【文献】
J. Chromatogr. Sci., 2006, Vol.44, No.10, pp.615-618
【文献】
J. Chromatogr. A, 2007, Vol.1143, pp.1-7
【文献】
J. Essent. Oil Res., 2002, Vol.14, No.6, pp.422-424
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロ波照射工程では、マイクロ波吸収性またはマイクロ波感受性を有する物質であるマイクロ波特性物質の存在下においてマイクロ波を照射する、請求項1記載の油状物質の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような微細藻類等の油状物質生産性微生物を用いた油状物質の製造において、より簡易な方法によって油状物質生産性微生物から油状物質を製造する方法の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、そのような状況に応じてなされたものであり、簡易な方法によって、油状物質生産性微生物を用いた油状物質の製造を実現できる油状物質の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による油状物質の製造方法は、油状物質生産性微生物に対してマイクロ波(電磁波)を照射するマイクロ波照射工程を含む、ものである。
このような構成により、マイクロ波を照射することによって、例えば、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができ、その結果、油状物質生産性微生物の内部に存在する油状物質を回収することができるようになる。
【0007】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波照射工程において、マイクロ波吸収性またはマイクロ波感受性を有する物質であるマイクロ波特性物質の存在下においてマイクロ波を照射してもよい。
このような構成により、マイクロ波特性物質にマイクロ波の電界、磁界が集中することになり、その結果、例えば、そのマイクロ波特性物質の近傍に存在する油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができうる。
【0008】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波特性物質は、流動するものであってもよい。
このような構成により、マイクロ波特性物質が油状物質生産性微生物の近傍を流動することによって、例えば、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができうる。
【0009】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波特性物質は、マイクロ波の電界を集める形状のものであってもよい。
このような構成により、マイクロ波の電界がマイクロ波特性物質に集中することになり、例えば、その近傍に存在する油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができうる。
【0010】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波特性物質は、固定されたものであってもよい。
このような構成により、例えば、その固定されているマイクロ波特性物質の近傍を流動する油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができうる。
【0011】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波特性物質は、誘電体、導電体、磁性体の少なくともいずれかであってもよい。
【0012】
また、本発明による油状物質の製造方法では、マイクロ波照射工程の後に、油状物質生産性微生物によって生産された油状物質を回収する回収工程をさらに含んでもよい。
このような構成により、その回収工程によって、例えば、油状物質生産性微生物の内部に存在する油状物質を回収することができる。
【0013】
また、本発明による油状物質の製造方法では、油状物質生産性微生物は、油状物質生産性微細藻類であってもよい。
【0014】
また、本発明による油状物質の製造装置は、油状物質生産性微生物が入れられるリアクターと、リアクター内の油状物質生産性微生物に対してマイクロ波を照射するマイクロ波発生器と、を備えたものである。
このような構成により、マイクロ波を照射することによって、例えば、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができ、その結果、油状物質生産性微生物の内部に存在する油状物質を回収することができるようになる。
【0015】
また、本発明による油状物質の製造装置では、リアクターに、マイクロ波吸収性またはマイクロ波感受性を有する物質であるマイクロ波特性物質が存在してもよい。
このような構成により、マイクロ波特性物質にマイクロ波の電界、磁界が集中することになり、その結果、例えば、そのマイクロ波特性物質の近傍に存在する油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を破壊することができうる。
【0016】
