特許第5903504号(P5903504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5903504コンフォーマル金属ケイ化物フィルムを形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903504
(24)【登録日】2016年3月18日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】コンフォーマル金属ケイ化物フィルムを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/56 20060101AFI20160331BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/8242 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20160331BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20160331BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   C23C16/56
   H01L21/285 C
   H01L27/10 625
   H01L21/28 301S
   C23C16/42
【請求項の数】26
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-552405(P2014-552405)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-510547(P2015-510547A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】US2013023303
(87)【国際公開番号】WO2013112941
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年7月15日
(31)【優先権主張番号】13/427,343
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/591,843
(32)【優先日】2012年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】多田 國弘
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 英亮
(72)【発明者】
【氏名】オメーラ,デイヴィッド,エル
(72)【発明者】
【氏名】レーシンク,ゲリット,ジェイ
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−067688(JP,A)
【文献】 特開2001−203171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/56
C23C 16/42
H01L 21/28
H01L 21/285
H01L 21/8242
H01L 27/108
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属ケイ化物層を形成する方法であって、以下:
a)前記基板をプロセスチャンバに提供すること;
b)前記基板を、第一基板温度で、金属前駆体を含有する成膜ガスから発生したプラズマに曝露し、ここで、前記プラズマ曝露により、自己制御プロセスにおいて、コンフォーマル金属含有層が前記基板上に形成されること;及び
c)前記金属含有層を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露し、ここで、b)及びc)を、少なくとも1回行って前記金属ケイ化物層を形成し、及びここで、前記成膜ガスは、前記還元ガスを含まないこと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属前駆体が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属ケイ化物層が、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属前駆体が、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属ケイ化物層が、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属ケイ化物層が、前記基板に形成された深いトレンチの表面の上に、コンフォーマルに成膜される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記深いトレンチが、約50nm〜100nmの幅、約2000nm〜5000nmの深さ、及び約40:1〜約100:1のアスペクト比を有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属前駆体がハロゲン化チタンを含み、前記還元ガスがHを含み、前記金属ケイ化物層がケイ化チタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一及び第二基板温度が、約450℃〜約650℃である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
基板上に金属ケイ化物フィルムを形成する方法であって、以下:
a)前記基板をプロセスチャンバに提供すること;
b)前記基板を、第一基板温度で、金属前駆体を含有する成膜ガスから発生したプラズマに曝露し、ここで、前記プラズマ曝露により、自己制御プロセスにおいて、コンフォーマル金属含有層が前記基板上に成膜されること;
c)前記金属含有層を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露し、ここで、b)及びc)を、少なくとも1回行って前記基板上に金属フィルムを形成し、及びここで、前記成膜ガスは、前記還元ガスを含まないこと;及び
d)前記基板を、第三基板温度でアニーリングして金属ケイ化物フィルムを形成し、ここで、前記第三基板温度は、前記第二基板温度より大きいこと、
を含む、方法。
【請求項11】
d)が:
