特許第5896752号(P5896752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5896752
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】半導体パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20160317BHJP
【FI】
   H01L23/12 F
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-6442(P2012-6442)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-145849(P2013-145849A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】夜久 亨
(72)【発明者】
【氏名】水野 研
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−236039(JP,A)
【文献】 特開2002−353578(JP,A)
【文献】 特開2004−363171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に直線部を有する半導体素子と、前記半導体素子を支持する基板と、を有する半導体パッケージであって、
前記基板の表面に、前記半導体素子の直線部と接して前記半導体素子の位置を規制する箔体の位置決めパターンが形成されており、
前記位置決めパターンは前記半導体素子の前記外周部の1つの直線部のみと接しており、前記位置決めパターンが接している直線部の端部の位置と前記位置決めパターンの端部の位置が一致していることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
請求項1において、
前記半導体素子は前記外周部に前記直線部として互いに直角をなす第1の直線部及び第2の直線部を有しており、前記位置決めパターンが前記第1の直線部及び前記第2の直線部のいずれか一方の直線部と接していることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記位置決めパターンは複数の位置決めパターン要素に分断されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記基板の表面に箔体の配線パターンが更に形成されており、前記位置決めパターンと前記配線パターンは材料及び厚さが同じであることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項5】
外周部に直線部を有する半導体素子を支持するための基板の表面に前記半導体素子の位置を規制するための箔体の位置決めパターンであって、該位置決めパターンは前記半導体素子の前記外周部の1つの直線部のみと接しており、前記位置決めパターンが接している直線部の端部の位置と前記位置決めパターンの端部の位置が一致しているものを形成するパターン形成工程と、
前記半導体素子の前記直線部を前記位置決めパターンに当接させることにより前記半導体素子の位置を規制しつつ前記半導体素子を前記基板の表面に設置する半導体素子設置工程と、
を有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【請求項6】
請求項において、
前記パターン形成工程において前記位置決めパターンと共に前記位置決めパターンと材料及び厚さが同じ配線パターンも前記基板の表面に形成することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子と半導体素子を支持する基板とを有する半導体パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体パッケージの基板の表面には銅等の箔体の配線パターンが形成されており、半導体素子は基板上の所定の位置に位置決めされて設置され半導体素子の端子が基板の配線パターンに直接的に又はワイヤボンディング線を介して間接的に接続されている。このような半導体パッケージは多くの場合、黒色の樹脂によって半導体素子の部分が封止されているが(例えば、特許文献1参照)、例えば光学式変位検出用のフォトダイオードアレイを有する受光素子等の光学系の半導体素子を備える半導体パッケージのように半導体素子の部分が透明の樹脂によって封止されたものもある。このような光学系の半導体素子を備える半導体パッケージは基板上における半導体素子の位置が変位検出精度等にも影響するため、基板上における高精度な半導体素子の位置決めが要求されることがある。
【0003】