また、本発明による油状物質の製造装置では、リアクターは、少なくともその一部に、マイクロ波発生器が発生したマイクロ波が集中して照射される形状を有してもよい。
このような構成により、そのリアクターのマイクロ波が集中して照射される位置において、油状物質生産性微生物に効果的にマイクロ波が照射されることになり、例えば、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部をより効果的に破壊することができうる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による油状物質の製造方法及び製造装置によれば、油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射することによって油状物質生産性微生物が生産した油状物質を回収できる状況にすることができ、簡易な方法によって、油状物質生産性微生物を用いた油状物質の製造を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による油状物質の製造方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による油状物質の製造装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による油状物質の製造装置は、油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射するものである。
【0021】
図1は、本実施の形態による油状物質の製造装置1の構成を示す図である。本実施の形態による油状物質の製造装置1は、リアクター11と、マイクロ波発生器12と、導波管13と、マイクロ波制御部14と、マイクロ波特性物質分離部15と、回収槽17とを備える。
【0022】
リアクター11には、油状物質生産性微生物と、マイクロ波特性物質とが入れられる。その油状物質生産性微生物は、培養することにより油状物質を生産する微生物であれば、その種類を問わない。その油状物質生産性微生物は、例えば、光合成により油状物質を生産するものであってもよい。油状物質生産性微生物は、油状物質を生成し、その生成した油状物質を細胞内に蓄積する。なお、油状物質生産性微生物は、生成した油状物質を細胞外にも蓄積してもよい。油状物質は、例えば、炭化水素であってもよく、脂質であってもよい。脂質は、例えば、中性脂質であってもよく、脂肪酸であってもよい。この油状物質は、そのまま、あるいは、所定の処理を行うことによって燃料となるものである。その燃料は、例えば、自動車等の内燃機関で用いられるものである。なお、リアクター11には、油状物質生産性微生物及びマイクロ波特性物質と共に、その他のものが入れられてもよい。例えば、油状物質生産性微生物及びマイクロ波特性物質と共に、水がリアクター11に入れられてもよい。その水は、純水または超純水であってもよい。
【0023】
油状物質生産性微生物は、例えば、油状物質生産性微細藻類であってもよい。油状物質生産性微細藻類は、油状物質を生産する微細藻類であれば特に限定されない。油状物質生産性微細藻類は、例えば、ボトリオコッカス ブラウニー(Botryococcus braunii)であってもよく、シュードコリシスチス エリプソイディア(Pseudochoricystis ellipsoidea)であってもよく、緑藻であるイカダモ(例えば、Scenedesmus rubescens)であってもよく、ユーグレナであってもよく、珪藻であるナビキュラ(例えば、Navicula sp.)であってもよい。ボトリオコッカス ブラウニーは、例えば、炭素数が25以上、31以下の範囲内の奇数である直鎖状のアルカジエン及びアルカトリエンや、炭素数が30以上、37以下であるメチル化されたトリテルペン(polymethylated triterpenes:C
nH
2n−10)を生産する。シュードコリシスチス エリプソイディアは、例えば、炭素数が10〜25の飽和または不飽和脂肪族炭化水素を生産する。また、イカダモは、グリセリンエステル等を生産する。それらの微細藻類については、例えば、前述の特許文献1や、特開2010−111865号公報、WO2006/109588等を参照されたい。
【0024】
リアクター11に入れられる油状物質生産性微生物は、含水状態のものであってもよく、そうでなくてもよい。前者の場合には、油状物質生産性微生物は、例えば、培養された油状物質生産性微生物から、濾過等の脱水処理によって水分の一部を除去することにより、含水率が低減された濃縮物(例えば、水性スラリー)であってもよい。また、含水状態ではない油状物質生産性微生物は、例えば、培養された油状物質生産性微生物を乾燥させたもの、フリーズドライを行ったものであってもよい。本実施の形態では、含水状態の油状物質生産性微生物に対してマイクロ波を照射する場合について説明する。
【0025】
