特許第5897013号(P5897013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5897013高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5897013
(24)【登録日】2016年3月11日
(45)【発行日】2016年3月30日
(54)【発明の名称】高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20160317BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20160317BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20160317BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20160317BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20160317BHJP
【FI】
   C23C14/34 R
   H01L21/285 S
   H01L21/88 J
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-529193(P2013-529193)
(86)(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公表番号】特表2013-538295(P2013-538295A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】US2011050507
(87)【国際公開番号】WO2012036936
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月8日
(31)【優先権主張番号】13/223,788
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/384,028
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン カール
(72)【発明者】
【氏名】リッチー アラン
(72)【発明者】
【氏名】パイピトーン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ルイ イン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ダニエル ジェイ
【審査官】 伊藤 光貴
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06642146(US,B1)
【文献】 国際公開第2009/114184(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/045037(WO,A2)
【文献】 特開2002−118109(JP,A)
【文献】 特開2010−129952(JP,A)
【文献】 米国特許第07682966(US,B1)
【文献】 国際公開第2010/004890(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0165775(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0073283(US,A1)
【文献】 特開2006−269860(JP,A)
【文献】 特開2008−205459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0190760(US,A1)
【文献】 特開平10−130832(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0296736(US,A1)
【文献】 特表2013−535577(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0028461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
H01L 21/285
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の表面に形成されて該基板の対向する第2の表面に向けて基板の中に延びる少なくとも5:1の高さ対幅のアスペクト比を有する開口部を有する基板を物理蒸着(PVD)チャンバ内で処理する方法であって、
基板の上方でPVDチャンバ内に配置された金属を含むターゲットにVHF周波数でRF電力を印加し、プラズマ形成ガスからプラズマを形成する段階と、
前記プラズマを用いて前記ターゲットから金属原子をスパッタリングし、一方で該スパッタリングされた金属原子の主要部分を電離させるのに十分な第1の圧力を前記PVDチャンバ内に維持する段階と、
前記電離金属原子を開口部の底面上と前記基板の第1の表面上とに堆積させる段階と、 前記基板の下に配置された第1の電極に100Hzから10kHzまでのパルス周波数の第1のRF電力を印加し、前記堆積金属原子の少なくとも一部を前記底面及び上面から前記開口部の側壁に再分配する段階と、ここで、前記電離金属原子を堆積させている第1の期間は、前記堆積された金属原子が再分配される第2の時間よりも4倍から5倍長く、
前記電離金属原子の前記堆積及び堆積金属原子の前記再分配を前記金属の第1の層が前記開口部の実質的に全ての表面上に堆積されるまで繰り返す段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電離金属原子を堆積させる段階は、
前記電極に50ワットまで第2のRF電力を印加し、前記電離かつスパッタリングされたターゲット材料を前記開口部の前記底面に向けて誘導する段階、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲットにDC電力を印加し、前記プラズマを該ターゲットに向けて誘導する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のRF電力を印加して前記堆積金属原子の少なくとも一部を再分配する段階は、
