【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 高効率・高耐久性色素増感太陽電池モジュールの研究開発(色素増感太陽電池モジュール化技術と高耐久性化研究開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Reiko Yoneyama Ogura et al.,High-performance dye-sensitized solar cell with a multiple dye system,Applied Physics Letters,2009年,Vol.94,073308-1-073308-3
【文献】
Hironobu Ozawa et al.,Significant improvement in the conversion efficiency of black-dye-based dye-sensitized solar cells by cosensitization with organic dye,RSC Advances,2012年 2月29日,Vol.2,pp.3198-3200
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の色素増感太陽電池の一実施形態を示す断面図である。
【0034】
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、作用極10と、作用極10に対向する対極20と、作用極10及び対極20を連結する環状の封止部30とを備えており、作用極10、対極20及び封止部30によって形成されるセル空間には電解質40が充填されている。
【0035】
対極20は、導電性基板21と、導電性基板21の作用極10側に設けられて触媒反応を促進する触媒層22とを備えている。
【0036】
一方、作用極10は、透明基板11及び透明基板11の上に設けられる透明導電膜12からなる透明導電性基板15と、透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。酸化物半導体層13は、封止部30の内側に配置されている。また酸化物半導体層13には、光増感色素及び共吸着剤が共に吸着されている。共吸着剤は、光増感色素同士の会合を減少させるためのものである。
【0037】
ここで、光増感色素は、第1光増感色素と、第1光増感色素の吸収ピーク波長よりも長波長側に吸収ピーク波長を有する第2光増感色素とを有している。そして、第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対する共吸着剤のモル比は30より大きくなっている。また第1光増感色素に対する第2光増感色素のモル比は1未満であるか又は1より大きくなっている。なお、本実施形態では、透明導電性基板15により第1電極が構成され、対極20により第2電極が構成されている。
【0038】
上述した色素増感太陽電池100によれば、第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対する共吸着剤のモル比を30より大きくするとともに、第1光増感色素に対する第2光増感色素のモル比を1未満とするか又は1より大きくすることで、上記モル比が30以下とするか、又は、第1光増感色素に対する第2光増感色素のモル比を1とする場合に比べて、光電変換特性を効果的に向上させることができる。
【0039】
次に、作用極10、対極20、封止部30、電解質40、光増感色素及び共吸着剤について詳細に説明する。
【0040】
(作用極)
作用極10は、上述したように、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電膜12と、透明導電膜12の上に設けられる少なくとも1つの酸化物半導体層13とを有している。
【0041】
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
【0042】
透明導電膜12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO
2)、及び、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−doped−Tin−Oxide:FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電膜12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電膜12が単層で構成される場合、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
【0043】
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO
3)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化インジウム(In
3O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タリウム(Ta
2O
5)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化ホルミウム(Ho
2O
3)、酸化ビスマス(Bi
2O
3)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)又はこれらの2種以上で構成される。酸化物半導体層13の厚さは、例えば0.1〜100μmとすればよい。
【0044】
(対極)
対極20は、上述したように、導電性基板21と、導電性基板21のうち作用極10側に設けられて対極20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22とを備えるものである。
【0045】
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料や、上述した透明基板11にITO、FTO等の導電性酸化物からなる膜を形成したもので構成される。導電性基板21の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
【0046】
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。
