特許第5903135号(P5903135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5903135研磨終点検出装置、及び研磨終点検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903135
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】研磨終点検出装置、及び研磨終点検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20160331BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20160331BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20160331BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20160331BHJP
   G01B 11/06 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01L21/304 622S
   B24B37/04 K
   B24B49/04 Z
   B24B49/12
   H01L21/66 P
   G01B11/06 G
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-158335(P2014-158335)
(22)【出願日】2014年8月4日
(62)【分割の表示】特願2010-156245(P2010-156245)の分割
【原出願日】2010年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-8303(P2015-8303A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】永井 大智
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−009679(JP,A)
【文献】 特開2010−062251(JP,A)
【文献】 特開2010−067918(JP,A)
【文献】 特開2010−073719(JP,A)
【文献】 特開2010−115726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/013
B24B 49/04
B24B 49/12
G01B 11/06
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨中のウェハの表面に白色光を入射し、前記ウェハから反射された反射光を分光して得られる分光波形を解析して、Si基板上にSiN膜をコーティングし、さらに、表面層にSiO2膜を形成したSTI用のウェハの研磨終了時点を検出する研磨終点検出装置において、
モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、該プラテンに設けられた観測窓と、該観測窓に対応して前記プラテンの表面に設けられた研磨パッドと、前記観測窓を経由して前記ウェハから反射した光学情報を取り込む分光装置と、該分光装置に読み込まれた分光波形情報を解析するコンピュータとを具備し、
前記分光波形情報は、波長に対する光反射率分光スペクトルの研磨開始時点から研磨終了時点までの連続時間変化マップからなり、
前記コンピュータは、前記連続時間変化マップ内で前記分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出することを特徴とする研磨終点検出装置。
【請求項2】
研磨中のウェハの表面に白色光を入射し、前記ウェハから反射された反射光を分光して得られる分光波形を解析して、Si基板上にSiN膜をコーティングし、さらに、表層面にSiO2膜を形成したSTI用のウェハの研磨終了時点を検出する研磨終点検出方法において、
モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、該プラテンに設けられた観測窓と、該観測窓に対応して前記プラテンの表面に設けられた研磨パッドと、前記観測窓を経由して前記ウェハから反射した光学情報を取り込む分光装置と、該分光装置に読み込まれた分光波形情報を解析するコンピュータとを具備し、
前記分光波形情報は、波長に対する光反射率分光スペクトルの研磨開始時点から研磨終了時点までの連続時間変化マップからなり、
