【実施例】
【0019】
以下、
図1乃至
図8を参照して、本発明に係る研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法の具体的な実施例についてウェハ研磨装置を例に挙げて詳細に説明する。
《ウェハ研磨装置及び研磨終点検出装置の構成》
図1は、本発明に係るウェハ研磨装置における研磨終点検出装置の構成を示すブロック図である。
図1において、ウェハ研磨装置10は、図示しないモータに駆動されて水平に回転するプラテン14と、このプラテン14の表面に貼着された研磨パッド16と、ウェハWを保持して研磨パッド16に所定の圧力で押し付けるウェハ保持ヘッド18と、研磨パッド16の表面に研磨液を供給する研磨液供給ノズル20と、ウェハ研磨装置全体の駆動を制御する制御部22とによって構成されている。
【0020】
プラテン14は、円盤状に形成されており、所定の位置に観測孔24が形成されている。この観測孔24は、プラテン14を貫通して形成されており、その上端開口部には透明な観測窓26が嵌め込まれている。この観測窓26は、例えば、アクリル板などによって構成することができる。
【0021】
ウェハ保持ヘッド18は、プラテン14の回転中心から偏心した位置でウェハWを研磨パッド16に押圧するとともに、図示しないモータに駆動されて水平に回転する。また、このウェハ保持ヘッド18は、図示しない昇降手段に駆動されることにより、研磨パッド16に対して垂直方向に昇降する。
【0022】
ウェハWの研磨は、ウェハ保持ヘッド18で保持したウェハWを研磨パッド16に所定の圧力で押し付け、その研磨パッド16とウェハWをともに回転させながら、研磨液供給ノズル20から研磨パッド16に研磨液(スラリー)を供給して行われる。
【0023】
次に、ウェハの研磨終点を検出するための研磨終点検出装置12は、主として照射・受光光学系28、2分岐ライトガイド30、光源ユニット32、分光器34、及びコンピュータ36によって構成されている。
【0024】
照射・受光光学系28は、レンズ鏡筒内に図示しない集光レンズを内蔵しており、図示しないブラケットに支持されて観測孔24の下方位置に設置されている。
【0025】
2分岐ライトガイド30は、多数の光ファイバーを結束して構成したもので、一方側の端部が二方向に分岐されている。分岐された一方のライトガイドは照射側ライトガイド30Aとして光源ユニット32に接続され、他方のライトガイドは受光側ライトガイド30Bとして分光器34に接続されている。また、照射側ライトガイド30Aと受光側ライトガイド30Bが結合された一端は照射・受光光学系28に接続されている。
【0026】
光源ユニット32は、光源ランプ(たとえば、ハロゲンランプ)32Aを内蔵しており、この光源ランプ32Aから出射した白色光が、2分岐ライトガイド30の照射側ライトガイド30Aによって照射・受光光学系28へと導かれる。そして、その2分岐ライトガイド30から出た白色光が照射・受光光学系28で集光されたのち、プラテン14に形成された観測窓26を通して研磨パッド16上のウェハWの研磨面に照射される。ウェハWの研磨面に照射された白色光はウェハWの研磨面で反射し、その反射光が照射・受光光学系28で集光されて2分岐ライトガイド30へと導かれ、受光側ライトガイド30Bを介して分光器34へと導かれる。
【0027】
また、この光源ユニット32には、光源ランプ32Aの輝度を調整する輝度調整機構32Bが内蔵されており、この輝度調整機構32Bはコンピュータ36から出力される制御信号に基づいて光源ランプ32Aの輝度を調整する。この輝度調整機構32Bは、例えば、光源ランプ32Aに供給する電力量を調整することにより、光源ランプ32Aの輝度を調整する。
【0028】
分光器34は、受光側ライトガイド30Bによって導かれた反射光を各波長ごとの光に分光(スペクトル化)する。そして、分光された光を各波長ごとに光強度に応じた電気信号に変換し、各波長ごとの光強度信号としてコンピュータ36へ出力する。
【0029】
コンピュータ36は、所定の終点検出アルゴリズムに従って分光器34からの光強度信号を演算処理し、特定の膜の研磨終点を検出する。そして、研磨終点を検出した時点でウェハ研磨装置10の制御部22に研磨終点信号を出力して、研磨工程を終了させる。尚、コンピュータ36は汎用のパーソナルコンピュータ(PC)によって実現することができる。
《研磨終点検出装置の基本的な動作》
