(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強用配線パターンの主成分のヤング率は、前記配線層の主成分のヤング率と前記半導体チップの主成分のヤング率との間の値とされている請求項1乃至5の何れか一項記載の半導体パッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図1を参照するに、半導体パッケージ10は、半導体チップ20と、配線層30と、絶縁層33と、配線層34と、絶縁層35と、配線層36と、絶縁層37と、配線層40と、ソルダーレジスト層48と、外部接続端子49とを有する。
【0014】
なお、半導体パッケージ10において、便宜上、
図1における絶縁層33側を下(下面)、ソルダーレジスト層48側を上(上面)として説明を行う。
【0015】
半導体パッケージ10の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅12mm×奥行き12mm×厚さ0.4mm程度とすることができる。以下、半導体パッケージ10を構成する半導体チップ20等について詳説する。
【0016】
半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有する。半導体チップ20の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅8mm×奥行き8mm×厚さ75μm程度とすることができる。
【0017】
半導体基板21は、例えばシリコン(Si)を主成分とする基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。電極パッド22は、半導体基板21の回路形成面側に形成されており、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド22の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等を用いることができる。電極パッド22の材料として、銅(Cu)とアルミニウム(Al)をこの順番で積層したもの、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とシリコン(Si)をこの順番で積層したもの等を用いても構わない。
【0018】
突起電極23は電極パッド22上に形成されている。突起電極23としては、例えば円柱形状の銅(Cu)ポスト等を用いることができる。突起電極23の直径は、例えば50μm程度とすることができる。突起電極23の高さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。隣接する突起電極23のピッチは、例えば100μm程度とすることができる。なお、電極パッド22上に突起電極23を設けなくてもよい。この場合には、電極パッド22自体が配線層34と電気的に接続される電極となる。
【0019】
以降、半導体チップ20において、回路形成面とは反対側に位置する回路形成面と略平行な面を背面と称する場合がある。又、半導体チップ20において、回路形成面及び背面と略垂直な面を側面と称する場合がある。
【0020】
半導体チップ20の回路形成面及び側面は絶縁層33に封止されており、背面は絶縁層33から露出している。半導体チップ20の背面は、絶縁層33の下面と略面一とされている。半導体パッケージ10の製造工程で半導体チップ20の背面に貼り付けられたダイアタッチフィルム等の接着層は、プラズマ処理等により除去されている。
【0021】
なお、半導体パッケージ10の製造工程で半導体チップ20の背面に貼り付けられた接着層を除去しない場合もあり、この場合には、半導体チップ20の背面に貼り付けられた接着層が絶縁層33の下面から露出する。但し、接着層の厚さは数10μm程度であるから、この場合も、半導体チップ20の背面は絶縁層33の下面と略面一であると考えて構わない。
【0022】
配線層30は、第1層31及び第2層32を有する。第1層31としては、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が半導体パッケージ10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いることができる。第1層31として、例えば金(Au)膜とニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が半導体パッケージ10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いても良い。第2層32としては、例えば銅(Cu)層等を含む導電層を用いることができる。配線層30の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0023】
配線層30の一部(第1層31の下面)は絶縁層33から露出しており、絶縁層33の下面及び半導体チップ20の背面と略面一とされている。配線層30の一部(第1層31の下面)は、他の半導体パッケージや半導体チップ、或いは電子部品等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、絶縁層33から露出する配線層30を第1電極パッド30と称する場合がある。
【0024】
なお、
図1では、第1電極パッド30は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、複数列の第1電極パッド30が、平面視において半導体チップ20の背面を額縁状に取り囲むように設けられている。第1電極パッド30の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第1電極パッド30のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0025】
絶縁層33は、配線層30の上面及び側面、並びに、半導体チップ20の回路形成面及び側面を封止し、配線層30の下面及び半導体チップ20の背面(又は、背面に貼り付けられた接着層)を露出するように形成されている。なお、絶縁層33は、本発明に係る第1最外絶縁層の代表的な一例である。
【0026】
絶縁層33の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層33の厚さは、例えば120μm程度とすることができる。絶縁層33は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層33の上面(半導体チップ20の回路形成面側の面)を第1面、第1面の反対面(半導体チップ20の背面側の面)を第2面と称する場合がある。