基板上に半導体素子を高精度で位置決めして設置する手法としては基板及び半導体素子をカメラで撮像してそれぞれの位置や姿勢を検出し、位置や姿勢のズレを補正しつつ半導体素子を基板の表面に設置する手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、基板及び半導体素子をカメラで撮像してそれぞれの位置や姿勢のズレを補正するためにはチップマウンタのような設備が必要である。一方、例えば光学系の半導体素子を備える半導体パッケージのように比較的生産数が少ない半導体パッケージの場合、チップマウンタのような設備を導入することはコスト的に困難なことがある。又、半導体素子は半導体ウェハから分割される際に外周部にチッピングと称される不定形な破断部が形成されてしまうことがある(例えば、特許文献3参照)。チッピングが形成されている半導体素子の外周部の形状に基づいて半導体素子の位置や姿勢を検出すると位置や姿勢の検出精度が低下してしまうことがある。
【0004】
又、基板及び半導体素子に撮像用のマークを形成してそれぞれの位置や姿勢を検出する手法も知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら半導体素子の種類によっては撮像用のマークを形成することが困難なことがある。例えば、半導体素子がフォトダイオードアレイを有する受光素子である場合、フォトダイオードアレイを設置したい領域と撮像用のマークを形成したい領域とが重複してしまうことがある。尚、フォトダイオードアレイを設置したい領域と重複しないよう、撮像用のマークを本来形成したい領域とは別の領域に撮像用のマークを形成すると半導体素子の位置や姿勢の検出精度が低下してしまうことがある。
【0005】
これに対し、半導体素子や基板に位置決め用の孔や切欠きを形成し、これらに位置決め用の治具を係合させて半導体素子を基板上に位置決めする手法が知られている(例えば特許文献5、6参照)。又、基板上に位置決め用の突部を取付け、この突部に半導体素子を当接させることにより半導体素子を基板上に位置決めする手法が知られている(例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3292723号公報
【特許文献2】特公昭62−57098号公報
【特許文献3】特開2002−333309号公報
【特許文献4】特開平2−12847号公報
【特許文献5】特開平9−236454号公報
【特許文献6】特開2003−42811号公報
【特許文献7】特開平9−189515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体素子や基板に位置決め用の孔や切欠きを形成して位置決め治具を係合させる手法の場合、半導体素子の位置決め精度を高めるためには孔や切欠きを高精度で形成する必要があり、このような高精度な孔や切欠きの形成のために加工時間が増大したりコストが増大するという問題がある。又、位置決め用の突部を基板上に取付ける手法の場合も、半導体素子の位置決め精度を高めるためには位置決め用の突部を基板上に高精度で取付ける必要があり、位置決め用の突部の基板上への高精度な取付けのために加工時間が増大したりコストが増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、基板上への半導体素子の高精度な位置決めを低コストで実現可能な半導体パッケージ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外周部に直線部を有する半導体素子と、半導体素子を支持する基板と、を有する半導体パッケージであって、基板の表面に、半導体素子の直線部と接して半導体素子の位置を規制する箔体の位置決めパターンが形成されており、前記位置決めパターンは前記半導体素子の前記外周部の1つの直線部のみと接しており、前記位置決めパターンが接している直線部の端部の位置と前記位置決めパターンの端部の位置が一致している半導体パッケージにより上記課題を解決したものである。
【0010】
又、本発明は、外周部に直線部を有する半導体素子を支持するための基板の表面に半導体素子の位置を規制するための箔体の位置決めパターンであって、該位置決めパターンは前記半導体素子の前記外周部の1つの直線部のみと接しており、前記位置決めパターンが接している直線部の端部の位置と前記位置決めパターンの端部の位置が一致しているものを形成するパターン形成工程と、半導体素子の直線部を位置決めパターンに当接させることにより半導体素子の位置を規制しつつ半導体素子を基板の表面に設置する半導体素子設置工程と、を有する半導体パッケージの製造方法により上記課題を解決したものである。
【0011】
箔体の位置決めパターンは箔体の配線パターンと同様の工程で基板の表面に高精度で形成できる。この位置決めパターンに半導体素子の直線部を当接させることにより半導体素子を基板の表面に高精度で位置決めして設置できる。従って、半導体素子の高精度な位置決めを低コストで実現可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板上への半導体素子の高精度な位置決めを低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1参考形態に係る半導体パッケージの半導体素子の設置部分の構造を模式的に示す平面図
図2図1のII−II線に沿う断面図
図3】半導体素子が設置される前の同半導体パッケージの半導体素子の設置部分の構造を模式的に示す平面図
