特許第5904169号(P5904169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5904169基板洗浄装置、基板洗浄方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904169
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】基板洗浄装置、基板洗浄方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20160331BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20160331BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   H01L21/304 644C
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648G
   H01L21/30 563
   G02F1/13 101
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-152842(P2013-152842)
(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-23248(P2015-23248A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】滝口 靖史
(72)【発明者】
【氏名】山本 太郎
(72)【発明者】
【氏名】京田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】牟田 行志
【審査官】 篠原 功一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177541(JP,A)
【文献】 特開2004−119782(JP,A)
【文献】 特開2006−319279(JP,A)
【文献】 特開平10−308370(JP,A)
【文献】 特開2008−028175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G02F 1/13
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置において、
基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、水平方向に移動自在な第1の吸着保持部と、
基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転する第2の吸着保持部と、
互に横方向に離れて設けられ、基板が第1の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触して洗浄し、基板が第2の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触して洗浄する第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と、
基板の裏面を洗浄するときに、前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構と、
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を昇降させるための昇降機構と、
前記洗浄部材により基板の裏面を洗浄するときに基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置するように配置され
基板が前記第2の吸着保持部に保持されて回転しているときに、前記旋回軸から第2の吸着保持部の回転軸を見て左側及び右側のうちの一方側に位置する第1の洗浄部材が他方側に向かって旋回して移動することにより、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が前記中央部以外の基板の裏面の全ての領域を洗浄するように、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が配置されていることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記第1の洗浄部材が前記一方側から他方側に向かう旋回の開始時には、第2の洗浄部材が前記旋回軸と第2の吸着保持部の回転軸とを結ぶ直線上に位置し、旋回の終了時には、前記第1の洗浄部材が前記直線上に位置するように構成されていることを特徴とする請求項記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置において、
基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、水平方向に移動自在な第1の吸着保持部と、
基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転する第2の吸着保持部と、
互に横方向に離れて設けられ、基板が第1の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触して洗浄し、基板が第2の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触して洗浄する第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と、
基板の裏面を洗浄するときに、前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構と、