【0027】
絶縁層33には、絶縁層33を貫通し配線層30の上面を露出するビアホール33x、及び絶縁層33を貫通し突起電極23の上面を露出するビアホール33yが形成されている。ビアホール33xは、絶縁層35側に開口されている開口部の径が配線層30の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となっている。ビアホール33xの開口部の径は、例えば150μm程度とすることができる。
【0028】
ビアホール33yは、絶縁層35側に開口されている開口部の径が突起電極23の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となっている。ビアホール33yの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0029】
配線層34は、絶縁層33上に形成されている。配線層34は、ビアホール33x内に充填されたビア配線、ビアホール33y内に充填されたビア配線、及び絶縁層33上に形成された配線パターンを含んでいる。配線層34は、ビアホール33xの底部に露出した配線層30、及びビアホール33yの底部に露出した突起電極23と電気的に接続されている。配線層34の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層34を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0030】
絶縁層35は、絶縁層33上に、配線層34を覆うように形成されている。絶縁層35の材料としては、絶縁層33と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層35の厚さは、例えば15〜60μm程度とすることができる。絶縁層35は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0031】
配線層36は、絶縁層35上に形成されている。配線層36は、絶縁層35を貫通し配線層34の上面を露出するビアホール35x内に充填されたビア配線、及び絶縁層35上に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール35xは、絶縁層37側に開口されている開口部の径が配線層34の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となっている。
【0032】
配線層36は、ビアホール35xの底部に露出した配線層34と電気的に接続されている。配線層36の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層36を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0033】
絶縁層37は、絶縁層35上に、配線層36を覆うように形成されている。絶縁層37の材料としては、絶縁層33と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層37の厚さは、例えば15〜60μm程度とすることができる。絶縁層37は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0034】
なお、配線層34、絶縁層35、配線層36、及び絶縁層37は、本発明に係る絶縁層33の第1面上に交互に所定数積層された配線層及び絶縁層の代表的な一例である。但し、所定数は、任意に決定することができる。又、絶縁層37は、本発明に係る第1面上に最後に積層された絶縁層の代表的な一例である。
【0035】
配線層40は、配線パターン41と、配線パターン41と電気的に接続されたビア配線44とを有する。なお、配線層40は、本発明に係る最外配線層の代表的な一例である。又、配線パターン41は、本発明に係る補強用配線パターンの代表的な一例である。
【0036】
配線パターン41は、絶縁層37上に形成されている。配線パターン41は、第1層42と、第1層42の上面及び下面を被覆する第2層43とを有する。第1層42の材料としては、例えば、42アロイ(鉄にニッケルを加えた合金)等を用いることができる。第1層42の厚さは、例えば、30〜80μm程度とすることができる。
【0037】
第2層43の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第2層43の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。但し、第2層43は必ずしも形成しなくてもよい。すなわち、配線パターン41を第1層42のみから構成してもよい。
【0038】
配線パターン41及び絶縁層37には、配線パターン41及び絶縁層37を連続的に貫通し配線層36の上面を露出するビアホール37xが形成されている。ビアホール37xは、ソルダーレジスト層48側に開口されている開口部の径が配線層36の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となっている。ビアホール37xの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0039】
ビアホール37x内には、ビア配線44が充填されている。配線パターン41は、ビア配線44を介して、ビアホール37xの底部に露出した配線層36と電気的に接続されている。ビア配線44の上面は、第1層42の上面を被覆する第2層32の上面と略面一とされている。ビア配線44の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0040】
配線パターン41の主成分の熱膨張係数は、他の配線層(配線層36等)の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値とされている。ここで、主成分とは、その部材を構成する最も多い成分を意味する。
【0041】
配線パターン41は、第1層42及び第2層43を有するが、第1層42を構成する成分は第2層43を構成する成分よりも多いため、第1層42を構成する成分が配線パターン41の主成分となる。つまり、第1層42を構成する成分の熱膨張係数が、他の配線層(配線層36等)の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値とされている。