このように構成された本実施形態の研磨終点検出装置12の動作は次の通りである。すなわち、本実施形態の研磨終点検出装置12は、ウェハWの研磨面に光を照射し、その反射光の光強度スペクトルを測定して研磨終点を検出する。まず、この光強度スペクトルの測定方法について説明する。
【0030】
最初に、光源ユニット32の光源ランプ32Aを点灯すると、その光源ランプ32Aの白色光が2分岐ライトガイド30の照射側ライトガイド30Aに入射され、照射・受光光学系28に導かれる。そして、白色光は照射・受光光学系28で集光されたのち、ウェハ研磨装置10のプラテン14に形成された観測窓26を通して研磨中のウェハWの研磨面に照射される。
【0031】
そして、ウェハWの研磨面で反射した白色光は、観測窓26を通って照射・受光光学系28で集光されたのち、2分岐ライトガイド30に導入される。さらに、ウェハWの研磨面で反射した白色光は、分岐された受光側ライトガイド30Bによって分光器34へと導かれる。
【0032】
分光器34に導かれた白色光の反射光は、その分光器34で各波長ごとの光に分光(スペクトル化)され、各波長ごとに光強度に応じた電気信号に変換されてそれぞれの波長ごとの光強度信号(光強度スペクトル)としてコンピュータ36に出力される。
【0033】
コンピュータ36は、この反射光の各波長ごとの光強度信号(光強度スペクトル)を所定の終点検出アルゴリズムに従って演算処理することにより、特定の膜の研磨終点を検出する。一例を挙げると、分光器34から取得したウェハWの光強度スペクトルと、メモリに記憶されたリファレンス試料からの反射光の光強度スペクトルとの比を演算し、この比を測定反射率とし、この測定反射率のデータに基づいてウェハWの研磨終点を検出する。例えば、この測定反射率のデータに基づいてウェハWの研磨終点を検出する。言い換えると、反射波信号波形の変化点(例えば、極大値や極小値など)からウェハWの研磨終点を検出する。
【0034】
ここで、リファレンス試料(たとえば、アルミ製の板)の光強度スペクトルは、研磨パッド16の交換後、新たに研磨を開始する前にあらかじめ測定しておき、これをコンピュータ36に内蔵されたメモリに記憶させておく。このリファレンス試料からの反射光の光強度スペクトルの測定は、研磨パッド16の観測窓26の上にリファレンス試料を載置して測定する。
【0035】
また、ウェハWの研磨面に照射する光は、観測窓26を介して照射されることから、分光器34で測定されるウェハWの光強度スペクトルは、この観測窓26や光学系自体の影響を受ける。このような観測窓26や光学系自体の影響はダークネス成分(いわゆるノイズ成分)として、終点検出に悪影響を及ぼす。
【0036】
このため、コンピュータ36は、分光器34で測定されたウェハWの光強度スペクトルに対してダークネス成分(ノイズ成分)を取り除いて研磨終点の検出を行う。すなわち、検出されたウェハの光強度スペクトルからダークネス成分を引いたものを真の光強度スペクトルとし、これを用いて終点検出を行う。このダークネス成分は、リファレンス試料の光強度スペクトルにも含まれていることから、同様にダークネス成分を取り除いて終点検出を行う。すなわち、測定したリファレンス試料の光強度スペクトルからダークネスを引いたものを真の光強度スペクトルとし、これを用いて研磨終点の検出を行う。
【0037】
ここで、このダークネス成分の測定は、研磨パッド16の観測窓26上に何も置かない状態で観測窓26に光を入射し、その反射光の光強度スペクトルを測定することにより行う。測定されたダークネス成分は、コンピュータ36に内蔵されたメモリに記憶される。
【0038】
以上述べたように、本実施例の研磨終点検出装置12では、ウェハWの研磨面に光を照射し、その反射光の光強度スペクトルを測定し、リファレンス試料の光強度スペクトルとの比(測定反射率)に基づいてウェハWの研磨終点を検出する。
【0039】
ところで、この研磨終点検出装置12は、観測窓26を介してウェハWの研磨面に光を照射するようにしているが、この観測窓26は、ウェハWの処理条件や環境が変わると透過率が変化する。そして、この透過率が変化すると、分光器34に入射する反射光の光量が変化し、正確な終点検出ができなくなるという問題がある。
【0040】
