(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ターンテーブルを所定角度回転させるとともに前記研削手段を前記研削送り手段によって研削送り方向に動作させて、前記固定基台に複数配設される研削手段のうちの指定する1つの指定研削手段の研削面を該基準テーブル上面に接触させ、該基準テーブルを押し下げ該検知部が検知する時の研削送り位置を記憶する第2の記憶部と、
該指定研削手段以外の該研削手段の該研削面を該基準テーブル上面に接触させ、該基準テーブルを押し下げ該検知部が検知した時のそれぞれの研削送り位置を記憶する第4の記憶部と、を備え、
(第2の記憶部の値)―(第4の記憶部の値)によって、それぞれの研削手段の研削面が該ターンテーブルに配設される全ての該保持手段の上面に接触する該研削送り位置を算出可能とする請求項1記載の研削装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、保持手段を複数備え、保持手段と研削手段とが相対移動する構成の研削装置においては、複数の保持手段の配設位置に高低差が生じる場合がある。したがって、本来は、保持手段と研削手段とのすべての組み合わせについてセットアップを行うことが必要であるが、セットアップ自体に時間を要するとともに、研削時における研削手段の位置制御も複雑化するという問題がある。
【0007】
上記特許文献1に記載された発明では、最も高い位置にある保持手段を基準としてセットアップを行うことにより、被加工物の削りすぎ及び保持手段の損傷を防止することとしているが、かかるセットアップでは、すべての研削手段について研削砥石の消耗量を適切に認識することは不可能であり、また、それぞれの保持手段に保持された被加工物の仕上がり厚さにばらつきが生じる。
【0008】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、複数の保持手段を有する研削装置において、すべての保持手段に対する研削手段の研削送り位置を容易に認識できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自転可能なターンテーブルと、該ターンテーブルの回転中心を中心として均等角度離間して該ターンテーブルに複数配設され被加工物を保持する保持手段と、下部に研削面を有する研削砥石が環状に配列され該保持手段に保持された被加工物を研削加工する研削ホイールを着脱可能に支持する研削手段と、該保持手段の上面に垂直な方向である研削送り方向に該研削手段を動作させる研削送り手段と、該研削送り手段を下方から支持する固定基台とを備えた研削装置において、該固定基台に配設され該保持手段の上面に測定部を当接させて該保持手段の高さを測定する高さゲージと、該ターンテーブルに配設され、上下に動作可能で該高さゲージによって高さの測定が可能な基準テーブルと、該基準テーブルが一定距離下降したことを検知する検知部と、上限位置に位置する該基準テーブルの上面と該研削砥石の研削面とが接した時の該研削手段の高さ位置である第1の研削送り位置と、該上限位置から一定距離下降したことが該検知部によって検知され該基準テーブルの上面と該研削砥石の研削面とが接している時の該研削手段の高さ位置である第2の研削送り位置と、の高低差を記憶する第1の記憶部と、該第2の研削送り位置を記憶する第2の記憶部と、
上限位置に位置する該基準テーブルの上面の高さ位置を高さゲージを用いて測定して求めた基準テーブル高さ値から、該ターンテーブルを所定角度回転させ該ターンテーブルに配設されたすべての保持手段の上面の高さを該高さゲージを用いて測定して求めたそれぞれの該保持手段の高さ値を引いた値を記憶する第3の記憶部と、(第1の記憶部の値)―(第3の記憶部の値)+(第2の記憶部の値)によって該ターンテーブルに配設される全ての該保持手段の上面と該研削手段の該研削面とが接する時のそれぞれの研削手段の高さ位置である研削送り位置を算出する算出部とを備える。
【0010】