【0042】
例えば、他の配線層(配線層36等)の主成分が銅(Cu)であれば、その熱膨張係数は17.2ppm/℃程度であり、半導体チップ20の主成分がシリコンであれば、その熱膨張係数は3.4ppm/℃程度である。この場合、第1層42を構成する材料の熱膨張係数(配線パターン41の主成分の熱膨張係数)は、3.4ppm/℃〜17.2ppm/℃の間の値とすることができる。
【0043】
例えば、42アロイの熱膨張係数は4.5ppm/℃程度であるから、前述のように、第1層42を構成する材料として42アロイを選択することができる。又、第1層42を構成する材料として、熱膨張係数が5.2ppm/℃程度であるコバール(鉄にニッケルとコバルトを加えた合金)等を選択してもよい。
【0044】
ソルダーレジスト層48は、絶縁層37上に、配線層40を選択的に被覆するように形成された絶縁層である。具体的には、ソルダーレジスト層48は開口部48xを有し、開口部48xの底部には配線層40の一部が露出している。ソルダーレジスト層48の厚さは、例えば50〜100μm程度とすることができる。ソルダーレジスト層48は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0045】
必要に応じ、開口部48xの底部に露出する配線層40上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。なお、ソルダーレジスト層48は、本発明に係る第2最外絶縁層の代表的な一例である。
【0046】
外部接続端子49は、開口部48xの底部に露出する配線層40上に(配線層40上に金属層が形成されている場合には、金属層上に)形成されている。外部接続端子49は、マザーボード等の実装基板や他の半導体パッケージ等(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。外部接続端子49としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0047】
但し、本実施の形態では外部接続端子49を形成しているが、外部接続端子49は必ずしも形成する必要はない。外部接続端子49を形成しない場合には、開口部48xの底部に露出する配線層40(配線層40上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体が外部接続端子となる。このように、必要なときに外部接続端子49を形成できるように配線層40の一部がソルダーレジスト層48から露出していれば十分である。以降、開口部48xの底部に露出する配線層40を第2電極パッド40と称する場合がある。
【0048】
なお、
図1では、第2電極パッド40は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、多数の第2電極パッド40がエリアアレイ状に設けられている。第2電極パッド40の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第2の電極パッド40のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0049】
ここで、半導体パッケージ10に配線パターン41を設けた技術的な意義について説明する。前述のように、厚さ方向の一方の側のみに半導体チップが内蔵されていると、半導体パッケージに反りが発生する問題がある。つまり、半導体パッケージ10において、絶縁層33側には半導体チップ20が内蔵されているが、絶縁層37側には半導体チップは内蔵されていない。そのため、何の対策も講じないと、半導体チップ20を内蔵する絶縁層33側と半導体チップ20を内蔵しない絶縁層37側との物性値(熱膨張係数やヤング率)の相違により、半導体パッケージ10に反りが発生するおそれがある。
【0050】
反りを改善するためには、絶縁層37側にも半導体チップ20に近い物性値を有する部材を配置すればよい。そこで、本実施の形態では、絶縁層37上に配線パターン41を配置している。前述のように、配線パターン41の主成分の熱膨張係数は、他の配線層(配線層36等)の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値とされている。
【0051】
つまり、従来は、絶縁層37上に他の配線層と同一成分(同一材料)からなる配線パターンを配置していたが、本実施の形態では、他の配線層の主成分の熱膨張係数より半導体チップ20の熱膨張係数に近い材料を主成分とする配線パターン41を配置している。
【0052】
具体的には、他の配線層の主成分である銅の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分であるシリコンの熱膨張係数との間の熱膨張係数を有する42アロイ等を主成分とする配線パターン41を配置している。なお、前述のように、銅の熱膨張係数は17.2ppm/℃程度、シリコンの熱膨張係数は3.4ppm/℃程度、42アロイの熱膨張係数はその間の4.5ppm/℃程度である。
【0053】
このように、42アロイ等を主成分とする配線パターン41を絶縁層37上に配置することにより、絶縁層37側の熱膨張係数を半導体チップ20を内蔵する絶縁層33側の熱膨張係数に近づけることができる。その結果、半導体パッケージ10の上下の物性値のバランスが取れるため、半導体パッケージ10が熱応力等により反ることを防止できる。
【0054】
又、半導体チップ20の主成分であるシリコンのヤング率は200GPa程度であり、他の配線層(配線層36等)の主成分である銅のヤング率は118GPa程度である。一方、42アロイのヤング率は145GPa程度である。このように、配線パターン41の主成分のヤング率を、他の配線層(配線層36等)の主成分のヤング率と半導体チップ20の主成分のヤング率との間の値とすることにより、半導体パッケージ10全体の剛性を向上できる。
【0055】
なお、配線パターン41の厚さが厚いほど、半導体パッケージ10の反りの低減や剛性の向上に寄与する程度が大きくなる。又、絶縁層37上に占める配線パターン41の面積が広いほど、半導体パッケージ10の反りや剛性の向上に寄与する程度が大きくなる。又、配線パターン41の主成分の熱膨張係数やヤング率が、半導体チップ20の主成分の熱膨張係数やヤング率に近いほど、半導体パッケージ10の反りや剛性の向上に寄与する程度が大きくなる。