前記コンピュータは、前記連続時間変化マップ内で前記分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出することを特徴とする研磨終点検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法に関するものであり、特に、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)によって研磨されたウェハの研磨終了位置を光学系によって検出する研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CMPによって研磨されたウェハの表面に光(例えば、白色光)を投射し、その反射光をスペクトル化するための分光処理を施した後の分光反射率の変化を観測することにより、ウェハの研磨終点を検出する研磨終点検出方法が広く知られている。この研磨終点検出方法によれば、分光(スペクトル化)された反射光の信号波形(すなわち、分光反射信号)を微分して得られた信号波形の極大値又は極小値に基づいてウェハの研磨終了点を検出することができる。
【0003】
また、研磨過程にあるウェハの膜厚変化に対応して変化する反射波の分光信号波形の変化量を示す特徴量を抽出することにより、ウェハの研磨終了点を検出する研磨終点検出装置の技術も開示されている。この技術によれば、ウェハの研磨終了点における光反射率のスペクトルの特徴点をあらかじめ設定しておき、研磨中のウェハにおける光反射率のスペクトルの特徴点が、あらかじめ設定した設定点における特徴量に合致した場合に、ウェハの研磨の終了点を検出するという手法を取っている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、研磨過程にあるウェハの膜厚変化に対応して変化する分光波形の反射強度が極大値又は極小値となる波長を選択し、選択された波長における反射強度から特性値の時間変化の特徴点を抽出することにより、ウェハの研磨終了点を検出する技術も開示されている(特許文献3参照)。ここで、研磨終了点を示す指標となる特徴点は、分光波形の反射強度や特性値の特徴的な変化点などによって捉えている。さらに、ウェハの被研磨面からの反射光を複数の波長に分光して(すなわち、スペクトル化して)、分光した複数の波長の光からスペクトルデータを生成し、そのスペクトルデータに基づいて算出された特性値を用いて研磨進捗状況を監視する技術も開示されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3327289号公報
【特許文献2】特許第3460134号公報
【特許文献3】再公表特許2008−44786号公報
【特許文献4】特開2009−233853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の各特許文献による技術においては、研磨パッド内に形成されたウインドウ(観測窓)の表面にスラリーが介在する場合には、光学系全体の感度が低下するために、安定した光反射率の分光反射信号を得ることができない。従って、分光反射信号において光反射率のスペクトルに極大値や極小値が存在しても、それらを的確に検出することができないおそれがある。また、アクリル製などで形成されたウインドウ自体が、ウェハと接触したり、スラリーによって多少変色したりするので、光学系の感度を常に同じ状態に維持することができない。そのため、光学系全体の感度が不安定になりやすいので、ウェハの研磨終了点における光反射率のスペクトルの特徴点を簡単に設定することができない。
【0007】
また、光学系全体の感度を調整するために感度補正を行う校正方法なども提案されているが、それらの校正方法では、感度補正の校正を行うのにかなりの手間がかかってしまう。さらに、従来の校正方法によって感度補正の校正を行ったとしても、ウェハの研磨時におけるウインドウ内へのスラリーの侵入量の多少によって、感度補正が校正通りにならないこともある。
【0008】
また、ウェハの研磨状態によって、スラリーがウインドウ上に介在したり、しなかったりすることもある。このような場合は、例えば、分光反射信号の極大値や極小値を設定しても、ある研磨時点においては、所望の波長域を観測しても極大値が現れていなかったり、検出した値が極小値ではなかったりするという突発的な波形の乱れ(ノイズ)がしばしば発生する。すなわち、分光反射信号の検出経過の過程において、その分光反射信号に多くのノイズが混入するため、ある時点において所望のスペクトルが得られないケースが多く存在する。言い換えると、従来技術における分光反射信号の検出方法では、一定のアルゴリズムで光反射信号の検出を行っても、必ずしもスペクトルの極大値や極小値を検出することができない場合がある。
【0009】
また、従来の研磨終点検出方法においては、ウェハの面内膜厚のばらつきによって、研磨終点検出をミスする場合がある。このような研磨終点検出のミスを回避するために、解析時の移動平均回数や検出する面積範囲を増やしているが、これによって分光反射信号の変化速度が平均化されるために、研磨レートのばらつき因って波形変化の応答速度に差異が生じ、研磨終点検出時において検出した膜厚の値がばらつくことがある。
【0010】
また、デバイスウエハ研磨時には観察する位置に毎回同じパターンが来るわけではないため、パターンの種類によっては測定毎の分光波形のばらつきが非常に大きくなり、従来の研磨終点検出方法では終点検出が出来ないケースもある。
【0011】
