(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシシランは、窒素原子上に活性水素を有する場合、密着性の向上等の添加効果は高いものの、窒素原子と反応する官能基、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基を有する化合物に添加した場合に反応してしまい、効果が十分発揮できない場合や、耐熱性が十分でない場合がある。また、特許文献1の4−アルキルピペラジノプロピルトリアルコキシシラン等の環状の構造を有するアミノアルキルシラン化合物は、鎖状構造に比べて安定な構造を有しており、これらにより処理された無機材料を高分子材料中に添加することにより、機械的特性や耐熱性の向上が期待されるものの、アミノ基はいずれも3級アミノ基であり、効果が十分でない場合がある。
【0009】
また、特許文献2のシラン化合物の3−アミノプロピル基は、窒素上に活性水素を有するため、上記と同様の問題を有しており、非環状のジアミノアルキル基では効果が十分発揮されない場合や、耐熱性が十分でない場合がある。ビス(3−ジメチルアミノプロピル)ジメトキシシランも、同様に耐熱性が十分でないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、塗料添加剤、接着剤、シランカップリング剤、表面処理剤、ポリウレタン樹脂製造用触媒、繊維処理剤等として使用した場合に、耐熱性が高く、且つ添加効果が大きい新規なアミノアルキルシラン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、同一分子内に2つのアミノアルキル基を有するビス(アミノアルキル)シラン化合物、特にアミノ基が環構造の一部となっている環状アミノ基を有するアミノアルキル基を2つ有するアルコキシシラン化合物や、窒素原子上に芳香族基が置換したアミノ基を有するアミノアルキル基を2つ有する化合物が、塗料添加剤、接着剤、シランカップリング剤、表面処理剤、ポリウレタン樹脂製造用触媒、繊維処理剤等として使用した場合に、耐熱性が高く、添加による特性向上を図ることができることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0012】
従って、本発明は、以下のアミノアルキル基を有するビス(アミノアルキル)シラン化合物及びその製造方法を提供する。
〔1〕
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子又は炭素数2〜20の置換もしくは非置換1価炭化水素基であるが、R
1及びR
2の
置換基のうちの少なくとも1つが芳香族基である。R
3は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、R
4は炭素数1〜10の1価炭化水素基である。)
で表されるビス(アミノアルキル)シラン化合物。
〔
2〕
下記一般式(2)
【化2】
(式中、R
3は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、R
4は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)
で表されるビス(ハロアルキル)シラン化合物と、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子又は炭素数2〜20の置換もしくは非置換1価炭化水素基であるが、R
1及びR
2の
置換基のうちの少なくとも1つが芳香族基である。)
で表されるアミン化合物とを反応させることを特徴とする請求項〔1
〕記載のビス(アミノアルキル)シラン化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により提供されるビス(アミノアルキル)シラン化合物は、塗料添加剤、接着剤、シランカップリング剤、表面処理剤、ポリウレタン樹脂製造用触媒、繊維処理剤等として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のビス(アミノアルキル)シラン化合物は、下記一般式(1)
【化4】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素原子又は炭素数2〜20の置換もしくは非置換1価炭化水素基であるが、R
1及びR
2のうち少なくとも一方は置換もしくは非置換1価炭化水素基であるか、又はR
1及びR
2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数4〜8の環を形成しても良い。環を形成する場合には、上記窒素原子に加えて更にヘテロ原子を介在しても良い。R
3は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基であり、R
4は炭素数1〜10の1価炭化水素基である。)
で表される化合物である。
【0016】
ここで、R
1及びR
2は水素原子又は炭素数2〜20、好ましくは2〜10の置換もしくは非置換一価炭化水素基である。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示される。
【0017】
また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていても良く、該置換基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のオルガノオキシ基、フッ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、オルガノチオ基、メチルスルホニル基、オルガノスルホニル基、オルガノオキシカルボニル基、オルガノカルボニルオキシ基、芳香族炭化水素基、ジアルキルアミノ基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。
【0018】
この場合、R
1及びR
2の少なくとも一方は、上述した1価炭化水素基であり、具体的にはエチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基であることが好ましく、中でもフェニル基、トリル基等のアリール基であることが好ましい。
【0019】
また、R
1とR
2が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成して環状アミノ基となる場合、R
1の炭素原子とR
2の炭素原子とが直接結合したものの他、R
1の炭素原子とR
2の炭素原子とが、1個以上の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を介して結合して環を形成したものであっても良い。R
1とR
2とが環を形成した場合の環中に含まれる炭素数は4〜8である。
【0020】