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を昇降させるための昇降機構と、
前記洗浄部材により基板の裏面を洗浄するときに基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置するように配置され
前記第1の洗浄部材と第2の洗浄部材とは互いに種別が異なることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材の旋回半径は、基板の半径よりも短いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記旋回機構は、旋回軸に周方向に沿って広がるように設けられた面状体を備え、
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材は、前記面状体に設けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記第1の洗浄部材は洗浄用として用いられ、前記第2の洗浄部材は研磨用として用いられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板洗浄装置
【請求項7】
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構を用いる工程と、
第1の吸着保持部により基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、
第2の吸着保持部により基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、当該第2の吸着保持部を鉛直軸の周りに回転させた状態で、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、を含み、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置し、
基板が前記第2の吸着保持部に保持されて回転しているときに、前記旋回軸から第2の吸着保持部の回転軸を見て左側及び右側のうちの一方側に位置する第1の洗浄部材が他方側に向かって旋回して移動することにより、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が前記中央部以外の基板の裏面の全ての領域を洗浄するように、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が配置されていることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項8】
前記第1の洗浄部材が前記一方側から他方側に向かう旋回の開始時には、第2の洗浄部材が前記旋回軸と第2の吸着保持部の回転軸とを結ぶ直線上に位置し、旋回の終了時には、前記第1の洗浄部材が前記直線上に位置するように構成されていることを特徴とする請求項記載の基板洗浄方法。
【請求項9】
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構を用いる工程と、
第1の吸着保持部により基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、
第2の吸着保持部により基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、当該第2の吸着保持部を鉛直軸の周りに回転させた状態で、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、を含み、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置し、
前記第1の洗浄部材と第2の洗浄部材とは互いに種別が異なることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項10】
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材の旋回半径は、基板の半径よりも短いことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項11】
前記第1の洗浄部材は洗浄用として用いられ、前記第2の洗浄部材は研磨用として用いられることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置に用いられるプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項7ないし11のいずれか一項に記載された基板洗浄方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板の裏面を洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)を清浄な状態に保つため、各々の製造プロセスや処理プロセスの前後において、必要に応じてウエハを洗浄するプロセスが設けられている。
このようなウエハの洗浄は、回路パターンの微細化に伴い、デフォーカス対策としてウエハ裏面に対しても実施する必要が生じてきている。デフォーカスとは、ウエハが反ることによって露光時にフォーカスが崩れてしまう現象であり、例えばウエハ裏面に付着したパーティクルが、ウエハを載置するためのステージとウエハとの間に入り込んだまま露光が行われることにより発生する。
【0003】