図4】位置決めパターンの厚さが半導体素子の外周部のチッピングの底面からの高さよりも薄い形態を拡大して模式的に示す断面図
図5】同チッピングが形成された外周部が同位置決めパターンに当接した状態を拡大して模式的に示す断面図
図6】同チッピングが形成された外周部が同位置決めパターンに乗り上げた状態を拡大して模式的に示す断面図
図7】位置決めパターンの厚さが半導体素子の外周部のチッピングの底面からの高さよりも厚い形態を拡大して模式的に示す断面図
図8】同チッピングが形成された外周部が同位置決めパターンに当接した状態を拡大して模式的に示す断面図
図9】同半導体パッケージの製造方法の概要を示すフローチャート
図10】L字形状の位置決めパターンの内側の角部にエッチングフィレットが形成されている場合の半導体素子の当接状態を拡大して模式的に示す平面図
図11】L字形状の位置決めパターンの内側の角部にノッチが形成されている場合の半導体素子の当接状態を拡大して模式的に示す平面図
図12参考形態に係る半導体パッケージの半導体素子の設置部分の構造を模式的に示す平面図
図13】半導体素子が設置される前の同半導体パッケージの半導体素子の設置部分の構造を模式的に示す平面図
図14】同半導体素子が基板上に設置される際の接着剤の挙動の例を模式的に示す断面図
図15】本発明の実施形態に係る半導体パッケージの半導体素子の設置部分の構造を模式的に示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して参考形態及び本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1及び2に示されるように、第参考形態に係る半導体パッケージ10は、外周部12に直線部を有する半導体素子14と、半導体素子14を支持する基板16と、を有しており、基板16の表面に、半導体素子14の直線部と接して半導体素子14の位置を規制する箔体の位置決めパターン18が形成されていることを特徴としている。他の構成については本参考形態及び実施形態の理解のために特に重要とは思われないため説明を適宜省略することとする。
【0015】
半導体素子14は光学式変位検出用のフォトダイオードアレイを有する受光素子である。より詳細には半導体素子14は矩形で外周部12に互いに直角をなす第1の直線部20A及び第2の直線部20Bを有している。尚、半導体素子14の外周部12における第1の直線部20A及び第2の直線部20Bと対辺の関係にある部分も直線部である。図1に示されるように半導体素子14が長方形である場合、フォトダイオードアレイの方向(フォトダイオードの列方向)は半導体素子14の長手方向と一致していることが好ましい。半導体素子14の厚さは概ね0.05〜0.7mmの範囲であり、厚さは半導体素子の製造プロセスコスト、歩留まり等を考慮して適宜選択される。尚、半導体素子14は半導体ウェハから切断される際に外周部12に欠損や表層膜の剥離のようなチッピングと称される不定形な破断部が形成されてしまうことがあり、例えば外周部12の底面側の部分が欠損してしまうことがある。このような欠損は極力小さいことが好ましく、欠損が生じる範囲が底面から10μm未満になるように切断工程の加工条件等が考慮されている。
【0016】
基板16の材料は例えば紙−フェノール、紙−エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、テフロン(登録商標)、アルミナ、LTCC等の公知の材料である。
【0017】
位置決めパターン18の材料は銅箔やアルミ箔等の箔体である。図3に示されるように位置決めパターン18は平面視においてL字形状であり、図1に示されるように第1の直線部20A及び第2の直線部20Bの両方の直線部と接している。半導体素子14が長方形であり、位置決めパターン18が長さの異なる2つの直線部からなるL字形状である場合、図1に示されるように位置決めパターン18の長い方の直線部が半導体素子14の長い方の直線部(第2の直線部20B)に接していることが好ましい。又、L字形状の位置決めパターン18の内側の角部には半導体素子14の角部から離れる側に凹む形状のノッチ22が形成されている。尚、上記のように半導体素子14の外周部12にはチッピングと称される不定形な破断部が形成されてしまうことがあり、図4に示されるように位置決めパターン18の厚さAが半導体素子14の外周部12の欠損部分の底面からの高さKよりも薄い場合、図5に示されるように半導体素子14は外周部12の欠損部分において位置決めパターン18に当接することとなる。又、図6に示されるように位置決めパターン18に半導体素子14が乗り上げてしまうこともある。従って、半導体素子14の位置決め精度の低下の原因となる。これに対し、図7に示されるように位置決めパターン18の厚さAが半導体素子14の外周部12の欠損部分の底面からの高さKよりも厚い場合、図8に示されるように半導体素子14は外周部12の欠損が生じていない部分において位置決めパターン18に当接することとなり、半導体素子14を基板16上に正確に位置決めできる。上記のように半導体素子14の外周部12の欠損が生じる範囲が底面から10μm未満になるように半導体素子の切断工程が考慮されているので、位置決めパターン18の厚さが10μm以上であれば半導体素子14の外周部12の欠損が生じていない部分を位置決めパターン18に確実に当接させることができる。従って、位置決めパターン18の厚さは10μm以上であることが好ましい。又、位置決めパターン18の厚さは半導体素子14の厚さよりも薄いことが好ましい。位置決めパターン18の厚さは典型的には例えば18μm、35μm、70μm等である。
