(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902019
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置及び排水収集方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20160331BHJP
【FI】
C02F1/00 J
C02F1/00 C
C02F1/00 W
C02F1/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-82881(P2012-82881)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-212445(P2013-212445A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100159503
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 正人
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】廣東 裕次
(72)【発明者】
【氏名】今野 正彦
【審査官】
金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−272452(JP,A)
【文献】
特開平06−132272(JP,A)
【文献】
特開2000−153245(JP,A)
【文献】
特開2008−115574(JP,A)
【文献】
特開2005−103455(JP,A)
【文献】
特開2013−108258(JP,A)
【文献】
特開2002−227281(JP,A)
【文献】
特開2000−199259(JP,A)
【文献】
特開平10−237941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
E03F 1/00−11/00
B08B 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置を洗浄することにより発生する排水量が変動する排水を集め排水処理場に移送する真空吸引による排水収集装置であって、
前記変動する排水を収容する所定バッファ容量を有する真空吸引装置タンクと、前記真空吸引装置タンク内の排水を真空吸引して所定場所に移送する真空吸引ユニット盤と、前記排水の温度を検出する温度センサと、前記排水の温度を低減する排水温度低減手段と、前記温度センサにより検出した排水温度により前記排水温度低減手段を運転して前記排水の温度を前記真空吸引ユニット盤が配置されている箇所の真空度での沸点又は機器構成材料の耐熱温度より低い所定の温度に低減する水温制御手段を設けたことを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置において、
前記排水温度低減手段は、希釈水を前記真空吸引装置タンク内の排水に注入して該排水の温度を低減する希釈水注入手段、又は前記真空吸引装置で真空吸引される排水に空気を注入して該排水の温度を低減する空気注入手段のいずれか一方又は両方を備え、
前記水温制御手段は、前記温度センサにより検出した排水温度により前記希釈水注入手段及び/又は前記空気注入手段を運転することを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置において、
前記排水温度低減手段は、熱交換器を備えた冷却設備を備え、前記真空吸引装置タンク内の排水又は前記真空吸引装置タンク内に流入する排水の温度を低減させることを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置において、
前記真空吸引装置タンク内の排水の水位を検出する水位センサを備え、
前記真空吸引ユニット盤は、前記真空吸引装置タンク内の排水を真空吸引する複数の真空吸引手段を備え、
前記水位センサで検出した前記真空吸引装置タンク内の排水水位により、前記真空吸引手段の運転する数を変えて排水の真空吸引量を制御することを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置において、
前記温度センサで検出する排水の温度に応じて、該排水を真空吸引する真空度を該吸引された排水が沸騰しない真空度に調節する真空度調節手段を備えたことを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置において、
前記真空吸引装置タンクの前記バッファ容量は、前記変動する排水を収容し、前記真空吸引ユニット盤で真空吸引して移送する間に排水が前記真空吸引装置タンクから溢れ出ない必要最小限の容量であることを特徴とする温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置。
