(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明実施形態に係るテープ貼着装置における基板の搬送機構部分の斜視図が示されている。テープ貼着装置2のベース4にはカセット載置台6が図示しない移動機構により上下動移動可能に配設されている。カセット載置台6上に載置されるカセット8中には、CSP基板等の矩形基板が複数段の棚に支持されて複数枚収容されている。
【0014】
10はカセット載置台6上に載置されたカセット8に対して矩形基板を搬出入する搬出入ユニットであり、支持部材14の先端に矩形基板をクランプ可能なクランプ12が配設されている。
【0015】
支持部材14はY軸方向に伸長するガイド部材16に形成されたガイド溝16aに沿って図示しない移動機構によりY軸方向に移動可能に構成されている。本実施形態では、支持部材14の先端にクランプ12を装着したが、このクランプ12に替えて吸着パッドやベルヌーイパッドを装着するようにしてもよい。
【0016】
図2を参照すると、仮保持ユニット18及び吸引保持テーブル28部分の斜視図が示されている。仮保持ユニット18はカセット8中からクランプ12で把持して引き出した矩形基板を仮保持するユニットであり、180度反転可能な反転テーブル20を含んでいる。
【0017】
反転テーブル20は第1保持面20a及び第1保持面20aと反対側の第2保持面20b(
図5参照)を有しており、第1及び第2保持面20a,20bにはそれぞれ複数の吸着パッド22が配設されている。各吸着パッド22は図示しない負圧吸引源に選択的に接続される。
【0018】
24はベルト26及び図示しないモータとプーリとから構成される反転ユニットであり、反転ユニット24を駆動することにより反転テーブル20が180度反転される。
【0019】
28は吸引保持テーブルであり、支持台32に対して鉛直方向移動手段30により鉛直方向に移動される。吸引保持テーブル28は図示しない負圧吸引源に選択的に接続される。鉛直方向移動手段30は、支持台32中に収容されたエアシリンダ34と、先端が吸引保持テーブル28に連結されたピストンロッド36とから構成される。
【0020】
本実施形態では、鉛直方向移動手段30をエアシリンダ34及びピストンロッド36から構成しているが、この構成に替えてモータとボールねじを利用して鉛直方向移動手段30を構成するようにしてもよい。
【0021】
図1を再び参照すると、支持台32上に搭載された吸引保持テーブル28は、ボールねじ38とパルスモータ40とから構成される保持テーブル移動機構42により、反転テーブル20の直下に位置する基板受け渡し位置と、保持テーブル28で保持した矩形基板に粘着テープを貼着する実線で示した貼着位置との間で一対のガイドレール44に沿ってX軸方向に移動される。
【0022】
46はテープ貼着機構であり、
図3に示すような構成を有している。テープ貼着機構46は、基材シート50aと粘着層50bとからなる粘着テープ50の粘着層50b上に剥離シート52が配設されたテープユニット50がロール状に巻回された状態で装着される送り出しロール56と、テープユニット54の剥離シート52を巻き取り回収する巻き取りロール58とを備えている。
【0023】
60は粘着テープ切断ユニットであり、上流側ローラ65と下流側ローラ66との間に配設されている。粘着テープ切断ユニット60は、テープユニット54を粘着テープ50側から剥離シート52の厚さ方向の途中まで切り込むことによって、剥離シート52は分割せずに粘着テープ50のみを所定のサイズに分割する。
【0024】
図4に示されるように、粘着テープ切断ユニット60は、テープユニット54の剥離シート52側に接触して支持する支持面62aを有する支持板62と、テープユニット54を粘着テープ50側から切り込む金属性のカッター64と、カッター64をテープユニット54の幅方向に沿って移動して切断動作を行わせる幅方向移動部67と、カッター64を支持板62に対して進退移動させる進退移動部68と、支持板62の支持面62aとカッター64との接触を検出する接触検出部70を含んでいる。
【0025】
支持板62の支持面62aは、テープユニット54が支持面62aに確実に接するように、上流側ローラ65と下流側ローラ66を結ぶ面に対して、カッター64側に位置するように配設されている。即ち、上流側ローラ64と下流側ローラ66に渡って張り渡されたテープユニット54は、支持板62の支持面62aでテンションを保ったまま支持されるようになっている。
【0026】
支持板62の幅方向Wの長さは、テープユニット54の幅寸法よりも長く設定されている。本実施形態においては、支持板62の幅方向Wの長さは、幅寸法の異なる複数種類のテープユニット54の支持を可能にする余裕を持った長さに設定されている。
【0027】
また、支持板62の支持面62aにおける幅方向Wの一方の端部近傍には、好ましくは支持面62aと面一となるように、金属等の導電性材料から構成された接点部材72が埋設されている。更に、支持板62における接点部材72の近傍には、例えばLED等からなる接触確認用ランプ74が配設されている。
