(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から自動車には、リレーやヒューズなどの各種電気部品を搭載した電気接続箱が実装されている。この電気接続箱の内部に収容される電気部品接続ユニットは、電気部品を搭載する電気部品搭載ブロックと、電気部品搭載ブロックの挿着を許容するとともに、電気接続箱のロアカバーに収容される挿着許容フレームとで構成している。
【0003】
車両の走行により電気接続箱が振動するに伴って、挿着許容フレームに挿着した電気部品搭載ブロックが、挿着許容フレームに対して振動し、これにより、電気部品搭載ブロックが挿着許容フレームに対して磨耗するなどして不測に外れ、確実な電気的な接続状態を得ることができないという問題が生じるおそれがあった。
【0004】
このため、このような振動が生じても電気部品搭載ブロックが、挿着許容フレームに対してがたつくことなく一体性を確保するための様々な対策が施されている。
【0005】
特許文献1に開示の「カセットリレー組み付け構造」もこのような対策を施した、電気部品搭載ブロックとしてのリレーブロックと、挿着許容フレームとしてのカセットフレームとの組み付け構造の1つである。
【0006】
特許文献1に係る「カセットリレー組み付け構造」は、カセットフレームの内壁面には、カセットフレームのカセットリレーブロックに対する挿入方向に沿ってカセットリレーブロックに向けて突出するリブ(23,24)を形成している。一方、カセットリレーブロックの外壁面には、前記挿入方向に沿ってカセットフレームに向けて突出するリブ(11,12)を形成している。
【0007】
特許文献1に係る「カセットリレー組み付け構造」は、カセットリレーブロックをカセットフレームに挿着した状態において、カセットフレームから突出するリブ(23,24)とカセットリレーブロックから突出するリブ(11,12)との片面同士を互いに接触させ、カセットフレームに対するカセットリレーブロックの位置ずれや傾きがなく挿着することができるものである。
【0008】
詳しくは、カセットリレーブロックとカセットフレームのそれぞれには、互いの対向面において、所定間隔を隔てた一方側の箇所において、カセットリレーブロックから突出するリブ(11)と、カセットフレームから突出するリブ(23)とを互いに接触させるとともに、所定間隔を隔てた他方側の箇所において、カセットリレーブロックから突出するリブ(12)と、カセットフレームから突出するリブ(24)とを互いに接触させている。
これにより、カセットリレーブロックは、互いの対向面ごとに合計2箇所においてカセットフレームに対して位置決めしている。
【0009】
ところで、カセットリレーブロックや、カセットフレームに形成するリブは、本来、形成すべき所望の位置と完全に一致した位置に形成されずに、所望の位置に対して位置ズレした箇所に形成されるという加工誤差などの影響を受けることが余儀なくされることが多い。このようなリブの形成位置の誤差は、カセットリレーブロックのカセットフレームに対する位置決め精度に悪影響を及ぼすことになる。
【0010】
特に、特許文献1における「カセットリレー組み付け構造」のように、所定方向に対して直交する直交方向に突出するリブを、上述したように、所定間隔を隔てた2箇所以上に配置した構成である場合、このようにリブを2箇所に亘って別々に形成したことによる弊害として、2箇所のリブのそれぞれの誤差が前記所定方向において蓄積することになるため、リブ形成の誤差による悪影響をより顕著に受けることになる。
【0011】
そうすると、カセットリレーブロックをカセットフレームに対してしっかりと位置決めできず、ガタつき易くなるため、磨耗が生じ易くなり電気的に優れた接続状態を保つことが困難となるという課題が生じる。
【0012】
また、2箇所に形成したリブの形成誤差の影響によっては、カセットフレームに対してカセットリレーブロックを挿入する際に、引掛かるなどして、スムーズな挿入が困難になるという課題が生じることになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態における電気接続箱1は、車両に搭載され、オーディオやエアコンなどの端末装置に対して、車載バッテリ電源から電力を各端末装置へ遮断可能に供給する箱体であり、
図1乃至
図6に示すように、電気接続ユニット10と、該電気接続ユニット10を収容する電気接続箱カバー70とで構成し、いずれも合成樹脂材料を用いて成形している。
電気接続箱カバー70は、有底筒状のロアカバー71と、該ロアカバー71の開口部を閉塞するアッパーカバー81とで略直方体の箱形形状で構成している。
【0029】
なお、
図1は、電気接続箱1に搭載する電気部品100、及び、電気接続箱1を構成する部品ごとの分解斜視図を示している。
図2は、挿着許容フレーム11、及び、部品搭載ブロック41を斜め下方から視た斜視図であり、挿着許容フレーム11に対して部品搭載ブロック41を挿着する様子を示している。
図3(a)は部品搭載ブロック41を斜め上方から視た斜視図であり、
図3(b)は部品搭載ブロック41を斜め下方から視た斜視図を示している。
