(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5900669
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月6日
(54)【発明の名称】液浸リソグラフィ装置、デバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20160324BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20160324BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/68 K
【請求項の数】30
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-10863(P2015-10863)
(22)【出願日】2015年1月23日
(62)【分割の表示】特願2014-136910(P2014-136910)の分割
【原出願日】2004年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-92628(P2015-92628A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】60/462,499
(32)【優先日】2003年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】ビナード,マイケル
【審査官】
新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4775402(JP,B2)
【文献】
国際公開第99/049504(WO,A1)
【文献】
特開平10−154659(JP,A)
【文献】
特開平10−303114(JP,A)
【文献】
特開2001−257143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ビームで基板を露光する液浸露光装置であって、
前記基板上に照射される前記露光ビームが通過する光学部材と、
前記基板を保持するテーブルと、
前記テーブルに対して相対移動可能なパッド部材と、を備え、
前記テーブルは、前記光学部材に対して相対移動可能であるとともに、前記光学部材と対向して配置されることによって、前記光学部材と前記テーブルとの間で液浸液体が前記光学部材と接触しつつ前記光学部材の下に維持され、
前記パッド部材は、前記光学部材に対して相対移動可能であるとともに、前記光学部材と対向して配置されることによって、前記光学部材と前記パッド部材との間で前記液浸液体が前記光学部材と接触しつつ前記光学部材の下に維持され、
前記テーブルと前記パッド部材とが互いに接近するとともに、前記テーブルの上面と前記パッド部材の表面とが実質的に同一面になりかつ互いに並んで配置されるように、前記光学部材の下から離れて配置される前記テーブルと前記パッド部材との一方が、前記光学部材と対向して配置される前記テーブルと前記パッド部材との他方に対して相対移動されるとともに、
前記光学部材と接触して前記液浸液体を前記光学部材の下に維持しつつ前記テーブルと前記パッド部材との他方の代わりに前記テーブルと前記パッド部材との一方が前記光学部材と対向して配置されるように、前記接近したテーブル及びパッド部材が前記光学部材に対して相対移動され、
前記光学部材と対向して配置される前記テーブルと前記パッド部材との一方によって前記液浸液体が前記光学部材の下に維持される間に、前記テーブルと前記パッド部材との他方は前記光学部材の下から離れて移動される。
【請求項2】
請求項1に記載の液浸露光装置において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は互いに近接しつつ前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液浸露光装置において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は、前記上面と前記表面との境界またはギャップが前記液浸液体の下を通過するように、前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は、前記上面と前記表面とが並置されつつ前記テーブルと前記パッド部材との一方が前記光学部材と対向して配置されるまで、前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記接近によって前記上面と前記表面とが実質的に連続した面となるように、前記テーブルと前記パッド部材との一方が、前記テーブルと前記パッド部材との他方に対して相対移動される。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は実質的に同時に移動される。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記パッド部材によって前記光学部材の下に前記液浸液体が維持される間に、前記テーブルは、前記光学部材の下から離れて、前記基板の露光動作と異なる動作が行われる。
【請求項8】
請求項7に記載の液浸露光装置において、
前記異なる動作は、前記基板のロード及び/又はアンロードを含む。
【請求項9】
請求項7に記載の液浸露光装置において、
前記基板のアライメントを行うアライメントシステムを、さらに備え、
前記異なる動作は、前記基板のアライメントを含む。
【請求項10】
請求項9に記載の液浸露光装置において、
前記テーブルに保持される基板を交換する交換システムを、さらに備え、
前記異なる動作は、前記基板の交換を含む。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記パッド部材が前記光学部材の下から離れている間に、前記テーブルによって前記光学部材の下に前記液浸液体が維持されるとともに、前記基板の露光動作が行われる。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記テーブルは、前記光学部材と対向して配置される間に前記基板の露光が行われるとともに、前記光学部材の下から離れている間に前記基板のアライメント及び交換の少なくとも一方が行われる。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液浸露光装置において、
