【実施例1】
【0010】
図1、
図2、
図3は一実施形態の調光装置の概略図であり、調光装置1000は調光素子100と駆動回路200を有する。調光素子100は、第1電極11、第1基板10、第2電極21、第2基板20で構成される。
図1では、第1電極11、第1基板10、第2電極21、第2基板20は平板状(ベタ状)となっている。第1基板10に第1電極11が形成され、第2基板20に第2電極21が形成される。第1電極11および第2電極21は、所定の間隙をもって懸濁液32を挟持するように配置される。第1電極11上、つまり、第1電極11に対して懸濁液32が形成される側、にはテーパー形状を有する第1凹凸形状12が配置される。所定の間隙によって形成される懸濁液充填空間には懸濁液32が満たされている。
【0011】
懸濁液32は、調光粒子31および分散媒30で構成され、調光粒子31が分散媒30に分散されている。本実施例では
図2に示すように、第1基板10の面内法線方向から見て第1基板10と第2基板20はずらして重ね合わせてあり、第1電極接続部11aおよび第2電極接続部21aにより、第1電極11および第2電極21が駆動回路200に接続されている。
【0012】
本実施例の調光装置は、例えば以下の方法で作製可能である。
まず、酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極を形成したガラス基板を1組作製し、それぞれ第1基板10、第1電極11、第1電極接続部11a、第2基板20、第2電極21、第2電極接続部21aとする。第1電極11、第1電極接続部11a、第2電極21、第2電極接続部21aのパターニングはフォトリソグラフィの手法で実施される。
【0013】
図3で示されるように、さらに、第1電極11上にUV硬化型のアクリル樹脂を塗布し、所望とする第1凹凸形状12と逆の凹凸形状を持つ金型で成形、UV光により硬化させることで第1凹凸形状12が第1電極11上に形成される。
【0014】
次に、第1電極11と第2電極21が向かい合うようにし、両基板端部の対辺にスペーサビーズ等を含む封着剤を塗布して両基板を接着する(図示しない)。これにより、両基板間に距離が25μmである懸濁液32の懸濁液充填空間が形成される。
【0015】
懸濁液充填空間には、封着剤で接着していない第1基板10および第2基板20の端部から毛細管現象により懸濁液32が充填される。懸濁液32は、例えば、アクリル酸エステルオリゴマーからなる分散媒30とポリヨウ化物からなる調光粒子31で構成されている。調光粒子31は形状に異方性があり、配向方向に起因して吸光度の異なる光学的異方性を発現し、アスペクト比が1ではない形状をしており、かつ負に帯電している。懸濁液32中の調光粒子31の濃度は例えば3.7wt%である。
【0016】
懸濁液充填空間に懸濁液32を充填後、接着していない第1基板10および第2基板20の端部を封着剤で接着して封止することで調光素子100が完成する。さらに、調光素子100の第1電極11および第2電極21を第1電極接続部11aおよび第2電極接続部21aを介して駆動回路200に配線接続することで本実施例の調光装置が作製される。
【0017】
以上の構成、製造方法で作製された本実施例の調光装置は、駆動回路200より第1電極11および第2電極21間に複数の駆動波形により電位差を与えることで、以下に記述するように透過状態、遮光状態あるいはその中間状態へ調光することが可能である。
【0018】
電圧無印加の初期状態では
図1に示すように調光粒子31はランダム状態であり調光素子100に入射した光(第1基板10から第2基板20に向けて入射、あるいは第2基板20から第1基板10に向けて入射した光)を調光粒子31が吸収する遮光状態になる。
【0019】
駆動回路200により第1電極11、第2電極21間に所定の交流電圧を印加することで、調光粒子31は第1基板10および第2基板20の面内方向に対してほぼ垂直方向に並ぶ(
図4)。この状態では調光素子100に入射した光は調光粒子31により吸収されにくく、透過状態となる。また、交流の印加電圧を前述の所定の電圧より下げることで調光粒子31はランダム状態と第1基板10および第2基板20の面内方向に対して垂直に配向状態との中間状態をとることができるため、調光素子100は任意の透過状態を得ることができる(図示せず)。ここでいう交流電圧は、正弦波や方形波、三角波やこれらを任意に組み合わせた形状の波形を含み、周波数や波形が多少揺らいでも構わない。その周波数fは30Hz<f<1000Hzの範囲が好適である。また、印加電圧Vは第1電極11と第2電極21間の距離に依存するが概ね5V<V<300V、電界強度Eは0.1×10