図4(a)は挿着許容フレーム11の斜視図を示し、
図4(b)は
図4(a)中の領域X部分の拡大図を示している。
図5は、挿着許容部12に対して部品搭載ブロック41を挿着した状態を示す平面図である。但し、
図5(b)は、部品搭載ブロック41に配設した電気部品100を接続する接続部分等、平面視内側に有する凹凸形状を省略して示している。
図6(a)は
図5(a)中のA−A線断面図を示し、
図6(b)は
図5(a)中のB−B線断面図を示している。
また、以下の説明において、電気接続箱1の平面視長手方向をY方向に設定するとともに、平面視短手方向をX方向に設定する。
【0030】
電気接続ユニット10は、電気部品100を接続する部品搭載ブロック41と、該部品搭載ブロック41の挿着を許容する挿着許容部12を配設した挿着許容フレーム11とで構成している。
【0031】
挿着許容フレーム11は、
図4(a)に示すように、複数の挿着許容部12をX方向、及び、Y方向に沿って格子状に配設し、それぞれの挿着許容部12は、部品搭載ブロック41の挿入方向に対する直交断面と略同じ四角形状の内側面15を有して厚み方向に連通している。
【0032】
換言すると、挿着許容フレーム11は、平面視略長方形状をした筒状のフレーム外壁部17と、格子状の空間に仕切るフレーム仕切り部19とで構成している。挿着許容フレーム11は、フレーム外壁部17、及びフレーム仕切り部19の一部により挿着許容部12を構成している。
【0033】
部品搭載ブロック41は、例えば、リレー101やヒューズ102(ヒューズ)といった電気部品100を搭載可能なブロックであり、
図2中の符号41A,41Bに示すように、電気部品100の種類や規格、或いは、搭載したときの配置パターンに応じて複数タイプを備えている。
部品搭載ブロック41は、
図2、
図3及び、
図5に示すように、挿着許容部12の内側面15(内壁面)と対面する外側面45(外壁面)を有した略四角柱状のブロックで構成している。
【0034】
挿着許容部12の内側面15は、
図5(b)に示すように、Y方向に沿って略平行に対向配置した一対のフレーム側Y方向内側面15Y,15Yと、X方向に沿って略平行に対向配置した一対のフレーム側X方向内側面15X,15Xとで構成している。
部品搭載ブロック41の外側面45は、
図3(a),(b)、及び、
図5(b)に示すように、Y方向に沿って略平行に対向配置した一対のブロック側Y方向外側面45Yと、X方向内に沿って略平行に対向配置した一対のブロック側X方向内外側面45Xとで構成している。
【0035】
部品搭載ブロック41を挿着許容部12に挿着した状態において、部品搭載ブロック41の外側面45と、挿着許容部12の内側面15とは対向した状態となり、平面視した状態において部品搭載ブロック41の外側面45と挿着許容部12の内側面15とが部品搭載ブロック41の周方向の略全体において互いに対向する側面対向部分91を構成する。
【0036】
詳しくは、側面対向部分は、ブロック側Y方向外側面45Yと、フレーム側Y方向内側面15Yとが対向する一対のY方向側面対向部分91Y,91Yと、ブロック側X方向外側面45Xと、フレーム側X方向内側面15Xとが対向する一対のX方向側面対向部分91X,91Xとで構成している。
【0037】
Y方向側面対向部分91Yは、
図5(b)に示すように、部品搭載ブロック41の平面視中心箇所P(重心箇所P)を隔てたX方向の一端側に配置するとともに、X方向の他端側に配置し、それぞれ互いに略平行にY方向に沿って配置している。
【0038】
X方向側面対向部分91Xは、
図5(b)に示すように、部品搭載ブロック41の平面視中心箇所Pを隔てたY方向の一端側に配置するとともに、Y方向の他端側に配置し、それぞれ互いに略平行にX方向に沿って配置している。
【0039】
また、
図6(a),(b)に示すように、部品搭載ブロック41を挿着許容フレーム11に対して挿入方向Z1と反対方向、すなわち、抜出方向Z2に係合する抜出方向係合手段106(106A,106B)として、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とを構成している(特に、
図6(a),(b)の一部拡大図参照)。
【0040】
フレーム側係合突部16は、挿着許容部12の内側面15の挿入方向Z1の略中間位置から部品搭載ブロック41側へ突出して形成している。
ブロック側係合突部46は、部品搭載ブロック41の外側面45からフレーム側係合突部16を係合可能に挿着許容部12の内側面15へ突出して形成している。
【0041】
フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とは、それぞれX方向において、互いにオーバーラップする突出長さ、換言すると、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に挿脱する際に、互いに干渉する突出長さで形成している。
【0042】
また、上述した抜出方向係合手段106は、
