特許第5903984号(P5903984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5903984着色粘着テープおよびグラファイト複合シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5903984
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】着色粘着テープおよびグラファイト複合シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20160331BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20160331BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   B32B9/00 A
   H05K7/20 F
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-76535(P2012-76535)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203965(P2013-203965A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】山上 晃
(72)【発明者】
【氏名】倉田 吉博
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 隆峰
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−254979(JP,A)
【文献】 特開2007−261087(JP,A)
【文献】 特開2007−044994(JP,A)
【文献】 特開2013−56968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00− 7/04
B32B 1/00−35/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイトシートの保護に使用される粘着テープであって、
厚さが1〜6μmの樹脂フィルム層と厚さが0.5〜2μmの着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に厚さ1〜6μmの粘着剤層を有し、
前記着色基材の光透過率が0.1〜10%であり、
テープの厚みが3〜10μmであることを特徴とする着色粘着テープ。
【請求項2】
前記着色層が着色材料としてカーボンブラックを含有する黒色の着色インキからなり、カーボンブラックの含有量が着色インキ固形分中の10〜70質量%である請求項1記載の着色粘着テープ。
【請求項3】
グラファイトシートの両面が、請求項1又は2に記載の着色粘着テープで被覆されていることを特徴とするグラファイト複合シート。
【請求項4】
前記グラファイトシートが両面に設けられる着色粘着テープにより封止されている請求項3に記載のグラファイト複合シート。
【請求項5】
グラファイトシートの両面に設けられる粘着テープの一方が片面に粘着剤層を有する片面粘着テープであり、他方が両面に粘着剤層を有する両面粘着テープである請求項3又は4に記載のグラファイト複合シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や電子手帳などの電子機器において、電子部品から生じる発熱を放熱する放熱シートに使用する着色粘着テープに関する。より詳しくはグラファイトシートを保護する着色粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
ワープロやパソコンを始めとする電気製品においては、内部に設けられた電子部品からの発熱を防ぐため、ファンによる空冷により電子部品の冷却が行われていたが、近年のパソコンの小型化や薄型化、更には低消費電力化の要請から、より効率よく放熱できる放熱シートが使用されている。また、電子手帳、携帯電話、PHS等の小型電子端末においては、放熱シートによる放熱が冷却手段として利用されている。
【0003】
小型電子端末の放熱シートとしては、グラファイトシートが使用されており、当該グラファイトシートの加工時の割れや粉落ちを防止するために、粘着テープを貼り付けてグラファイトシートを保護することが行われている(例えば、特許文献1参照)。これら小型電子端末に使用される放熱シートは、小型電子端末の薄型化や放熱性の向上のため、非常に薄型化されているが、グラファイト複合シートの外観上のムラが見え、見栄えが低下することが問題となっている。
【0004】
外観上のムラを隠蔽するためには、着色された粘着テープを使用することで、隠蔽は可能となる。しかし、一般に流通している着色テープ、例えば、小型電子端末に使用される遮光テープ(特許文献2参照)は厚みが厚いため放熱シート用途に適さず、また、これら着色テープを使用すると、グラファイトシートのピンホール(部分的にグラファイトシートがない箇所)等の実用上問題となる欠点をライトボックス等による目視検品で検出できない問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−272785号
【特許文献2】特開2009−197124号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、薄型でありながら、グラファイトシートの外観上のムラを隠蔽でき、かつ、検品性・接着性に優れる薄型の着色粘着テープを提供することにある。また、グラファイトシートへ貼り付ける際にもシワが生じにくい着色粘着テープを提供することにある。