上記研削装置において、ターンテーブルを所定角度回転させるとともに研削手段を研削送り手段によって研削送り方向に動作させて、前記固定基台に複数配設される研削手段のうちの指定する1つの指定研削手段の研削面を該基準テーブル上面に接触させ、該基準テーブルを押し下げ該検知部が検知する時の研削送り位置を記憶する第2の記憶部と、該指定研削手段以外の該研削手段の該研削面を該基準テーブル上面に接触させ、該基準テーブルを押し下げ該検知部が検知した時のそれぞれの研削送り位置を記憶する第4の記憶部と、を備え、(第2の記憶部の値)―(第4の記憶部の値)によって、それぞれの研削手段の研削面が該ターンテーブルに配設される全ての該保持手段の上面に接触する該研削送り位置を算出可能とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の保持手段と1つの研削手段とを有する研削装置において、複数の保持手段の保持面と研削砥石とが接触する時の研削手段の高さ位置を、一定の高さの基準テーブルと研削砥石とが接触する時の研削手段の高さ位置を基準とする相対的な関係から求めることができるため、複数の保持手段間の高低差に応じて研削送りを行うことができ、被加工物を所望の厚さに形成することができる。また、研削ホイールの交換や保持手段の交換を行うことにより保持面や研削面の位置が変化しても、その変化に対応して研削送りをすることができる。
【0012】
また、複数の保持手段と複数の研削手段とを有する研削装置においては、1つの指定研削手段の研削砥石と基準テーブルとが接触する時の研削手段の高さ位置を基準とし、指定研削手段以外の研削手段については、指定研削手段の当該高さ位置との相対的な関係から、研削砥石がすべての保持手段の保持面に接触する時の研削送り位置を算出することができるため、複数の研削手段間に高低差があったとしても、その高低差に応じた研削送りを行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)第1の実施形態
図1に示す研削装置1は、被加工物を保持する2つの保持手段2a、2bを備えるとともに、保持手段2a、2bに保持された被加工物を研削する1つの研削手段3を備えている。
【0015】
保持手段2a、2bは、リング状に形成されたターンテーブル4によって自転可能に支持されている。ターンテーブル4は、固定基台6によって回転可能に支持されており、モータ40によって駆動されて回転し、これにともない保持手段2a、2bがターンテーブル4の回転中心を中心として公転することにより、搬出入領域4a、研削領域4bのいずれかに保持手段2a、2bが位置する構成となっている。2つの保持手段2a、2bは、ターンテーブル4の回転中心を中心として均等角度(
図1の例では180度)離間して配設されている。
【0016】
図2に示すように、保持手段2a、2bは、板状ワークWを保持する保持部20と、下部に連結された回転軸21とを備えている。保持部20の表面は、板状ワークWが載置され保持される保持面22となっている。回転軸21の中央部には図示しない吸引孔が形成され、吸引孔は、回転軸21の下部に連結された吸引源23に連通している。そして、吸引源23から発生する吸引力が、吸引孔を通じて保持部20に伝達され、保持面22において板状ワークWを吸引保持することができる。また、回転軸21は、ベルト24を介してモータ25に接続されており、モータ25の駆動により、保持手段2a、2bを回転させることができる。
【0017】
研削手段3は、鉛直方向の軸心を有し回転可能なスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するスピンドルハウジング31と、スピンドル30の上端に接続されスピンドル30を回転させるモータ32と、スピンドル30の下端にマウント33を介して着脱可能に支持された研削ホイール34とから構成され、研削ホイール34の下部には環状に配列され固着された研削砥石35を備えている。研削砥石35の下部は、保持手段2a、2bに保持された被加工物に接触して研削加工を行う研削面35aとなっている。研削手段3においては、モータ32がスピンドル30を回転させることにより研削ホイール33を同方向に回転させることができる。
【0018】
研削手段3は、研削送り手段5によって鉛直方向に移動可能に支持されている。研削送り手段5は、固定基台6によって下方から支持されており、鉛直方向の軸心を有し回動可能なボールネジ50と、ボールネジ50の上端に接続されたサーボモータ51と、ボールネジ50の下端に配設されボールネジ50を回動可能に支持する軸受け部52と、ボールネジ50と平行に配設されたガイドレール53と、ボールネジ50に螺合するナット構造を有する位置基準部55を有しスピンドルハウジング31に連結された移動基台54とから構成され、サーボモータ51の駆動によりボールネジ50が回動すると、移動基台54がZ軸方向に移動して研削手段3をZ軸方向に昇降動作させることができる。研削送り方向であるZ軸方向は、保持手段2a、2bの上面である保持面22に対して垂直な方向となっている。