【0018】
又、基板16の表面には箔体の配線パターン24も形成されている。位置決めパターン18と配線パターン24は材料及び厚さが同じである。配線パターン24はワイヤボンディング線26を介して半導体素子14の端子と接続されている。位置決めパターン18の厚さを半導体素子14の厚さよりも薄くすることでワイヤボンディング線26と位置決めパターン18との干渉を回避できる。
【0019】
又、半導体パッケージ10は、基板16における半導体素子14が設置された側が封止用樹脂28によって封止されている。封止用樹脂28の材料としては例えばエポキシ系の透明な樹脂等を用いることができる。
【0020】
次に、図9のフローチャートに沿って半導体パッケージ10の製造方法について説明する。まず、基板16の表面に半導体素子14の位置を規制するための箔体の位置決めパターン18を形成する(S102:パターン形成工程)。この工程では位置決めパターン18と共に位置決めパターン18と材料及び厚さが同じ配線パターン24も基板16の表面に形成する(図3参照)。具体的には、基板16の表面に銅箔等の箔体を張り、フォトリソグラフィの手法によって位置決めパターン18及び配線パターン24の形状に加工する。尚、基板16の裏面にも配線パターンを形成する場合は、基板16の裏面にも銅箔等の箔体を張り、フォトリソグラフィの手法によって配線パターンの形状に加工する。更に、両面の配線に連通するように基板16にビア孔を形成し、更にメッキによりビア孔を充填するようにビアを形成して両面の配線パターンを電気的に接続する。
【0021】
次に、半導体素子14の第1の直線部20A及び第2の直線部20Bを位置決めパターン18に当接させることにより半導体素子14の位置を規制しつつ半導体素子14を基板16の表面に設置する(S104:半導体素子設置工程)。尚、L字形状の位置決めパターン18の内側の角部にノッチが形成されていない場合は図10に示されるように位置決めパターン18の内側の角部にエッチングフィレットが形成されて半導体素子14の角部とL字形状の位置決めパターン18の内側の角部とが干渉し、半導体素子14の第1の直線部20A及び/又は第2の直線部20Bと位置決めパターン18との間に隙間が生じてしまう可能性があるが、本第1参考形態ではL字形状の位置決めパターン18の内側の角部に半導体素子14の角部から離れる側に凹む形状のノッチ22が形成されているので図11に示されるように半導体素子14の角部とL字形状の位置決めパターン18の内側の角部とが干渉することがない。従って、半導体素子14の第1の直線部20A及び第2の直線部20Bを位置決めパターン18に確実に当接させることができ、基板16上への半導体素子14の正確な位置決めが可能である。尚、基板16上に半導体素子14を設置する際、基板16及び/又は半導体素子14の接触面の数箇所(例えば5箇所)にエポキシ樹脂等の接着剤を塗布しておく。又、半導体素子14の端子と配線パターン24はワイヤボンディング線26を介して接続する。
【0022】
次に、基板16における半導体素子14が設置された側を封止用樹脂28によって封止する(S106:樹脂封止工程)。具体的には、トランスファー成形装置等の樹脂成型装置の型内に半導体素子14及び基板16を設置して半導体素子14を覆うように基板16における半導体素子14が設置された側を封止用樹脂28によって封止する。これにより半導体パッケージ10が完成する。
【0023】
以上説明したように箔体の位置決めパターン18はパターン形成工程(S102)において箔体の配線パターン24と共にリソグラフィ等の手法によって基板16の表面に高精度で形成できる。又、半導体素子14の第1の直線部20A及び第2の直線部20Bを位置決めパターン18に当接させることにより半導体素子14を基板16の表面に高精度で位置決めして設置できる。従って、半導体パッケージ10によれば半導体素子14の高精度な位置決めを低コストで実現可能である。
【0024】
尚、本第1参考形態においてL字形状の位置決めパターン18の内側の角部に半導体素子14の角部から離れる側に凹む形状のノッチ22が形成されているが、例えば半導体素子14の角部が面取りされたような形状となっておりL字形状の位置決めパターン18の内側の角部にエッチングフィレットが形成されていても半導体素子14の角部とL字形状の位置決めパターン18の内側の角部とが干渉することがない場合はL字形状の位置決めパターン18の内側の角部にノッチが形成されていなくてもよい。
【0025】