図5(b)に示すように、部品搭載ブロック41の平面視周方向において側面対向部91に、2箇所配置するとともに、それぞれを部品搭載ブロック41の平面視中心箇所Pを隔てて対角状に配置している。
ここで、2箇所に配置した抜出方向係合手段106のうち一方の抜出方向係合手段106を、第1抜出方向係合手段106Aに設定するとともに、他方の抜出方向係合手段106を、第2抜出方向係合手段106Bに設定する。
【0043】
詳しくは、第1抜出方向係合手段106Aは、互いに平行である一対のY方向側面対向部分91Y,91Yのうち一方のY方向側面対向部分91Yに配置するとともに、第2抜出方向係合手段106Bは、互いに平行である一対のY方向側面対向部分91Y,91Yのうち他方のY方向側面対向部分91Yに配置している。さらに、第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bは、それぞれ、X方向において真正面で対面させないで上述したように、部品搭載ブロック41の平面視中心箇所Pを隔てて対角状に配置している(
図5(b)参照)。
【0044】
また、
図4(b)、及び
図6(a),(b)に示すように、挿着許容部12の内側面15には、フレーム側係合突部16を弾性支持する弾性支持手段21を構成し、弾性支持手段21は、弾性変形(撓み変形)可能な弾性変形片22と、該弾性変形片22を両持ち構造で支持する支持部23とで構成している。
【0045】
弾性変形片22は、挿着許容部12の内側面15の一部として構成し、部品搭載ブロック41の挿着許容部12への挿入に伴って、部品搭載ブロック41の外側面45と挿着許容部12の内側面15との隙間において、ブロック側係合突部46とフレーム側係合突部16とがオーバーラップしない位置となるまで、X方向におけるブロック側係合突部46と反対側、すなわち、内側面15の内部へ弾性変形する可能な長尺状に形成している。
【0046】
支持部23は、
図4(b)に示すように、弾性変形片22を挿脱方向Z(上下方向の)両側から支持可能に、弾性変形片22を挿着許容部12の内側面15において一体に連結している。
挿着許容フレーム11における弾性変形片22に対して部品搭載ブロック41と反対側には、弾性変形片22の弾性変形を許容する弾性許容空間24を備えている。
【0047】
また、フレーム側係合突部16、ブロック側係合突部46は、挿脱方向Zの一方側に、該挿脱方向に対して直交する直交平面において略平行な係合面16a,46aを形成するとともに、挿脱方向Zの他方側に弾性変形片22を弾性許容空間24側へ案内する挿脱方向Zに対して傾斜した案内面16b,46bを構成している。
【0048】
また、
図5(a),(b)に示すように、部品搭載ブロック41を挿着許容部12へ挿着する挿着方向に対して直交する直交平面において、挿着許容部12に対して部品搭載ブロック41を位置決めするブロック位置決め手段105を、挿着許容フレーム11と部品搭載ブロック41とに構成している。
【0049】
上述したブロック位置決め手段105は、前記直交平面における挿着許容部12に対する部品搭載ブロック41の位置、姿勢を位置決め可能に、すなわち、X方向、Y方向、及び、部品搭載ブロック41の中心軸回りの回転方向において位置決め可能に側面対向部分91の周方向において2箇所に配置している。
【0050】
ここで、2箇所に配置したブロック位置決め手段105の一方を第1ブロック位置決め手段105Aに設定するとともに、他方を第2ブロック位置決め手段105Bに設定する。
【0051】
詳しくは、
図7に示すように、ブロック位置決め手段105は、側面対向部分91の周方向における、対角状に配置した各抜出方向係合手段106の係合を解除する回転方向R1へ部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して回転するに伴って、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して近接する近接側面対向部分91Nに配置している。
【0052】
なお、
図7は、ブロック位置決め手段105の構成説明図、及び作用説明図であり、詳しくは、
図7(a),(b)は、挿着許容部12に対して部品搭載ブロック41がR1方向に位置ズレした場合の係合状態の様子をそれぞれ平面図、縦断面図により示した構成説明図、及び作用説明図である。
【0053】
ここで、対角状に配置した各抜出方向係合手段106(106A,106B)の係合を解除する回転方向は、
図7(a)中の矢印R1方向を示し、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対してR1方向へ回転したとき、
図7(b)に示すように、フレーム側係合突部16に対してブロック側係合突部46が離間する方向、すなわち、フレーム側係合突部16に対するブロック側係合突部46の係合が解除する方向を示している。
【0054】
さらに、前記近接側面対向部分91Nとは、側面対向部分91の部品搭載ブロック41の平面視周方向における、
図7(a)中、仮想線で囲んだ部分であり、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対してR1方向へ回転するに伴って、部品搭載ブロック41の外側面45が挿着許容部12の内側面15に対して近接する側面対向部分を示す。