【0019】
図1に示すように、ターンテーブル4の内周側の円形基台6には、保持手段2a、2bの高さを測定する高さゲージ7が配設されている。高さゲージ7は、円形基台41に固定されたベース部70と、ベース部70に対して水平方向に回動可能な回動部71とから構成され、回動部71の先端には保持手段2a、2bの保持面22に当接させることにより保持手段2a、2bの高さ測定を可能とする測定部72を備えている。
【0020】
図1に示すように、ターンテーブル4上であって、保持手段2a、2bのいずれかの近傍には、高さゲージ7によって高さの測定が可能な基準テーブル8が配設されている。基準テーブル8は、ターンテーブル4の回転中心oと高さゲージ7の測定部72との距離を半径としターンテーブル4の回転中心oを中心とする円周上に設けられており、ターンテーブル4の回転によって高さゲージ7がその高さを測定可能な回転軌道上に配設されている。いる。
【0021】
図2に示すように、基準テーブル8は、昇降駆動部80によって駆動されて上下動作可能となっている。基準テーブル8の下部からは軸部81が垂下し、軸部81の下端には板部材82が連結されている。板部材82が一定距離下降したことを検知する検知部83が配設されている。基準テーブル8の上下動の範囲は、上限位置から下限位置(検知部83によって検知された位置)に限定されている。検知部83としては、例えば光センサを用いることができる。また、昇降部材80としては、例えばエアシリンダを使用することができる。
【0022】
図2に示すように、研削送り手段5を構成するサーボモータ51及び高さゲージ7には、CPU、メモリ等を備え、記憶、演算、装置の各部位の制御等の機能を有する制御手段9が連結されている。制御手段9は、サーボモータ51を制御することにより、研削手段3の高さ位置を制御することができる
【0023】
制御手段9は、研削送り手段5による研削手段3の研削送りの基礎とするために、研削送り手段5からみた研削手段3の高さ位置情報を記憶する第1の記憶部91と第2の記憶部92とを備えている。
【0024】
また、制御手段9には、制御手段8には、高さゲージ7によって把握される各保持手段2a、2bの保持面22の高さ等を記憶する第3の記憶部93を備えている。
【0025】
制御手段9には、算出部95を備えている。算出部95は、第1の記憶部91、第2の記憶部92及び第3の記憶部93の記憶内容を読み出して演算を行い、研削送り手段5における研削送り位置を算出する機能を有する。
【0026】
図1及び
図2に示した研削装置1は、2つの保持手段2a、2bを備えているが、これらの個々の保持面22が互いに同じ高さ位置に位置していないことがある。一方、いずれの保持手段に保持された被加工物も、研削手段3によって研削され、研削砥石35の高さ位置は研削送り手段5によって制御されるため、研削送り手段5は、2つの保持面22の高低差を考慮して研削手段3を研削送りする必要がある。そこで、研削送り手段5は、保持手段2a、2bの保持面22の高さ位置を、基準テーブル8の高さ位置との相対的な関係によって認識する。そのための準備として、被加工物の研削を行う前に、制御手段9の第1の記憶部91、第2の記憶部92及び第3の記憶部93にそれぞれ値を記憶させる。
【0027】
まず、
図3に示すように、研削送り手段5によって研削手段3を下降させていき、上限位置に位置する基準テーブル8の上面8aに研削砥石35を接触させる。そして、基準テーブル8の上面8aと研削砥石35の研削面35aとが接した時の研削手段3の高さ位置である第1の研削送り位置Z01を第1の記憶部91に記憶する。また、その状態からさらに研削手段3を下降させていき、上限位置から一定距離下降したことが検知部83によって検知され基準テーブル8の上面8aと研削砥石35の研削面35aとが接している時の研削手段3の高さ位置である第2の研削送り位置Z02を第2の記憶部92に記憶する。そして、算出部95において、第1の記憶部91に記憶した第1の研削送り位置Z01の値から第2の記憶部92に記憶した第2の研削送り位置Z02の値との差を算出し、求めた差の値を、第1の研削送り位置Z01と第2の研削送り位置Z02との間の高低差ΔZ0として第1の記憶部91に記憶する。
【0028】