前記アニーリングの前に、前記金属フィルム上にシリコンを成膜すること、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成膜ガスが、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記金属ケイ化物フィルムが、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記金属ケイ化物フィルムが、前記基板に形成された深いトレンチの表面の上に、コンフォーマルに成膜される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記成膜ガスが、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記金属ケイ化物フィルムが、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記深いトレンチが、約50nm〜100nmの幅、約2000nm〜5000nmの深さ、及び約40:1〜約100:1のアスペクト比を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記金属前駆体がハロゲン化チタンを含み、前記還元ガスがHを含み、前記金属ケイ化物層がケイ化チタンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記第一及び第二基板温度が、約450℃より低い、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基板上に金属ケイ化物フィルムを形成する方法であって、以下:
a)基板をプロセスチャンバに提供すること;
b)前記基板を、第一基板温度で、プラズマの非存在下で金属前駆体を含む成膜ガスに熱的に曝露し、ここで、前記熱曝露により、自己制御プロセスにおいて、前記基板上にコンフォーマル金属含有層が形成されること;
c)希ガスのみからなるプラズマに曝露することにより、第二基板温度で、前記金属含有層を改修すること;
d)前記改修された金属含有層を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露し、ここで、前記b)〜d)は、続いて少なくとも1回行って、前記金属ケイ化物フィルムを形成すること、
を含む、方法。
【請求項21】
前記成膜ガスが、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記金属ケイ化物フィルムが、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記金属ケイ化物フィルムが、前記基板に形成された深いトレンチの表面の上に、コンフォーマルに成膜される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記深いトレンチが、約50nm〜100nmの幅、約2000nm〜5000nmの深さ、及び約40:1〜約100:1のアスペクト比を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記金属前駆体がハロゲン化チタンを含み、前記還元ガスがHを含み、前記金属ケイ化物層がケイ化チタンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記第一及び第二基板温度が、約450℃〜約650℃である、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年1月27日に出願された米国仮特許出願第61/591,843号(参照番号 TTCA−389Pro)に関し、及びその優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2012年3月22日に出願された米国特許出願第13/427,343号(参照番号 TTCA−389)に関し、及びその優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本発明は、一般に、蒸着を使用して、基板上にコンフォーマル(conformal)金属ケイ化物フィルムを形成する方法に関する。前記基板は、半導体デバイスで使用される、高いアスペクト比を有する深いトレンチを含む。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
半導体産業においては、より速く、より低出力のマイクロプロセッサ及びデジタル回路に対する要求に応えるために、マイクロ電子工学デバイスの最小形状が、超微細化に近づきつつある。例えば、低抵抗性高融点金属ケイ化物層は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及び強化(enhanced)DRAM(EDRAM)製造におけるゲートスタックの一部として広く使用されている。低抵抗性金属ケイ化物層の別の適用は、深いトレンチDRAMのキャパシタにおけるもの、又は積層DRAMセルのビア(via)におけるものである。両方の適用は、内部電極(プラグ、深いトレンチ−DRAM)の直列抵抗又はビア(積層DRAM)が、逆の基本原則(inverse ground rule)の2乗に比例して増加するという事実に悩まされている。定数キャパシタンスの要件により、先進的(advanced)DRAMにおいてより深いトレンチ(又は、それぞれより高いスタック)がもたらされるため、この効果はさらに強化される。
【0004】
深いトレンチ−DRAMのキーとなる要件は、トレンチにおいて、高いアスペクト比を有する金属ケイ化物フィルム及び層の良好な被覆段差性(step coverage)である。さらなる要件には、金属ケイ化物フィルムが低電気抵抗性を有しなければならないこと、及び集積回路の製造に使用される従来のプロセス温度で安定であるべきことが含まれる。これらのフィルムのコンフォーマル成膜が、通常必要であり、これは、極めて深いトレンチについては極めて困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様により、基板上に、例えば、前記基板に形成された深いトレンチ中に、コンフォーマル金属ケイ化物層を形成する方法を説明する。前記金属ケイ化物層は、例えば、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル、又はケイ化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなどを含むことができる。
【0006】