【0055】
ちなみに、側面対向部分91の部品搭載ブロック41の平面視周方向における、
図7(a)中、仮想線で囲んでいない部分は、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対してR1方向へ回転するに伴って、部品搭載ブロック41の外側面45が挿着許容部12の内側面15に対して離間する側面対向部分となる。
【0056】
より詳しくは、第1ブロック位置決め手段105Aは、
図5(a),(b)に示すように、一対のY方向側面対向部分91Y,91Yのうち、第1抜出方向係合手段106Aを配置した側の一方のY方向側面対向部分91Yであって、該一方のY方向側面対向部分91YのY方向の両端側における第1抜出方向係合手段106Aを配置した側と反対側の端部に配置している。
【0057】
第2ブロック位置決め手段105Bは、
図5(a),(b)に示すように、一対のX方向側面対向部分91X,91Xのうち、第2抜出方向係合手段106Bを配置した側の一方のX方向側面対向部分91Xであって、該一方のX方向側面対向部分91YのX方向の両端側における第2抜出方向係合手段106Bを配置した側の端部に配置している。
【0058】
また、ブロック位置決め手段105は、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11とのうち一方側から他方側へ突出した位置決め突出部13,43と、該位置決め突出部13を嵌合可能に前記他方側に配置した位置決め嵌合凹部44,14とで構成している。
【0059】
詳しくは、第1ブロック位置決め手段105Aは、部品搭載ブロック41から挿着許容フレーム11へ突出する位置決め突出部43と、該位置決め突出部43を嵌合可能に挿着許容フレーム11に配置した位置決め嵌合凹部14とで構成している。
【0060】
第2ブロック位置決め手段105Bは、挿着許容フレーム11から部品搭載ブロック41へ突出する位置決め突出部13と、該位置決め突出部13を嵌合可能に部品搭載ブロック41に配置した位置決め嵌合凹部44とで構成している。
【0061】
上述した構成の電気接続箱1が奏する作用、効果について、
図7乃至
図10を用いて説明する。
なお、
図8はブロック位置決め手段105の作用説明図であり、詳しくは、
図8(a),(b)は、それぞれ挿着許容部12に対して部品搭載ブロック41がR1と逆方向であるR2方向に位置ズレした場合の係合状態を示す平面図、縦断面図である。
図9は弾性支持手段21の作用説明図であり、
図9(a1)〜(a3)は、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に挿入する際における抜出方向係合手段106による係合の様子を縦断面図により説明する説明図である。
図9(b1),(b2)は、挿着許容フレーム11をロアカバー71に収容するに伴って弾性許容空間24に弾性規制突起部72を挿入する様子を縦断面図により説明する説明図である。
図10は従来のブロック位置決め手段、及び、抜出方向係合手段の説明図である。
【0062】
ブロック位置決め手段105は、上述したように、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11とのうち一方から他方へ突出した位置決め突出部13,43と、位置決め突出部13,43を嵌合可能に前記他方に配置した位置決め嵌合凹部44,14とで構成しているため、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11とのうち一方側から他方側へ突出した位置決め突出部13,43を、位置決め嵌合凹部44,14に嵌合することで位置決めすることができる。
【0063】
このような位置決め構造により、位置決め突出部13,43の突出方向に対して直交する直交方向における、位置決め突出部13,43や位置決め嵌合凹部14,44の形成箇所のクリアランスを抑制することができる。
従って、部品搭載ブロック41を挿着許容フレーム11に対してガタつくことがなく、しっかりと挿着することができる。
【0064】
詳述すると、一般に、位置決め用のリブは、本来、突出すべき所望の位置に完全に一致した位置に形成されずに、成形誤差などの影響を受けるため、所望の位置に対して前記所定方向において位置ズレした箇所に形成されることになる。このようなリブの形成誤差は、部品搭載ブロック41の挿着許容フレーム11に対する位置決め精度に悪影響を及ぼすことになる。
【0065】
このため、例えば、
図10に示すように、所定方向(X方向、或いはY方向)に対して直交する直交方向に突出する位置決め用のリブ500a,500bを、所定方向において所定間隔を隔てた2箇所以上に配置した従来の構成の場合、リブ500a,500bを2箇所に亘って別々に形成したことによる弊害として、2箇所のリブ500a,500bのそれぞれの誤差が前記所定方向において蓄積することになるため、リブ形成の誤差による悪影響を特に受け易くなるという課題が生じていた。
