(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したサイマルクリプト方式を適用して、PMTやCATに限定受信方式記述子を複数並列に記載した場合、デジタル放送受信装置では、自受信装置の限定受信方式に適合する限定受信方式記述子を分離して、PIDを抽出する必要がある。
【0010】
しかし、従来のデジタル放送受信装置は、現状運用されているICカードを用いた限定受信方式を想定した設計となっているため、複数の限定受信方式記述子の中から必ずしも自受信装置に適合した限定受信方式記述子を分離して、PIDを抽出する設計となっていない受信装置が多く存在する。
すなわち、そのようなデジタル放送受信装置では、サイマルクリプト方式を適用して、複数の限定受信方式記述子をPMTやCATに並列に記載された場合、自受信装置に適合しない限定受信方式記述子から誤ったPIDを抽出することで、正しいスクランブル鍵を抽出することができず、映像/音声を正常に再生することができないという問題がある。
【0011】
また、従来の限定受信方式記述子は、放送波で伝送されるECM/EMMを特定することを前提としているため、その記述子内において、放送波以外の伝送路から伝送されるECM/EMMを指定することができない。しかし、新たな限定受信方式では、放送波以外からもECM/EMMを伝送したいという要望もある。
【0012】
本発明は、以上のような問題、要望に鑑みてなされたものであり、従来のデジタル放送受信装置の受信に影響を与えない放送信号によって、新たな限定受信方式に対応するとともに、放送波以外からもECM/EMMを伝送することが可能なデジタル放送受信装置およびそのプログラム、ならびに、デジタル放送送信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のデジタル放送送信装置は、放送波を介して送信される暗号化されたコンテンツを、限定受信方式により再生するデジタル放送受信装置であって、多重分離手段と、アクセス制御記述子分離手段と、経路切替受信手段と、フィルタリング手段と、限定受信制御手段と、デスクランブル手段と、を備える構成とした。
【0014】
かかる構成において、デジタル放送受信装置は、多重分離手段によって、放送波に多重化されている、異なる限定受信方式を識別するために予め定めた限定受信方式記述子とアクセス制御記述子とを記述子領域に含んだテーブル情報であるPMTおよびCATと、その異なる限定受信方式に対応する複数のメッセージ情報であるECMおよびEMMと、暗号化されたコンテンツとを分離する。
【0015】
そして、デジタル放送受信装置は、アクセス制御記述子分離手段によって、多重分離手段で分離されたテーブル情報から、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別と、ECMおよびEMMの伝送経路を示す伝送情報とを抽出する。
これによって、デジタル放送受信装置は、従来の限定受信方式記述子で特定される限定受信方式とは異なる他の限定受信方式に対応したECM/EMMを伝送するパケットを特定するとともに、その伝送経路を特定することができる。
【0016】
そして、デジタル放送受信装置は、経路切替受信手段によって、アクセス制御記述子分離手段から抽出された伝送情報で特定される伝送経路に基づいて、多重分離手段で分離された放送波を介して伝送される複数のECMおよびEMM、または、他の伝送経路から伝送される単一または複数のECMおよびEMMを切り替えて受信する。
これによって、デジタル放送受信装置は、放送波以外の経路からもECMおよびEMMを受信することができる。
【0017】
そして、デジタル放送受信装置は、フィルタリング手段によって、アクセス制御記述子分離手段から抽出されたパケット識別に対応するECMおよびEMMを、経路切替受信手段で受信した複数のECMおよびEMMから抽出する。
これによって、デジタル放送受信装置は、アクセス制御記述子で特定される限定受信方式に対応したECMおよびEMMを抽出することができる。
【0018】
そして、デジタル放送受信装置は、限定受信制御手段によって、フィルタリング手段で抽出されたECMおよびEMMによる限限定受信方式により、スクランブル鍵を生成する。
そして、デジタル放送受信装置は、デスクランブル手段によって、限定受信制御手段で生成されたスクランブル鍵を用いてコンテンツを復号する。
【0019】
また、請求項2に記載のデジタル放送受信装置は、請求項1に記載のデジタル放送受信装置において、PMTおよびCATには、限定受信方式ごとに異なる予め定めた限定受信方式識別子が記載されたアクセス制御記述子が含まれ、アクセス制御記述子分離手段が、アクセス制御記述子からさらに限定受信方式識別子を抽出し、限定受信制御手段が、自身の限定受信方式を識別する限定受信方式識別子を出力するものであって、比較手段と、切替信号出力手段と、をさらに備える構成とした。
【0020】
かかる構成において、デジタル放送受信装置は、比較手段によって、アクセス制御記述子分離手段が抽出した限定受信方式識別子と、限定受信制御手段が出力する限定受信方式識別子とを比較する。これによって、デジタル放送受信装置は、限定受信制御手段において行う限定受信方式と、限定受信方式識別子で特定される限定受信方式とが合致するのかを判定することができる。
【0021】
そして、デジタル放送受信装置は、切替信号出力手段によって、比較手段で両識別子が一致すると判定された場合に、フィルタリング手段で抽出されたECMおよびEMMを、限定受信制御手段に出力する。
これによって、限定受信方式が合致したECMおよびEMMのみが、限定受信制御手段で処理されることになる。
【0022】
さらに、請求項3に記載のデジタル放送受信プログラムは、放送波を介して送信される暗号化されたコンテンツを、限定受信方式により再生するデジタル放送受信装置において、コンピュータを、多重分離手段、アクセス制御記述子分離手段、経路切替受信手段、フィルタリング手段、限定受信制御手段、デスクランブル手段、として機能させる構成とした。
【0023】