一態様によれば、前記方法は、a)前記基板をプロセスチャンバに提供すること、b)前記基板を、第一基板温度で、金属前駆体を含有する成膜ガスから発生したプラズマに曝露することであって、ここで、前記プラズマ曝露により、自己制御(self−limiting)プロセスにおいて、コンフォーマル金属含有層が前記基板上に成膜され、及び前記金属含有層を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露すること、を含み、ここで、b)及びc)を、少なくとも1回代替的に行って前記金属ケイ化物層を形成し、前記成膜ガスは、前記還元ガスを含まない。
【0007】
別の態様によれば、前記方法は、a)前記基板をプロセスチャンバに提供すること、及びb)前記基板を、第一基板温度で、金属前駆体を含有する成膜ガスから発生したプラズマに曝露すること、を含み、ここで、前記プラズマ曝露により、自己制御プロセスにおいて、コンフォーマル金属含有層が前記基板上に形成される。前記方法は、c)前記基板を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露することであって、ここで、b)及びc)を、少なくとも1回代替的に行って前記基板上に前記金属フィルムを形成し、ここで、前記成膜ガスは、前記還元ガスを含まず、d)前記基板を、第三基板温度でアニーリングして金属ケイ化物フィルムを形成することであって、ここで、前記第三基板温度は、前記第二基板温度より大きいこと、をさらに含む。
【0008】
前記方法は、d)において、アニーリングの前に、前記金属フィルム上でシリコンを成膜することをさらに含む。
【0009】
なお別の態様によれば、前記方法は、a)基板をプロセスチャンバに提供すること、及びb)前記基板を、第一基板温度で、プラズマの非存在下で金属前駆体を含む成膜ガスに熱的に曝露することを含み、ここで、前記熱曝露により、自己制御プロセスにおいて、前記基板上にコンフォーマル金属含有層が形成される。前記方法は、c)希ガスを含むプラズマに曝露することにより前記金属含有層を改修すること、及びd)前記改修された金属含有層を、第二基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露することをさらに含み、ここで、前記b)〜d)は、続いて及び代替的に少なくとも1回行って、前記金属ケイ化物フィルムを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面において:
図1図1は、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図であり;
図2A図2Aは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図2B図2Bは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図2C図2Cは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図3図3は、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図であり;
図4A図4Aは、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図4B図4Bは、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図4C図4Cは、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図4D図4Dは、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図5A図5Aは、本発明のなお別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図5B図5Bは、本発明のなお別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図6図6は、本発明の別の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図であり;
図7A図7Aは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図7B図7Bは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;
図7C図7Cは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示し;及び
図7D図7Dは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの態様の詳細な説明
基板上にコンフォーマル金属ケイ化物層を形成するための方法を、いくつかの態様において説明する。前記金属ケイ化物層は、例えば、ケイ化チタン(例えば、TiSiなど)、ケイ化モリブデン(例えば、MoSiなど)、ケイ化タングステン(例えば、WSiなど)、ケイ化タンタル(例えば、TaSiなど)、又はケイ化バナジウム(例えば、VSiなど)、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなどを含むことができる。
【0012】
関連技術分野の当業者は、1つ又はそれ以上の具体的な詳細なく、あるいは他の置き換え及び/又は追加の方法、材料又は構成要素と共に、種々の態様が実行されてもよいことを認識するであろう。他の例において、本発明の種々の態様の側面が不明確になることを回避するために、周知の構造、材料、又は操作は、示されていないか、又は詳細に記載されていない。同様に、説明の目的のために、具体的な数、材料、及び配置が、本発明の徹底的な理解を提供するために記載されている。さらに、図面に示される種々の態様は、例示的表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解される。
【0013】
本明細書全体を通して、「一態様(one embodiment)」又は「態様(an embodiment)」への言及は、前記態様に関して記載される、特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも一態様において含まれることを意味するが、それらが各態様に存在することを示さない。よって、本明細書全体を通して種々の場所における語句「一態様において」又は「態様において」の出現は、必ずしも本発明の前記同一の態様に言及するわけではない。この詳細な説明において、同様の部分(like parts)は、いくつかの図面全体を通して同様の参照番号が割り当てられる。
【0014】
