【実施例】
【0044】
(第1実施例)
以下、本願の各実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、本願の第1実施例につい
て
図1〜
図2および表1を用いて説明する。
図1は、第1実施例に係る撮影レンズML(
ML1)の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である。第1実施例に係る撮影レンズM
L1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、
負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とを有し
て構成される。そして、無限遠物体から近距離(有限距離)物体への合焦の際、第1レン
ズ群G1と第3レンズ群G3との間隔が固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿
って像面I側に移動するようになっている。
【0045】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する前群G
1aと、この前群G1aに対し第1レンズ群G1の中で最も長い空気間隔を隔てた後群G
1bとから構成される。第1レンズ群G1の前群G1aは、光軸に沿って物体側から順に
並んだ、屈折力が極めて弱い(零に近い)保護ガラスHGと、両凸形状の第1正レンズL
1と、両凸形状の第2正レンズL2と、両凹形状の負レンズL3とから構成される。第1
レンズ群G1の後群G1bは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL4と物
体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL5とが接合された接合レンズから構成さ
れる。
【0046】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の第1負レンズL
6と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL7と両凹形状の第2負レンズL
8とが接合された接合レンズとから構成される。
【0047】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1部
分群G3aと、負の屈折力を有する第2部分群G3bと、正の屈折力を有する第3部分群
G3cとから構成される。第3レンズ群G3の第1部分群G3aは、光軸に沿って物体側
から順に並んだ、両凸形状の第1正レンズL9と物体側に凹面を向けた平凹形状の負レン
ズL10とが接合された接合レンズと、両凸形状の第2正レンズL11とから構成される
。第3レンズ群G3の第2部分群G3bは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形
状の第1負レンズL12と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL13と両
凹形状の第2負レンズL14とが接合された接合レンズとから構成される。第3レンズ群
G3の第3部分群G3cは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1正レン
ズL15と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の第1負レンズL16とが接合された接
合レンズと、両凸形状の第2正レンズL17と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の
第3正レンズL18と両凹形状の第2負レンズL19と両凸形状の第4正レンズL20と
が接合された接合レンズとから構成される。
【0048】
なお、第3レンズ群G3における第1部分群G3aと第2部分群G3bとの間には、開
口絞りSが配設されている。また、第3レンズ群G3における第3部分群G3cの内部に
は、抜き差し交換可能な光学フィルターFLが配設されている。抜き差し交換可能な光学
フィルターFLとして、例えば、NCフィルター(ニュートラルカラーフィルター)や、
カラーフィルター、偏光フィルター、NDフィルター(減光フィルター)、IRフィルタ
ー(赤外線カットフィルター)等が用いられる。
【0049】
手ブレ発生時には、防振レンズ群として第3レンズ群G3の第2部分群G3bを光軸と
垂直な方向に移動させることにより、像面I上の像ブレ補正を行う。なお、全系の焦点距
離をfとし、防振係数(振れ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量
の比)をKとした撮影レンズにおいて、角度θの回転ブレを補正するには、像ブレ補正用
の防振レンズ群(移動レンズ群)を(f×tanθ)/Kだけ光軸と垂直な方向に移動さ
せればよい。第1実施例においては、防振係数は−1.98であり、焦点距離は780.
