(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。又、便宜上、平面図等において、断面図に対応するハッチングを施す場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る電子部品パッケージの構造]
まず、第1の実施の形態に係る電子部品パッケージの構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のA−A線に沿う断面図である。
図2は、
図1(a)の一部を拡大して例示する断面図である。なお、
図1(b)において、第2の基板30、電子部品40、及び突起電極41は図示が省略されている。
【0015】
図1及び
図2を参照するに、電子部品パッケージ10は、大略すると、第1の基板20と、第2の基板30と、電子部品40と、突起電極41と、接着剤50と、無機膜51と、導電接合部60とを有する。
【0016】
第1の基板20は、基板本体21と、基板本体21の一方の面21aに形成されたパッド22と、基板本体21の他方の面21bに形成されたパッド23と、基板本体21の一方の面21aから他方の面21bに貫通する貫通孔21x内に形成された貫通配線24とを有する。基板本体21の一方の面21a側には、凹部21yが形成されている。
【0017】
パッド22とパッド23とは、貫通配線24を介して電気的に接続されている。パッド22は、後述の第2の基板30のパッド33と電気的に接続される端子として機能する。パッド23は、電子部品パッケージ10を他の配線基板や半導体パッケージ等と電気的に接続する際の外部接続端子として機能する。
【0018】
基板本体21は、シリコン、セラミック、ガラス、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸した材料(例えば、FR4材等)等から形成できる。基板本体21の厚さは、例えば数100μm程度とすることができる。パッド22及び23、貫通配線24の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0019】
第2の基板30は、基板本体31と、基板本体31の一方の面31aに形成されたパッド32及び33とを有する。基板本体31の一方の面31aは、第1の基板20の基板本体21の一方の面21aに対向配置されている。パッド32は、平面視において基板本体31の一方の面31aの接着剤50と接する領域の内側に形成されており、パッド33は、平面視において基板本体31の一方の面31aの接着剤50と接する領域の外側に形成されている。
【0020】
基板本体31は、シリコン、セラミック、ガラス、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸した材料(例えば、FR4材等)等から形成できる。基板本体31の厚さは、例えば数100μm程度とすることができる。パッド32及び33の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。なお、基板本体31をシリコン等の半導体基板で構成し、半導体基板に電子部品40を制御等する集積回路を形成してもよい。
【0021】
電子部品40は、第2の基板30の基板本体31の一方の面31aに実装されている。電子部品40は突起電極41を有し、突起電極41は、例えばはんだ等(図示せず)により、パッド32と電気的に接続されている。電子部品40としては、例えば、加速度センサやジャイロセンサ、RFスイッチ等のMEMS素子、半導体素子、フィルタや水晶振動子等の受動素子等を用いることができる。突起電極41の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0022】
接着剤50は、基板本体21の一方の面21aと基板本体31の一方の面31aとの間に、平面視において電子部品40の外側を囲むように枠状に形成されている。基板本体21と基板本体31とは、凹部21y内に電子部品40が収容された状態で、接着剤50を介して接合されている。
【0023】
接着剤50の材料としては、例えば、粘着性を有したシート状の樹脂(例えば、NCF(Non Conductive Film))や、ペースト状の樹脂(例えば、NCP(Non Conductive Paste))等を用いることができる。接着剤50として、シリコーン系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする有機系接着剤を用いても構わない。接着剤50の厚さは、例えば、数10μm程度とすることができる。
【0024】
なお、
図1(b)において、凹部21y及び接着剤50の平面形状は矩形状であるが、これには限定されない。例えば、凹部21y及び接着剤50の平面形状は矩形の角部をR状にした形状としてもよいし、円形や楕円形、多角形等としてもよい。要は、電子部品40の形状を考慮し、電子部品40を収容可能な形状の凹部21yを形成し、凹部21yの周囲に任意の平面形状の枠状の接着剤50を形成すればよい。なお、凹部21yの内側面は基板本体21の一方の面21aに対して傾斜していなくてもよく、例えば、基板本体21の一方の面21aに対して略垂直であってもよい。
【0025】
接着剤50の電子部品40側には、無機膜51が形成されている。本実施の形態では、無機膜51は、基板本体21の一方の面21aの接着剤50の電子部品40側の領域から接着剤50の内側面に形成され、更に基板本体31の一方の面31aに延在している。但し、無機膜51は、少なくとも接着剤50の内側面を被覆するように形成すればよい。
【0026】