さらには、薄型でありながら、外観上のムラが隠蔽されており、シワ等が生じにくく見栄えの良いグラファイト複合シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の厚みの樹脂フィルム層と特定の着色層とを有する着色基材を使用した特定の光透過率を有する粘着テープで、本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明はグラファイトシートの保護に使用される粘着テープであって、厚さが1〜6μmの樹脂フィルム層と、厚さが1〜6μmの粘着剤層と、厚さが0.5〜2μmの着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に粘着剤層を有し、前記着色基材の光透過率が0.1〜10%であり、テープの厚みが3〜10μmである着色粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘着テープは、総厚みが10μm以下の極薄型の構成でありながら、隠蔽性、検品性に優れた着色粘着テープであり、グラファイトシートの保護に最適である。また、グラファイトシートへ貼り付ける際にもシワが生じにくく、良好な外観のグラファイト複合シートの生産が可能となる。さらに本発明のグラファイト複合シートは複合シートの検品性・生産性・貼り付け性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】着色基材の着色層側に粘着剤層を有する片面着色粘着テープの一例を示す概略断面図である。
図2】着色基材の着色層の他面に粘着剤層を有する片面着色粘着テープの一例を示す概略断面図である。
図3】着色基材の両面に粘着剤層を有する両面着色粘着テープの一例を示す概略断面図である。
図4】グラファイトシートの一方の面に着色片面粘着テープを貼り合せたグラファイト複合シートの一例を示す概略断面図である。
図5】グラファイトシートの一方の面に着色片面粘着テープを、他方の面に着色両面粘着テープを貼り合せたグラファイト複合シートの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の着色粘着テープは、グラファイトシートの保護に使用される粘着テープであって、厚さが1〜6μmの樹脂フィルム層と、厚さが1〜6μmの粘着剤層と、厚さが0.5〜2μmの着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に粘着剤層を有し、前記着色基材の光透過率が0.1〜10%であり、テープの厚みが3〜10μmの着色粘着テープである。
【0012】
[樹脂フィルム層]
本発明に使用する樹脂フィルム層は、厚さが1〜6μmの樹脂フィルム層である。より好ましくは2〜5μmであり、さらに好ましくは3〜5μmである。当該厚さの基材を使用することで、極薄型の構成であっても好適な貼り付け性を実現しやすく、グラファイトシートの保護用として適した粘着テープが得られる。
【0013】
当該樹脂フィルム層を構成する樹脂フィルムとしては粘着テープの基材として使用される各種樹脂フィルムを使用できる。なかでも、引張強さが1.5N/10mm〜15N/10mmの樹脂フィルムが、極薄型の構成においても切断しにくいため好ましい。
【0014】
また、樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムには、各種着色顔料を混合させても良いが、粘着テープの隠蔽性を付与すると共に、好適な検品性を実現するためには透明樹脂フィルムであることが好ましい。また、着色顔料を使用しない透明フィルムを使用することで、極薄型の構成であっても高い強度を実現しやすくなる。
【0015】
樹脂フィルム層に使用する使用する樹脂種は特に制限されないが、寸法安定性や強度が良好なポリエステルフィルムを好ましく使用できる。好ましい引張強さは2.5N/10mm〜15N/10mmである。尚、引張強さはJIS Z0237−2000に従い、引張り速度300mm/minで引っ張り、測定する。ポリエステルフィルムとしては各種のポリエステルフィルムが使用できるが、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を単独或いは共重合したフィルムが使用できる。ポリエステルフィルムは寸法安定性・強度の点から二軸延伸したフィルムが好ましい。そのなかでも、二軸延伸したPETフィルムが好ましい。
【0016】
以下、ポリエステルフィルムを例として、樹脂フィルムの製造方法に関して具体的に説明する。公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエステルチップ(ポリエステル成分)を必要に応じ滑材、着色顔料、あるいは着色顔料を高濃度に含むマスターバッチとを混練押出機に供給し、ポリエステル成分の融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
【0017】
このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、熱固定工程に移る。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0018】
なお、樹脂フィルム層は、単層、積層のいずれの形態を有していてもよく、構造上の制約を受けない。
【0019】
なお、樹脂フィルム層(特に、プラスチック材による支持体)の表面は、樹脂フィルム層上に形成される着色層や粘着剤層などとの密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0020】
(着色層)
本発明の着色粘着テープにおける着色層は、その厚さが0.5〜2μm、好ましくは1〜1.5μmである。着色層を当該範囲とすることで、極薄型の構成でありながら、好適な隠蔽性と検品性とを高度に両立できる。
【0021】
