルム状)、薄板状の基板上に実装した超小型ネットワークセンサチップである。
このようなセンサ120は、MEMS加工技術を用いることで、数cm四方以内の小型なものとすることができる。
【0022】
センサ部210は、少なくとも加速度を測定する。本実施の形態においては、センサ部210として、加速度センサ210Aに加え、対象物の温度(体温)を検出する温度センサ210Tを備えることもできる。
【0023】
図3は、センサ部210において、加速度を検出するための加速度センサ210Aの構成を示す図である。
この
図3に示すように、加速度センサ210Aは、加速度センサ210Aに作用した加速度に応じて変形する変形部材211と、変形部材211の変形に応じて電荷を発生する圧電材料部212と、圧電材料部212で発生した電荷量に応じて得られる電圧が印加される信号処理回路(信号処理部)213とを備えている。
【0024】
ここで変形部材211としては、例えばカンチレバー211aと錘211bとからなるカンチレバー式のものを用いることができる。カンチレバー式の変形部材211においては、加速度が作用すると、錘211bの質量が加わっているカンチレバー211aが、作用した加速度に応じた変形量で撓み変形する。このような変形部材211は、シリコン基板をMEMS技術により所定形状に形成することで得ることができる。変形部材211としては、加速度に応じて変形を生じるものであれば、カンチレバー式に限らず、ダイヤフラム式等、他のタイプのものを採用しても良い。
【0025】
また、変形部材211が形成されたシリコン基板201は、チップパッケージ200上に積層して設けるのが好ましい。
図4は、シリコン基板201のチップパッケージ200への積層例を示すものである。
例えば、
図4(a)に示すように、シリコン基板201は、チップパッケージ200上に、センサ制御部220を構成するチップと並べて実装し、これらをワイヤーボンディングによる配線250により電気的に接続することができる。
また、
図4(b)に示すように、チップパッケージ200の表面に、センサ制御部220を構成するチップを実装し、その上にシリコン基板201を積層した構成とすることもできる。この場合、チップパッケージ200、シリコン基板201、センサ制御部220は、ワイヤーボンディングによる配線251により電気的に接続することができる。また、
図4(c)に示すように、チップパッケージ200の表面に、センサ制御部220、シリコン基板201を同様に積層し、シリコン基板201、センサ制御部220に設けた電極パッド253により、これらを電気的に接続することもできる。
図4(b)、(c)に示す構成では、センサ120をコンパクトな構成とすることができる。
【0026】
圧電材料部212は、変形部材211の表面に形成された圧電薄膜からなる。このような圧電薄膜を形成する材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)材料のほか、BaTiO
3、ZnO、AlN、水晶、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の周知の圧電材料を用いることが可能である。このような圧電材料部212は、作用した加速度に応じて変形部材211が変形すると、その変形量に応じた電荷を発生する。つまり、作用した加速度が大きいほど、圧電材料部212では大きな電荷を発生する。発生した電荷と、圧電材料部212における負荷容量によって、圧電材料部212で得られる電圧が決まる。
【0027】
このような圧電材料部212を備えた変形部材211は、加速度センサ210Aにおいて、圧電材料部212どうしが電気的に直列に接続されて複数が備えられた構成とすることもできる。その場合、互いに隣接する圧電材料部212を直列に接続するには、
図5に示すように、チップパッケージ200上に形成された配線パターンの電極部254と、圧電材料部212の下部電極212aと、シリコン基板201に形成された圧電材料部212の上部電極212bと、をワイヤーボンディングによる金配線255により容易に接続することができる。
【0028】
信号処理回路213は、
図6に示すような回路構成を有している。すなわち、この
図6に示すように、圧電材料部212の出力側が複数のスイッチ回路216A、216B、216Cに分岐され、それぞれには、キャパシタ214と、CMOSインバータ215とが直列に設けられている。
ここで、各スイッチ回路216A、216B、216Cにおいて、キャパシタ214A、214B、214Cの容量は互いに異なったものに設定されている。
この信号処理回路213は、センサ制御部220を構成するIC中に設けることができる。
【0029】
このような信号処理回路213においては、変形部材211の圧電材料部212からの電圧が印加される。各スイッチ回路216A、216B、216Cにおいては、キャパシタ214A、214B、214Cの容量が互いに異なるので、CMOSインバータ215A、215B、215Cに印加される電圧は互いに異なる。
信号処理回路213においては、CMOSインバータ215A、215B、215CがONに切り替わる設定電圧は予め統一されている。つまり印加された電圧が設定電圧を上回ればCMOSインバータ215A、215B、215CはONとなる。
【0030】
加速度センサ210Aに加速度が作用し、変形部材211が変形するに伴い、圧電材料部212からは、各スイッチ回路216A、216B、216Cに同じ電圧が印加される。信号処理回路213では、圧電材料部212から出力される電圧の大きさに応じ、CMOSインバータ215A、215B、215Cのうち、ONになるものの数が異なることになる。