なお、第1の研削送り位置Z01及び第2の研削送り位置Z02は、研削送り手段5から見た基準テーブル8の高さ位置であり、例えば、研削送り手段5に備えた位置基準部55の高さ位置を用いることができる。位置基準部55の高さ位置は、Z0軸上の位置として認識することができる。
【0029】
次に、
図4に示すように、上限位置に位置する基準テーブル8の上面8aに高さゲージ7の測定部72を接触させて基準テーブル8の上面8aの高さである基準テーブル高さ値Z11を測定し、第3の記憶部93に記憶する。また、ターンテーブル4を所定角度回転させ、ターンテーブル4に配設されたすべての保持手段2a、2bの上面である保持面22に高さゲージ7の測定部72を接触させて保持面22の高さ値Z1a、Z1bをそれぞれ測定する。そして、
基準テーブル高さ値Z11から保持面22の高さ値Z1aを差し引いた値ΔZ1aと、基準テーブル高さ値Z11から保持面22の高さ値Z1bを差し引いた値ΔZ1bとを、それぞれ第3の記憶部に記憶する。なお、保持手段2a、2bにおいて、測定部72を接触させる位置は、保持部20の周囲の枠体でもよい。
【0030】
こうして第1の記憶部91、第2の記憶部92、第3の記憶部93にそれぞれ値が記憶されると、算出部95は、以下の計算式(1)の計算を行う。
(第1の記憶部の値)−(第3の記憶部の値)+(第2の記憶部の値)・・計算式(1)
【0031】
図5を参照し、上記計算式(1)に、各保持手段2a、2bについての値をそれぞれ代入すると、以下の2つの計算式となる。
Z0A=ΔZ0−ΔZ1a+Z02
Z0B=ΔZ0−ΔZ1b+Z02
【0032】
求めたZ0Aの値は、Z0軸上における保持手段2aの保持面22の高さであり、Z0Bの値は、Z0軸上における保持手段2bの保持面22の高さである。すなわち、上記計算式(1)によれば、ターンテーブル4に配設されるすべての保持手段の保持面22と研削手段3の研削面35aとが接する時の研削手段3の高さ位置である研削送り位置を求めることができる。したがって、被加工物の研削時には、求めたZ0A、Z0Bの値を基準として、研削送り手段5による研削送りを行うことにより、被加工物を所望の厚みに形成することができる。
【0033】
以上のようにして、基準テーブル8の上面8aとの関係において研削送り位置を認識することにより、研削ホイール34の交換や保持手段2a、2bの交換をした場合においても、正しい研削送り位置の認識を容易に行うことができる。
例えば、研削ホイール34のみ交換した時は、研削送り手段5によって基準テーブル8の上面8aに研削砥石35の研削面35aを接触させ、その状態でさらに研削手段3を下降させて検知部83が検知した第2の研削送り位置Z02xを第2の記憶部92に記憶第2の記憶部92を更新するだけで
Z0Ax=ΔZ0−ΔZ1a+Z02x
Z0Bx=ΔZ0−ΔZ1b+Z02x
となり、ターンテーブル4に配設される全ての保持手段の保持面22と研削手段3の研削面35aとが接する時の研削手段3の高さ位置である研削送り位置を求めることができる。
【0034】
次に、ターンテーブル4に複数配設される保持手段のうちの1つの保持手段2aのみ交換した時は、高さゲージ7の測定部72を保持面22に接触させZ1axを測定すると共に、高さゲージ7で測定した基準テーブル8が上限位置での上面8aの基準テーブル高さ値Z11との差をΔZ1axとして第3の記憶部に記憶することによって第3の記憶部93を更新するだけで
Z0Ax=ΔZ0−ΔZ1ax+Z02
Z0B =ΔZ0−ΔZ1b+Z02
となり、ターンテーブル4に配設される全ての保持手段の保持面22と研削手段3の研削面35aとが接する時の研削手段3の高さ位置である研削送り位置を求めることができる。
【0035】
また、1つの保持手段を交換した時と同様に、ターンテーブル4に複数配設される保持手段のうち複数の保持手段を交換した時も、高さゲージ7の測定部72を保持面22に接触させ測定した値によって第3の記憶部93を更新して、ターンテーブル4に配設される全ての保持手段の保持面22と研削手段3の研削面35aとが接する時の研削手段3の高さ位置である研削送り位置を求めることができる。
【0036】
以下では、被加工物を研削する手順について説明する。
図1に示す搬出入領域2aに位置する保持手段2aには、被加工物が搬入されて保持される。そして、ターンテーブル4が180度回転することにより、保持手段2aに保持された被加工物が研削手段3の下方に移動する。
【0037】
