【実施例】
【0064】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)
装置:昭和電工(株)製 GPC−101
カラム:昭和電工(株)製 LF−804×3
カラム温度:60℃
溶媒:20mM LiBr添加NMP
流量:0.6mL/分
検出器:UV(280nm)
(2)
1H NMRスペクトル及び
13C NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−ECA700
溶媒:CDCl
3
内部標準:テトラメチルシラン
(3)動的光散乱光度計(粒径測定)
装置:大塚電子(株)製 FDLS−3000
(4)ホットプレート(プリベーク、ポストベーク)
装置:アズワン(株)製 MH−180CS、MH−3CS
(5)プローブ型超音波照射装置(分散処理)
装置:Hielscher Ultrasonics社製 UIP1000
(6)超音波洗浄器(分散処理)
装置:東京硝子器械(株)製 FU−6H
(7)抵抗率計(表面抵抗測定)
装置:三菱化学(株)製 ロレスタ−GP
プローブ:三菱化学(株)製 直列4探針プローブ ASP(探針間距離:5mm)
(8)ヘイズメーター(全光透過率測定)
装置:日本電色工業(株)製 NDH5000
(9)小型高速冷却遠心機(遠心分離)
装置:(株)トミー精工製 SRX−201
(10)紫外・可視・近赤外分光光度計(吸光度測定)
装置:(株)島津製作所製 UV−3600
測定波長:400〜1650nm
【0065】
また、略記号は以下の意味を表す。
DVB:ジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製 DVB−960)
B−1:2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](和光純薬工業(株)製 VA−061)
B−2:2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチル−プロパン)ジハイドロクロリド(和光純薬工業(株)製 VA−067)
MAIB:2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(大塚化学(株)製 MAIB)
EPL:エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製 エポリードGT401)
JER:エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製 jER(登録商標)828)
CNT−1:未精製MWCNT(CNT社製 “C Tube 100” 外径10〜30nm)
CNT−2:細径MWCNT(Cheap Tubes社製 “MWNTs>95wt%/外径<8nm”)
CNT−3:未精製SWCNT(Carbon Nanotechnologies社製 HiPco)
CNT−4:中径MWCNT(Bayer社製 “Baytubes C 150 P” 外径5〜20nm)
CNT−5:中径MWCNT(CNano Technology社製 “FloTube 9000” 外径11nm)
CNT−6:中径MWCNT(昭和電工(株)製 “VGCF−X” 外径15nm)
CNT−7:太径MWCNT(Cheap Tubes社製 “MWCNTs>95wt%/20−40nm” 外径20〜40nm)
CNT−8:極太径MWCNT(Cheap Tubes社製 “MWCNTs>95wt%/>50nm”)
PVP:ポリビニルピロリドン(東京化成工業(株)製 K15)
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
EG:エチレングリコール
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
IPA:2−プロパノール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0066】
【化8】
【0067】
[実施例1]
<DVB及びB−1を用いた高分岐ポリマー1の合成>
200mL反応フラスコに、酢酸44gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が100℃になるまで加熱した。
別の100mL反応フラスコに、DVB 2.6g(20mmol)、B−1 3.8g(15mmol、DVBに対して75モル%)及び酢酸44gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の100℃に加熱してある酢酸中に、DVB、B−1及び酢酸が仕込まれた前記100mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を45分間かけて滴下した。滴下終了後、30分間熟成させた。
次に、この反応液をTHF 294gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体を水19gに再溶解させた。このポリマー水溶液に6N NaOH水溶液13.3mLをゆっくり滴下し中和することで、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体をクロロホルム18gに再溶解させた。このポリマー溶液をヘキサン294gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー1)2.1gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図1及び
図2に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは34,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は3.9であった。
【0068】
[実施例2]
<DVB及びB−1を用いた高分岐ポリマー2の合成>
200mL反応フラスコに、DMF 44gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が100℃になるまで加熱した。
別の100mL反応フラスコに、DVB 2.6g(20mmol)、B−1 3.8g(15mmol、DVBに対して75モル%)、安息香酸6.1g(50mmol)及びDMF 44gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の100℃に加熱してあるDMF中に、DVB、B−1、安息香酸及びDMFが仕込まれた前記100mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を45分間かけて滴下した。滴下終了後、30分間熟成させた。