前記パッド部材は、前記テーブルを有する第1ステージと異なる第2ステージを含む。
【請求項14】
請求項13に記載の液浸露光装置において、
前記第2ステージは、前記液浸液体を維持するためのパッドを支持するように構成されたパッドステージを含む。
【請求項15】
デバイス製造方法であって、
請求項1〜14のいずれか一項に記載の液浸露光装置を用いてワークピースを露光することと、
前記露光されたワークピースを現像することと、を含む。
【請求項16】
光学部材を介して露光ビームで基板を露光する液浸露光方法であって、
前記基板を保持するテーブルと、前記テーブルに対して相対移動可能なパッド部材とが互いに接近するとともに、前記テーブルの上面と前記パッド部材の表面とが実質的に同一面になりかつ互いに並んで配置されるように、前記光学部材の下から離れて配置される前記テーブルと前記パッド部材との一方を、前記光学部材と対向して配置される前記テーブルと前記パッド部材との他方に対して相対移動することと、
前記光学部材と接触して液浸液体を前記光学部材の下に維持しつつ前記テーブルと前記パッド部材との他方の代わりに前記テーブルと前記パッド部材との一方が前記光学部材と対向して配置されるように、前記接近したテーブル及びパッド部材を前記光学部材に対して相対移動することと、を含み、
前記光学部材と対向して配置される前記テーブルと前記パッド部材との一方によって前記液浸液体が前記光学部材の下に維持される間に、前記テーブルと前記パッド部材との他方は前記光学部材の下から離れて移動される。
【請求項17】
請求項16に記載の液浸露光方法において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は互いに近接しつつ前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の液浸露光方法において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は、前記上面と前記表面との境界またはギャップが前記液浸液体の下を通過するように、前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は、前記上面と前記表面とが並置されつつ前記テーブルと前記パッド部材との一方が前記光学部材と対向して配置されるまで、前記光学部材に対して相対移動される。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記接近によって前記上面と前記表面とが実質的に連続した面となるように、前記テーブルと前記パッド部材との一方が、前記テーブルと前記パッド部材との他方に対して相対移動される。
【請求項21】
請求項16〜20のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記接近したテーブル及びパッド部材は実質的に同時に移動される。
【請求項22】
請求項16〜21のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記パッド部材によって前記光学部材の下に前記液浸液体が維持される間に、前記テーブルは、前記光学部材の下から離れて、前記基板の露光動作と異なる動作が行われる。
【請求項23】
請求項22に記載の液浸露光方法において、
前記異なる動作は、前記基板のロード及び/又はアンロードを含む。
【請求項24】
請求項22に記載の液浸露光方法において、
前記光学部材から離れて配置されるアライメントシステムによって、前記基板のアライメントが行われ、
前記異なる動作は、前記基板のアライメントを含む。
【請求項25】
請求項24に記載の液浸露光方法において、
前記光学部材から離れた位置で前記テーブルに保持される基板の交換が行われ、
前記異なる動作は、前記基板の交換を含む。
【請求項26】
請求項16〜25のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記パッド部材が前記光学部材の下から離れている間に、前記テーブルによって前記光学部材の下に前記液浸液体が維持されるとともに、前記基板の露光動作が行われる。
【請求項27】
請求項16〜26のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記テーブルは、前記光学部材と対向して配置される間に前記基板の露光が行われるとともに、前記光学部材の下から離れている間に前記基板のアライメント及び交換の少なくとも一方が行われる。
【請求項28】
請求項16〜27のいずれか一項に記載の液浸露光方法において、
前記パッド部材は、前記テーブルを有する第1ステージと異なる第2ステージを含む。
【請求項29】
請求項28に記載の液浸露光方法において、
前記第2ステージは、前記液浸液体を維持するためのパッドを支持するように構成されたパッドステージを含む。
【請求項30】
デバイス製造方法であって、
請求項16〜29のいずれか一項に記載の液浸露光方法を用いてワークピースを露光することと、
前記露光されたワークピースを現像することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年4月11日に出願された、「”液浸リソグラフィ用着水パッド”(Landing Pad for Immersion Lithography)」と題する、仮出願第60/462,499号に基づく優先権を主張しており、あらゆる目的でその出願の内容をここに援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィシステムは半導体製造工程において、レチクルから半導体ウェハ上に像を転写するために一般に用いられている。典型的なリソグラフィシステムは、光学アセンブリと、パターンを定義しているレチクルを保持するためのレチクルステージと、半導体ウェハを位置決めするウェハステージと、レチクル及びウェハの位置を正確にモニターするための測定システムとを有する。操作中、レチクルにより定義される像は光学アセンブリによってウェハ上に投影される。投影された像は、典型的には、ウェハ上の1つもしくはそれ以上のダイ(区画)の大きさである。露光後、ウェハステージアセンブリはウェハを移動して、別の露光が行われる。このプロセスはウェハ上の全てのダイが露光されるまで繰り返される。その後、ウェハは取り出され、その場所で新しいウェハに交換される。