6V/m<E<1×10
7V/mの範囲が好適である。例えば、正弦波で周波数50Hz程度、電圧100Vで駆動可能であれば、国内の一般のコンセントから供給される電圧を利用することが可能である。
【0020】
駆動回路200により第1電極11および第2電極21間に第1電極11より第2電極21側の電位が高くなるように直流電圧を印加することで、負に帯電した調光粒子31が第2電極21側に第2基板20の面内方向に対して垂直になるように配向しながら移動し、かつ、第2電極21上で配向を保つ。この状態では調光素子100に入射した光は調光粒子31により吸収されにくく、透過状態となる(
図5)。ここでいう直流電圧は、第1電極11と第2電極21間の距離に依存するが概ね5V<V<300V、電界強度Eは0.1×10
6V/m<E<1×10
7V/mの範囲が好適である。また、印加電圧の極性は同一にしたまま2段階にしても良い。例えば、調光粒子31を素早く移動させるために高い電圧100Vで第2電極21まで移動させ、移動後は低い電圧50Vで調光粒子31の配向状態を保つといった駆動も可能である。また複数段階、スロープ状などの波形も適用が可能である。
【0021】
駆動回路200により前述の直流電圧印加とは逆極性となるように、すなわち、第1電極11および第2電極21間に第2電極21より第1電極11側の電位が高くなるように直流電圧を印加することで、負に帯電した調光粒子31が第1電極11側に移動し第1凹凸形状12に達する。第1凹凸形状12に達した調光粒子31は、なおも電位差により下向きの力を受けるため、第1凹凸形状12の斜面(テーパー部)で第1基板10に垂直な配向状態を保つことができず、調光粒子31が斜面で倒れ第1凹凸形状12上でランダム状態となる。この状態では、調光素子100に入射した光を調光粒子31が吸収する遮光状態となる(
図6)。ここでいう直流電圧は、第1電極11と第2電極21間の距離に依存するが概ね5V<V<300V、電界強度Eは0.1×10
6V/m<E<1×10
7V/mの範囲が好適である。また、印加電圧の極性は同一にしたまま2段階にしても良い。例えば調光粒子31を素早く移動させるために高い電圧100Vで第1電極11上の第1凹凸形状12まで移動させ、第1凹凸形状12の凹凸形状により調光粒子31の配向を乱し、移動後は低い電圧50Vで調光粒子31の配向を乱した状態を保つといった駆動も可能である。また、波形を複数段階にする、スロープ状にした場合なども適用が可能である。
【0022】
一旦、調光粒子31が第1凹凸形状12に到達した後は、電圧印加を止めることで第1凹凸形状12上からブラウン運動などで拡散していくが、その際も調光粒子31はランダムな状態となるので遮光状態となる(
図1)。一方、前述の透過状態や中間状態から電圧の印加を止めると調光粒子31がブラウン運動などで拡散し、遮光状態(
図1)へ戻る。
【0023】
以上の様に本実施例では、交流電圧、および直流電圧をとった複数の駆動波形により透過状態、中間状態および遮光状態をとることができる調光装置およびその駆動方法を提供できる。これにより、直流電圧のみ供給する駆動回路や、交流電圧のみを供給する駆動回路や何れも供給可能な駆動回路など多種の駆動回路に対して、同一の調光素子にて調光動作が可能となる。
【0024】
また、さらに本実施例の調光装置では、直流電圧を印加することによって調光粒子31を第1凹凸形状12上へ移動させて遮光状態にさせることが可能であるため、ブラウン運動などによる調光粒子31の拡散を待って遮光状態にする場合と比較すると、より高速に透過状態あるいは中間状態から遮光状態へ調光することができる。
【0025】
本実施例の調光装置は前述の部材以外にも、以下の部材を適宜利用することも可能である。
【0026】
第1基板10、第2基板20は少なくとも可視光の一部の波長を透過する基板であり、各種ガラスや石英などの透明な無機の基板やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の透明な樹脂基板が利用可能である。また、用途に応じて着色された基板や、散乱性を持つ基板も利用可能である。また、第1基板10もしくは第2基板20の何れか一方に可視光を反射する基板あるいは反射する層を設けた基板を用いることで、反射状態と遮光状態で光変調できる調光装置も形成可能である。
【0027】