前記DC電力を低下させるか又はオフにして前記プラズマを用いる前記ターゲットからの金属原子のスパッタリングを阻止し、一方で前記堆積金属原子の少なくとも一部を前記側壁に再分配する段階、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のRF電力を印加して前記堆積金属原子の少なくとも一部を再分配する段階は、
前記電極に第2のRFバイアス電力を前記第1のRFバイアス電力と同時に印加うる段階、
を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のRF電力は、前記基板に近いプラズマエネルギを制御し、前記第2のRFバイアス電力は、該基板に近い該プラズマエネルギの分布を制御することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のRF電力は、第1の周波数で印加され、
前記第2のRFバイアス電力は、前記第1の周波数よりも高い第3の周波数で印加される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の期間は、反復RFパルスバイアス処理の単一パルスに等しいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板をエッチングして該基板に前記開口部を形成する段階と、
前記基板の前記上面上にかつ前記開口部の前記側壁及び前記底面に沿って酸化物層を形成する段階と、
スパッタリングされたターゲット材料を堆積させる前に前記酸化物層の上に障壁層を形成する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
電気メッキ処理によって材料を前記第1の層の上に堆積させて前記開口部を充填する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、第1の基板であり、
前記第1の基板の前記第2の表面に隣接して配置された第2の基板を準備する段階であって、前記開口部が、該第1の基板を貫通して延び、該第2の基板の上面が、該開口部の底部を形成する前記準備する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記開口部の前記底面を除去して前記第1の層又は前記堆積材料のうちの少なくとも一方を露出する段階、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記開口部の前記底面を除去する段階は、化学機械研磨によって前記基板の前記第2の表面を少なくとも部分的に除去して該開口部の該底面を除去する段階を更に含み、
前記基板の前記第2の表面を第2の基板の上面に結合する段階、及び任意的に、
前記開口部を前記第2の基板の前記上面に配置された対応するデバイスに整列させる段階、
を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
実行された時に物理的蒸着(PVD)チャンバに基板を処理する方法を実施させる命令が格納されたコンピュータ可読媒体であって、
基板が、該基板の第1の表面に形成されて該基板の対向する第2の表面に向けて該基板の中に延びる開口部を有し、
前記開口部は、少なくとも5:1の高さ対幅のアスペクト比を有し、
前記方法が、請求項1から請求項13に記載の方法のいずれかを含む、
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的に、基板上に形成された高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
シリコン貫通バイア(TSV)又は類似の技術は、連続金属含有層が基板上の高アスペクト比特徴部内に堆積されることを要求する。例えば、堆積される金属含有層は、特徴部から基板内への材料の拡散を防止する障壁層、又は電気メッキ又は他の適切な技術によって特徴部を充填するためのテンプレートとして使用することができるシード層とすることができる。高アスペクト比特徴部は、例えば、約5:1又はそれよりも大きいアスペクト比を有する特徴部を含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、連続金属含有層を高アスペクト比特徴部に堆積する改良された技術を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法を本明細書に提供する。一部の実施形態においては、物理蒸着(PVD)チャンバ内で基板を処理する方法であり、基板は、基板の第1の表面に形成されて基板の対向する第2の表面に向けて基板の中に延びる開口部を有し、開口部は、少なくとも5:1の高さ対幅のアスペクト比を有し、本方法は、基板の上方でPVDチャンバに配置された金属を含むターゲットにVHF周波数でRF電力を印加してプラズマ形成ガスからプラズマを形成する段階と、プラズマを用いてターゲットから金属原子をスパッタし、一方でスパッタリングされた金属原子の大部分を電離させるのに十分な第1の圧力をPVDチャンバ内に維持する段階と、開口部の底面上と基板の第1の表面上とに電離金属原子を堆積させる段階と、第1のRF電力を印加して堆積金属原子の少なくとも一部を底面及び上面から開口部の側壁に再分配する段階と、開口部の底面及び側壁上に金属の第1の層が堆積されるまで電離金属原子の堆積及び堆積金属原子の再分配を繰り返す段階とを含む。本発明の他の及び更に別の実施形態を以下に説明する。
【0005】
以上に簡単に要約して詳細に後述する本発明の実施形態は、添付図面に表された本発明の図示の実施形態の参照によって理解することができる。しかし、本発明は、他の等しく有効な実施形態を受け入れることができるので、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すのみであり、従って、その範囲の制限と見なすべきではないことに注意するものとする。
【0006】
