特許第5902085号(P5902085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5902085処理チャンバ内で基板を位置決めするための装置及び処理チャンバ内で基板をセンタリングするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5902085
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】処理チャンバ内で基板を位置決めするための装置及び処理チャンバ内で基板をセンタリングするための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20160331BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20160331BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01L21/68 G
   H01L21/68 N
   H01L21/302 101G
   H01L21/205
   H01L21/324 Q
   C23C16/458
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-523640(P2012-523640)
(86)(22)【出願日】2010年7月26日
(65)【公表番号】特表2013-502052(P2013-502052A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】US2010043274
(87)【国際公開番号】WO2011017060
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2013年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/232,172
(32)【優先日】2009年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】デュ ボワ, デイル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ロチャ−アルバレス, フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】バルジャ, サンジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】バラサブラマニアン, ガネシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤップ, リピオウ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ジアンフア
(72)【発明者】
【氏名】ノワック, トーマス
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177507(JP,A)
【文献】 特開2009−060063(JP,A)
【文献】 特開2006−310709(JP,A)
【文献】 特開2007−220868(JP,A)
【文献】 特開平07−102372(JP,A)
【文献】 特開2004−087571(JP,A)
【文献】 特開平11−040656(JP,A)
【文献】 特開2001−274226(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0017228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
C23C 16/458
H01L 21/205
H01L 21/3065
H01L 21/324
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で基板を位置決めするための装置であって、
前記基板を受けるように適合された支持表面を有する支持体ベースと、
前記支持表面から一定の距離に当該支持表面に平行に前記基板を支持するため、かつ前記支持表面に実質的に直交する基準軸を中心として前記基板をセンタリング、前記支持表面の周辺に沿って可動に配置された前記複数のセンタリングフィンガと
を備えており、前記複数のセンタリングフィンガの各々が、
前記基板の周辺エッジに接触するため、または支持するための第1の端部
を備えており、前記第1の端部が、
前記基板の前記周辺エッジと解放可能に接触するために、前記支持体ベースの前記支持表面の上方に延びた上端部と、
前記上端部上に配置された支持タブと、
前記基板を支持するために、前記支持タブと前記上端部との交差部によって形成された基板支持ノッチと
を備え、
前記複数のセンタリングフィンガは、前記第1の端部が第1の位置から第2の位置へと移動する後退運動と、前記第1の端部が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動する前進運動とを有するセンタリングシーケンスを実行するように構成され、
前記後退運動により、前記センタリングフィンガが前記基板の前記周辺エッジから解放され、前記解放により前記基板は前記支持表面に載置され、前記前進運動により、前記センタリングフィンガが、前記支持表面に載置された前記基板を前記基準軸に向かって押すことによって、前記基板は前記センタリングフィンガによって位置決めされる、
装置。
【請求項2】
前記支持体ベースが、前記支持体ベースおよびその上に配置された前記基板を制御可能に所定の温度に加熱するように動作可能な少なくとも1つの埋め込みヒータを封入する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理チャンバ内の剥離および粒子汚染を減少させるために、前記基板の前記周辺エッジ、前記支持体ベース、および前記複数のセンタリングフィンガ上への堆積を防止するように配置された周囲を囲むシャドウフレームをさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基板の裏側の温度プロファイルを示す測定基準を提供するための光ファイバ温度センサであって、前記支持体ベース中に配置される光ファイバ温度センサ