【0028】
接点部材72と接触確認用ランプ74とは、配線76で接続され、接触確認用ランプ74とカッター64とは、配線78で接続されている。配線76,78の何れかには図示しない電源が介在されている。従って、接点部材72にカッター64が接触すると、配線76及び78を接続する閉回路が形成され、接触確認用ランプ74が点灯するようになっている。
【0029】
カッター64は矢印R方向に回転する回転シリンダ80を介して支持板62の支持面62aへ向けて突出するように進退ブロック82に保持されている。進退ブロック82は、幅方向移動部67を構成する横断ブロック84に、支持面62aに直角をなす方向(図中矢印P方向)に進退移動可能に配設されている。進退ブロック82は、横断ブロック84に設けられたマイクロメータ86を手動操作することにより、支持板62の支持面62aに対して進退動作を行うようになっている。
【0030】
横断ブロック84は、幅方向移動部67を構成するエアシリンダ88のピストンロッド90の先端部に固定されている。よって、横断ブロック84は図示しないガイド部材に沿って幅方向Wに円滑に往復移動が行われるようになっている。
【0031】
エアシリンダ88は、カッター64が接点部材72に対峙する位置に横断ブロック84を移動させることができ、しかも複数の幅の異なるテープユニット54の切断に応じて、所定のストロークでカッター64を往復動作することが可能である。
【0032】
カッター64は回転シリンダ80に装着されて90度回転可能に構成されているため、テープユニット54を所定距離離れた2本の水平方向と一本の鉛直方向に切断する(3ラインカット)ことで、粘着テープ50を矩形基板サイズに応じた所望サイズに切り出すことができる。
【0033】
粘着テープ切断ユニット60の下流側には剥離シート52から粘着テープ50を剥離するテープ剥離手段94が設けられている。テープ剥離手段94は、粘着テープ50のみが所定サイズに切断されたテープユニット54の剥離シート52を下流側ローラ66から搬送されるテープユニット54に対して鋭角をなすように屈曲させて進路変更する楔状の剥離用爪96を供えている。剥離用爪96は、テープユニット54の幅寸法よりも幅広な板状であり、折り返し先端面は刃物状に鋭い鋭角をなすように設定されている。
【0034】
剥離用爪96の先端縁を通過した剥離シート52は、下流側ローラ66を通過して剥離用爪96の先端縁までに至るテープユニット54に対して鋭角をなす後方向(矢印R方向)で巻き取りロール58によって強制的に搬送されて巻き取られる。従って、粘着テープ50から剥離シート52が剥離される。
【0035】
テープ剥離手段94の下流側には貼着ユニット98が配設されている。貼着ユニット98は、テープ剥離手段94によって剥離シート52が除去された粘着テープ50の粘着層50bを矩形基板11に対向させて、粘着テープ50を矩形基板11に向けて押圧することによって粘着テープ50を矩形基板11に貼着する機能を有している。尚、本実施形態では、矩形基板11として裏面が樹脂モールド13で封止されたCSP基板を使用している。
【0036】
貼着ユニット98は、テープ剥離手段94によって剥離シート52から剥離された粘着テープ50を粘着層50bの反対面から吸引保持する保持部100と、保持部100で保持された粘着テープ50の先端50Aの位置を検出する位置検出部112と、進退駆動して粘着テープ50の先端50Aを矩形基板11の先端に貼着する進退動作部104とを備えている。
【0037】
保持部100は、テープユニット54の幅方向に沿って細長い略直方体形状をなすブロックから形成されている。保持部100は、進退動作部104を構成するエアシリンダ106のピストンロッド108の先端部に連結されている。保持部100の下端面にはテープユニット54の幅方向に沿って複数の吸引孔110が等間隔で設けられている。各吸引孔110は負圧吸引源に選択的に接続されている。
【0038】
貼着ユニット98の下流側には、粘着テープ50を矩形基板11に押し付けて貼着する第1押圧ローラ114及び第2押圧ローラ116が配設されている。第1押圧ローラ114は、例えばウレタンやゴムから形成される比較的硬いローラであり、矩形基板11の樹脂モールド13に粘着テープ50を密着させるのに適している。一方、第2押圧ローラ116は、例えばスポンジから形成された比較的軟らかいローラであり、段差に追従してテープと基板間に残存する空気を押し出す作用をする。
【0039】
以下、このように構成されたテープ貼着装置2の作用について説明する。まず、テープ貼着装置2でテープ貼着作業を行う前に、テープ貼着装置2のセットアップを実施する。このセットアップ作業では、
図4に示すように、まずエアシリンダ88を駆動してピストンロッド90を突出させてカッター64を接点部材72に対峙する位置まで移動させる。
【0040】
次いで、手動でマイクロメータ86を回転操作して、カッター64が接点部材72に突き当たるまで横断ブロック84に対して進退ブロック82を支持板62側へ向けて移動させる。
【0041】