【0066】
これに対して、上述したように、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11とのうち一方側から他方側へ突出した位置決め突出部13,43を、位置決め嵌合凹部44,14に嵌合することで、一つの位置決め突出部13,43と、それに対応する一つの位置決め嵌合凹部44,14とによって1箇所において位置決めすることができる(
図5(a)参照)。
【0067】
これにより、例えば、所定方向に対して直交する直交方向に突出するリブ500a,500bを、所定間隔を隔てた2箇所以上に配置する従来の構成の場合のように、リブ500a,500bの本来の突出位置に対して前記所定方向において位置ズレして形成されるリブの形成誤差が蓄積することがなく、位置決め突出部13,43の突出方向に直交する直交方向において、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対してしっかりと位置決めすることができる。
【0068】
従って、車両が振動する環境のもとで長期に亘って用いても、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11との間の優れた電気的な接続状態を確保することができる。
【0069】
さらに、このように、一つの位置決め突出部13,43と、それに対応する一つの位置決め嵌合凹部44,14とによって1箇所により所定方向の位置決めが可能となるため、2箇所以上に亘って別々に設けたリブ500a,500bによって位置決めする従来の位置決め手段と比較して、リブの形成箇所の誤差による影響を抑制できるため、逆に、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11との間の公差が小さくなりすぎることもない。
よって、部品搭載ブロック41を挿着許容フレーム11に対してスムーズに挿入することができる。
【0070】
さらに、上述したように、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11とのうち一方側から他方側へ突出した位置決め突出部13,43を、位置決め嵌合凹部44,14に嵌合することで、2以上のリブを形成することなく効率的に位置決めできるため、構成を簡素化することができる。
【0071】
また、上述した電気接続箱1は、抜出方向係合手段106を、一対のY方向側面対向部分91Y,91Yのうち一方のY方向側面対向部分91Yと、他方のY方向側面対向部分91Yとのそれぞれにおいて対角状に配置している。
【0072】
上述した構成により、同じ配置数だけ抜出方向係合手段106を配置する条件の下において、
図10に示すように、互いに真正面で抜出方向係合手段506(506A,506B)を対向配置する従来の場合と比較して、バランスよく部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対して安定して係合することができる。
【0073】
従って、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対して安定して係合することができる。
【0074】
詳しくは、例えば、一方のY方向側面対向部91Yに配置した抜出方向係合手段106Aと、他方のY方向側面対向部91Yに配置した抜出方向係合手段106Bとを、部品搭載ブロック41の平面視中心箇所P(平面視重心位置)を隔てて各側に対向配置できるため、抜出方向係合手段106によって、部品搭載ブロック41の重心をしっかりと支持することができ、部品搭載ブロック41を、バランスよく、安定して挿着許容フレーム11に対して係合することができる。
【0075】
また、上述した電気接続箱1の構成によれば、
図7(b)に示すように、部品搭載ブロック41の周方向における、対角状に配置した各抜出方向係合手段106の係合を解除する回転方向R1へ部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して回転するに伴って、
図7(a)に示すように、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して近接する近接側面対向部分91Nに、ブロック位置決め手段105を配置している。
【0076】
このため、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して挿入方向軸回りの回転方向のうち、いずれの回転方向(時計回り、或いは、時計と反対回り)に回転した場合であっても、対角状に配置した各抜出方向係合手段106において、しっかりとした係合状態を確保することができる。
【0077】
詳しくは、上述したように、ブロック位置決め手段105を、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して近接する近接側面対向部分91Nに配置することにより、部品搭載ブロック41の挿着許容部12に対する挿入方向軸回りの回転方向のうち、特に、対角状に配置した第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bのそれぞれにおいて、