環状アミノ基としては、具体的には、ピロリジノ基、2−メチルピロリジノ基、3−メチルピロリジノ基、ピペリジノ基、2−メチルピペリジノ基、3−メチルピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、4−エチルピペリジノ基、4−プロピルピペリジノ基、ヘキサメチレンイミノ基、ヘプタメチレンイミノ基、オクタメチレンイミノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピペラジノ基、1−メチルピペラジノ基、1−エチルピペラジノ基、1−プロピルピペラジノ基、2−メチルピペラジノ基、3−メチルピペラジノ基、4−メチルピペラジノ基、4−エチルピペラジノ基、4−プロピルピペラジノ基、4−イソプロピルピペラジノ基、ホモピペラジノ基、3−メチルホモピペラジノ基等が挙げられる。
【0021】
R
3は、炭素数1〜10、好ましくは1〜8の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基である。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、イソブチレン基等のアルキレン基、メチレンフェニレン基、メチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基等が例示される。
【0022】
R
4は、炭素数1〜18、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の1価炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示される。
【0023】
上記一般式(1)で示されるビス(アミノアルキル)シラン化合物の具体例としては、
ビス(3−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ジエチルアミノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(3−プロピルアミノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−プロピルアミノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(3−N−フェニルアミノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−N−フェニルアミノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス[3−N−(4−メチルフェニルアミノ)プロピル]ジメトキシシラン、
ビス[3−N−(4−メチルフェニルアミノ)プロピル]ジエトキシシラン、
ビス(3−ピロリジノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ピロリジノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(3−ピペリジノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ピペリジノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(3−モルホリノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−モルホリノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(3−ピペラジノプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ピペラジノプロピル)ジエトキシシラン、
ビス[3−(4−メチルピペリジノプロピル)]ジメトキシシラン、
ビス[3−(4−メチルピペリジノプロピル)]ジエトキシシラン、
ビス[3−(4−エチルピペリジノプロピル)]ジメトキシシラン、
ビス[3−(4−エチルピペリジノプロピル)]ジエトキシシラン、
ビス[3−(4−プロピルピペリジノプロピル)]ジメトキシシラン、
ビス[3−(4−プロピルピペリジノプロピル)]ジエトキシシラン、
ビス(ジエチルアミノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ジエチルアミノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(プロピルアミノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(プロピルアミノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(N−フェニルアミノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(N−フェニルアミノメチル)ジエトキシシラン、
ビス[N−(4−メチルフェニルアミノ)メチル]ジメトキシシラン、
ビス[N−(4−メチルフェニルアミノ)メチル]ジエトキシシラン、
ビス(ピロリジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ピロリジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(ピペリジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ピペリジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(モルホリノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(モルホリノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(ピペラジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ピペラジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(4−メチルピペリジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(4−メチルピペリジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(4−エチルピペリジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(4−エチルピペリジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(4−プロピルピペリジノメチル)ジメトキシシラン、
ビス(4−プロピルピペリジノメチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−ジエチルアミノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ジエチルアミノエチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−プロピルアミノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−プロピルアミノエチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−N−フェニルアミノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−N−フェニルアミノエチル)ジエトキシシラン、