【0047】
(封止部)
封止部30としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
【0048】
(電解質)
電解質40は例えばI
−/I
3−などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI
−/I
3−のほか、臭素/臭化物イオンなどの対が挙げられる。なお、上記揮発性溶媒にはゲル化剤を加えてもよい。また電解質40は、イオン液体と揮発性成分との混合物からなるイオン液体電解質で構成されてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが好適に用いられる。また揮発性成分としては、上記の有機溶媒や、1−メチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、LiI、I
2、4−t−ブチルピリジンなどが挙げられる。
【0049】
(光増感色素)
光増感色素は、上述したように、第1光増感色素と、第1光増感色素の吸収ピーク波長よりも長波長側に吸収ピーク波長を有する第2光増感色素とを有する。
【0050】
第2光増感色素の吸収ピーク波長は、好ましくは300〜650nmである。この場合、第2光増感色素の吸収ピーク波長が上記範囲を外れる場合に比べて、太陽光をより効率良く利用でき、光電変換特性がより向上する。第2光増感色素の吸収ピーク波長は、より好ましくは350〜650nmであり、さらに好ましくは400〜650nmである。
【0051】
このような第2光増感色素としては、例えばルテニウム錯体色素、白金錯体色素、銅錯体色素などが挙げられる。中でも、より高いモル吸光係数を持ち、より高い安定性を有するという理由から、ルテニウム錯体色素が好ましい。
【0052】
ルテニウム錯体色素は、ルテニウム(Ru)からなる中心金属と、中心金属に配位する第1配位子と、中心金属に配位する第2配位子とを含む色素である。
【0053】
ルテニウム錯体色素としては、置換若しくは非置換のビピリジンが第1配位子としてルテニウムに配位したルテニウムビピリジン錯体色素、又は、置換若しくは非置換のターピリジンが第1配位子としてルテニウムに配位したルテニウムターピリジン錯体色素が好ましい。ルテニウム錯体色素としては、置換若しくは非置換のビピリミジンが第1配位子としてルテニウムに配位したルテニウムビピリミジン錯体色素を用いることもできる。
【0054】
ルテニウムビピリジンン錯体色素としては、具体的には、下記一般式(2)で表されるものを用いることができる。
【化2】
上記式(2)中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、−COOZ
1、又は−Z
2を表す。ここでZ
1は一価の陽イオンを表し、Z
2は下記構造式(A)〜(D)で表される基を表す。また、R
5及びR
6は第2配位子であり、それぞれ独立に、ハロゲン基、−H、−CN、−NCS又は−NCOを表す。
【化3】
【0055】
上記ルテニウムビピリジン錯体色素において、Z
1としては、水素イオン、アンモニウムイオン、及び、ナトリウムイオンなどが挙げられる。
【0056】
ここで、Z
1は水素イオンであることが好ましい。この場合、容易に合成でき、安価に作れるという利点が得られる。
【0057】
また、R
1、R
2、R
3及びR
4のうち少なくとも1つが、上記−COOZ
1のZ
1が水素イオンである−COOHであり、残りが、Z
1がアンモニウムイオンであるカルボキシル基のアンモニウム塩であってもよい。
【0058】
上記アンモニウム塩を構成するアンモニウムイオンは、下記一般式(3)で表される。
【化4】
上記式(3)中、R
7、R
8、R
9及びR
10はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6の置換又は非置換の炭化水素基を表す。
【0059】
ここで、R
7、R
8、R
9及びR
10の全てがブチル基であることが好ましい。
【0060】
ルテニウムターピリジン錯体色素としては、具体的には、下記一般式(4)で表されるものを用いることができる。
【化5】
上記式(4)中、R
11、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、−COOZ
3、又はZ
4を表す。ここでZ
3は一価の陽イオンを表し、Z
4は上記構造式(A)〜(D)で表される基を表す。また、R
14は第2配位子であり、−NCS、ハロゲン基、−CN又は−P(Z
5)
3を表し、ここでZ
5は、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基又は置換アリール基を表す。R
15及びR
16は第2配位子であり、それぞれ独立に、ハロゲン基、−H、−CN、−NCS又は−NCOを表す。R
15及びR
16は互いに結合して、下記一般式(1)で表され且つ2個の酸素原子にて中心金属であるルテニウムに配位する第2配位子としてのβ−ジケトナート配位子を形成してもよい。
【化6】
【0061】
上記式(1)中、Y
1及びY
2はそれぞれ独立の基を表す。上記の基としては、例えば置換若しくは非置換の炭素数1〜9のアルキル基、又は、下記一般式(5)で表される基を用いることができる。
【化7】
【0062】
上記式(5)中、Y
3及びY
4はそれぞれ、水素原子を表し、Y
5は、置換若しくは非置換のアリール基を表す。
【0063】
上記アリール基としては、例えばフェニル基およびナフチル基が挙げられる。Z
5及びY
5を構成する置換アリール基は、アリール基の水素原子が置換基で結合されたものであり、置換基としては、例えばヒドロキシル基及び炭素数1〜9のアルキル基などが挙げられる。
【0064】
上記ルテニウムターピリジン錯体色素において、Z
3としては、水素イオン、アンモニウムイオン、及び、ナトリウムイオンなどが挙げられる。Z
3はこれらのうち水素イオンであることが好ましい。この場合、容易に合成でき、安価に作れるという利点が得られる。
【0065】
また、R
11、R
12及びR
13のうち少なくとも1つが、上記−COOZ
3のZ
3が水素イオンである−COOHであり、残りが、上記−COOZ
3のZ
3がアンモニウムイオンであるカルボキシル基のアンモニウム塩であってもよい。
【0066】
上記アンモニウム塩を構成するアンモニウムイオンは、下記一般式(6)で表される。