をさらに備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記基板が前記センタリングフィンガによって支持されているときに、前記基板の裏側への堆積によって生じる粒子汚染を防止するために前記基板の前記裏側にパージガスを供給するためのパージガス源に連結された1つまたは複数のパージガス注入口であって、前記支持体ベース中に配置される1つまたは複数のパージガス注入口
をさらに備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の端部を移動させるために前記複数のセンタリングフィンガの各々と相互に作用させるための対向部材をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記対向部材が、前記第2の位置に向けて前記複数のセンタリングフィンガの各々の前記第1の端部を移動させるように構成されており、前記複数のセンタリングフィンガの各々が前記第1の位置に向けて個々にバイアスされ、前記複数のセンタリングフィンガからのバイアス力の組み合わせが、前記基準軸を中心として前記基板をセンタリングする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センタリングフィンガの各々が、
前記支持体ベースに対して前記センタリングフィンガをピボット回転するように取り付けているシャフトから偏心した重り付き部分であって、前記シャフトの前記第1の端部とは反対側に配置され、前記第1の位置へと前記センタリングフィンガをバイアスするように構成されている重り付き部分
をさらに備えている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記対向部材の可動部材に連結されたモータの動作信号をモニタするように構成されたコントローラであって、前記対向部材が前記第1の位置に向けて前記複数のセンタリングフィンガの各々の前記第1の端部を移動させるように構成されており、前記モータの前記動作信号をモニタすることによってセンタリングの終点を決定するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記センタリングフィンガの各々が、セラミック、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム、およびこれらの組み合わせを含む材料で作られる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
処理チャンバ内で基板をセンタリングするための方法であって、
埋め込みヒータおよび基板を受けるように適合された加熱された支持表面を有する基板支持を設けるステップと、
前記支持表面に実質的に直交する基準軸のところに中心を置く円に沿って配置された複数のセンタリングフィンガを設けるステップであって、各センタリングフィンガが、
前記基板の周辺エッジに接触するように構成された端部であって、前記基準軸に向けておよび前記基準軸から、半径方向に移動可能である端部と、
前記端部上に配置された支持タブと、
前記基板支持体の前記支持表面から一定の距離に前記基板を支持するために、前記支持タブおよび前記端部の交差部のところに形成された基板支持ノッチと、
を備えた、複数のセンタリングフィンガを設けるステップと、
前記複数のセンタリングフィンガの各々の前記基板支持ノッチに前記基板を配置するステップと、
前記基板の第1の処理温度で前記基板に対して事前処置プロセスを実行するステップと、
前記支持タブから前記基板を取り除くステップと、
前記基準軸から半径方向の外側に向けておよび前記基準軸から離れる方向に、各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップと、
前記基板支持体上に前記基板を置くステップであって、前記基板および前記センタリングフィンガが接触しないステップと、
前記基板をセンタリングするために、前記基板の周辺エッジと接触するように半径方向の内側に向けて各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップと、
前記センタリングフィンガの前記端部を用いて前記基板を位置決めするステップと、
前記基板の第2の処理温度で前記基板に対して堆積プロセスを実行するステップであって、前記第1の処理温度が前記第2の処理温度とは異なるステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記加熱された支持表面と前記基板との間の熱抵抗が前記ヒータの設定点温度を変更せずに前記基板上に異なる温度を生じさせるように、前記加熱された支持表面と前記基板との間の前記距離を選択する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップが、前記基板支持体上に取り付けられたシャフトの周りで前記センタリングフィンガの各々をピボット回転させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
半径方向の内側に向けて各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップが、前記センタリングフィンガに偏心させて連結された重り付き部分を解放するステップを含み、半径方向の外側に向けて各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップが、対向部材を用いて前記重り付き部分を上昇させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