【0003】
液浸リソグラフィシステムは、ウェハの露光中、光学アセンブリとウェハとの間のギャップを完全に満たす液浸流体の層を利用する。光学アセンブリと共に液浸流体の光学特性は、通常の光学リソグラフィシステムを用いて現時点で可能なサイズよりも小さなサイズの投影を可能とする。例えば、液浸リソグラフィは、現時点で65nm,45nm,さらにそれを超える次世代半導体技術として考えられている。そのため、液浸リソグラフィは、予見される将来において光学リソグラフィを継続して使用させるであろう技術的に重要なブレークスルーを代表している。
【0004】
ウェハが露光された後、露光されたウェハは取り出され、新しいウェハに交換される。液浸システムにおいて現時点で考えられているのは、液浸流体をギャップから除去して、ウェハが交換された後に再び満たすというものである。より具体的には、ウェハが交換される際には、ギャップへの流体の供給が停止され、流体がギャップから除去され(例えば真空によって)、古いウェハが取り出され、新しいウェハが位置決めされて光学アセンブリの下方に置かれ、その後、ギャップは新鮮な液浸流体で再び満たされる。上記の全てのステップ(工程)が完了した後、新しいウェハの露光が開始されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第99/49504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、液浸リソグラフィにおけるウェハ交換は、数多くの理由により課題を含んでいる。ギャップへの流体の充填・排出を繰り返すことにより、液浸流体の変動が引き起こされたり、液浸流体内に泡が形成されたりするかもしれない。泡及び不安定な流れは、レチクルの像のウェハ上への投影を妨げ、それにより生産量を減少させるかもしれない。全体のプロセスはまた、多くの工程を含んでおり、時間がかかり、装置の全体のスループットを下げる。
【0007】
したがって、ウェハステージを投影レンズから遠ざける際に、例えばウェハ交換の間に
、投影レンズに隣接するギャップに液浸流体を維持するための装置及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
リソグラフィマシン(リソグラフィ機)の投影レンズに隣接するギャップに液浸流体を維持するための装置及び方法が開示される。その装置及び方法は、ワークピース上に像を投影するように構成された光学アセンブリと、光学アセンブリに隣接するワークピースを支持するように構成されたワークピーステーブルを含むステージアセンブリとを含んでいる。環境システムはギャップに液浸流体を供給し、そこから液浸流体を排出するために提供される。ワークピースの露光が完了した後、交換システムはワークピースを取り出し、それを第2ワークピースと置き換える。液浸流体システムが提供されて、ワークピーステーブルが投影レンズから遠ざかる際に、ギャップに液浸流体が維持される。従って、第1ワークピースが第2ワークピースに置き換えられた際、ギャップを液浸流体で再び満たす必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は本発明の特徴を有するリソグラフィマシンの図である。
【
図2】
図2は本発明の一実施形態に従う液浸リソグラフィマシンの断面図である。
【
図3】
図3A及び3Bは、本発明の別の実施形態に従う液浸リソグラフィマシンの断面図及び上面図である。
【
図4】
図4A及び4Bは、本発明の別の実施形態に従う液浸リソグラフィマシンの断面図及び上面図である。
【
図5】
図5A及び5Bは、本発明の他の実施形態に従う2つの異なるツインウェハステージの上面図である。
【
図6-1】
図6Aは本発明の別の実施形態に従うツインステージリソグラフィマシンの上面図である。
【
図6-2】
図6B−6Eは本発明に従うウェハ交換を例示す一連の図である。
【
図7-1】
図7Aは本発明に従うワークピースを製造するためのプロセスを説明するフローチャートである。
【
図7-2】
図7Bはワークピース加工をより詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図中、同一の参照番号は同一の要素を示す。
【0011】
図1は本発明の特徴を有するリソグラフィマシン10の概略図である。リソグラフィマシン10は、フレーム12と、照明システム14(照射装置)と、光学アセンブリ16と、レチクルステージアセンブリ18と、ワークピースステージアセンブリ20と、測定システム22と、制御システム24と流体環境システム26とを有する。リソグラフィマシン10の要素の設計は、リソグラフィマシン10の設計の要求に適合するように変更することができる。
【0012】
一実施形態において、リソグラフィマシン10は、集積回路のパターン(不図示)をレチクル28から半導体ウェハ30(点線で図示)上に転写するために用いられる。リソグラフィマシン10は設置基盤32、例えば、地面や台座や床やその他の支持構造に据え付けられる。
【0013】
本発明の様々な実施形態において、リソグラフィマシン10は、レチクル28とウェハ30を同期させて駆動しつつ、レチクル28のパターンをウェハ30上に露光する走査型フォトリソグラフィシステムとして使用されることができる。走査型リソグラフィマシン
において、レチクル28は、レチクルステージアセンブリ18によって光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に移動され、ウェハ30はウェハステージアセンブリ20によって光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に移動される。レチクル28及びウェハ30の走査は、レチクル28及びウェハ30が同期して移動している間に行われる。
【0014】