また、着色層の光透過率は、着色基材とした際の光透過率が0.1〜10%となる範囲であればよいが、透明樹脂フィルム層との組み合わせに際しては当該着色層の光透過率が0.1〜10%であることが好ましく、0.3〜8%がより好ましく、0.4〜5%であることがさらに好ましい。なお、本願における光透過率とは、JIS K7105に従い測定される光透過率Ttをいう。
【0022】
当該着色層は、特に限定されるものではないが、着色インキからなる層であることが好ましい。インキ層としてはガラス転移温度(Tg)が−30〜10℃のウレタン系樹脂を主たるバインダー成分とするウレタン系インキからなる層であることが好ましい。ウレタン系インキはポリエステル系やアクリル系インキに比べ、薄いフィルムであってもカールが発生しにくく、また顔料を高濃度に分散できる。
【0023】
着色インキ層は樹脂フィルム上に、ダイレクトグラビア印刷、リバースグラビア印刷、小径グラビア印刷等の公知の印刷方法で設けられる。そのなかでも薄型の樹脂フィルムでも破れにくく、印刷適性に優れるダイレクトグラビア印刷が好ましい。
【0024】
(インキの組成)
着色インキの組成としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系等が使用できるが、そのなかでもポリエステルウレタン系のものが好ましい。またポリエステルウレタン系樹脂は、そのガラス転移温度が−30〜10℃であることが好ましい。当該ポリエステルウレタン系樹脂を使用することで、極薄型の粘着テープ構成とした際にも薄いフィルムにコートしてもカールが少なく、コロナ処理等の易接着処理が困難な薄い樹脂フィルムにも強固に密着し、また、良好な接着性やリワーク性を実現できる。より好ましくは−25℃〜0℃であり、特に好ましくは−20℃〜−5℃である。なお、ポリエステルウレタン系樹脂のガラス転移温度は、下記にて測定される周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルのtanδのピーク温度である。
【0025】
ポリエステルウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とポリエステルポリオール化合物及び低分子量の鎖伸長剤等の縮重合反応により得られ、分子内にウレタン結合を多数持った柔軟性、弾性に富んだ樹脂である。ポリエステルポリオール化合物はモノマー成分としてジカルボン酸を含有し、前記ジカルボン酸中の芳香族ジカルボン酸を30〜90質量%とすることがポリエステルウレタン樹脂のtanδのピーク温度を上記範囲に制御しやすいため好ましい。またポリエステルポリオールの分子量は、特に限定されないが、数平均分子量で800〜6,000であることが好ましい。ポリエステルポリオールの数平均分子量が800以上であると、得られるポリエステルウレタン樹脂の印刷適性やコーテイング適性が好適になりやすく、6,000以下とすることで、乾燥性および耐ブロッキング性が向上しやすくなる。ポリエステルウレタン系樹脂としては、質量平均分子量1,000〜500,000のものが好ましく、より好ましくは20,000〜150,000である。
【0026】
前記平均質量分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いる。
【0027】
着色層に使用するインキはバインダー樹脂と着色材料とを含有する。着色材料としては、ハロゲンを含まない公知慣用の顔料や染料を使用することができ、黒の場合はカーボンブラック、白の場合は酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、黄色の場合は黄色酸化鉄、赤の場合はべんがら、青の場合はシアニンブルー、銀の場合はアルミニウム粉、パールの場合は雲母チタン粉が、耐候性・耐熱性・インキ樹脂に対する分散性から好ましい。なかでも、カーボンブラックが隠蔽性に優れるため好ましい。
【0028】
着色材料の添加量としては、用途等に応じて適宜調整すればよく、着色材料を含むインキ固形分中の10〜70質量%が好ましい。より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは35〜50質量%である。10質量%以上あれば、好適に隠蔽性を示し、70質量%以下であれば、分散が良好となる。
【0029】
[着色基材]
本発明に使用する着色基材は、上記厚さが1〜6μmの樹脂フィルム層と、厚さが0.5〜2μmの着色層とを有する着色基材であり、その光透過率が0.1〜10%の着色基材である。当該着色基材を使用することで、得られる着色粘着テープは極薄型でありながら好適な隠蔽性と検品性とを実現でき、また貼り付け時にもシワが生じにくい好適な貼り付け性を実現できる。
【0030】
着色基材としての厚さは、1.5〜8μmであることが好ましく、2〜6μmであることがより好ましく、4〜5.5μmであることが特に好ましい。着色基材の厚さを当該範囲とすることで、貼り付け時のシワの抑制や切断耐性が特に好適となる。
【0031】
着色基材の光透過率は0.1〜10%であり、好ましくは0.3〜8%、より好ましくは0.4〜5%である。当該光透過率とすることで、極薄型でも好適な隠蔽性と検品性を実現できる。
【0032】
着色基材の構成は、上記樹脂フィルム層と着色層とを有する構成であればよく、必要に応じて樹脂フィルム層に易接着処理を施したり、プライマー層等の他の層を設けてもよい。また、着色基材は上記光透過率を有するものであればよいが、透明樹脂フィルム層と、光透過率が0.1〜10%の着色層との組み合わせであることが、特に隠蔽性と検品性を両立させやすいため好ましい。
【0033】
[粘着剤層]
本発明の着色粘着テープの粘着剤層の厚みは、1〜6μmである。好ましくは2〜5μmであり、さらに好ましくは2.5〜4μmである。上記範囲にあることで極薄型の構成とした際にも良好な接着物性を実現できる。特に1μm未満である場合は、接着力が著しく低下し、グラファイトシートの生産性や筐体への貼付け性に劣る。粘着テープの粘着剤層の厚みは、両面粘着テープの場合、以下の関係であることが好ましい。