このようなウエハ裏面の洗浄については、特許文献1に、基板の裏面を支えて保持し、ブラシにより基板裏面を洗浄する技術が提案されている。この手法では、基板裏面の周縁領域を保持する第1の基板保持手段と、基板裏面の中央領域を保持する第2の基板保持手段との間で基板を持ち替えて基板裏面の洗浄を行っているので、基板裏面全面について洗浄を行うことができる。また基板の反転動作を行うためのスペースを必要としないので、装置の小型化を図ることができる。
【0004】
しかしながら近年は液浸露光やダブルパターニングといった配線技術の更なる微細化に伴って半導体デバイスの製造工程に含まれる工程数も増加している。このためウエハ裏面にパーティクルの付着するリスクも大きくなってきており、より一層の洗浄力の向上が求められている。またウエハサイズは300mmサイズから450mmサイズへさらなる大口径化が検討されており、できるだけコンパクトな装置が望ましい。このために、1台の洗浄装置において、複数のブラシを用いて洗浄力を高めつつ、装置の小型化を図ることが検討されている。
【0005】
特許文献2には、基板を鉛直軸周りに回転させながら、1本の支持アームに取り付けられた2個の洗浄ブラシにより基板の上面を洗浄するにあたり、支持アームの先端ブロックを円弧状に構成し、鉛直軸周りに回転させる構造が提案されている。この手法は基板の上面の洗浄であるので、基板の中央領域を洗浄するために、洗浄ブラシを基板の回転中心を通過して外周部に至るように移動させる必要がある。また支持アームの駆動機構は基板の周囲を覆うカップの外側に設けられているため、洗浄ブラシの支持アームの旋回半径は基板の半径よりも大きくなり、装置の小型化を図ることが難しい。さらに洗浄ブラシが基板の回転中心を通って外周部まで移動するので洗浄ブラシの移動距離が長く、これに伴って処理時間が長くなってしまう。
【0006】
特許文献3には、機能が異なる2つの洗浄具を用いて、基板表面を洗浄する技術が提案されているが、洗浄具は夫々別個のアームに設けられ、これらアームはウエハの外方に設けられているので、装置をコンパクトにすることが難しい。また洗浄時には、夫々のアームをウエハの一端側から他端側まで移動させているので、アームの移動距離(移動時間)が長くなり、処理に時間がかかる。このように特許文献2及び特許文献3は基板の裏面の洗浄を行うものではなく、これらを用いても装置の小型化を図ることが困難であることから、本発明の課題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−177541号公報
【特許文献2】特開平10−308370号公報:図8図12、段落0044、段落0058等
【特許文献3】特開2002−66467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置の小型化を図ると共に、基板洗浄処理の洗浄力を高めることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明の基板洗浄装置は、
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置において、
基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、水平方向に移動自在な第1の吸着保持部と、
基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転する第2の吸着保持部と、
互に横方向に離れて設けられ、基板が第1の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触して洗浄し、基板が第2の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触して洗浄する第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と、
基板の裏面を洗浄するときに、前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構と、
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を昇降させるための昇降機構と、
前記洗浄部材により基板の裏面を洗浄するときに基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置するように配置され
基板が前記第2の吸着保持部に保持されて回転しているときに、前記旋回軸から第2の吸着保持部の回転軸を見て左側及び右側のうちの一方側に位置する第1の洗浄部材が他方側に向かって旋回して移動することにより、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が前記中央部以外の基板の裏面の全ての領域を洗浄するように、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が配置されていることを特徴とする。
他の発明の基板処理装置は、
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置において、
基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、水平方向に移動自在な第1の吸着保持部と、
基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転する第2の吸着保持部と、
互に横方向に離れて設けられ、基板が第1の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触して洗浄し、基板が第2の吸着保持部に保持されているときに、前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触して洗浄する第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と、