ビス[2−N−(4−メチルフェニルアミノ)エチル]ジメトキシシラン、
ビス[2−N−(4−メチルフェニルアミノ)エチル]ジエトキシシラン、
ビス(2−ピロリジノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ピロリジノエチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−ピペリジノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ピペリジノエチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−モルホリノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−モルホリノエチル)ジエトキシシラン、
ビス(2−ピペラジノエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ピペラジノエチル)ジエトキシシラン、
ビス[2−(4−メチルピペリジノエチル)]ジメトキシシラン、
ビス[2−(4−メチルピペリジノエチル)]ジエトキシシラン、
ビス[2−(4−エチルピペリジノエチル)]ジメトキシシラン、
ビス[2−(4−エチルピペリジノエチル)]ジエトキシシラン、
ビス[2−(4−プロピルピペリジノエチル)]ジメトキシシラン、
ビス[2−(4−プロピルピペリジノエチル)]ジエトキシシラン
等が挙げられる。
【0024】
本発明における上記一般式(1)で示されるビス(アミノアルキル)シラン化合物の製造方法は、具体的には、下記一般式(2)
【化5】
(式中、R
3,R
4は上記に同じであり、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)
で表されるビス(ハロアルキル)シラン化合物と、下記一般式(3)
【化6】
(式中、R
1,R
2は上記に同じである。)
で表されるアミン化合物を反応させて製造する方法が挙げられる。
【0025】
上記一般式(2)におけるR
3及びR
4としては、上述した基が挙げられる。
【0026】
また、上記一般式(2)で示されるビス(ハロアルキル)シラン化合物としては、具体的に、
ビス(3−クロロプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−クロロプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(2−クロロエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−クロロエチル)ジエトキシシラン、
ビス(クロロメチル)ジメトキシシラン、
ビス(クロロメチル)ジエトキシシラン、
ビス(3−ブロモプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ブロモプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(2−ブロモエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ブロモエチル)ジエトキシシラン、
ビス(ブロモメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ブロモメチル)ジエトキシシラン、
ビス(3−ヨードプロピル)ジメトキシシラン、
ビス(3−ヨードプロピル)ジエトキシシラン、
ビス(2−ヨードエチル)ジメトキシシラン、
ビス(2−ヨードエチル)ジエトキシシラン、
ビス(ヨードメチル)ジメトキシシラン、
ビス(ヨードメチル)ジエトキシシラン
等が挙げられる。
【0027】
上記一般式(3)におけるR
1及びR
2としては、上述した基が挙げられる。
【0028】
また、上記一般式(3)で示されるアミン化合物としては、具体的にはジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン等のアルキルアミン、アニリン、4−メチルアニリン、N−メチルアニリン、ベンジルアミン等のアリール基含有アミン、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の環状アルキルアミン、モルホリン、ピペラジン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−プロピルピペラジン、ホモピペラジン等のヘテロ元素含有環状アミン等が挙げられる。
【0029】
上記ビス(ハロアルキル)シラン化合物とアミン化合物の反応に於いては、ハロゲン化水素が副生するが、これは上記一般式(3)で示されるアミン化合物自体を塩基として補足してもよく、他のアミン化合物を塩基として補足しても良い。他のアミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、メチルイミダゾール、テトラメチルエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられる。
【0030】
上記一般式(2)で示されるビス(ハロアルキル)シラン化合物と上記一般式(3)で示されるアミン化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(3)で示されるアミン化合物自体をハロゲン化水素補足に塩基として用いる場合は、式(2)のビス(ハロアルキル)シラン化合物1モルに対して、式(3)のアミン化合物を0.4〜15.0モル、特に0.6〜6.0モルの範囲が好ましく、他のアミン化合物をハロゲン化水素補足に塩基として用いる場合は、式(3)のアミン化合物を0.4〜14.0モル、特に0.6〜4.0モル用いることが好ましい。
【0031】
また、他のアミン化合物をハロゲン化水素補足に塩基として用いる場合の他のアミン化合物の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、ビス(ハロアルキル)シラン化合物1モルに対して、0.2〜10.0モル、特に0.4〜4.0モル用いることが好ましい。
【0032】
上記ビス(ハロアルキル)シラン化合物とアミン化合物の反応に於いては、触媒を用いることができる。用いられる触媒としては、ハロゲン化4級アンモニウム化合物、ハロゲン化4級ホスホニウム化合物等が挙げられ、具体的には、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化トリブチルメチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化トリブチルメチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化トリブチルメチルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。
【0033】