【0056】
しかしながら、配線パターン41の厚さを厚くすると半導体パッケージ10の厚さが厚くなり、配線パターン41の面積を広くすると半導体パッケージ10の幅が広くなる。そこで、半導体パッケージ10の反りの低減や剛性の向上と、半導体パッケージ10に要求される寸法等の仕様を比較考量し、配線パターン41の厚さや面積を適宜決定することが好ましい。
【0057】
ところで、半導体パッケージ10の反りの低減や剛性の向上のためにスティフナを設けることも考えられる。
図2は、比較例に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図2を参照するに、比較例に係る半導体パッケージ100は、配線層40が配線層110に置換された点、配線層110を被覆する絶縁層120が追加され絶縁層120上にスティフナ130が配置された点が半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。
【0058】
配線層110は他の配線層(配線層36等)と同一材料から構成されている。絶縁層120は、絶縁層37上に、配線層110を覆うように形成されている。絶縁層120の材料としては、絶縁層33と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層120の厚さは、例えば15〜60μm程度とすることができる。絶縁層120は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0059】
スティフナ130は、板状体140の表面に金属層150が形成された補強部材である。スティフナ130には、開口部130xが形成されている。スティフナ130は、ソルダーレジスト層48に被覆されている。板状体140の材料としては、例えば、42アロイ等を用いることができる。板状体140の厚さは、例えば、30〜80μm程度とすることができる。金属層150の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。金属層150の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。
【0060】
スティフナ130を設けたことにより、配線層110の表面とソルダーレジスト層48の表面との距離が、半導体パッケージ10の配線層40の表面とソルダーレジスト層48の表面との距離より長くなっている。つまり、開口部48xの深さが、半導体パッケージ10の場合より深くなっている。
【0061】
そのため、ソルダーレジスト層48の表面からの外部接続端子49の突起量を半導体パッケージ10と同等にするためには、半導体パッケージ10の場合より開口部48xの径を大きくし、外部接続端子49として大径のはんだボールを搭載する必要が生じる。これにより、外部接続端子49の狭ピッチ化に対応することが困難となる。又、スティフナ130と外部接続端子49がショートするおそれがある。
【0062】
一方、本実施の形態に係る半導体パッケージ10では、このような問題点を解決すると共に、半導体パッケージ10の反りの低減や剛性の向上を実現できる。
【0063】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。
図3〜
図5は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【0064】
まず、
図3(a)に示す工程では、支持体51を準備する。支持体51としては、シリコン板、ガラス板、金属板、金属箔等を用いることができるが、本実施の形態では、支持体51として銅箔を用いる。電解めっきを行う際の給電層として利用でき、後述する
図5(c)に示す工程において容易にエッチングで除去可能だからである。支持体51の厚さは、例えば35〜100μm程度とすることができる。
【0065】
次に、支持体51の一方の面に、配線層30に対応する開口部52xを有するレジスト層52を形成する。具体的には、支持体51の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、支持体51の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト等)をラミネートする。
【0066】
そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光及び現像することで開口部52xを形成する。これにより、開口部52xを有するレジスト層52が形成される。なお、予め開口部52xを形成したフィルム状のレジストを支持体51の一方の面にラミネートしても構わない。開口部52xは、
図1に示す配線層30に対応する位置に形成される。開口部52xの平面形状は、例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。
【0067】
次に、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、支持体51の一方の面の開口部52x内に、第1層31及び第2層32から構成される配線層30を形成する。第1層31は、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜をこの順番で順次積層した構造を有する。
【0068】
よって、配線層30を形成するには、まず、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を順にめっきして第1層31を形成する。そして、支持体51をめっき給電層に利用する電解めっき法により、第1層31上に銅(Cu)等からなる第2層32を形成する。なお、第1層31は、金(Au)膜とニッケル(Ni)膜をこの順番で順次積層した構造としても良い。
【0069】
次に、
図3(b)に示す工程では、半導体チップ20を準備する。半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有し、電極パッド22及び突起電極23は半導体チップ20の回路形成面側に形成されている。又、半導体チップ20は、例えば75μm程度に薄型化されている。そして、
図3(a)に示すレジスト層52を除去した後、支持体51の一方の面に、ダイアタッチフィルム等の接着層(図示せず)を介して、半導体チップ20をフェイスアップの状態(回路形成面を上にした状態)で配置する。
【0070】
次に、