そこで、この研磨終点検出装置12では、観測窓26の状態が変化しても分光器34に入射する反射光の光量が常に一定に保たれるように、光源の輝度を自動調整している。また、この光源の輝度が変わることによるリファレンス試料の光強度スペクトルの変更で自動修正を行っている。
【0041】
このようにして白色光を研磨中のウェハWに照射し、その反射光を分光測定解析してウェハWの研磨終点を検出するので、単一波長の光で終点検出する場合に比べ研磨終点の検出に利用できる情報量が増えるため、精度よく研磨終点を検出することが可能となる。また、窓材の表面状態が変化して、窓材の透過率が変化することによる反射光の光量変化を是正し、これを常に一定に保つことによって、常に正確な終点検出を行うことが可能となる。ところが、このような研磨終点検出方法では、光量調整によって光学系全体の感度補正を行うときにかなりの手間がかかってしまう。
【0042】
すなわち、ウェハ研磨面の膜厚は全面に亘って一定に変化していくことが理想的ではあるが、実際には全面の膜を一定の速度で研磨していくのは困難である。また、全面に一定に膜付けを行うこともまた困難である。このため、研磨中のウェハに対して測定光を照射する場合、その照射点の膜厚にはばらつきがあるため、ウェハの反射面から得られる反射光のスペクトル分布は時間ごとに期待通りの変化をするとは限らない。
【0043】
より具体的に述べれば、ある時点tで測定光を受光したポイントAの膜厚αに対し、次の時点t+1で測定光を受光したポイントBの膜厚βの方が厚かった場合、研磨進行(研磨対象膜厚の減少)に対して期待するスペクトルの変化が得られないことになる。そのため、分光スペクトルの特徴的な極大値、極小値を観察及び解析する場合において、解析された情報は期待した変化をもたらすことができなくなる。
【0044】
そこで、このような問題点を解決するために、分光スペクトルの特徴的な極大値や極小値の変化を解析する場合には測定値に対して移動平均をかけることが多い。しかし、移動平均は過去時のデータを参照にして平均化処理を行うため、参照する過去時のデータ数を増やすほど、現時点における波形変化への応答性が下がるなどの弊害が生じる。そのため、解析波形が急激な変化に対応できなかったり、研磨進行速度が変化すると解析波形が変化して、期待したタイミングでの終点検出ができなくなったりするおそれがある。
《本発明で改良された研磨終点検出方法》
そこで、本発明の実施形態に係る研磨終点検出方法では、外乱(ノイズ)に強い終点検出を行うことができる3次元EPD(Electro-Phoretic Display)アルゴリズムを作ることによって常に正確な終点検出を行うことができるようにしている。
【0045】
すなわち、研磨終了点検出において波形の安定した可視光領域全体の波形変化を用い、波形の節(極大点又は極小点、あるいは極大点と極小点の両方)の波長帯の時間変化をモニタし、節の波長帯に対する研磨時間の変化傾向に対して接線を引くことにより、指定した波長に接線が達した瞬間を研磨終点と判定する。
【0046】
さらに具体的に説明すると、従来の終点検出方法では、検出するウェハの面積範囲を指定してしまうために、移動平均(時間軸)を用いてノイズ除去を行っている。これによって、ノイズに対しては強くなるが、時間に対する変化を過去にさかのぼって平均化するため、過去の波長帯の変化の度合い(すなわち、研磨レート)が変わると、研磨終点の検出位置がずれてしまうおそれがある。そこで、このような現象を回避するために移動平均の回数を小さくすると、ウェハの膜厚のばらつきに対してアルゴリズムが安定しなくなってしまう。
【0047】
すなわち、限定された波長領域における過去の時間軸に対して平均化処理を行うと上記の弊害が発生する。そこで、本実施例の研磨終点検出方法では、測定する可視光波長の節の位置を検出し、その時間変化に対して直線(又は曲線)近似をかけ、この近似線が所望の波長に達した時点を研磨終点として検出する。このような研磨終点検出方法であれば、過去の波長帯の変化度合によって研磨終点がずれるおそれはなくなる。また、ウェハの膜厚のばらつきによる影響を受けるおそれもなくなる。
以下、本発明に係る研磨終点検出方法の具体的な実施例の幾つかについて説明する。
《研磨終点検出方法の実施例1》
実施例1として、絶縁基板上に単結晶シリコンを形成したSOI(Silicon OnIsolator)を研磨対象物とした場合の研磨終点検出方法について説明する。この場合の波形取得方法は、前述の研磨終点検出装置の構成及び基本的な動作のところで述べたとおりであるので、重複する説明は省略する。