グラファイトシートに貼られる面の厚み≦電子機器に貼られる面の厚み。
【0034】
本発明の着色粘着テープの粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
粘着剤としては、特にアクリル系粘着剤が、接着信頼性が高いことから好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするポリマーであり、必要に応じて(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調製されている。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4−18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。アクリル酸ブチルをアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の90質量%以上含有するものが接着性・耐熱性に優れるため好ましい。さらに好ましくは95質量%以上である。
【0036】
また、前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合可能な共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体としては、カルボキシル基などの官能基を有する改質用モノマーを好適に用いることができる。アクリル酸をアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の0.5〜4.0質量%含有するものが接着性・耐熱性に優れるため好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0質量%である。
【0037】
アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は好ましくは50万〜120万である。さらに好ましくは50万〜100万である。上記範囲にあることで、薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすい。分子量はGPCによってスチレン換算で測定される。
【0038】
本発明においては、粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加することも好ましい。また、これら粘着付与樹脂を添加することで、引張強度や引張破断強度を高くすることができることから、使用するアクリル系共重合体に応じて、粘着付与樹脂を適宜添加することで、引張強度や引張破断強度を調整できる。本発明の両面粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンやロジンのエステル化合物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。そのなかでもn−ブチル(メタ)アクリレートを主たるモノマー成分とするアクリル系共重合体を使用した粘着剤組成物においては、薄型で粘着力と耐熱性を両立させるに際し、ロジン系樹脂とスチレン系樹脂を混合して使用することが好ましい
【0039】
また初期接着力を上げるため、常温で液状の粘着付与樹脂を混合して使用することが好ましい。常温で液状の粘着付与樹脂としては、例えば、前記した常温で固体の粘着付与樹脂の液状樹脂や、プロセスオイル、ポリエステル系可塑剤、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられる。特にテルペンフェノール樹脂が好ましい。市販品としてはヤスハラケミカル社製YP−90L等がある。粘着付与樹脂の添加量はアクリル系共重合体100質量部に対して1〜20質量部を添加するのが好ましい。
【0040】
粘着付与樹脂の添加量としては、アクリル系共重合体100質量部に対し10〜70質量部を添加するのが好ましい。より好ましくは20〜60質量部である。粘着付与樹脂を添加することにより粘着力を向上させることができる。
【0041】
粘着剤層のゲル分率は特に制限されるものではないが、5〜50%であることが薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすいため好ましく、10〜45%であることがより好ましく、さらに好ましくは13〜35%である。ゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
ゲル分率=[(粘着剤層のトルエン浸漬後質量)/(粘着剤層のトルエン浸漬前質量)]×100
【0042】
また、粘着剤層の貯蔵弾性率は、1Hzの振動数で25℃で10〜4×10Paであることが好ましい。さらに好ましくは5×10〜2×10Paである。上記範囲にあることで、薄膜の粘着剤層であっても濡れ性(初期タック)と接着力を高度に両立しやすい。
【0043】
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
【0044】
[着色粘着テープ]
本発明の着色粘着テープは、樹脂フィルム層と着色層とを有する着色基材の少なくとも一面に粘着剤層が設けられた着色粘着テープであり、例えば、図1(片面テープ:着色基材の着色層側に粘着剤層を有する構成)、図2(片面テープ:着色基材の着色層とは他の表面側に粘着剤層を有する構成)のような片面粘着テープの構成、あるいは、図3(両面テープ)のような両面粘着テープの構成であってもよく、その総厚みが15μm以下の着色粘着テープである。このように本発明の着色粘着テープはきわめて薄く、スペースの少ない電子機器、特に携帯用電子機器に使用される部品の保護・接合用において好適に使用できる。また基材が着色されている為、視認性・隠蔽性に優れる。なお、本発明の着色粘着テープの厚さ範囲内であれば、各層は複数の層が積層されている構成であっても、各層間に他の機能性層が含まれる構成であってもよい。
