(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、血液、尿等の生体サンプルの化学的、物理的性質を測定する自動分析装置は、疾病の診断に用いられる特性上、緊急に測定の実施を求められることがある。そのため、昼夜を問わず常時稼動可能状態であることが求められる。一方、自動分析装置(自動分析システム)は、未知の試料を測定していることに加え、その測定対象となる物質の種類の増加、測定方法の高度化、複雑化により、複数の原因による予測不可能な障害発生の可能性が高まっている。
【0005】
このような予測不可能な障害が発生した場合、当該システムの運用稼動を停止させて、原因究明を行うことが望ましい。ただし、自動分析装置を保有する医療機関、検査機関では、障害発生後であっても依然として測定継続、更には新たな測定が必要とされる場合が多く、当該問題が致命的なものでない限り当該システムの運用を継続し、これと並行して障害についても個別に解析することが求められる。障害解析においては、当該システムに保存された情報を元に解析する場合や、別システムに当該システムの測定に関する諸条件を設定し、再現実験が行われる場合等がある。
【0006】
このようなシステムには、システム設定、システムに用いる消耗品および廃棄物の管理、測定対象となる個々の項目に対する校正、試料単位の測定項目の選択、試料単位の測定結果および既知試料の測定の定期的な実施とその長期的な管理といった機能が搭載されている。そのため、真に問題となった装置以外で再現実験を行うためには、上記のような情報がすべてそろっていることが必要とされる。また、近年では、システムの操作部として、MicrosoftWindows(登録商標)をはじめとする一般的なオペレーションシステムを搭載したパーソナルコンピュータシステムを利用することが可能となっており、その周辺機器の追加等によって機能拡張を図ることが可能となっている。
【0007】
こうした中、前述したような障害発生時における障害を解決する方式として、例えば、システム情報が記憶された記憶媒体上の情報を外部システムに複製し、当該外部システムにおいて解析する方式や、システムの再現や解析に必要な情報のみを外部記憶媒体に複製し、当該外部記憶媒体内の情報を用いて解析する方式等が考えられる。しかしながら、このような方式を用いると、特に、情報の複製に時間を要するため、システムの使用を一時的に休止することが必要となる場合がある。
【0008】
一方、特許文献1のような技術を用いることも考えられる。特許文献1の技術では、あらかじめ定めたルールに従いバックアップ動作が実行される。例えば、自動電源OFF前、測定開始、STAT開始、ポーズ、ポーズ解除などの操作時のような装置状態が変化する条件をトリガーとしてバックアップ動作が行われる。または手動でバックアップ動作を開始することも記載されている。しかしながら、このような情報を含むファイルのバッチ処理による複製作業は、近年のシステム大型化、複雑化に伴い膨大な情報量の複製が必要とされるため、複製作業自体に一定の時間を要するうえ、当該複製作業を行っている間はシステムの使用を一時的に休止しなければならない場合も想定される。また、複製された情報を障害解析のために医療機関より持出して解析する場合は、個人情報保護の観点から個人情報に関する情報を選択的に消去する必要がある。
【0009】
本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、臨床検査の実態に適したバックアップ方法を持つ自動分析装置を提供することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本実施の形態による自動分析装置(自動分析システム)は、システムで必要とされる情報を常時保持する記憶媒体として、第1演算処理ユニットを含む第1制御手段によって制御される第1記憶媒体に加えて、第2演算処理ユニットを含む第2制御手段によって制御される第2記憶媒体を備える。さらに、第1および第2記憶媒体のいずれか一方は、任意の時点においてシステムから取り外し可能な構成となっている。
【発明の効果】
【0012】
前記一つの実施の形態によれば、例えば障害解析のためのデータ複製作業等に要する時間を低減でき、臨床検査の実態に適したバックアップ方法が実現可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0015】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