に第参考形態について説明する。前記第1参考形態の半導体パッケージ10は基板16の表面にL字形状の単一(一体)の位置決めパターン18が形成されているのに対し、図12及び13に示されるように本第2参考形態の半導体パッケージ30は基板16の表面に、3つの位置決めパターン要素32A、32B、32Cに分断された位置決めパターン32が形成されている。他の構成は前記第1参考形態と同じであるので同じ構成については図1〜11と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0026】
位置決めパターン32は位置決めパターン要素32Aにおいて第1の直線部20Aに接しており、位置決めパターン要素32B及び32Cにおいて第2の直線部20Bに接している。より詳細には位置決めパターン要素32A、32B、32Cはいずれも平面視において矩形であり位置決めパターン要素32Aは第1の直線部20Aにおける端部から離れた部分と接している。一方、位置決めパターン要素32B、32Cは第2の直線部20Bにおける端部及びその近傍の部分と接している。又、位置決めパターン要素32B、32Cは第2の直線部20Bの延在方向に分断されている。尚、位置決めパターン要素32B、32Cの一部は第2の直線部20Bの端部よりも第2の直線部20Bの延在方向に突出しており、突出した部分は第2の直線部20Bに接していない。位置決めパターン32は位置決めパターン18や配線パターン24と材料及び厚さが同じである。半導体素子14が長方形である場合、半導体素子14の長い方の直線部(第2の直線部20B)におけるできるだけスパンが長い2点に位置決めパターン32が接していることが好ましく、図12に示されるように半導体素子14の長い方の直線部(第2の直線部20B)の両端部に位置決めパターン32が接していることが更に好ましい。
【0027】
本第2参考形態の半導体パッケージ30の位置決めパターン32も箔体であるのでパターン形成工程(S102)において配線パターン24と共にリソグラフィ等の手法によって基板16の表面に高精度で形成できる。又、半導体素子設置工程(S104)において半導体素子14の第1の直線部20Aを位置決めパターン要素32Aに当接させ、第2の直線部20Bを位置決めパターン要素32B、32Cに当接させることにより半導体素子14を基板16の表面に高精度で位置決めして設置できる。従って、半導体パッケージ30においても半導体素子14の高精度な位置決めを低コストで実現可能である。
【0028】
又、図14に示されるように半導体素子14と基板16の接触面に塗布される接着剤34の量が多く接着剤34が接触面からはみ出す場合、半導体素子14の第1の直線部20Aや第2の直線部20Bと位置決めパターン32の間から半導体素子14の上に余剰の接着剤34が乗り上げて半導体素子14の端子に付着してしまう可能性があるが位置決めパターン要素32B及び32Cは第2の直線部20Bの延在方向に分断されており、又、位置決めパターン要素32A及び32Bも分断されているので、位置決めパターン要素32B及び32Cの間や位置決めパターン要素32A及び32Bの間から余剰の接着剤34を面方向に逃がすことができる。従って、半導体素子14の上に余剰の接着剤34が乗り上げて半導体素子14の端子に付着してしまう事態が生じにくい。
【0029】
尚、前記第1参考形態においても、L字形状の位置決めパターン18の第1の直線部20Aに接している部分及び/又は第2の直線部20Bに接している部分が(接している直線部の延在方向に)分断されていてもよい。このようにすることで本第2参考形態と同様に半導体素子14の上に余剰の接着剤34が乗り上げて半導体素子14の端子に付着してしまう事態が生じにくくなる。
【0030】
次に本発明の実施形態について説明する。前記第1参考形態の半導体パッケージ10及び前記第2参考形態の半導体パッケージ30は位置決めパターン18、32が半導体素子14の第1の直線部20A及び第2の直線部20Bの両方と接しているのに対し、図15に示されるように本実施形態の半導体パッケージ40の位置決めパターン42は半導体素子14の第2の直線部20Bのみと接しており第1の直線部20Aとは接していない。又、第2の直線部20Bの端部の位置と位置決めパターン42の端部の位置が一致している。他の構成は前記第1参考形態及び前記第2参考形態と同じであるので同じ構成については図1〜14と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0031】
位置決めパターン42は第2の直線部20Bの延在方向に分断された位置決めパターン要素42A、42Bで構成されている。より詳細には位置決めパターン要素42A、42Bは矩形であり第2の直線部20Bにおける端部及びその近傍の部分と接している。位置決めパターン要素42Aの端部の位置は第2の直線部20Bの一方の端部の位置と一致しており、位置決めパターン要素42Bの端部の位置は第2の直線部20Bの他方の端部の位置と一致している。位置決めパターン42は位置決めパターン18や位置決めパターン32、配線パターン24と材料及び厚さが同じである。半導体素子14が長方形である場合、図15に示されるように半導体素子14の長い方の直線部(第2の直線部20B)に位置決めパターン42が接していることが好ましい。又、図15に示されるように半導体素子14の長い方の直線部(第2の直線部20B)の両端部に位置決めパターン42が接していることが更に好ましい。