かかる構成において、デジタル放送受信プログラムは、多重分離手段によって、放送波に多重化されている、異なる限定受信方式を識別するために予め定めた限定受信方式記述子とアクセス制御記述子とを記述子領域に含んだテーブル情報であるPMTおよびCATと、その異なる限定受信方式に対応する複数のメッセージ情報であるECMおよびEMMと、暗号化されたコンテンツとを分離する。
【0024】
そして、デジタル放送受信プログラムは、アクセス制御記述子分離手段によって、多重分離手段で分離されたテーブル情報から、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別と、ECMおよびEMMの伝送経路を示す伝送情報とを抽出する。
【0025】
そして、デジタル放送受信プログラムは、経路切替受信手段によって、アクセス制御記述子分離手段から抽出された伝送情報で特定される伝送経路に基づいて、多重分離手段で分離された放送波を介して伝送される複数のECMおよびEMM、または、他の伝送経路から伝送される単一または複数のECMおよびEMMを切り替えて受信する。
そして、デジタル放送受信プログラムは、フィルタリング手段によって、アクセス制御記述子分離手段から抽出されたパケット識別に対応するECMおよびEMMを、経路切替受信手段で受信した複数のECMおよびEMMから抽出する。
【0026】
そして、デジタル放送受信プログラムは、限定受信制御手段によって、フィルタリング手段で抽出されたECMおよびEMMによる限定受信方式により、スクランブル鍵を生成する。
そして、デジタル放送受信プログラムは、デスクランブル手段によって、限定受信制御手段で生成されたスクランブル鍵を用いてコンテンツを復号する。
【0027】
また、請求項4に記載のデジタル放送送信装置は、限定受信方式によりコンテンツを暗号化し、放送波を介して送信するデジタル放送送信装置であって、スクランブル手段と、第1メッセージ情報生成手段と、第2メッセージ情報生成手段と、伝送経路切替手段と、記述子生成手段と、テーブル情報生成手段と、多重手段と、通信送信手段と、を備える構成とした。
【0028】
かかる構成において、デジタル放送送信装置は、スクランブル手段によって、コンテンツをスクランブル鍵で暗号化する。
また、デジタル放送送信装置は、第1メッセージ情報生成手段によって、予め定めた第1限定受信方式に対応するECMおよびEMMを生成し、第2メッセージ情報生成手段によって、第1限定受信方式とは異なる第2限定受信方式に対応するECMおよびEMMを生成する。
【0029】
そして、デジタル放送送信装置は、伝送経路切替手段によって、第2メッセージ情報生成手段で生成されたECMおよびEMMに対して、外部からの指示により、伝送経路の出力先を切り替える。
そして、デジタル放送送信装置は、記述子生成手段によって、第1限定受信方式を識別するための限定受信方式記述子と第2限定受信方式を識別するためのアクセス制御記述子とを生成するとともに、伝送経路を示す伝送情報をアクセス制御記述子に記述する。
これによって、デジタル放送受信装置は、アクセス制御記述子の伝送情報によって、対応するECMおよびEMMの伝送元を特定することができる。
【0030】
そして、デジタル放送送信装置は、テーブル情報生成手段によって、記述子生成手段で生成された限定受信方式記述子とアクセス制御記述子とを記述子領域に記載したテーブル情報を生成する。
そして、デジタル放送送信装置は、多重手段によって、スクランブル手段で暗号化されたコンテンツと、第1メッセージ情報生成手段で生成されたECMおよびEMMと、伝送経路切替手段で伝送経路の出力先を放送波と指示された場合の第2メッセージ情報生成手段で生成されたECMおよびEMMと、テーブル情報生成手段で生成されたテーブル情報とを多重化して放送する。
【0031】
また、デジタル放送送信装置は、通信送信手段によって、伝送経路切替手段で伝送経路の出力先を通信と指示された場合の第2メッセージ情報生成手段で生成されたECMおよびEMMを、通信によりデジタル放送受信装置に送信する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,3,4に記載の発明によれば、PMTやCATにおいて、限定受信方式を識別するための従来の限定受信方式記述子と、他の限定受信方式を識別するためのアクセス制御記述子とを並列して記載することで、従来の限定受信方式とは独立して、新たな方式の限定受信方式に対応することができる。また、このとき、従来のデジタル放送受信装置では、限定受信方式記述子を参照することになるため、従来のデジタル放送受信装置の受信に影響を与えることがない。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、ECM/EMMの伝送経路を放送波以外に設定することができる。このため、本発明によれば、対応する限定受信方式を増加させる場合でも、放送帯域の圧迫を抑制することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、新たな限定受信方式を複数採用した場合であっても、個々の受信装置に対応する限定受信方式に対応したECM/EMMを確実に抽出することができるため、正しくコンテンツを再生することができる。また、このように、限定受信方式を複数制御することができることで、1の限定受信方式のセキュリティ維持が困難な状態に陥ったとしても被害を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<デジタル放送システムの概要>
最初に、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るデジタル放送システムの概要について説明する。
【0036】
デジタル放送システムSは、放送事業者が有するデジタル放送送信装置2と、各家庭等に設置されたデジタル放送受信装置1,1,1,…とで構成され、デジタル放送送信装置2からデジタル放送の放送波Wで送信されるコンテンツ(映像、音声等)をデジタル放送受信装置1において受信し、視聴者が視聴するシステムである。なお、放送波Wは、地上デジタル放送、衛星放送、ケーブル放送等、無線、有線を問わない。