理解を容易にするために、各図に共通な同一要素を示すために可能な場合には同一の参照番号が使用されている。各図は一定の比率には描かれず、かつ明確にするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明なしに他の実施形態に都合良く組み込むことができるように考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一部の実施形態に従って基板を処理する方法の流れ図である。
図2A】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2B】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2C】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2D】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2E】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2F】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図2G】本発明の一部の実施形態に従って高アスペクト比開口部を充填する段階を示す図である。
図3】本発明の一部の実施形態による物理蒸着(PVD)チャンバの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者は、例えば、DC物理蒸着(DC PVD)チャンバで行われるような従来型の直流(DC)スパッタリングが高アスペクト比特徴部の垂直側壁上の金属の堆積を制限する可能性がある狭い角度分布を有することを見出した。本発明者は、更に、DC PVD処理に典型的に要求される高バイアス電力が堆積金属の過度の再スパッタリングを引き起こす可能性があり、これが、特徴部にオーバーハング又はファセットを望ましくなく生成する可能性があることを見出した。こうしたオーバーハング又はファセットは、特徴部に空隙形成をもたらす可能性がある。従って、本発明者は、基板上に形成された高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法の実施形態を提供したものである。本発明の実施形態は、高アスペクト比特徴部内の空隙形成を引き起こす場合があるオーバーハング又はファセットを低減しながら、高アスペクト比特徴部内の表面の金属での連続した被覆を有利な態様において提供する。本発明の方法は、例えば、製作のバイアファースト又はバイアラースト方法のいずれかのためのシリコン貫通バイア(TSV)用途、並びに連続金属層の堆積が有利である場合がある他の適切な用途に利用することができる。
【0009】
図1は、本発明の一部の実施形態に従って基板を処理する方法100の流れ図を示している。方法100は、図2に示すように、高アスペクト比特徴部を充填する諸段階に関して後述される。方法100は、後述されて図3に示す処理チャンバ300のようなDC及び高周波(RF)電源の両方を有するあらゆる適切なPVD処理チャンバ内で行うことができる。
【0010】
方法100は、例えば、処理チャンバ300であるPVDチャンバに基板200を準備することによって102で開始される。基板200は、基板200の第1の表面204内に形成されて基板200の対向する第2の表面206の方向に基板200内に延びる高アスペクト比開口部202を含む。基板200は、その中に形成された高アスペクト比開口部を有するあらゆる適切な基板とすることができる。例えば、基板200は、シリコン(Si)、(SiO2)、(SiN)、又は他の誘電体のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。更に、基板200は、付加的な材料の層を含むことができ、又はその中又はその上に形成された1つ又はそれよりも多くの完成構造体又は部分完成構造体を含むことができる。
【0011】
開口部は、バイア、トレンチ、2重ダマシン構造などを形成するのに使用するような高アスペクト比を有するあらゆる開口部とすることができる。一部の実施形態において、開口部202は、少なくとも約5:1の高さ対幅アスペクト比(例えば、高アスペクト比)を有することができる。例えば、一部の実施形態において、アスペクト比は、約15:1又はそれよりも高いような約10:1又はそれよりも高いとすることができる。開口部202は、あらゆる適切なエッチング処理を用いる基板のエッチングによって形成することができる。開口部202は、図示のように底面208及び側壁210を含む。
【0012】
一部の実施形態において、底面208と側壁210は、後述の金属の堆積の前に1つ又はそれよりも多くの層で被覆することができる。例えば、図2Aにおいて点線に示すように、開口部202の底面及び側壁と基板200の第1の表面とは、酸化シリコン(SiO2)、(Si)、(SiN)、又は他の誘電体のような酸化物層212によって被覆することができる。酸化物層は、基板200をPVDチャンバに準備する前に、例えば、化学気相蒸着(CVD)チャンバ内又は酸化チャンバ内で堆積又は成長させることができる。酸化物層212は、基板と次に開口部内に堆積される金属含有層との間の電気的及び/又は物理的障壁として役立たせることができ、及び/又は後述される堆積処理中の基板の自然な表面よりも良好な取り付けのための表面として機能することができる。
【0013】
一部の実施形態において、障壁層214は、酸化層212の上(図示)に又は酸化物層が存在しない時に開口部の底面及び側壁と基板の第1の表面の上に堆積させることができる。障壁層214は、上述の酸化物層212と同様な目的を果たすことができる。一部の実施形態において、障壁層214は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などのうちの少なくとも1つを含むことができる。障壁層214は、開口部202内に連続した障壁層を形成するための後述の方法100の使用によることを含むCVD又はPVDによるようなあらゆる適切な方法によって堆積させることができる。
【0014】