そこで、研磨中のウェハの研磨状態を光学的にモニタする方法において、研磨中のウェハからの光反射率の絶対量に変化が生じても、研磨状態を的確に把握して安定的に研磨終点を検出することができるようにすると共に、スラリーがウェハとウインドウとの間に介在することによる突発的なノイズや、ウエハ面内膜厚分布のばらつきや、デバイスパターン研磨時の測定位置ずれ等により、きれいな分光波形が取得できない状態であっても、研磨状態を安定的に把握して研磨終了点を正確に検出することができるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、研磨中のウェハの表面に白色光を入射し、前記ウェハから反射された反射光を分光して得られる分光波形を解析して、Si基板上にSiN膜をコーティングし、さらに、表面層にSiO2膜を形成したSTI用のウェハの研磨終了時点を検出する研磨終点検出装置において、モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、該プラテンに設けられた観測窓と、該観測窓に対応して前記プラテンの表面に設けられた研磨パッドと、前記観測窓を経由して前記ウェハから反射した光学情報を取り込む分光装置と、該分光装置に読み込まれた分光波形情報を解析するコンピュータとを具備し、前記分光波形情報は、波長に対する光反射率分光スペクトルの研磨開始時点から研磨終了時点までの連続時間変化マップからなり、前記コンピュータは、前記連続時間変化マップ内で前記分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出することを特徴とする研磨終点検出装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、コンピュータが、ウェハの研磨開始時点から研磨終了時点までの反射光における分光反射率スペクトルの分光波形情報を解析して連続時間変化マップを作成し、この連続時間変化マップに基づいてウェハの研磨終了点を検出している。すなわち、連続時間変化マップ内での分光波形について、複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を研磨終点として検出している。従って、所定の分光反射率のみによって研磨終了点を検出する場合と異なり、ウェハからの分光反射率の絶対量に変化が生じても、研磨終了点を正確に検出することができる。また、スラリーがウェハとウインドウとの間に介在することによる突発的なノイズや、ウエハ面内膜厚分布のばらつきや、デバイスパターン研磨時の測定位置ずれ等により、取得した分光波形が不安定であっても研磨状態を安定的に把握して研磨終点を正確に検出することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、研磨中のウェハの表面に白色光を入射し、前記ウェハから反射された反射光を分光して得られる分光波形を解析して、Si基板上にSiN膜をコーティングし、さらに、表層面にSiO2膜を形成したSTI用のウェハの研磨終了時点を検出する研磨終点検出方法において、モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、該プラテンに設けられた観測窓と、該観測窓に対応して前記プラテンの表面に設けられた研磨パッドと、前記観測窓を経由して前記ウェハから反射した光学情報を取り込む分光装置と、該分光装置に読み込まれた分光波形情報を解析するコンピュータとを具備し、前記分光波形情報は、波長に対する光反射率分光スペクトルの研磨開始時点から研磨終了時点までの連続時間変化マップからなり、前記コンピュータは、前記連続時間変化マップ内で前記分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出することを特徴とする研磨終点検出方法を提供する。
【0015】
この構成によれば、コンピュータが、ウェハの研磨開始時点から研磨終了時点までの反射光における分光反射率スペクトルの分光波形情報を解析して連続時間変化マップを作成し、この連続時間変化マップに基づいてウェハの研磨終了点を検出している。すなわち、連続時間変化マップ内での分光波形について、複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を研磨終点として検出している。従って、所定の分光反射率のみによって研磨終了点を検出する場合と異なり、ウェハからの分光反射率の絶対量に変化が生じても、研磨終了点を正確に予測することができる。また、スラリーがウェハとウインドウとの間に介在することによる突発的なノイズや、ウエハ面内膜厚分布のばらつきや、デバイスパターン研磨時の測定位置ずれ等により、取得した分光波形が不安定であっても、研磨状態を安定的に把握して研磨終点を正確に予測することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ウェハの研磨開始時点から研磨終了時点までの分光反射率スペクトルの分光波形情報を解析した連続時間変化マップに基づいてウェハの研磨終了点を検出している。これにより、ウェハからの分光反射率の絶対量に変化が生じたり、スラリーがウェハとウインドウとの間に介在することによる突発的なノイズや、ウエハ面内膜厚分布のばらつきや、デバイスパターン研磨時の測定位置ずれ等により、取得した分光波形が不安定であっても、ウェハの研磨終了点を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るウェハ研磨装置における研磨終点検出装置の構成を示すブロック図。