半径方向の内側に向けて各センタリングフィンガの前記端部を移動させるステップが、
対向部材を使用してシャフトから前記センタリングフィンガをピボット回転させるステップと、
前記対向部材を駆動するモータの動作信号をモニタするステップであって、前記動作信号が前記センタリングフィンガから前記基板へと加えられるセンタリング力に対応するステップと、
前記センタリング力が臨界値に達したときに前記対向部材を停止させるステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に半導体基板を処理するための装置および方法に関する。詳細には、本発明の実施形態は、チャンバ内の基板を加熱するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板製造プロセスの有効性は、2つの関連し重要な要因によって多くの場合測定され、その要因は、デバイス歩留りおよび所有コスト(CoO)である。これらの要因が電子デバイスを生産するためのコスト、したがって市場におけるデバイス製造業者の競争力に直接影響するので、これらの要因は重要である。多数の要因によって影響されるがCoOは、システムおよびチャンバスループット、すなわち、単純に、所望の処理シーケンスを使用して処理される時間当たりの基板枚数によって大きく影響される。
【0003】
例えば、化学気相堆積プロセス(CVD)またはプラズマ化学気相堆積プロセス(PECVD)などのある種の基板処理シーケンス中には、堆積プロセスを実行することに先立って基板を事前処置することが望ましいことがある。ある種の事前処置プロセスでは、堆積プロセスに先立って第1の温度に、例えば、アニールプロセスを使用して、基板を加熱することができる。堆積プロセス中には、第1の温度とは異なる第2の温度に、基板を加熱する。多くの堆積プロセスに関して、基板を、ヒータを備えた基板支持体上に置く。このヒータを、第1の温度および第2の温度の両方に基板を加熱するために使用する。第1の温度と第2の温度との間にある差異があるとき、例えば、第2の温度が第1の温度よりも高いときには、ヒータの温度を第1の温度から第2の温度へと高くすることができるように、事前処置プロセスと堆積プロセスとの間に遅延がある。この遅延は、基板処理時間の全体的な増加もたらし、対応するデバイス歩留りの低下をもたらす。
【0004】
したがって、コスト効率が高く正確な方法で処理チャンバ内に基板を配置し加熱することができる装置およびプロセスが求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、概して、半導体基板を処理するための装置および方法に関係する。詳細には、本発明の実施形態は、チャンバ内の基板を加熱するための装置および方法に関係する。一実施形態では、処理チャンバにおいて基板を配置するための装置を提供する。本装置は、基板を受けるように適合された支持表面を有する基板支持アセンブリと、支持表面から一定の距離に当該支持表面に平行に基板を支持するため、かつ支持表面に実質的に直交する基準軸を中心として基板をセンタリングするための複数のセンタリング部材とを備える。複数のセンタリング部材が、支持表面の周辺に沿って可動に配置され、複数のセンタリング部材の各々が、基板の周辺エッジに接触するため、または支持するための第1の端部を備え、第1の端部が、基板の周辺エッジと解放可能に接触するために、基板支持体の支持表面の上方に延びた上端部と、上端部上に配置された支持タブと、基板を支持するために、支持タブと上端部との交差部によって形成された基板支持ノッチとを備える。第1の端部が、第1の位置と第2の位置との間で可動である。第1の位置から第2の位置への移動により、センタリング部材が基板の周辺エッジから解放され、第2の位置から第1の位置への移動により、センタリング部材が、基準軸に向かって基板を押すか、または基板を支持するように位置決めされる。
【0006】
別の一実施形態では、処理チャンバ内で基板をセンタリングするための方法を提供する。埋め込みヒータおよび基板を受けるように適合された加熱された支持表面を有する基板支持体が提供される。支持表面に実質的に直交する基準軸のところに中心を置く円に沿って配置された複数のセンタリング部材が提供される。各センタリング部材は、基板の周辺エッジに接触するように構成された端部を備え、端部は、基準軸に向けておよび基準軸から、半径方向に移動可能である。支持タブが端部上に配置され、基板支持ノッチが、基板支持体の支持表面から一定の距離に基板を支持するために、支持タブおよび端部の交差部のところに形成される。基板が複数のセンタリング部材の各々の支持タブ上に配置される。事前処置プロセスが基板の第1の処理温度で基板に対して実行される。基板が支持タブから取り除かれる。各センタリング部材の端部を、基準軸から半径方向の外側に向けておよび基準軸から、移動させる。基板が基板支持体上に置かれ、このとき基板とセンタリング部材は接触しない。各センタリング部材の端部が、基板をセンタリングするために、基板の周辺エッジと接触するように半径方向の内側に向けて移動する。基板がセンタリング部材の端部を用いて配置される。堆積プロセスが基板の第2の処理温度で基板に対して実行され、この場合第1の処理温度が第2の処理温度とは異なる。
【0007】
本発明の上述した特徴を詳細に理解することができるように、上記に簡潔に要約されている本発明のより詳しい説明を、その一部が添付した図面に図示されている実施形態を参照することによって知ることができる。しかしながら、添付した図面が本発明の典型的な実施形態だけを図示し、本発明が他の同様に有効な実施形態を許容することができるので、それゆえ、本発明の範囲を限定するようには見なされないことに、留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書において説明する実施形態によるPECVDシステムの一実施形態の模式的断面図である。
図2A】支持位置における図1のセンタリングフィンガの一実施形態の部分拡大断面図である。