一部の実施形態において、同じく図2Aに破線に示すように、開口部202は、基板200を貫通して延びることができ、第2の基板218の表面216は、開口部202の底面208を形成することができる。第2の基板218は、基板200の第2の表面206に隣接して配置することができる。更に(図2Fに示され、かつ後述のように)、論理デバイスなどのようなデバイス、又はゲート、接触パッド、導電バイアなどのような電気的接続性を必要とするデバイスの一部分は、第2の基板218の表面216内に開口部202に整列して配置することができる。
【0015】
104で、第1のRF電力(例えば、後述の電源318からの)が、基板200の上方に配置された金属を含むターゲットにVHF周波数で印加され、プラズマ形成ガスからプラズマを形成する。例えば、ターゲットは、後述のターゲット306とすることができる。更に、ターゲットは、開口部202の表面及び基板200の第1の表面204上に望ましい材料の連続した障壁層又はシード層を形成するのに適切な1つ又はそれよりも多くの金属又は金属合金などを含むことができる。例えば、ターゲットは、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、又はアルミニウム(Al)などのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。プラズマ形成ガスは、希ガスのような不活性ガス又は他の不活性ガスを含むことができる。例えば、適切なプラズマ形成ガスの非制限的な例は、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、ネオン(Ne)、水素(H2)、又は窒素(N2)などを含むことができる。
【0016】
RF電力は、プラズマ形成ガスからのプラズマの生成及びプラズマによりスパッタリングされた金属原子の電離のうちの1つ又はそれよりも多くのためにVHF周波数で印加することができる。本明細書で用いる時に、VHF周波数とは、約27MHzから約162MHzの範囲の周波数である。一部の実施形態において、印加されるVHF周波数は、約60MHzである。VHF周波数を高めることにより、プラズマ密度及び/又はターゲットからスパッタリングされた金属原子の電離量を高めることができる。
【0017】
DC電力は、例えば、後述のようにターゲット306に接続したDC電源320からターゲットに印加することができ、ターゲットにプラズマが向けられる。DC電力は、約1から約2キロワット(kW)の範囲とすることができる。一部の実施形態において、DC電力は1−5kW、又は約2kWとすることができる。DC電力は、基板上にスパッタリングされる金属原子の堆積速度を制御するように調整することができる。例えば、DC電力を強めると、プラズマのターゲットとの相互作用を高めてターゲットからの金属原子のスパッタリングを増大させることができる。
【0018】
106で、金属原子は、プラズマを用いてターゲットからスパッタリングされ、一方でPVDチャンバ内の第1の圧力は、ターゲットからスパッタリングされている金属原子の大部分を電離させるのに十分であるように維持される。例えば、金属原子の大部分とは、ターゲットからスパッタリングされている金属原子の総数の約50から約75パーセントの範囲とすることができる。印加される第1のRF電力及びDC電力に加えて、第1の圧力は、処理チャンバの形状(基板サイズ、ターゲット対基板間隔などのような)に依存する場合がある。例えば、第1の圧力は、約60から90ミリメートル(mm)のターゲット対基板間隙で構成されたチャンバ内では約6から約140ミリトール(mT)の範囲とすることができる。一部の実施形態において、第1の圧力は約100mTorrである。チャンバ内の第1の圧力は、プラズマ形成ガスの流量及び/又はプラズマ形成ガスと共に流すことができる不活性ガスのような付加的なガスの流量によって維持することができる。第1の圧力は、ターゲットと基板の間に高密度のガス分子を提供することができ、スパッタリングされた金属原子は、それらと衝突して電離することができる。圧力は、ターゲットからスパッタリングされた金属原子の電離量を制御するために更に利用することができる。例えば、ターゲットから基板までの間隙内の圧力を高めると、金属原子との衝突の数を増加させ、かつ電離金属原子の量を増大させることができる。
【0019】
108で、図2Bに示すように、第1の複数の金属原子220は、基板200の上面204上と開口部202の底面208上とに堆積する。第1の複数の金属原子220は、第1の圧力、第1のRF電力、DC電力、及び/又はVHF周波数のような上述の処理条件を用いて堆積させることができる。そのような処理条件は、図2Bに示すように、基板200にほぼ垂直な第1の複数の金属原子220の向きを容易にすることができる。一部の実施形態において、第1の複数の金属原子220の堆積中に、任意的なRF電力を基板200に(例えば、基板支持体内のような基板200の下に配置された電極に)印加することができる。このRF電力(RFバイアス電力とも呼ばれる)は、約2から約13.56MHzの範囲の周波数及び約50Wまでの電力で印加することができる。一部の実施形態において、RFバイアス電力の周波数は、約2MHz、又は約13.56MHz、又は別のRF電源がPVDチャンバの基板支持ペデスタル(又はその中に収容された電極)に接続している場合はその両方とすることができる。複数の第1の金属原子220を堆積させる間に提供される任意的なRFバイアス電力は、開口部202の口部の上のあらゆるオーバーハングの形成を最小にするように金属原子の堆積のエネルギを最小にするような小さい電力とすることができる。
【0020】