第1電極11、第1電極接続部11a、第2電極21、第2電極接続部21aは前述の第1基板10および第2基板20上に形成される電極であり、少なくとも可視光の一部の波長を透過する、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ、酸化亜鉛やカーボンナノチューブ、グラフェン等が利用可能である。また、銀などの金属や各種導電体をナノワイヤー化して、樹脂中に分散させ、透明電極としたものを用いても良い。本実施例では透明電極はベタ状にして第1基板10や第2基板20上に一面に形成しているが、これに限らず円などの模様や文字型に配設しても構わない。また、配線自体が銅、クロム、Ag、アルミや各種金属など可視光を透過しない場合においても、電極を櫛歯状にして、かつその櫛歯状の各配線幅を狭くし、配線による遮光率を少なくすることで利用することも可能である。また、第1電極11、第2電極21と第1電極接続部11a、第2電極接続部21aとで材質を変える等複数の材質を使い分けて利用してもよい。
【0028】
スペーサビーズはガラスやポリマーなどが挙げられ、接着材に対して安定であることが望ましい。なお、懸濁液充填空間及び両基板間の距離は4μm以上150μm以下が透過率や駆動電圧の観点から好適である。また、スペーサビーズを第1基板10と第2基板20との間に散布し、懸濁液充填空間を維持しても構わない。スペーサビーズを第1基板10と第2基板20との間に散布する場合、スペーサビーズの屈折率は分散媒30の屈折率が近い方が屈折率差によるスペーサビーズの散乱が起こらず好ましい。好ましいスペーサビーズの屈折率と分散媒30の屈折率の差はΔn<0.2、より好ましくはΔn<0.1である。
【0029】
懸濁液32は調光粒子31が分散媒30に分散されたものであり、第1基板10と第2基板20間で形成される懸濁液充填空間を満たしている。本実施例では毛細管現象により懸濁液32を充填したが、懸濁液32を第1基板10と第2基板20を接着する前にバーコート法や真空下での滴下注入法(ODF)法などで塗布し、その後に第1基板10と第2基板20を貼り合わせて接着と封止をしても構わない。
【0030】
調光粒子31は、例えば、ポリ過ヨウ化物であり、形状に異方性があり、配向方向に起因して吸光度の異なる光学的異方性を発現し、アスペクト比が1ではない形状をしている。調光粒子31を合成する過程において、粒子サイズの均一性を上げるためニトロセルロース等を加えても良い。このような調光粒子31は電圧印加により動作を制御可能であること、すなわち、ある周波数範囲の交流電圧の印加において、調光粒子31が配向を生じ、かつある直流電圧の印加において一方向に移動する(正あるいは負に帯電している)ことが望ましい。調光粒子31として導電性の低い誘電体材料を用いることが望ましい。導電性の低い誘電体材料としてはポリマー粒子、ポリマーでコートした粒子などが挙げられる。
【0031】
調光粒子31の形状として、棒状や板状などが考えられる。特に、調光粒子31を棒状とすることで、電界に対する粒子回転運動の抵抗や透過時のヘイズの上昇を抑制できる。この時の調光粒子31の短軸と長軸のアスペクト比は、例えば、5以上30以下程度が望ましい。アスペクト比を5以上とすることにより、調光粒子31の形状に起因する光学的異方性を発現できる。
【0032】
調光粒子31が棒状や板状である場合、調光粒子31の長軸の大きさは1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。調光粒子31の長軸の大きさが1μmを超える場合には、光散乱が生じたり、電界が印加された場合に分散媒30中での配向運動が低下したりするなど、透明性が低下する問題が発生することがあるためである。なお、調光粒子31の大きさは、電子顕微鏡観察等により計測される。
【0033】
調光粒子31の材質は、上記のポリヨウ化物以外に、カーボンブラックなどの炭素系材料、銅、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、アルミニウムなどの金属材料、窒化ケイ素、窒化チタン、酸化アルミニウムなどの無機化合物を主原料とした粒子であっても構わない。これらの材料にポリマー等で表面コートあるいは表面処理し、前述の配向や帯電の機能を付与した調光粒子として利用可能である。調光粒子31として、上記の材料が一種類のみ含まれていても良く、上記の材料が二種類以上含まれていても構わない。
【0034】