無機膜51の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属やこれらの合金等を用いることができる。無機膜51は、複数の無機膜を積層して形成してもよい。又、無機膜51の材料として、シリコン(Si)やアルミニウム(Al)等の酸化物、シリコン(Si)やアルミニウム(Al)等の窒化物、セラミック、ガラス等を用いてもよい。無機膜51の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。なお、無機膜51は、本発明に係る第1の無機膜の代表的な一例である。
【0027】
導電接合部60は、第1の基板20のパッド22と第2の基板30のパッド33とを電気的に接続している。本実施の形態では、導電接合部60は、接着剤50の外側面よりも外側に配置されている。導電接合部60の材料としては、例えば、はんだや導電性樹脂ペースト(例えば、Agペースト)等の導電性材料を用いることができる。導電接合部60の材料としてはんだを用いる場合は、例えば、Pbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。導電接合部60の材料として、インジウムを用いてもよい。
【0028】
このように、電子部品パッケージ10において、電子部品40は、第1の基板20の基板本体21の一方の面21a、第2の基板30の基板本体31の一方の面31a、及び接着剤50の内側面を被覆する無機膜51により封止されている。第1の基板20の基板本体21の一方の面21a、第2の基板30の基板本体31の一方の面31a、及び接着剤50の内側面を被覆する無機膜51に封止された空間(以降、電子部品封止空間とする)は、例えば、真空とすることができる。電子部品封止空間に、アルゴンガスや窒素ガス等を充填してもよい。
【0029】
仮に、電子部品パッケージ10において、従来のように接着剤50の外側面のみを被覆するように無機膜51を形成すると、電子部品パッケージ10外部から電子部品パッケージ10内の電子部品封止空間に空気や水分等が進入することを防止できる。しかし、接着剤50自体が含有するガス(例えばシロキサン等のガス)が電子部品パッケージ10内の電子部品封止空間に進入することは防止できないため、電子部品40の気密性が低下する。
【0030】
本実施の形態では、接着剤50の内側面を被覆するように無機膜51を形成している。そのため、電子部品パッケージ10外部から電子部品パッケージ10内の電子部品封止空間に空気や水分等が進入することを防止できると共に、接着剤50自体が含有するガスが電子部品封止空間に進入することを防止できる。
【0031】
[第1の実施の形態に係る電子部品パッケージの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る電子部品パッケージの製造方法について説明する。
図3〜
図7は、第1の実施の形態に係る電子部品パッケージの製造工程を例示する図である。なお、各図において、Cは、最終的に個片化して複数の電子部品パッケージ10を作製する際の切断位置を示している。つまり、切断位置Cに囲まれた各領域が、最終的に個片化されて複数の電子部品パッケージ10となる。なお、実際には、所定幅のスクライブ領域(図示せず)が存在し、スクライブ領域(図示せず)の略中央部が切断位置Cとなる。
【0032】
図3及び
図4に示す工程では、電子部品パッケージ10となる複数の領域(第1の基板20となる複数の領域)を備えた第1のウェハを作製する。なお、前述のように、第1の基板20の基板本体21は、シリコン、セラミック、ガラス、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸した材料等から形成できるが、以降の説明は、基板本体21がシリコンから形成されている場合を例にして行う。
【0033】
まず、
図3に示す工程では、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハ210を準備する。そして、シリコンウェハ210の一方の面210a(最終的に基板本体21の一方の面21aとなる面)の、切断位置Cに囲まれた各領域(最終的に個片化されて各第1の基板20となる領域)に、各々凹部21yを形成する。
【0034】
シリコンウェハ210の厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる。凹部21yは、例えば、シリコンウェハ210の一方の面210aに凹部21yを形成する位置を開口するレジスト層を形成し、レジスト層をマスクとしてシリコンウェハ210の一方の面210aを所定深さまでエッチングすることにより形成できる。
【0035】
エッチングの一例としては、KOH(水酸化カリウム)やTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)等のアルカリ性溶液を用いたウェットエッチングを挙げることができる。エッチングの他の例としては、SF
6(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等のドライエッチングを挙げることができる。ドライエッチングの場合には、凹部21yの内側面はシリコンウェハ210の一方の面210aに対して略垂直となる。なお、サンドブラストにより凹部21yを形成してもよい。
【0036】
図4、
図5(a)、
図6(a)、及び
図7は、
図3のB−B線に沿う断面図である。
図4(a)に示す工程では、切断位置Cに囲まれた各領域の凹部21yの外側に、シリコンウェハ210の一方の面210aから他方の面210bに貫通する貫通孔21xを形成する。貫通孔21xは、例えば、凹部21yと同様なウェットエッチングやドライエッチングにより形成できる。貫通孔21xは、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工や、ドリル等を用いた機械加工により形成してもよい。貫通孔21xの平面形状は例えば略円形とすることができ、貫通孔21xの径は例えば40〜60μm程度とすることができる。なお、