0mmであるので、0.12°の回転ブレを補正するための防振レンズ群(移動レンズ群)
の移動量は−0.71mmである。
【0050】
以下に、表1〜表3を示すが、これらは第1〜第3実施例に係る撮影レンズの諸元の値
をそれぞれ掲げた表である。各表の[諸元データ]において、fは撮影レンズ全系の焦点
距離を、FNOはFナンバーを、ωは半画角(最大入射角:単位は「°」)を、Yは半画
角に対する像高を、TLはレンズ全長(空気換算長)を、BFはバックフォーカス(空気
換算長)をそれぞれ示す。[レンズデータ]において、面番号は物体側から数えた各レン
ズ面の番号を、Rは各レンズ面の曲率半径を、Dは各レンズ面の間隔を、ndはd線(波
長λ=587.6nm)に対する屈折率を、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対
するアッベ数を、d11およびd16は可変面間隔を、BFはバックフォーカスをそれぞ
れ示す。なお、曲率半径「0.00000」は平面を示し、空気の屈折率nd=1.00000はその記
載を省略している。
【0051】
[可変間隔データ]において、fは撮影レンズ全系の焦点距離を、βは撮影倍率をそれ
ぞれ示す。また、[可変間隔データ]には、各焦点距離および撮影倍率に対応する、各可
変面間隔d11,d16の値を示す。[条件式対応値]には、各条件式の対応値をそれぞ
れ示す。
【0052】
なお、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径R、その他の
長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等
の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、後述の第2〜第3実施
例の諸元値においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0053】
下の表1に、第1実施例における各諸元を示す。なお、表1における第1面〜第38面
の曲率半径Rは、
図1における第1面〜第38面に付した符号R1〜R38に対応してい
る。
【0054】
(表1)
[諸元データ]
f=780.00
FNO=5.658
2ω=3.147
Y=21.63
TL=499.319
BF=52.854
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 1200.37040 5.000 1.51680 64.07
2 1199.78970 1.000
3 188.55410 21.100 1.43382 95.13
4 -915.97610 20.000
5 182.42940 17.100 1.43382 95.13
6 -1837.13480 3.320
7 -833.52520 7.500 1.72000 50.17
8 422.38390 75.000
9 128.82580 6.500 1.69680 55.58
10 65.12300 16.500 1.49782 82.53
11 266.75830 d11
12 -998.68610 3.500 1.79952 42.08
13 114.89280 3.095
14 -354.68110 5.500 1.79504 28.70
15 -67.48200 3.500 1.69680 55.58
16 300.95930 d16
17 113.34170 6.600 1.48749 70.36
18 -113.31600 3.200 1.79504 28.70
19 0.00000 2.250
20 184.71460 4.700 1.51823 58.80
21 -184.71460 40.750
22 0.00000 21.930 (開口絞り)
23 -131.42670 2.000 1.69680 55.58
24 76.06800 1.545
25 -1181.71180 6.000 1.58144 40.96
26 -29.15900 2.000 1.49782 82.53
27 150.96470 5.220
28 87.50290 7.000 1.60342 37.96
29 -36.25600 2.000 1.85026 32.36
30 -271.49430 9.000
31 0.00000 2.000 1.51680 63.88
32 0.00000 9.000
33 88.26210 6.000 1.51742 52.25
34 -88.26210 34.800
35 -1661.87450 5.400 1.48749 70.36
36 -42.05200 2.000 1.81600 46.56
37 68.29500 4.300 1.58144 40.96
38 -1200.99590 BF
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間撮影距離状態 至近撮影距離状態
f=780.000 β=-0.033 β=-0.155
d11 52.967 56.441 69.174
d16 27.187 23.713 10.980
[条件式対応値]
条件式(1) f1/f12=0.00
条件式(2) νd1=95.1
条件式(3) νdn=82.5
条件式(4) f/f1=2.73
【0055】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(4)が全て満たされていることが分か
る。
【0056】
図2(a)は、第1実施例に係る撮影レンズML1の無限遠合焦状態における諸収差図
であり、
図2(b)は、無限遠合焦状態において0.12°の回転ブレに対する像ブレ補
正を行った時のメリディオナル横収差図である。各収差図において、FNOはFナンバー
を、Yは半画角に対する像高をそれぞれ示す。また、各収差図において、dはd線(λ=
587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)における収差をそれぞれ示す。また
、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像
面を示している。以上、収差図の説明は他の実施例においても同様である。
【0057】
そして、各収差図より、第1実施例では、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を
有していることがわかる。その結果、第1実施例の撮影レンズML1を搭載することによ
り、デジタル一眼レフカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる
。