また、マイクロ波特性物質は、マイクロ波吸収性またはマイクロ波感受性を有する物質である。そのマイクロ波特性物質は、リアクター11内部において、流動するものである。したがって、リアクター11の内部においては、マイクロ波特性物質の存在下においてマイクロ波が照射されることになる。なお、そのマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性については、照射されるマイクロ波の周波数やリアクター11の内部の温度等に依存することになる。すなわち、使用するマイクロ波の周波数、及びリアクター11の内部の温度において、例えば、誘電損失係数の高いものがマイクロ波吸収性の高いものとなる。したがって、例えば、そのようなマイクロ波吸収性の高い物質をマイクロ波特性物質として用いるようにしてもよい。マイクロ波特性物質は、例えば、誘電体、導電体、磁性体の少なくともいずれかであってもよい。また、マイクロ波特性物質は、例えば、有機物であってもよく、フラーレンを除くカーボン類(例えば、グラファイト、カーボンナノチューブ、または活性炭など)であってもよく、金属(例えば、鉄、ニッケル、またはコバルトなど)であってもよく、金属酸化物(例えば、フェライトなど)であってもよく、または、それらの任意の2以上のもののコンポジット等であってもよい。また、マイクロ波特性物質は、マイクロ波の電界を集める形状のものであってもよい。マイクロ波の電界を集める形状のものとは、例えば、表面に複数の尖端を有する粒状のもの(例えば、表面に外向きのとげ状のものを複数有する球状体等)であってもよく、表面に凹凸を有するものであってもよい。マイクロ波特性物質が表面に複数の尖端を有する粒状のものである場合には、例えば、避雷針のように、その尖端にマイクロ波の電界が集中することになる。リアクター11に、油状物質生産性微生物と共に流動するマイクロ波特性物質が存在することによって、例えば、油状物質生産性微生物の間に存在するマイクロ波特性物質に電界が集中することになり、そのマイクロ波特性物質の近傍では、マイクロ波の強度が強くなることになる。したがって、そのマイクロ波特性物質の近傍では、油状物質生産性微生物に効果的にマイクロ波が照射されることになり、その結果、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部が破壊されやすいことになり、油状物質生産性微生物の細胞内の油状物質を回収することができるようになる。なお、そのマイクロ波特性物質は、リアクター11内において、例えば、超高分散で存在するようにしてもよい。
【0026】
また、リアクター11は、例えば、バッチ式のものであってもよく、あるいは、流通式(フロー式)のものであってもよい。前者の場合には、リアクター11に規定量の油状物質生産性微生物等が投入され、マイクロ波が照射された後に、リアクター11内の油状物質生産性微生物等が一括して後段に渡される。一方、後者の場合には、リアクター11への油状物質生産性微生物等の投入と、マイクロ波の照射と、リアクター11からの油状物質生産性微生物等の排出とが連続して少しずつ行われることになる。また、リアクター11が流通式である場合に、横型の流通式であってもよく、あるいは、縦型の流通式であってもよい。本実施の形態では、リアクター11が横型の流通式である場合について主に説明する。リアクター11が横型の流通式である場合には、例えば、1日に10トン以上などのように、大量の処理を行うことができうる。なお、リアクター11の内壁は、マイクロ波を反射する物質で構成されていることが好適である。マイクロ波を反射する物質としては、例えば、金属がある。このリアクター11の内部の構成については後述する。
【0027】
マイクロ波発生器12は、マイクロ波を発生し、リアクター11内の油状物質生産性微生物に対してマイクロ波を照射する。本実施の形態による油状物質の製造装置1は、1個のマイクロ波発生器12を備えていてもよく、あるいは、2個以上のマイクロ波発生器12を備えていてもよい。そのマイクロ波の周波数は限定されるものではないが、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、913MHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。
【0028】
導波管13は、マイクロ波発生器12の発生したマイクロ波を、リアクター11に伝送する。導波管13は、通常、
図1で示されるように、マイクロ波発生器12の個数と同じ個数だけ存在することになる。一方、分岐を有する導波管13によって、マイクロ波発生器12で発生したマイクロ波をリアクター11の複数の箇所に伝送してもよい。なお、導波管13は、マイクロ波発生器12が発生するマイクロ波の周波数に応じた規格のものを使用することが好適である。
【0029】
マイクロ波制御部14は、後述する温度測定部24が測定した温度に応じて、リアクター11に照射するマイクロ波の出力を制御する。このマイクロ波制御部14による制御によって、リアクター11の内部を所望の温度または所望の温度幅に維持することが可能となる。
【0030】
マイクロ波特性物質分離部15では、リアクター11においてマイクロ波の照射された油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質との混合物から、マイクロ波特性物質を分離する。マイクロ波特性物質分離部15において、例えば、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質との大きさの違いを用いてマイクロ波特性物質を分離してもよい。この場合には、例えば、フィルタを用いてマイクロ波特性物質を分離してもよい。また、マイクロ波特性物質分離部15において、例えば、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質との比重の違いを用いてマイクロ波特性物質を分離してもよい。この場合には、例えば、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質との一方を沈澱させることによって、マイクロ波特性物質を分離してもよい。また、マイクロ波特性物質が磁性体を含むものである場合には、磁石(永久磁石でもよく、電磁石でもよい)によってマイクロ波特性物質を吸着することによって、マイクロ波特性物質を分離してもよい。なお、分離されたマイクロ波特性物質は、適宜、再利用することができうる。