図2B】センタリング位置における図1のセンタリングフィンガの一実施形態の部分拡大断面図である。
図2C】係合をはずれた位置における図1のセンタリングフィンガの一実施形態の部分拡大断面図である。
図3A】基板を支持するために3個のセンタリングフィンガを使用するセンタリング機構の一実施形態の簡略化した俯瞰図である。
図3B】基板をセンタリングするために3個のセンタリングフィンガを使用するセンタリング機構の一実施形態の簡略化した俯瞰図である。
図4】偏心した重り付き部分を有するセンタリングフィンガの一実施形態を示す断面図である。
図5A】支持位置におけるセンタリングフィンガの一実施形態を図示する部分断面図である。
図5B】センタリング位置におけるセンタリングフィンガの一実施形態を図示する部分断面図である。
図5C】係合をはずれた位置におけるセンタリングフィンガの一実施形態を図示する部分断面図である。
図6】センタリングフィンガの一実施形態を図示する部分断面図である。
図7】センタリングフィンガの一実施形態を図示する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能である場合には、複数の図に共通な同一の要素を示すために、同一の参照番号を使用している。一実施形態において開示した要素を、具体的な記述がなくとも別の実施形態において利益をもたらすように利用することができることが予想される。
【0010】
本明細書において説明する実施形態は、基板に多様な半導体プロセスを適用するように構成された様々なチャンバシステム用に適用可能な、基板を加熱し、センタリングするための装置および方法に関係する。実施形態が堆積チャンバにおける使用について例示的に説明しているが、ある実施形態は、基板を加熱することおよびセンタリングすることを必要とする他のタイプのプロセスチャンバ用に適用可能である場合がある。例は、限定するのではなく、ロードロックチャンバ、テスティングチャンバ、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、および熱処置チャンバを含む。
【0011】
図1は、センタリング機構140を有するPECVDシステム100の一実施形態の模式的断面図である。システム100は、ガス源104に連結されたプロセスチャンバ102を含む。プロセスチャンバ102は、プロセス容積110を部分的に画定する壁106および底部108を有する。プロセスチャンバ102中へのおよび外への基板112の移動を容易にする壁106中に形成されたポート101を通して、プロセス容積110をアクセスすることができる。壁106および底部108を、アルミニウムまたは処理と適合性がある他の材料の一体成型のブロックから製造することができる。壁106は、リッドアセンブリ114を支持する。プロセスチャンバ102を、真空ポンプ116によって真空にすることができる。
【0012】
温度制御した基板支持アセンブリ120を、プロセスチャンバ102内部の中心に配置することができる。支持アセンブリ120は、処理中に基板112を支持することができる。一実施形態では、支持アセンブリ120は、所定の温度に支持アセンブリ120およびその上に配置された基板112を制御可能に加熱するように動作可能な少なくとも1つの埋め込みヒータ103を封入することができるアルミニウム製の支持体ベース122を備える。一実施形態では、支持アセンブリ120は、堆積しようとする材料のための堆積処理パラメータに応じて、摂氏約150度(℃)から摂氏約1,000度(℃)までの間の温度で基板112を維持するように動作することができる。一実施形態では、支持アセンブリは、アニールプロセスなどの事前処置プロセス中に、摂氏約250度(℃)から摂氏約270度(℃)の間の温度で基板112を維持するように動作することができる。一実施形態では、支持アセンブリは、堆積プロセス中に、摂氏約350度(℃)から摂氏約400度(℃)の間の温度で基板112を維持するように動作することができる。
【0013】
支持アセンブリ120は、上側支持表面124および下側表面126を有することができる。上側支持表面124は、基板112を支持する。下側表面126は、下側表面に連結されたステム128を有することができる。ステム128は、上昇した処理位置と下降した位置との間で垂直に支持アセンブリ120を移動させ、プロセスチャンバ102へのおよびそこからの基板搬送を容易にするリフトシステム131に支持アセンブリ120を連結する。ステム128は、パージガス用ならびに、支持アセンブリ120とシステム100の他の構成要素との間の電気的モニタリード線および温度モニタリード線用の導管を付加的に提供する。ベローズ130を、ステム128とプロセスチャンバ102の底部108との間に連結することができる。ベローズ130は、支持アセンブリ120の垂直な移動を容易にしながら、プロセス容積110とプロセスチャンバ102の外の大気との間の真空シールを提供する。
【0014】
基板112の搬送を容易にするために、支持体ベース122はまた、複数の開口部133を含み、そこを通りリフトピン132が移動できるように取り付けられる。リフトピン132は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように動作可能である。図1に示した第1の位置は、基板112を支持体ベース122の上側支持表面124上に載せることを可能にする。第2の位置(図示せず)は、ポート101を通ってくる基板ハンドリングロボットへ基板112を搬送することができるように、支持体ベース122の上方に基板112を上昇させる。リフトピン132の上方への移動/下方への移動を、アクチュエータ136に接続された可動プレート134によって駆動することができる。
【0015】