あるいは、リソグラフィマシン10は、レチクル28及びウェハ30が静止している間にレチクル28に露光するステップ−アンド−リピート型のフォトリソグラフィシステムであってもよい。ステップ−アンド−リピートプロセスにおいて、ウェハ30は、個々の領域を露光する間、レチクル28及び光学アセンブリ16に対して一定の位置に位置付けられる。続いて、連続する露光工程と露光工程の間に、ウェハ30はウェハステージアセンブリ20と共に、光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に次々と動かされて、ウェハ30の次の領域が、光学アセンブリ16及びレチクル28に対応する露光のための位置に導かれる。このプロセスに続いて、レチクル28の像はウェハ30上の領域に逐次転写され、その後、ウェハ30の次の領域が光学アセンブリ16及びレチクル28に対応する位置に導かれる。
【0015】
しかしながら、本願に示されているリソグラフィマシン10の使用は、半導体製造用のフォトリソグラフィに限定される必要はない。例えば、リソグラフィマシン10は、液晶ディスプレイのワークピースのパターンを矩形のガラス基板上に露光するLCDフォトリソグラフィシステムや薄膜磁気ヘッドを製造するためのフォトリソグラフィシステムとして使用できる。従って、本願において用語「ワークピース」はリソグラフィ法を用いてパターンニングされ得る任意のデバイスを指すために広義に用いられ、ウェハやLCD基板に限定されない。
【0016】
装置フレーム12はリソグラフィマシン10の要素を支持する。
図1に示されている装置フレーム12は、設置基盤32上方に、レチクルステージアセンブリ18、ウェハステージアセンブリ20、光学アセンブリ16及び照明システム14を支持する。
【0017】
照明システム14は、照明源34及び照明光学アセンブリ36を備える。照明源34は光エネルギーのビーム(光線)を放出する。照明光学アセンブリ36は、光エネルギーのビームを照明源34から光学アセンブリ16へと導く。ビームはレチクル28の異なる部分を選択的に照射して、ウェハ30を露光する。
図1において、照明源34はレチクルステージアセンブリ18の上方に支持されているように図示されている。しかしながら、典型的には、照明源34は装置フレーム12の一側面に固定され、照明源からのエネルギービームは、照明光学アセンブリ36でレチクルステージアセンブリ18の上方に向けられる。
【0018】
照明源34は、g線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)またはF
2レーザ(157nm)とすることができる。それに代わって、照明源34は荷電粒子線又はX線を発生することができる。
【0019】
光学アセンブリ16は、レチクル28を透過する光をウェハ30へ投影及び/又は合焦する。リソグラフィマシン10の設計に応じて、光学アセンブリ16はレチクル28上に照射された像を拡大若しくは縮小することができる。光学アセンブリ16は縮小システムに限定される必要はなく、等倍又はそれ以上の拡大システムであってもよい。
【0020】
また、波長200nm又はそれ未満の真空紫外光(VUV)を用いるワークピースの露光では、カタディオプトリック型の光学システムを使用することを考慮することができる。カタディオプトリック型の光学システムの例は、特許公開公報に公開された特開平8−171054号及びそれに対応する米国特許第5,668,672号並びに、特開平10−20195号及びそれに対応する米国特許第5,835,275号の開示に含まれている。これらの場合において、反射型光学ワークピースは、ビームスプリッター及び凹面鏡を組み込こむカタディオプトリック型光学システムであることができる。特許公開公報に公開された特開平8−334695号及びそれに対応する米国特許第5,689,377号並びに、特開平10−3039号及びそれに対応する米国特許第873,605号(出願日:1997年6月12日)はまた、凹面鏡等を組み込んでいるがビーム分配器を持たない反射−屈折型光学システムを用いており、それらは本発明にも用いることができる。許容される範囲において、上記米国特許及び特許公開公報に記載の日本国特許出願における開示をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0021】
レチクルステージアセンブリ18は、光学アセンブリ16及びウェハ30に対してレチクル28を保持し、それらに対してレチクル28を位置決めする。一実施形態において、レチクルステージアセンブリ18は、レチクル28を保持するレチクルステージ38と、レチクルステージ38及びレチクル28を移動し且つ位置決めするレチクルステージ駆動アセンブリ40とを含む。
【0022】
各々のステージ駆動アセンブリ40,44は、それぞれのステージ38,42を3つの自由度、3より小さな自由度、3より大きな自由度で動かすことができる。例えば、別の実施形態において、各々のステージ駆動アセンブリ40,44はそれぞれのステージ38,42を1,2,3,4,5,又は6の自由度で動かすことができる。レチクルステージ駆動アセンブリ40及びワークピースステージ駆動アセンブリ44は各々、ロータリーモーター、ボイスコイルモーター、駆動力を発生するためにローレンツ力を利用するリニアモーター、電磁駆動機、平面モーター、又はその他の力による駆動機のような駆動機を一つもしくはそれより多く有する。
【0023】
フォトリソグラフィシステムにおいて、リニアモーター(米国特許第5,623,853号又は第5,528,118号参照。さらにここに援用して本文の記載の一部とする)がウェハステージアセンブリ又はレチクルステージアセンブリに用いられる場合、リニアモーターはエアベアリングを用いるエア浮上型であっても、ローレンツ力又はリアクタンス力を用いる磁気浮上型であってもよい。さらに、ステージはガイドに沿って動かすこともでき、ガイドを使用しないガイドレス型ステージにすることもできる。
【0024】
あるいは、ステージの一つは平面モーターによって駆動されてもよい。この平面モーターは、二次元的に配置されたマグネットを有するマグネットユニットと、対向する位置に二次元的に配置されたコイルを有する電機子コイルユニットによって生み出される電磁気力によってステージを駆動する。このタイプの駆動システムでは、マグネットユニット又は電機子コイルユニットのいずれかがステージ基盤に接続され、他方のユニットはステージの移動面側に載置される。