【0045】
本発明の着色粘着テープは、上記のとおり片面テープの構成であっても両面粘着テープの構成であっても良いが、片面粘着テープにおいては、粘着剤層の積層面に応じて、より好適な効果の発現や機能付与が可能となる。例えば、着色基材の着色層側に粘着剤層を有する構成においては、本発明に使用する着色層が粘着剤層との密着性が良好であるためリワーク時の着色層/粘着剤層界面での脱離を好適に抑制でき、強接着性の粘着剤層を使用した場合にも優れたリワーク性を実現できる。
また、着色基材の着色層とは他の表面側に粘着剤層を有する構成においては、マット感のある着色層がテープ表面となるため、搬送時等にテープ表面に透明な保護フィルムが設けられる場合に、光沢のある保護フィルムの剥がし忘れを防止しやすくなる。即ち、光沢のある保護フィルムを剥がした際にマット感のある着色層が現れるため、剥がし忘れを防止できる。当該用途においては、着色層のマット感を向上させておくことで、当該効果を奏しやすくなる。
【0046】
着色粘着テープの光透過率は、0.1〜10%であることが好ましく、0.3〜8%がより好ましく、さらに好ましくは0.4〜5%である。
【0047】
(接着力)
本発明の着色粘着テープの接着力は、2〜12N/25mmであることが好ましい。より好ましくは4〜10N/25mmであり、7〜10N/25mmである。接着力が低すぎると剥がれが生じやすくなり、高すぎるとリワーク時にテープが破れやすくなる。接着力はJIS Z0237−2000に従い測定される、180°ピール接着力である。被着体はステンレス板であり、23℃50%RHで貼付後1時間後に300mm/minの剥離速度で剥がしたときの接着力である。尚、両面テープの場合は、PETフィルム25μmで裏打ちして、測定した値である。
【0048】
両面テープの場合、粘着力は以下の関係があることが好ましい。電子機器へ接着する粘着面の接着力≧グラファイトシートへ接着する粘着面の接着力であることが電子機器への接着性に優れるため、好ましい。より好ましくは電子機器への接着する粘着面の接着力≧1.1×(グラファイトシートへ接着する粘着面の接着力)である。
【0049】
(剥離ライナー)
本発明の粘着テープは、粘着剤層を保護するために、各粘着剤層表面に剥離ライナーが設けられていても良い。当該剥離ライナーとしては、公知の剥離ライナーを適宜選択して使用すればよい。樹脂フィルムに離形処理したものが平滑性に優れ、好ましい。そのなかでも耐熱性に優れるポリエステルフィルムに離形処理したものが好ましい。なお、本発明でいう着色粘着テープの総厚みとは、当該剥離ライナーを含まない粘着テープ自体の厚みをいう。
【0050】
これら剥離ライナーの表面は、易剥離性を付与するために剥離処理層が設けられていることが好ましい。剥離処理層としては、両面粘着テープの剥離ライナー用に使用される各種の剥離処理剤により形成することができ、このような剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系剥離処理剤等を好ましく使用できる。また、剥離処理層は、上記の樹脂フィルム上に、ラミネートやコーティングにより形成されていてもよい。
【0051】
剥離ライナーの剥離力は、使用態様等に応じて適宜調整すればよいが、粘着剤層に対する剥離力が0.01〜2N/20mm、好ましくは0.05〜0.15N/20mmとすることで、剥離ライナーを剥離する際に、両面粘着テープの変形を抑制しやすくなるため好ましい。剥離力は剥離ライナー又は50μm厚さのPET裏打ちした粘着剤層を0.3〜10m/minの速度で180°方向に剥離して測定できる。
【0052】
(グラファイトシート)
本発明に使用するグラファイトシートとしては、天然黒鉛粉末をシート化して得られる天然グラファイトシートや、高分子フィルムを熱処理して得られる人工グラファイトシートが挙げられる。グラファイトシートは、面方向に高い熱伝導性を有し、面方向の熱伝導性と厚み方向の熱伝導性に大きな異方性があり、電子機器・精密機器などのようにスポットで熱が高くなる電子部材において、有効に熱を拡散することができる。そのなかでも、特に人工グラファイトシートは薄型で面方向に高い熱伝導性を有するため、適している。市販品としてはカネカ製「グラフィニティー」やパナソニック製「PGSシート」があげられる。
【0053】
本発明に好ましく用いられる人工グラファイトシートの製造方法は、フィルム状グラファイトがポリイミド樹脂などの高分子フィルムの熱処理によって作製されたものである。グラファイトシートの原料フィルムは、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子フィルムである。特に、原料フィルムとして好ましいのは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ熱拡散率、熱伝導率、電気伝導度そのものも高くなりやすい。また、厚みが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、出来上がるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性、折り曲げ性に優れ、保護フィルムと貼り合わせた場合に、表面から黒鉛が落ちにくいグラファイトシートが得られやすい。
【0054】
高分子からグラファイトシートを得るには、まず、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して炭素化する。この炭素化は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。グラファイト化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。グラファイトフィルムの製造方法においてその熱処理温度としては、最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上であり、このような熱処理温度にすることにより、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒーターに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。