図1は、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図100である。前記方法は、102において、プロセスチャンバにおいて基板を提供することを含む。いくつかの態様において、前記基板は、そこで形成された、エッチングされた特徴を含む、パターン化された基板であってもよい。前記エッチングされた特徴は、一般に半導体デバイス中に見かける、例えば、トレンチ、ビア、又はそれらの組み合わせなどを含んでもよい。しかしながら、本発明の態様はまた、パターン化されていない平面基板にもうまく適用され得る。
【0015】
また、図2A〜2Cを参照すると、図2Aは、本発明の一態様による、パターン化された基板20の横断面図を示す。前記基板材料200は、バルクシリコン、単結晶シリコン(ドープされたもの又はドープされていないもの)、SiC、SiGe、SiGeC、又はそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。一態様によれば、前記基板材料200は、SiGe1−x化合物を含み、ここで、xは、Siの原子分率であり、1−xは、Geの原子分率であり、0<1−x<1である。一例において、前記基板材料200は、緩和されたSi0.5Ge0.5緩衝層上に成膜された、引張歪み(tensile−strained)SiGe1−x(x>0.5)を含むことができる。前記パターン化された基板20は、あらゆるサイズであってもよく、例えば、200mm基板、300mm基板、450mm基板、又はより大きな基板であってもよい。一例において、前記パターン化された基板20は、引張歪みSi層を含むことができる。
【0016】
図2Aに描かれる前記態様において、前記パターン化された基板20は、前記基板材料200に形成されたトレンチ202を含む。前記トレンチ202は、例えば、約2:1の、3:1の、5:1の、10:1の、15:1の、20:1の、30:1の、40:1の、50:1の、60:1の、70:1の、又は70:1より大きいか、又は等しいアスペクト比(深さ/幅)を、例えば有することができる。いくつかの態様において、前記トレンチ202は、約20:1〜約40:1の、約40:1〜約60:1の、約60:1〜約80:1の、又は約80:1〜約100:1の、アスペクト比を有することができる。前記トレンチ202は、約200nm(ナノメートル)の、又はそれより小さい、例えば、150nmの、l00nmの、65nmの、32nmの、22nmの又はそれより小さい幅(開口)を有することができる。いくつかの態様において、前記トレンチ202は、約200nm〜約100nmの、約100nm〜約80nmの、約80nm〜約60nmの、約60nm〜約40nmの、又は約40nm〜約20nmの幅を有することができる。前記トレンチ202は、約20nm〜約5000nmの、例えば、約20nm〜約100nmの、約100nm〜約500nmの、約500nm〜約1000nmの、又は約1000nm〜約5000nmの深さを有することができる。しかしながら、他のアスペクト比、トレンチ幅、及びトレンチ深さも利用可能であるので、本発明の態様は、これらのアスペクト比、トレンチ幅、及びトレンチ深さに限定されない。例えば、前記トレンチ202を、当業者に周知の、フォトリソグラフィープロセス及びドライエッチング手法を使用して形成することができる。
【0017】
図2Aをなお参照すると、一例において、前記トレンチ202は、約50nm〜100nmの幅、約2000nm〜5000nmの深さ、及び約40:1〜約100:1のアスペクト比を有する、深いトレンチであり得る。前記基板材料200は、例えば、Si(例えば、単結晶Si、ポリSi、又はアモルファスSiなど)又はSi含有材料を含むことができる。
【0018】
104において、金属ケイ化物フィルムを形成するために、前記基板を、第一基板温度で、金属含有前駆体を含む成膜ガスから発生したプラズマに曝露する。前記金属含有前駆体は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はバナジウム(V)、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含むことができる。しかしながら、本発明のいくつかの態様は、それらの金属元素に限定されず、元素周期表から他の金属元素を選択してもよい。前記金属前駆体は、金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなど)を含むことができる。前記ハロゲン化チタンは、TiF、TiCl、TiBr、又はTiIを含むことができる。前記ハロゲン化モリブデンは、MoClを含むことができる。前記ハロゲン化タングステンは、WCl又はWFを含むことができる。前記ハロゲン化タンタルは、TaF、TaBr、TaCl、又はTaIを含むことができる。前記ハロゲン化バナジウムは、VClを含むことができる。他の酸化状態での金属原子を有する他の金属ハロゲン化物もまた、使用してもよい。いくつかの例において、前記成膜ガスは、金属前駆体ガス及び不活性ガス(例えば、希ガスなど)からなっていてもよい。非限定的な例には、TiCl及びアルゴン(Ar)、TaCl及びAr、又はWCl及びArが含まれる。
【0019】
104における前記プラズマ曝露により、自己制御プロセスにおいて、前記パターン化された基板20のトポグラフィーの上に、前記トレンチ202の側壁及び底部を含むコンフォーマル金属含有層204が成膜される。これを、図2Bに図で示す。前記コンフォーマル金属含有層204の厚さは、約一単分子層のオーダーか、又はそれより小さくてもよい。前記プラズマ曝露は、自己制御的であり、前記金属含有層204の成膜は、いったん前記パターン化された基板20の曝露された表面が、前記金属含有層204の前記材料で飽和すると、停止する。
【0020】
本発明の態様によれば、104における前記プラズマは、水素含有還元ガス(例えば、Hなど)を含まない。本発明者らは、104における前記プラズマ中の水素含有還元ガスの非存在により、前記パターン化された基板20のトポグラフィーの上に前記自己制御コンフォーマル成膜が可能となることを実現した。前記成膜ガスが、TiClガスを含む場合には、TiCl分子種が前記プラズマ中に形成され、前記パターン化された基板20の表面上で吸着されたTiCl分子種の、およそ一単分子層を含むことが可能となることが想定される。プラズマ曝露が、通常指向性(異方性)であったとしても、プラズマ中で形成された前記TiCl分子種は、全ての前記TiCl吸着サイトが占有されるまで、前記パターン化された基板20のトポグラフィーの上に移動すると考えられる。よって、104における前記プラズマ曝露により、前記金属含有層204のコンフォーマル成膜がもたらされ、本発明の態様において記載される前記フィルム形成プロセスにより、基板にエッチングされる、単純及び複雑で深い特徴の、成膜困難な金属含有層の極めて必要性の高いコンフォーマル成膜が提供される。