図3に示す工程と
図4(a)に示す工程とを同一工程としてもよい。
【0037】
図4(a)に示す工程の後、貫通孔21xの内壁面を含むシリコンウェハ210の表面に絶縁膜(図示せず)を形成する。絶縁膜としては、例えば熱酸化膜(SiO
2)を用いることができる。熱酸化膜(SiO
2)は、シリコンウェハ210の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁膜として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO
2)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0038】
次に、
図4(b)に示す工程では、貫通孔21x内に貫通配線24を形成する。貫通配線24は、例えば、貫通孔21x内に銅ペースト等の導電性ペーストを充填することにより形成できる。貫通配線24は、銅等を用いた無電解めっき法や電解めっき法により形成してもよい。貫通配線24の一端部及び他端部は、各々シリコンウェハ210の一方の面210a及び他方の面210bと略面一とすることができる。
【0039】
次に、
図4(c)に示す工程では、シリコンウェハ210の一方の面210aの貫通配線24の一端部上にパッド22を形成する。又、シリコンウェハ210の他方の面210bの貫通配線24の他端部上にパッド23を形成する。パッド22とパッド23とは、貫通配線24を介して電気的に接続される。パッド22及び23は、例えば、銅等を用いた無電解めっき法や電解めっき法、スパッタ法、蒸着法等により形成できる。この工程により、切断位置Cに囲まれた各領域に、第1の基板20に相当する構造体が作製される。なお、シリコンウェハ210は、本発明に係る第1のウェハの代表的な一例である。
【0040】
次に、
図5に示す工程では((b)は平面図、(a)は(b)のD−D線に沿う断面図)、平面視において、シリコンウェハ210の一方の面210aの切断位置Cに囲まれた各領域において、凹部21yの周囲に枠状の接着剤50を形成する。本実施の形態では、接着剤50を、平面視において凹部21yと貫通孔21xとの間に枠状に形成する。
【0041】
接着剤50の材料としては、例えば、粘着性を有したシート状の樹脂(例えば、NCF(Non Conductive Film))や、ペースト状の樹脂(例えば、NCP(Non Conductive Paste))等を用いることができる。接着剤50として、シリコーン系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする有機系接着剤を用いても構わない。接着剤50の厚さは、例えば、数10μm程度とすることができる。
【0042】
接着剤50の材料としてシート状の樹脂(例えば、NCF(Non Conductive Film))を用いる場合には、シート状の樹脂を予め接着剤50に対応する所定形状に加工し、シリコンウェハ210の一方の面210aにラミネートして接着剤50を形成できる。この方法で形成された接着剤50は半硬化状態である。接着剤50の材料としてペースト状の樹脂(例えば、NCP(Non Conductive Paste))を用いる場合には、印刷法やフォトリソグラフィ法等により、シリコンウェハ210の一方の面210aに所定形状の接着剤50を形成できる。この方法で形成された接着剤50は、プリベークすることにより半硬化状態にできる。
【0043】
なお、
図5に示す工程において、接着剤50の内側面をシリコンウェハ210の一方の面210aに対して傾斜するように形成してもよい。後述の
図6に示す工程で、無機膜51を容易に形成できる点で好適である。
【0044】
次に、
図6に示す工程では((b)は平面図、(a)は(b)のD−D線に沿う断面図)、平面視において接着剤50の凹部21y側に無機膜51を形成する。本実施の形態では、無機膜51を、シリコンウェハ210の一方の面210aの接着剤50の凹部21y側の領域から接着剤50の内側面に形成し、更に接着剤50の上面(シリコンウェハ210の一方の面210aとは接しない側の面)に延在させる。但し、無機膜51は、シリコンウェハ210の一方の面210aの切断位置Cに囲まれた各領域において、少なくとも接着剤50の内側面を被覆するように枠状に形成すればよい。
【0045】
無機膜51の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属やこれらの合金等を用いることができる。無機膜51は、複数の無機膜を積層して形成してもよい。又、無機膜51の材料として、シリコン(Si)やアルミニウム(Al)等の酸化物、シリコン(Si)やアルミニウム(Al)等の窒化物、セラミック、ガラス等を用いてもよい。無機膜51の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。無機膜51は、例えば、無電解めっき法や電解めっき法、スパッタ法、蒸着法等により形成できる。
【0046】
次に、
図7(a)に示す工程では、電子部品パッケージ10となる複数の領域(第2の基板30となる複数の領域)を備えたシリコンウェハ310を準備する。シリコンウェハ310は、例えば、シリコンウェハ210と同形状とすることができる。なお、シリコンウェハ310は、本発明に係る第2のウェハの代表的な一例である。
【0047】
そして、シリコンウェハ310の一方の面310a(最終的に基板本体31の一方の面31aとなる面)の切断位置Cに囲まれた各領域に、めっき法等によりパッド32及び33を形成する。パッド32は、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210に接合する際に、シリコンウェハ210の凹部21yと平面視で重複する位置に形成する。パッド33は、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210に接合する際に、シリコンウェハ210のパッド22と平面視で重複する位置に形成する。