基板の裏面を洗浄するときに、前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構と、
前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を昇降させるための昇降機構と、
前記洗浄部材により基板の裏面を洗浄するときに基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備え、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置するように配置され
前記第1の洗浄部材と第2の洗浄部材とは互いに種別が異なることを特徴とする。
【0010】
また本発明の基板洗浄方法は、円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構を用いる工程と、
第1の吸着保持部により基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、
第2の吸着保持部により基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、当該第2の吸着保持部を鉛直軸の周りに回転させた状態で、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、を含み、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置し、
基板が前記第2の吸着保持部に保持されて回転しているときに、前記旋回軸から第2の吸着保持部の回転軸を見て左側及び右側のうちの一方側に位置する第1の洗浄部材が他方側に向かって旋回して移動することにより、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が前記中央部以外の基板の裏面の全ての領域を洗浄するように、第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材が配置されていることを特徴とする。
他の発明の基板洗浄方法は、円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄方法であって、
第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を共通の旋回軸により各々水平方向に旋回させる旋回機構を用いる工程と、
第1の吸着保持部により基板の裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部を含む基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、
第2の吸着保持部により基板の裏面の中央部を水平に吸着保持し、当該第2の吸着保持部を鉛直軸の周りに回転させた状態で、前記基板の裏面に洗浄液を供給しながら、かつ前記第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材を前記中央部以外の基板の裏面の領域に接触させながら旋回させることにより当該領域を洗浄する工程と、を含み、
前記旋回軸は、少なくとも前記中央部を含む基板の裏面の領域を洗浄するときには基板に重なって位置し、
前記第1の洗浄部材と第2の洗浄部材とは互いに種別が異なることを特徴とする。


【0011】
さらに本発明の記憶媒体は、
円形の基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置に用いられるプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは既述の基板洗浄方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の基板洗浄装置によれば、第1の洗浄部材と第2の洗浄部材とを設けているので、洗浄部材が単独である場合に比べて洗浄力を高くすることができる。また第1の洗浄部材と第2の洗浄部材は、共通の旋回軸により各々水平方向に旋回するように構成されている。基板の裏面の中央部を含む領域は、基板を第1の基板保持部にて吸着保持して水平方向に移動させながら洗浄するが、前記中央部を含む領域を洗浄するときには、旋回軸は基板に重なって位置するように配置される。このように旋回軸は基板の移動領域を利用して設置されるので、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る洗浄装置を示す斜視図である。
図2】洗浄装置を示す縦断側面図である。
図3】洗浄装置を示す平面図である。
図4】洗浄装置を示す縦断側面図である。
図5】洗浄装置に設けられるエアナイフを示す斜視図である。
図6】ウエハと第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と回転板とを示す平面図である。
図7】洗浄装置にて行われる洗浄処理を説明するための工程図である。
図8】洗浄装置にて行われる洗浄装置を説明するための縦断側面図である。
図9】洗浄装置にて行われる洗浄装置を説明するための縦断側面図である。
図10】洗浄装置にて行われる洗浄装置を説明するための縦断側面図である。
図11】ウエハと第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と回転板とを示す平面図である。
図12】ウエハと第1の洗浄部材及び第2の洗浄部材と回転板とを示す平面図である。
図13】洗浄装置にて行われる洗浄処理の他の例を説明するための工程図である。
図14】洗浄装置が組み込まれる塗布、現像装置を示す平面図である。