図7(b)に示すように、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46との係合が解除されるR1方向に部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して回転して位置ずれした場合でも、
図7(a)中の一部拡大図に示すように、第1ブロック位置決め手段105、及び、第2ブロック位置決め手段105のそれぞれにおいて、位置決め突出部13,43を位置決め嵌合凹部44,14に対してより深くまでしっかりと嵌合させることができる。
【0078】
これにより、たとえ対角状に配置した第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bのそれぞれにおいて、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対してR1方向に、すなわち、第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bのそれぞれにおいての係合を解除する回転方向に部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して不測に位置ずれした場合であっても、第1ブロック位置決め手段105A、及び、第2ブロック位置決め手段105Bによって、対角状に配置した第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bのそれぞれにおいて、しっかりとした係合状態を確保することができる。
【0079】
一方、
図8(a)に示すように、部品搭載ブロック41の挿着許容部12に対する挿入方向軸回りの回転方向のうち、上述した回転方向と逆方向であるR2方向に部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して回転して位置ズレした場合、部品搭載ブロック41は、挿着許容部12に対して、位置決め突出部13,43が位置決め嵌合凹部44,14から抜け出る方向に回転することになる。
【0080】
ところが、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対してR2方向に位置ズレする場合においては、
図8(b)に示すように、第1抜出方向係合手段106A、及び、第2抜出方向係合手段106Bのそれぞれにおいて、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とがより係合し合う方向に回転することになるため、これらフレーム側係合突部16とブロック側係合突部46との係合が不測に解除されることを防ぐことができる。
【0081】
従って、部品搭載ブロック41の挿着許容部12に対する挿入方向軸回りの回転方向のうち、いずれの方向(R1方向、又はR2方向)に回転した場合であっても、各抜出方向係合手段106A,106Bにおいて、しっかりとした係合状態を確保することができる。
【0082】
また、上述した電気接続箱1の構成によれば、
図4(b)、及び
図6(a),(b)に示すように、フレーム側係合突部16を弾性支持する弾性支持手段21を、挿着許容フレーム11に構成し、弾性支持手段21を、部品搭載ブロック41の挿着許容部12への挿入に伴って、部品搭載ブロック41の外側面45と挿着許容部12の内側面15との隙間において、ブロック側係合突部46とフレーム側係合突部16とがオーバーラップしない位置となるまでブロック側係合突部46と反対側へ弾性変形する弾性変形片22と、該弾性変形片22をフレーム側係合突部16に対して両側から支持する支持部23とで構成している。
【0083】
このように、弾性変形片22は、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とが互いにオーバーラップしない位置となるまでブロック側係合突部46と反対側へ弾性変形可能であるため、
図9(a1)から
図9(a2)に示すように、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対して挿入する際に、互いの方向に突き出したフレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とが干渉することによって部品搭載ブロック41の挿着許容部12への挿入が阻害されることなく、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対してスムーズに挿入することができる。
【0084】
また、部品搭載ブロック41を挿着許容部12へ挿入する際に、挿入方向において、ブロック側係合突部46がフレーム側係合突部16を通過した直後に弾性変形した弾性変形片22の弾性力(復元力)により、
図9(a2)から
図9(a3)に示すように、ブロック側係合突部46とフレーム側係合突部16とをしっかりと係合させることができる。