【0048】
そして、シリコンウェハ310の切断位置Cに囲まれた各領域に電子部品40を実装する。具体的には、突起電極41が形成された電子部品40を準備し、突起電極41を、例えばはんだ等(図示せず)により、パッド32と電気的に接続する。電子部品40としては、例えば、加速度センサやジャイロセンサ等のMEMS素子、半導体素子、スイッチ、フィルタ、水晶振動子等を用いることができる。又、パッド33に導電接合部60を形成する。導電接合部60の材料としては、はんだや導電性樹脂ペースト(例えば、Agペースト)等の導電性材料を用いることができる。導電接合部60の材料としてはんだを用いる場合は、例えば、Pbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。導電接合部60の材料として、インジウムを用いてもよい。
【0049】
その後、電子部品40が実装され導電接合部60が形成されたシリコンウェハ310の一方の面310aを、
図6(a)に示すシリコンウェハ210の一方の面210aと対向配置する。この際、シリコンウェハ310のパッド33とシリコンウェハ210のパッド22とが対応する位置となるように配置する。これにより、シリコンウェハ310の切断位置Cに囲まれた各領域において、各々の電子部品40は、各々の接着剤50の内側の凹部21y内に配置される。
【0050】
なお、基板本体31として、シリコンに代えて、セラミック、ガラス、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸した材料(例えば、FR4材等)等を用いてもよい。
【0051】
次に、
図7(b)に示す工程では、シリコンウェハ210及び310を加熱しながら、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210側に押圧する。これにより、シリコンウェハ310の一方の面310aは、無機膜51の一端と接する。又、シリコンウェハ310の一方の面310aは、押圧により変形した接着剤50の一端と接する。この状態で接着剤50を硬化させることにより、各電子部品40は、シリコンウェハ210の一方の面210a、シリコンウェハ310の一方の面310a(一方の面210aの対向面)、及び接着剤50の内側面を被覆する無機膜51により封止される。
【0052】
又、上記と同時に、シリコンウェハ210及び310を加熱した際に軟化した導電接合部60が、シリコンウェハ210のパッド22とシリコンウェハ310のパッド33に挟持される。この状態で導電接合部60を硬化させることにより、シリコンウェハ210のパッド22とシリコンウェハ310のパッド33とが導電接合部60により電気的に接続される。
【0053】
なお、無機膜51は、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210側に押圧する過程で弾性変形する。又、この弾性変形により、無機膜51の一部が接着剤50中に埋設される。この弾性変形を起こしやすくするために、無機膜51は、シリコンウェハ210の一方の面210aから接着剤50の表面(側面及び上面の一部)まで延在して形成されている。
【0054】
図7(b)に示す工程の後、ダイシングブレード等を用いて
図7(b)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、
図1及び
図2に示す電子部品パッケージ10が複数個完成する。
【0055】
なお、接着剤50及び無機膜51を
図5に示す工程でシリコンウェハ210の一方の面210aに形成せず、
図7(a)に示す工程でシリコンウェハ310の一方の面310aに形成してもよい。
【0056】
このように、第1の実施の形態に係る電子部品パッケージ10では、電子部品40を電子部品40の周囲に枠状に形成された接着剤50を介して第1の基板20と第2の基板30とで封止するが、接着剤50の内側面には無機膜51が形成されている。これにより、電子部品パッケージ10外部から電子部品パッケージ10内の電子部品封止空間に空気や水分等が進入することを防止できると共に、接着剤50自体が含有するガスが電子部品封止空間に進入することを防止できる。すなわち、従来よりも気密性の高い電子部品パッケージを実現できる。
【0057】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態よりも更に気密性を向上する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0058】
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は底面図、(a)は(b)のE−E線に沿う断面図である。
図9は、
図8(a)の一部を拡大して例示する断面図である。なお、
図8(b)において、第1の基板20、接着剤50、及び無機膜51は図示が省略されている。
【0059】
図8及び
図9を参照するに、電子部品パッケージ10Aは、第2の基板30が第2の基板30Aに置換された点が電子部品パッケージ10(
図1及び
図2参照)と相違する。第2の基板30Aにおいて、基板本体31の一方の面31aには、無機膜34が形成されている。無機膜34は、底面視において、基板本体31の一方の面31aの電子部品40の外側を囲むように枠状に形成されている。無機膜34は、接着剤50及び無機膜51の第2の基板30A側の面と接するように枠状に形成されている。但し、無機膜34は、少なくとも無機膜51の第2の基板30A側の面と接するように形成すればよい。なお、無機膜34は、本発明に係る第4の無機膜の代表的な一例である。