【0058】
(第2実施例)
以下、本願の第2実施例について
図3〜
図4および表2を用いて説明する。
図3は、第
2実施例に係る撮影レンズML(ML2)の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である
。第2実施例に係る撮影レンズML2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折
力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を
有する第3レンズ群G3とを有して構成される。そして、無限遠物体から近距離(有限距
離)物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との間隔が固定された状態
で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面I側に移動するようになっている。
【0059】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する前群G
1aと、この前群G1aに対し第1レンズ群G1の中で最も長い空気間隔を隔てた後群G
1bとから構成される。第1レンズ群G1の前群G1aは、光軸に沿って物体側から順に
並んだ、屈折力が極めて弱い(零に近い)保護ガラスHGと、両凸形状の第1正レンズL
1と、両凸形状の第2正レンズL2と、両凹形状の負レンズL3とから構成される。第1
レンズ群G1の後群G1bは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL4と物
体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL5とが接合された接合レンズから構成さ
れる。
【0060】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の第1負レンズL
6と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL7と両凹形状の第2負レンズL
8とが接合された接合レンズとから構成される。
【0061】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1部
分群G3aと、負の屈折力を有する第2部分群G3bと、正の屈折力を有する第3部分群
G3cとから構成される。第3レンズ群G3の第1部分群G3aは、光軸に沿って物体側
から順に並んだ、両凸形状の第1正レンズL9と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の
負レンズL10とが接合された接合レンズと、両凸形状の第2正レンズL11とから構成
される。第3レンズ群G3の第2部分群G3bは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、
両凹形状の第1負レンズL12と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL1
3と両凹形状の第2負レンズL14とが接合された接合レンズとから構成される。第3レ
ンズ群G3の第3部分群G3cは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1
正レンズL15と、両凸形状の第2正レンズL16と物体側に凹面を向けたメニスカス形
状の負レンズL17とが接合された接合レンズとから構成される。
【0062】
なお、第3レンズ群G3における第1部分群G3aと第2部分群G3bとの間には、開
口絞りSが配設されている。また、第3レンズ群G3における第3部分群G3cの物体側
には、抜き差し交換可能な光学フィルターFLが配設されている。抜き差し交換可能な光
学フィルターFLとして、例えば、NCフィルター(ニュートラルカラーフィルター)や
、カラーフィルター、偏光フィルター、NDフィルター(減光フィルター)、IRフィル
ター(赤外線カットフィルター)等が用いられる。
【0063】
手ブレ発生時には、防振レンズ群として第3レンズ群G3の第2部分群G3bを光軸と
垂直な方向に移動させることにより、像面I上の像ブレ補正を行う。なお、全系の焦点距
離をfとし、防振係数(振れ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量
の比)をKとした撮影レンズにおいて、角度θの回転ブレを補正するには、像ブレ補正用
の防振レンズ群(移動レンズ群)を(f×tanθ)/Kだけ光軸と垂直な方向に移動さ
せればよい。第2実施例においては、防振係数は−1.73であり、焦点距離は588.
0mmであるので、0.14°の回転ブレを補正するための防振レンズ群(移動レンズ群)
の移動量は−0.81mmである。
【0064】
下の表2に、第2実施例における各諸元を示す。なお、表2における第1面〜第34面
の曲率半径Rは、
図3における第1面〜第34面に付した符号R1〜R34に対応してい
る。
【0065】
(表2)
[諸元データ]
f=588.000
FNO=4.106
2ω=4.182
Y=21.60
TL=464.319
BF=98.258
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 1200.37040 5.000 1.51680 64.06
2 1199.78970 1.000
3 189.46290 21.000 1.43382 95.13
4 -1533.66210 20.000
5 195.90990 18.000 1.43382 95.13
6 -1256.87200 3.162
7 -833.52520 7.500 1.72000 50.16
8 485.56090 75.000
9 123.33650 6.500 1.69680 55.58
10 64.34880 16.500 1.49782 82.54
11 349.34480 d11
12 -808.93580 3.500 1.80400 46.60
13 129.62350 3.304
14 -240.63380 5.500 1.80518 25.45
15 -69.63150 3.500 1.61772 49.81
16 148.53820 d16
17 98.21430 8.000 1.49782 82.57
18 -84.28140 3.200 1.80518 25.45
19 -264.59210 0.100
20 396.81870 4.700 1.69680 55.52
21 -319.31680 30.116
22 0.00000 13.344 (開口絞り)