【0032】
本実施形態の半導体パッケージ40の位置決めパターン42も箔体であるのでパターン形成工程(S102)において配線パターン24と共にリソグラフィ等の手法によって基板16の表面に高精度で形成できる。又、半導体素子設置工程(S104)においては半導体素子14の第2の直線部20Bを位置決めパターン要素42A、42Bに当接させると共に顕微鏡等によって観察しながら第2の直線部20Bの一方の端部の位置を位置決めパターン要素42A及び位置決めパターン要素42Bのいずれかの端部の位置と一致させることにより半導体素子14を基板16の表面に高精度で位置決めして設置できる。尚、第2の直線部20Bの一方の端部の位置を位置決めパターン要素42A及び位置決めパターン要素42Bのいずれか一方の位置決めパターン要素の端部の位置と一致させれば、第2の直線部20Bの他方の端部の位置は他方の位置決めパターン要素の端部の位置と自動的に一致する。従って、半導体パッケージ40においても半導体素子14の高精度な位置決めを低コストで実現可能である。又、半導体素子14の第1の直線部20Aには位置決めパターンが接していないので第1の直線部20Aと位置決めパターンの間から半導体素子14の上に余剰の接着剤が乗り上げて半導体素子14の端子に付着してしまうことはない。又、位置決めパターン要素42A、42Bは第2の直線部20Bの延在方向に分断されているので、第2の直線部20Bと位置決めパターン42の間から半導体素子14の上に余剰の接着剤が乗り上げて半導体素子14の端子に付着してしまう事態も生じにくい。
【0033】
尚、本実施形態において位置決めパターン要素42Aの端部の位置は第2の直線部20Bの一方の端部の位置と一致しており、位置決めパターン要素42Bの端部の位置は第2の直線部20Bの他方の端部の位置と一致しているが、2つの位置決めパターン要素のいずれか一方の位置決めパターン要素の端部の位置と第2の直線部20Bの一方の端部の位置とを一致させれば半導体素子14を基板16上に正確に位置決めできるので、2つの位置決めパターン要素のうちの他方の位置決めパターン要素は端部の位置が第2の直線部20Bの端部の位置と一致していなくてもよい。例えば、他方の位置決めパターン要素の端部は第2の直線部20Bの端部の位置よりも突出していてもよい。
【0034】
又、本実施形態において位置決めパターン要素42A、42Bは第2の直線部20Bの延在方向に分断されているが、余剰の接着剤の問題が生じない場合には、位置決めパターンは第2の直線部20Bの延在方向に分断されていなくてもよい。
【0035】
又、前記第2参考形態においても、位置決めパターン要素32B、32Cは第2の直線部20Bの延在方向に分断されているが、余剰の接着剤の問題が生じない場合には、位置決めパターンにおける第2の直線部20Bに接する部分は第2の直線部20Bの延在方向に分断されていなくてもよい。例えば、第1の直線部20Aに接する1つの位置決めパターン要素と第2の直線部20Bに接する1つの位置決めパターン要素とからなる位置決めパターンであってもよい。
【0036】
又、前記第1〜第2参考形態及び本発明の実施形態において、パターン形成工程(S102)において位置決めパターン18、32、42と共に配線パターン24も基板16の表面に形成しているが、配線パターン24を形成する工程は位置決めパターン18、32、42を形成する工程と別の工程であってもよい。この場合、位置決めパターン18、32、42は、配線パターン24と材料及び/又は厚さが異なっていてもよい。
【0037】
又、前記第1〜第2参考形態及び本発明の実施形態において、半導体素子14は矩形であるが外周部に直線部を有する形状であれば矩形以外の形状の半導体素子を備える半導体パッケージにも本発明は適用可能である。
【0038】
又、前記第1〜第2参考形態及び本発明の実施形態において、半導体素子14は光学式変位検出用のフォトダイオードアレイを有する受光素子であるが、他の光学系の半導体素子や光学系以外の半導体素子を備える半導体パッケージに対しても本発明は適用可能である。尚、光学系以外の半導体素子を備える半導体パッケージの場合、封止用樹脂は例えば黒色等の透明ではない樹脂であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、半導体素子と半導体素子を支持する基板とを有する半導体パッケージに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10、30、40…半導体パッケージ
12…外周部
14…半導体素子
16…基板
18、32、42…位置決めパターン
20A…第1の直線部
20B…第2の直線部
22…ノッチ
24…配線パターン
26…ワイヤボンディング線
28…封止用樹脂
32A、32B、32C、42A、42B…位置決めパターン要素
34…接着剤
S102…パターン形成工程
S104…半導体素子設置工程
S106…樹脂封止工程
図1
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