【請求項7】
製造装置を洗浄することにより発生する排水量が変動する排水を集め排水処理場に移送する真空吸引による排水収集方法であって、
前記変動する排水を収容する所定バッファ容量を有する真空吸引装置タンクを備え、前記真空吸引装置タンク内の排水温度により、排水温度低減手段を運転して排水温度を前記真空吸引ユニット盤が配置されている箇所の真空度での沸点又は機器構成材料の耐熱温度より低い所定の温度に低減することを特徴とする真空吸引による排水収集方法。
【請求項8】
請求項7に記載の真空吸引による排水収集方法において、
前記真空吸引装置タンク内に希釈水を注入して該真空吸引装置タンク内の排水温度を低減する排水温度低減方法、又は前記真空吸引される排水に空気を注入して排水温度を低減する排水温度低減方法、又は熱交換器を備えた冷却設備で前記排水温度を低減する排水温度低減方法のいずれか、又はこれら排水温度低減方法の複数、又はこれら排水温度低減方法の全部を用いて排水温度を所定温度以下に低減することを特徴とする真空吸引による排水収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種飲料等の食品製造工場等の工場において、その製造装置を分解することなくCIP(Cleaning in Place)洗浄(定置洗浄)することにより発生する排水を真空吸引により収集し、該収集した工場排水を所定位置に設置された排水処理設備(排水処理場)に移送するための温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置及び真空吸引による排水収集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の真空吸引による排水収集装置としては、特許文献1及び2に開示されたものがある。この真空吸引による排水収集装置では、CIP洗浄の工程により異なる洗剤、温度、流量の排水が各洗浄工程完了時に排水される。これらのCIP排水は高温で強酸、強アルカリでコンクリートを腐食する薬液を多量に含むため床下に配置された排水用配管が長期間の使用により熱収縮及び腐食によって貫通接合箇所や管継ぎ目で漏水が発生するという問題がある。この漏水を放置すると土壌汚染を発生する危険があるが、排水用配管を敷設している床の上には多数の製造装置を構成する機器が配置されているため、これらの機器を撤去して排水用配管を更新することは極めて困難である。そのため、これらの排水用配管をビニールコーティングするなどの方法で修繕を行うがこの場合にも、その修繕にはその都度施工費用が掛かる上、そのコーティングの寿命は短期間であり、繰り返し施工することにより莫大な投資が必要となってしまう。また、排水用配管は床下に設置されているため配管の腐食や漏水等の状態を目視で容易に監視することができないという問題もある。
【0003】
また、各種飲料等の製造ラインを分解することなく洗浄するCIP装置においては、排水溝に流し込む排水は大量に発生するがその時間は短時間である。この短時間で発生する大量のCIP排水を発生と同じタイミングで排水しようとすると、工場排水収集装置の規模は大規模のものとなってしまうという問題がある。また、この排水の温度が高い場合には、そのまま排水すると工場排水収集装置を構成する機器の材質として耐熱性に優れた材料が要求されコストも高額となるという問題もある。
【0004】
上記問題を解決するめため、本特許出願人の発明者は、上記問題に対処できる工場排水装置を開発し、特願2011−253074号として出願している。
図1はこの工場排水収集装置の概略構成を示す図である。図示するように、本真空吸引による排水収集装置は、複数の真空吸引ユニット50と、ユニット型真空ステーション60とを備え、該複数の真空吸引ユニット50とユニット型真空ステーション60の間を真空配管112で接続して構成されている。飲料等の食品を製造する製造装置100をCIP洗浄する際に発生する工場の排水101は、製造装置100が設置された工場の床面102に設けた排水溝を通して真空吸引ユニット50に集められ、該真空吸引ユニット50から真空配管112を通して、ユニット型真空ステーション60に送られ、該ユニット型真空ステーション60から図示しない排水処理場に送られる。
【0005】
真空吸引ユニット50は、排水発生源の近傍(CIP洗浄する際に発生する排水101が集まる、例えば製造装置100が設置されている床面102の排水溝の下流端近傍)に配置されている。各真空吸引ユニット50はバッファタンク51と真空吸引装置タンク52とを備えている。バッファタンク51と真空吸引装置タンク52とは仕切り弁V51を備えた連通管53で接続され、バッファタンク51内の排水は空気抜き弁V52を介して連通管53の空気を抜くことにより、確実なサイフォンを形成し、バッファタンク51中の水をサイフォン作用により真空吸引装置タンク52に移すようになっている。