【0025】
上述のステージの移動は、フォトリソグラフィシステムの性能に影響を及ぼすことになる反力を生じる。ウェハ(基板)ステージの動作により生じる反力は、米国特許第5,528,100号及び特開平8−136475号に記載されているようなフレーム部材の使用により、床(地面)に機械的に転移することができる。さらに、レチクル(マスク)ステージの動作によって発生した反力は、米国特許第5,874,820号及び特開平8−330224号に記載されているようなフレーム部材の使用によって、床(地面)に機械的に転移することができる。許容される範囲において、米国特許第5,528,100号、第5,874,820号及び特開平8−330224号をここに援用し、本文の記載の一部とする。
【0026】
測定システム22は、光学アセンブリ16又はその他の基準に対するレチクル28及びウェハ30の動作をモニターする。この情報によって、制御システム24は、レチクルステージアセンブリ18を制御してレチクル28に正確に位置決めし、ワークピースステージアセンブリ20を制御してウェハ30に正確に位置決めすることができる。測定システム22の設計は変更することができる。例えば、測定システム22は、多軸レーザー干渉計、エンコーダ、ミラー及び/又は他の測定デバイスを使用することができる。
【0027】
制御システム24は測定システム22から情報を受け取って、レチクル28及びウェハ30を正確に位置決めするためにステージ駆動アセンブリ18,20を制御する。さらに、制御システム24は環境システム26の要素の動作を制御することができる。制御システム24は一つ又はそれ以上のプロセッサ及び回路を有することができる。
【0028】
環境システム26は、光学アセンブリ16とウェハ30の間のギャップ(不図示)内の環境を制御する。ギャップは結像領域を含む。結像領域は、露光されているウェハ30の範囲に隣接する領域(エリア)と、光エネルギーのビームが光学アセンブリ16とウェハ30の間を進行する領域(エリア)を含む。この設計では、環境システム26は結像領域の環境を制御することができる。環境システム26によってギャップに生成及び/又は制御される所望の環境は、ウェハ30と、照明システム14を含むリソグラフィマシン10の残りの要素の設計に基づいて変更することができる。例えば、所望の制御された環境は、水のような流体にすることができる。あるいは、所望の制御された環境は、ガスのような別の種類の流体にすることもできる。様々な実施形態において、ギャップは、ウェハ30の上面と光学アセンブリ16の終端の光学素子との間の高さにおいて0.1mm〜10mmの範囲であってもよい。
【0029】
ある実施形態において、環境システム26は結像領域及びギャップの残りを液浸流体で満たす。環境システム26及び環境システム26の要素の設計は変更することができる。異なる実施形態において、環境システム26は、スプレーノズル、動電スポンジ、多孔性の材料などを用いて、液浸流体をギャップに供給及び/又は噴射し、真空ポンプやスポンジなどを用いてギャップから液浸流体を除去する。環境システム26の設計は変更することができる。例えば、ギャップの位置又はその近くの位置において、一点もしくはそれより多くの地点から液浸流体を噴射することができる。さらに液浸流体システムは、ワークピース30、ギャップ及び/若しくは光学アセンブリ16の端部の位置又はそれらの近くの位置における一点もしくはそれより多くの地点で、液浸流体を除去すること及び/又は排出することを補助することができる。様々な環境システムについてのさらなる詳細に関しては、2003年4月9日に出願された”液浸リソグラフィ流体制御システム(Immersion Lithography Fluid Control System)”と題する米国仮出願第60/462,142号、2003年4月10日に出願された”液浸リソグラフィ用真空環状システム及びウィック環状システム(Vacuum Ring System and Wick Ring System for Immersion Lithography)”と題する米国仮出願第60/462,112号及び2004年2月2日に出願された” 液浸リソグラフィ用のノズルデザイン(Nozzle Design for Immersion Lithography)”と題する米国仮出願第60/541/329号が参照され、さらにこれらは全てここに援用して本文の記載の一部とする。
【0030】
図2には、本発明の一実施形態を示すリソグラフィマシンの断面図が示されている。リソグラフィマシン200は、光学アセンブリ16と、ウェハテーブル204及びウェハステージ206を有するステージアセンブリ202とを備える。ウェハテーブル204は、光学アセンブリ16の下方にウェハ208(もしくは他のタイプのワークピース)を支持するように構成されている。光学アセンブリ16を取り囲む環境システム26は、ウェハ208と光学アセンブリ16の終端の光学素子との間のギャップに液浸流体212を供給し、そこから液浸流体212を除去するために用いられる。ウェハローダ218(例えば
ロボット)及びアライメントツール220(例えば顕微鏡及びCCDカメラ)を備えるワークピース交換システム216は、ウェハテーブル204上のウェハ208を取り出し、それを第2ウェハに置換するように構成されている。このことは、典型的には、ウェハ208をウェハテーブル204から持ち上げて取り出すためのウェハローダ218を用いて達成される。続いて、第2ウェハ(不図示)は、ウェハチャック218上に置かれ、アライメントツール220を用いてアライメントが行われ、その後ウェハテーブル204上で光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。
【0031】