《自動分析装置(主要部)の概要》
本実施の形態による自動分析装置(自動分析システム)は、システムで必要とされる情報を常時保持する記憶媒体として、操作・データ保管部(第1制御手段)によって制御される第1記憶媒体に加えて分析機構部(第2制御手段)よって制御される第2記憶媒体を備える。また、障害発生時に、その障害の発生状況(第1および第2制御手段のいずれにおいて障害が発生したか)に応じて第1または第2記憶媒体に対して必要な最新データのバックアップを行うバックアップ手段を備える。さらに、第2記憶媒体は、任意の時点においてシステムから取り外し可能な構成となっている。ここで、第2記憶媒体に記憶されるデータは、当該データ内の個人情報を含むデータを特定可能とするデータ構造を持ち、第2制御手段は、第2記憶媒体をシステムから取り外す場合に、当該個人情報を含むデータを削除するか、もしくは暗号化すること等で、個人情報の保護を行う。
【0018】
このような構成を用いると、障害発生に伴う解析において、第1記憶媒体のデータが第2記憶媒体にも記憶されているため、データの複製作業を行うことなく、例えば、第2記憶媒体を取り外すこと等で解析を行うことができ、システムを停止する期間を実質的になくすことが可能になる。また、第1制御手段および第1記憶媒体と第2制御手段および第2記憶媒体とが備わっているため、例えば、第1および第2制御手段の一方に障害が生じた場合でも、他方の制御手段を用いて障害発生時点の最新データをバックアップすることができ、保存データの消失、欠損等のリスクを低減することが可能になる。さらに、外部にて障害の解析等を実施する場合においては、個人情報の保護が可能となる。
【0019】
《自動分析装置の全体構成例および動作例》
図1は、本発明の一実施の形態による自動分析装置において、その構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す自動分析装置(自動分析システム)は、第1CPU(演算処理ユニット)を含んだ操作・データ格納部CPUシステム103ならびにその周辺ブロックと、第2CPU(演算処理ユニット)を含んだ分析機構部CPUシステム110ならびにその周辺ブロック等を備えている。操作・データ格納部CPUシステム103の周辺ブロックには、キーボード等の入力装置101と、ディスプレイやプリンタ等の表示装置102と、記憶媒体(ハードディスク)[1]104,[2]105等が含まれている。操作・データ格納部CPUシステム103は、分析機構部CPUシステム110との間で通信経路を備え、また、場合によっては、上位情報システム120に対して通信手段121を介して接続されている。
【0020】
分析機構部CPUシステム110の周辺ブロックには、検体容器架設搬送部111、検体容器ID読取部112、検体分注部113、分析処理部114、およびデータ検出部115に加えて、記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116等が含まれている。検体容器架設搬送部111は試料容器を架設し、検体容器ID読取部112は試料容器に付された情報を読み取る。検体分注部113は試料容器に収められた液体試料を分取し、分析処理部114は分取された試料を処理し、データ検出部115は処理された試料の化学的、物理的性質を測定(成分分析)する。分析機構部CPUシステム110は、操作・データ格納部CPUシステム103からの測定項目の選択内容(「依頼内容」と称す場合有り)に基づいてこれらの周辺ブロックを適宜制御することで依頼内容に応じた測定を行い、これによって得られる測定結果を操作・データ格納部CPUシステム103に送信する。分析処理部114には、例えば前述した特許文献2の構成および動作等を適用することができる。
【0021】
操作・データ格納部CPUシステム103およびその各種周辺ブロック(101,102,104,105)は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を用いて実現される。一方、分析機構部CPUシステム110およびその各種周辺ブロック(111〜116)は、例えば、各種専用部品を用いて構築された一体型の装置等によって実現される。ここで、記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116は、分析機構部CPUシステム110の電源を投入したままでも外部に取り外すことが可能なように構成される。加えて、記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116は、分析機構部CPUシステム110の動作中であっても外部に取り外すことができる。この記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116は、バックアップデータ用であり、装置動作とは独立しているためである。なお、ここでは、記憶媒体[1]104,[2]105,[3]116として、ハードディスクを例とするが、必ずしもハードディスクに限定されるものではなく、フラッシュメモリ等を含めた不揮発性記憶媒体であればよい。