【0037】
このデジタル放送システムSは、デジタル放送送信装置2において、コンテンツのスクランブル(暗号化)を行い、デジタル放送受信装置1において、スクランブルされたコンテンツをデスクランブル(復号)することで、限定受信方式によりコンテンツの保護を行う。
以下、デジタル放送システムSを構成するデジタル放送受信装置1およびデジタル放送送信装置2について順次説明を行う。
【0038】
<第1実施形態>
[デジタル放送受信装置の構成]
まず、
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るデジタル放送受信装置1の構成について説明する。
このデジタル放送受信装置1は、デジタル放送送信装置2(
図1参照)から送信される暗号化されたコンテンツを受信し、限定受信方式で、コンテンツの暗号を復号するものである。ここでは、デジタル放送受信装置1は、図示を省略した選局・復調手段と、多重分離手段10と、アクセス制御記述子分離手段11と、フィルタリング手段12と、限定受信制御手段13と、デスクランブル手段14と、を備えている。
【0039】
多重分離手段10は、アンテナを介して受信した放送波Wから、選局・復調手段(不図示)によって、視聴者が選局した放送信号を復調したMPEG−2 TS(トランスポートストリーム)パケットを分離するものである。
この多重分離手段10は、TSに多重化されて伝送されてくるPMT(Program Map Table)およびCAT(Conditional Access Table)を分離して、アクセス制御記述子分離手段11に出力する。
また、多重分離手段10は、TSに多重化されて伝送されてくるECM(Entitlement Control Message)およびEMM(Entitlement Management Message)を分離して、フィルタリング手段12に出力する。
さらに、多重分離手段10は、TSに多重化されて伝送されてくる放送番組であるコンテンツ(映像/音声)を分離して、デスクランブル手段14に出力する。
【0040】
ここで、PMTは、放送番組のストリーム(コンポーネント)情報や、ECMを伝送するTSパケットのパケット識別(パケットID:PID)等を示すテーブル情報である。また、CATは、EMMを伝送するTSパケットのパケット識別等を示すテーブル情報である。
また、ECMは、全受信装置に共通の情報を伝送するデータで、主にスクランブル放送のスクランブル鍵や放送番組の情報を伝送するメッセージ情報である。また、EMMは、受信装置固有の情報を伝送するデータで、主にECMを復号するためのワーク鍵を伝送するメッセージ情報である。
【0041】
アクセス制御記述子分離手段11は、多重分離手段10で分離されたPMTおよびCATの記述子領域から、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別を抽出するものである。なお、アクセス制御記述子は、限定受信方式記述子で特定される限定受信方式とは異なる他の限定受信方式を特定するための記述子である。
【0042】
すなわち、アクセス制御記述子分離手段11は、PMTが入力された場合、PMTの記述子領域に記載されている記述子の中から、予め定めた記述子タグの値でアクセス制御記述子を探索し、該当するアクセス制御記述子を分離する。そして、アクセス制御記述子分離手段11は、分離したアクセス制御記述子に記載されているPID(パケット識別)を抽出する。
【0043】
また、同様に、アクセス制御記述子分離手段11は、CATが入力された場合、CATの記述子領域に記載されている記述子の中から、予め定めた記述子タグの値でアクセス制御記述子を探索し、該当するアクセス制御記述子を分離する。そして、アクセス制御記述子分離手段11は、分離したアクセス制御記述子に記載されているPID(パケット識別)を抽出する。
【0044】
なお、このアクセス制御記述子分離手段11は、PIDの値が、予めヌルパケットとして定められている値(0x1FFF)である場合、そのアクセス制御記述子を無視して、さらに、記述子領域に記載されている記述子の中から、アクセス制御記述子を探索する。
そして、アクセス制御記述子分離手段11は、抽出したPIDをフィルタリング手段12に出力する。
【0045】
ここで、
図3を参照して、アクセス制御記述子のデータ構成について説明する。
図3(a)に示すように、アクセス制御記述子は、記述子タグD1と、記述子長D2と、限定受信方式識別子D3と、伝送情報D4と、パケット識別(PID)D5と、データD6とで構成される。
【0046】
記述子タグD1は、当該アクセス制御記述子を特定する予め定めた値を記述する領域である。記述子長D2は、これより後に続くデータバイト数を記述する領域である。限定受信方式識別子D3は、限定受信方式の種類を識別する予め定めた値を記述する領域である。伝送情報D4は、ECM/EMMの伝送経路を示す情報を記述する領域である。パケット識別(PID)D5は、TSパケットのパケット識別の値を記述する領域である。データD6は、ここでは特に規定しないが、予備のデータ領域である。
ここで、限定受信方式識別子D3および伝送情報D4は、第2実施形態以降のデジタル放送受信装置において参照される情報である。
【0047】
なお、
図3(b)には、参考として、従来の限定受信方式記述子のデータ構成を示している。このアクセス制御記述子と限定受信方式記述子とでは、記述子タグD1,E1の値が異なるため、両方の記述子がPMTやCATの記述子領域に並列して記載されている場合であっても、それぞれの記述子を区別することができる。
図2に戻って、デジタル放送受信装置1の構成について説明を続ける。
【0048】
フィルタリング手段12は、アクセス制御記述子分離手段11から抽出されたパケット識別(PID)に対応するECMおよびEMMを、多重分離手段10で分離されたECMおよびEMMから抽出するものである。
すなわち、フィルタリング手段12は、多重分離手段10で分離された複数のECMおよびEMMのうちで、アクセス制御記述子に記載されているPIDと同じ値のTSパケットのみを通過させるPIDフィルタとして機能する。