図3(c)に示す工程では、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、配線層30の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面に絶縁層33を形成する。絶縁層33の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層33の厚さは、例えば120μm程度とすることができる。絶縁層33は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0071】
絶縁層33の材料として、例えば熱硬化性を有するフィルム状のエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂を用いた場合には、以下のようにすることができる。すなわち、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、配線層30の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面にフィルム状の絶縁層33をラミネートする。そして、ラミネートした絶縁層33を押圧しつつ、絶縁層33を硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、絶縁層33を真空雰囲気中でラミネートすることにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
【0072】
絶縁層33の材料として、例えば熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂を用いた場合には、以下のようにすることができる。すなわち、半導体チップ20の回路形成面及び側面、並びに、配線層30の上面及び側面を封止するように、支持体51の一方の面に液状又はペースト状の絶縁層33を例えばロールコート法等により塗布する。そして、塗布した絶縁層33を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0073】
そして、硬化させた絶縁層33に、絶縁層33を貫通し配線層30の上面を露出させるビアホール33x、及び絶縁層33を貫通し突起電極23の上面を露出するビアホール33yを形成する。ビアホール33x及びビアホール33yは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。
【0074】
レーザ加工法により形成したビアホール33xは、絶縁層33の第1面側に開口されている開口部の径が配線層30の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となる。ビアホール33xの開口部の径は、例えば150μm程度とすることができる。
【0075】
又、レーザ加工法により形成したビアホール33yは、絶縁層33の第1面側に開口されている開口部の径が突起電極23の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となる。ビアホール33yの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0076】
なお、ビアホール33x及びビアホール33yをレーザ加工法により形成した場合には、
図3(c)に示す工程後にデスミア処理を行うことが好ましい。デスミア処理を行うことにより、ビアホール33xの底部に露出する配線層30の上面、及びビアホール33yの底部に露出する突起電極23の上面に付着した絶縁層33の樹脂残渣を除去できる。
【0077】
次に、
図4(a)に示す工程では、絶縁層33上に配線層34、絶縁層35、配線層36、及び絶縁層37を順次積層する。まず、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて、ビアホール33x内に充填されたビア配線、ビアホール33y内に充填されたビア配線、及び絶縁層33上に形成された配線パターンを含む配線層34を形成する。配線層34の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層34を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0078】
なお、例えば、絶縁層33の厚さを120μm、配線層30の厚さを10μmとすれば、ビアホール33xの深さは110μmとなり、ビア配線をビアホール33x内に充填することは困難である。そのため、ビア配線は、ビアホール33x内に充填せず、ビアホール33xの側壁及び配線層30の上面のみに膜状に形成してもよい。
【0079】
次に、絶縁層33上に配線層34を被覆する絶縁層35を形成し硬化させた後に、硬化した絶縁層35を貫通し配線層34の上面を露出するビアホール35xを形成する。絶縁層35の材料としては、絶縁層33と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層35の厚さは、例えば15〜60μm程度とすることができる。絶縁層35は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0080】
更に、絶縁層35上に、ビアホール35xを介して配線層34に接続される配線層36を形成する。配線層36は、ビアホール35x内を充填するビア配線、及び絶縁層35上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層36は、ビアホール35xの底部に露出した配線層34と電気的に接続される。配線層36の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層36は、例えばセミアディティブ法により形成できる。配線層36を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0081】
次に、絶縁層35上に配線層36を被覆する絶縁層37を形成する。絶縁層37の材料としては、絶縁層33と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層37の厚さは、例えば15〜60μm程度とすることができる。絶縁層37は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。但し、絶縁層37は、この時点では硬化させず、Bステージ状態(半硬化状態)としておく。
【0082】
次に、
図4(b)〜