上記触媒の使用量は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(2)で示されるビス(ハロアルキル)シラン化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル、特に0.002〜0.05モルの範囲が好ましい。触媒が、0.001モルより少ないと触媒の効果が十分発現しない場合があり、0.1モルより多くても、触媒の量に見合うだけの反応促進効果がみられない場合がある。
【0034】
上記反応の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜200℃、特に好ましくは20〜150℃である。反応時間は好ましくは1〜40時間、特に好ましくは2〜30時間である。上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
【0035】
反応の終了後にはアミン化合物の塩が生じるが、これは反応液をろ過又はエチレンジアミン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等を添加し、分離する等の方法により除去できる。以上のようにして塩を除去した反応液からは、蒸留等の通常の方法で目的物を回収することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例
及び参考例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0037】
[
参考例1]
ビス[3−(4−メチルピペラジノ)プロピル]ジメトキシシランの製造
200mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、1−メチルピペラジン92.2g(0.92mol)とメタノール9.2gを仕込んだ。内温を100〜120℃に温調しながら、ビス(3−クロロプロピル)ジメトキシシラン49.0g(0.2mol)を5時間掛けて滴下した後、そのままの温度で6時間熟成した。生成した塩酸塩をろ過により除いた後、減圧蒸留を行い、ビス[3−(4−メチルピペラジノ)プロピル]ジメトキシシランを沸点165〜168℃/0.1kPaの留分として60.4g(0.162mol)得た。収率は81.0%であった。
【0038】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 372,329,300,270,113
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図1にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図2にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物はビス[3−(4−メチルピペラジノ)プロピル]ジメトキシシランであることが確認された。
【0039】
[
参考例2]
ビス(3−モルホリノプロピル)ジメトキシシランの製造
200mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、モルホリン80.1g(0.96mol)を仕込んだ。内温を100〜120℃に温調しながら、ビス(3−クロロプロピル)ジメトキシシラン49.0g(0.2mol)を3時間掛けて滴下した後、そのままの温度で2時間熟成した。生成した塩酸塩をろ過により除いた後、減圧蒸留を行い、ビス(3−モルホリノプロピル)ジメトキシシランを沸点146〜150℃/0.2kPaの留分として57.9g(0.167mol)得た。収率は83.5%であった。
【0040】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 346,315,246,218,190、100
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図3にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図4にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物はビス(3−モルホリノプロピル)ジメトキシシランであることが確認された。
【0041】
[実施例
1]
ビス[3−(N−フェニルアミノ)プロピル]ジメトキシシランの製造
200mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、アニリン111.7g(1.2mol)を仕込んだ。内温を100〜120℃に温調しながら、ビス(3−クロロプロピル)ジメトキシシラン49.0g(0.2mol)を3時間掛けて滴下した後、そのままの温度で5時間熟成した。生成した塩酸塩をろ過により除いた後、減圧蒸留を行い、ビス[3−(N−フェニルアミノ)プロピル]ジメトキシシランを沸点200〜205℃/60Paの留分として44.1g(0.123mol)得た。収率61.5%であった。
【0042】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 358,326,297,221,192、106
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図5にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図6にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物はビス[3−(N−フェニルアミノ)プロピル]ジメトキシシランであることが確認された。
【0043】
[
参考例
3]
ビス(3−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシシランの製造
200mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ビス(3−クロロプロピル)ジメトキシシラン49.0g(0.2mol)を仕込んだ。内温を90〜120℃に温調しながら、ジエチルアミン73.1g(1.0mol)を8時間掛けて滴下した後、そのままの温度で16時間熟成した。生成した塩酸塩をろ過により除いた後、減圧蒸留を行い、ビス(3−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシシランを沸点107〜109℃/0.2kPaの留分として49.1g(0.154mol)得た。収率は77.0%であった。
【0044】
得られた留分の質量スペクトル、
1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 318,257,232,204,174,144,112,86
1H−NMRスペクトル(重クロロホルム)
図7にスペクトルチャートを示す。
IRスペクトル
図8にチャートを示す。
以上の結果より、得られた化合物はビス(3−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシシランであることが確認された。