【0031】
回収槽17には、マイクロ波の照射の後に、マイクロ波特性物質分離部15においてマイクロ波特性物質の分離されたものが入れられる。そして、回収槽17では、油状物質生産性微生物によって生産された油状物質の回収が行われる。この回収は、例えば、油状物質とその他の物質との比重の違いを用いることにより、分液漏斗と同様の方法によって行うことができる。油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射することによって、通常、油相と、水相と、バイオマス相(沈降相)とに分離する。通常、油相の比重が最も小さいため、回収槽17の上の層を回収することにより、その油相のみを回収することができ、油状物質生産性微生物が生産した油状物質を回収できることになる。なお、この油状物質の回収の際に、その油状物質が溶解する溶媒を用いて、その回収を行ってもよい。油状物質の回収方法は、すでに公知であり、その詳細な方法を省略する。
【0032】
なお、リアクター11の後段に、リアクター11での反応後の物質を冷却する図示しない冷却器を備えてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。前者の場合には、例えば、その冷却器は、リアクター11での反応後の物質を水冷するものであってもよい。
【0033】
図2は、本実施の形態によるリアクター11の内部構造の一例を示す図である。
図2において、リアクター11の内部では、上方に未充填空間21が存在する。その未充填空間21に対して、導波管13を介して、マイクロ波発生器12で発生されたマイクロ波が照射されることになる。なお、リアクター11が縦型の流通式である場合には、通常、未充填空間が存在しない。したがって、その場合には、油状物質生産性微生物等の充填されているところにマイクロ波が照射されてもよい。
【0034】
また、
図2で示されるように、リアクター11は、撹拌手段23をも有している。すなわち、本実施の形態による油状物質の製造装置1は、リアクター11内の内容物を撹拌する1以上の撹拌手段23をも有してもよい。
図2では、撹拌手段23が羽根状のものである場合について示しているが、これは撹拌手段23を模式的に示したものであり、撹拌手段23は、例えば、回転撹拌を行うものであってもよく、バブリング撹拌を行うものであってもよく、超音波撹拌を行うものであってもよく、あるいは、それらの任意の2以上のものを組合せた撹拌を行うものであってもよい。すなわち、撹拌手段23は、例えば、回転撹拌、バブリング撹拌、超音波撹拌のうち、いずれか1以上の方法で撹拌を行ってもよい。撹拌手段23が回転撹拌を行う場合には、その撹拌は、例えば、羽根状の部材、翼状の部材、あるいは、棒状の部材等が回転されることによって行われてもよい。その回転は、例えば、シャフトに装着された羽根状の部材等がシャフトの回転に応じて回転されることによって行われてもよく、あるいは、マグネティックスターラーのように、磁性を用いて回転されてもよい。磁性を用いる後者の場合には、棒状や羽根状、翼状等の磁性撹拌子が、磁石によって回転されることになる。また、リアクター11が流通式の場合であって、回転撹拌が羽根状の部材や翼状の部材を用いて行われる場合には、それらの部材の回転が、上流から下流の方向、あるいは、逆の方向にリアクター11の内容物を流すため用いられてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。また、撹拌手段23がバブリング撹拌を行う場合には、その撹拌は、例えば、気体をリアクター11内の内容物に吹き込むことによって行われてもよい。その吹き込まれる気体は、例えば、ヘリウムやアルゴンなどの不活性気体、窒素、あるいは、空気等であってもよい。また、撹拌手段23が超音波撹拌を行う場合には、その撹拌は、例えば、リアクター11の底面や側面において超音波を発生させ、その発生された超音波をリアクター11の内容物に照射することによって行われてもよい。なお、回転撹拌、バブリング撹拌、超音波撹拌については、すでに公知であり、それらの詳細な説明を省略する。また、撹拌手段23は、それら以外の撹拌方法によって撹拌を行ってもよい。例えば、撹拌手段23は、リアクター11自体を振動させる揺動撹拌等を行ってもよい。
【0035】
ここで、撹拌手段23がリアクター11の内容物を撹拌する理由について簡単に説明する。撹拌手段23が内容物を撹拌する第1の理由は、内容物にマイクロ波が均一に照射されるようにするためである。内容物の種類にも依存するが、マイクロ波が浸透する深さは決まっているため、内容物の全体に均一にマイクロ波が照射されるように撹拌することになる。また、未充填空間21における内容物の表面積が大きくなると、マイクロ波をより効率よく内容物に照射することができるようになる。したがって、内容物を撹拌する第2の理由は、マイクロ波の照射面積をより広くするためである。そのため、撹拌手段23による内容物の撹拌は、未充填空間21における内容物の表面に波が起こる程度の激しさであることが好適であるが、そうでなくてもよい(第1の理由に応じた撹拌が行われるのであれば、結果として内容物の全体に対してマイクロ波が照射され、それで十分である場合もあるからである)。また、このように、撹拌手段23を用いて内容物の撹拌を行うため、内容物に密度の異なる2以上の物質が含まれている場合であっても、両者を適切に混合して反応させることができるようになる。