リッドアセンブリ114と支持体ベース122(またはチャンバのリッドアセンブリの内部もしくは近くに配置された他の電極)との間に配置されたガス分配プレートアセンブリ141へ電源138によって供給されるRF電力が、支持体ベース122と分配プレートアセンブリ141との間のプロセス容積110内に存在するガスを励起させることができるように、支持体ベース122を電気的に接地することができる。化学気相堆積プロセスを推進させるために、電源138からのRF電力を、基板112のサイズに合わせて選択することができる。
【0016】
支持アセンブリ120は、支持体ベース122の基板支持面に直交する垂直基準軸Zに対して基板112をセンタリングするように動作可能なセンタリング機構140をさらに備える。センタリング機構140はまた、支持体ベース122の表面に平行な一定の距離に基板112を支持するように動作可能である。センタリング機構140は、支持体ベース122の周辺のところに配置された3個以上の可動センタリングフィンガまたは部材142、およびフィンガ142の下方に置かれた対向プレート144を備える。各フィンガ142を、シャフト146を介して支持体ベース122上にピボット回転するように取り付ける。対向プレート144が、解放位置にあるフィンガ142と接触することおよびピボット回転させることができ、かつセンタリング位置または支持位置にあるフィンガ142から自由な状態を維持することができるように、対向プレート144および支持体ベース122は、相対的に移動可能である。
【0017】
一実施形態では、対向プレート144が静止しており、支持体ベース122と対向プレート144との間の相対的な移動は、支持体ベース122の垂直な移動によるものある。支持体ベース122上に配置された基板112がないときには、フィンガ142は、図2Aに示したように基板112を支持するための支持位置に係合する。基板112が支持体ベース122上に配置されている場合に、フィンガ142は、支持アセンブリ120が図1および図2Bに示したように上昇した位置にあるときには、基板112をセンタリングするために基板112の周辺エッジ上に係合し、支持アセンブリ120が図2Cに示したように下降した位置にあるときには、基板112の周辺エッジからの係合をはずれる。センタリング機構140およびその動作のさらに詳細を、以降に説明する。
【0018】
プロセスチャンバ102は、周囲を囲むシャドウフレーム150を付加的に含むことができる。プロセスチャンバ102内の剥離および粒子汚染を減少させるために、基板112のエッジ、支持アセンブリ120、およびセンタリング機構140のところへの堆積を防止するように、シャドウフレーム150を配置する。
【0019】
リッドアセンブリ114は、プロセス容積110に対する上部境界を与える。プロセスチャンバ102を保守点検するために、リッドアセンブリ114を取り外すまたは開放することができる。一実施形態では、リッドアセンブリ114をアルミニウムから製造することができる。
【0020】
リッドアセンブリ114は、注入ポート160を含むことができ、ここを通って、ガス源104によって与えられるプロセスガスをプロセスチャンバ102中へと導入することができる。ガス分配プレートアセンブリ141を、リッドアセンブリ114の内部側に連結することができる。ガス分配プレートアセンブリ141は、面板(またはシャワーヘッド)166までの中間に配置されたブロッカプレート164を有する環状ベースプレート162を含む。ブロッカプレート164は、面板166の裏側へ均等なガス分布を与える。注入ポート160からの処理ガスは、環状ベースプレート162とブロッカプレート164との間に部分的に制限された第1の中空容積168に入り、次にブロッカプレート164と面板166との間の第2の容積172中へとブロッカプレート164中に形成された複数の通路170を通って流れる。処理ガスは、次に第2の容積172から面板166中に形成された複数の通路174を通ってプロセス容積110に入る。面板166を、絶縁体材料176を介して絶縁する。環状ベースプレート162、ブロッカプレート164および面板166を、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化したアルミニウム、ニッケルまたはいずれかの他のRF導電性材料から製造することができる。
【0021】
面板166と支持体ベース122との間でのプラズマの発生を促進させるために、電源138は、環状ベースプレート162へ無線周波数(RF)バイアス電位を印加する。電源138は、約13.56MHzでRF電力を発生させることができる高周波数RF電源(「HFRF電源」)、または約300kHzでRF電力を発生する低周波数RF電源(「LFRF電源」)を含むことができる。LFRF電源は、低周波数発生素子および固定整合素子の両方を与える。HFRF電源は、固定整合を用いる使用のために設計され、負荷へ供給される電力を調整し、進行電力および反射電力に関する懸念を取り除く。
【0022】
図1に示したように、コントローラ180は、基板処理システムの様々な構成要素と連動することができ、制御することができる。コントローラ180は、中央処理ユニット(CPU)182、サポート回路184およびメモリ186を含むことができる。
【0023】
基板112を、ロボットまたは他の搬送機構(図示せず)とすることができる運搬装置によってチャンバ102内のリフトピン132へと搬送し、次にリフトピン132を下に向けて移動させることによって支持アセンブリ120の上側支持表面124上に置く。下記に論じられるように、センタリング機構140を、次に基準軸Zに関して基板112をセンタリングするように動作させる。
【0024】
一実施形態では、基板112の裏側の温度をモニタするために、1つまたは複数の温度センサ190を配置する。一実施形態では、基板112の裏側の温度プロファイルを示す測定基準を提供するために、光ファイバ温度センサなどの1つまたは複数の温度センサ190をコントローラ180へ連結する。一実施形態では、埋め込みヒータ103の温度を制御するために、1つまたは複数の温度センサ190によって提供されるデータを、フィードバックループ中で使用することができる。一実施形態では、1つまたは複数の温度センサを、支持体ベース中に配置する。
【0025】