【0060】
電子部品パッケージ10Aを製造するには、まず、第1の実施の形態の
図3〜
図6に示す工程と同様の工程を実行する。そして、第1の実施の形態の
図7(a)に示す工程において、例えばめっき法等によりパッド32及び33を形成する際に無機膜34を形成すればよい。無機膜34の材料としては、無機膜51と同様の材料を用いることができる。無機膜34は、複数の層から形成してもよい。無機膜34の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。但し、無機膜34の材料や厚さは、必ずしも無機膜51の材料や厚さと同一でなくてもよい。
【0061】
その後、第1の実施の形態の
図7(b)に示す工程と同様の工程を実行し、更に切断位置Cで切断して個片化することにより、
図8及び
図9に示す電子部品パッケージ10Aが複数個完成する。
【0062】
このように、無機膜51の第2の基板30A側の面と接するように無機膜34を形成することにより、第2の基板30Aを第1の基板20側に押圧する際に、無機膜51及び無機膜34が変形して互いに密着する。そのため、電子部品40の気密性を一層向上できる。
【0063】
なお、接着剤50及び無機膜51を第2の基板30Aの基板本体31の一方の面31a側に形成した場合には、無機膜51の第1の基板20側の面と接するように第1の基板20の基板本体21の一方の面21aに無機膜34を形成すればよい。つまり、無機膜34は、接着剤50を介して対向する第1の基板20又は第2の基板30Aの各々の対向面のうち何れか一方の対向面に形成すればよい。
【0064】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、第1の実施の形態とは異なる位置に接着剤50及び無機膜51を形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0065】
図10は、第1の実施の形態の変形例2に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のF−F線に沿う断面図である。
図11は、
図10(a)の一部を拡大して例示する断面図である。なお、
図10(b)において、第2の基板30、電子部品40、及び突起電極41は図示が省略されている。
【0066】
図10及び
図11を参照するに、電子部品パッケージ10Bは、接着剤50及び無機膜51が電子部品パッケージ10(
図1及び
図2参照)とは異なる位置に形成されている。具体的には、電子部品パッケージ10では、接着剤50及び無機膜51は、平面視において基板本体21の一方の面21aの凹部21yと貫通孔21xとの間に枠状に形成されていた。一方、電子部品パッケージ10Bでは、接着剤50及び無機膜51は、平面視において基板本体21の一方の面21aの貫通孔21xの外側(基板本体21の一方の面21aの外縁部)に枠状に形成されている。
【0067】
電子部品パッケージ10Bを製造するには、まず、第1の実施の形態の
図3及び
図4に示す工程と同様の工程を実行する。そして、第1の実施の形態の
図5及び
図6に示す工程において、接着剤50及び無機膜51を
図10(b)に対応する位置に形成する。その後、第1の実施の形態の
図7に示す工程と同様の工程を実行し、更に切断位置Cで切断して個片化することにより、
図10及び
図11に示す電子部品パッケージ10Bが複数個完成する。
【0068】
このように、接着剤50及び無機膜51は、平面視において基板本体21の一方の面21aの貫通孔21xの内側に形成しても外側に形成しても同様の効果を奏する。但し、例えば、導電接合部60からガスが発生するような場合には、電子部品パッケージ10のように、接着剤50及び無機膜51を平面視において基板本体21の一方の面21aの貫通孔21xの内側(導電接合部60の内側)に形成する方が電子部品40の気密性を向上できる。
【0069】
〈第2の実施の形態〉
第1の実施の形態では接着剤の内側面を被覆するように無機膜を形成する例を示したが、第2の実施の形態では接着剤の内側面を被覆するように無機膜を形成すると共に、接着剤の外側面を被覆するように他の無機膜を形成する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0070】
図12は、第2の実施の形態に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のG−G線に沿う断面図である。なお、
図12(b)において、第2の基板30、電子部品40、及び突起電極41は図示が省略されている。
【0071】
図12を参照するに、電子部品パッケージ10Cは、接着剤50が接着剤52に置換され、無機膜53が追加された点が電子部品パッケージ10(
図1及び
図2参照)と相違する。
【0072】
具体的には、電子部品パッケージ10Cにおいて、接着剤52は、基板本体21の一方の面21aと基板本体31の一方の面31aとの間に、平面視において電子部品40の外側を囲むように枠状に形成されている。接着剤52は1つの開口部52xを有し、開口部52x内には複数の導電接合部60が接着剤52と接しないように配置されている。接着剤52の材料や厚さ等は、接着剤50と同様とすることができる。
【0073】
無機膜53は、第1の基板20の側面、接着剤52の外側面、及び第2の基板30の側面の一部を被覆するように枠状に形成されている。但し、無機膜53は、接着剤52の外側面を被覆し、接着剤52の外側面から第1の基板20の側面の少なくとも一部及び第2の基板30の側面の少なくとも一部に延在するように形成すればよい。無機膜53の材料としては、無機膜51と同様の材料を用いることができる。無機膜53は、複数の層から形成してもよい。無機膜53の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。但し、無機膜53の材料や厚さは、必ずしも無機膜51の材料や厚さと同一でなくてもよい。なお、無機膜53は、本発明に係る第2の無機膜の代表的な一例である。