図6に示すように、保持手段2aに保持された被加工物Wの研削前の厚さTaが例えば200μmであり、研削後の仕上がり厚さを100μmとする場合においては、Z0軸上における保持面22の研削送り位置がZ0Aであるから、研削ホイール34を回転させるとともに、研削送り手段5で研削手段3が上方向の移動をプラスで下方向の移動をマイナスと装置が認識するとしたなら、研削送り手段5によって、研削手段3をZ0A+100μmまで研削送りすればよい。このようにして研削送りを行うと、厚さが100μmの被加工物Wが形成される。研削では被加工物の厚みを減じると共に研削砥石が消耗するので厚さが100umの被加工物を形成するにはZ0A+100um−砥石の消耗量になる。
【0038】
(2)第2の実施形態
本実施形態においては、第1の実施形態と共通する部位については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0039】
図7に示す研削装置10は、被加工物を保持する5つの保持手段2a、2b、2c、2d、2eと、各保持手段に保持された被加工物を研削する研削手段3a、3b、3c、3dとを備えている。
【0040】
保持手段2a〜2eは、リング状に形成されたターンテーブル4によって自転可能に支持されており、ターンテーブル4の回転中心を中心として均等角度離間して配設されている。ターンテーブル4は、モータ40によって駆動されて自転可能であり、ターンテーブル4の自転によって保持手段2a〜2eが公転交点可能となっている。研削手段3a〜3dは、保持手段2a〜2eの公転経路の上方に配設されている。例えば、研削手段3a、3bが粗研削手段、研削手段3c、3dが仕上げ研削手段となっている。
【0041】
ターンテーブル4の内周側に位置する固定基台6には、研削手段が4つあることに対応し、各保持手段2a〜2eの高さを測定する高さゲージ7が4つ配設されている。
【0042】
図7に示すように、ターンテーブル4上であって、保持手段2a〜2eのいずれかの近傍には、高さゲージ7によって高さの測定が可能な基準テーブル8が配設されている。
図7の例における基準テーブル8は、保持手段2eの近傍に配設されている。基準テーブル8は、ターンテーブル4の回転中心oと高さゲージ7の測定部72との距離を半径とし、ターンテーブル4の回転中心oを中心とする円周上に設けられている。
【0043】
図8に示すように、研削装置10には、研削手段3a〜3dを備えていることに対応し、それぞれの研削手段3a〜3dを研削送りする研削送り手段5a〜5dをそれぞれ備えている。また、研削送り手段5a〜5dを制御する制御手段9には、第1の実施形態で示した第1の記憶部91、第2の記憶部92及び第3の記憶部93に加えて、第4の記憶部94を備えている。
【0044】
本実施形態の研削装置10では、研削手段を複数備えているため、そのうちの1つを指定研削手段とし、指定研削手段とその他の研削手段との研削送り位置の差を求め、その差の値を利用して研削送りを行う。
【0045】
保持手段2a〜2eの個々の保持面22が互いに同じ高さ位置に位置していないことがあることを考慮し、保持手段2a〜2eの保持面22の高さ位置を、基準テーブル8の高さ位置との相対的な関係における変位によって認識する。そのための準備として、被加工物の研削を行う前に、制御手段9の第1の記憶部91、第2の記憶部92、第3の記憶部93及び第4の記憶部94にそれぞれ必要な値を記憶する。
【0046】
例えば、指定研削手段を研削手段3aとすると、最初に、ターンテーブル4を所定角度回転させ、指定研削手段3aについて、
図9に示すように、研削送り手段5aによって指定研削手段3aを研削送り方向に下降させて、上限位置に位置する基準テーブル8の上面8aに研削砥石35を接触させ、その時の指定研削手段3aの高さ位置である第1の研削送り位置Z01aを認識する。その後、指定研削手段3aを下降させていき、上限位置から一定距離下降したことが検知部83によって検知され基準テーブル8の上面8aと研削砥石35の研削面35aとが接している時の指定研削手段3aの高さ位置である第2の研削送り位置Z02bを認識し、その値を第2の記憶部92に記憶する。そして、算出部95において、第1の研削送り位置Z01aの値から第2の記憶部92に記憶した第2の研削送り位置Z02aの値との差を算出し、求めた差の値を、第1の研削送り位置Z01aと第2の研削送り位置Z02aとの間の高低差ΔZ0aとして第1の記憶部91に記憶する。第1の研削送り位置Z01a及び第2の研削送り位置Z02aとしては、例えば、研削送り手段5に備えた位置基準部55の高さ位置を用いることができる。位置基準部55の高さ位置は、Z0a軸上の位置として認識することができる。