一実施形態では、パージガス源194に接続された1つまたは複数のパージガス注入口192を通して基板112の裏側へ、パージガスを与えることができる。基板112がセンタリング機構140によって支持されているときに、基板112の裏側に向かって流れたパージガスは、基板112の裏側上への堆積によって生じる粒子汚染を防止することに役立つ。基板112の裏側を冷却する温度制御のある形式として、パージガスをやはり使用することができる。一実施形態では、1つまたは複数の温度センサ190によって提供されるデータに応じて、パージガスの流れを制御することができる。
【0026】
図2Aは、支持位置における図1のセンタリングフィンガ142の一実施形態の部分拡大断面図である。図2Aに示したように、支持位置では、基板112は、センタリングフィンガ142上に載る。センタリングフィンガ142上に載っている間は、支持アセンブリ144の表面から距離「A」のところに、基板112を配置する。基板が支持アセンブリ122の上側支持表面124上に載っているときと比較して、ヒータ103の設定点温度を変更することを必要とせずに、基板112とヒータ103との間の熱抵抗が、上昇した基板112上に異なる温度をもたらすように、基板112と支持体ベース122の上側支持表面124との間の距離「A」を選択する。ヒータ103の設定点温度を変更せずに基板112の温度を変更する能力は、ヒータが処理ステップ間に温度を上げるためまたは温度を下げるためのいずれかのために待つ遅延なしに連続したプロセスステップを実行することを可能にする。したがって、基板処理時間の全体的な短縮および対応するデバイス歩留りの増加に導く。
【0027】
センタリングフィンガ142を、一体成型で作ることができる、または複数の構成要素部品のアセンブリから形成することができる。フィンガ142用に使用する材料は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、セラミックス、および類似の材料、または低熱膨張係数を有しチャンバ102内の処理環境に耐性のあるこれらの組み合わせを含むことができる。フィンガ142は、支持体ベース122の下側表面126から突き出しているジョイントブロック290にシャフト146を介してピボット回転するように取り付けられ、支持体ベース122の周辺領域中のスロット292を貫通する。フィンガ142の上端部294は、支持体ベース122の支持表面124と解放可能に接触するように、支持体ベース122の支持表面124の上方に延びる。基板112を支持するための支持タブ298を、フィンガ142の上端部294上に配置する。基板支持ノッチ299を、支持タブ298と上端部294との交差部のところに形成する。フィンガ142の下端部296を、シャフト146から偏心させて置く。下端部296は、支持体ベース122の支持表面124と接触する位置へと重力作用によってフィンガ142をバイアスするために重くされる。図示したように、フィンガ142が対向プレート144と離れると、これは実装形態の一例では支持アセンブリ120を上に向けて移動させることによって実現することができ、下端部296に働いた重力作用Gが、これによってフィンガ142をシャフト146の周りでピボット回転させ、その結果、上端部294が支持体ベース122の支持表面124と接触するように半径方向の内側に向けて移動する。図3Aおよび図3Bにおいてさらに論じるように、3個以上のフィンガ242が、基板212の周辺に沿って均等に分布し、基板112を支持するために連係して移動する。
【0028】
図2Bは、センタリング位置における1つのセンタリングフィンガ142を図示する部分拡大断面図である。図2Bに示したように、フィンガ142が対向プレート144と離れると、これは実装形態の一例では支持アセンブリ120を上に向けて移動させることによって実現することができ、下端部296に働いた重力作用Gが、これによってフィンガ142をシャフト146の周りでピボット回転させ、その結果、上端部294が接触するように半径方向の内側に向けて移動し、基準軸Zに向かう方向に基板112の周辺エッジ上に移動力Fを働かせる。上端部294の厚さを基板112の上面よりもわずかに高く設計することができることは、注目に値する。移動力Fが上端部294によって加えられるときに、基板112の周辺エッジが、これによって上端部294を超えてスリップすることを防止することができる。
【0029】
基板112を解放するために、図2Cは、係合をはずれた位置におけるセンタリングフィンガ142を図示する部分拡大断面図である。対向プレート144に対して接触するようにフィンガ142の下端部296を押すように、支持体ベース122を下に向けて移動させることができ、これは下端部296に働いた重力作用と反対に作用する。結果として、上端部294が基板112の周辺エッジとは接触しないように移動するように、フィンガ142を反対方向にピボット回転させる。
【0030】
上に説明してきたように、センタリング機構140の構造は、したがって、各センタリングフィンガ142をバイアスするために重力作用を使用することによって、基板112を自動的に支持することができる。支持アセンブリ120上のセンタリングフィンガ142の位置は、中心までの基板の外形形状に依存することがある。
【0031】
図3Aは、3個のセンタリングフィンガ142を支持体ベース122から一定の距離に円形基板112を支持するために使用することができる一実施形態の簡略化した俯瞰図である。3個のセンタリングフィンガ142を、基準軸Z上に中心を置く円の周りに一定間隔で配置する。各フィンガの各支持タブ298および上端部294の組み合わせが、円形基板112のエッジを支持するためのポケットを形成する。図示しない他の実施形態では、より多くのセンタリングフィンガを、異なる外形形状の他の基板を支持するために異なる配列で配置することができる。
【0032】