【0074】
電子部品パッケージ10Cを製造するには、まず、第1の実施の形態の
図3及び
図4に示す工程と同様の工程を実行する。次に、
図13に示す工程では、(
図13(b)は平面図、
図13(a)は
図13(b)のH−H線に沿う断面図)、平面視において、シリコンウェハ210の一方の面210aの凹部21yの周囲に開口部52xを有する接着剤52を形成する。接着剤52は、
図3に示す切断位置Cを含む領域に形成される。
【0075】
開口部52xを有する接着剤52は、例えば、シート状の樹脂(例えば、NCF(Non Conductive Film))を予め接着剤52に対応する所定形状に加工し、シリコンウェハ210の一方の面210aにラミネートして形成できる。又、ペースト状の樹脂(例えば、NCP(Non Conductive Paste))を用いて、印刷法やフォトリソグラフィ法等により、シリコンウェハ210の一方の面210aに開口部52xを有する接着剤52を形成してもよい。
【0076】
次に、1の実施の形態の
図6及び
図7(a)に示す工程と同様の工程を実行後、
図14(a)に示す工程では、シリコンウェハ210及び310を加熱しながら、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210側に押圧する。これにより、シリコンウェハ310の一方の面310aは、無機膜51の一端と接する。又、シリコンウェハ310の一方の面310aは、押圧により変形した接着剤52の一端と接する。この状態で接着剤52を硬化させることにより、各電子部品40は、シリコンウェハ210の一方の面210a、シリコンウェハ310の一方の面310a、及び接着剤52の内側面を被覆する無機膜51により封止される。
【0077】
又、上記と同時に、シリコンウェハ210及び310を加熱した際に軟化した導電接合部60が、シリコンウェハ210のパッド22とシリコンウェハ310のパッド33に挟持される。この状態で導電接合部60を硬化させることにより、シリコンウェハ210のパッド22とシリコンウェハ310のパッド33とが導電接合部60により電気的に接続される。
【0078】
次に、
図14(b)に示す工程では、
図14(a)に示す構造体の切断位置Cを含む切断位置C近傍を、シリコンウェハ210の他方の面210b側からシリコンウェハ210及び310の厚さ方向にハーフダイシングし、溝10xを形成する。つまり、
図3に示す切断位置Cに沿って溝10xを形成する。溝10xは、例えば、ダイシングやルータ加工等により、シリコンウェハ210及び接着剤52を貫通し、内底面がシリコンウェハ310の厚さ方向の途中に位置するように形成する。溝10xの内側面は、シリコンウェハ210、接着剤52、及びシリコンウェハ310の各々の露出面により形成される。
【0079】
次に、
図14(c)に示す工程では、溝10xの内側面及び内底面に無機膜53を形成する。つまり、シリコンウェハ210、接着剤52、及びシリコンウェハ310の各々の露出面を連続的に被覆するように無機膜53を形成する。無機膜53の材料としては、無機膜51と同様の材料を用いることができる。無機膜53は、複数の層から形成してもよい。無機膜53の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。但し、無機膜53の材料や厚さは、必ずしも無機膜51の材料や厚さと同一でなくてもよい。無機膜53は、例えば、無電解めっき法や電解めっき法等により形成できる。
【0080】
その後、
図14(c)に示す構造体のシリコンウェハ310を切断位置Cで切断して個片化することにより、
図12に示す電子部品パッケージ10Cが複数個完成する。
【0081】
このように、接着剤52の内側面を被覆する無機膜51を形成すると共に、接着剤52の外側面を被覆し、接着剤52の外側面から第1の基板20の側面の少なくとも一部及び第2の基板30の側面の少なくとも一部に延在する無機膜53を形成する。これにより、電子部品40の気密性を一層向上できる。
【0082】
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態の変形例1では、第2の実施の形態とは形状の異なる開口部を有する接着剤を形成する例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0083】
図15は、第2の実施の形態の変形例1に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のI−I線に沿う断面図である。なお、
図15(b)において、第2の基板30、電子部品40、及び突起電極41は図示が省略されている。
【0084】
図15を参照するに、電子部品パッケージ10Dは、接着剤52が接着剤54に置換された点が電子部品パッケージ10C(
図12参照)と相違する。具体的には、電子部品パッケージ10Dにおいて、接着剤54は、基板本体21の一方の面21aと基板本体31の一方の面31aとの間に、平面視において電子部品40の外側を囲むように枠状に形成されている。接着剤54は複数の開口部54xを有し、各開口部54x内には1つの導電接合部60が接着剤54と接しないように配置されている。接着剤54の材料や厚さ等は、接着剤52と同様とすることができる。
【0085】
電子部品パッケージ10Dを製造するには、第2の実施の形態の
図13に示す工程において、接着剤52に代えて、開口部54xを有する接着剤54を形成すればよい。他の工程は、第2の実施の形態の同様とすることができる。