【0085】
なお、
図9(a1),(a2),(a3)に示すように、挿着許容部12の内側面15の上端部(すなわち、部品搭載ブロック41を挿着許容部12に対して挿入する挿入方向の奥側の端部)には、ストッパ18を、該部品搭載ブロック41に係合可能に部品搭載ブロック41側に向けて突出して形成しているため、該ストッパ18により、挿着許容部12に挿入された部品搭載ブロック41が挿着許容部12の上方から抜け出ることを防ぐことができる。
【0086】
さらに、弾性変形片22は、ブロック側係合突部46とフレーム側係合突部16とがオーバーラップしない位置となるまでブロック側係合突部46と反対側へ弾性変形可能であるため、挿着許容部12の内側面15と部品搭載ブロック41の外側面45とを、これらの間の隙間がブロック側係合突部46とフレーム側係合突部16とがオーバーラップする間隔にまで狭めて配置することができるため、部品搭載ブロック41と挿着許容フレーム11のコンパクトな組み付け構造を実現することができる。
【0087】
さらにまた、弾性支持手段21は、弾性変形片22をフレーム側係合突部16に対して両側から支持部23によって支持する両持ち構造であるため(
図4(b)参照)、片持ち構造の場合と比較して優れた弾性を得ることができる。
【0088】
しかも、弾性変形片22の一端側が自由端となる片持ち構造の場合のように、挿着許容部12の内側面15を周方向において分断して構成する必要がないため、挿着許容部12の優れた強度を得ることができる。
【0089】
詳しくは、弾性支持手段21を、上述したように、弾性変形片22を支持部23によって両側から支持する両持ち構造で構成することにより、挿着許容部12の内側面15の周方向における一体性、すなわち、挿着許容フレーム11を構成するフレーム外壁部17、及び、フレーム仕切り部19それぞれの剛性を、片持ち構造の場合の場合と比較して格段に高めることができる。
【0090】
これにより、例えば、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して位置ずれしようとしても、位置決め突出部13,43が位置決め嵌合凹部44,14に嵌合した状態において、位置ズレしようとする部品搭載ブロック41を挿着許容部12の内側面15によって、しっかりと受け止めることができる。
【0091】
従って、弾性支持手段21を、上述したように、弾性変形片22を支持部23によって両側から支持する両持ち構造で構成することにより、挿着許容部12と、該挿着許容部12に挿着した部品搭載ブロック41とを、部品搭載ブロック41が挿着許容部12に対して位置ずれすることのない優れた一体性を備えて構成することができる。
【0092】
また、上述した電気接続箱1の構成によれば、弾性支持手段21に対して部品搭載ブロック41と反対側に、弾性支持手段21の弾性変形を許容する弾性許容空間24を備え、ロアカバー71に、弾性支持手段21の弾性変形を規制するよう弾性許容空間24に挿通可能な弾性規制突起部72を形成している。
【0093】
上述した構成により、電気部品接続ユニット10(挿着許容フレーム11)をロアカバー71に収容する際において、ロアカバー71に対して挿着許容フレーム11を嵌め込むときに、
図9(b1)から
図9(b2)に示すように、ロアカバー71に備えた弾性規制突起部72が弾性許容空間24に挿通される。これにより、弾性許容空間24に挿通された弾性規制突起部72によって、弾性規制突起部72が弾性許容空間24に弾性変形しないよう規制することができる。
【0094】
従って、ロアカバー71に挿着許容フレーム11を収容した状態において、例えば、弾性変形片22が弾性許容空間24に弾性変形することによって、弾性変形片22に備えたフレーム側係合突部16がブロック側係合突部46に対して離間する側へ移動するなどして、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46との係合が不測に解除されることがなく、フレーム側係合突部16とブロック側係合突部46とを優れた係合状態に保つことができる(
図9(b2)参照)。
【0095】
この発明のユニット収容容器は、この実施形態のロアカバー71に対応し、以下同様に、
平行側面対向部分は、Y方向側面対向部分91Yに対応し、
弾性規制手段は、弾性規制突起部72に対応するも、この発明は、上述した実施形態に限らず、この発明は、上述した実施形態に限らず、その他にも様々な実施形態で形成することができる。
【0096】
なお、上述した実施例においては、平行側面対向部分を、互いに平行に配置した一対のY方向側面対向部分91Y,91Yとして、これら一対のY方向側面対向部分91Y,91Yのそれぞれに抜出方向係合手段106Bを対角状に配置した電気接続ユニット10について説明したが、一対のX方向側面対向部分91X,91Xのそれぞれについても、X方向に沿って互いに平行に配置しているため、平行側面対向部分を、一対のX方向側面対向部分91X,91Xとして、これら一対のX方向側面対向部分91X,91Xのそれぞれに抜出方向係合手段106Bを対角状に配置した構成としてもよい。