この実施形態において、ウェハステージ206は、ウェハ交換中に光学アセンブリ16の終端の光学素子に隣接するギャップに液浸流体212を維持するように構成される液浸流体維持システム214を含む。液浸流体維持システム214は、ウェハテーブル204に隣接するパッド222を含む。パッド222とウェハステージ206の間に設けられた支持部材224は、パッド222を支持するために用いられる。ウェハテーブル204は、ウェハ208の表面と面一である平坦な上面を有する。パッド222も、ウェハテーブル204の上面及びウェハ表面に面一である平坦な上面を有する。パッド222は、非常に小さなギャップ(例えば0.1−1.0mm)でウェハテーブル204に隣接して配置されるので、液浸流体212はウェハテーブル204とパッド222の間を漏れることなく移動することができる。ウェハ交換の間、ウェハステージ206は矢印226の向きに移動し、パッド222は、流体をギャップに維持しつつ、または流体ギャップのサイズを維持しつつ、ウェハテーブル204の代わりに光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。新しいウェハが位置決めされた後、ウェハステージは元の位置に戻り、パッド222はギャップから取り出されて、第2ウェハが光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。様々な実施形態において、パッド222はウェハテーブル204に隙間なく密着して配置される。ウェハテーブル204の垂直方向の位置及び/又は傾きは調整可能であり、ウェハテーブル204が光学アセンブリ16の下方から送り出される前は、ウェハテーブルの表面はパッド表面と面一である。パッド222と光学アセンブリ16の間のギャップを維持することは、ウェハ交換の操作のみに限られない。パッド222は、アライメント操作中もしくは測定操作中に、パッド222と光学アセンブリ16との間の隙間に液浸流体212を維持するための十分な大きさにすることができる。これらの動作において、液浸流体212で占められる領域の一部はウェハテーブル204の上面にあってもよい。
【0032】
図3A及び3Bには、本発明の別の実施形態に係る別の液浸リソグラフィマシンの断面図及び平面図が示されている。リソグラフィマシン300は、光学アセンブリ16と、ウェハテーブル304及びウェハステージ306を含むステージアセンブリ302とを含む。ウェハテーブル304は、ウェハ308(もしくは別のタイプのワークピース)を光学アセンブリ16の下方に支持するように構成されている。光学アセンブリ16を取り囲む環境システム26を用いて、ウェハ308と光学アセンブリ16の最下部の光学素子との間のギャップに液浸流体312を供給し、そこから液浸流体312を除去する。ウェハーローダー318とアライメントツール320を含むワークピース交換システム316は、ウェハテーブル304上のウェハ308を取り出し、それを第2ウェハに置き換えるように構成されている。このことはウェハテーブル304からウェハ308を取り出すためにウェハローダー318を使用することによって達成される。続いて、第2ウェハ(不図示)がウェハチャック318上に置かれ、アライメントツール320を用いてアライメントされ、その後、光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。
図3Bに最も分かり易く示されるように、モーターの組322を用いて、ウェハテーブル304及びウェハステージ306を含むウェハアセンブリ302を、操作中に2つの自由度(X及びY)で駆動する。上で述べたように、モーター322は、リニアモーター、ロータリーモーター、ボイスコイルモーターのような任意のタイプのモーターにすることができる。
【0033】
液浸リソグラフィマシン300はまた、ウェハテーブル304が光学アセンブリの下方
から離れている間、光学アセンブリ16の下方の空間に液浸流体312を維持するように構成される液浸流体維持システム324を含む。液浸流体維持システム324は、パッド326、モーター328及び制御システム330を含む。パッド326は、光学アセンブリ16とウェハテーブル204に隣接して位置決めすることができる。ウェハテーブル304は、ウェハ308の上面と面一である平坦な上面を有する。パッド326は、ウェハテーブル304の上面及びウェハ表面と面一である平坦な上面を有する。パッド326は、制御システム330により制御されるモーター328を用いて、X及びY方向に移動可能である。モーター328は、モーター322と同様に任意のタイプのモーターも使用することができる。ウェハテーブル304(ウェハステージ306)が光学アセンブリ16の下方から離れているときに、パッド326は光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。ウェハ交換の間、ウェハテーブル304は光学アセンブリ16から遠ざかる。同時に、制御システム330は、モーター328に光学アセンブリ16の下にウェハテーブル308に代わってパッド326を移動させるように指令する。このようにして、パッド326は光学アセンブリ16の下方のギャップに液浸流体312を維持する。新しいウェハがアライメントツール320を用いてアライメントされた後、ウェハテーブル304は光学アセンブリ16の下方に再び位置付けられる。同時に、制御システム330は、モーター328に液浸流体312の漏出を防ぎつつ、ギャップからパッド326を撤退するように指令する。ウェハ交換操作中に、制御システム330はウェハテーブル304とパッド326の間を小さなギャップに維持しつつ、ウェハテーブル304とパッド326を駆動し、その間に光学アセンブリ16の下方の液浸流体312がウェハテーブル304とパッド326の間を移動する。したがって、液浸流体維持システム324はウェハ交換の間、ギャップに液浸流体312を維持する。この実施形態において、ウェハテーブル304(ウェハステージ306)及びパッド326は個別に動作可能である。それゆえ、液浸流体312がパッド326と光学アセンブリ16との間の空間に維持されている間、ウェハテーブル326は自由に移動可能である。本発明の様々な実施形態において、制御システム330は分離した制御システムにしてもよく、またはウェハステージ302及びウェハテーブル304を位置決めするためのモーター322を制御するために用いる制御システムに組み込むこともできる。ウェハテーブル304とパッド326の少なくとも一方の垂直方向の位置及び/又は傾きを調整して、ウェハテーブルが光学アセンブリの下方から送り出される前に、ウェハテーブルの表面をパッドの表面と面一にしてもよい。ウェハテーブル304を光学アセンブリ16から遠ざける操作は、ウェハ交換の操作に限定される必要はない。例えば、アライメント操作、測定操作もしくは他の操作を、パッド326と光学アセンブリ16との間の空間に液浸流体312を維持している間に実行しうる。