【0047】
次に、
図10に示すように、上限位置に位置する基準テーブル8の上面8aに高さゲージ7の測定部72を接触させて基準テーブル8の上面8aの高さである基準テーブル高さ値Z11を測定し、第3の記憶部93に記憶する。また、ターンテーブル4を所定角度回転させながら、ターンテーブル4に配設されたすべての保持手段2a〜2eの上面である保持面22に高さゲージ7の測定部72を接触させて、Z1軸上の保持面22の高さ値をそれぞれ求める。
図10においては、保持手段2a、2bの保持面22の高さであるZ1a、Z1bのみを図示しているが、保持手段2c、2d、2eの高さであるZ1c、Z1d、Z1eについても同様に測定する。
【0048】
そして、それぞれの保持手段の高さ値Z1a、Z1b、・・・と基準テーブル高さ値Z11との差を、ΔZ1a、ΔZ1b、・・・としてそれぞれ第3の記憶部93に記憶する。
【0049】
次に、ターンテーブル4を所定角度回転させながら、
図11に示すように、指定研削手段3a以外の研削手段3b、3c、3dのそれぞれの研削砥石35の研削面35aを基準テーブル8の上面8aに接触させ、その研削手段を下降させることにより基準テーブル8を押し下げ、基準テーブル8が上限位置から一定距離下降したことを検知部83が検知した時、それぞれの研削手段のZ0軸であるZ0b軸、Z0c軸、Z0d軸上におけるそれぞれの研削送り位置Z02b、Z02c、Z02dの値をそれぞれ第4の記憶部94に記憶する。基準テーブル8は1つであるので、その上面8aの高さは変動しないが、それぞれの研削手段が個々に別々の研削送り手段によって支持されているため、それぞれの研削送り手段によって認識される研削手段の研削送り位置が一致するとは限らない。
【0050】
こうして第1の記憶部91、第2の記憶部92、第3の記憶部93及び第4の記憶部94にそれぞれ値が記憶されると、算出部95は、以下の計算式(2)の計算を行う。
(第2の記憶部の値)−(第4の記憶部の値)・・・計算式(2)
【0051】
上記計算式(2)によって求められた値は、指定研削手段3aとその他のそれぞれの研削手段との座標軸の上下方向のずれを表している。
【0052】
次に、上記計算式(2)の計算結果を第2の記憶部92に代入し、下記計算式(1)を計算する。
(第1の記憶部の値)−(第3の記憶部の値)+(第2の記憶部の値)・・計算式(1)
よって、それぞれの研削手段の研削面35aがターンテーブル4に配設されるすべての保持手段の上面22に接触する時の研削送り位置が算出可能となっている。
【0053】
そうすると、研削手段間の高さ位置の差及び保持手段間の高さ位置の差を考慮した研削送り位置が求められる。そして、その研削送り位置を基準として研削送りをすることにより、被加工物を所望の厚みに形成することができる。
【0054】
このように、複数の保持手段と複数の研削手段とを有する研削装置においては、1つの指定研削手段の研削砥石と基準テーブルとが接触する時の研削手段の高さ位置を基準とし、指定研削手段以外の研削手段については、指定研削手段の当該高さ位置との相対的な関係から、研削砥石がすべての保持手段の保持面に接触する時の研削送り位置を算出することができるため、複数の研削手段間に高低差があったとしても、その高低差に応じた研削送りを行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1、10:研削装置
2a、2b、2c、2d、2e:保持手段
20:保持部 21:回転軸 22:保持面 23:吸引源 24:ベルト
25:モータ
3、3a、3b、3c、3d、3e:研削手段
30:スピンドル 31:スピンドルハウジング 32:モータ 33:マウント
34:研削ホイール 35:研削砥石 35a:研削面
4:ターンテーブル 40:モータ 4a:搬出入領域 4b:研削領域
5、5a、5b、5c、5d、5e:研削送り手段
50:ボールネジ 51:サーボモータ 52:軸受け部 53:ガイドレール
54:移動基台 55:位置基準部
6:固定基台
7:高さゲージ 70:ベース部 71:回動部 72:測定部
8:基準テーブル 80:昇降駆動部 81:軸部 82:板部材 83:検知部
9:制御手段 91:第1の記憶部 92:第2の記憶部 93:第3の記憶部
94:第4の記憶部 95:算出部