図5(b)に示す工程では、配線層40を形成する。まず、
図4(b)に示す工程において、板状体420の表面に金属層430が形成された導電性の部材410を準備する。板状体420の材料としては、例えば、42アロイ等を用いることができる。板状体420の厚さは、例えば、30〜80μm程度とすることができる。
【0083】
金属層430の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。金属層430の厚さは、例えば、数μm程度とすることができる。なお、板状体420は配線パターン41の第1層42となる部分、金属層430は配線パターン41の第2層43となる部分である。
【0084】
次に、準備した部材410をBステージ状態(半硬化状態)の絶縁層37上に配置する。そして、部材410を絶縁層37側に押圧しつつ、絶縁層37を硬化温度以上に加熱して硬化させる。これにより、部材410は絶縁層37上に固着される。なお、表面に金属層430が形成されていない板状体420のみからなる部材410を用いてもよい。但し、表面に銅(Cu)等の金属層430が形成されると、絶縁層37との密着性が向上する点で好適である。
【0085】
次に、
図4(c)に示す工程において、部材410をパターニングして補強用配線パターン41を形成する。具体的には、部材410上にレジスト層(図示せず)を形成し、フォトリソグラフィ法により配線パターン41を形成する部分以外のレジスト層(図示せず)を除去する。
【0086】
そして、レジスト層(図示せず)をマスクにして、レジスト層(図示せず)に覆われていない部分の部材410をエッチングにより除去する。その後、レジスト層(図示せず)を除去することにより、第1層42と、第1層42の上面及び下面を被覆する第2層43とを有する配線パターン41が形成される。配線パターン41は、例えば、エリアアレイ状に形成できる。但し、配線パターン41は、所定の平面形状に引き回しても良い。
【0087】
なお、部材410を除去するには、板状体420及び金属層430を同時に除去できるエッチング液を用いることができる。但し、板状体420及び金属層430の材料の組み合わせによっては、同時に除去できるエッチング液が存在しない場合もある。その場合には、まず、金属層430を除去できるエッチング液を用いて板状体420の上面に形成された金属層430を除去する。そして、板状体420を除去できるエッチング液を用いて板状体420を除去し、更に、金属層430を除去できるエッチング液を用いて板状体420の下面に形成されていた金属層430を除去すればよい。
【0088】
次に、
図5(a)に示す工程では、配線パターン41及び絶縁層37を貫通し配線層36の上面を露出するビアホール37x(貫通孔)を形成する。ビアホール37xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成したビアホール37xは、ソルダーレジスト層48が形成される側に開口されている開口部の径が配線層36の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部となる。ビアホール37xの開口部の径は、例えば30μm程度とすることができる。
【0089】
次に、
図5(b)に示す工程では、ビアホール37xを充填するビア配線44を形成する。ビア配線44を形成するには、例えば、ビアホール37xの内壁面及びビアホール37x内に露出する配線層36の上面を被覆する銅(Cu)等からなる金属層を無電解めっき法等により形成する。
【0090】
そして、金属層を給電層とする電解めっき法により、ビアホール37x内を銅(Cu)等により充填する。これにより、ビアホール37xはビア配線44で充填され、配線パターン41と、配線パターン41と電気的に接続されたビア配線44とを含む配線層40が形成される。配線パターン41は、ビア配線44を介して、配線層36と電気的に接続される。
【0091】
次に、
図5(c)に示す工程では、絶縁層37上に、配線層40の一部を露出する開口部48xを有するソルダーレジスト層48を形成する。ソルダーレジスト層48は、例えば液状又はペースト状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、配線層40を被覆するように絶縁層37上にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えばフィルム状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、配線層40を被覆するように絶縁層37上にラミネートすることにより形成してもよい。
【0092】
開口部48xは、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することすることにより形成できる(フォトリソグラフィ法)。予め開口部48xを形成したフィルム状の絶縁性樹脂を、配線層40を被覆するように絶縁層37上にラミネートしても構わない。なお、ソルダーレジスト層48の材料として、非感光性の絶縁性樹脂を用いてもよい。この場合には、絶縁層37上にソルダーレジスト層48を形成して硬化させた後、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法や、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたブラスト処理により開口部48xを形成すればよい。
【0093】
図5(c)に示す工程により、開口部48xを有するソルダーレジスト層48が形成され、配線層40の一部が開口部48x内に露出する。必要に応じ、開口部48xの底部に露出する配線層40上に、例えば無電解めっき法等により金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0094】
次に、支持体51を除去する。銅箔から構成されている支持体51は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム銅水溶液、過酸化水素水・硫酸系のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。
【0095】
この際、絶縁層33から露出する配線層30の最表層は金(Au)膜等であるため、銅箔から構成されている支持体51のみを選択的にエッチングできる。但し、配線層40の表面が銅(Cu)から構成されている場合には、開口部48xの底部に露出する配線層40が支持体51とともにエッチングされることを防止するため、開口部48xの底部に露出する配線層40をマスクする必要がある。なお、支持体51を除去後、半導体チップ20の背面に貼り付けられたダイアタッチフィルム等の接着層をプラズマ処理等により除去してもよい。