図3Bは、基板112をセンタリングするために3個のセンタリングフィンガを使用するセンタリング機構140の一実施形態の簡略化した俯瞰図である。3個のセンタリングフィンガ142を、基準軸Z上に中心を置く円の周りに一定間隔で配置し、各フィンガ142は、円形基板112をセンタリングするために半径方向移動力Fを与えることが可能である。図示しない他の実施形態では、より多くのセンタリングフィンガを、異なる外形形状の他の基板をセンタリングするために異なる配列で配置することができる。
【0033】
基板112を効果的にセンタリングするために、各センタリングフィンガ142はまた、基板112を移動させるために十分な大きさの移動力Fを与える必要があり、これは、重り付き下端部296中に含まれる重量に関係する。一実装形態では、含まれる重量を、約10グラムから約500グラムの間の範囲とすることができる。より大きなサイズの非常に重い下端部296を形成することによるなどの、様々な方法を、下端部296中に適正な重量を含ませるように実装することができる。
【0034】
図4は、より大きな質量密度の埋め込み固体材料402を、センタリングフィンガ242の重り付き下端部296を形成するために使用することができる変形実施形態を図示する。フィンガ142中に固体材料402を埋め込む方法は、例えば、固体材料402の周りにフィンガ142を作るために使用するセラミック材料をシンタリングすることを含むことができる。固体材料402を、モリブデンまたはフィンガ142用に使用する周囲の材料よりも大きな質量密度の他の適した材料とすることができる。重り付き下端部296のサイズに制限を与えることがある実装形態では、より大きな質量密度の埋め込み材料402の使用が、サイズを大きくせずに重り付き下端部296の重量を効果的に大きくすることを可能にする。
【0035】
前述の実施形態が、センタリング機構を実装し動作させるためのある種の特定の方法を図示しているが、多くの変形形態を想定することができる。例えば、以降に説明する代替実施形態では、他の構成を各センタリングフィンガ用に実装することができる。
【0036】
図5A図5Cは、センタリングフィンガ542の別の一実施形態を図示する部分断面図である。センタリングフィンガ542は、シャフト546を介して、支持体ベース122の外側境界の外へ延びるブラケット543にピボット回転するように取り付けられる。支持体ベース122の支持表面を、基板112の表面積よりも小さくすることができ、その結果、支持体ベース122上の所定の位置に置かれている基板112の周辺部分が支持体とは接触しない。上に説明した実施形態のように、フィンガ542は、フィンガが図5Bに示したようにセンタリング位置にあるときに基板112の周辺エッジと接触する上端部594、およびフィンガ542が図5Aに示したように支持位置にあるときに基板を支持するための支持タブ598を含む。フィンガ542は、フィンガ542が支持位置にあるときに支持体ベース122の表面に対する位置へとフィンガ542を斜めにするために、シャフト546から偏心した重り付き下端部596をさらに含む。重り付き下端部596はまた、フィンガ542がセンタリング位置にあるときに、基板112の周辺エッジに対してフィンガ542をバイアスする。それに加えて、フィンガ542は、シャフト546に関して下端部596とは反対側であり、対向プレート544の下方に配列された遠位プロング590を含む。図5Aに示したように、基板112を支持するために、センタリングフィンガ542の下端部596は、フィンガ542をバイアスし、上端部594を支持体ベース122の表面に接触させる重力作用Gを受ける。図5Bに示したように、基板112をセンタリングするために、センタリングフィンガ542の下端部596は、フィンガ542を斜めにし、基板112の周辺エッジ上への移動力Fを上端部594に加えさせる重力作用Gを受ける。
【0037】
図5Cに示したように、基板112の周辺エッジまたは支持体ベース122の表面から上端部594の係合をはずすために、遠位プロング590が対向プレート544と接触するように、支持アセンブリ120を上に向けて移動させることができる。支持アセンブリ120が対向プレート544に対してさらに上に向かって動くので、下端部596における重力作用が勝り、フィンガ542がシャフト546の周りを回転して、基板112の周辺エッジから上端部594の係合をはずす。一実施形態では、センタリングすると、処理中にフィンガ542を解放することができ、したがって、上端部594上への望ましくない堆積を防止し、フィンガ542の存在に起因するプロセスの不均一性を減少させる。対向プレート544に対してフィンガ542を運搬する支持アセンブリ120を移動させる代わりに、代替実施形態が、遠位プロング590と接触し、上端部594に基板112からの係合をはずさせるために、支持アセンブリ120に対して移動可能である対向プレート544を設計することができることは、注目に値する。
【0038】
図6は、センタリングフィンガ642の別の一変形実施形態を図示する部分断面図である。前の実施形態のように、センタリングフィンガ642を、シャフト646を介して支持体ベース122上にピボット回転するように取り付ける。センタリングフィンガ642は、基板112を支持する上端部694および支持タブ698、ならびに重力作用のもとでフィンガ642をバイアスするためにシャフト646から偏心した重り付き下端部696を含む。しかしながら、前の実施形態とは異なり、シャフト646に対する下端部696の偏心度を、基板112から上端部694の係合をはずす位置へとフィンガ642をバイアスするように構成する。センタリングフィンガ642を支持位置に配置するために、サーボモータまたはステップモータ652およびコントローラ654に連結された対向プレート650を、フィンガ642と相互に作用するように制御可能に移動させる。より具体的には、対向プレート650は、下端部696を押し、フィンガ642をシャフト646の周りをピボット回転させ、バイアスされた位置から離れさせるために上に向けて移動する。コントローラ654は、モータ652から動作信号653を受信し、それに応じて、モータ652の出力を制御するためにモータ652へ制御信号を発する。対向プレート650の上に向かう移動の制御された範囲は、これによって、基板112を移動させ支持するように、上端部694の制御された変位を生じさせる。