【0006】
CIP装置の各洗浄工程で発生する排水101は上記のように床面102に設けられた排水溝を通って、真空吸引ユニット50のバッファタンク51に集められる。該CIP装置からの排水101は各洗浄工程終了後、短時間で大量に発生する。この大量に発生する排水101を発生と同じタイミングでそのまま排水しようとすると、上記のように工場排水収集装置は大規模のものとなってしまう。また、排水101の温度が高い場合には、そのまま排水すると装置を構成する配管、機器の材質としては耐熱性に優れた材料が要求され装置コストも高額となってしまう。
【0007】
ここでは真空吸引ユニット50のバッファタンク51と真空吸引装置タンク52は床面102を掘削して設置しており、上記短時間で発生した高温の排水を床面に設けた排水溝を通して真空吸引ユニット50のバッファタンク51に収容する。これにより該バッファタンク51内に集められた高温排水の熱をバッファタンク51の側面及び床面を通して地下(地中)に放熱し、高温排水の温度を下げることができる。例えば、バッファタンク51及び真空吸引装置タンク52を高耐食性で且つ熱伝導性の材料(例えばSUS304等)で製作し、該バッファタンク51及び真空吸引装置タンク52を床面102を掘削した溝に設置することにより、タンク内に収容された排水の熱を温度の低い地下に効率よく放熱することが可能となる。
【0008】
更に、連通管53が形成するサイフォンによりバッファタンク51の底部の放熱されて低温となった排水を真空吸引装置タンク52に移すことになる。即ち、真空吸引ユニット50のバッファタンク51にある程度の量の排水が流入した時点で、バッファタンク51に最初に流入してから一定時間が経過していることになり、温度が下がった排水を真空吸引装置タンク52に取り込むことができ、排水中の熱を効率良く放熱させることが可能となる。
【0009】
真空吸引装置タンク52の中に設置された真空吸引装置54は一端が真空吸引装置タンク52の底面近傍に開放され他端が真空配管112に接続された接続管55を備えている。接続管55には仕切り弁V53、逆止弁V54が設けられ、接続管55の一端から真空吸引装置タンク52の底面近傍の低温となった排水を真空配管112の真空吸引力で吸い込み、仕切り弁V53及び逆止弁V54を通って、真空配管112に移送する。
【0010】
また、上記工場排水収集装置において、真空吸引装置54としては、真空吸引装置タンク52内の水位を検出する水位センサを設けると共に、接続管55に電動弁を設け、真空吸引装置タンク52内の水位が所定の水位に達したことを水位センサが検出したら、電動弁を開いて真空吸引装置タンク52内の排水を接続管55を通して真空配管112に吸引させるようにする。
【0011】
また、設置場所の条件等により、バッファタンク51による放熱量が十分に期待できない場合には、真空吸引ユニット50に冷水注水設備や熱交換器や熱交換器を備えた冷却設備を設置し、バッファタンク51内や場合によっては真空吸引装置タンク52にも冷水を注入したり、またバッファタンク51内の排水の熱や場合によっては真空吸引装置タンク52の排水の熱を冷却設備を通して放熱する。このような補助的な設備により十分な熱交換が行われる場合や設置場所の条件などにより流入水温が低い場合には、バッファタンク51から真空吸引装置タンク52に送水するサイフォンを形成せずにオーバーフローにより、バッファタンク51から真空吸引装置タンク52に送水するようにしてもよい。なお、
図1において、60はユニット型真空ステーション、61は真空ポンプ、62は圧送ポンプ、63は集水タンクをそれぞれ示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−153245号公報
【特許文献2】特開2002−227281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記工場排水収集装置においては、高温のCIP排水を真空吸引装置タンク52内より吸引装置54で吸引する場合、排水101の高温の熱をバッファタンク51により放熱することを原則とし、それが不十分な場合に冷水注水設備や冷却設備を設置している。また、バッファタンク51に流入する排水101の水温が低い場合には、バッファタンク51から真空吸引装置タンク52に送水する際にサイフォンを形成せずにオーバーフローにより送水するようにするにしてもよい。
【0014】
しかしながら、CIP排水の温度が作業工程により大きく変動しその温度差が大きい場合や、事前にCIP排水の温度を正確に把握することができない場合には、排水収集装置の設計段階において温度条件を適切に判断して設備の容量、仕様を決定することが困難な場合がある。