図2】研磨時のウェハに膜厚むらが存在しない場合に取得された分光スペクトルマップを示す図。
図3】研磨時のウェハに膜厚むらが存在する場合に取得された分光スペクトルマップを示す図。
図4図3に示す分光スペクトルにおける波形の節の波長変化を時間軸に対してプロットした特性図。
図5】分光スペクトルの波長の特徴点が連続していない時点を検出して研磨終了点を予測する特性図。
図6】分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点が全て変化する時点を検出して研磨終了点を予測する特性図。
図7】デバイスウェハを研磨した際に得られた分光スペクトルマップを示す図。
図8図7に示す分光スペクトルにおける波形の極小点の波長変化を時間に対してプロットした特性図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、研磨中のウェハの研磨状態を光学的にモニタする方法において、研磨中のウェハからの光反射率の絶対量に変化が生じても、研磨状態を的確に把握して安定的に研磨終点を検出することができるようにすると共に、スラリーがウェハとウインドウとの間に介在することによる突発的なノイズや、ウエハ面内膜厚分布のばらつきや、デバイスパターン研磨時の測定位置ずれ等により、取得した分光波形が不安定であっても、研磨状態を安定的に把握して正確な研磨終点を検出することができるようにするという目的を達成するために、研磨中のウェハの表面に白色光を入射し、ウェハから反射された反射光を分光して得られる分光波形を解析して、Si基板上にSiN膜をコーティングし、さらに、表面層にSiO2膜を形成したSTI用のウェハの研磨終了時点を検出する研磨終点検出装置において、モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、プラテンに設けられた観測窓と、観測窓に対応してプラテンの表面に設けられた研磨パッドと、観測窓を経由してウェハから反射した光学情報を取り込む分光装置と、分光装置に読み込まれた分光波形情報を解析するコンピュータとを具備し、分光波形情報は、波長に対する光反射率分光スペクトルの研磨開始時点から研磨終了時点までの連続時間変化マップからなり、コンピュータは、連続時間変化マップ内で分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出することによって実現した。
【実施例】
【0019】
以下、図1乃至図8を参照して、本発明に係る研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法の具体的な実施例についてウェハ研磨装置を例に挙げて詳細に説明する。
《ウェハ研磨装置及び研磨終点検出装置の構成》
図1は、本発明に係るウェハ研磨装置における研磨終点検出装置の構成を示すブロック図である。図1において、ウェハ研磨装置10は、図示しないモータに駆動されて水平に回転するプラテン14と、このプラテン14の表面に貼着された研磨パッド16と、ウェハWを保持して研磨パッド16に所定の圧力で押し付けるウェハ保持ヘッド18と、研磨パッド16の表面に研磨液を供給する研磨液供給ノズル20と、ウェハ研磨装置全体の駆動を制御する制御部22とによって構成されている。
【0020】
プラテン14は、円盤状に形成されており、所定の位置に観測孔24が形成されている。この観測孔24は、プラテン14を貫通して形成されており、その上端開口部には透明な観測窓26が嵌め込まれている。この観測窓26は、例えば、アクリル板などによって構成することができる。
【0021】
ウェハ保持ヘッド18は、プラテン14の回転中心から偏心した位置でウェハWを研磨パッド16に押圧するとともに、図示しないモータに駆動されて水平に回転する。また、このウェハ保持ヘッド18は、図示しない昇降手段に駆動されることにより、研磨パッド16に対して垂直方向に昇降する。
【0022】
ウェハWの研磨は、ウェハ保持ヘッド18で保持したウェハWを研磨パッド16に所定の圧力で押し付け、その研磨パッド16とウェハWをともに回転させながら、研磨液供給ノズル20から研磨パッド16に研磨液(スラリー)を供給して行われる。
【0023】
次に、ウェハの研磨終点を検出するための研磨終点検出装置12は、主として照射・受光光学系28、2分岐ライトガイド30、光源ユニット32、分光器34、及びコンピュータ36によって構成されている。
【0024】
照射・受光光学系28は、レンズ鏡筒内に図示しない集光レンズを内蔵しており、図示しないブラケットに支持されて観測孔24の下方位置に設置されている。
【0025】