110で、図2Cに示すように、第1のRF電力(本明細書では第1のRFバイアス電力とも呼ばれる)が、第1の複数の金属原子220の少なくとも一部を開口部202の底面208から開口部202の側壁210に再分配するために基板の下に配置された電極に印加される。第1のRFバイアス電力は、約2から約13.56MHzの範囲の周波数で印加することができる。例えば、一部の実施形態において、第1のRFバイアス電力の周波数は、約2MHz、又は約13.56MHz、又は任意的な第2のRFバイアス電源(図3に示す第2のRF電源363)が図3に示されて後述するように基板支持ペデスタル302に更に接続している場合はその両方とすることができる。第1のRFバイアス電力は、図2Cに示すように、基板200への入射イオン224のイオンエネルギを高め及び/又はその入射の角度を高めるために利用することができる。例えば、基板200への入射イオンは、電離金属原子、プラズマからの電離元素、又はその組合せを含むことができる。第1のRFバイアス電力は、図2Bに示すように、例えば、開口部202の底面208上に堆積した金属原子への衝撃を強めるためにイオンエネルギを増大するように高めることができる。開口部の底面208への強めたイオンの衝撃は、図示のように側壁210上への金属原子の第1の複数の金属原子220の少なくとも一部の再分配を容易にすることができる。第1のRFバイアス電力は、上述のように第1の複数の金属原子220の堆積中に印加される任意的なRFバイアス電力よりもかなり大きくすることができる。例えば、第1のRFバイアス電力は、約50Wより大きく、又は約0から約200Wの範囲とすることができる。一部の実施形態において、第1のRFバイアス電力は、約50Wである。
【0021】
一部の実施形態において、第1のRFバイアス電力と第2のRFバイアス電力とが同時に利用される場合(上述のように)、第1のRFバイアス電力は、基板200に近いイオンエネルギを制御するのに使用することができ、第2のRFバイアス電力は、基板200に近いイオンエネルギ内の分布を制御するために使用することができる。
【0022】
一部の実施形態において、同じく図2Cにも示すように、第1の複数の金属原子220の少なくとも一部は、基板200の上面204から開口部202内に再分配することができる。例えば、図2Cに示すように、印加した第1のRFバイアス電力に少なくとも部分的に起因する入射イオン224の基板200に対する非垂直な入射角により、第1の複数の金属原子220の少なくとも一部は、上面204から開口部202の側壁210に再分配することができる。
【0023】
一部の実施形態において、108での第1の複数の金属原子220の堆積は、112での再分配中に実質的に低減し又は停止させることができる。例えば、同じく一部の実施形態において、ターゲットに印加されるDC電力は、再分配中に低下させ又は停止させることができ、ターゲットからの金属原子のスパッタリングが防止される。そのような実施形態は、再分配中の上面204及び底面208の上の堆積金属原子の層の厚みを低減するために利用することができる。従って、この実施形態において、基板200への入射イオン224は、実質的にプラズマ形成ガスの電離元素を含むことができる。
【0024】
代替的に、一部の実施形態において、112で、DC電力は、プラズマを用いるターゲットからの金属原子のスパッタリングを継続するように維持され、一方で第1の複数の金属原子220の少なくとも一部が側壁210に再分配される。代替的に又は組み合わせて、112で、ターゲットに印加されるRFソース電力又は第1の圧力のうちの少なくとも一方は、第1の複数の金属原子220の堆積を継続するように維持することができ、一方で第1の複数の金属原子220の少なくとも一部が再分配される。一部の実施形態において、112で、基板200への入射電離金属原子の量を低減し及び/又はプラズマ密度を低下させるために第1の圧力が第2の圧力に低減され、第1の複数の金属原子220の少なくとも一部の再分配中のターゲットからの金属原子のスパッタの低減がもたらされる。第2の圧力は、約20から約80mTorrの範囲とすることができる。
【0025】
112で、金属原子の108での堆積と110での再分配は、図2Fに示すように、金属の第1の層230が開口部202の実質的に全ての表面に堆積されるまで繰り返すことができる。例えば、108での堆積の第2の繰返しにおいて、第2の複数の金属原子228は、図2Dに示すように、基板200の上面204上及び開口部202の底面208上の第1の複数の金属原子220の上に堆積させることができる。第2の複数の金属原子228は、第1の複数の金属原子220に用いた上述の処理条件のいずれか又は全てを用いて堆積させることができる。第2の複数の金属原子228は、第1の複数の金属原子220の時と同じ処理条件を用いて堆積させることができ、又は代替的に第1の層の望ましい厚み要件などに基づいて処理条件を変更することができる。更に、第2の複数の金属原子228は、第1の複数の金属原子220と同じ金属である。
【0026】
同様に、110での再分配の第2の繰返しにおいて、図2Eに示すように、第1のRFバイアス電力は、開口部202の底面208から開口部202の側壁210に第2の複数の金属原子228の少なくとも一部を再分配するように印加される。第2の複数の金属原子228は、第1の複数の金属原子220に用いた上述の処理条件のいずれか又は全てを用いて再分配することができる。例えば、上述のイオン224と実質的に同じとすることができる基板への入射イオン229は、第2の複数の金属原子228の少なくとも一部を開口部202の側壁210に再分配するために使用することができる。
【0027】
108での堆積は、第1の期間にわたって行うことができ、110での再分配は、第1の期間とは異なる第2の期間にわたって行うことができる。一部の実施形態において、電離金属原子は、堆積金属原子が再分配される第2の期間よりも約4から約5倍長い第1の期間にわたって堆積される。例えば、第2の期間にわたる堆積金属原子の再分配(又は第2の期間にわたる第1のRFバイアス電力の印加)は、反復RFパルスバイアス処理の単一パルスに対応することができる。例えば、再分配の第1の繰返しは、第1のパルスとすることができ、再分配の第2の繰返しは、第2のパルスとすることができる。更に、第1の層230が望ましい厚みに堆積されるまで及び/又は開口部202の実質的に全ての表面を十分に被覆するまで、第3の繰返し及び更に別の繰返しを追加的に存在させることができる。一部の実施形態において、パルスの周波数は、パルスが第2の期間にわたる第1のRFバイアス電力の印加を含む時に、約100ヘルツ(Hz)から約10キロヘルツ(kHz)の範囲とすることができる。
【0028】