分散媒30として、アクリル酸エステルオリゴマーからなる液状共重合体、ポリシロキサン(シリコーンオイル)などが挙げられる。また、これら複数の材料をブレンドし、粘度調整や信頼性を高めた分散媒も利用可能である。調光粒子31が浮遊、動作可能な粘度であり、高抵抗で、第1基板10、第2基板20、第1電極11、第2電極21とは親和性がなく、かつこれらに屈折率が近く、調光粒子31と誘電率が異なる液状共重合体を使用することが好ましい。具体的には、温度298Kにおいて、分散媒30の抵抗率が10
12Ωm以上10
15Ωm以下であることが望ましい。分散媒30と調光粒子31に誘電率差があると、調光粒子31の配向動作において交流電界下における配向の駆動力として作用させることができる。分散媒30の比誘電率は3.0以上5.0以下とすることが好ましい。
【0035】
第1凹凸形状12は、少なくとも可視光の一部の波長を透過する材質であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル、エポキシ、シクロオレフィンポリマー(COP)等の透明な樹脂材料や各種ガラスや石英などを任意の成型、加工方法で第1基板10上に成型あるいは後から張り合わせることで利用可能である。特に、UV硬化型や熱硬化型の樹脂を第1基板10上に塗布し、金型等の型を押しあてながら硬化し、第1凹凸形状12を第1基板10上に一括成型するとプロセスの簡易化の観点から好適である。
【0036】
また、第1基板10の第1電極11側にあらかじめ凹凸形状を施し(
図7(a))その凹凸形状に沿って第1電極11を形成して第1凹凸形状12としても良い。
図7(a)のように第1凹凸形状12を形成することにより、凹凸構造形成のための部材の種類を減らせる。また、平坦な第1基板10の上に凹凸形状を有する第1電極11を形成し第1凹凸形状12と兼ねても良い(
図7(b))。
図7(b)のように第1電極11が第1凹凸形状12を兼ねることにより、凹凸構造形成のための部材の種類を減らせる。第1凹凸形状12は、
図8(a)に示すようにほぼ等方のお椀状、
図8(b)に示す1方向に長いお椀状、あるいは
図8(c)に示す溝形状でもよい。また、これらは周期的に配列されていても良いし、サイズや形状が異なる凹凸がランダムに配置されていてもよい。
図8(b)のようなお椀状は略等方であるため、あらゆる方向に粒子が倒れ、遮光性が良い。
【0037】
また、本実施例の第1凹凸形状12は調光粒子31の配向を解消するための
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)のようなテーパー部120が必要である。テーパー部120として、各凹凸形状の開口部の最短距離で基板に垂直に切断した際の断面形状が
図9(a)に示すような円弧、楕円、放物線などの各種曲線や、
図9(b)に示すようなV字形状や、
図9(c)に示すような複数の頂点を持つ線、あるいはこれらを任意に組み合わせた形状などが挙げられる。テーパー部120とは、第1凹凸形状12の断面におけるある接線が第1基板10とのなす角度が少なくとも0°<θ<90°の範囲の角度を有することである。
【0038】
また、第1凹凸形状12のサイズが調光粒子31の長軸方向の長さと比較して大きいと、直流電圧印加により第1凹凸形状12に移動してきた調光粒子31が、第1凹凸形状12の凹部の底にたまり第1凹凸形状12の凸部近傍には調光粒子31がほとんどない状態、すなわち遮光性が落ちる状態となる。そのため、調光粒子31の長軸方向の長さをlとした時の第1凹凸形状12の断面形状の深さdは0.1l<d<20l、より好ましくは0.5l<d<3l、第1凹凸形状12の断面形状の開口の短軸方向をwとすると、w<20l、より好ましくはw<6lであることが望ましい。第1凹凸形状12の断面形状の接線と第1基板10面とのなす角度の最大値をθmaxとすると、20°<θmax≦90°、より好ましくは45°<θmax≦90°であると、調光粒子31がテーパー部120で倒れやすく良好な遮光状態が得られる。
【0039】
また、ここで用いる第1凹凸形状12の材質は分散媒30と屈折率が近いほど界面による散乱が起こりにくく好適である。好ましい第1凹凸形状12の屈折率と分散媒30の屈折率との屈折率差ΔnはΔn<0.2、より好ましくはΔn<0.1である。樹脂材料をベースとした材質の方が分散媒30と屈折率を合わせやすい。また、樹脂材料で第1凹凸形状12を形成することで第1電極11を懸濁液32に直接触れさせず、電圧印加時の電極―懸濁液界面での電気化学反応などに起因する劣化を抑えるという利点もある。
【実施例2】
【0040】
図10、
図11は一実施形態の調光装置の概略図であり、隔壁33が第1基板10および第2基板20間に配置され、懸濁液32が隔壁33により小分けにされている以外は前述の実施例と同様である。