2分岐ライトガイド30は、多数の光ファイバーを結束して構成したもので、一方側の端部が二方向に分岐されている。分岐された一方のライトガイドは照射側ライトガイド30Aとして光源ユニット32に接続され、他方のライトガイドは受光側ライトガイド30Bとして分光器34に接続されている。また、照射側ライトガイド30Aと受光側ライトガイド30Bが結合された一端は照射・受光光学系28に接続されている。
【0026】
光源ユニット32は、光源ランプ(たとえば、ハロゲンランプ)32Aを内蔵しており、この光源ランプ32Aから出射した白色光が、2分岐ライトガイド30の照射側ライトガイド30Aによって照射・受光光学系28へと導かれる。そして、その2分岐ライトガイド30から出た白色光が照射・受光光学系28で集光されたのち、プラテン14に形成された観測窓26を通して研磨パッド16上のウェハWの研磨面に照射される。ウェハWの研磨面に照射された白色光はウェハWの研磨面で反射し、その反射光が照射・受光光学系28で集光されて2分岐ライトガイド30へと導かれ、受光側ライトガイド30Bを介して分光器34へと導かれる。
【0027】
また、この光源ユニット32には、光源ランプ32Aの輝度を調整する輝度調整機構32Bが内蔵されており、この輝度調整機構32Bはコンピュータ36から出力される制御信号に基づいて光源ランプ32Aの輝度を調整する。この輝度調整機構32Bは、例えば、光源ランプ32Aに供給する電力量を調整することにより、光源ランプ32Aの輝度を調整する。
【0028】
分光器34は、受光側ライトガイド30Bによって導かれた反射光を各波長ごとの光に分光(スペクトル化)する。そして、分光された光を各波長ごとに光強度に応じた電気信号に変換し、各波長ごとの光強度信号としてコンピュータ36へ出力する。
【0029】
コンピュータ36は、所定の終点検出アルゴリズムに従って分光器34からの光強度信号を演算処理し、特定の膜の研磨終点を検出する。そして、研磨終点を検出した時点でウェハ研磨装置10の制御部22に研磨終点信号を出力して、研磨工程を終了させる。尚、コンピュータ36は汎用のパーソナルコンピュータ(PC)によって実現することができる。
《研磨終点検出装置の基本的な動作》
このように構成された本実施形態の研磨終点検出装置12の動作は次の通りである。すなわち、本実施形態の研磨終点検出装置12は、ウェハWの研磨面に光を照射し、その反射光の光強度スペクトルを測定して研磨終点を検出する。まず、この光強度スペクトルの測定方法について説明する。
【0030】
最初に、光源ユニット32の光源ランプ32Aを点灯すると、その光源ランプ32Aの白色光が2分岐ライトガイド30の照射側ライトガイド30Aに入射され、照射・受光光学系28に導かれる。そして、白色光は照射・受光光学系28で集光されたのち、ウェハ研磨装置10のプラテン14に形成された観測窓26を通して研磨中のウェハWの研磨面に照射される。
【0031】
そして、ウェハWの研磨面で反射した白色光は、観測窓26を通って照射・受光光学系28で集光されたのち、2分岐ライトガイド30に導入される。さらに、ウェハWの研磨面で反射した白色光は、分岐された受光側ライトガイド30Bによって分光器34へと導かれる。
【0032】
分光器34に導かれた白色光の反射光は、その分光器34で各波長ごとの光に分光(スペクトル化)され、各波長ごとに光強度に応じた電気信号に変換されてそれぞれの波長ごとの光強度信号(光強度スペクトル)としてコンピュータ36に出力される。
【0033】
コンピュータ36は、この反射光の各波長ごとの光強度信号(光強度スペクトル)を所定の終点検出アルゴリズムに従って演算処理することにより、特定の膜の研磨終点を検出する。一例を挙げると、分光器34から取得したウェハWの光強度スペクトルと、メモリに記憶されたリファレンス試料からの反射光の光強度スペクトルとの比を演算し、この比を測定反射率とし、この測定反射率のデータに基づいてウェハWの研磨終点を検出する。例えば、この測定反射率のデータに基づいてウェハWの研磨終点を検出する。言い換えると、反射波信号波形の変化点(例えば、極大値や極小値など)からウェハWの研磨終点を検出する。
【0034】
ここで、リファレンス試料(たとえば、アルミ製の板)の光強度スペクトルは、研磨パッド16の交換後、新たに研磨を開始する前にあらかじめ測定しておき、これをコンピュータ36に内蔵されたメモリに記憶させておく。このリファレンス試料からの反射光の光強度スペクトルの測定は、研磨パッド16の観測窓26の上にリファレンス試料を載置して測定する。
【0035】
また、ウェハWの研磨面に照射する光は、観測窓26を介して照射されることから、分光器34で測定されるウェハWの光強度スペクトルは、この観測窓26や光学系自体の影響を受ける。このような観測窓26や光学系自体の影響はダークネス成分(いわゆるノイズ成分)として、終点検出に悪影響を及ぼす。
【0036】
このため、コンピュータ36は、分光器34で測定されたウェハWの光強度スペクトルに対してダークネス成分(ノイズ成分)を取り除いて研磨終点の検出を行う。すなわち、検出されたウェハの光強度スペクトルからダークネス成分を引いたものを真の光強度スペクトルとし、これを用いて終点検出を行う。このダークネス成分は、リファレンス試料の光強度スペクトルにも含まれていることから、同様にダークネス成分を取り除いて終点検出を行う。すなわち、測定したリファレンス試料の光強度スペクトルからダークネスを引いたものを真の光強度スペクトルとし、これを用いて研磨終点の検出を行う。