【0036】
また、
図2で示されるように、リアクター11は、温度測定部24をも有している。すなわち、本実施の形態による油状物質の製造装置1は、リアクター11の内部の温度を測定する温度測定部24を備えていてもよい。リアクター11の内部の温度は、リアクター11の内容物の温度であることが好適である。
図2では、温度測定部24を模式的に示しているが、温度測定部24は、例えば、熱電対によって温度を測定してもよく、赤外線センサによって温度を測定してもよく、光ファイバーによって温度を測定してもよく、その他の方法によって温度を測定してもよい。温度測定部24が測定した温度(厳密に言えば、温度を示すデータである)は、マイクロ波制御部14に渡され、マイクロ波発生器12によるマイクロ波の出力の制御のために用いられる。その制御は、前述のように、内容物の温度を所望の温度または所望の温度幅に維持するための制御であってもよい。
【0037】
本実施の形態のリアクター11において、内容物22の液面の高さは、例えば、リアクター11の内側の高さの最大値の1/2から5/6程度の高さであってもよい。すなわち、未充填空間21の高さは、例えば、リアクター11の内側の高さの最大値の1/6から1/2程度の高さであってもよい。また、本実施の形態では、リアクター11の内部に未充填空間21が存在する場合について説明したが、リアクター11の内部に未充填空間21が存在しなくてもよい。すなわち、リアクター11の内部には、未充填空間21が存在しない状態となるように、内容物22が上まで投入されていてもよい。その場合には、マイクロ波を未充填空間に照射できないため、マイクロ波を油状物質生産性微生物等の充填されているところ照射することになる。
【0038】
また、リアクター11の形状は問わない。例えば、リアクター11は、
図2の左右方向が長さ方向となる円筒状のものであってもよく、鉛直方向が長さ方向となる円筒状のものであってもよく、直方体の形状であってもよく、あるいは、その他の形状であってもよい。本実施の形態では、リアクター11が円筒状である場合について説明する。
【0039】
また、リアクター11が流通式である場合には、リアクター11の内部は、仕切り板によって複数の室に区切られていてもよい。すなわち、リアクター11は、直列に連続した複数の室を有してもよい。その場合には、各室にマイクロ波が照射されることが好適である。また、その場合には、リアクター11の内容物は、上流から下流に移動する際に、各室を通過することになる。また、各室に撹拌手段23が存在してもよく、そうでなくてもよい。また、各室に温度測定部24が存在してもよく、そうでなくてもよい。仕切り板は、マイクロ波透過性のものであってもよく、あるいは、マイクロ波を反射するものであってもよい。マイクロ波を透過する材料としては、例えば、テフロン(登録商標)や、石英ガラス、セラミック、窒化珪素アルミナ等がある。したがって、マイクロ波透過性の仕切り板は、そのようなマイクロ波を透過する材料で構成されたものであってもよい。また、マイクロ波を反射する材料としては、例えば、金属がある。したがって、マイクロ波を透過しない仕切り板は、そのようなマイクロ波を反射する材料で構成されたものであってもよい。また、リアクター11の壁面は、断熱材で覆われていてもよい。そのようにすることで、リアクター11の内部の熱が外部に放出されることを防止することができる。
【0040】
また、リアクター11が1以上の仕切り板を有する場合に、その仕切り板には、内容物が流通する流路が存在するものとする。その流路は、内容物が主にリアクター11の上流側から、下流側に向かって流れていく流路であるが、一部は下流側から上流側に流れてもよい。その仕切り板の流路は、例えば、仕切り板の上方において内容物がオーバーフローする流路であってもよく、あるいは、仕切り板の隙間において内容物が流れる流路であってもよい。仕切り板の隙間は、例えば、仕切り板とリアクター11の内壁との間に存在してもよく、仕切り板自体に存在してもよい。その隙間の大きさは、内容物が流通可能である以上の大きさであることが好適である。なお、その隙間の形状や個数は問わない。
【0041】
次に、本実施の形態による油状物質の製造方法について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)濃縮工程において、培養された油状物質生産性微生物を濃縮する。この濃縮は、前述のように、濾過等の脱水処理によって行うことができる。なお、
図1の油状物質の製造装置1においては、この脱水処理を行う構成要素については記載していない。すなわち、
図1で示される油状物質の製造装置1とは別の装置において、この脱水処理が行われるものとする。なお、脱水処理を行わない場合には、このステップS101を省略してもよい。
【0042】