第1の層230が112から形成された後に、方法100はほぼ終了し、基板は、例えば、図2Gに示すように、開口部202を充填するために第1の層230の上に材料を堆積させることによる更に別の処理を継続することができる。材料232は、電気メッキによるなどのあらゆる適切な技術によって堆積させることができる。例えば、第1の層230は、その上に材料232が電気メッキ処理によってメッキされるシード層として機能することができる。材料232は、金属又は金属合金などを含むことができる。一部の実施形態において、この材料は、銅(Cu)又はタングステン(W)のうちの1つ又はそれよりも多くを含む。一部の実施形態において、堆積材料と第1の層230の金属とは同じ材料である。
【0029】
一部の実施形態において、同じく図2Aに関して上述したように、第2の基板218は、上述の104−114を行う前に準備することができる。従って、図2Gに示すように、第2の基板218は、基板200の第2の表面206に隣接して配置され、開口部202は基板200を貫通し、第2の基板218の表面216は、開口部202の底面を形成する。更に、デバイス又は導電性特徴部234は、第2の基板内に配置して表面216で露出することができ、デバイス又は導電性特徴部234は、開口部202に整列する。基板200の第1の表面204は、堆積金属原子を除去するために更に処理することができる。例えば、図2Gに示すように、第1の表面204から堆積金属原子を除去するために、化学機械研磨技術又はエッチングなどを使用することができる。
【0030】
一部の実施形態において、上述のように材料232を堆積させた後に、基板200の第2の表面206から材料を除去することができ、第1の層230又は堆積材料232のうちの少なくとも1つが露出される(図2Gでは第1の層230が露出するとして示されている)。第2の表面206からの材料の除去は、基板200の第1の表面204からの堆積金属の除去のための上述のような化学機械研磨又は類似の技術によって行うことができる。
【0031】
第1の層230又は堆積材料232のうちの少なくとも1つを露出するための第2の表面206からの材料の除去の後、基板200の第2の表面206は、第2の基板218の表面216に結合することができる。一部の実施形態において、第2の基板218の表面216に露出したデバイス又は導電性234特徴部は、基板200内の開口部202に整列させることができる。
【0032】
図3は、本発明の一部の実施形態による物理蒸着チャンバ(処理チャンバ300)の概略断面図である。適切なチャンバの例は、ALPS(登録商標)PLus及び「SIP ENCORE(登録商標)」PVD処理チャンバを含み、両方はカリフォルニア州サンタクララ所在の「Applied Materials,Inc.」から市販されている。「Applied Materials,Inc.」及び他の製造業者が提供する他の処理チャンバも、本明細書に開示する本発明の装置から利益を得ることができる。
【0033】
処理チャンバ300は、基板304をその上に収容する基板支持ペデスタル302と、ターゲット306のようなスパッタリング原とを含む。基板支持ペデスタル302は、チャンバ壁(図示のように)又は接地シールド(接地シールド340は、ターゲット306の上方のチャンバ300の少なくともいくらかの部分を被覆して示されている。同じく一部の実施形態において、接地シールド340は、ターゲットの下方に延びることができ、ペデスタル302を包み込む。)とすることができる接地筐体壁308内部に位置することができる。
【0034】
一部の実施形態において、処理チャンバは、RFエネルギ及びDCエネルギをターゲット306に結合するための給送構造体を含む。給送構造体は、ターゲットに又は例えば本明細書に説明するターゲットを含むアセンブリにRFエネルギ及びDCエネルギを結合するための装置である。給送構造体の第1の端部は、RF電源318及びDC電源320に結合することができ、それらは、ターゲット306にRFエネルギ及びDCエネルギを供給するためにそれぞれ利用することができる。例えば、DC電源320は、ターゲット306に負の電圧又はバイアスを印加するのに利用することができる。一部の実施形態において、RF電源318によって供給されるRFエネルギは、約2MHzから約60MHzの周波数の範囲とすることができ、又は例えば2MHz、13.56MHz、27.12MHz、又は60MHzのような非制限周波数を使用することができる。一部の実施形態において、複数の上述の周波数でRFエネルギを供給するために複数のRF電源(すなわち、2つ又はそれよりも多く)を準備することができる。給送構造体は、RF電源318及びDC電源320からRFエネルギ及びDCエネルギを伝導する適切な導電材料で製造することができる。
【0035】
一部の実施形態において、給送構造体は、給送構造体の周囲の周りでのそれぞれのRFエネルギ及びDCエネルギの実質的に均一な分配を容易にする適切な長さを有することができる。例えば、一部の実施形態において、給送構造体は、約1から約12インチ、又は約4インチの長さを有することができる。一部の実施形態において、本体は、少なくとも約1:1の長さ対内径比を有することができる。少なくとも1:1又はより大きい比の提供は、給送構造体からのより均一なRF送出をもたらす(すなわち、RFエネルギが給送構造体の周りにより均一に分配され、RF結合を給送構造の真の中心点に接近させる)。給送構造体の内径は、例えば、約1インチから約6インチ、又は約4インチの直径を用いてできるだけ小さくすることができる。より小さい内径の提供は、給送構造体の長さを増大させることなく長さ対ID比を高めることを容易にする。
【0036】
給送構造体の第2の端部は、ソース配分プレート322に結合することができる。ソース配分プレートは、ソース配分プレート322を通って配置されて給送構造体の中央開口部に整列する孔324を含む。ソース配分プレート322は、給送構造体からのRFエネルギ及びDCエネルギを伝導する適切な導電材料で製造することができる。
【0037】
ソース配分プレート322は、導電性部材325を通じてターゲット306に結合することができる。導電性部材325は、ソース配分プレート322の周縁に近いソース配分プレート322のターゲット向き表面328に結合した第1の端部326を有する管状部材とすることができる。導電性部材325は、ターゲット306の周縁の近くのターゲット306のソース配分プレート向き表面332に(又はターゲット306のバッキングプレート346に)結合する第2の端部330を更に含む。