【0039】
センタリングフィンガ642がセンタリング位置にある実施形態では、支持タブ698が、基板112の周辺エッジに接触し、重り付き下端部696が、重力作用のもとでフィンガ642をバイアスするようにシャフト646から偏心して移動する。
【0040】
一実施形態では、コントローラ654は、動作信号653を使用して各センタリングフィンガ642によって中心に置かれる基板に加えられる力をモニタする。一実施形態では、動作信号653を、モータ652のトルクとすることができる。動作信号653、例えば、モータ652のトルクが、中心に置かれる基板に加えられる力が所定の大きさに達したことを示す臨界値に達するときには、したがって、基板が的確に中心に置かれる。コントローラ654は、次に、過度なセンタリングを回避するためにモータ652を止め、したがって、基板への損傷を防止する。
【0041】
基板112から上端部694の係合をはずすために、対向プレート650が下に向けて移動し、これが重り付き下端部696上に加えられる重力作用のもとでフィンガ642をバイアスした位置に回復させる。
【0042】
図7は、センタリングフィンガ742のさらに別の一実施形態を図示する部分断面図である。センタリングフィンガ742を、支持体ベース122とは別のフレーム748上に固定して取り付けられた第1の端部752、および支持体ベース122中に形成された開口部756を通り支持体ベース122の上方に延びる第2の端部754を有する引き延ばしたセラミックばねなどの、弾性部材として形成する。第2の端部754は、センタリングフィンガ742が支持位置にあるときに基板112を支持するための支持レッジ758を備える。一実施形態では、基準軸Zに関して基板112をセンタリングするために、基板112の周辺エッジを基準軸Zに向かって押すように、フィンガ742をバイアスする。基板112との接触からフィンガ742の係合をはずすために、対向するアクチュエータ760を、フィンガ742と相互に作用するように制御可能に移動させることができる。アクチュエータ760は、フィンガ742と接触することができ、フィンガ742を押して基板112からの係合をはずすために、フィンガをバイアスした位置から離れる方向へ曲げる。
【0043】
プロセス:
処理チャンバ内で基板をセンタリングするための方法をやはり提供する。図2A図2Cを参照して論じたが、これらの方法が、基板を加熱することおよびセンタリングすることを含む任意の処理システムに適用可能であることを、理解すべきである。
【0044】
一実施形態では、埋め込みヒータ103および基板112を受けるように適合された加熱された支持表面124を有する基板支持アセンブリ120を提供する。支持表面124に実質的に直交する基準軸「Z」のところに中心を置く円に沿って配置された複数のセンタリング部材142を提供する。各センタリング部材142は、基板112の周辺エッジと接触するように構成された端部294を備え、端部294は、基準軸「Z」に向けておよび基準軸「Z」から、半径方向に移動可能である。支持タブ298を、端部294上に配置し、基板支持アセンブリ120の支持表面124から距離「A」のところに基板112を支持するために、基板支持ノッチ299を支持タブ298および端部294の交差部のところに形成する。一実施形態では、加熱された支持表面124と基板112との間の熱抵抗がヒータ103の設定点温度を変更せずに基板112上に異なる温度をもたらすように、加熱された支持表面124と基板112との間の距離「A」を選択する。
【0045】
一実施形態では、基板112を、複数のセンタリング部材142の各々の支持タブ298上に配置する。一実施形態では、複数のセンタリング部材142の各々の各支持タブ298および上端部294の組み合わせが、円形基板112のエッジを支持するためのポケットを形成し、基板112を、ポケット内に配置する。
【0046】
一実施形態では、事前処置プロセスを、基板112の第1の処理温度で基板112に実行する。一実施形態では、事前処置プロセスは、アニールプロセスである。一実施形態では、アニールプロセスを、約250℃と約270℃との間の基板温度で実行する。
【0047】
一実施形態では、事前処置プロセスの後で、基板112を支持タブ298から取り除く。各センタリング部材142の端部294を、基準軸「Z」から半径方向の外側に向けておよび基準軸「Z」から離れる方向へ移動させる。基板112を、基板支持アセンブリ120上に置き、基板112およびセンタリング部材142は接触しない。基板112をセンタリングするために基板112の周辺エッジと接触するように、各センタリング部材142の端部294を、半径方向の内側に向けて移動させる。基板112を、センタリング部材142の端部294を使用してセンタリングする。
【0048】
一実施形態では、基板112を中心に置いた後で、堆積プロセスを、基板の第2の処理温度で基板112上に実行し、第1の処理温度は第2の処理温度とは異なる。一実施形態では、第2の処理温度は、約350℃と約400℃との間である。
【0049】
一実施形態では、ヒータ103の設定点温度は、事前処置プロセスおよび堆積プロセスの両方について同じである。一実施形態では、ヒータ103の設定点温度は、堆積プロセスの温度と同じである。一実施形態では、ヒータ103の設定点温度は、約350℃と約400℃との間である。
【0050】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の別の実施形態およびさらなる実施形態を、本発明の基本的な範囲から乖離せずに考案することができ、本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決められる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7