【0015】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、CIP排水等
、製造装置を洗浄することにより発生する排水量が変動し、排水の温度に大きな変化があると想定される場合や、事前にCIP排水の温度を正確に把握することができない場合でも、確実に真空吸引による排水収集装置としての機能を発揮でき、省スペースで配置自由度の高い真空吸引装置を備え、温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置及び排水収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために本願発明は、製造装置を洗浄することにより発生する排水量が変動する排水を集め排水処理場に移送する真空吸引による排水収集装置であって、前記変動する排水を収容する所定バッファ容量を有する真空吸引装置タンクと、前記真空吸引装置タンク内の排水を真空吸引して所定場所に移送する真空吸引ユニット盤と、前記排水の温度を検出する温度センサと、前記排水の温度を低減する排水温度低減手段と、前記温度センサにより検出した排水温度により前記排水温度低減手段を運転して前記排水の温度を
前記真空吸引ユニット盤が配置されている箇所の真空度での沸点又は機器構成材料の耐熱温度より低い所定の温度に低減する水温制御手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、本願発明は、上記真空吸引による排水収集装置において、前記排水温度低減手段は、希釈水を前記真空吸引装置タンク内の排水に注入して該排水の温度を低減する希釈水注入手段、又は前記真空吸引装置で真空吸引される排水に空気を注入して該排水の温度を低減する空気注入手段のいずれか一方又は両方を備え、前記水温制御手段は、前記温度センサにより検出した排水温度により前記希釈水注入手段及び/又は前記空気注入手段を運転することを特徴とする。
【0018】
また、本願発明は、上記真空吸引による排水収集装置において、前記排水温度低減手段は、熱交換器を備えた冷却設備を備え、前記真空吸引装置タンク内の排水又は前記真空吸引装置タンク内に流入する排水の温度を低減させることを特徴とする。
【0019】
また、本願発明は、上記真空吸引による排水収集装置において、前記真空吸引装置タンク内の排水の水位を検出する水位センサを備え、前記真空吸引ユニット盤は、前記真空吸引装置タンク内の排水を真空吸引する複数の真空吸引手段を備え、前記水位センサで検出した前記真空吸引装置タンク内の排水水位により、前記真空吸引手段の運転する数を変えて排水の真空吸引量を制御することを特徴とする。
【0020】
また、本願発明は、上記真空吸引による排水収集装置において、前記温度センサで検出する排水の温度に
応じて、該排水を真空吸引する真空度を該吸引された排水が沸騰しない真空度に調節する真空度調節手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本願発明は、上記真空吸引による排水収集装置において、前記真空吸引装置タンクの前記バッファ容量は、前記変動する排水を収容し、前記真空吸引ユニット盤で真空吸引して移送する間に排水が前記真空吸引装置タンクから溢れ出ない必要最小限の容量であることを特徴とする。
【0022】
また、本願発明は、製造装置を洗浄することにより発生する排水量が変動する排水を集め排水処理場に移送する真空吸引によ
る排水収集方法であって、前記変動する排水を収容する所定バッファ容量を有する真空吸引装置タンクを備え、前記真空吸引装置タンク内の排水温度により、排水温度低減手段を運転して排水温度を
前記真空吸引ユニット盤が配置されている箇所の真空度での沸点又は機器構成材料の耐熱温度より低い所定の温度に低減することを特徴とする。
【0023】
また、本願発明は、真空吸引によ
る排水収集方法において、前記真空吸引装置タンク内に希釈水を注入して該真空吸引装置タンク内の排水温度を低減する排水温度低減方法、又は前記真空吸引される排水に空気を注入して排水温度を低減する排水温度低減方法、又は熱交換器を備えた冷却設備で前記排水温度を低減する排水温度低減方法のいずれか、又はこれら排水温度低減方法の複数、又はこれら排水温度低減方法の全部を用いて排水温度を所定温度以下に低減することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、水温制御手段により温度センサにより検出した排水温度により排水温度低減手段を運転して排水の温度を
前記真空吸引ユニット盤が配置されている箇所の真空度での沸点又は機器構成材料の耐熱温度より低い所定の温度に低減するので、CIP排水等排水の温度に大きな変化があると想定される場合や、事前にCIP排水の温度を正確に把握することができない場合でも確実に排水収集機能を発揮できると共に、真空吸引装置タンクの容量を小さくでき省スペースで配置自由度の高い温度制御機能を具備する真空吸引による排水収集装置を提供できる。