次に、この反応液をジイソプロピルエーテル260gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体を水/メタノール(質量比1:9)44gに再溶解させた。このポリマー溶液に6N NaOH水溶液13.3mLをゆっくり滴下し中和することで、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体をクロロホルム44gに再溶解させた。このポリマー溶液をヘキサン260gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー2)3.6gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図3及び
図4に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは33,000、分散度:Mw/Mnは15.8であった。
【0069】
[実施例3]
<DVB及びB−1を用いた高分岐ポリマー3の合成>
500mL反応フラスコに、1−プロパノール120gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、1−プロパノールが還流するまで(標準沸点97℃)加熱した。
別の200mL反応フラスコに、DVB 2.6g(20mmol)、B−1 3.1g(12mmol、DVBに対して62モル%)、及び1−プロパノール120gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の500mL反応フラスコ中の還流してある1−プロパノール中に、DVB、B−1及び1−プロパノールが仕込まれた前記200mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を90分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。
次に、ロータリーエバポレーターを用いてこの反応液から1−プロパノールを留去し、得られた残渣をクロロホルム26gに溶解させた。このポリマー溶液をヘキサン260gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体をクロロホルム26gに再溶解させた。このポリマー溶液をヘキサン260gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、淡黄色粉末の目的物(高分岐ポリマー3)2.5gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図5及び
図6に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは47,000、分散度:Mw/Mnは13.9であった。
【0070】
[実施例4]
<DVB及びB−2を用いた高分岐ポリマー4の合成>
200mL反応フラスコに、EG/DMF(質量比1:1)42gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内温が100℃になるまで加熱した。
別の100mL反応フラスコに、DVB 2.6g(20mmol)、B−2 3.5g(10mmol、DVBに対して50モル%)及びEG/DMF(質量比1:1)42gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
前述の200mL反応フラスコ中の100℃に加熱してあるEG/DMF中に、DVB、B−2及びEG/DMFが仕込まれた前記100mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を45分間かけて滴下した。滴下終了後、30分間熟成させた。
次に、この反応液をTHF294gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体を水42gに再溶解させた。このポリマー水溶液に6N NaOH水溶液3.3mLをゆっくり滴下し中和することで、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体をクロロホルム42gに再溶解させた。このポリマー溶液をヘキサン260gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、褐色粉末の目的物(高分岐ポリマー4)3.1gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図7及び
図8に示す。
【0071】
[実施例15]
<DVB及びB−1を用いた高分岐ポリマー6の合成>
3L反応フラスコに、1−プロパノール180gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、1−プロパノールが還流するまで(標準沸点97℃)加熱した。
別の2L反応フラスコに、DVB 15.6g(120mmol)、B−1 21.0g(84mmol、DVBに対して70モル%)、及び1−プロパノール720gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の3L反応フラスコ中の還流してある1−プロパノール中に、DVB、B−1及び1−プロパノールが仕込まれた前記2L反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を70分間かけて滴下した。滴下終了後、2時間熟成させた。
次に、ロータリーエバポレーターを用いてこの反応液から1−プロパノール820gを留去し、ヘプタン1,600gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体を1−プロパノール78gに再溶解させた。このポリマー溶液を水3,100gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー6)22.1gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図12及び
図13に示す。なお、測定溶媒は少量のCDCl
3を添加したd
6−DMSOを用いた。
また、目的物のGPCによる分子量測定を試みたが、前記条件では測定できなかった。
【0072】
[実施例16]
<DVB及びB−1を用いた高分岐ポリマー7の合成>
3L反応フラスコに、1−プロパノール180gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、1−プロパノールが還流するまで(標準沸点97℃)加熱した。
別の2L反応フラスコに、DVB 15.6g(120mmol)、B−1 21.1g(84mmol、DVBに対して70モル%)、及び1−プロパノール720gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の3L反応フラスコ中の還流してある1−プロパノール中に、DVB、B−1及び1−プロパノールが仕込まれた前記2L反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を50分間かけて滴下した。滴下終了後、2時間熟成させた。