【0055】
本発明に用いられるグラファイトシートは、シートの面方向の熱伝導度が200W/mK以上であり、フィルム面に対して垂直方向の熱伝導度が20W/mK以下であることが好ましい。
【0056】
グラファイトシートは外観上のムラが発生しやすい。これらのムラは放熱性に問題ないもののが多いが、電子機器メーカーから不良として返品される問題があった。本発明の着色粘着テープを用いることで、放熱性にこれらの返品を軽減することが可能である。また本発明の着色粘着テープは特定の光透過率を有しているので、グラファイトシートのピンホール(部分的にグラファイトシートがない部分)をライトボックスによる検品で検出することができる。
【0057】
(グラファイト複合シート)
本発明のグラファイト複合シートは、グラファイトシートを上記粘着テープで被覆したシートである。当該構成とすることで、グラファイトシートに絶縁性や強度を付与できる。グラファイトシートの被覆は、グラファイトシート片面の上記粘着テープによる被覆(図4)であっても、両面の被覆であってもよい。なかでも、粘着テープの面積をグラファイトシートより広くし、グラファイトシートを粘着テープでパウチした構成によりグラファイトシートを封止する(図5)ことで、端面でのグラファイトシートの層間破壊やグラファイトシートの粉落ちを防止でき、好適な加工性を実現しやすくなるため、好ましい。
【0058】
被覆する粘着テープの形態は、片面粘着テープであっても両面粘着テープであってもよく、両面被覆する場合には、片面粘着テープ同士又は両面粘着テープ同士の被覆であっても、片面粘着テープと両面粘着テープによる被覆であってもよい。両面粘着テープはグラファイトシートの保護と、電子機器へのグラファイトシートの接合とが可能であることから、グラファイトシートを他の部材に固定する際には、片面を両面粘着テープとすることが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0060】
(粘着剤の調製例1)
n−ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:90万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D−135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE−100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):0.8部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Aを調製した。ゲル分率は20%、25℃の貯蔵弾性率は9×10Paであった。
【0061】
(粘着剤の調整例2)
n−ブチルアクリレート:93.4部と、アクリル酸:3.5部と、酢酸ビニル:3部と、βヒドロキシエチルアクリレート:0.1部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:80万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D−135」荒川化学社製):10部と、不均化ロジンエステル(商品名「A−100」荒川化学社製):10部を加えて、酢酸エチルを加え、固形分38%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):1.3部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Bを調製した。ゲル分率は45%、25℃の貯蔵弾性率は10Paであった。
【0062】
(粘着剤の調整例3)
n−ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:90万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D−135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE−100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。次にDIC製黒色着色剤「DICTONクロAR8555」(カーボンブラック含有量:45%(固形分比)、樹脂固形分濃度49%)を10部添加し、攪拌機で均一に混合した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):1.2部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Cを調製した。ゲル分率は20%、25℃の貯蔵弾性率は8×10Paであった。
【0063】
[黒色インキAの製造]
攪拌機,温度計,還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸/テレフタル酸=50/50なる酸成分と3一メチル‐1,5ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2,000のポリエステルジオール256.3部とイソホロンジイソシアネート36.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で15時間反応させた。次いでイソホロンジアミン5.0部、ジ‐n‐ブチルアミン2.2部、トルエン175部、メチルエチルケトン350部、イソプロピレンアルコール175部を添加し、攪枠下に40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度30.0%、ガードナー粘度U−V(25℃)、アミン価=0、質量平均分子量(以下Mwという)67,000のポリエステルウレタン樹脂Aを得た。得られた樹脂のtanδのピーク温度は−8℃であった。