カッター64が接点部材72に接触すると、接点部材72、接触認識用ランプ74、図示しない電源、配線76,78が閉回路を構成して接触認識用ランプ74が点灯する。これによって、オペレータは、カッター64の先端が支持板62の支持面62aと接触したことを認識できる。
【0042】
この状態を基準として、テープ貼着装置2で取り扱うテープユニット54の剥離シート52の厚み寸法より僅かに短い距離だけカッター64の先端が支持面62aから後退するようにマイクロメータ86を操作する。
【0043】
例えば、剥離シート52の厚み寸法が100μmの場合は、支持面62aから80μmほどカッター64を後退させると、20μmだけ剥離シート52を切り込んで粘着テープ50を完全に切断することができる。
【0044】
このようなセットアップ作業を行った後、
図1に示す搬出入ユニット10のクランプ12でカセット載置台6上に載置されたカセット8から矩形基板11をクランプして引き出し、一対の位置決めバー15上に載置する。
【0045】
位置決めバー15を互いに近づく方向に移動して矩形基板11の中心出しを行った後、一対の位置決めバー15を開いて矩形基板11を仮保持ユニット18の反転テーブル20の第1保持面20aに載置する。
【0046】
そして、
図5(A)に示すように、吸着パッド22を負圧吸引源に接続して矩形基板11の樹脂モールド13側を吸引保持する。第1保持面20a上に複数の吸着パッド22が配設されているため、反りがある矩形基板11でも吸引保持が可能である。
【0047】
次いで、ベルト26を含む反転ユニット24を駆動して、
図5(B)に示すように、反転テーブル20を180度反転する。この反転ユニット24はベルト18及び図示しないモータとプーリの組み合わせから構成されるが、エアシリンダを利用して反転ユニットを構成するようにしてもよい。
【0048】
次いで、エアシリンダ34を駆動して、
図6(A)に示すようにピストンロッド36を伸長し、吸引保持テーブル28の保持面を矩形基板11に接触させる。吸着パッド22の吸引を解除してから、吸引保持テーブル28の保持面を負圧吸引源に接続して、矩形基板11を吸引保持テーブル28に受け渡す。
【0049】
次いで、エアシリンダ34を駆動して、
図6(B)に示すように矩形基板11を吸引保持した吸引保持テーブル28を下降させる。次いで、基板受け渡し位置にいた吸引保持テーブル28を保持テーブル移動機構42を駆動することにより、
図1に実線で示す貼着位置に移動させる。
【0050】
貼着位置では、テープ貼着機構46によって矩形基板11の裏面側である樹脂モールド13に粘着テープ50が貼着される。第1の矩形基板11の裏面に粘着テープ50が貼着されている間に、搬出入ユニット10によって第2の矩形基板がカセット8から引き出され反転テーブル20の第2保持面20b上に載置される。
【0051】
次に、
図3及び
図4を参照して、矩形基板11の裏面に粘着テープ50を貼着するテープ貼着動作について簡単に説明する。送り出しロール56から送りだされたテープユニット54は粘着テープ切断ユニット60で粘着テープ50のみが矩形基板11のサイズに合わせて所望サイズに切断される。
【0052】
カッター64が90度回転可能に取り付けられているため、粘着テープ50を所定距離離れた水平方向で2箇所及びカッター64を90度回転してから垂直方向で一箇所切断する3ラインカットにより、矩形基板11のサイズに応じて粘着テープ50を所望サイズに切り出すことが出来る。
【0053】
粘着テープ50の切断完了後、テープ剥離手段94の剥離用爪96で粘着テープ50から剥離シート52を剥離し、貼着ユニット98で矩形基板11の裏面に配設された樹脂モールド13に粘着テープ50を貼着する。
【0054】
この貼着時には、保持部100の吸引孔110を負圧吸引源に接続することにより、粘着テープ50を保持部100で吸引保持させる。次いで、位置検出部112が保持部100に対面するように、位置検出部112が配設された吸引保持テーブル28を矢印F方向に移動させる。
吸引保持テーブル28を矢印F方向に移動させるのと同時に、進退作動部104を作用させて保持部100を下方に移動させることで、粘着テープ50が保持部100の保持面上を摺動して粘着テープ50の先端50Aが保持部100の保持面上に保持される。
【0055】
吸引保持テーブル28を矢印F方向に移動させるのと同時に保持部100を下方に移動させることで、吸引保持テーブル28で保持された矩形基板11は保持部100に対して見かけ上矢印T方向に移動するため、粘着テープ50の先端50Aが矩形基板11の端部に合致して貼着される。
【0056】
吸引保持テーブル28を矢印F方向に更に搬送しながら、第1押圧ローラ114及び第2押圧ローラ116で粘着テープ50を矩形基板11に押圧することにより、粘着テープ50が矩形基板11の裏面に貼着される。
【0057】
裏面に粘着テープ50が貼着された矩形基板11は、保持テーブル移動機構42により基板受け渡し位置に戻された後、反転テーブル20の第1保持面20aで吸引保持されてテープ貼着装置2から排出される。