23 -228.06620 2.000 1.72916 54.61
24 98.65060 1.897
25 -303.74770 6.000 1.58144 40.96
26 -31.84110 2.000 1.49782 82.54
27 77.86690 6.269
28 0.00000 2.000 1.51680 63.88
29 0.00000 0.100
30 74.28830 5.000 1.50443 61.38
31 -109.40540 0.100
32 188.96000 6.400 1.53906 46.69
33 -48.92440 2.000 1.74397 44.85
34 -532.00290 BF
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間撮影距離状態 至近撮影距離状態
f=588.000 β=-0.033 β=-0.155
d11 53.560 57.489 71.801
d16 29.808 25.879 11.567
[条件式対応値]
条件式(1) f1/f12=0.00
条件式(2) νd1=95.1
条件式(3) νdn=82.5
条件式(4) f/f1=2.23
【0066】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(4)が全て満たされていることが分か
る。
【0067】
図4(a)は、第2実施例に係る撮影レンズML2の無限遠合焦状態における諸収差図
であり、
図4(b)は、無限遠合焦状態において0.14°の回転ブレに対する像ブレ補
正を行った時のメリディオナル横収差図である。各収差図より、第2実施例では、諸収差
が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。その結果、第2実施例の
撮影レンズML2を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラCAMにおいても、優
れた光学性能を確保することができる。
【0068】
(第3実施例)
以下、本願の第3実施例について
図5〜
図6および表3を用いて説明する。
図5は、第
3実施例に係る撮影レンズML(ML3)の無限遠合焦状態におけるレンズ構成図である
。第2実施例に係る撮影レンズML3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折
力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を
有する第3レンズ群G3とを有して構成される。そして、無限遠物体から近距離(有限距
離)物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3との間隔が固定された状態
で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面I側に移動するようになっている。
【0069】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する前群G
1aと、この前群G1aに対し第1レンズ群G1の中で最も長い空気間隔を隔てた後群G
1bとから構成される。第1レンズ群G1の前群G1aは、光軸に沿って物体側から順に
並んだ、屈折力が極めて弱い(零に近い)保護ガラスHGと、両凸形状の第1正レンズL
1と、両凸形状の第2正レンズL2と、両凹形状の負レンズL3とから構成される。第1
レンズ群G1の後群G1bは、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL4と物
体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL5とが接合された接合レンズから構成さ
れる。
【0070】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の第1負レンズL
6と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL7と両凹形状の第2負レンズL
8とが接合された接合レンズとから構成される。
【0071】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1部
分群G3aと、負の屈折力を有する第2部分群G3bと、正の屈折力を有する第3部分群
G3cとから構成される。第3レンズ群G3の第1部分群G3aは、光軸に沿って物体側
から順に並んだ、両凸形状の第1正レンズL9と物体側に凹面を向けたメニスカス形状の
負レンズL10とが接合された接合レンズと、両凸形状の第2正レンズL11とから構成
される。第3レンズ群G3の第2部分群G3bは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、
両凹形状の第1負レンズL12と、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の正レンズL1
3と両凹形状の第2負レンズL14とが接合された接合レンズとから構成される。第3レ
ンズ群G3の第3部分群G3cは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1
正レンズL15と、両凸形状の第2正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とが接合
された接合レンズとから構成される。
【0072】
なお、第3レンズ群G3における第1部分群G3aの物体側には、開口絞りSが配設さ
れている。また、第3レンズ群G3における第3部分群G3cの物体側には、抜き差し交
換可能な光学フィルターFLが配設されている。抜き差し交換可能な光学フィルターFL
として、例えば、NCフィルター(ニュートラルカラーフィルター)や、カラーフィルタ
ー、偏光フィルター、NDフィルター(減光フィルター)、IRフィルター(赤外線カッ
トフィルター)等が用いられる。
【0073】
手ブレ発生時には、防振レンズ群として第3レンズ群G3の第2部分群G3bを光軸と
垂直な方向に移動させることにより、像面I上の像ブレ補正を行う。なお、全系の焦点距
離をfとし、防振係数(振れ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量
の比)をKとした撮影レンズにおいて、角度θの回転ブレを補正するには、像ブレ補正用
の防振レンズ群(移動レンズ群)を(f×tanθ)/Kだけ光軸と垂直な方向に移動さ
せればよい。第3実施例においては、防振係数は−1.27であり、焦点距離は408.