【0034】
図4A及び4Bを参照すると、液浸リソグラフィマシンの2つの断面図が示されている。リソグラフィマシン400は、光学アセンブリ16と、ウェハテーブル404及びウェハステージ406を含むステージアセンブリ402とを備える。ウェハテーブル404は光学アセンブリ16の下方にウェハ408(または他のタイプのワークピース)を支持するように構成されている。光学アセンブリ16を取り囲む環境システム26は、ウェハ408と光学アセンブリ16の最下部の光学素子の間のギャップに液浸流体412を供給し、そこから液浸流体412を除去するのに用いられる。ウェハローダー418とアライメントツール420を含むワークピース交換システム416は、ウェハテーブル404上のウェハ408を取り出して、第2ウェハに置き換えるように構成されている。このことは、ウェハローダー418を用いてウェハテーブル404からウェハ408を取り出すことによって達成される。続いて、第2ウェハ(不図示)がウェハチャック418上に置かれ、アライメントツール420を用いてアライメントされ、その後、
図4Aに示されるように光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。
【0035】
液浸リソグラフィマシン400はまた、ウェハテーブル404が光学アセンブリ16の下方から離れている間、光学アセンブリ16の下方の空間に液浸流体412を維持するよ
うに構成される液浸流体維持システム424を含む。液浸流体維持システム424は、パッド426と、光学アセンブリ16に設置される第1クランプ428と、ウェハテーブル404に設置される第2クランプ430とを含む。液浸流体412が光学アセンブリ16とウェハテーブル404(またはウェハ408)の間にあるとき、パッド426はウェハテーブル404上の適切な位置に第2クランプ430によって保持される。例えばウェハ交換操作の間のように、ウェハテーブル404が光学アセンブリ16から離れているとき、パッド426はウェハテーブル404から脱離して第1クランプ428によって保持され、光学アセンブリ16とパッド426との間に液浸流体412を維持する。ウェハテーブル404は、ウェハ408の表面と面一である平坦な上面を有する。ウェハテーブル404上に支持されるパッド426もまた、ウェハテーブル404の上面とウェハ表面に面一である平坦な上面を有する。したがって、液浸パッド426とウェハ408は、液浸流体をリークすることなく光学アセンブリの下方で移動することが可能である。様々な実施形態において、クランプ428及び430は、真空クランプ、磁気クランプ、静電クランプもしくはメカニカルクランプにすることができる。
【0036】
図4Aに最良に示されているように、ウェハ408の露光中、パッド426はウェハテーブル404上に位置付けられる。第2クランプ430を用いてウェハの露光中にテーブル404上の適切な位置にパッド426を保持する。
図4Bに示されるようなウェハの交換中に、ウェハテーブル404は矢印432の向きに移動して、パッド432をウェハ408の代わりに光学アセンブリ16の下方に位置付ける。この場合には、パッド426をウェハテーブル404に保持している第2クランプ430は開放しつつ、第1クランプ428がパッド426を光学アセンブリ16にクランプする。その結果、ウェハ408が交換される間、液浸流体412は光学アセンブリの下方に維持される。新しいウェハがアライメントされた後、ウェハテーブル404は矢印432と逆の向きに移動して、新しいウェハが光学アセンブリの下方に位置付けられる。この動作に先立って、第1クランプ428は開放されつつ、第2クランプ430が再びパッド426をウェハテーブル404に固定する。本実施形態においては、第1クランプ428によってパッド426がクランプされている間、ウェハテーブル404は自由に移動可能である。
【0037】
様々な実施形態において、パッド426が第1クランプ428によってクランプされる動作は、ウェハ交換動作のみに限られない。アライメント動作、測定動作、もしくは他の動作は、液浸流体312が光学アセンブリ16と第1クランプ428により固定されているパッド426との間の空間に維持されている間に実行することができる。また、クランプ428はフレーム12又は他の支持部材に設けることができ、クランプ430はウェハステージ406上に設けることができる。パッド426はステージアセンブリ402以外の可動部材上に保持することができる。
【0038】
図5A及び5Bは、本発明の他の実施形態に従う、2つの異なるツインステージ液浸リソグラフィシステムの平面図である。ツインステージリソグラフィシステムの基本的な構造及び操作については、米国特許第6,262,796号及び米国特許第6,341,007号を参照のこと。許容される範囲において、米国特許第6,262,796号及び米国特許第6,341,007号の開示をここに援用して本文の記載の一部とする。両方の実施形態において、一対のウェハステージW1及びW2が示されている。モーター502を用いて、2つのステージWS1及びWS2を水平方向に移動又は位置決めする。その一方で、モーター504を用いて、ステージWS1及びWS2を垂直方向に移動又は位置決めする。モーター502及び504を用いて一方のステージを光学アセンブリ16の下方に交互に位置付け、別のステージでウェハ交換及び位置決めを行う。光学アセンブリ16の下方のウェハの露光が完了したとき、2つのステージは入れ替えられて、上記のプロセスが繰り返される。
図2〜4に関連してこれまでに述べられ且つ例示されたような、光学アセンブリ16の下方のギャップに液浸流体を維持するための本発明の様々な実施形態は、いずれかの構成と共に、いずれかのツインステージの構造に使用することができる。例えば、
図2の実施形態に関連して、
図5A又は5Bのいずれかの各ウェハステージSW1及びSW2は、パッド222及び支持部材224を含むように変更することができる。
図3の実施形態に関連して、単一のパッド326、モーター328及び制御システム330は、光学アセンブリ16に隣接して使用することができる。パッド326はステージSW1及びSW2とは別個に動作可能である。ステージSW1とSW2が入れ替えられている間、光学アセンブリ16の下方に液浸流体312を維持するために、パッド326は光学アセンブリ16の下方に移動する。最後に