(ステップS102)マイクロ波照射工程において、濃縮後の油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射する。なお、この照射は、リアクター11において行われる。また、マイクロ波特性物質の存在下でマイクロ波の照射が行われてもよいことは、前述の通りである。また、このマイクロ波照射工程において、マイクロ波制御部14は、リアクター11の内容物の温度が所定の温度を超えないように制御を行ってもよい。なお、このマイクロ波の照射は、通常、常圧下において行われる。すなわち、大気圧において加圧することなく行われる。このマイクロ波照射工程において、油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射することにより、例えば、細胞内の水分を急速加熱し、気化させ、その結果、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を間接的に破壊することができうる。また、マイクロ波を照射することにより、例えば、油状物質生産性微生物の細胞壁の少なくとも一部を直接破壊することができうる。また、油状物質生産性微生物が、生成した油状物質を細胞外にも蓄積する場合には、マイクロ波を照射することにより、例えば、その細胞外に蓄積された油状物質を包む膜を直接的または間接的に破壊することができうる。
【0043】
(ステップS103)回収工程において、油状物質生産性微生物によって生産された油状物質を回収する。具体的には、まず、マイクロ波特性物質分離部15において、マイクロ波の照射後の油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質との混合物から、マイクロ波特性物質を分離する。そのマイクロ波特性物質の分離後の油状物質生産性微生物は、ポンプ16によって回収槽17に入れられ、回収槽17によって油状物質が回収される。その油状物質の回収は、例えば、マイクロ波照射後のものから油相を抽出することによって行ってもよい。その際に、油状物質を溶媒と混合して抽出し、その抽出の後に溶媒を除去することにより、油状物質生産性微生物が生産した油状物質を得てもよい。
なお、リアクター11におけるマイクロ波照射工程や、回収槽17における回収工程は、バッチ式の処理であってもよく、流通式の処理であってもよい。
【0044】
[実験例]
次に、本実施の形態による油状物質の製造装置1を用いて微細藻類から油状物質を製造する処理について、実験例を用いて説明する。なお、本発明がその実験例に限定されないことは言うまでもない。
【0045】
この実験例では、マイクロ波特性物質の存在下で、微細藻類に対するマイクロ波の照射を行った。そのマイクロ波特性物質としては、粒状のカーボンを用いた。また、この実験例では、撹拌手段23による撹拌を行った。その撹拌手段23としては、マグネティックスターラーを用いた。微細藻類としては、イカダモ(Scenedesmus sp.)を用いた。濃縮後のイカダモを超純水で質量比10倍に希釈した。そして、それに対して、マイクロ波の照射を行った。また、比較例として、同様に質量比10倍に希釈したイカダモに対する超音波の照射と、同様のイカダモのオイルバスとを行った。
【0046】
マイクロ波の照射では、微細藻類の温度が80℃となるように制御した。また、オイルバスにおいても、温度が80℃になるように制御した。なお、超音波の照射は、室温にて行った。また、マイクロ波の照射時間、超音波の照射時間、オイルバスの時間は、それぞれ10分である。なお、マイクロ波の照射時間、オイルバスの時間は、それぞれ、昇温後の時間である。マイクロ波の照射の際には、室温から80℃まで10℃/分の割合で昇温した。
【0047】
その後、油状物質の量を測定した。マイクロ波の照射では、イカダモ10gあたり、約1mlの油状物質が得られた。また、オイルバスでも、若干の油状物質が得られたが、その量は少なく、イカダモ10gあたり0.5ml以下であった。また、超音波の照射では、油状物質は検出されなかった。
【0048】
この実験例から、油状物質生産性微生物である微細藻類にマイクロ波を照射することによって、その微細藻類が生産した油状物質を効率よく回収できることが分かる。マイクロ波を照射することによって、微細藻類の細胞内部の水分を直接加熱することができ、微細藻類の細胞膜の少なくとも一部を破壊できるからではないかと考えられる。なお、この実験例では、マイクロ波特性物質として粒状のカーボンを用いたが、それに代えて、カーボンコンポジットを用いてもよい。
【0049】
以上のように、本実施の形態による油状物質の製造方法及び製造装置1によれば、油状物質生産性微生物にマイクロ波を照射することによって、その油状物質生産性微生物が生産した油状物質を回収することができる。その際に、マイクロ波を照射するだけでよいため、例えば、従来例のように高温高圧に維持する必要がなく、簡易な方法で効率よく油状物質の製造を実現することができる。また、マイクロ波の照射によって油状物質生産性微生物が生産した油状物質を回収することにより、従来例と比較して、同量の油状物質を回収する際に必要なエネルギーが低減されると考えられる。
【0050】
なお、本実施の形態において、リアクター11は、少なくともその一部に、マイクロ波発生器12が発生したマイクロ波が集中して照射される形状を有していてもよい。例えば、
図4で示されるように、リアクター11は、その一部が浅く(薄く)なっており、その位置において、マイクロ波が照射されてもよい。このようにすることで、この位置における油状物質生産性微生物に対して、効果的にマイクロ波を照射できることになる。前述のように、マイクロ波の浸透する深さは決まっているが、リアクター11の一部をその浸透深さ程度の高さ(または、幅や奥行き)にすることによって、その位置に存在する油状物質生産性微生物に対しては、マイクロ波が集中して照射されることになる。