次に、ロータリーエバポレーターを用いてこの反応液から1−プロパノール820gを留去し、ヘプタン1,600gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、得られた固体を1−プロパノール78gに再溶解させた。このポリマー溶液を水3,100gに添加して、ポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー7)23.9gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図14及び
図15に示す。なお測定には、装置:BRUKER社製 AVANCE III、溶媒:少量のCDCl
3を添加したd
6−DMSO、内部標準:テトラメチルシランを用いた。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは100,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は10.0であった。
【0073】
[参考製造例1]
<DVB及びMAIBを用いた高分岐ポリマー5の合成>
500mL反応フラスコに、トルエン74gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、トルエンが還流するまで加熱した(標準沸点111℃)。
別の200mL反応フラスコに、DVB 3.9g(30mmol)、MAIB 5.5g(24mmol、DVBに対して80モル%)及びトルエン74gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行った。
前述の500mL反応フラスコ中の還流状態にいるトルエン中に、DVB、MAIB及びトルエンが仕込まれた前記200mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、6時間熟成させた。
次に、ロータリーエバポレーターを用いてこの反応液からトルエン121gを留去し、0℃に冷却したメタノール391gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物(高分岐ポリマー5)6.1gを得た。
得られた目的物の
1H NMR及び
13C NMRスペクトルの測定結果を
図9及び
図10に示す。
また、目的物のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは37,000、分散度:Mw/Mnは2.6であった。
【0074】
実施例1乃至実施例4、実施例15及び実施例16で合成した高分岐ポリマー1,2,3,4,6,7の、
13C NMRスペクトルより算出したモノマーAと重合開始剤Bの断片の組成比(モル比)、及び動的光散乱光度計による平均粒径を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例5]
<高分岐ポリマー2を用いたCNT−1の分散(1)>
分散剤として実施例2において合成した高分岐ポリマー2 0.50gをNMP 49.25gに溶解させ、この溶液へMWCNTとしてCNT−1 0.25gを添加した。この混合物に、プローブ型超音波照射装置を用いて室温(およそ25℃)で30分間超音波処理を行い、沈降物がなくMWCNTが均一に分散した黒色のMWCNT含有分散液を得た。
上記MWCNT含有分散液1.0gに、ブチルセロソルブ0.25gを添加し、薄膜作製用の組成物を調製した。得られた組成物50μLを、スリット幅25.4μmのアプリケータを用いてガラス基板上に均一に展開し、100℃で2分間乾燥することで透明で均一なMWCNT/高分岐ポリマー2薄膜複合体を作製した。得られた薄膜複合体の薄膜均一性、表面抵抗及び全光透過率を評価した。なお、薄膜の均一性については、目視により、以下の基準に従って評価した。各評価結果を表2に示す。
<薄膜均一性>
○:凝集物のような塊や膜ムラ(濃淡)が全く確認できない。
△:MWCNTの凝集物や膜ムラ(濃淡)が見られる。
×:MWCNTの凝集物や膜ムラ(濃淡)が薄膜の殆どの部分で見られ、膜としての評価ができない。
【0077】
また、別途、上記MWCNT含有分散液を室温(およそ25℃)で1ヶ月静置後、分散液中の沈降物の存在を目視にて確認し、以下の基準に従って、本分散液の分散安定性を評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
<分散安定性>
○:沈降物が確認できない。
△:沈降物が見られる。
×:分散状態を保てず、MWCNTの大部分が沈降物として現れる。
【0078】
[実施例6]
<高分岐ポリマー2を用いたCNT−1の分散(2)>
実施例5において、高分岐ポリマー2の添加量を0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0079】
[実施例7]
<高分岐ポリマー4を用いたCNT−1の分散(1)>
実施例5において、分散剤を実施例4において合成した高分岐ポリマー4に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0080】
[実施例8]
<高分岐ポリマー4を用いたCNT−1の分散(2)>
実施例5において、分散剤及びその添加量を、実施例4において合成した高分岐ポリマー4 0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0081】
[実施例17]
<高分岐ポリマー6を用いたCNT−1の分散(1)>
実施例5において、分散剤を実施例15において合成した高分岐ポリマー6に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0082】
[実施例18]
<高分岐ポリマー6を用いたCNT−1の分散(2)>
実施例17において、分散溶媒をNMPからIPAに変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0083】
[実施例19]
<高分岐ポリマー6を用いたCNT−1の分散(3)>
実施例17において、分散溶媒をNMPからPGMEに変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0084】
[実施例20]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−1の分散(1)>
実施例5において、分散剤を実施例16において合成した高分岐ポリマー7に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0085】
[実施例21]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−1の分散(2)>