【0038】
空洞334は、導電性部材325の内向き壁と、ソース配分プレート322のターゲット向き表面328と、ターゲット306のソース配分プレート向き表面332とによって形成することができる。空洞334は、ソース配分プレート322の孔324を通じて本体の中央開口部315に連通している。空洞334と本体の中央開口部315とは、図3に示され更に後述のように、回転マグネトロンアセンブリ332の1つ又はそれよりも多くの部分を少なくとも部分的に収容するために利用することができる。一部の実施形態において、空洞は、水(H2O)などのような冷却流体で少なくとも部分的に満たすことができる。
【0039】
接地シールド340は、処理チャンバ300の蓋の外面を被覆するために設けることができる。接地シールド340は、例えば、チャンバ本体の接地接続部を通じて接地と結合することができる。接地シールド340は、給送構造体がソース配分プレート322に結合するために接地シールド340を通過することを可能にする中央開口部を有する。接地シールド340は、アルミニウム又は銅などのようなあらゆる適切な導電材料を含むことができる。絶縁間隙339が、接地シールド340と、分配プレート322、導電性部材325、及びターゲット306(及び/又はバッキングプレート346)の外面との間に提供され、RFエネルギ及びDCエネルギが接地に直接送られることが防止される。絶縁間隙は、空気、又はセラミック又はプラスチックなどのような他の適切な誘電体で満たすことができる。
【0040】
一部の実施形態において、接地カラーは、給送構造体の本体と下側部分との周りに配置することができる。接地カラーは、接地シールド340に結合され、接地シールド340の一体部分又は接地シールドに結合された独立部分とすることができ、給送構造体の接地を提供する。接地カラー340は、アルミニウム又は銅のような適切な導電材料で製造することができる。一部の実施形態において、接地カラーの内径と給送構造体の本体の外径との間に配置された間隙は、できるだけ小さく、かつ電気的分離を提供するのに過不足のないように保つことができる。間隙は、プラスチック又はセラミックのような絶縁材料で満たすことができ、又は空隙とすることができる。接地カラーは、RF給送部(例えば、以下で説明する電気給送部205)と本体の間のクロストークを防止し、それによってプラズマ及び処理の均一性を改善する。
【0041】
絶縁プレート338は、ソース配分プレート322と接地シールド340の間に配置することができ、RF及びDCエネルギが接地に直接に送られることが防止される。絶縁プレート338は、給送構造体がソース配分プレート322に結合するために絶縁プレート338を通過することを可能にする中央開口部を有する。絶縁プレート338は、セラミック又はプラスチックなどのような適切な誘電体を含むことができる。代替的に、絶縁プレート338の代わりに空隙を設けることができる。絶縁プレートの代わりに空隙が設けられる実施形態においては、接地シールド340は、接地シールド340上に置かれるあらゆる構成要素を支持するのに十分な構造的健全性を有することができる。
【0042】
ターゲット306は、接地導電性アルミニウムアダプタ342上に誘電絶縁体344を通じて支持することができる。ターゲット306は、金属又は金属酸化物のようなスパッタリング中に基板104上に堆積される材料を含む。一部の実施形態において、バッキングプレート346は、ターゲット306のソース配分プレート向き表面332に結合することができる。バッキングプレート346は、銅−亜鉛、銅−クロム、又はターゲットと同じ材料のような導電材料を含むことができ、それによってRF電力及びDC電力は、バッキングプレート346を通じてターゲット306に結合することができる。代替的に、バッキングプレート346は、非導電性とすることができ、かつ導電性部材325の第2の端部330にターゲット306のソース配分プレート向き表面332を結合するための電気貫通部などのような導電性要素(図示せず)を含むことができる。バッキングプレート346は、例えば、ターゲット306の構造安定性を改善するために含むことができる。
【0043】
基板支持ペデスタル302は、ターゲット306の主面に向いた材料受け入れ表面を有し、ターゲット306の主面に相対する平面の位置にスパッタ被覆される基板304を支持する。基板支持ペデスタル302は、処理チャンバ300の中央領域348内に基板304を支持することができる。中央領域348は、処理中の基板支持ペデスタル302の上方の領域として定められる(例えば、処理位置にある時のターゲット306と基板支持ペデスタル302の間)。
【0044】
一部の実施形態において、基板支持ペデスタル302は、底部チャンバ壁352に接続したベローズ150によって垂直に移動することができ、処理チャンバ300の下側部分内のロードロックバルブ(図示せず)によって基板304が基板支持ペデスタル302上に移送され、その後に堆積位置又は処理位置に持ち上げられることが可能とされる。1つ又はそれよりも多くの処理ガスは、ガス源354から質量流量コントローラ356を通じてチャンバ300の下側部分の中に供給することができる。処理チャンバ300の内部を排気して処理チャンバ300内の望ましい圧力の維持を容易にするために排気ポート358が設けられ、バルブ360を通じてポンプ(図示せず)に結合することができる。
【0045】
基板304上に負のDCバイアスを誘起するために、RFバイアス電源362を基板支持ペデスタル302に結合することができる。更に、一部の実施形態において、負のDC自己バイアスは、処理中に基板304上に形成することができる。例えば、RFバイアス電源362によって供給されるRF電力は、約2MHzから約60MHzの周波数の範囲とすることができ、例えば、2MHz、13.56MHz、又は60MHzのような非制限周波数を使用することができる。更に、第2のRFバイアス電源363を基板支持ペデスタル302に結合して、RFバイアス電源362と共に使用するために上述の周波数のいずれかを提供することができる。他の用途においては、基板支持ペデスタル302は、接地することができ、又は電気的フローティングのままとすることができる。例えば、RFバイアス電力が所望されない場合がある用途に対して、基板304上の電圧を調整するために、キャパシタンス調節器364を基板支持ペデスタルに結合することができる。