図15】塗布、現像装置を示す斜視図である。
図16】塗布、現像装置を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に説明する実施の形態においては、基板洗浄装置(以下、洗浄装置という)の一例として塗布、現像装置に設置されるタイプの洗浄装置について説明する。当該洗浄装置による洗浄工程を含むフォトリソグラフィープロセスの具体例については後述するが、本洗浄装置は例えば塗布、現像装置の出口付近に設置され、レジスト膜の形成されたウエハの裏面を洗浄してから後続の露光装置へ向けて送り出す役割を果たす。
【0015】
初めに本実施の形態に係る洗浄装置の構造について図1図4を参照しながら説明する。図1は洗浄装置1の斜視図、図2及び図4はその縦断図、図3はその平面図を夫々示している。
図1図3に示すように洗浄装置1は、ウエハWを略水平に吸着保持する吸着パッド2と、この吸着パッド2からウエハWを受け取って同じく略水平に吸着保持するスピンチャック3と、ウエハWの裏面を洗浄する洗浄機構5と、を備えている。前記吸着パッド2は第1の基板保持部、前記スピンチャック3は第2の基板保持部を夫々なしており、これら吸着パッド2、スピンチャック3及び洗浄機構5は、上面が開口したボックス状のアンダーカップ43に取り付けられている。例えばアンダーカップ43は平面視長方形状に形成されて、互いに対向する側壁を備えており、これらのうち図1に向かって手前側と奥側との対向する2側壁43a、43bが伸びる方向をX方向として説明する。
【0016】
初めに吸着パッド2について説明する。この吸着パッド2は、ウエハWの裏面における中央部とは重ならない領域を水平に吸着保持し、水平方向に移動自在に構成されている。洗浄装置1は2つの吸着パッド2を備え、各々の吸着パッド2は例えば細長いブロックから構成されている。2つの吸着パッド2は、ウエハW裏面の周縁部近傍部(第1の領域)を略平行に支えて保持できるように配置されている。吸着パッド2は図示しない吸引管と接続されており、図3に示した吸着孔2aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。それぞれの吸着パッド2は細長い棒状のパッド支持部21の略中央部に取り付けられており、これら2本のパッド支持部21の両端部が夫々2本の橋桁部22に取り付けられることによってパッド支持部21と橋桁部22とからなる井桁20が構成されている。
【0017】
2本の橋桁部22の両端は、前記アンダーカップ43の対向する2側壁43a、43bの外側に、これらの側壁43a、43bに沿って張設された2本のベルト23に夫々固定されている。夫々のベルト23は、2個1組からなる巻掛軸24に巻き掛けられており、各巻掛軸24は上述の2側壁43a、43bと各々平行に設置された2枚の側板26に取り付けられている。巻掛軸24の一つは駆動機構25に接続されており、巻掛軸24やベルト23を介して橋桁部22を動かして、既述の井桁20全体を図1図3に示したX方向に移動させるように構成されている。
【0018】
また図1に示すように夫々の側板26は、その底面をスライダ27aとガイドレール27bとからなる2組の昇降機構27によって支えられ、洗浄装置1の図示しない筐体床面に固定されている。これらの昇降機構27の1つには図示しない駆動機構が設けられており、スライダ27aをガイドレール27b内で昇降させることにより、前述の井桁20全体を図中のZ方向に昇降させることができるようになっている。
【0019】
さらに井桁20上には、洗浄液の飛散を抑えるためのドーナツ状のアッパーカップ41が跨設されている。アッパーカップ41の上面には、ウエハWより大口径の開口部41aを設けてあり、この開口部41aを介して、後述する塗布、現像装置の搬送機構と吸着パッド2又はスピンチャック3との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。なお井桁20上に跨設されたアッパーカップ41は、井桁20の動きに伴ってX方向とZ方向とに移動するように構成されている。
【0020】
次にスピンチャック3について説明する。スピンチャック3はウエハWの裏面の中央部(第2の領域)を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転自在に構成されている。スピンチャック3は円板状に形成され、略平行に配置された2つの吸着パッド2の中間に設置されており、夫々の基板保持部(吸着パッド2、スピンチャック3)により支えられるウエハW裏面の第1の領域と第2の領域とは重ならないようになっている。図2に示すようにスピンチャック3は回転昇降軸3bを介して駆動機構(スピンチャックモータ)33に接続されており、スピンチャック3はこの駆動機構33によって回転及び昇降自在に構成されている。また吸着パッド2と同様にスピンチャック3も図示しない吸引管と接続されており、図3に示した吸着孔3aを介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。
【0021】
スピンチャック3の側方には、昇降機構32aと接続された支持ピン32がウエハWの裏面を支持して昇降可能なように設けられており、外部の搬送機構との協働作用によって搬送機構から吸着パッド2へ、またスピンチャック3から搬送機構へとウエハWを受け渡しできるように構成されている。
更に図3及び図5に示すように、スピンチャック3や支持ピン32の周囲には、これらの機器を取り囲むようにエアナイフ31が設置されている。エアナイフ31は例えば円筒状の囲み部材よりなり、その上端に周方向に沿って気体の噴射口31aが形成され、この噴射口31aはウエハW裏面へ向けて例えば圧縮エア等の気体を噴き出すように構成されている。例えばエアナイフ31は二重円筒より構成され、図示しない供給部から供給された気体をこの二重円筒間の中空部を介して噴射口31aに供給できるようになっている。このエアナイフ31は、スピンチャック3の表面とこのスピンチャック3で支えられる基板の裏面(第2の領域)とを互いに乾燥した状態で接触させるために、スピンチャック3へウエハWが受け渡される際に、ウエハW裏面の洗浄液を円筒の外側へ吹き飛ばして乾燥させる役割を果たしている。