【0022】
次に、
図1の自動分析装置の動作例について説明する。試料容器が試料容器を架設する部分(111)に架設されると、試料容器の情報(例えばシステムID)が読取器(112)によって読み取られ、当該情報は、分析機構部CPUシステム110を介して操作・データ格納部CPUシステム103に送付される。操作・データ格納部CPUシステム103は、通信手段121を介して上位情報システム120にシステムIDとあわせて問合せを行う。問合せを受けた上位情報システム120は、予め試料を患者から採取するに先立って決定した測定項目を格納しており、この格納情報を用いてシステムIDに該当する測定項目を選択する。選択された測定項目は、通信手段121を介して操作・データ格納部CPUシステム103に送付され、操作・データ格納部CPUシステム103を介して分析機構部CPUシステム110に送付される。なお、ここでは、システムIDの読み取りや上位情報システム120との通信等を用いて検体に関する情報の取得や測定項目の選択を行ったが、これらを入力装置101によって直接行うことも可能である。
【0023】
分析機構部CPUシステム110は、操作・データ格納部CPUシステム103からの依頼内容に基づいて分析に関わる液体試料の分取手段(113)、試料の処理手段(114)および測定手段(115)を連携させ、所望の測定結果を得る。分析機構部CPUシステム110は、当該測定結果を、分析機構部CPUシステム110を経由して操作・データ格納部CPUシステム103に送付すると共に、記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116に格納する。操作・データ格納部CPUシステム103は、送付された測定結果を、パーソナルコンピュータ(PC)の信頼性を高めるため記憶媒体(ハードディスク)[1]104,[2]105に多重化して格納する。また、操作・データ格納部CPUシステム103は、記憶媒体[1]104に格納された情報を表示装置102に表示すると共に通信手段121を介して上位情報システム120に通知する。
【0024】
《記憶媒体上のファイルシステム》
図2は、
図1の各記憶媒体に格納されるファイルシステムの構成例を示す図である。
図2に示すファイルシステム201は、
図1の各記憶媒体[1]104,[2]105,[3]116に格納される。当該ファイルシステム201は、複数のファイルから構成されており、個人情報を直接含む個人情報ファイルと、個人情報を直接含まない非個人情報ファイルとを備えている。個人情報ファイルには処理情報202が含まれており、処理情報202には、検体(患者)の属性に関する情報と、システム内部で当該検体を追跡可能な内部処理番号と、これらの関連付けが記録されている。
【0025】
非個人情報ファイルには、依頼情報203、結果情報204、校正情報205、物品管理情報206、装置稼動情報207、および精度管理情報208が含まれている。依頼情報203には、前述した内部処理番号と測定項目との関係が記録されている。結果情報204には、当該内部処理番号と測定結果との関係が記録されている。これ以外の各情報(205〜208)は、システムでの測定を行ううえで必要とされる情報である。校正情報205には、個々の測定項目や測定にかかわる構成要素の組合せに対してあらかじめ行われた既知濃度の物質の測定に基づく測定結果(検量線)が記録され、物品管理情報206には、測定に用いられる試薬や消耗品の残量が記録される。装置稼働情報207には、障害に備えて装置の各時刻毎の実動作(プロセス)が記録され、精度管理情報208には、測定システムに対する既知濃度の物質の定期的な測定を介して、個々の分析項目が適切に測定可能であることを証明するための情報が記録される。なお、ここに示される情報はあくまでも分析システムとして一般的なものであって、これ以外にもシステムにとって必要な情報を含む場合もある。
【0026】
ここで、