【0048】
次に、取得した波形の解析方法について説明する。
図2は、研磨時のウェハに膜厚むらが存在しない場合に取得された分光スペクトルマップを示す図であり、横軸に波長(Wavelength:〔nm〕)、縦軸に研磨時間を(Time:〔sec〕)示している。また、
図3は、研磨時のウェハに膜厚むらが存在する場合に取得された分光スペクトルマップを示す図であり、横軸に波長(Wavelength:〔nm〕)、縦軸に研磨時間を(Time:〔sec〕)示している。すなわち、
図2及び
図3においては、縦軸の上に行くに従って研磨が進行してウェハの膜厚が薄くなり、それに伴って各分光スペクトルの波長が短くなる状態を示している。
【0049】
図2に示すように、通常の研磨においては、ウェハの膜厚が均等に薄くなると(すなわち、ウェハの研磨が正常に進行すると)、各分光スペクトルの波形の節は低波長側へ移動していく。ところが、研磨時において、反射波形をサンプリングするウェハ上に膜厚むらが生じる場合には、
図3に示すように、各分光スペクトルの波形にはノイズが発生している。言い換えると、反射波形をサンプリングするウェハ上の膜厚むらが大きいために、各分光スペクトルにおける波形の節の位置が時間に対して上下してしまっている。すなわち、各分光スペクトルの波形において、研磨時間の短いときの波長の節より、研磨時間の長いときの波長の節の方が高波長側になっている状態が存在している。
【0050】
従って、従来の分光スペクトル波形の解析法では、
図3に示すような分光スペクトルマップのケースでは、検出ミスを起こしてウェハの研磨終点を正確に検出することができない。また、このような検出ミスを回避するために、解析時に時間軸に対して大きく移動平均処理をかけると、実際に目標の膜厚(もしくは表面状態)に達してから、解析結果に変化が現れるまでに遅れ時間が生じたり、研磨レートが変わることによって解析波形が変化してしまうために、研磨の終点検出のタイミングがずれるなどの不具合が生じる。
【0051】
そこで、このような問題点を回避するため、本発明の研磨終点検出方法では、前述のように分光スペクトルの節の最大値や最小値を求めるのではなく、各分光スペクトルの波長の時間的変化に着目して研磨終了点を検出又は予測する方法を採っている。例えば、分光スペクトルの波長の特徴が連続していない時点を検出して研磨終点を予測したり、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点をモニタして、それらの特徴点が全て変化している時点を研磨終点と設定して研磨終点を求めている。
【0052】
図4は、
図3に示す分光スペクトルにおける波形の節の波長変化を時間に対してプロットした特性図であり、横軸に時間(sec)、縦軸に波長(nm)を示している。すなわち、この図は、
図3の分光スペクトルにおいて、研磨開始時点において600nm付近にあった波形の極小点の波長変化を時間軸に対してプロットした特性図を示している。例えば、研磨開始時点の0secにおいて約590nmの波長が、70sec後の研磨時点では約540nmの波長となり、130sec後の研磨時点では約495nmの波長となっている状態がプロットで示されている。
【0053】
次に、
図4のプロットに示すような波形の節の波長変化のプロットに対して、あらかじめ設定した近似線(本発明のケースでは最小二乗法による直線近似)によって近似する。すなわち、波形の節の波長変化を、y=−at+bの一次式で近似する。ここで、yは波長、tは研磨時間、a,bは定数である。尚、
図4に示す波長変化の特性の近似式は、y=−0.7185x+591.19である。一般的には、波長をλ、研磨時間をtとすると、λ<at+bに基づいて研磨終了時刻を予測することができる。
【0054】
研磨終了時刻についてさらに具体的に説明すると、
図4で示した近似線(y=−0.7185x+591.19)が任意の波長に達したタイミングを研磨終点とする。このようにして、ウェハの膜厚変化に対する波長のシフト量から該ウェハの研磨終了時刻を予測することができる。例えば、
図4の特性図において、分光スペクトルの波長が510nmに達した時刻(研磨開始時点からの時刻)110secを研磨終了時刻として予測することができる。
【0055】
このような研磨終点検出方法によれば、
図2に示すように膜厚むらが存在しない場合でも、