このフィルタリング手段12は、フィルタリングした結果のECMおよびEMMを限定受信制御手段13に出力する。
【0049】
限定受信制御手段13は、フィルタリング手段12で抽出されたECMおよびEMMによって、スクランブル鍵を生成するものである。
なお、この限定受信制御手段13は、ARIB STD−B25で規定されている従来のアクセス制御方式の手順に従って、スクランブル鍵を生成する一般的なCAモジュールである。すなわち、限定受信制御手段13は、図示を省略した記憶手段に予め記憶しているデバイス鍵またはマスター鍵で、EMMを復号することで、ワーク鍵を生成し、ECMをそのワーク鍵で復号することで、スクランブル鍵を生成する。
この限定受信制御手段13は、生成したスクランブル鍵Ksをデスクランブル手段14に出力する。
【0050】
デスクランブル手段14は、多重分離手段10で分離された、スクランブルされたコンテンツ(映像/音声)のTSパケットを、限定受信制御手段13で生成されたスクランブル鍵でデスクランブル(復号)するものである。このデスクランブル手段14で復号されたコンテンツは、図示を省略した表示装置等に出力され、視聴者が視聴可能なデータにデコードされて表示される。
【0051】
以上説明したようにデジタル放送受信装置1を構成することで、デジタル放送受信装置1は、PMTやCATにおいて、限定受信方式を識別するための従来の限定受信方式記述子と、他の限定受信方式を識別するためのアクセス制御記述子とが並列して記載されている記述子領域から、アクセス制御記述子を分離して、限定受信処理を行うことができる。このとき、従来のデジタル放送受信装置では、アクセス制御記述子を無視して、限定受信方式記述子を参照することになるため、アクセス制御記述子により他の限定受信方式を追加された場合であっても受信に影響はない。
【0052】
[デジタル放送受信装置の動作]
次に、本発明の第1実施形態に係るデジタル放送受信装置1の動作について説明する。なお、デジタル放送受信装置1における限定受信方式により映像/音声をデスクランブルする動作そのものは一般的なものであるため、ここでは説明を省略する。
以下、
図4を参照(構成については、適宜
図2参照)して、本発明の主要な動作である、PMT/CATから、限定受信方式を特定するアクセス制御記述子を分離して、ECM/EMMを特定するパケット識別(PID)を抽出するアクセス制御記述子分離手段11の動作について詳細に説明する。
【0053】
まず、アクセス制御記述子分離手段11は、多重分離手段10で分離されて入力されたたPMTまたはCATの各テーブル情報の記述子領域に記載されている記述子を順次抽出する(ステップS1)。ここで、記述子が抽出できなかった場合、すなわち、すべての記述子の抽出が完了した場合(ステップS2でNO)、アクセス制御記述子分離手段11は、動作を終了する。
【0054】
一方、記述子を抽出することができた場合(ステップS2でYES)、アクセス制御記述子分離手段11は、その記述子の記述子タグ(D1:
図3(a)参照)の値が、予め定めたアクセス制御記述子のタグ値であるか否かにより、当該記述子がアクセス制御記述子であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0055】
ここで、ステップS1で抽出した抽出した記述子がアクセス制御記述子であった場合(ステップS3でYES)、アクセス制御記述子分離手段11は、アクセス制御記述子に記載されているPID(パケット識別)がヌルパケットとして規定されている値であるか否かを判定する(ステップS4)。なお、PIDが“0x1FFF”のTSパケットは、TSにおいてヌルパケットと予め規定されているため、ここでは、アクセス制御記述子分離手段11は、PIDが“0x1FFF”であるか否かを判定する。
【0056】
そして、PIDがヌルパケットとして規定されている値(0x1FFF)でなかった場合(ステップS4でNO)、アクセス制御記述子分離手段11は、そのPIDをフィルタリング手段12に出力する(ステップS5)。
一方、ステップS1で抽出した記述子がアクセス制御記述子でなかった場合(ステップS3でNO)、あるいは、アクセス制御記述子に記載されているPIDが“0x1FFF”であった場合(ステップS4でYES)、アクセス制御記述子分離手段11は、ステップS1に戻って次の記述子の抽出を行う。
【0057】
このように、アクセス制御記述子分離手段11は、PMT/CATの記述子領域に、従来の限定受信方式記述子と並列に記載されているアクセス制御記述子を分離して、PIDを抽出する。これによって、デジタル放送受信装置1は、既存のデジタル放送受信装置がアクセスしない記述子により、従来の限定受信方式とは異なる新たな限定受信方式で動作することができる。
【0058】
<第2実施形態>
[デジタル放送受信装置の構成]
次に、
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るデジタル放送受信装置1Aの構成について説明する。
このデジタル放送受信装置1Aは、デジタル放送送信装置2(
図1参照)から送信されるスクランブルされたコンテンツを受信し、限定受信方式で、コンテンツの暗号を復号するデジタル放送受信装置1(
図2参照)の機能を備え、同一のアクセス制御記述子で、さらに異なる限定受信方式を識別する機能を備えている。
すなわち、デジタル放送受信装置1Aは、サイマルクリプト方式を適用して、アクセス制御記述子が複数送信された場合に、その中から、自受信装置の限定受信方式に該当するアクセス制御記述子で動作する機能を有する。
【0059】
ここでは、デジタル放送受信装置1Aは、図示を省略した選局・復調手段と、多重分離手段10と、アクセス制御記述子分離手段11Aと、フィルタリング手段12と、限定受信制御手段13Aと、デスクランブル手段14と、比較手段15と、切替信号出力手段16と、を備えている。
ここで、多重分離手段10、フィルタリング手段12およびデスクランブル手段14は、