【化8】
上記式(6)中、R
17、R
18、R
19及びR
20はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6の置換又は非置換の炭化水素基を表す。
【0067】
ここで、R
17、R
18、R
19及びR
20の全てがブチル基であることが好ましい。
【0068】
ルテニウムビピリミジン錯体色素は、ビピリジンをビピリミジンに置換したこと以外は上記一般式(2)で表されるルテニウムビピリジン錯体色素と同様の構造を有する。
【0069】
ルテニウムビピリミジン錯体色素の第1配位子としての置換ビピリミジンとしては、具体的には、下記一般式(7)で表されるものを用いることができる。なお、下記一般式(7)で表される配位子は、2個の窒素原子にて中心金属であるルテニウムに配位する。
【化9】
【0070】
上記式(7)中、Y
6及びY
7はそれぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基、又は、末端に炭素数1〜9のアルキル基若しくは炭素数1〜9のアルコキシ基を有する基を表す。
【0071】
末端に炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシ基を有する基は、例えばチオフェン残基、ビチオフェン残基、アリール残基、ビニリデン基、又はこれらの2種以上の組合せを有する。
【0072】
末端に炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシ基を有する基の具体例としては、例えば上記構造式(A)〜(D)で表される基が挙げられる。
【0073】
上述したルテニウム錯体色素のうちルテニウムビピリジン錯体色素としては、例えばN719(吸収ピーク波長:550nm)、Z907(吸収ピーク波長:530nm)、Z910(吸収ピーク波長:543nm)、CYC−B1(吸収ピーク波長:553nm)およびHRS−1(吸収ピーク波長:542nm)が挙げられる。
【0074】
ルテニウムターピリジン錯体色素としては、例えばN749(ブラックダイ、吸収ピーク波長:620nm)が挙げられる。
【0075】
ルテニウムビピリミジン錯体色素としては、例えば下記構造式(E)で表される色素(吸収ピーク波長:610nm)などを挙げることができる。
【化10】
【0076】
第1光増感色素の吸収ピーク波長は、第2光増感色素の吸収ピーク波長よりも短波長側にあればよいが、好ましくは300〜500nmであり、より好ましくは300〜450nmである。
【0077】
このような第1光増感色素としては、その吸収ピーク波長におけるモル吸光係数が、第2光増感色素の吸収ピーク波長におけるモル吸光係数よりも大きいものが好ましく用いられる。この場合、広い波長領域にわたってより優れた吸光特性を有することが可能となる。
【0078】
このような第1光増感色素としては、下記一般式(8)で表される色素が用いられる。
【化11】
上記式(8)中、R
21及びR
22はそれぞれ独立に、水素原子、−CN、−COOH、又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R
23、R
24、R
26及びR
27はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、R
25は炭素原子数1〜5のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は下記一般式(9)で表される置換基を表す。R
26及びR
27は互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
【化12】
上記式(9)中、X
1、X
2、X
3及びX
4はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
【0079】
上記一般式(8)で表される色素としては、具体的には下記構造式(F)及び(G)で表されるものが挙げられる。
【化13】
【化14】
【0080】
なお、上記構造式(F)で表される第1光増感色素(D131)の吸収ピーク波長は420nmであり、上記構造式(G)で表される第1光増感色素の吸収ピーク波長は395nmである。
【0081】
上記第1光増感色素としては、下記一般式(10)で表される色素を用いることも可能である。
【化15】
上記式(10)中、R
28は水素原子又は−C
6H
4NR
30R
31を表し、R
29は−C
6H
4NR
30R
31を表す。R
30及びR
31はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
【0082】
上記一般式(10)で表される色素のうち、R
29が−C
6H
4NR
30R
31を表し、R
28が水素原子を表す色素が好ましい。この場合、光電変換特性をより向上させることができる傾向にある。
【0083】
上記一般式(10)で表される色素の具体例としては、例えば下記構造式(H)及び(I)で表されるものが挙げられる。
【化16】
【化17】
【0084】
なお、上記構造式(H)で表される第1光増感色素(NKX−2553)の吸収ピーク波長は455nmであり、上記構造式(I)で表される第1光増感色素(NKX−2554)の吸収ピーク波長は465nmである。
【0085】
(共吸着剤)
共吸着剤は、光増感色素同士の会合を抑制するものであればよいが、このような共吸着剤としては、下記一般式(11)で表される有機化合物又はその塩が用いられる。ここで、有機化合物は非金属原子のみで構成される。
【化18】
上記式(11)中、nは0〜5の整数を表し、R
32は、ステロイド骨格を有する一価の基を表す。
【0087】
ステロイド骨格を有する一価の基としては、例えば下記一般式(12)で表される一価の基が用いられる。
【化19】
式(12)中、R
33、R
34及びR
35はそれぞれ独立に、水素原子又は水酸基を表す。
【0088】
ステロイド骨格を有する共吸着剤の具体例としては、例えばデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸、ヒオデオキシコール酸及びこれらの塩などが挙げられる。
【0089】
第1光増感色素と第2光増感色素との合計に対する共吸着剤のモル比は、30より大きくなっている。上記モル比が30未満であると、光電変換特性を効果的に向上させることができない。