【0021】
比較のために、前記成膜ガスがさらにHを含む場合には、前記金属含有層204は、前記プラズマ励起Hの還元効果により、非自己制御プロセスにおいて前記パターン化された基板20のトポグラフィーの上に、Ti金属層として非コンフォーマルに成膜されるであろう。前記非コンフォーマル金属含有層は、前記トレンチ202の前記側壁上で、特に前記トレンチ202の前記底部付近ではほとんど成膜されない、前記パターン化された基板20の水平方向の表面場上で最も厚くなるであろう。
【0022】
前記プラズマプロセス条件を、前記コンフォーマル金属含有層204が、前記パターン化された基板20のトポグラフィーの上に効率的に形成されるように選択してもよい。例えば、前記第一基板温度は、約25℃〜約650℃、例えば、約25℃〜約200℃、約200℃〜約450℃、又は約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃又はそれより低くてもよい。別の態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記プラズマ曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記プラズマ曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及びプラズマ曝露時間も使用し得る。
【0023】
104における前記プラズマ曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記成膜ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0024】
その後、106において、前記コンフォーマル金属含有層204(例えば、吸着されたTiClなど)を、第二基板温度で還元ガスにプラズマの非存在下で曝露する。本発明者らは、プラズマ励起還元ガスへの曝露を必要とする、吸着されたTiClとは対照的に、吸着されたTiClを、プラズマの非存在下での還元ガスへの熱曝露によりTiに還元できることを実現した。原子層堆積(ALD)プロセスで連続的にTiを成膜することを必要とせずに、Ti金属をSiと反応させるプロセスによりコンフォーマルTiSi層が創出され、このことはこれまで報告されていなかった。
【0025】
前記還元ガスは、水素含有ガス(例えば、Hなど)、ケイ素−水素含有ガス(例えば、SiHなど)、ホウ素−水素含有ガス(例えば、Bなど)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。前記還元ガスは、例えば、希ガスなどの不活性ガスをさらに含んでもよい。本発明者らは、前記コンフォーマル金属含有層204の前記還元ガスへの等方的曝露により、前記コンフォーマル金属含有層204を、続いて前記基板材料200のSiと反応して図2Cに描かれたコンフォーマル金属ケイ化物層206を形成することができる、対応する金属に化学的に還元することを実現した。前記金属ケイ化物層206は、ケイ化チタン(例えば、TiSiなど)、ケイ化モリブデン(例えば、MoSiなど)、ケイ化タングステン(例えば、WSiなど)、ケイ化タンタル(例えば、TaSiなど)、又はケイ化バナジウム(例えば、VSiなど)、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含むことができる。
【0026】
一態様によれば、前記第二基板温度は、前記還元された金属が前記基板材料と効率的に反応して前記金属ケイ化物層206を形成するのに十分に高い。
【0027】
106におけるプロセス条件を選択して、前記コンフォーマル金属含有層204を効率的に還元して、前記コンフォーマル金属ケイ化物層206を形成してもよい。例えば、前記第二基板温度は、約200℃〜約700℃であってもよく、例えば、約200℃〜約450℃又は約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第二基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記還元ガスへの曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及び曝露時間も使用し得る。
【0028】
一例において、前記第一及び第二基板温度は、同一であるか、又はおよそ同一であってもよい。別の例において、前記第一及び第二基板温度は、異なってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃より低くてもよく、前記第二基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。一態様によれば、前記第一及び第二基板温度の両方は、約450℃〜約650℃であってもよい。
【0029】
106における前記還元ガスへの前記曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記還元ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0030】
前記プロセスステップ104及び106を、プロセス矢印108により図示されるように、少なくとも1回繰り返して、前記コンフォーマル金属ケイ化物層206の厚さ及び導電性を増加させてもよい。前記金属ケイ化物層206が所望の厚さを有する場合には、前記パターン化された基板20を、さらに処理して半導体デバイスを製造してもよい。前記コンフォーマル金属ケイ化物層206の厚さは、例えば、約0.5nm〜約5nmなどであり得る。
【0031】
図3は、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図300であり、図4A〜4D及び図5A〜5Bは、本発明の態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図である。前記方法には、302において、プロセスチャンバに基板を提供することが含まれる。図4Aは、本発明の一態様による、パターン化された基板40の横断面図を示す。前記パターン化された基板40は、基板材料200で形成されたトレンチ202を含む。前記基板材料200及び前記トレンチ202の例は、既に上述した。