【0025】
また、本願発明によれば、水温制御手段は温度センサにより検出した排水温度により希釈水注入手段及び/又は空気注入手段を運転するので、真空吸引されて移送される排水を工場排水収集装置を構成する機器材の排水接液部に損傷を与えることのない温度に低減させることができる。
【0026】
また、本願発明によれば、排水温度低減手段は、希釈水注入手段、又は空気注入手段のいずれか一方又は両方を備えているので、簡単な構成で且つ確実に、真空吸引されて移送される排水は真空吸引による排水収集装置を構成する機器材の排水接液部に損傷を与えることのない温度に低減させることができる。
【0027】
また、本願発明によれば、熱交換器を備えた冷却設備を備え、真空吸引装置タンク内の排水又は真空吸引装置タンク内に流入する排水の温度を低減させるので、真空吸引装置タンクのバッファ容量を更に小さくできる。
【0028】
また、本願発明によれば、真空吸引装置タンク内の排水水位により、真空吸引手段の運転する数を変えて排水の真空吸引量を制御するので、真空吸引装置タンクのバッファ容量に適応した、排水の真空吸引移送を実施できる。
【0029】
また、本願発明によれば、温度センサで検出する排水の温度に
応じて、該排水を真空吸引する真空度を該吸引された排水が沸騰しない真空度に調節する真空度調節手段を備えたので、真空吸引され移送される排水が沸騰してキャビテーションが発生するということを防止でき、効率の良い排水移送が実施できる。
【0030】
また、本願発明によれば、真空吸引装置タンクのバッファ容量を必要最小限とするので、真空吸引装置タンクを更に小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】先願発明に係る真空吸引による排水収集装置の概略構成例を示す図である。
【
図3】本発明に係る真空吸引による排水収集装置部の概略構成例を示す図である。
【
図5】本発明に係る真空吸引による排水収集装置の水位制御部の水位制御例を示す図である。
【
図6】本発明に係る真空吸引による排水収集装置の水温制御部例を示す図である。
【
図7】本発明に係る真空吸引による排水収集装置の真空吸引ユニット盤の真空吸引制御部例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図3は本発明に係る真空吸引による排水収集装置の真空吸引装置部の概略構成例を示す図である。図示するように、本真空吸引装置部は、必要なバッファ容量を持つ真空吸引装置タンク1と真空吸引ユニット盤2(盤型の真空吸引ユニット)を備えている。該真空吸引装置タンク1は、床面(地面)102を掘削して設置しており、短時間で発生したCIP排水等の排水101を床面に設けた排水溝を通して流入するようになっている。真空吸引装置タンク1は耐食性で且つ熱伝導性の良い材料(例えばSUS304等)で製作し、該真空吸引装置タンク1を床面を掘削した溝に設置することにより、真空吸引装置タンク1内に集められた排水101の熱は真空吸引装置タンク1の側面及び底面を通して地下(地中)に放熱するようになっている。
【0033】
真空吸引装置タンク1には温度センサ6、水位センサ3、清掃装置4等が配置されている。温度センサ6は真空吸引装置タンク1内の排水101の温度を検出し、その温度検出信号S1を信号伝送ライン103を介して水温制御部10に出力している。水位センサ3は
図4に示すように、それぞれ長さの異なる複数本(図では6本)の電極棒3−1〜3−6を備え、各電極棒3−1〜3−6はそれぞれ異なる水位(C,L,H1,H2,H3,HH)を検出し、その水位検出信号S2を信号伝送ライン104を通して水位制御部20に出力している。清掃装置4は真空吸引装置タンク1内を清掃する装置であり、清掃装置4には清掃用ホース105が接続され、該清掃用ホース105は排水吸引管111を経由して真空配管112(
図1の真空配管112に相当)に接続されている。
【0034】
また、真空吸引装置タンク1内には希釈水供給管106を通して希釈水107を供給できるようになっており、該希釈水供給管106には希釈水弁V1が設けられ、該希釈水弁V1は操作制御ライン116を介して真空吸引制御部30に接続され、該真空吸引制御部30により操作制御されるようになっている。また、真空吸引装置タンク1内には排水吸引管110、111の一端が開口しており、該排水吸引管110、111の他端はそれぞれ真空配管112に接続されている。また、排水吸引管110、111にはそれぞれ電動真空弁V4、V5が設けられ、該電動真空弁V4、V5はそれぞれ操作制御ライン113、114を介して真空吸引制御部30に接続され、該真空吸引制御部弁30により操作制御されるようになっている。また、108は大気109を吸引するための大気吸引管であり、該大気吸引管108は同時吸気弁V2、V3を介して排水吸引管110、111に接続されている。