0mmであるので、0.16°の回転ブレを補正するための防振レンズ群(移動レンズ群)
の移動量は−0.92mmである。
【0074】
下の表3に、第3実施例における各諸元を示す。なお、表3における第1面〜第34面
の曲率半径Rは、
図5における第1面〜第34面に付した符号R1〜R34に対応してい
る。
【0075】
(表3)
[諸元データ]
f=408.000
FNO=2.869
2ω=3.034
Y=21.60
TL=419.319
BF=69.581
[レンズデータ]
面番号 R D nd νd
1 1200.37040 5.000 1.51680 64.06
2 1199.78970 1.000
3 185.65910 21.000 1.43382 95.13
4 -1354.39100 20.000
5 183.81710 18.000 1.43382 95.13
6 -1287.80810 2.911
7 -833.52520 7.500 1.72000 50.16
8 435.46860 75.000
9 111.22770 6.500 1.69680 55.58
10 60.80780 16.500 1.49782 82.54
11 313.03710 d11
12 -808.93580 3.500 1.80400 46.60
13 133.69790 3.231
14 -240.76290 5.500 1.80518 25.45
15 -64.82860 3.500 1.61772 49.81
16 113.86400 d16
17 0.00000 0.100 (開口絞り)
18 169.42360 8.000 1.49782 82.57
19 -61.73450 3.200 1.80518 25.45
20 -177.04920 0.100
21 210.32080 4.700 1.69680 55.52
22 -205.81470 36.373
23 -820.67530 2.000 1.72916 54.61
24 80.27080 2.399
25 -247.80930 6.000 1.58144 40.96
26 -33.31140 2.000 1.49782 82.54
27 78.94420 6.317
28 0.00000 2.000 1.51680 63.88
29 0.00000 0.100
30 77.48640 5.000 1.74397 44.85
31 -183.38600 0.100
32 108.66920 6.400 1.49928 79.27
33 -56.87730 2.000 1.59933 46.83
34 263.57560 BF
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間撮影距離状態 至近撮影距離状態
f=408.000 β=-0.033 β=-0.105
d11 46.156 51.140 61.930
d16 27.651 22.668 11.878
[条件式対応値]
条件式(1) f1/f12=0.00
条件式(2) νd1=95.1
条件式(3) νdn=82.5
条件式(4) f/f1=1.65
【0076】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(4)が全て満たされていることが分か
る。
【0077】
図6(a)は、第3実施例に係る撮影レンズML3の無限遠合焦状態における諸収差図
であり、
図6(b)は、無限遠合焦状態において0.16°の回転ブレに対する像ブレ補
正を行った時のメリディオナル横収差図である。各収差図より、第3実施例では、諸収差
が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。その結果、第3実施例の
撮影レンズML3を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラCAMにおいても、優
れた光学性能を確保することができる。
【0078】
以上、各実施例によれば、焦点距離が長くFナンバーの明るい光学系において、無限遠
合焦状態から近距離合焦状態まで優れた光学性能を維持しつつ、広範囲な撮影領域に対応
し得る大口径比の撮影レンズMLおよび光学機器(デジタル一眼レフカメラCAM)を実
現することができる。
【0079】
なお、上述の実施形態において、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適
宜採用可能である。
【0080】
上述の各実施例において、3群構成を示したが、4群等の他の群構成にも適用可能であ
る。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまた
はレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間
隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0081】
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限
遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としてもよい。この合焦レンズ群は、
オートフォーカスにも適用することができ、オートフォーカス用の(超音波モーター等を
用いた)モーター駆動にも適している。特に、第2レンズ群を合焦レンズ群とするのが好
ましい。
【0082】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、
または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを
補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ
群とするのが好ましい。
【0083】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。
レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および
組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合で
も描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工
による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面
に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レン
ズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプ
ラスチックレンズとしてもよい。
【0084】
また、開口絞りは第3レンズ群の近傍または内部に配置されるのが好ましいが、開口絞
りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。
【0085】
また、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達
成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。