図4の実施形態に関して、取り外し可能な単一のパッドを用いることができる。ステージSW1及びSW2が入れ替えられる間、
図4Bに示されるように、パッド426はギャップに液浸流体を維持するために用いられる。その一方、露光中には、パッドは、露光されているウェハステージ上のウェハテーブルの上にクランプされる。このようにすれば、単一のパッドのみが2つのステージWS1及びWS2に対して必要とされる。その代わりに、以下で説明するように、第2ステージをパッドとして使用することもできる。
【0039】
図6Aには、本発明を実施する一つの実施形態を示すツインステージリソグラフィマシンの平面図が示されている。本実施形態において、液浸リソグラフィシステム600は第1ステージ604と第2ステージ606を備える。2つのステージはモーター602によってX及びY方向に移動される。本実施形態においては、ステージ604及び606自体は、ギャップに液浸流体を維持するように用いられる。例えば、図に示されているように、第1ステージ604は光学アセンブリ16の下方に位置付けられる。ワークピースが交換されるときには、モーター602を用いて、第2ステージ606を第2ワークピースと共に、第1ステージ604に隣接して位置決めされる。近接して配置される2つのステージにより、それらは連続的な表面を実質的に形成する。次いで、モーター602を用いて2つのステージを一体的に動かすことにより、第2ステージ604が光学アセンブリ16の下方に位置付けられ、第1ステージはもはや光学アセンブリ16の下方からいなくなる。それゆえ、第1ワークピースが光学アセンブリ16から離れるとき、ギャップの液浸流体は、第1ステージとほぼ連続な面を形成する第2ステージによって維持される。別の様々な実施形態において、第2ステージ606は、第2ワークピースが第1ステージの上に置かれている間、ギャップに液浸流体を維持するために用いられるパッドを備える"パッド"ステージとすることも可能である。同様に、
図5A又は5Bのいずれかに示されるモーターの構成を用いることが可能である。
【0040】
図6B−6Eを参照すると、本発明の実施形態に従うワークピースの交換を表す一連の図が示されている。
図6Bは、露光が完了した後のステージ604上のウェハを示す。
図6Cは、光学アセンブリ16の下方の第1ステージ604と接している(もしくはすぐ隣にある)第2ステージ606を示している。
図6Cは、起こっている配置替え、即ち、第2ステージ606が光学アセンブリ16の下方に位置付けられることを示している。最後に、
図6Eにおいて、第1ステージ604は光学アセンブリ16から遠ざかる。
図6C及び6Dに最良に図示されるように、2つのステージ604及び606は、配置替えの間、光学アセンブリ16の下方に連続な表面をもたらし、それゆえギャップに液浸流体が維持される。示された実施形態において、第2ステージ606はパッドステージである。しかし、このステージは上述したようにワークピースステージであることも可能である。
【0041】
上記の様々な実施形態において、パッドはセラミックス、金属、プラスチックのような複数の異なる材料で作られていてもよい。他の実施形態によれば、これらの材料は、テフロン(登録商標)でコーティングされていてもよい。また、パッドは液浸流体によって占められる領域を覆うのに十分な大きさにするべきである。上記の様々な実施形態において、光学アセンブリ16の終端の光学素子の表面は、流体マーク(いわゆる"ウォーターマーク(awatermark)")の形成を妨げつつ、常に液浸流体の環境下にある。
【0042】
半導体ウェハは、上記のシステムを用いて、一般に
図7Aに示したプロセスによって製造されることができる。工程701において、ワークピースの機能及び性能特性が設計される。次に、工程702において、パターンを有するマスク(レチクル)が先の設計工程に従って設計され、並行する工程703において、ウェハはシリコン材料で製造される。工程702で設計されたマスクパターンは、工程704において、本発明に従ってこれまでに記載したフォトリソグラフィシステムによって、工程703で製造されたウェハ上に露光される。工程705において、半導体ワークピースは組み立てられ(ダイシング工程、ボンディング工程及びパッケージング工程を含む)、最終的に、ワークピースは工程606において検査される。
【0043】
図7Bは、半導体ワークピース製造の場合における、上記工程704の詳細なフローチャートの例を示している。
図7Bにおいて、工程711(酸化工程)では、ウェハ表面が酸化される。工程712(CVD工程)では、絶縁薄膜がウェハ表面に形成される。工程713(電極形成工程)では、蒸着によってウェハ表面上に電極が形成される。工程714(イオン注入工程)では、イオンがウェハ内に注入される。上記の工程711−714は、ウェハ加工処理中のウェハに対する前処理工程を形成し、加工処理の要請に従って各々の工程が選択される。
【0044】
ウェハ加工処理の各々の段階において、前記前処理工程が完了したとき、以下の後処理工程が実行される。後処理工程の間、先ず、工程715(フォトレジスト形成工程)において、フォトレジストがウェハに塗布される。次に、工程716(露光工程)において、上記の露光ワークピースを用いて、マスク(レチクル)の回路パターンをウェハに転写する。その後、工程717(現像工程)において、露光されたウェハが現像され、工程718(エッチング工程)において、残存したフォトレジスト以外の部分(露光された材料表面)がエッチングによって取り除かれる。工程719(フォトレジスト除去工程)において、エッチング後に残存する不必要なフォトレジストが除去される。
【0045】
多重の回路パターンが、これらの前処理工程及び後処理工程を繰り返すことによって形成される。
【0046】
本願に示され、開示されている特定のリソグラフィマシンは、十分に目標を達成することができ、本願で以前に述べた利点を十分に提供することができるが、それは単に発明の現時点の好ましい実施形態の例示であり、添付の請求の範囲に記載されたこと以外に、本願に示されている構造や設計の詳細に限定するものではないと解されるべきである。
【符号の説明】
【0047】
10…リソグラフィックマシン、16…光学アセンブリ、202…ステージアセンブリ、204…ワークピーステーブル