【0035】
また、5は排水吸引管110、111内の圧力を検出する圧力センサであり、該圧力センサ5で検出された圧力検出信号S3は信号伝送ライン115を通して真空吸引制御部30及び圧力制御部40に出力されている。真空吸引制御部30と圧力制御部40は信号伝送ライン117で接続され、圧力制御部40から真空吸引制御部30に信号伝送ライン117を通して圧力を制御するための信号S4が伝送されるようになっている。また、水温制御部10と真空吸引制御部30は信号伝送ライン118で接続され、水温制御部10から真空吸引制御部30に排水101の温度を制御するための信号S5が信号伝送ライン118を通って伝送されるようになっている。また、水位制御部20と真空吸引制御部は信号伝送ライン119で接続され、水位制御部20から真空吸引制御部30に真空吸引装置タンク1内の排水101を真空吸引排水するための信号S6が信号伝送ライン119を通って伝送されるようになっている。
【0036】
電動真空弁V4の両側の排水吸引管110には開閉弁V6、V7が設けられ、電動真空弁V4と開閉弁V6と開閉弁V7の直列部分は開閉弁V8を備えたバイパスライン110’でバイパスされるようになっている。また、電動真空弁V5の両側の排水吸引管111には開閉弁V9、V10が設けられ、電動真空弁V5と開閉弁V9と開閉弁V10の直列部分は開閉弁V11を備えたバイパスライン111’でバイパスされるようになっている。
【0037】
図5は水位制御部20の水位制御の概要を示す図である。図示するように、水位制御部20には水位センサ3で検出された水位を示す表示部を備えている。水位センサ3の各電極棒3−1〜3−6で検出された水位検出信号S2は上記のように信号伝送ライン104を介して水位制御部20に伝送され、水位制御部20では伝送されてくる水位検出信号S2により、表示部に「HH水位異常高」、「H3高水位3」、「H2高水位2」、「H1高水位1」、及び「L低水位」が表示される。
【0038】
真空吸引装置タンク1内への排水101の流入量が電動真空弁V4、V5のいずれか1台の開による設計吸引量より少ない場合は、真空吸引装置タンク1内の排水101の水位レベルが高水位1(H1)で電動真空弁V4又はV5のいずれか1台のみの稼動とする。排水101の流入量がこの電動真空弁V4又はV5の1台の設計吸引量より多い場合、真空吸引装置タンク1内の水位が上昇し、高水位2(H2)にて電動真空弁V5又はV4も稼動する。
【0039】
電動真空弁V4及び/又はV5が稼動すれば、真空吸引装置タンク1内の水位が下がり、低水位(L)に到達した時点で、電動真空弁V4及び/又はV5を閉じる。設置している電動真空弁V4、V5
を合わせた能力を上回る排水101の流入があった場合や、故障などで真空吸引不可能な場合には、真空吸引装置タンク1内の排水101の水位は上昇し、水位異常高(HH)となった時点で警報を発する。警報原因が解消され水位が高水位1(H1)まで戻ると上記警報はリセットされる。
【0040】
図6は水温制御部10の水温制御の概要を示す図である。温度センサ6は真空吸引装置タンク1内の排水101の温度を常時監視し、その温度検出信号は信号伝送ライン103を介して水温制御部10に伝送されてくる。水温制御部10はこの温度検出信号S1により、後に詳述する温度1、2、3の算出及び設定、水温異常高警報(電動真空弁閉インターロック設定)、警報リセット(電動真空弁閉インターロック解除)、冷却設備運転(同時吸気弁V2、V3の開モード設定)、冷却設備停止(同時吸気弁V2、V3の閉モード設定)等の制御、及び水温制御(
温度1から
温度2に、
温度2から
温度3に下げる水温度制御)を行う。
【0041】
流入する排水101の温度が上昇し、「
温度2」の状態になった場合、水温制御部10は冷却設備運転モードとなり、希釈水弁V1を開にして、真空吸引装置タンク1内に希釈水供給管106を通して希釈水107を真空吸引装置タンク1内に流入させ、排水101の温度を下げる。また、更に同時吸気弁V2及び/又はV3を開にすることにより、大気吸引管108を通して大気109を真空配管112に吸引して、該真空配管112内の排水101の温度を低下させることもできる。
【0042】
上記のように真空吸引装置タンク1内に希釈水107を流入させ、排水101の温度が低下しないで、排水101の温度が「温度1」に到達してしまった場合は水温制御部10は、水温異常高の警報を発する。このように排水101の温度が異常高となった場合、排水101の温度が低下するまで、電動真空弁V4、V5を閉状態とするか、若しくは排水101の温度が高い状態でも電動真空弁V4、V5を開として排水を排水吸引管110、111を通して真空配管112に吸引させるかは、現場状況の優先度により選択する。