【0086】
このように、複数の開口部54xを有する接着剤54を形成し、各開口部54x内に1つの導電接合部60を配置しても、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0087】
なお、開口部54xは必ずしも形成しなくてもよい。例えば、開口部54xを有しない接着剤54を形成する。そして、パッド22(又はパッド23)上に突起電極を形成する。そして、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210側に押圧する際に、パッド22(又はパッド23)上に形成した突起電極により接着剤54を突き破って突起電極の先端部をパッド23(又はパッド22)と当接させる。これにより、接着剤54を突き破った突起電極を介して、パッド22とパッド33とを導通させることができる。
【0088】
〈第2の実施の形態の変形例2〉
第2の実施の形態の変形例2では、各導電接合部60の内側に枠状に形成した接着剤の内側面及び外側面に各々無機膜を形成する例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0089】
図16は、第2の実施の形態の変形例2に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のJ−J線に沿う断面図である。なお、
図16(b)において、第2の基板30、電子部品40、及び突起電極41は図示が省略されている。
【0090】
図16を参照するに、電子部品パッケージ10Eは、接着剤52に代えて各導電接合部60の内側のみに枠状に接着剤50が形成されている点、及び接着剤50の外側面に無機膜55が形成されている点が電子部品パッケージ10C(
図12参照)と相違する。
【0091】
具体的には、電子部品パッケージ10Eにおいて、無機膜55は、接着剤50の外側面(導電接合部60側の面)を被覆するように形成されている。より詳しくは、無機膜55は、基板本体21の一方の面21aの接着剤50の導電接合部60側の領域から接着剤50の外側面に形成され、更に基板本体31の一方の面31aに延在している。但し、無機膜55は、少なくとも接着剤50の外側面(導電接合部60側の面)を被覆するように形成すればよい。
【0092】
無機膜55の材料としては、無機膜51と同様の材料を用いることができる。無機膜55は、複数の層から形成してもよい。無機膜55の厚さは、例えば、1μm以下程度とすることができる。但し、無機膜55の材料や厚さは、必ずしも無機膜51の材料や厚さと同一でなくてもよい。なお、無機膜55は、本発明に係る第3の無機膜の代表的な一例である。
【0093】
電子部品パッケージ10Eを製造するには、第1の実施の形態の
図6に示す工程において、無機膜51を形成すると共に無機膜55を形成すればよい。他の工程は、第1の実施の形態の同様とすることができる。
【0094】
なお、
図7(b)に示す工程において、無機膜55は、無機膜51と同様に、シリコンウェハ310をシリコンウェハ210側に押圧する過程で弾性変形する。又、この弾性変形により、無機膜51及び55の一部が接着剤50中に埋設される。この弾性変形を起こしやすくするために、無機膜51及び55は、シリコンウェハ210の一方の面210aから接着剤50の表面(側面及び上面の一部)まで延在して形成されている。
【0095】
このように、各貫通孔21xの内側に枠状に形成した接着剤50の内側面及び外側面に各々無機膜51及び55を形成することにより、第2の実施の形態の効果に加えて更に以下の効果を奏する。すなわち、第1の基板20と第2の基板30を接着剤50を介して接合する際に、硬化前の接着剤50がパッド22側に流れ出すことを防止できる。具体的には、例えば、硬化前の接着剤50がパッド22の表面を被覆し、パッド22と導電接合部60とが接触不良となることを防止できる。
【0096】
なお、
図12に示す電子部品パッケージ10Cにおいて、硬化前の接着剤52がパッド22側に流れ出すことを防止したい場合には、接着剤52の開口部52xの内側面(導電接合部60側の2つの面)に各々無機膜55を形成す必要がある。又、
図15に示す電子部品パッケージ10Dにおいて、硬化前の接着剤54がパッド22側に流れ出すことを防止したい場合には、接着剤54の各開口部54xの内側面(導電接合部60側の面)に無機膜55を形成すればよい。
【0097】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、ウェハレベルの電子部品をシリコンウェハに搭載後、個片化する例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0098】
図17は、第3の実施の形態に係る電子部品パッケージを例示する図であり、(b)は平面図、(a)は(b)のK−K線に沿う断面図である。なお、
図17(b)において、第2の基板30Bは図示が省略されている。
【0099】
図17を参照するに、電子部品パッケージ10Fは、大略すると、第1の基板20Aと、第2の基板30Bと、電子部品形成基板45と、接着剤50と、無機膜51と、導電接合部60と、金属接合材61とを有する。
【0100】
第1の基板20Aは、基板本体21と、基板本体21の他方の面21bに形成されたパッド23と、基板本体21の一方の面21aから他方の面21bに貫通する貫通孔21x内に形成された貫通配線24と、パッド23と貫通配線24とを電気的に接続する配線パターン25とを有する。配線パターン25は、基板本体21の他方の面21bに形成されている。第1の実施の形態とは異なり、第1の基板20Aには、パッド22及び凹部21yは形成されていない。
【0101】