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」8部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して黒色インキAを作成した。黒色インキ固形分中のカーボンブラック含有量は40重量%であった。
【0064】
[黒色インキBの製造]
デグサ社製「カーボンスペシャル250P」の配合量を8部の代わりに4部に変更した以外は黒色インキAと同様に黒色インキBを作成した。黒色インキ固形分中のカーボンブラック含有量は25重量%であった。
【0065】
(基材の作成)
(黒インキコートフィルムA)
三菱樹脂製ポリエステルフィルムK100−2.0W(厚み:2.0μm、引張強さ:3N/10mm)に黒インキAを乾燥厚み1.0μmとなるようグラビアコートし、40℃で1日エージングして黒インキコートフィルムAを得た。
【0066】
(黒インキコートフィルムB)
黒インキAの乾燥厚みを1.0μmの代わりに0.5μmとした以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムBを得た。
【0067】
(黒インキコートフィルムC)
三菱樹脂製ポリエステルフィルムK100−2.0Wの代わりに三菱樹脂製ポリエステルフィルムK330−4.5W(厚み:4.5μm、引張強さ:6.5N/10mm)を用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムCを得た。
【0068】
(黒インキコートフィルムD)
黒インキAの代わりに黒インキBを用いた以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムDを得た。
【0069】
(黒インキコートフィルムE)
黒インキAの乾燥厚みを1.0μmの代わりに4.0μmとした以外は黒インキコートフィルムAと同様に黒インキコートフィルムEを得た。
【0070】
(実施例1)
先ず、剥離フィルム(ニッパ社製「PET38×1A3」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが2.0μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを基材である黒インキコートフィルムAのポリエステル面に貼り合せ、さらに40℃で2日エージングした。
【0071】
(実施例2)
先ず、剥離フィルム(商品名「PET38×1A3」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが2.0μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを基材である黒インキコートフィルムAの両面に貼り合せ、さらに40℃で2日エージングした。
【0072】
(実施例3)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムBを用いた以外、実施例1と同様に実施例3の粘着テープを得た。
【0073】
(実施例4)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムCを用いた以外、実施例1と同様に実施例4の粘着テープを得た。
【0074】
(実施例5)
粘着剤Aの乾燥厚みを2μmから1μmに変更した以外は実施例2同様に実施例5の粘着テープを得た。
【0075】
(実施例6)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムDを用いた以外、実施例1と同様に実施例6の粘着テープを得た。
【0076】
(実施例7)
粘着剤Aの代わりに粘着剤Bを用いた以外、実施例1と同様に実施例7の粘着テープを得た。
【0077】
(製造例1)
カネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」(50mm×50mm)の片面に56mm×56mmにカットした実施例1の片面粘着テープを中心があうように貼り合せる。さらにもう一方の面56mm×56mmにカットした実施例2の両面粘着テープをパウチして貼り合せ、グラファイトシート複合シートを得た。
【0078】
(製造例2)
実施例1の片面粘着テープの代わりに実施例3の片面粘着テープを、実施例2の両面粘着テープの代わりに実施例5の両面粘着テープを用いた以外は、実施例6のグラファイトシート複合シートと同様に実施例7のグラファイトシート複合シートを得た。
【0079】
(製造例3)
実施例1の片面粘着テープの代わりに実施例4の片面粘着テープを用いた以外は実施例6のグラファイトシート複合シートと同様に実施例8のグラファイトシート複合シートを得た。
【0080】
(比較例1)
透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製「ルミラー 5AF53」)(厚み:4μm)の一方の面に、白色インク(大日精化工業(株)製「NB−300白」)を、グラビア印刷法により3回重ね塗りして、総厚み5μmの白色印刷層(3層)を形成した。次いで、該白色印刷層上に、黒色インク(大日精化工業(株)製「NB−300墨」)を、グラビア印刷法により3回重ね塗りして、総厚み3μmの黒色印刷層(3層)を形成し、透明PET基材/白色印刷層(3層)/黒色印刷層(3層)の積層構成の積層体(厚み:12μm)を得た。この積層体の両面に上記アクリル系粘着剤を粘着剤層の厚さが2μmとなるように塗布し、厚み16μmの両面粘着テープを得た。両面粘着テープの構成は、透明粘着剤層/透明PETフィルム基材/白色印刷層(3層)/黒色印刷層(3層)/透明粘着剤層である。