【0043】
図7は真空吸引制御部30の制御盤の概要を示す図である。真空吸引制御部30には上記のように、水温制御部10から排水101の温度を制御するための信号S5が、水位制御部20から真空吸引装置タンク1内の排水101を真空吸引排水するための信号S6が、圧力制御部40から信号S4がそれぞれ送られてきている。図示するように、制御盤には希釈水弁(V1)、電動弁真空弁(V4、V5)、温度、電流、到達圧力等の状態を表示する表示部と、各弁の手動−自動の切り替えスイッチ、各弁の開閉状態の表示、警報(AL)の発生状況を表示している。
【0044】
なお、図示は省略するが、真空吸引装置タンク1の内部に熱交換器等を備えた冷却設備を設け、温度センサ6で検出された真空吸引装置タンク1内の排水101の水温が所定温度を越える場合は該冷却設備により、真空吸引装置タンク1内の排水101を冷却するようにしてもよい。また、この冷却設備は真空吸引装置タンク1の近傍に設け、真空吸引装置タンク1内に流入する排水101の温度が所定温度値を越える場合は排水101をこの冷却設備を通して冷却してから真空吸引装置タンク1内に供給するようにしてもよい。この場合は真空吸引装置タンク1内の排水101の温度は所定温度以下にすることができるから、真空吸引制御部30は水位制御部20から信号伝送ライン119を介して伝送されてくる信号S6のみで、電動真空弁V4、V5を開閉して排水101の真空吸引及び停止を行うことも可能となる。
【0045】
水の1気圧での沸点は100℃であるが、真空吸引による排水収集装置においては、真空配管(真空配管112等)内の圧力が低いため、水は100℃より低い温度で沸騰する。
図2に示す水の飽和蒸気圧曲線から読み取ると、例えば水温50℃、80℃の飽和蒸気圧はそれぞれ絶対圧12.332kPa(ゲージ圧−88.993kPa)、絶対圧47.329kPa(ゲージ圧−53.996kPa)となる。
【0046】
CIP排水等の高温の排水101を扱う真空吸引による排水収集装置では、真空配管112内の圧力と温水の条件により、配管内で水が沸騰してしまうとキャビテーションが発生し、効率のよい排水101の搬送ができなくなってしまう。また、経済的な理由等から、工場排水収集装置の機器を構成する材料の材質に制約がある場合は、該機器構成材料の耐熱温度を排水101の温度が上回ると構成機器等の危険が伴う。これらの問題を回避するため、ここでは以下の手順でCIP排水等の排水101の温度により、真空吸引による排水収集装置の運転制御を行う。
【0047】
(1)工場排水収集装置の真空吸引ユニット盤2が配置されている箇所の真空度を推定するか又は測定(具体的には圧力センサ5で測定)し、その圧力での沸点を
図2の飽和蒸気圧曲線から算出したものを「温度1」とする。この「温度1」を工場排水収集装置を構成する機器材の排水接液部の耐熱温度から導かれる最高排水温度とする場合もある。
【0048】
(2)真空吸引装置タンク1内の排水101の温度を温度センサ6で常時測定し、該測定温度を水温制御部10に伝送し、水温制御部10で上記「温度1」と比較する。
【0049】
(3)排水101の温度が上記温度1より高くなる前の所定の「温度2」にて、以下(a)〜(c)の制御を行う。
【0050】
(a)電動真空弁V4、V5の開と同時に、同時吸気弁V2、V3を開き、大気吸引管108から大気(空気)109を同時吸気弁V2、V3を通して排水吸引管110、111に注入する。このように同時吸気弁V2、V3を開モードに設定することにより、吸引した排水吸引管110、111中の排水101の温度を注入した大気109で下げることができる。
(b)希釈水弁V1を開き、真空吸引装置タンク1内に希釈水供給管106を通して希釈水107を注水する。これにより排水101の温度を下げることができる。
(c)また、上記熱交換器を備えた冷却設備を運転し排水101の温度を下げる。
【0051】
(4)排水101の温度が温度2より低い所定の「温度3」まで下がったら、同時吸気弁V2、V3を閉モード
に設定し、冷却設備
の停止を行う。ここで温度2と温度3の差分は冷却設備の冷却能力を勘案して設定する。
【0052】
(5)真空吸引装置タンク1内の排水101の温度が温度1以上になった場合には、「水温異常高」の警報を出す。また、真空吸引装置タンク1からの排水101の溢水よりも排水収集装置の破損からの保護を優先させる設備においては、電動真空弁V4、V5を
閉とするようにインターロックをかけることもできる。
図6では上記制御のフローを図示している。
【0053】
なお、上記排水収集装置では、水位センサ3で検出した真空吸引装置タンク1内の排水101の水位により、例えば下記のように電動真空弁V4、V5の開閉制御により水位制御を行う。