図2で説明したデジタル放送受信装置1と同じ構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
アクセス制御記述子分離手段11Aは、多重分離手段10で分離されたPMTおよびCATから、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別を抽出するものであって、
図2で説明したアクセス制御記述子分離手段11と同じ機能を備えている。さらに、アクセス制御記述子分離手段11Aは、複数のアクセス制御記述子から、当該アクセス制御記述子に記載されている限定受信方式識別子を抽出する機能を備えている。
【0061】
ここで、限定受信方式識別子は、
図3(a)で説明したアクセス制御記述子の構成中のデータ(限定受信方式識別子D3)であって、異なる限定受信方式ごとに予め定めた値が設定される。
ここでは、アクセス制御記述子分離手段11Aは、抽出したパケット識別(PID)を、フィルタリング手段12に出力するとともに、抽出した限定受信方式識別子(CA_system_ID)を比較手段15に出力する。
【0062】
なお、アクセス制御記述子分離手段11Aは、比較手段15から、限定受信方式識別子(CA_system_ID)で特定される限定受信方式が自受信装置に適合する旨の信号(ON)を入力された段階で、記述子を探索する動作を終了する。これによって、これ以降の不要な探索動作を実行させないようにすることができる。
【0063】
限定受信制御手段13Aは、フィルタリング手段12で抽出されたECMおよびEMMによって、スクランブル鍵を生成するものであって、
図2で説明した限定受信制御手段13と同じ機能を備えている。なお、この限定受信制御手段13Aには、フィルタリング手段12で抽出されたECMおよびEMMのうちで、切替信号出力手段16によって、出力が許可された情報のみが入力される。
【0064】
さらに、限定受信制御手段13Aは、自受信装置が行う限定受信方式を識別するための予め定めた値である限定受信方式識別子(CA_system_ID)を出力する機能を備えている。この限定受信制御手段13Aは、限定受信方式識別子(CA_system_ID)を比較手段15に出力する。
【0065】
比較手段15は、アクセス制御記述子分離手段11Aが抽出した限定受信方式識別子(CA_system_ID)と、限定受信制御手段13Aが出力した限定受信方式識別子(CA_system_ID)とを比較するものである。
この比較手段15は、両識別子の値が一致する場合、アクセス制御記述子分離手段11Aで抽出された限定受信方式識別子で特定される限定受信方式が自受信装置に適合する旨の信号(ON)を、アクセス制御記述子分離手段11Aおよび切替信号出力手段16に出力する。なお、両識別子が一致しない場合、比較手段15は、一致しない旨の信号(OFF)を、アクセス制御記述子分離手段11Aおよび切替信号出力手段16に出力する。
【0066】
切替信号出力手段16は、比較手段15によって、アクセス制御記述子分離手段11Aが抽出した限定受信方式識別子(CA_system_ID)と、限定受信制御手段13Aが出力した限定受信方式識別子(CA_system_ID)とが一致すると判定された場合に、フィルタリング手段12で抽出されたECMおよびEMMを、限定受信制御手段13Aに出力するものである。
ここでは、切替信号出力手段16は、比較手段15から、ON信号を入力された場合に、ECM/EMMを限定受信制御手段13Aに出力し、OFF信号を入力された場合に、出力を行わないこととする。
【0067】
以上説明したようにデジタル放送受信装置1Aを構成することで、デジタル放送受信装置1Aは、デジタル放送受信装置1(
図2参照)の効果に加え、新たな限定受信方式を複数採用した場合であっても、個々の受信装置に対応する限定受信方式に対応したECM/EMMを確実に抽出することができるため、正しくコンテンツを再生することができる。
さらに、限定受信方式を複数制御することができることで、1の限定受信方式のセキュリティ維持が困難な状態に陥ったとしても被害を最小限に抑えることができる。
【0068】
[デジタル放送受信装置の動作]
次に、本発明の第2実施形態に係るデジタル放送受信装置1Aの動作について説明する。なお、デジタル放送受信装置1Aにおける限定受信方式により映像/音声をデスクランブルする動作そのものは一般的なものであるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
以下、
図6を参照(構成については、適宜
図5参照)して、本発明の主要な動作である、PMT/CATから、限定受信方式を特定する複数のアクセス制御記述子から、ECM/EMMを特定するパケット識別(PID)を抽出するアクセス制御記述子分離手段11Aの動作について詳細に説明する。なお、ステップS1、S2、S3、S4は、
図4で説明したデジタル放送受信装置1のアクセス制御記述子分離手段11(
図2参照)の動作と同じであるため、説明を省略する。
【0070】
ステップS2において、記述子を抽出することができた場合(ステップS2でYES)、アクセス制御記述子分離手段11Aは、比較手段15の出力がONであるか否かを判定する(ステップS2A)。ここで、比較手段15の出力がONである場合(ステップS2AでYES)、アクセス制御記述子分離手段11Aは、動作を終了する。これは、前回のループ処理において、アクセス制御記述子分離手段11Aが抽出した限定受信方式識別子(CA_system_ID)と、限定受信制御手段13Aが出力した限定受信方式識別子(CA_system_ID)とが一致しているため、これ以降、記述子の抽出を行う必要がないためである。
【0071】
一方、比較手段15の出力がOFFである場合(ステップS2AでNO)、アクセス制御記述子分離手段11Aは、抽出した記述子がアクセス制御記述子であって(ステップS3でYES)、そのアクセス制御記述子に記載されているPID(パケット識別)の値がヌルパケットの値(0x1FFF)でない(ステップS4でNO)場合に、そのアクセス制御記述子に記載されている限定受信方式識別子(CA_system_ID)を比較手段15に出力するとともに、PIDをフィルタリング手段12に出力する(ステップS5A)。