このような構成により、作用した加速度によって印加される電圧は異なるので、センサ制御部220においては、CMOSインバータ215A、215B、215Cのうち、ONになるものの数を認識することで、加速度をデジタル的に決定することができる。
【0031】
信号処理回路213が接続されたセンサ制御部220においては、信号処理回路213からの信号がOFFからON、あるいはONからOFFに切り替わると、OFFからON、あるいはONからOFFに切り替わったこと、およびその時刻情報をメモリに記憶させ、所定のタイミングで、記憶したそれらの情報を、中継局130を介して制御装置160に送信するようになっている。
【0032】
このような加速度センサ210Aにおいては、作用した加速度によって、圧電材料からなる圧電材料部212が直接電荷を発生させるため、待機中の消費電力がほぼ0である。
そして、一つの圧電材料部212から出力される、加わった加速度の大きさに応じた電圧の大きさを、スイッチ回路216A、216B、216Cに設けられたCMOSインバータ215A、215B、215Cで判定するので、従来のように複数の圧電材料部を直列接続した場合のように、圧電材料部の膜厚や寄生容量のばらつきの影響を受けることなく、精度良く加速度を検出することが可能となる。
また、用途に応じて、信号がONに切り替わる加速度の設定値を変更する場合には、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を変更するだけでよいため、容易かつ低コストで設定値変更に対応することができる。
【0033】
また、変形部材211に備えた圧電材料部212を直列に備えることで、加速度が作用したときの発電量を高めることができるので、この加速度センサ210Aをより高感度なものとすることができる。このとき、各圧電材料部212は、ワイヤーボンディングにより配線して直列に接続できるので、センサ120の製造プロセスを容易かつ確実なものとすることができ、品質の安定化を容易に図れる。
【0034】
また、このようなセンサ120を鳥に装着して無線で監視することにより、鳥の行動を妨げることなく、多数の鳥の行動を低コスト且つオンラインでモニタリングすることが可能となる。これによって鳥の健康状態を容易に把握し、感染症の発生などの非常事態も迅速に発見することができる。さらに、このような加速度センサ210Aは、MEMS技術によって小型に形成することができ、また消費電力を抑えることでバッテリを小型化し、軽量化を図ることが可能となる。
【0035】
以上、本願発明の好適な実施態様について例を挙げて説明してきたが、本願発明は、その範囲を逸脱することなく、ここで説明した実施態様の他にも様々な実施態様を取りうることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を互いに異ならせる構成としたが、これは、交流電源を用いる場合である。直流電源を用いる場合、キャパシタ214A、214B、214Cに替えて抵抗をそれぞれ設け、その抵抗値を互いに異ならせればよい。
またキャパシタ214A、214B、214Cの容量や、抵抗の抵抗値を、スイッチ回路216A、216B、216C間で共通とし、CMOSインバータ215A、215B、215Cにおいて出力信号がONとなる設定電圧(しきい値)が互いに異なるものを用いても良い。
もちろん、3系統のスイッチ回路216A、216B、216Cを設ける構成としたが、これを2系統、あるいは4系統以上とすることも可能である。
【0036】
例えば、センサ120は、鳥インフルエンザの発生の監視以外の用途にも用いることが可能である。例えば、養鳥用・牧畜用・野生動物用等、その用途に応じて大きさ・センサの種類・通信機の出力等を専用設計されてもよい。
また、センサ120を、動物ではなく、他の用途での加速度の測定に用いることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【実施例1】
【0037】
ここで、上記構成について実証実験を行ったのでその結果について示す。
まず、
図3に示したようなセンサ120を用意した。変形部材211は、単結晶シリコンからなる厚さ400μmのシリコン基板からMEMS技術によりエッチングすることにより、長さ1.65mm、幅2mm、厚さ5μmのカンチレバー式とした。変形部材211のカンチレバー211aの基端部の表面に、Pb:Zr:Ti=100:52:48の組成比のPZT材料からなる圧電材料部212を、長さ1.65mm、幅1.98mm、厚さ3μmで形成した。このような変形部材211上に設けられた圧電材料部212は、共振周波数109Hzにおいて2V/gの出力電圧の感度を有する。
このような圧電材料部212に、
図6に示すように、信号処理回路213を接続し、キャパシタ214A、214B、214Cの容量を、22pF、33pF、330pFとした。
【0038】
このようなセンサ120に、加振器により、1.0m/s
2未満、1.0〜2.5m/s
2、2.5〜5.0m/s
2、5.0m/s
2以上の加速度を与えた。
このときの、CMOSインバータ215A、215B、215CのON・OFF状態、信号処理回路213からの出力信号(デジタル信号)を
図7および表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
図7および表1に示すように、加速度の増大にともない、圧電材料部212からの出力電圧変動が大きくなると、CMOSインバータ215C、215B、215Aの順に、ON状態となった。これにより、加速度が大きくなるほど、ON状態となるCMOSインバータ215A、215B、215Cの数が増え、加速度のレベルをデジタル値として段階的に検出することができることが確認された。