【0096】
次に、
図5(c)に示す工程の後、開口部48xの底部に露出する配線層40上に(配線層40上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)外部接続端子49を形成することにより、
図1に示す半導体パッケージ10が完成する。外部接続端子49は、マザーボード等の実装基板や他の半導体パッケージ等(図示せず)に設けられたパッドと電気的に接続される端子として機能する。
【0097】
外部接続端子49としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0098】
外部接続端子49は、例えば開口部48xの底部に露出する配線層40上に(配線層40上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)、表面処理剤としてのフラックスを塗布する。そして、はんだボールを搭載し、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより形成できる。
【0099】
或いは、ソルダーレジスト層48上に、外部接続端子49を形成する領域を露出するレジスト層を形成し、レジスト層から露出する領域にはんだペーストを印刷する。そして、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより外部接続端子49を形成してもよい。なお、外部接続端子49として、リードピン等を用いても構わない。
【0100】
但し、本実施の形態では外部接続端子49を形成しているが、外部接続端子49は必ずしも形成する必要はない。外部接続端子49を形成しない場合には、開口部48xの底部に露出する配線層40(配線層40上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体が外部接続端子となる。このように、必要なときに外部接続端子49を形成できるように配線層40の一部がソルダーレジスト層48から露出していれば十分である。
【0101】
なお、
図3〜
図5では、支持体51上に1個の半導体パッケージ10を作製する例を示したが、支持体51上に複数の半導体パッケージ10となる部材を作製する工程としても構わない。この場合には、支持体51を除去して外部接続端子49を形成後、それをダイシング等によって切断して個片化し、複数の半導体パッケージ10を得ることができる。又、個片化の際に、複数の半導体チップ20を有するように切断しても構わない。この場合には、複数の半導体チップ20を有する半導体パッケージが作製される。
【0102】
このように、第1の実施の形態では、半導体パッケージ10において、半導体チップ20を内蔵した絶縁層33とは厚さ方向の反対側(ソルダーレジスト層48側)に半導体チップ20に近い物性値を有する材料からなる配線パターン41を配置する。
【0103】
この際、配線パターン41の主成分の熱膨張係数を、他の配線層(配線層36等)の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値とする。これにより、ソルダーレジスト層48側の熱膨張係数を半導体チップ20を内蔵する絶縁層33側の熱膨張係数に近づけることができ、半導体パッケージ10の上下の物性値のバランスが取れるため、半導体パッケージ10が熱応力等により反ることを防止できる。
【0104】
又、配線パターン41の主成分のヤング率を、他の配線層(配線層36等)の主成分のヤング率と半導体チップ20の主成分のヤング率との間の値とすることにより、半導体パッケージ10全体の剛性を向上できる。
【0105】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、補強用配線パターンをソルダーレジスト層48側の最外配線層の一部にのみ設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0106】
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図6を参照するに、半導体パッケージ10Aは、配線層40が配線層60に置換された点が、半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。
【0107】
配線層60は、第1層42並びに第1層42の上面及び下面を被覆する第2層43を有する配線パターン41と、ビア配線44と、配線パターン61と、ビア配線63とを含んでいる。配線パターン41は、平面視において、絶縁層37の中央部近傍(半導体チップ20が内蔵されている領域の上方)に配置され、配線パターン61は、平面視において、配線パターン41の周囲に配置されている(絶縁層37の周辺部に配置されている)。
【0108】
ビア配線63は、絶縁層37を貫通し配線層36の上面を露出するビアホール37y内に、配線パターン61と一体に形成されている。配線パターン61は、ビア配線63を介して、配線層36と電気的に接続されている。配線パターン61及びビア配線63の材料は、配線層36等の材料と同様とされている。つまり、配線層36等の材料が銅(Cu)であれば、配線パターン61及びビア配線63の材料も銅(Cu)である。なお、配線パターン61の厚さは、配線パターン41の厚さと同一としなくても構わない。
【0109】
配線層60を形成するには、
図4(b)及び
図4(c)に示す工程と同様にして、
図6に示す配線パターン41の部分を作製する。そして、
図5(a)に示す工程と同様にして、配線パターン41及び絶縁層37を貫通し配線層36の上面を露出するビアホール37xを形成する。又、絶縁層37を貫通し配線層36の上面を露出するビアホール37yを形成する。
【0110】
そして、
図5(b)に示す工程と同様にして、ビアホール37xを充填するビア配線44を形成する。又、ビアホール37yを充填するビア配線63及び絶縁層37上の配線パターン61を一体に形成する。このようにして、配線層60を形成できる。なお、配線層60は、本発明に係る最外配線層の代表的な一例である。
【0111】