図3に示すように膜厚むらが存在する場合でも、ほぼ正確に研磨終了時刻(研磨終了点)を、例えば、110secと予測することができる。尚、
図4の近似線はスペクトルがサンプリングされる度に再計算される。
【0056】
図5は、分光スペクトルの波長の特徴点が連続していない時点を検出して研磨終了点を予測する特性図であり、横軸に波長、縦軸に研磨時間を示している。すなわち、
図5に示す分光スペクトルは、Si基板にトレンチを形成した後にSiNをコーティングし、さらに、表面層にSiO2膜を形成した、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)を研磨したときの分光スペクトル波形である。
【0057】
図5に示すように、研磨開始時点において500nm付近にある波形に着目すると、研磨開始時点から暫くの間は波形の特徴点の変化傾向が連続している。ところが、研磨時刻が150sec付近になった時刻t5以降は波形の特徴点の変化傾向は連続しなくなっている。従って、波形の特徴点変化傾向が不連続になった時刻をt1,t2,t3,t4,t5と順次検出したとき、時刻t5において150secを検出した後、例えば、その10秒後においても波形の特徴点に変化がなければ、時刻t5以降においては波形の特徴点の変化傾向は連続しなくなったと判定する。言い換えると、時刻t5において150secを検出し、その検出時刻から10sec後において波形の特徴点が変化していなければ、その時点(すなわち、時刻150secを検出た時刻t5)から10sec後を研磨終点時刻と予測する。
【0058】
図6は、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点が全て変化する時点を検出して研磨終了点を予測する特性図であり、横軸に波長、縦軸に研磨時間を示している。尚、この特性図も
図5と同様のSTIの研磨過程における分光スペクトルである。
図6に示すように、分光スペクトルの波長の幾つかの特徴点(
図6では、波長が500nm付近、650nm付近、及び780nm付近の3つの特徴点)をモニタして、それらの特徴点(特徴点1、特徴点2、特徴点3)が全て変化している時刻110secを研磨終点と設定して研磨終点時刻を予測することができる。
《研磨終点検出方法の実施例2》
実施例2では、層間絶縁膜(ILD:Inter Layer Dielectric)を平坦化する研磨工程の研磨終点検出方法について説明する。この場合の波形取得方法も実施例1と同様であるのでその説明は省略し、研磨終点検出方法のみについて説明する。
【0059】
図7は、ILD膜を研磨した際に得られた分光スペクトルマップを示す図である。すなわち、ILD膜を研磨したときに得られる分光スペクトルマップでは、波形の幾つかの節が研磨時間の進行に従って低波長側へ移動するのが見られるが、観察するパターンの位置により波形が異なる特徴を示すため分光スペクトルのノイズが極めて大きい。言い換えると、本実施例で紹介するILD膜研磨時における分光スペクトルは、ノイズが大きい上にスペクトル強度のレンジが狭いために、従来の研磨終点検出方法では波形解析を行うことが困難である。
【0060】
図8は、
図7に示す分光スペクトルにおける波形の極小点の波長変化を時間に対してプロットした特性図であり、横軸に時間(sec)、縦軸に波長(nm)を示している。すなわち、この図は、
図7の分光スペクトルにおいて研磨開始時に640nm付近にあった波形の極小点をプロットしたグラフを示している。
【0061】
このときの近似式は3次の多項式を用いている。
図8の例では、近似式は式(1)のようになる。
y=−4E−0.5x3+0.0051x2−0.2303x+641.96 (1)
この例では、波長yが600nmを下回ったタイミングが研磨の終点であるので、研磨終点の検出判定は簡単かつ正確である。すなわち、
図8の例では、波長yが600nmを下回った時刻145secが研磨終了点の予測時刻となる。このようにして、本実施例の研磨終点解析方法を用いることにより、
図7に示すように分光スペクトルのノイズが大きい場合でも、分光スペクトル全体の変化傾向から研磨終了点を予測することが可能となる。
【0062】
以上、本発明の研磨終点検出装置及び研磨終点検出方法について具体的な実施例を説明したが、本発明は上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。