実施例5において、分散剤及びその添加量を、実施例16において合成した高分岐ポリマー7 0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0086】
[比較例1]
<高分岐ポリマー5を用いたCNT−1の分散(1)>
実施例5において、分散剤を参考製造例1において合成した高分岐ポリマー5に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0087】
[比較例2]
<高分岐ポリマー5を用いたCNT−1の分散(2)>
実施例5において、分散剤及びその添加量を、参考製造例1において合成した高分岐ポリマー5 0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0088】
[比較例3]
<PVPを用いたCNT−1の分散(1)>
実施例5において、分散剤をPVPに変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0089】
[比較例4]
<PVPを用いたCNT−1の分散(2)>
実施例5において、分散剤及びその添加量を、PVP 0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表2に合わせて示す。
【0090】
【表2】
【0091】
[実施例9]
<高分岐ポリマー2を用いたCNT−2の分散(1)>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0092】
[実施例10]
<高分岐ポリマー2を用いたCNT−2の分散(2)>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、高分岐ポリマー2の添加量を0.25gに、NMPの量を49.50gにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0093】
[実施例11]
<高分岐ポリマー4を用いたCNT−2の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、分散剤を実施例4において合成した高分岐ポリマー4にそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0094】
[実施例22]
<高分岐ポリマー6を用いたCNT−2の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、分散剤を実施例15において合成した高分岐ポリマー6に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0095】
[実施例23]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−2の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、分散剤を実施例16において合成した高分岐ポリマー7に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0096】
[比較例5]
<高分岐ポリマー5を用いたCNT−2の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、分散剤を参考製造例1において合成した高分岐ポリマー5にそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0097】
[比較例6]
<PVPを用いたCNT−2の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−2に、分散剤をPVPにそれぞれ変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表3に合わせて示す。
【0098】
【表3】
【0099】
[実施例24]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−4の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−4に、分散剤を実施例16において合成した高分岐ポリマー7に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0100】
[実施例25]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−5の分散>
実施例24において、MWCNTをCNT−5に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0101】
[実施例26]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−6の分散>
実施例24において、MWCNTをCNT−6に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0102】
[実施例27]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−7の分散>
実施例24において、MWCNTをCNT−7に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0103】
[実施例28]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−8の分散>
実施例24において、MWCNTをCNT−8に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0104】
[比較例9]
<PVPを用いたCNT−4の分散>
実施例5において、MWCNTをCNT−4に、分散剤をPVPに変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0105】
[比較例10]
<PVPを用いたCNT−5の分散>
比較例9において、MWCNTをCNT−5に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0106】
[比較例11]
<PVPを用いたCNT−6の分散>
比較例9において、MWCNTをCNT−6に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0107】
[比較例12]
<PVPを用いたCNT−7の分散>
比較例9において、MWCNTをCNT−7に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0108】
[比較例13]
<PVPを用いたCNT−8の分散>
比較例9において、MWCNTをCNT−8に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表4に合わせて示す。