【0037】
ここで、このダークネス成分の測定は、研磨パッド16の観測窓26上に何も置かない状態で観測窓26に光を入射し、その反射光の光強度スペクトルを測定することにより行う。測定されたダークネス成分は、コンピュータ36に内蔵されたメモリに記憶される。
【0038】
以上述べたように、本実施例の研磨終点検出装置12では、ウェハWの研磨面に光を照射し、その反射光の光強度スペクトルを測定し、リファレンス試料の光強度スペクトルとの比(測定反射率)に基づいてウェハWの研磨終点を検出する。
【0039】
ところで、この研磨終点検出装置12は、観測窓26を介してウェハWの研磨面に光を照射するようにしているが、この観測窓26は、ウェハWの処理条件や環境が変わると透過率が変化する。そして、この透過率が変化すると、分光器34に入射する反射光の光量が変化し、正確な終点検出ができなくなるという問題がある。
【0040】
そこで、この研磨終点検出装置12では、観測窓26の状態が変化しても分光器34に入射する反射光の光量が常に一定に保たれるように、光源の輝度を自動調整している。また、この光源の輝度が変わることによるリファレンス試料の光強度スペクトルの変更で自動修正を行っている。
【0041】
このようにして白色光を研磨中のウェハWに照射し、その反射光を分光測定解析してウェハWの研磨終点を検出するので、単一波長の光で終点検出する場合に比べ研磨終点の検出に利用できる情報量が増えるため、精度よく研磨終点を検出することが可能となる。また、窓材の表面状態が変化して、窓材の透過率が変化することによる反射光の光量変化を是正し、これを常に一定に保つことによって、常に正確な終点検出を行うことが可能となる。ところが、このような研磨終点検出方法では、光量調整によって光学系全体の感度補正を行うときにかなりの手間がかかってしまう。
【0042】
すなわち、ウェハ研磨面の膜厚は全面に亘って一定に変化していくことが理想的ではあるが、実際には全面の膜を一定の速度で研磨していくのは困難である。また、全面に一定に膜付けを行うこともまた困難である。このため、研磨中のウェハに対して測定光を照射する場合、その照射点の膜厚にはばらつきがあるため、ウェハの反射面から得られる反射光のスペクトル分布は時間ごとに期待通りの変化をするとは限らない。
【0043】
より具体的に述べれば、ある時点tで測定光を受光したポイントAの膜厚αに対し、次の時点t+1で測定光を受光したポイントBの膜厚βの方が厚かった場合、研磨進行(研磨対象膜厚の減少)に対して期待するスペクトルの変化が得られないことになる。そのため、分光スペクトルの特徴的な極大値、極小値を観察及び解析する場合において、解析された情報は期待した変化をもたらすことができなくなる。
【0044】
そこで、このような問題点を解決するために、分光スペクトルの特徴的な極大値や極小値の変化を解析する場合には測定値に対して移動平均をかけることが多い。しかし、移動平均は過去時のデータを参照にして平均化処理を行うため、参照する過去時のデータ数を増やすほど、現時点における波形変化への応答性が下がるなどの弊害が生じる。そのため、解析波形が急激な変化に対応できなかったり、研磨進行速度が変化すると解析波形が変化して、期待したタイミングでの終点検出ができなくなったりするおそれがある。
《本発明で改良された研磨終点検出方法》
そこで、本発明の実施形態に係る研磨終点検出方法では、外乱(ノイズ)に強い終点検出を行うことができる3次元EPD(Electro-Phoretic Display)アルゴリズムを作ることによって常に正確な終点検出を行うことができるようにしている。
【0045】
すなわち、研磨終了点検出において波形の安定した可視光領域全体の波形変化を用い、波形の節(極大点又は極小点、あるいは極大点と極小点の両方)の波長帯の時間変化をモニタし、節の波長帯に対する研磨時間の変化傾向に対して接線を引くことにより、指定した波長に接線が達した瞬間を研磨終点と判定する。
【0046】
さらに具体的に説明すると、従来の終点検出方法では、検出するウェハの面積範囲を指定してしまうために、移動平均(時間軸)を用いてノイズ除去を行っている。これによって、ノイズに対しては強くなるが、時間に対する変化を過去にさかのぼって平均化するため、過去の波長帯の変化の度合い(すなわち、研磨レート)が変わると、研磨終点の検出位置がずれてしまうおそれがある。そこで、このような現象を回避するために移動平均の回数を小さくすると、ウェハの膜厚のばらつきに対してアルゴリズムが安定しなくなってしまう。
【0047】
すなわち、限定された波長領域における過去の時間軸に対して平均化処理を行うと上記の弊害が発生する。そこで、本実施例の研磨終点検出方法では、測定する可視光波長の節の位置を検出し、その時間変化に対して直線(又は曲線)近似をかけ、この近似線が所望の波長に達した時点を研磨終点として検出する。このような研磨終点検出方法であれば、過去の波長帯の変化度合によって研磨終点がずれるおそれはなくなる。また、ウェハの膜厚のばらつきによる影響を受けるおそれもなくなる。