【0046】
回転式マグネトロンアセンブリ336は、ターゲット306の背面(例えば、ソース配分プレート向き表面332)の近くに配置することができる。回転式マグネトロンアセンブリ336は、ベースプレート368によって支持された複数のマグネット366を含む。ベースプレート368は、チャンバ300と基板304との中心軸に一致する回転シャフト370に接続する。マグネトロンアセンブリ336の回転を駆動するために、回転シャフト370の上端にモータ372を結合することができる。マグネット366は、ターゲット306の表面にほぼ平行にかつ接近してチャンバ300内部に磁場を発生させ、電子を捕捉して局所プラズマ密度を高め、これは、同じくスパッタリング速度を高める。マグネット366は、チャンバ300の上部の周囲に電磁場を発生させ、かつマグネット366が回転してその電磁場を回転させ、これは、ターゲット306をより均一にスパッタさせるように処理のプラズマ密度に影響を与える。例えば、回転シャフト370は、1分間に約0から150回転することができる。
【0047】
一部の実施形態において、チャンバ300は、アダプタ342のレッジ376に接続した処理キットシールド374を更に含むことができる。アダプタ342は、逆に、アルミニウムのチャンバ側壁308に対して密封され、かつ接地される。一般的に、処理キットシールド374は、アダプタ342の壁とチャンバ壁308とに沿って基板支持ペデスタル302の上面よりも下まで下向きに延び、かつ基板支持ペデスタル302の上面に達するまで上向きに戻る(例えば、底部でu字形状部分384を形成する)。代替的に、処理キットシールドの最も下の部分がu字形状部分384でなくてもよく、あらゆる適切な形状を有することができる。カバー・リング386は、基板支持ペデスタル302がその下位の装填位置にある時に処理キットシールド374の上向きに延びるリップ388の上端に載っているが、ペデスタルがその上位の堆積位置にある時に基板支持ペデスタル302の外側周囲に載って基板支持ペデスタル302をスパッタ堆積から保護する。基板304の周囲を堆積から遮断するために付加的な堆積リング(図示せず)を使用することができる。処理キットシールドの実施形態は、本発明により後述される。
【0048】
一部の実施形態において、基板支持ペデスタル302とターゲット306の間に磁場を選択的に提供するために、マグネット390をチャンバ200の周りに配置することができる。例えば、図3に示すように、マグネット390は、処理位置にある時の基板支持ペデスタル302のすぐ上の領域にあるチャンバ壁308の外側の周りに配置することができる。一部の実施形態において、マグネット390は、アダプタ342に隣接するなどの他の位置に追加的又は代替的に配置することができる。マグネット390は、電磁石とすることができ、電磁石によって発生する磁場の強度を制御するため電源(図示せず)に結合することができる。
【0049】
コントローラ310を提供して処理チャンバ300の様々な構成要素に結合することができ、それらの作動が制御される。コントローラ310は、中央演算処理ユニット(CPU)312と、メモリ314と、サポート回路116とを含む。コントローラ310は、処理チャンバ300を直接に制御することができ、又は特定の処理チャンバ及び/又はシステムサポート構成要素に伴ったコンピュータ(又はコントローラ)を通じて制御することができる。コントローラ110は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するための産業環境で使用することができるあらゆる種類の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つとすることができる。コントローラ310のメモリ又はコンピュータ可読媒体434は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光記録媒体(例えば、コンパクトディスク又はデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、又はローカル又はリモートのあらゆる他の形態のデジタルストレージのような1つ又はそれよりも多くの容易に使用可能なメモリとすることができる。サポート回路316は、プロセッサをサポートするために典型的な方式でCPU312に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、及びサブシステムなどを含む。本明細書に説明する本発明の方法は、本明細書に説明する方式で処理チャンバ300の作動を制御するように実行又は起動することができるソフトウエアルーチンとしてメモリ314に格納することができる。ソフトウエアルーチンは、CPU312によって制御されているハードウエアからリモートに設けられた第2のCPU(図示せず)によっても格納及び/又は実行することができる。
【0050】
すなわち、基板に形成された高アスペクト比特徴部に金属を堆積させる方法を本明細書に提供した。本発明の方法は、高アスペクト比特徴部内の空隙形成を引き起こす可能性があるオーバーハング又はファセットを低減しながら、高アスペクト比特徴部の表面の金属による連続被覆を有利な態様において提供する。本発明の方法は、例えば、製作のバイアファースト又はバイアラースト方法のいずれかのためのシリコン貫通バイア(TSV)用途、並びに高アスペクト比開口部内の連続金属層の堆積が有利である他の適切な用途に利用することができる。
【0051】
以上は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他のかつ更に別の実施形態を案出することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 本発明の方法
102 PVDチャンバに基板を準備する段階
104 プラズマ形成ガスからプラズマを形成する段階
108 第1の複数の金属原子を堆積させる段階
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3