【0032】
304において、前記パターン化された基板40を、第一基板温度で、金属ケイ化物フィルムを形成するための金属含有前駆体を含む成膜ガスから発生したプラズマに曝露する。前記金属含有前駆体は、Ti、Mo、W、Ta、又はV、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含むことができる。しかしながら、本発明のいくつかの態様は、それらの金属元素に限定されず、元素周期表から他の金属元素を選択してもよい。前記金属前駆体は、金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなど)を含むことができる。いくつかの例において、前記成膜ガスは、金属前駆体ガス及び不活性ガス(例えば、希ガスなど)からなっていてもよい。非限定的な例には、TiCl及びアルゴン(Ar)、TaCl及びAr、又はWCl及びArが含まれる。
【0033】
304における前記プラズマ曝露により、自己制御プロセスにおいて、前記パターン化された基板40のトポグラフィーの上に、前記トレンチ202の側壁及び底部上を含むコンフォーマル金属含有層404が成膜される。これを、図4Bに図で示す。前記コンフォーマル金属含有層404の厚さは、約一単分子層のオーダーか、又はそれより小さくてもよい。前記プラズマ曝露は、自己制御的であり、前記金属含有層404の成膜は、いったん前記パターン化された基板40の曝露された表面が、前記金属含有層404の前記材料で飽和すると、停止する。本発明の態様によれば、104における前記プラズマ曝露は、水素含有還元ガス(例えば、Hなど)を含まない。
【0034】
前記プラズマプロセス条件を、前記コンフォーマル金属含有層404が、前記パターン化された基板40のトポグラフィーの上に効率的に形成されるように選択してもよい。例えば、前記第一基板温度は、約25℃〜約650℃、例えば、約25℃〜約200℃、約200℃〜約450℃、又は約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃又はそれより低くてもよい。別の態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記プラズマ曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記プラズマ曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及びプラズマ曝露時間も使用し得る。
【0035】
304における前記プラズマ曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記成膜ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0036】
その後、306において、前記コンフォーマル金属含有層404(例えば、吸着されたTiClなど)を、第二基板温度で還元ガスにプラズマの非存在下で曝露する。前記還元ガスは、水素含有ガス(例えば、Hなど)、ケイ素−水素含有ガス(例えば、SiHなど)、ホウ素−水素含有ガス(例えば、Bなど)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。前記還元ガスは、例えば、希ガスなどの不活性ガスをさらに含んでもよい。前記コンフォーマル金属含有層404の前記還元ガスへの曝露により、前記コンフォーマル金属含有層404を、対応する金属(例えば、Ti金属など)を含むコンフォーマル金属層406に化学的に還元する。一態様によれば、前記第二基板温度は、前記還元された金属が前記基板材料と効率的に反応して金属ケイ化物を形成するのに十分に高くはない。
【0037】
前記金属層を前記基板材料200からのシリコンと反応させることなく、306におけるプロセス条件を選択して、前記コンフォーマル金属含有層404を、対応するコンフォーマル金属層406に効率的に還元してもよい。例えば、前記第二基板温度は、約200℃〜約450℃、又は450℃より低くてもよい。前記還元ガスへの曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及び曝露時間も使用し得る。
【0038】
一例において、前記第一及び第二基板温度は、同一であるか、又はおよそ同一であってもよい。別の例において、前記第一及び第二基板温度は、異なってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度は、前記第二基板温度より高くてもよい。一態様によれば、前記第一及び第二基板温度は、約450℃より低くてもよい。
【0039】
306における前記プラズマ曝露(例えば、前記プラズマ中で形成したTiClの基板曝露を飽和させることなど)及び308における前記還元ガス(H)への前記曝露の両方は、ともに等方的曝露プロセスであるので、得られる金属層406は、前記パターン化された基板40のトポグラフィーの上に、前記トレンチ202の側壁及び底部上を含んでコンフォーマルに形成される。
【0040】
306における前記還元ガスへの曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記還元ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0041】
308において、前記基板を、前記第二基板温度より高い第三基板温度でアニーリングする。308における前記プロセス条件を選択して、前記金属層408を前記基板材料200と効率的に反応させて、図4Dに図示するコンフォーマル金属ケイ化物層408を形成してもよい。例えば、前記第二基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記アニーリング中のプロセスチャンバにおけるアニーリングガス(例えば、Ar又はNなど)圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記アニーリング時間は、約1秒間〜約500秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及びアニーリング時間も使用し得る。
【0042】
前記プロセスステップ304〜308を、プロセス矢印310により図示されるように、少なくとも1回繰り返して、前記コンフォーマル金属ケイ化物層408の厚さ及び導電性を増加させてもよい。前記コンフォーマル金属ケイ化物層408の厚さは、例えば、約0.5nm〜約5nmなどであり得る。
【0043】
