【実施例】
【0027】
以下の条件に基づいて光ファイバケーブルを作成し、中間後分岐して複数ある光ファイバテープ心線の中から特定の光ファイバテープ心線を取り出す識別性、取り出し時の伝送損失変動、取り出し作業性、取り出した光ファイバテープ心線を他の光ファイバテープ心線と接続する接続作業性を評価した。
【0028】
直径250μmの光ファイバを4本並列させ、各光ファイバ間を間欠的に固定した光ファイバテープ心線を製造した。連結部のピッチP1は、120mmとした。また、マーキング6のピッチP2は、連結部のピッチP1と同様に120mmとした。マーキング6は、第1番目の光ファイバ2Aと第2番目の光ファイバ2B間を連結する連結部と同じ位置に設けている。この光ファイバテープ心線を、表1のように25本(テープ番号1〜25)作成した。光ファイバの色は、第1番目(#1)、第2番目(#2)、第3番目(#3)、第4番目(#4)それぞれを表1のようにした。マーキング6の種類は、
図5(A)〜(E)で示したように、マークの数を1つ、2つ、3つ、4つ、長さの長い1つとした。
【表1】
【0029】
そして、
図6に示すように、25本の光ファイバテープ心線を纏めたコア8を、押さえ巻きテープ9で被覆した後、引き裂き紐10及び抗張力体11と共に押し出し成形によりシース12で被覆することで、光ファイバケーブル13を製造した。そして、製造された光ファイバケーブル13を中間後分岐し、その中間後分岐時における作業性、識別性、接続作業性、損失変動について検証した。
【0030】
損失変動を求めるには、
図7(A)に示すように、光ファイバケーブル13の一端から導出した光ファイバテープ心線1に光源14を接続し、該光源14から光を照射してケーブル内を往復させた戻り光をパワーメータ15でモニタリングした。
【0031】
中間後分岐作業は、先ず
図7(B)に示すように、光ファイバケーブル13の途中でシース12の一部を所定長さL1(例えば500mm程度)だけ剥ぎ取る。この時、引き裂き紐10及び抗張力体11も除去する。そして、
図7(C)に示すように、シース12が剥ぎ取られた部位に露出するコア8から特定の1本の光ファイバテープ心線1を取り出す。次いで、
図7(D)に示すように、取り出した光ファイバテープ心線1を剥ぎ取ったシース12の一端から長さL2(例えば250mm)の位置で切断する。そして、
図7(E)に示すように、切断した光ファイバテープ心線1に分岐する別の光ファイバテープ心線16を融着接続する。
【0032】
本実施の形態の光ファイバテープ心線及び光ファイバケーブルと比較するために、表2で示す比較1〜25のサンプルを製造し、これらに対しても同様に中間後分岐をし、その中間分岐時における作業性、識別性、接続作業性(融着接続作業性)、損失変動について検証した。判定基準は、次のようにした。目標損失変動量は、25枚の光ファイバテープ心線から任意(特定)の1枚の光ファイバテープ心線を取り出すまでの損失変動量が0.01dB未満とした。目標作業性は、25枚の光ファイバテープ心線から任意の光ファイバテープ心線を目視により容易に識別でき、光ファイバテープ心線を損傷させずに取り出せることとした。目標接続作業性は、光ファイバテープ心線を4心一括で接続可能なこととした。
【0033】
これらの検証結果を、表2に示す。検証結果は、作業性、識別性、接続作業性(融着接続作業性)、損失変動が何れも良好の場合を◎又は○とし、可の場合を▲とし、不可の場合を×として評価した。
【表2】
【0034】
表2の結果から判るように、損失変動に関しては、マーキングと連結部の関係が、連結部ピッチに対してマーキングピッチが整数倍であり、マーキングは任意の連結部と同じ場所に施された場合に、光ファイバテープ心線の取り出し時の損失変動量が目標値の0.01dB未満であった。これは、マーキングが設けられた位置をつまんで光ファイバテープ心線を取り出せば、必ず剛性の高い連結部をつかむことになることに起因する。
【0035】
任意テープの識別、取り出し時の識別性に関しては、マーキングピッチが短い方が良く、特にシース除去長500mmの半分となる250mm以下では、必ず2ヶ所以上のマーキングを確認でき、識別性は良好であった。マーキングピッチが300mm、500mmでは、最低1ヶ所しかマーキングが確認できないことと、500mmではマーキングが必ずしもシース除去部の中央に来るとは限らず、視認性はマーキングピッチが長くなればなる程、低下することが確認された。また、シース除去長よりもマーキングピッチが長ければ、シース除去部でマーキングを確認することは出来ず、識別出来なくなる。
【0036】
任意テープの取り出し作業性に関しては、損失変動と同様にマーキングと連結部が同じ場所に施された場合には、良好である結果となった。その他の事例では、マーキングを基準にしても単心部(連結部の無い部位)を作業することが必然的に増えてしましい、他の光ファイバテープ心線の光ファイバを間違えてつまんでしまうことがあった。
【0037】
接続作業性(融着接続作業性)に関しては、連結部ピッチが融着接続時に取り扱う長さ以下である場合に、作業が可能であった。連結部ピッチがそれよりも長い場合では、その作業長の全長に渡り、一ヶ所も連結が存在しない場合があり、4本纏めて作業することが不可能であった。この結果から、本実施の形態の光ファイバテープ心線では、マーキングピッチが500mm以下であり、また、連結部ピッチが250mm以下であることが望ましい。
【0038】
本実施の形態の光ファイバテープ心線によれば、複数ある連結部3のうち任意の連結部3が設けられる位置又は全ての連結部3の位置に、光ファイバテープ心線1を識別するためのマーキング6が、各光ファイバ2のそれぞれに設けられているので、マーキング6が設けられた部位には必ず剛性の高い連結部3が存在することになる。そのため、この光ファイバテープ心線の複数本をシースで被覆した光ファイバケーブルを中間後分岐した場合、前記マーキング6が設けられた部位をつかめば必ず剛性の高い連結部3をつかむことになるので、光ファイバ2を損傷させることなく損失変動量を抑えて特定の光ファイバテープ心線をケーブル内から取り出すことができる。
【0039】
また、本実施の形態の光ファイバテープ心線によれば、複数ある光ファイバテープ心線1のそれぞれは、各光ファイバテープ心線1を構成する光ファイバ2に設けられたマーキング6の種類を異にしているので、このマーキング6の種類を見ることで特定の光ファイバテープ心線1を他の光ファイバテープ心線1から目視により容易に識別することができる。
【0040】
また、本実施の形態の光ファイバテープ心線1の複数本をシース12で被覆してなる光ファイバケーブル13によれば、中間後分岐時の作業性、識別性、接続作業性(融着接続作業性)、損失変動を何れも良好なものとすることができる。
【0041】
また、本実施の形態の光ファイバケーブル13の中間後分岐方法では、シース除去部分に連結部3とマーキング6が少なくとも一周期以上入るようにしているので、複数ある中から任意の光ファイバテープ心線1を簡単に見つけることができると共に、剛性の高い連結部3をつかんで光ファイバテープ心線1を取り出すことができる。よって、中間後分岐作業時に光ファイバの損失増加の抑制、間欠固定部の損傷を防ぐことが可能となる。