図10において、懸濁液32を小分けにするために、隔壁33は第2電極21に接するように構成されている。
【0041】
本実施例では、前述の効果の他に、隔壁33により懸濁液32が小分けにされているために、調光素子100内での調光粒子31の偏りを抑え、より面内の透過率分布が均一である調光装置を提供できる。また、隔壁33により懸濁液32が小分けにされていることで、調光素子100を任意に切断した際の懸濁液32の流出量をごく少量に制限できる。そのため、特に、第1基板10および第2基板20にPETなどの樹脂基板を利用する場合、調光素子100を利用したいサイズに合わせて切断加工することができる。また、隔壁33を設けることで調光素子100をより丈夫な構造にすることできる。
【0042】
隔壁33の形状は、第1基板10の面内法線方向からみると、例えば
図11(a)に示す四角形状や
図11(b)に示すような直線形状(溝形状)や
図11(c)に示すような六角形状などである。隔壁33の形状を
図11(b)に示すような直線形状とすることにより、調光粒子31が動ける面積が大きく、遮光時と透過時の差を大きくとれ、開口率を広くとれる。隔壁33の形状を
図11(c)に示すような六角形状とすることにより、調光素子100をより丈夫な構造にすることできる。隔壁33の形状は、これらに限定されるものではなく、ランダムの形状であっても同様の効果を得ることができる。隣り合う隔壁33の表面から表面までの距離は20μm以上500μm以下が好ましく、隔壁33の幅は50μm以下、より好ましくは20μm以下である。特に、
図11に示したように、第1基板10の面内法線方向から見た際の隔壁33以外の部分が、調光粒子31を調光動作する領域となるため、第1基板10の面内法線方向から見た際の第1基板10または第2基板20の面積に対する隔壁33の面積比をより小さくした方が好ましい。例えば、隔壁33の面積比は50%以下とすることが望ましい。
【0043】
隔壁33として、例えばガラスやポリマーからなる透明な絶縁性の誘電体材料が挙げられ、他の構成材料に対して安定で有ることが好ましい。
【0044】
また、分散媒30と隔壁33の屈折率を近づけ、両者の界面での反射を減らすことで隔壁33を目立ちにくくする効果がある。好ましい分散媒30の屈折率と隔壁33の屈折率屈折率差ΔnはΔn<0.2、より好ましくはΔn<0.1である。特に、隔壁33と第1凹凸形状12とを同じ材質にすると、例えば金型などで第1電極11を形成した第1基板10上に第1凹凸形状12と隔壁33を一括で成型でき、製造工程を簡易化できる。この際に、隔壁33が金型から抜けやすいように、第1基板10側の隔壁33の太さを第2基板20側の隔壁33の太さより大きくしてもよい。その後、懸濁液32を隔壁33で小分けされた領域に充填し、第2電極21を形成した第2基板20と貼り合わせることで調光素子100を作製可能である。また、懸濁液32を隔壁33で小分けされたそれぞれの領域に充填後、UV硬化樹脂や光硬化樹脂で封止し、その後、第2基板20と貼り合わせても良い。第1凹凸形状12と隔壁33を別部材としても良い。
【0045】
また、遮光状態における透過率をより低下させるため、少なくとも隔壁33の頂上部分あるいは全体を黒色に着色、または/および、第1凹凸形状12の凸部または全体を黒色に着色してもよい。第1凹凸形状12や隔壁33の全体が黒色に着色されている場合でも、第1凹凸形状12の凹部の厚さは小さいので光を透過し、第1凹凸形状12の凸部の厚さや隔壁33の厚さは大きいので光を遮ることができる。第1凹凸形状12の凸部や隔壁33上では調光粒子31が乗らない、または、倒れないため、遮光時の透過率をより下げることができる。また、隔壁33または第1凹凸形状12の全体が黒色で着色している場合、隔壁33または第1凹凸形状12を同一材料で一括作製できる。
【0046】
また、調光素子100の透過光の色度補正のために他の色に着色したりしても構わない。例えば、遮光状態で青色の光を多く透過するような調光素子100(調光粒子31)を用いた場合には、補色となる黄色の波長を透過する隔壁33を利用することで、遮光状態の青色の光を無彩色に近づけることができる。この場合、隔壁33の頂上部分あるいは全体を調光素子100の遮光時の色の補色に着色、または/および、第1凹凸形状12の凸部または全体を調光素子100の遮光時の色の補色に着色してもよい。調光素子100透過時に完全な無彩色でなければ、第1凹凸形状12のみを遮光時の色の補色に着色にしても良い。