図2に示すファイルシステム201は、個人情報を含むデータを特定可能とするデータ構造を備えていることが主要な特徴となっている。すなわち、個人情報はシステムにとって必要ではあるものの、
図2のファイルシステム201を用いると、実質、システム内部ではほぼすべての処理を内部処理番号にて処理することが可能となり、個人情報を含むデータ要素を特定のファイル(ここでは処理情報202)に限定して記憶することが可能となる。この場合、例えば処理情報202以外の情報(203〜208)を外部に持ち出すことで、障害発生の解析に必要な情報を十分に得ることができると共に、これらの情報(203〜208)に対して特に加工を施さなくても個人情報の漏洩を防止することができる。なお、このように個人情報ファイルと非個人情報ファイルとが明確に区別され、非個人情報ファイルによって障害発生の解析に必要な情報を十分に得ることが可能になっていれば、必ずしも
図2のようなデータ構造に限定されるものではない。
【0027】
《バックアップ設定画面》
図3は、
図1の自動分析装置が備えるバックアップ設定機能の一例を示す説明図である。
図1の自動分析装置は、前述したように、記憶媒体[1]104,[2]105に格納される
図2のファイルシステムを記憶媒体[3]116にも格納することで通常時のバックアップを行うが、これに加えて詳細は後述するが、障害アラームによるバックアップ機能も備えている。
図3には、このようなバックアップの設定を行うための設定画面の一例が示され、当該設定画面は、
図1の各CPUシステム(103,110)あるいは上位情報システム120のプログラム処理によって実現され、表示装置102あるいは上位情報システム120の表示装置(図示せず)に表示される。
図3の画面では、バックアップ実行の設定欄301が設けられ、例えば、障害アラームによるバックアップ処理を実行する場合は選択ボタン302を、実行しない場合は選択ボタン303を選択することにより障害アラームによるバックアップ処理の実行有無が設定可能となっている。
【0028】
また、
図3の画面では、記憶媒体(バックアップ用ハードディスク)[3]116をシステムから取り外す場合に用いる記憶媒体取り外しボタン307と、バックアップ容量設定ボックス304と、個人情報保護の観点から個人情報の消去有無を選択するためのチェックボックス305とが設けられる。チェックボックス305がチェックされている場合、例えば記憶媒体取り外しボタン307が押された際に個人情報の消去(あるいは無効化)が行われる。すなわち
図2の例では、記憶媒体[3]116に格納されている処理情報202の削除(あるいは暗号化)が行われる。また、キャンセルボタン306(又は308)は、現在入力されている設定条件をキャンセルする際に押される。このような操作により、システムは、記憶媒体の取り外しを適切に行うことができるようになる。
【0029】
《障害アラームによるバックアップ機能》
次に、システムの障害アラームが発生した際に行われるバックアップ機能について説明する。当該障害アラームによるバックアップ機能とは、システムが発生する障害アラームに応じてバックアップ処理を開始することで、障害発生時点での最新情報をバックアップする機能である。例えば、障害アラームは、検体容器架設搬送部111で検体容器が異常停止した場合(検体容器搬送異常)、検体容器ID読取部112で検体容器IDが読み取れない場合(検体容器ID読取異常)、分析処理部114での分析処理の過程で異常が発生した場合(分析処理異常)などにより発生する。
【0030】
図4は、
図1の自動分析装置において、その障害アラームによるバックアップ処理の処理内容の一例を示す説明図である。
図4に示すように、
図1の自動分析装置は、操作・データ格納部CPUシステム103ならびに分析機構部CPUシステム110でのアラーム発生状況(402,404)に応じて、各CPUシステム(103,110)を選択的に用いてバックアップ処理を実行し(405)、バックアップ処理を終了する(406)。
【0031】
具体的には、操作・データ格納部CPUシステム103の障害アラーム402が発生した場合、障害発生がない分析機構部CPUシステム110は動作可能である。そこで、分析機構部CPUシステム110のプロセス処理403によって、障害発生時点での最新情報(例えば
図2の結果情報204、物品管理情報206、装置稼働情報207)が記憶媒体[3]116に格納される。当該情報は、操作・データ格納部CPUシステム103の記憶媒体[1]104,[2]105には障害発生に伴い格納困難となり得る情報である。また、分析機構部CPUシステム110の障害アラーム404が発生した場合、例えば