【0072】
このように、アクセス制御記述子分離手段11Aは、PMT/CATの記述子領域に、従来の限定受信方式記述子と並列に複数記載されているアクセス制御記述子を個々に分離して、PIDを抽出する。このとき、アクセス制御記述子分離手段11Aは、限定受信方式を特定する限定受信方式識別子(CA_system_ID)を出力する。
【0073】
これによって、デジタル放送受信装置1Aは、アクセス制御記述子が複数存在する場合であっても、限定受信制御手段13Aが適用できる限定受信方式に合ったアクセス制御記述子により、自受信装置の限定受信方式で確実に動作することができる。
【0074】
<第3実施形態>
[デジタル放送受信装置の構成]
次に、
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係るデジタル放送受信装置1Bの構成について説明する。
このデジタル放送受信装置1Bは、デジタル放送送信装置2(
図1参照)から送信されるスクランブルされたコンテンツを受信し、限定受信方式で、コンテンツの暗号を復号するデジタル放送受信装置1(
図2参照)の機能を備え、ECM/EMMを取得する伝送経路を放送波のみに限定することなく、種々の伝送経路から取得することができる機能を備えている。
【0075】
ここでは、デジタル放送受信装置1Bは、図示を省略した選局・復調手段と、多重分離手段10と、アクセス制御記述子分離手段11Bと、フィルタリング手段12と、限定受信制御手段13と、デスクランブル手段14と、経路切替受信手段17と、を備えている。
ここで、アクセス制御記述子分離手段11Bおよび経路切替受信手段17以外の構成は、
図2で説明したデジタル放送受信装置1と同じ構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
アクセス制御記述子分離手段11Bは、多重分離手段10で分離されたPMTおよびCATから、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別を抽出するものであって、
図2で説明したアクセス制御記述子分離手段11と同じ機能を備えている。さらに、アクセス制御記述子分離手段11Bは、アクセス制御記述子に記載されている伝送経路を抽出する機能を備えている。
【0077】
ここで、伝送経路は、
図3(a)で説明したアクセス制御記述子の構成中のデータ(伝送情報D4)で指定される情報であって、ECM/EMMがどの伝送経路で伝送されるかを特定する情報である。ここでは、3ビットの値で、経路を特定することとする。
この伝送情報D4は、例えば、ビット値が2進表記で“111”の場合、伝送経路が放送波であることを示す。また、それ以外のビット値によって、他の伝送経路、例えば、通信等を特定する。
ここでは、アクセス制御記述子分離手段11Bは、抽出したパケット識別(PID)を、フィルタリング手段12に出力するとともに、抽出した伝送経路(伝送情報)を経路切替受信手段17に出力する。
【0078】
経路切替受信手段17は、アクセス制御記述子分離手段11Bから抽出された伝送経路(伝送情報)に基づいて、多重分離手段10で分離された放送波を介して伝送される複数のECMおよびEMM、または、他の伝送経路から伝送される単一のまたは複数のECMおよびEMMを切り替えて受信するものである。
なお、
図7中、経路切替受信手段17は、二者択一の構成としているが、ここでは、伝送経路の情報を3ビットとしているため、最大8経路まで選択することができる。
【0079】
ここで、伝送経路が、2進表記で“111”の場合、経路切替受信手段17は、多重分離手段10から、ECM/EMMを取得し、フィルタリング手段12に出力する。また、伝送経路が、2進表記で“111”以外の場合、経路切替受信手段17は、その値に応じて予め定めた取得元から、ECM/EMMを取得し、フィルタリング手段12に出力する。
【0080】
以上説明したようにデジタル放送受信装置1Bを構成することで、デジタル放送受信装置1Bは、デジタル放送受信装置1(
図2参照)の効果に加え、ECM/EMMを放送波以外から取得することができる。
【0081】
[デジタル放送受信装置の動作]
次に、本発明の第3実施形態に係るデジタル放送受信装置1Bの動作について説明する。なお、デジタル放送受信装置1Bにおける限定受信方式により映像/音声をデスクランブルする動作そのものは一般的なものであるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
以下、
図8を参照(構成については、適宜
図7参照)して、本発明の主要な動作である、アクセス制御記述子分離手段11Bの動作について説明する。なお、ステップS1〜S4は、
図4で説明したデジタル放送受信装置1のアクセス制御記述子分離手段11(
図2参照)の動作と同じであるため、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0083】
アクセス制御記述子分離手段11(
図2参照)の動作との相違は、ステップS1〜S4の動作後、アクセス制御記述子分離手段11Bが、ステップS1で抽出したアクセス制御記述子に記載されているPIDをフィルタリング手段12に出力するとともに、当該アクセス制御記述子に記載されている伝送経路(伝送情報)を経路切替受信手段17に出力する(ステップS5B)点である。
【0084】
このように、アクセス制御記述子分離手段11Bは、PMT/CATの記述子領域に、従来の限定受信方式記述子と並列に記載されているアクセス制御記述子を分離して、PIDを抽出することに加え、ECM/EMMの伝送経路を抽出することができる。これによって、デジタル放送受信装置1Bは、既存のデジタル放送受信装置がアクセスしない記述子により、従来の限定受信方式とは異なる新たな限定受信方式で動作することができる。さらに、デジタル放送受信装置1Bは、放送波以外からもECM/EMMを取得することができ、放送帯域の圧迫を抑制することができる。
【0085】