このように、配線パターン41を、平面視において、絶縁層37の中央部近傍(半導体チップ20が内蔵されている領域の上方)のみに配置すると、半導体チップ20と配線パターン41とが略上下対称位置に配置される。これにより、半導体パッケージ10Aの上下の物性値のバランスが取れるため、半導体パッケージ10Aが熱応力等により反ることを防止できる。又、半導体パッケージ10A全体の剛性を向上できる。
【0112】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、半導体チップ20側に露出する第1電極パッドの主成分の熱膨張係数を、配線層36等の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値にする例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0113】
図7は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
図7を参照するに、半導体パッケージ10Bは、配線層30が配線層70に置換された点が、半導体パッケージ10(
図1参照)と相違する。
【0114】
配線層70は、第1層72と、第1層72の上面及び下面を被覆する第2層73とを有する。配線層70の主成分の熱膨張係数は、他の配線層(配線層36等)の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値とされている。配線層70の第1層72及び第2層73の材料は、各々配線層40の第1層42及び第2層43の材料と同様とすることができる。配線層70の厚さは、例えば、配線層40の厚さと同様とすることができる。
【0115】
配線層70の一部(第1層72の下面を被覆する第2層73の下面)は絶縁層33から露出しており、絶縁層33の下面及び半導体チップ20の背面と略面一とされている。配線層70の一部(第1層72の下面を被覆する第2層73の下面)は、他の半導体パッケージや半導体チップ、或いは電子部品等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、絶縁層33から露出する配線層70を第1電極パッド70と称する場合がある。
【0116】
なお、
図7では、第1電極パッド70は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、複数列の第1電極パッド70が、平面視において半導体チップ20の背面を額縁状に取り囲むように設けられている。第1電極パッド70の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第1電極パッド70のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0117】
配線層70を形成するには、例えば、支持体51の一方の面に、接着層を介して、
図4(b)に示す部材410と同様の部材を固着し、
図4(c)に示す工程と同様にしてパターニングすればよい。なお、第1層72の下面を被覆する第2層73の下面は接着層により被覆されているため、第2層73が支持体51と同一材料であったとしても、
図5(c)に示す工程で、支持体51と共に第1層72の下面を被覆する第2層73が除去されることはない。但し、支持体51を除去後に、第2層73の下面を被覆する接着層をプラズマ処理等により除去する必要がある。
【0118】
このように、半導体チップ20側に露出する第1電極パッド70の主成分の熱膨張係数を、配線層36等の主成分の熱膨張係数と半導体チップ20の主成分の熱膨張係数との間の値にする。これにより、半導体チップ20と半導体チップ20上方の配線パターン41とが略上下対称位置に配置され、第1電極パッド70と第1電極パッド70上方の配線パターン41とが略上下対称位置に配置される。その結果、半導体パッケージ10Bの上下の物性値のバランスが取れるため、半導体パッケージ10Bが熱応力等により反ることを防止できる。又、半導体パッケージ10B全体の剛性を向上できる。特に、半導体パッケージ10Bの外周側の反りを低減できる。
【0119】
〈反りのシミュレーション〉
図1において配線層34と絶縁層35との間に、更に絶縁層と配線層を交互に1層ずつ挿入し、全部で4つの配線層及び5つの絶縁層(1つのソルダーレジスト層を含む)を有する半導体パッケージについて、反りのシミュレーションを実行した。但し、配線パターン41の材料は42アロイとした。このパッケージを、便宜上、半導体パッケージ10Cとする。
【0120】
又、比較のため、半導体パッケージ10Cの配線パターン41の材料を銅とした場合について反りのシミュレーションを実行した。このパッケージを、便宜上、半導体パッケージ10Dとする。
【0121】
シミュレーション条件としては、半導体パッケージ10C及び10Dの平面形状を各々12mm×12mmの矩形状とし、半導体パッケージ10C及び10Dの総厚を400μmとした。又、絶縁層33に内蔵された半導体チップ20の平面形状を8mm×8mmの矩形状とし、半導体チップ20の総厚を75μmとした。又、半導体チップ20の材料をシリコン、各絶縁層の材料をエポキシ系樹脂、配線層40の配線パターン41を除く各配線層の材料を銅とした。
【0122】
又、各層の厚さ(最も厚い部分の厚さ)は、以下の通りとした。絶縁層33が120μm、絶縁層35が45μm、新たに挿入した絶縁層が45μm、絶縁層37が55μm、ソルダーレジスト層48が51μm、配線層40を除く各配線層の配線パターンが15μm、配線パターン41が30μmである。
【0123】
半導体チップ20の背面側が凸状に反った場合の反りをプラスとし、半導体チップ20の背面側が凹状に反った場合の反りをマイナスとして、表1にシミュレーション結果を示す。
【0125】
表1に示すように、配線パターン41の主成分を42アロイとした半導体パッケージ1
0Cは、配線パターン41の主成分を銅とした半導体パッケージ10Dと比べて、パッケージ全体及びチップ搭載エリアの何れにおいても、反りを低減できることが確認された。又、配線パターン41の厚さが30μmでも反りを低減できることが確認された。配線パターン41の厚さを30μmよりも厚くすることにより、更に反りを低減できることが予想される。なお、表1の反りのイメージにおいて、色の濃い部分が大きく反っている部分である。
【0126】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0127】
例えば、第1の実施の形態において、第1電極パッド30を設けなくてもよい。つまり、複数の半導体パッケージを積層する必要がない場合には、電極パッドを一方の側のみに設ければよい。