以下、本発明に係る研磨終点検出方法の具体的な実施例の幾つかについて説明する。
《研磨終点検出方法の実施例1》
実施例1として、絶縁基板上に単結晶シリコンを形成したSOI(Silicon OnIsolator)を研磨対象物とした場合の研磨終点検出方法について説明する。この場合の波形取得方法は、前述の研磨終点検出装置の構成及び基本的な動作のところで述べたとおりであるので、重複する説明は省略する。
【0048】
次に、取得した波形の解析方法について説明する。図2は、研磨時のウェハに膜厚むらが存在しない場合に取得された分光スペクトルマップを示す図であり、横軸に波長(Wavelength:〔nm〕)、縦軸に研磨時間を(Time:〔sec〕)示している。また、図3は、研磨時のウェハに膜厚むらが存在する場合に取得された分光スペクトルマップを示す図であり、横軸に波長(Wavelength:〔nm〕)、縦軸に研磨時間を(Time:〔sec〕)示している。すなわち、図2及び図3においては、縦軸の上に行くに従って研磨が進行してウェハの膜厚が薄くなり、それに伴って各分光スペクトルの波長が短くなる状態を示している。
【0049】
図2に示すように、通常の研磨においては、ウェハの膜厚が均等に薄くなると(すなわち、ウェハの研磨が正常に進行すると)、各分光スペクトルの波形の節は低波長側へ移動していく。ところが、研磨時において、反射波形をサンプリングするウェハ上に膜厚むらが生じる場合には、図3に示すように、各分光スペクトルの波形にはノイズが発生している。言い換えると、反射波形をサンプリングするウェハ上の膜厚むらが大きいために、各分光スペクトルにおける波形の節の位置が時間に対して上下してしまっている。すなわち、各分光スペクトルの波形において、研磨時間の短いときの波長の節より、研磨時間の長いときの波長の節の方が高波長側になっている状態が存在している。
【0050】
従って、従来の分光スペクトル波形の解析法では、図3に示すような分光スペクトルマップのケースでは、検出ミスを起こしてウェハの研磨終点を正確に検出することができない。また、このような検出ミスを回避するために、解析時に時間軸に対して大きく移動平均処理をかけると、実際に目標の膜厚(もしくは表面状態)に達してから、解析結果に変化が現れるまでに遅れ時間が生じたり、研磨レートが変わることによって解析波形が変化してしまうために、研磨の終点検出のタイミングがずれるなどの不具合が生じる。
【0051】
そこで、このような問題点を回避するため、本発明の研磨終点検出方法では、前述のように分光スペクトルの節の最大値や最小値を求めるのではなく、各分光スペクトルの波長の時間的変化に着目して研磨終了点を検出又は予測する方法を採っている。例えば、分光スペクトルの波長の特徴が連続していない時点を検出して研磨終点を予測したり、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点をモニタして、それらの特徴点が全て変化している時点を研磨終点と設定して研磨終点を求めている。
【0052】
図4は、図3に示す分光スペクトルにおける波形の節の波長変化を時間に対してプロットした特性図であり、横軸に時間(sec)、縦軸に波長(nm)を示している。すなわち、この図は、図3の分光スペクトルにおいて、研磨開始時点において600nm付近にあった波形の極小点の波長変化を時間軸に対してプロットした特性図を示している。例えば、研磨開始時点の0secにおいて約590nmの波長が、70sec後の研磨時点では約540nmの波長となり、130sec後の研磨時点では約495nmの波長となっている状態がプロットで示されている。
【0053】
次に、図4のプロットに示すような波形の節の波長変化のプロットに対して、あらかじめ設定した近似線(本発明のケースでは最小二乗法による直線近似)によって近似する。すなわち、波形の節の波長変化を、y=−at+bの一次式で近似する。ここで、yは波長、tは研磨時間、a,bは定数である。尚、図4に示す波長変化の特性の近似式は、y=−0.7185x+591.19である。一般的には、波長をλ、研磨時間をtとすると、λ<at+bに基づいて研磨終了時刻を予測することができる。
【0054】
研磨終了時刻についてさらに具体的に説明すると、図4で示した近似線(y=−0.7185x+591.19)が任意の波長に達したタイミングを研磨終点とする。このようにして、ウェハの膜厚変化に対する波長のシフト量から該ウェハの研磨終了時刻を予測することができる。例えば、図4の特性図において、分光スペクトルの波長が510nmに達した時刻(研磨開始時点からの時刻)110secを研磨終了時刻として予測することができる。
【0055】
このような研磨終点検出方法によれば、図2に示すように膜厚むらが存在しない場合でも、図3に示すように膜厚むらが存在する場合でも、ほぼ正確に研磨終了時刻(研磨終了点)を、例えば、110secと予測することができる。尚、図4の近似線はスペクトルがサンプリングされる度に再計算される。