【0090】
第1光増感色素と第2光増感色素との合計に対する共吸着剤は50より大きいことが好ましい。この場合、上記モル比が50以下である場合に比べて、光電変換特性をより向上させることができる。
【0091】
但し、上記モル比は、第1光増感色素および第2光増感色素の吸着量の減少を抑制するという観点からは、300以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましい。
【0092】
第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対する共吸着剤のモル比が50より大きい場合は、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比が1未満であることが好ましい。この場合、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比が1以上である場合に比べて、光電変換特性をより効果的に向上させることができる。
【0093】
第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比は、より好ましくは0.7以下である。この場合、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比が0.7を超える場合に比べて、光電変換特性をより効果的に向上させることができる。
【0094】
但し、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比は、より効果的な光電変換特性の向上という観点からは、0.3以上であることが好ましい。
【0095】
あるいは、第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対する共吸着剤のモル比は、30より大きく50未満であることが好ましい。この場合、光電変換特性をより効果的に向上させることができる。
【0096】
ここで、第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対する共吸着剤のモル比が30より大きく50未満である場合、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比が1より大きいことが好ましい。この場合、光電変換特性をより効果的に向上させることができる。
【0097】
第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比は、より好ましくは1.4以上である。但し、上記モル比は、2未満であることが好ましい。この場合、第2光増感色素に対する第1光増感色素のモル比が2以上である場合に比べて、光電変換特性をより効果的に向上させることができる。
【0098】
次に、上述した色素増感太陽電池100の製造方法について説明する。
【0099】
まず1つの透明基板11の上に、透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15を用意する。
【0100】
透明導電膜12の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)及びCVD法などが用いられる。
【0101】
次に、透明導電膜12の上に、酸化物半導体層13を形成する。酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成する。
【0102】
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
【0103】
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
【0104】
焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
【0106】
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上述した光増感色素を吸着させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
【0107】
このとき、第1光増感色素及び第2光増感色素は、第1光増感色素に対する第2光増感色素のモル比が1未満となるか、1より大きくなるように作用極10の酸化物半導体層13の表面に吸着させる。
【0108】
次に、作用極10の酸化物半導体層13の表面に、上述した共吸着剤を吸着させる。このためには、作用極10を、共吸着剤を含有する溶液の中に浸漬させ、その共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、共吸着剤を酸化物半導体層13の表面に吸着させればよい。但し、共吸着剤を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって共吸着剤を酸化物半導体層13に吸着させてもよい。
【0109】
このとき、共吸着剤は、酸化物半導体層13の表面において、光増感色素が吸着していない領域に吸着されることになる。また共吸着剤は、第1光増感色素および第2光増感色素の合計に対するモル比が30より大きくなるように酸化物半導体層13の表面に吸着される。
【0110】
なお、共吸着剤は、第1光増感色素及び第2光増感色素と混合し、同時に酸化物半導体層13の表面に吸着させてもよい。この場合、酸化物半導体層13を、第1光増感色素、第2光増感色素及び共吸着剤を含む溶液中に浸漬すればよい。このとき、溶液中における酸化物半導体層13の浸漬時間は、好ましくは10〜48時間であり、より好ましくは15〜25時間である。
【0111】
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。電解質40は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって配置することが可能である。
【0112】
次に、環状の封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの四角形状の開口を形成することによって得ることができる。
【0113】