<第4実施形態>
[デジタル放送受信装置の構成]
次に、
図9を参照して、本発明の第4実施形態に係るデジタル放送受信装置1Cの構成について説明する。
このデジタル放送受信装置1Cは、デジタル放送受信装置1B(
図7参照)と同様に、デジタル放送送信装置2(
図1参照)から送信されるスクランブルされたコンテンツを受信し、限定受信方式で、コンテンツの暗号を復号する機能、並びに、ECM/EMMを取得する伝送経路を放送波のみに限定することなく、種々の伝送経路から取得することができる機能を備え、さらに、同一のアクセス制御記述子で、異なる限定受信方式を識別する機能を備えている。
すなわち、デジタル放送受信装置1Cは、サイマルクリプト方式を適用して、アクセス制御記述子が複数送信された場合に、その中から、自受信装置の限定受信方式に該当するアクセス制御記述子で動作する機能を有する。
【0086】
ここでは、デジタル放送受信装置1Cは、図示を省略した選局・復調手段と、多重分離手段10と、アクセス制御記述子分離手段11Cと、フィルタリング手段12と、限定受信制御手段13Aと、デスクランブル手段14と、比較手段15と、切替信号出力手段16と、経路切替受信手段17と、を備えている。
【0087】
ここで、多重分離手段10、フィルタリング手段12およびデスクランブル手段14は、
図2で説明したデジタル放送受信装置1と同じ構成であり、限定受信制御手段13A、比較手段15および切替信号出力手段16は、
図5で説明したデジタル放送受信装置1Aと同じ構成であり、経路切替受信手段17は、
図7で説明したデジタル放送受信装置1Bと同じ構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
アクセス制御記述子分離手段11Cは、多重分離手段10で分離されたPMTおよびCATから、アクセス制御記述子を分離し、当該アクセス制御記述子に記載されているパケット識別を抽出するとともに、アクセス制御記述子に記載されている伝送経路を抽出するものであって、
図7で説明したアクセス制御記述子分離手段11Bと同じ機能を備えている。さらに、アクセス制御記述子分離手段11Cは、複数のアクセス制御記述子から、当該アクセス制御記述子に記載されている限定受信方式識別子を抽出する
図5で説明したアクセス制御記述子分離手段11Aと同じ機能を備えている。
【0089】
以上説明したようにデジタル放送受信装置1Cを構成することで、デジタル放送受信装置1Cは、デジタル放送受信装置1,1A,1B(
図2,
図5,
図7参照)の効果を併せて有することになる。
【0090】
[デジタル放送受信装置の動作]
次に、本発明の第4実施形態に係るデジタル放送受信装置1Cの動作について説明する。なお、デジタル放送受信装置1Cにおける限定受信方式により映像/音声をデスクランブルする動作そのものは一般的なものであるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
以下、
図10を参照(構成については、適宜
図9参照)して、本発明の主要な動作である、アクセス制御記述子分離手段11Cの動作について説明する。なお、ステップS1〜S4は、
図6で説明したデジタル放送受信装置1Aのアクセス制御記述子分離手段11A(
図5参照)の動作と同じであるため、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0092】
アクセス制御記述子分離手段11A(
図5参照)の動作との相違は、ステップS1〜S4の動作後、アクセス制御記述子分離手段11Cが、ステップS1で抽出したアクセス制御記述子に記載されているPIDをフィルタリング手段12に出力するとともに、当該アクセス制御記述子に記載されている伝送経路(伝送情報)を経路切替受信手段17に出力する(ステップS5C)点である。
【0093】
このように、アクセス制御記述子分離手段11Cは、PMT/CATの記述子領域に、従来の限定受信方式記述子と並列に記載されているアクセス制御記述子を分離して、PIDを抽出するとともに、ECM/EMMの伝送経路と限定受信方式を特定する限定受信方式識別子(CA_system_ID)とを抽出することができる。
【0094】
これによって、デジタル放送受信装置1Cは、既存のデジタル放送受信装置がアクセスしない記述子により、従来の限定受信方式とは異なる新たな限定受信方式で動作することができる。また、デジタル放送受信装置1Cは、アクセス制御記述子が複数存在する場合であっても、限定受信制御手段13Aが適用できる限定受信方式に合ったアクセス制御記述子により、自受信装置の限定受信方式で確実に動作することができる。さらに、デジタル放送受信装置1Cは、放送波以外からもECM/EMMを取得することができ、放送帯域の圧迫を抑制することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について種々説明したが、デジタル放送受信装置1,1A,1B,1Cは、一般的なコンピュータを前記した各手段として機能させるデジタル放送受信プログラムによって動作させることができる。
なお、このデジタル放送受信プログラムは、ネットワークを介して配信したり、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布したりすることも可能である。また、このデジタル放送受信プログラムは、例えば、パーソナルコンピュータ上で動作させることができる。
【0096】
[デジタル放送送信装置]
最後に、
図11を参照して、デジタル放送送信装置2について説明する。
このデジタル放送送信装置2は、コンテンツを暗号化(スクランブル)して、複数の限定受信方式により、暗号化したコンテンツをデジタル放送受信装置1,1A,1B,1Cに送信するものである。
ここでは、デジタル放送送信装置2は、スクランブル手段20と、第1ECM/EMM生成手段21と、第2ECM/EMM生成手段22と、伝送経路切替手段23と、記述子生成手段24と、PMT/CAT生成手段25と、通信送信手段26と、多重手段27と、を備えている。
【0097】