【0051】
また、本実施の形態において、リアクター11の前段に、油状物質生産性微生物と、流動するマイクロ波特性物質とを混合させる混合部が存在してもよい。その場合には、その混合部による混合後の油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質とがリアクター11に投入されることになる。
【0052】
また、本実施の形態では、マイクロ波特性物質が流動するものである場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、マイクロ波特性物質は、固定されたものであってもよい。その場合には、マイクロ波特性物質は、例えば、リアクター11に直接固定されてもよく、あるいは、リアクター11に他のものを介して固定されてもよい。そのマイクロ波特性物質は、例えば、リアクター11の内壁に貼着されたものであってもよく、あるいは、リアクター11の内部において充填層やカラム等に充填されることによって固定されたものであってもよい。そのマイクロ波特性物質の形状は、例えば、無定型の粒状、円柱状(中空であってもよく、そうでなくてもよい)、球状、ペレット状、リング状、シェル状、ハニカム状、発泡体状、繊維状、布状、板状、あるいは、その他の形状であってもよい。なお、リアクター11が、少なくともその一部に、マイクロ波発生器12によって発生されたマイクロ波が集中して照射される形状を有している場合には、例えば、その固定されたマイクロ波特性物質が、そのマイクロ波が集中して照射される形状の位置に存在してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、マイクロ波照射工程において、マイクロ波特性物質の存在下においてマイクロ波を照射する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、前述の実験例のように、マイクロ波照射工程において、マイクロ波特性物質の存在しない環境下で、マイクロ波を照射してもよい。その場合には、リアクター11にマイクロ波特性物質が投入されなくてもよく、また、リアクター11にマイクロ波特性物質が存在しなくてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、マイクロ波照射工程において、マイクロ波照射工程より前において、マイクロ波照射工程より後において、または、それらの任意の2以上の組み合わせにおいて、破砕手段を用いた油状物質生産性微生物の破砕処理を行ってもよい。その破砕手段は、油状物質生産性微生物を破砕できるものであればどのようなものであってもよい。その破砕手段は、例えば、超音波ホモジナイザであってもよく、回転刃式ホモジナイザであってもよく、高圧ホモジナイザであってもよく、ビーズ式ホモジナイザであってもよく、または、その他の破砕手段であってもよい。その破砕手段によって油状物質生産性微生物を破砕することによって、油状物質を効率よく回収することができうる。なお、この破砕手段によって、マイクロ波特性物質を破砕しないことが好適である。そのため、例えば、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質とを混合する前に、油状物質生産性微生物に対して破砕処理を行ってもよく、マイクロ波特性物質分離部15によってマイクロ波特性物質が分離された後に破砕処理を行ってもよく、あるいは、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質とが混合した状態において、マイクロ波特性物質を破砕しないように破砕処理を行ってもよい。マイクロ波特性物質を破砕しないように破砕処理を行うため、油状物質生産性微生物とマイクロ波特性物質とを分離し、その分離された油状物質生産性微生物に対して破砕処理を行ってもよい。その分離のため、例えば、マイクロ波特性物質は通過できないが、油状物質生産性微生物は通過できる孔を多数有するパンチングボードやネットなどを用いてもよい。
【0055】
また、本実施の形態におけるマイクロ波照射工程において、2以上の周波数のマイクロ波を照射してもよい。その場合において、2以上の周波数のマイクロ波を同じ位置において照射してもよく、2以上の周波数のマイクロ波をそれぞれ異なる位置において照射してもよい。例えば、
図5Aで示されるように、リアクター11の同じ位置において、すなわちリアクター11の中流域において、マイクロ波発生器12a、12dがそれぞれ発生した周波数X,Yのマイクロ波を照射してもよい。なお、周波数X,Yのマイクロ波はそれぞれ、導波管13a,13dを介してリアクター11に伝送される。また、例えば、
図5Bで示されるように、リアクター11の上流側から中流域において、マイクロ波発生器12a、12b、12cが発生した周波数Xのマイクロ波を照射し、リアクター11の下流側において、マイクロ波発生器12dが発生した周波数Yのマイクロ波を照射してもよい。なお、周波数Xのマイクロ波はそれぞれ、導波管13a,13b,13cを介してリアクター11に伝送される。また、周波数Yのマイクロ波は、導波管13dを介してリアクター11に伝送される。ここで、
図5A、