一態様によれば、前記プロセスフロー300は、307において、前記コンフォーマル金属層406上でシリコン層410を成膜することをさらに含む。これを、図5Aに図示する。前記シリコン層410は、前記基板材料200からのシリコンの消費を減少させるか、又は回避し、側壁制御のための金属ケイ化物の厚さを増大させることができる。これにより、より厚い又は他の金属ケイ化物材料の使用が可能となる。前記シリコン層410を、例えば、化学蒸着法(CVD)、プラズマCVD法(PECVD)、ALD、又はプラズマALD(PEALD)などのあらゆる慣例の成膜法を使用して成膜してもよい。前記シリコン層410を、前記パターン化された基板50のトポグラフィーの上に、コンフォーマルに成膜してもよい。前記シリコン層410の厚さは、約0.5nm〜約10nm、又はそれより大きいものであり得る。例えば、前記シリコン層410の厚さは、約0.5nm〜約1nm、約1nm〜約3nm、約3nm〜約5nm、又は約5nm〜約10nmであり得る。
【0044】
307における前記シリコン成膜の後に、前記基板を308において上述したようにアニーリングしてもよい。308における前記プロセス条件を選択して、前記金属層406をシリコン層410と効率的に反応させて、図5Bに図示されているコンフォーマル金属ケイ化物層412を形成してもよい。前記金属ケイ化物層412は、ケイ化チタン(例えば、TiSiなど)、ケイ化モリブデン(例えば、MoSiなど)、ケイ化タングステン(例えば、WSiなど)、ケイ化タンタル(例えば、TaSiなど)、又はケイ化バナジウム(例えば、VSiなど)、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなどを含むことができる。例えば、前記第二基板温度は、約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第三基板温度(アニーリング温度)は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記アニーリング中のプロセスチャンバにおけるアニーリングガス(例えば、Ar又はNなど)のガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記アニーリング時間は、約1秒間〜約500秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及びアニーリング時間も使用し得る。
【0045】
図6は、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するための方法のフロー図600であり、図7A〜7Dは、本発明の一態様による、金属ケイ化物フィルムを基板上で形成するためのプロセスフローの横断面図を示す。前記方法には、602において、プロセスチャンバに基板を提供することが含まれる。図7Aは、本発明の一態様による、パターン化された基板70の横断面図を示す。前記パターン化された基板70は、基板材料200で形成されたトレンチ202を含む。前記基板材料200及び前記トレンチ202の例は、既に上述した。
【0046】
604において、前記パターン化された基板70を、第一基板温度で、プラズマの非存在下で、金属含有前駆体を含む成膜ガスに曝露する。前記金属含有前駆体は、Ti、Mo、W、Ta、又はV、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせを含むことができる。しかしながら、本発明のいくつかの態様は、それらの金属元素に限定されず、元素周期表から他の金属元素を選択してもよい。前記金属前駆体は、金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化チタン、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化タンタル、又はハロゲン化バナジウム、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなど)を含むことができる。いくつかの例において、前記成膜ガスは、金属前駆体ガス及び不活性ガス(例えば、希ガスなど)からなっていてもよい。非限定的な例には、TiCl及びアルゴン(Ar)、TaCl及びAr、又はWCl及びArが含まれる。
【0047】
前記パターン化された基板70の前記成膜ガスへの前記熱曝露により、自己制御プロセスにおいて、前記パターン化された基板70のトポグラフィーの上に、前記トレンチ202の側壁及び底部上を含むコンフォーマル金属含有層704が成膜される。これを、図7Bに図で示す。前記コンフォーマル金属含有層704の厚さは、約一単分子層のオーダーか、又はそれより小さくてもよい。一例において、TiClガスの曝露により、前記基板上に吸着されたTiClの層を形成する。例えば、前記第一基板温度は、約25℃〜約650℃、例えば、約25℃〜約200℃、約200℃〜約450℃、又は約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃か、又はそれより低くてもよい。別の態様によれば、前記第一基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記ガス曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記ガス曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及び曝露時間も使用し得る。
【0048】
604における前記曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記成膜ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0049】
その後、606において、前記コンフォーマル金属含有層704を含む前記基板を、第二基板温度で、希ガス(例えば、Arなど)を含むか、又は希ガス(例えば、Arなど)からなるプラズマに暴露して、改修された金属含有層706を形成する。改修された金属含有層706を、図7Cに図示する。606における前記プラズマ曝露により、前記金属含有層706の前記吸着された種が、部分的に解離する。一例において、前記プラズマ曝露により、吸着されたTiClが解離し、前記基板上で吸着されたTiCl(x<4)種を形成する。
【0050】