【0081】
(比較例2)
黒インキコートフィルムAの代わりに三菱樹脂製透明PETフィルム「K100−2.0W」(2μm)を用いた以外、実施例1と同様に比較例2の粘着テープを得た。
【0082】
(比較例3)
粘着剤層の厚みを2μmから0.5μmに変更した以外、実施例2と同様に比較例3の粘着テープを得た。
【0083】
(比較例4)
粘着剤Aの代わりに粘着剤Cを用いた以外、実施例1と同様に比較例4の粘着テープを得た。
【0084】
(比較例5)
黒インキコートフィルムAの代わりに黒インキコートフィルムEを用いた以外、実施例1と同様に比較例5の粘着テープを得た。
【0085】
(グラファイト複合シートの製造例1)
50mm×50mmのカネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」の一方の面に53mm×53mmの実施例1の片面粘着テープを、他方の面に53mm×53mmの実施例2の両面粘着テープを貼り合せ、グラファイト複合シートを作成した。
【0086】
(グラファイト複合シートの製造例2)
50mm×50mmのカネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」の一方の面に53mm×53mmの実施例3の片面粘着テープを、他方の面に53mm×53mmの実施例5の両面粘着テープを貼り合せ、グラファイト複合シートを作成した。
【0087】
(グラファイト複合シートの製造例3)
50mm×50mmのカネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」の一方の面に53mm×53mmの実施例4の片面粘着テープを、他方の面に53mm×53mmの実施例2の両面粘着テープを貼り合せ、グラファイト複合シートを作成した。
【0088】
(グラファイト複合シートの製造比較例1)
50mm×50mmのカネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」の一方の面に53mm×53mmの実施例1の片面粘着テープを、他方の面に53mm×53mmの比較例3の両面粘着テープを貼り合せ、グラファイト複合シートを作成した。
【0089】
実施例、比較例の粘着テープについて、テープ厚み、隠蔽性、検品性、接着力、保持力を評価した。結果は表1、表2に示した。
【0090】
実施例の粘着テープを用いて製造したグラファイト複合シートについて、隠蔽性・検品性・複合シートの生産性・筐体への貼付け性を評価した。結果は表3に示した。
【0091】
(厚み)
ニコン社製「デジマイクロMF−501」「MCF−101」「MS−31G」を用い、0.1μm単位で厚みを測定した。テープ厚みが10μm以下である場合を合格とした。
【0092】
(隠蔽性)
カネカ製グラファイトシート「グラフィニティー25μm」に粘着テープを貼り合せ、グラファイトシートのムラが見えるか否かを評価する。
◎:全くムラが見えない。
○:ほとんどムラが見えない。
×:ムラが見える。
【0093】
(検品性)
電通産業製ライトボックス「HF−SL−A48LCG」(10000cd/m)の上に、粘着テープを貼り付けたグラファイトシート「グラフィニティー25μm」を置き、粘着テープ側からグラファイトシートにピンホールがあるか否かを検品した。
○:ピンホールの検品ができる。
×:ピンホールの検品ができない。
【0094】
(接着力)
粘着テープを25mm幅に切断し、JIS Z0237に準じて、テンシロン引張試験機を用いて、ピール粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min、23℃×50%RH、被着体:ステンレス板、貼付時間:1時間)を測定した。接着力が2N/25mm以上である場合を合格とした。
【0095】
(保持力)
粘着テープを25mm幅に切断し、JIS Z0237に準じて、鉛直方向に100g(25mm×25mm)の荷重をかけ、100℃雰囲気下で落下時間を測定した。
【0096】
(グラファイト複合シート生産性)
グラファイトシートの両面に粘着テープを貼り合せ、グラファイト複合シートを作成し、パウチの段差でシワがよらないかを目視で評価した。
◎:シワが全く見えない。且つテープのウキがない。
○:わずかにシワが見える。且つテープのウキがない。
×:シワがはっきり見える。又はテープのウキがある。
【0097】
(筐体への貼付け性)
グラファイト複合シートの片面粘着テープ面に保護フィルム(DIC社製「パチカットPET50SER」)を貼付する。次にグラファイト複合シートの両面粘着テープ面をアルミ板に貼り付け、23℃で5分放置する。その後、保護フィルムを剥がした際、グラファイト複合シートがアルミ板から剥がれるか否かを評価した。
◎:ウキ・剥がれなし。
○:剥がれは発生しないが、僅かにウキが発生する。
×:剥がれが発生する。
【0098】
(透過率)
着色基材の全光線透過率TtをJIS K7105に準じ、村上色彩技術研究所製「HR−100」を測定した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
上記表1〜3から明らかなとおり、本発明の着色テープは、薄型でありながら、グラファイトシートの外観上のムラを隠蔽でき、かつ、検品性・接着性に優れるものであった。また、グラファイトシートへ貼り付ける際にもシワが生じにく好適な貼付性、生産性を有するものであった。一方、比較例1〜5の着色テープは、隠蔽性、検品性及び接着性を兼備できないものであった。
【符号の説明】
【0103】
1 着色基材
2 着色層
3 樹脂フィルム層
4 粘着剤層
10 グラファイトシート
11 片面粘着テープ
12 両面粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5