図5Bは、それぞれリアクター11を上方から見た図であり、図中の矢印は、リアクター11内における反応物の流れを示すものである。なお、2以上の周波数のマイクロ波が照射される場合に、その周波数の個数は、2個であってもよく、あるいは、3個以上であってもよい。その2以上の周波数は、300MHzから300GHzの範囲から選択される2以上の周波数であればどのような組み合わせであってもよい。例えば、2個の周波数のマイクロ波が照射される場合に、その周波数の組み合わせは、2.45GHzと5.8GHzであってもよく、2.45GHzと24GHzであってもよく、2.45GHzと913MHzであってもよく、5.8GHzと24GHzであってもよく、5.8GHzと913MHzであってもよく、24GHzと913MHzであってもよい。また、2以上の周波数のマイクロ波を照射する場合に、それらを照射するタイミングは問わない。例えば、2以上の周波数のマイクロ波を同時に照射してもよく、あるいは、周波数ごとに照射する期間が異なるようにマイクロ波を照射してもよい。例えば、後者の場合には、ある期間には周波数Xのマイクロ波が照射され、次の期間には周波数Yのマイクロ波が照射されてもよい。なお、2以上の周波数のマイクロ波を照射した場合には、1個の周波数のマイクロ波の照射ではマイクロ波の作用(例えば、加熱等)の対象とならなかった物質に対してもマイクロ波を作用させることができ、より幅の広い物質に対してマイクロ波を作用させることができるようになる。
【0056】
また、本実施の形態におけるマイクロ波照射工程において、油状物質生産性微生物と有機溶媒との混合物に対してマイクロ波を照射してもよい。その有機溶媒は、回収対象である油状物質と親和性の高いものであることが好適である。その有機溶媒は、例えば、ヘキサンであってもよく、クロロホルム・メタノール混合液であってもよい。また、油状物質生産性微生物と有機溶媒との混合物に対してマイクロ波を照射してもよく、あるいは、油状物質生産性微生物と有機溶媒と水との混合物に対してマイクロ波を照射してもよい。油状物質生産性微生物と有機溶媒との混合物に対してマイクロ波を照射する場合には、例えば、乾燥させた油状物質生産性微生物と有機溶媒とが混合されてリアクター11に入れられてもよい。なお、油状物質生産性微生物と有機溶媒との混合物に対してマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程において、マイクロ波特性物質の存在下でマイクロ波を照射してもよいことは前述の通りである。また、マイクロ波照射工程において、油状物質生産性微生物と有機溶媒との混合物に対してマイクロ波を照射する場合には、リアクター11の前段に油状物質生産性微生物と有機溶媒とを混合する手段が存在してもよい。また、有機溶媒を用いた場合には、回収工程において、その有機溶媒を除去する処理を行うことが好適である。その処理は、例えば、蒸留であってもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、油状物質の製造装置1が温度測定部24とマイクロ波制御部14とを備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、温度制御を行わない場合や、マイクロ波の出力をあらかじめ決められた値にすることによって、リアクター11の内部の温度を所望の温度や温度幅に維持することができる場合には、温度を用いたマイクロ波の出力の制御を行わなくてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、リアクター11の後段にマイクロ波特性物質分離部15を備えた場合について説明したが、そうでなくてもよい。他の装置によってマイクロ波特性物質を分離する場合や、固定されたマイクロ波特性物質を用いる場合、マイクロ波特性物質を用いない場合などのように、本実施の形態による油状物質の製造装置1においてマイクロ波特性物質の分離を行わなくてもよい場合には、マイクロ波特性物質分離部15を備えていなくてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、リアクター11内の内容物を撹拌する撹拌手段23を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、リアクター11がマイクロ波を内容物の全体に容易に照射することができるような構成である場合(例えば、リアクター11の内径が小さい場合等)には、撹拌手段23がなくてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、油状物質の製造装置1が回収槽17を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、油状物質生産性微生物が生産した油状物質について、他の装置において回収等が行われてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態において、油状物質の製造方法は、油状物質の製造装置1を用いて実現されてもよく、他の装置を用いて実現されてもよい。また、上記実施の形態による油状物質の製造方法は、油状物質生産性微生物が生産した油状物質を回収することによって油状物質を製造する方法の少なくとも一部の処理を含むものであってもよい。すなわち、油状物質の製造方法は、例えば、マイクロ波照射工程のみを含むものであってもよく、マイクロ波照射工程と回収工程とを含むものであってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0066】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。