第2の基板30Bにおいて、基板本体31の一方の面31aには凹部31yが形成されている。電子部品形成基板45は、ウェハレベルで電子部品40を形成し、個片化したものである。電子部品40は、電子部品形成基板45の中央部近傍に形成されている。電子部品形成基板45は、第1の基板20A及び第2の基板30Bの各々の平面形状と略同一とされている。電子部品40は、導電接合部60を介して、貫通配線24の基板本体21の一方の面21a側の端面と電気的に接続されている。
【0102】
電子部品形成基板45の第1の基板20A側は、基板本体21の一方の面21aの外縁部に枠状に形成された金属接合材61により、第1の基板20Aと機械的に接合されている。金属接合材61の材料としては、例えば、導電接合部60と同様の材料を用いることができるが、異なる材料を用いても構わない。このように、電子部品40の第1の基板20A側は、第1の基板20Aの基板本体21の一方の面21a、電子部品形成基板45の第1の基板20A側の面、及び金属接合材61の内側面により封止されている。
【0103】
電子部品形成基板45の第2の基板30B側は、電子部品40の外側を囲むように電子部品形成基板45の外縁部に枠状に形成された接着剤50により、第2の基板30Bと機械的に接合されている。接着剤50の内側面には、無機膜51が形成されている。このように、電子部品40の第2の基板30B側は、第2の基板30Bの基板本体31の一方の面31a、電子部品形成基板45の第2の基板30B側の面、及び接着剤50の内側面に形成された無機膜51により封止されている。
【0104】
なお、凹部31yは、電子部品40が例えば加速度センサ等のMEMS素子のように可動部を有する場合に、可動部の動作する空間を確保するために形成されている。従って、凹部31yは必要に応じて形成すればよく、基板本体31の一方の面31aを平坦面とする場合もある。
【0105】
電子部品パッケージ10Fを製造するには、まず、
図18(a)に示す工程で、第1の実施の形態の
図4に示す工程と同様の工程を実行して、シリコンウェハ210に貫通孔21x、パッド23、貫通配線24、及び配線パターン25を形成する。
【0106】
そして、シリコンウェハ210の一方の面210aに導電接合部60及び金属接合材61を形成する。導電接合部60は、貫通配線24のシリコンウェハ210の一方の面210a側の端部に形成する。又、金属接合材61は、シリコンウェハ210の切断位置Cを含む切断位置C近傍に形成する。つまり、
図3に示す切断位置Cに沿って金属接合材61を形成する。
【0107】
導電接合部60及び金属接合材61の材料としては、第1の実施の形態において導電接合部60の材料として例示した各材料を用いることができる。但し、金属接合材61の材料として、導電接合部60と異なる材料を用いても構わない。金属接合材61を形成する領域には、めっき法やスパッタ法等によって例えばCu層とTi層を順次積層した下地金属層を設け、下地金属層上に金属接合材61を形成すると好適である。
【0108】
更に、シリコンウェハ210の切断位置Cに囲まれた領域に対応するように各々電子部品40が形成されたシリコンウェハ400を作製する。シリコンウェハ400の導電接合部60及び金属接合材61が接合される部位には、各々電極(図示せず)及び金属膜(図示せず)が形成されている。
【0109】
そして、シリコンウェハ400を導電接合部60及び金属接合材61を介してシリコンウェハ210に接合する。導電接合部60及び金属接合材61にインジウムを用いた場合には、加熱等をせずに、シリコンウェハ400をシリコンウェハ210に加圧するのみで接合できる。なお、シリコンウェハ400は、本発明に係る電子部品形成ウェハの代表的な一例である。
【0110】
次に、
図18(b)に示す工程では、シリコンウェハ400のシリコンウェハ210と対向する面とは反対側の面に、各々の電子部品40の外側を囲むように接着剤50及び無機膜51を枠状に形成する。接着剤50は、シリコンウェハ400の切断位置Cを含む切断位置C近傍に形成する。つまり、金属接合材61と平面視において略重複する位置に形成する。無機膜51は、接着剤50の内側面に形成する。
【0111】
そして、第1の実施の形態の
図7(b)に示す工程と同様にして、シリコンウェハ310を接着剤50及び無機膜51を介してシリコンウェハ400と接合する。この際、各々の電子部品40が各々の接着剤50の内側に配置されるようにする。これにより、電子部品40のシリコンウェハ210側は、シリコンウェハ210の一方の面210a、シリコンウェハ400のシリコンウェハ210側の面、及び金属接合材61の内側面により封止される。又、電子部品40のシリコンウェハ310側は、シリコンウェハ310の一方の面310a、シリコンウェハ400のシリコンウェハ310側の面、及び接着剤50の内側面に形成された無機膜51により封止される。
【0112】
その後、ダイシングブレード等を用いて
図18(b)に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、
図17に示す電子部品パッケージ10Fが複数個完成する。
【0113】
このように、ウェハレベルの電子部品をシリコンウェハに搭載することにより、電子部品パッケージ10Fの製造工程を効率化できる。又、この際、接着剤50の内側面に無機膜51を形成することにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0114】
なお、金属接合材61に代えて、金属接合材61の形成位置に接着剤50と同様の材料からなる他の接着剤を形成してもよい。この場合には、他の接着剤の内側面にも無機膜51に相当する無機膜を形成すれば、第1の実施の形態と同様の気密性が得られる。
【0115】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、各実施の形態やその変形例は、適宜組み合わせることができる。