スクランブル手段20は、入力されたコンテンツ(映像、音声等)をスクランブル鍵でスクランブル(暗号化)するものである。このスクランブル手段20の暗号化は、限定受信方式により予め定めた暗号化アルゴリズムを用いればよく、例えば、MULTI2暗号を用いることができる。このスクランブル手段20は、スクランブルしたコンテンツを、多重手段27に出力する。
【0098】
第1ECM/EMM生成手段(第1メッセージ情報生成手段)21は、スクランブル手段20でスクランブルに使用したスクランブル鍵を、ワーク鍵を用いて暗号化して、ECM(共通情報)を生成するとともに、ワーク鍵を、デジタル放送受信装置固有のデバイス鍵またはマスター鍵で暗号化して、EMM(個別情報)を生成するものである。
この第1ECM/EMM生成手段21は、限定受信方式記述子で特定される限定受信方式で固有のECM/EMMを生成する。例えば、第1ECM/EMM生成手段21は、ICカードを用いた限定受信方式(B−CAS方式等)に対応するECM/EMMを生成する。
この第1ECM/EMM生成手段21は、生成したECMおよびEMMを、多重手段27に出力する。
【0099】
第2ECM/EMM生成手段(第2メッセージ情報生成手段)22は、第1ECM/EMM生成手段21と同様に、スクランブル手段20でスクランブルに使用したスクランブル鍵を、ワーク鍵を用いて暗号化して、ECM(共通情報)を生成するとともに、ワーク鍵を、デジタル放送受信装置固有のデバイス鍵またはマスター鍵で暗号化して、EMM(個別情報)を生成するものである。
【0100】
ただし、この第2ECM/EMM生成手段22は、限定受信方式記述子とは異なる他の限定受信方式を識別するアクセス制御記述子で固有のECM/EMMを生成する。例えば、第2ECM/EMM生成手段22は、ICカードを使用せずに、ソフトウェア制御でコンテンツの暗号を復号するARIB STD−B25第三部で規定されている限定受信方式に対応するECM/EMMを生成する。
この第2ECM/EMM生成手段22は、生成したECMおよびEMMを、伝送経路切替手段23に出力する。
【0101】
伝送経路切替手段23は、外部から指示される伝送経路に基づいて、第2ECM/EMM生成手段22から入力されるECMおよびEMMの出力先を多重手段27または通信送信手段26に切り替えるものである。
この伝送経路切替手段23において、出力先を切り替えることで、第2ECM/EMM生成手段22が生成したECMおよびEMMが、多重手段27を介して放送波によって伝送されるか、通信送信手段26を介して通信回線によって伝送されるかが切り替わる。
【0102】
記述子生成手段24は、PMTやCATの記述子領域に設定する記述子を生成するものである。ここでは、記述子生成手段24は、外部から、限定受信方式記述子やアクセス制御記述子を生成するための情報を入力されることでそれぞれの記述子を生成する。
すなわち、記述子生成手段24は、限定受信方式記述子を生成する情報として、固有の限定受信方式識別子や、第1ECM/EMM生成手段21で生成されたECM/EMMを伝送する際のTSパケットのパケット識別(PID)を入力されることで、
図3(b)に示すような構成で限定受信方式記述子を生成する。
【0103】
また、記述子生成手段24は、アクセス制御記述子を生成する情報として、固有の限定受信方式識別子や、伝送経路を示す伝送情報、第2ECM/EMM生成手段22で生成されたECM/EMMを伝送する際のTSパケットのパケット識別(PID)を入力されることで、
図3(a)に示すような構成でアクセス制御記述子を生成する。
この記述子生成手段24は、生成した記述子をPMT/CAT生成手段25に出力する。
【0104】
PMT/CAT生成手段(テーブル情報生成手段)25は、TSに多重するテーブル情報であるPMTおよびCATを生成するものである。
このPMT/CAT生成手段25は、記述子領域に、記述子生成手段24で生成された記述子(限定受信方式記述子、アクセス制御記述子等)を記載してPMTおよびCATを生成する。なお、PMT/CATに記載する記述子は、アクセス制御記述子以外、一般的なものであり、そのデータ構成についても公知のものであるため、ここでは説明を省略する。
このPMT/CAT生成手段25は、生成したPMT/CATを多重手段27に出力する。
【0105】
通信送信手段26は、伝送経路切替手段23において、出力先が通信回線として切り替えられたECM/EMMを、通信回線を介して、デジタル放送受信装置に送信するものである。これによって、ECM/EMMを放送波で伝送する際の放送帯域の圧迫を抑えることができる。
【0106】
多重手段27は、スクランブル手段20でスクランブルされたコンテンツに、第1ECM/EMM生成手段21で生成されたECM/EMMと、伝送経路を放送波で指定された場合の第2ECM/EMM生成手段21で生成されたECM/EMMと、PMT/CAT生成手段25で生成されたPMT/CATとを多重化するものである。
この多重手段27は、多重化したTSを、図示を省略した送信変調装置を介して、放送波として、デジタル放送受信装置に送信する。
【0107】
以上説明したようにデジタル放送送信装置2を構成することで、デジタル放送送信装置2は、異なる限定受信方式ごとにECM/EMMを生成し、デジタル放送受信装置に送信することができ、複数の限定受信方式を動作させることができる。
また、このとき、デジタル放送送信装置2は、従来の限定受信方式記述子を従来の形式のまま伝送し、アクセス制御記述子を限定受信方式記述子と並列に記述子領域に記載するため、新たな限定受信方式を適用したデジタル放送受信装置に対して、従来のデジタル放送受信装置が認識しないアクセス制御記述子で制御することができる。
【0108】
なお、ここでは、デジタル放送送信装置2が、ECMおよびEMMをデジタル放送受信装置に伝送することとしたが、予めワーク鍵がデジタル放送受信装置の限定受信制御手段13,13Aに設定された状態で出荷されている場合、PMT/CAT生成手段25は、PMTのみを生成すればよい。また、第1ECM/EMM生成手段21および第2ECM/EMM生成手段22は、ECMのみを生成すればよい。