【0056】
図5は、分光スペクトルの波長の特徴点が連続していない時点を検出して研磨終了点を予測する特性図であり、横軸に波長、縦軸に研磨時間を示している。すなわち、図5に示す分光スペクトルは、Si基板にトレンチを形成した後にSiNをコーティングし、さらに、表面層にSiO2膜を形成した、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)を研磨したときの分光スペクトル波形である。
【0057】
図5に示すように、研磨開始時点において500nm付近にある波形に着目すると、研磨開始時点から暫くの間は波形の特徴点の変化傾向が連続している。ところが、研磨時刻が150sec付近になった時刻t5以降は波形の特徴点の変化傾向は連続しなくなっている。従って、波形の特徴点変化傾向が不連続になった時刻をt1,t2,t3,t4,t5と順次検出したとき、時刻t5において150secを検出した後、例えば、その10秒後においても波形の特徴点に変化がなければ、時刻t5以降においては波形の特徴点の変化傾向は連続しなくなったと判定する。言い換えると、時刻t5において150secを検出し、その検出時刻から10sec後において波形の特徴点が変化していなければ、その時点(すなわち、時刻150secを検出た時刻t5)から10sec後を研磨終点時刻と予測する。
【0058】
図6は、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点が全て変化する時点を検出して研磨終了点を予測する特性図であり、横軸に波長、縦軸に研磨時間を示している。尚、この特性図も図5と同様のSTIの研磨過程における分光スペクトルである。図6に示すように、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点(図6では、波長が500nm付近、650nm付近、及び780nm付近の3つの特徴点)をモニタして、それらの特徴点(特徴点1、特徴点2、特徴点3)が全て変化している時刻110secを研磨終点と設定して研磨終点時刻を予測することができる。
《研磨終点検出方法の実施例2》
実施例2では、層間絶縁膜(ILD:Inter Layer Dielectric)を平坦化する研磨工程の研磨終点検出方法について説明する。この場合の波形取得方法も実施例1と同様であるのでその説明は省略し、研磨終点検出方法のみについて説明する。
【0059】
図7は、ILD膜を研磨した際に得られた分光スペクトルマップを示す図である。すなわち、ILD膜を研磨したときに得られる分光スペクトルマップでは、波形の幾つかの節が研磨時間の進行に従って低波長側へ移動するのが見られるが、観察するパターンの位置により波形が異なる特徴を示すため分光スペクトルのノイズが極めて大きい。言い換えると、本実施例で紹介するILD膜研磨時における分光スペクトルは、ノイズが大きい上にスペクトル強度のレンジが狭いために、従来の研磨終点検出方法では波形解析を行うことが困難である。
【0060】
図8は、図7に示す分光スペクトルにおける波形の極小点の波長変化を時間に対してプロットした特性図であり、横軸に時間(sec)、縦軸に波長(nm)を示している。すなわち、この図は、図7の分光スペクトルにおいて研磨開始時に640nm付近にあった波形の極小点をプロットしたグラフを示している。
【0061】
このときの近似式は3次の多項式を用いている。図8の例では、近似式は式(1)のようになる。
y=−4E−0.5x3+0.0051x2−0.2303x+641.96 (1)
この例では、波長yが600nmを下回ったタイミングが研磨の終点であるので、研磨終点の検出判定は簡単かつ正確である。すなわち、図8の例では、波長yが600nmを下回った時刻145secが研磨終了点の予測時刻となる。このようにして、本実施例の研磨終点解析方法を用いることにより、図7に示すように分光スペクトルのノイズが大きい場合でも、分光スペクトル全体の変化傾向から研磨終了点を予測することが可能となる。
【0062】
以上、本発明の研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法について具体的な実施例を説明したが、本発明は上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の研磨終点検出装置は、ウェハからの光反射率の絶対量が変化したり突発的なノイズが生じても研磨終了点を正確に検出することができるので、半導体製造装置等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 ウェハ研磨装置
12 研磨終点検出装置
14 プラテン
16 研磨パッド
18 ウェハ保持ヘッド
20 研磨液供給ノズル
22 制御部
24 観測孔
26 観測窓
28 照射・受光光学系
30 2分岐ライトガイド
30A 照射側ライトガイド
30B 受光側ライトガイド
32 光源ユニット
32A 光源ランプ
32B 輝度調整機構
34 分光器
36 コンピュータ
W ウェハ
図1
図4
図8
図2
図3
図5
図6
図7