例えば、606における前記基板プラズマ曝露は、約25℃〜約200℃、約200℃〜約450℃、又は約450℃〜約700℃の第二基板温度を利用してもよい。一態様によれば、前記第二基板温度は、約450℃か、又はそれより低くてもよい。別の態様によれば、前記第二基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記プラズマ曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記ガス曝露時間は、約1秒間〜約500秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及び曝露時間も使用し得る。
【0051】
606における前記プラズマ曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、あらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0052】
その後、608において、前記改修された金属含有層706(例えば、吸着されたTiCl(x<4)の層など)を、第三基板温度で、プラズマの非存在下での還元ガスに曝露する。前記還元ガスは、水素含有ガス(例えば、Hなど)、ケイ素−水素含有ガス(例えば、SiHなど)、ホウ素−水素含有ガス(例えば、Bなど)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。前記還元ガスは、例えば、希ガスなどの不活性ガスをさらに含んでもよい。前記改修された金属含有層706の前記還元ガスへの曝露は、前記改修された金属含有層706を、続いて前記基板材料200のSiと反応して図7Dに描かれたコンフォーマル金属ケイ化物層708を形成することができる、対応する金属(例えば、Ti金属など)に化学的に還元する。よって、一態様によれば、前記第三基板温度は、前記還元された金属が前記基板材料と効率的に反応して金属ケイ化物を形成するのに十分に高い。別の態様によれば、第三基板温度より高い第四基板でのアニーリングには、前記金属を前記基板材料と反応させて金属ケイ化物を形成させることが必要であってもよい。前記金属ケイ化物層708は、ケイ化チタン(例えば、TiSiなど)、ケイ化モリブデン(例えば、MoSiなど)、ケイ化タングステン(例えば、WSiなど)、ケイ化タンタル(例えば、TaSiなど)、又はケイ化バナジウム(例えば、VSiなど)、あるいはそれらの2種又は3種以上の組み合わせなどを含むことができる。
【0053】
608におけるプロセス条件を選択して、前記コンフォーマル金属含有層704を効率的に還元して、前記コンフォーマル金属ケイ化物層206を形成してもよい。例えば、前記第二基板温度は、約200℃〜約700℃であってもよく、例えば、約200℃〜約450℃又は約450℃〜約700℃であってもよい。一態様によれば、前記第二基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。前記還元ガスへの曝露中のプロセスチャンバにおけるガス圧は、約0.1Torr〜約5Torrであり得、前記曝露時間は、約1秒間〜約10秒間であり得る。しかしながら、他のガス圧及び曝露時間も使用し得る。
【0054】
一例において、前記第一、第二及び第三基板温度は、同一であるか、又はおよそ同一であってもよい。別の例において、前記第一、第二及び第三基板温度の少なくとも1つは、異なってもよい。一態様によれば、前記第一基板温度の両方は、約450℃より低くてもよく、前記第三基板温度は、約450℃〜約650℃であってもよい。一態様によれば、前記第一及び第三基板温度の両方は、約450℃〜約650℃であってもよい。
【0055】
606における前記プラズマ曝露は、異方的であり得るが、604における前記成膜ガスへの前記熱曝露及び608における還元ガスへの前記曝露は、ともに等方的であり、したがって、得られる金属層406は、前記パターン化された基板70のトポグラフィーの上に、度合いの高いコンフォーマル性(conformality)を有する。これにより、基板での単純及び複雑の両方の深い特徴の上に、前記金属ケイ化物層708の実質的なコンフォーマル形成を可能にする。
【0056】
608における還元ガスへの前記曝露の後に、前記プロセスチャンバに、Ar又は窒素(N)をパージして、前記成膜ガス及びあらゆる反応副生成物を前記プロセスチャンバから除去してもよい。
【0057】
前記プロセスステップ604〜608を、プロセス矢印610により図示されるように、少なくとも1回繰り返して、前記コンフォーマル金属ケイ化物層708の厚さ及び導電性を増加させてもよい。前記コンフォーマル金属ケイ化物層708の厚さは、例えば、約0.5nm〜約5nmなどであり得る。
【0058】
ステップ604を繰り返す場合には、前記金属ケイ化物層708を、プラズマの非存在下での金属含有前駆体を含む成膜ガスに熱的に曝露する。Ti金属層をTiClに曝露することにより前記Ti金属層をエッチングするが、例としてTiClを使用して、本発明者らは、604におけるケイ化チタン層を、TiClを含む成膜ガスに熱的曝露することにより、前記ケイ化チタン層をエッチングしないが、前記ケイ化チタン層上で吸着されたTiClの層が形成され得ることを実現した。
【0059】
コンフォーマル金属ケイ化物層を形成するための方法について、複数の態様を記載してきた。前記方法により、基板にエッチングされる、単純及び複雑で深い特徴の、成膜困難な金属含有層の極めて必要性の高いコンフォーマル成膜が提供される。本発明の態様の前述の記載を、例示及び説明の目的のために提示した。完全に網羅すること又は開示した精密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。この説明及びそれに続く特許請求の範囲には、説明の目的のためのみに使用され、限定するものと解釈されるべきでない用語が含まれる。例えば、本明細書(特許請求の範囲におけるものも含む)において使用される用語「上(on)」は、基板「上」のフィルムが、直接、基板上にあること及び前記基板と直ちに接触することを必要とせず;特段の明示がない限り、前記フィルム及び前記基板の間に第二のフィルム又は他の構造があってもよい。
【0060】
関連技術分野の当業者は、上記の教示に照らして、多くの改修及び変形が可能であることを十分に認識することできる。当業者は、図面に示された種々の構成要素について、種々の等価な組み合わせ及び置換を認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明により限定されるものではなく、むしろここに添付した特許請求の範囲により限定されるものであることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D