(イ)水位Lでは電動真空弁V4、V5のいずれも閉じて、真空吸引排水を行なわない。
(ロ)水位が上昇し水位H1になったら、電動真空弁V4を開いて排水吸引管110のみによる吸引排水を行なう。
(ハ)上記(ロ)の吸引排水を行なっても水位が上昇し、水位H2になった
ら、電動真空弁V5を開いて、排水吸引管110と排水吸引管111の両方による吸引排水を行なう。
【0054】
(ニ)上記(ロ)の吸引排水を行なって水位が低下し、水位H1になったら、電動真空弁V4を閉じる。
(ホ)水位が更に下がって、水位Lとなったら、電動真空弁V5も閉じる。
【0055】
上記例では、真空吸引装置タンク1内の排水101の吸引排水を電動真空弁V4、V5を備えた2本の排水吸引管110、111の電動真空弁V4、V5の開閉によって行なっているが、排水吸引管の本数は2本に限定されるものではなく、2本以上の複数本でもよく、それぞれの排水吸引管に備えた電動真空弁の開閉により真空吸引装置タンク1内の排水の水位による真空吸引排水を行なうようにしてもよい。
【0056】
なお、上記実施形態例では、真空吸引装置タンク1内の排水101の温度を温度センサ6で監視し、排水101の温度が所定以上であったら、希釈水供給管106を通して真空吸引装置タンク1内に希釈水107の注水及び大気吸引管108を通して大気109を注気して温度を下げるようにしているが、真空配管112内の真空度を調節することにより、排水吸引管110、111及び真空配管112内の排水101を沸騰させないようにすることも可能である。その時の真空度調節の具体例としては、真空配管112内の空気を吸引して真空度を調節する。また、真空度調節は真空ステーション(一例として
図1のユニット型真空ステーション60を参照)の真空ポンプの運転を排水101の温度によるファジー制御で行なうことも可能である。
【0057】
また、真空配管112内の真空度を調節する手段の一つとして、真空弁部の圧力を圧力センサ5で常時測定し、真空配管112内の真空度を調整する必要がある場合に強制的に空気を吸引して真空度を調整する方法で行うことも可能である。
【0058】
工場排水収集装置において、排水101を冷却する冷却設備を設けることにより、バッファの貯水量を小さくできる。そのため、独立したバッファタンクを設けずに真空吸引装置タンク1に必要最小限度のバッファ容量を備えておけば十分であり、装置の省スペース化が図れる。このようにすることで、電動真空弁V4、V5、希釈水弁V1、及び同時吸気弁V2、V3等の電動弁や制御機構を真空吸引ユニット盤2に組み込む(収納)することができ、更なる省スペース化を図ることができる。
【0059】
また、真空吸引装置タンク1内の配管がシンプルになることから、場合によっては既設の排水収集装置の排水ピットをそのまま流用して真空吸引装置タンク1として活用できる。更に、真空吸引ユニット盤2の配置がある程度離れても問題なく吸引可能のため、真空吸引ユニット盤2を壁面に取り付ける等の装置を構成する機器等の配置自由度が高くなる。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、真空吸引による排水収集装置を、変動する排水を収容する所定バッファ容量を有する真空吸引装置タンクと、真空吸引装置タンク内の排水を真空吸引して所定場所に移送する真空吸引ユニット盤と、排水の温度を検出する温度センサと、排水の温度を低減する排水温度低減手段と、温度センサにより検出した排水温度により排水温度低減手段を運転して排水の温度を所定温度以下に低減する水温制御手段を設けた構成とするので、CIP排水等排水の温度に大きな変化があると想定される場合や、事前にCIP排水の温度を正確に把握することができない場合でも確実に排水収集機能を発揮できると共に、真空吸引装置タンクの容量を小さくでき省スペースで配置自由度の高い温度制御機能を具備する排水収集装置として利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 真空吸引装置タンク
2 真空吸引ユニット盤
3 水位センサ
3−1〜6 電極棒
4 清掃装置
5 圧力センサ
6 温度センサ
10 水温制御部
20 水位制御部
30 真空吸引制御部
40 圧力制御部
101 排水
102 床面
103 信号伝送ライン
104 信号伝送ライン
105 清掃用ホース
106 希釈水供給管
107 希釈水
108 大気吸引管
109 大気
110 排水吸引管
111 排水吸引管
112 真空配管
113 制御ライン
114 制御ライン
115 信号伝送ライン
116 操作制御ライン
117 信号伝送ライン
118 信号伝送ライン
119 信号伝送ライン
V1 希釈水弁
V2 同時吸気弁
V3 同時吸気弁
V4 電動真空弁
V5 電動真空弁
V6 開閉弁
V7 開閉弁
V8 開閉弁
V9 開閉弁
V10 開閉弁
V11 開閉弁