【0109】
【表4】
【0110】
表2に示すとおり、CNT/分散剤混合比が同一である、実施例5,7,17,20及び比較例3、並びに実施例6,8,21及び比較例4をそれぞれ比較すると、本発明の分散剤を用いて作製したCNT−1薄膜複合体(実施例5〜8、実施例17,20,21)は、CNTの分散剤として公知であるPVPを用いた場合(比較例3,4)よりも表面抵抗値が低く、全光透過率も同等以上であった。さらに、本発明の分散剤が溶解する溶媒(IPAやPGME)であれば、NMP以外の溶媒中にもCNTを分散することが可能であり(実施例18,19)、MWCNTの分散に幅広く適用できることが明らかとなった。また、薄膜の均一性も良好であり、本発明の分散剤が高導電性で均一な薄膜複合体を得る上で、有利であることが明らかとなった。なお、高分岐ポリマー5を分散剤として用いた比較例1及び比較例2は分散状態を保てず、該ポリマーには分散性能がないとする結果が得られた。
更に、より外径が細いMWCNT(CNT−2)の分散では、表3に示したとおり、本発明の分散剤を用いた場合(実施例9〜11、実施例22,23)にのみ、MWCNTが均一に分散したMWCNT含有分散液が得られ、薄膜複合体の調製が可能であった。CNT−2のようなより外径の細いMWCNTを用いることで、薄膜複合体の透明性の向上が期待できるため、本発明の分散剤は透明性の点でも有利であることが明らかとなった。
また表4に示したとおり、本発明の分散剤は、様々なメーカーより市販されているMWCNTでも分散が可能であり、MWCNT種が同じである実施例24及び比較例9(CNT−4)、実施例25及び比較例10(CNT−5)、実施例26及び比較例11(CNT−6)、実施例27及び比較例12(CNT−7)、並びに実施例28及び比較例13(CNT−8)を比較すると、本発明の分散剤を用いて作製したMWCNT薄膜複合体は、(実施例24〜28)は、CNTの分散剤として公知であるPVPを用いた場合(比較例9〜13)よりも表面抵抗値が1桁〜4桁程度も低く、全光透過率も同等以上であった。さらに薄膜の均一性が良好であるため、本発明の分散剤が高導電性で均一な薄膜複合体を得る上で有利であると共に、市販のMWCNTの分散において幅広く適用可能であることが明らかとなった。
【0111】
[実施例12]
<高分岐ポリマー2を用いたCNT−3の分散>
分散剤として実施例2において合成した高分岐ポリマー2 1mgをNMP5mLに溶解させ、この溶液へSWCNTとしてCNT−3 0.5mgを添加した。この混合物に、超音波洗浄器を用いて室温で1時間超音波処理を行い、室温(およそ25℃)で10,000G、1時間の遠心分離により、上澄み液として黒色透明なSWCNT含有溶液を回収した。
得られた黒色透明なSWCNT含有溶液の紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、半導体性S
11バンド(1,400〜1,000nm)、S
22バンド(1,000〜600nm)、及び金属性バンド(600〜450nm)の吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0112】
[実施例29]
<高分岐ポリマー6を用いたCNT−3の分散>
実施例12において、分散剤を実施例15において合成した高分岐ポリマー6に変更した以外は、同様の操作を行った。
得られた黒色透明なSWCNT含有溶液の紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、半導体性S
11バンド(1,400〜1,000nm)、S
22バンド(1,000〜600nm)、及び金属性バンド(600〜450nm)の吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0113】
[実施例30]
<高分岐ポリマー7を用いたCNT−3の分散>
実施例12において、分散剤を実施例16において合成した高分岐ポリマー7に変更した以外は、同様の操作を行った。
得られた黒色透明なSWCNT含有溶液の紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ、半導体性S
11バンド(1,400〜1,000nm)、S
22バンド(1,000〜600nm)、及び金属性バンド(600〜450nm)の吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立分散状態にまで分散されていることが確認された。
【0114】
[比較例7]
<PVPを用いたCNT−3の分散>
実施例12において、高分岐ポリマー2をPVPに変更した以外は同様の操作を行ったが、SWCNTを分散させることはできなかった。
【0115】
[比較例8]
<CNT−3単独での分散>
実施例12において、高分岐ポリマー2の添加を無くした以外は同様の操作を行ったが、SWCNTを分散させることはできなかった。
【0116】
[実施例13]
<高分岐ポリマー2及びJERを用いたCNT−1薄膜複合体の熱硬化>
分散剤として実施例2において合成した高分岐ポリマー2 0.50gをNMP49.25gに溶解させ、この溶液へMWCNTとしてCNT−1 0.25gを添加した。この混合物に、プローブ型超音波照射装置を用いて室温(およそ25℃)で30分間超音波処理を行い、沈降物がなくMWCNTが均一に分散した黒色のMWCNT含有分散液を得た。
上記MWCNT含有分散液1.0gに、あらかじめ調製した多官能エポキシ化合物JERの1.5質量%NMP溶液1.0g、及びブチルセロソルブ0.5gを添加し、薄膜作製用の組成物を調製した。得られた組成物50μLを、スリット幅25.4μmのアプリケータを用いてガラス基板上に均一に展開し、100℃で10分間プリベークし乾燥することで、透明で均一なMWCNT/高分岐ポリマー2/エポキシ化合物薄膜複合体を作製した。この薄膜複合体を、さらに160℃にて30分間ポストベークし熱硬化を行った。
得られた薄膜複合体の、熱硬化前後の表面抵抗、全光透過率及び鉛筆硬度をそれぞれ評価した。なお、鉛筆硬度については、JIS K5400に記載の手かき法に準じて測定した。結果を表5に示す。
【0117】
[実施例14]
<高分岐ポリマー2及びEPLを用いたCNT−1薄膜複合体の熱硬化>
実施例13において、多官能エポキシ化合物をEPLに、ポストベーク温度を230℃に変更した以外は、同様の操作、評価を行った。評価結果を表5に合わせて示す。
【0118】
【表5】
【0119】
実施例13、14で得られた薄膜は均一であり、多官能エポキシ化合物を添加し薄膜を作製した場合でもMWCNTの分散性は維持された。更にポストベークにより熱硬化することで、表面抵抗値の低下と鉛筆硬度の大幅な向上が確認された。このことから、分散剤として用いた本発明の高分岐ポリマーは、エポキシ化合物の硬化促進剤としても作用することが明らかであり、薄膜として硬度の求められる用途に好適に用いることが可能であるとする結果が得られた。