そして、この封止部形成体を、作用極10の上に接着させる。このとき、封止部京成体の作用極10への接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
【0114】
次に、対極20を用意し、封止部形成体の開口を塞ぐように配置した後、封止部形成体と貼り合わせる。このとき、対極20にも予め封止部形成体を予め接着させておき、この封止部形成体を作用極10側の封止部形成体と貼り合せてもよい。対極20の封止部形成体への貼合せは、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
【0115】
以上のようにして色素増感太陽電池100が得られる。
【0116】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、透明導電性基板15の透明導電膜12上に酸化物半導体層13が設けられているが、酸化物半導体層13は対極20の上に設けられてもよい。
【0117】
また上記実施形態では、対極20が導電性基板21と触媒層22とで構成されているが、対極20が、作用極10と同様に、透明基板11とその上に設けられる透明導電膜12とで構成されていてもよい。
【実施例】
【0118】
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0119】
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる透明導電性基板を準備した。
【0120】
次に、透明導電膜上に、チタニアを含む酸化物半導体層形成用ペーストを塗布し乾燥した後、500℃で1時間焼成した。こうして厚さ45μmの多孔質酸化物半導体層を有する作用極を得た。
【0121】
次に、作用極を、色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。色素溶液は、1−プロパノール溶媒中に、第2光増感色素としてのN749(ブラックダイ、吸収ピーク波長:620nm)を0.2mM、第1光増感色素としてのD131(吸収ピーク波長:420nm)を0.14mM、共吸着剤としてのDCA(デオキシコール酸)を50mMとなるように溶解させることで作製した。
【0122】
次に、多孔質酸化物半導体層の上に、電解質を塗布した。電解質は、アセトニトリルからなる溶媒中に、LiIを0.1M、I
2を0.05M、DMPImIを0.6M、ターシャリーブチルピリジン(TBP)を0.3Mとなるように溶解させることで調製した。
【0123】
次に、封止部を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、10mm×10mm×50μmのアイオノマー(商品名:ハイミラン、三井・デュポンポリケミカル社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、開口は、6mm×6mm×50μmの大きさとなるようにした。
【0124】
そして、この封止部形成体を、作用極の上に載せた後、封止部形成体を加熱溶融させることによって作用極に接着させた。
【0125】
次に、対極を用意した。対極は、15mm×15mm×1mmのFTO導電性ガラス基板の上にスパッタリング法によって厚さ600nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。また、上記封止部形成体をもう1つ準備し、この封止部形成体を、対極のうち作用極と対向する面に、上記と同様にして接着させた。
【0126】
そして、作用極に接着させた封止部形成体と、対極に接着させた封止部形成体とを対向させ、封止部形成体同士を重ね合わせた。そして、この状態で封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させた。こうして作用極と対極との間に封止部を形成した。
【0127】
こうして色素増感太陽電池を得た。
【0128】
(実施例2〜4及び比較例1〜2)
色素溶液を作製する際に、第1光増感色素としてのD131、及び、共吸着剤としてのDCAをそれぞれ混合溶媒中に表1に示す濃度で溶解させ、D131とBD(ブラックダイ)との合計に対するDCAのモル比、及び、BDに対するD131のモル比を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0129】
(実施例5〜9及び比較例3)
第1光増感色素を、D131からNKX−2553(吸収ピーク波長:455nm)に変更し、第1光増感色素としてのNKX−2553、及び、共吸着剤としてのDCAをそれぞれ混合溶媒中に表2に示す濃度で溶解させ、NKX−2553とBDとの合計に対するDCAのモル比、及び、BDに対するNKX−2553のモル比を表2に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0130】
<光電変換特性の評価>
実施例1〜9及び比較例1〜3の色素増感太陽電池について、以下のようにして光電変換特性の評価を行った。
【0131】
すなわちまず実施例1〜4及び比較例1〜2の色素増感太陽電池について製造直後の光電変換効率を測定した。そして、比較例2の光電変換効率に対する実施例1〜2の光電変換効率の増加率を算出した。結果を表1に示す。
【0132】
光電変換効率の増加率は、下記式に従って算出した。
光電変換効率の増加率(%)=100×(各実施例の光電変換効率/比較例2の光電変換効率)
【0133】
また、実施例5〜9及び比較例3の色素増感太陽電池についても製造直後の光電変換効率を測定した。そして、比較例3の光電変換効率に対する実施例5〜9の光電変換効率の増加率を算出した。結果を表2に示す。
【0134】
光電変換効率の増加率は、下記式に従って算出した。
光電変換効率の増加率(%)=100×(各実施例の光電変換効率/比較例3の光電変換効率)
【表1】
【表2】
【0135】
表1に示す結果より、実施例1〜4の色素増感太陽電池は、比較例1〜2の色素増感太陽電池に比べて、比較例2の色素増感太陽電池に対する光電変換効率の増加率が大きくなることが分かった。
【0136】
また表2に示す結果より、実施例5〜9の色素増感太陽電池は、比較例3の色素増感太陽電池に比べて、比較例3の色素増感太陽電池に対する光電変換効率の増加率が大きくなることが分かった。
【0137】
以上より、本発明の色素増感太陽電池によれば、光電変換特性を効果的に向上させることができることが確認された。