図2の物品管理情報206、装置稼働情報207、精度管理情報208に影響が生じ、操作・データ格納部CPUシステム103の記憶媒体[1]104,[2]105との間でのデータの整合性が問題となる恐れがある。そこで、操作・データ格納部CPUシステム103のプロセス処理401によって、これらの情報の障害発生時点での最新情報が取得され、記憶媒体[1]104,[2]105に格納される。
【0032】
一方、特に限定はされないが、例えば操作・データ格納部CPUシステム103の障害アラーム402と分析機構部CPUシステム110の障害アラーム404の両方が発生した場合には、例えば、分析機構部CPUシステム110が、
図2の物品管理情報206および装置稼働情報207の最新情報を緊急避難的に記憶媒体[3]116に格納する。なお、ここで示したバックアップを行う項目は、あくまでも一例であり、適宜変更することが可能である。
【0033】
《バックアップ項目設定画面》
図5は、
図1の自動分析装置が備えるバックアップ項目設定機能の一例を示す説明図である。
図4で述べたような障害アラームに応じたバックアップ項目は、例えば
図5に示すようなバックアップ項目設定画面を用いることで予め任意に設定することも可能である。当該設定画面は、
図1の各CPUシステム(103,110)あるいは上位情報システム120のプログラム処理によって実現され、表示装置102あるいは上位情報システム120の表示装置(図示せず)に表示される。
図4の画面では、操作・データ格納部CPUシステム103の障害アラーム402に応じたバックアップ項目の選択欄501と、分析機構部CPUシステム110の障害アラーム404に応じたバックアップ項目の選択欄502が備わっている。ここでは、各選択欄501,502に含まれるチェックボックスに適宜チェックを行うことで項目の選択が可能となっている。OKボタン503は、現在入力されている選択条件を確定する際に押され、キャンセルボタン504(又は505)は、現在入力されている選択条件を取り消す際に押される。
【0034】
《記憶媒体上のアラームバックアップファイルシステム》
図6は、
図1のいずれかの記憶媒体に格納されるアラームバックアップファイルシステムの構成例を示す図である。例えば
図5で述べた設定に応じて障害アラーム時に取得されたアラームバックアップデータは、
図6に示すようなアラームバックアップファイルシステム601で専用に管理され、所定の記憶媒体に格納される。アラームバックアップファイルシステム601は、例えば、
図2に示した通常のファイルシステムと異なり、生成中の中間ファイル等であってもよく、この場合、アラーム発生をトリガとして中間ファイルの生成が終了し、この終了した時点の中間ファイルが最新情報として所定の記憶媒体に格納される。
【0035】
ここで、アラームバックアップファイルシステム601の保存方法に関し、バックアップ目的である記憶媒体の特性上、所定の保存エリア内で常時最新情報が上書き保存されるような方法が用いられる。この際に、当該保存エリアの容量値は、例えば、前述した
図3のバックアップ容量設定ボックス304で指定され、当該容量値の上限値に到達した時点で、最も古い情報が順次上書きされる。また、当該保存エリアは、
図4で述べたように、アラームの発生状況に応じて、記憶媒体[1]104([2]105)または記憶媒体[3]116に確保される。
【0036】
以上、本実施の形態による自動分析装置を用いることで、障害発生時の解析において、記憶媒体[1]104のデータが記憶媒体[3]116にも記憶されているため、データの複製作業を行うことなく、例えば、記憶媒体[3]116を取り外すこと等で解析を行うことができる。その結果、システムを停止する期間を大きく低減する(理想的には無くす)ことが可能になる。また、操作・データ格納部CPUシステム103および記憶媒体[1]104と分析機構部CPUシステム110および記憶媒体[3]116とが備わっているため、一方のCPUシステムに障害が生じた場合でも、他方のCPUシステムを用いて障害発生時点の最新データをバックアップすることができ、保存データの消失、欠損等のリスクを低減することが可能になる。さらに、外部にて障害の解析等を実施する場合においては、個人情報の保護が可能となる。これらの結果、臨床検査の実態に適したバックアップ方法が実現可能になる。
【0037】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。