【0022】
ここでウエハWの高さ位置について説明する。後述するようにウエハWは外部の搬送機構から吸着パッド2に受け渡され、吸着パッド2に保持された状態で図2に示す右X方向に移動して、ウエハW裏面の中央部(第2の領域)の洗浄が行われる。図2及び図4では、ウエハWの高さ位置が洗浄位置にある状態を示しており、この洗浄位置では、ウエハW裏面はエアナイフ31の先端よりも上方側に位置し、ウエハWが吸着パッド2に保持された状態でX方向に移動するときに、ウエハW裏面がエアナイフ31に干渉しないようになっている。
【0023】
次にウエハWの裏面洗浄を行う洗浄機構5について説明する。洗浄機構5は、例えば円板よりなり、吸着パッド2又はスピンチャック3に保持されたウエハWと対向するように設けられた面状体をなす回転板51と、この回転板51の上に設けられた複数個の洗浄部材6と、を備えている。前記回転板51は、その裏面側に設けられた旋回軸52を介して駆動機構53により鉛直軸まわりに回転自在に構成され、例えば旋回軸52は回転板51の中心に設けられている。従って平面的に見ると回転板51の中心と旋回軸52の中心とが揃い、この中心が旋回中心O1となる。この例では、回転板51と旋回軸52と駆動機構53とにより旋回機構が形成されている。
【0024】
図6には、スピンチャック3に保持されたウエハWと回転板51とを示している。このように回転板51はその半径R1が、ウエハWの半径R2よりも小さくなるように設定されている。また後述するように、ウエハWの裏面の中央部を含む領域を洗浄する時には、ウエハWが吸着パッド2に保持されて右X方向に移動するが、前記旋回軸52はこのウエハWの移動領域内に設けられている。つまり前記中央部を含む領域を洗浄するときには、旋回軸52はウエハWに重なって位置するように配置されている。さらに平面的に見たときに、回転板51の旋回軸52と、スピンチャック3の回転昇降軸3bとが、前記X方向に沿って並ぶように設けられている。さらにまた回転板51の下方側には駆動機構53の周囲を囲むようにカバー体54が設けられている。このカバー体54は例えば筒状体よりなり、その上面には旋回軸52が移動できるように開口部54aが形成されている。
【0025】
この例の洗浄機構5は複数個例えば2個の互いに種別の異なる洗浄部材6(6A、6B)を備えており、一方の第1の洗浄部材6Aは洗浄用に用いられ、他方の第2の洗浄部材6Bは研磨用に用いられている。ここではウエハWの裏面の研磨処理も洗浄処理の一つに含めている。これら第1及び第2の洗浄部材6A、6Bは例えば円柱状のブラシよりなり、駆動軸61A、61Bを介して、当該洗浄部材6A、6Bを昇降及び鉛直軸周りに回転させる駆動機構62A、62Bに接続され、これら駆動機構62A、62Bは回転板51の上に取り付けられている。前記駆動機構62A、62B及び洗浄部材ブラシ6A、6Bの側面は、例えば筒状のブラシカバー63A、63Bにより覆われており、このブラシカバー63A、63Bの上面には洗浄部材6A、6Bが移動できるように開口部64A、64Bが形成されている。なお図1ではブラシカバー63A、63Bを省略している。
【0026】
図2は、ウエハWがスピンチャック3に保持されて洗浄位置にあり、第1の洗浄部材6Aが待機位置にある状態を示している。また図4は、ウエハWが吸着パッド2に保持されて洗浄位置にあり、第1の洗浄部材6Aが待機位置、第2の洗浄部材6Bが洗浄位置にある状態を示している。このように洗浄部材6A、6Bが待機位置にあるときには、洗浄位置にあるウエハWの下方側に洗浄部材6A、6Bの上面が位置し、ウエハWを研磨又は洗浄するときには、洗浄部材6A、6Bが上昇して当該洗浄部材6A、6Bの上面をウエハ裏面に押し付けるようになっている。
【0027】
洗浄部材6A、6Bは例えばPVCスポンジ、ウレタンスポンジ、ナイロン繊維等よりなり、研磨用の第1の洗浄部材6Aと、洗浄用の第2の洗浄部材6Bとは、夫々適正な材質が選択されてブラシが構成されている。また第1の洗浄部材6Aと第2の洗浄部材6Bは、図6に示すように回転板51上に互いに横方向に離れて配置されている。そして第1及び第2の洗浄部材6A、6Bは、ウエハWがスピンチャック3により保持されて回転しているときに一方向に旋回することにより、これら第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの両方でウエハWの裏面の中央部以外の全ての領域を洗浄できるように配置されている。一方向に旋回するとは、回転板51の旋回軸52からスピンチャック3の回転昇降軸3bを見て左側及び右側のうちの一方側この例では左側に位置する第1の洗浄部材6Aが他方側この例では右側に向かって旋回して移動することをいう。
【0028】
この例では、平面的に見たときに、スピンチャック3に保持されたウエハWに対して、第1の洗浄部材6Aが中央にあるときに第2の洗浄部材6Bが周縁に位置し、第2の洗浄部材6Bが中央にあるときに第1の洗浄部材6Aが周縁に位置するように設けられている。周縁に位置するとは、前記スピンチャック3に保持されたウエハWの外縁を洗浄(研磨)できるように洗浄部材6A、6Bが位置し、中央に位置するとは、スピンチャックの回転中心O2と旋回中心O1とを結んだ線L上を洗浄(研磨)できるように洗浄部材6A、6Bが位置することをいう。図6(a)は、第1の洗浄部材6Aが周縁にあり、第2の洗浄部材6Bが中央にある状態を示し、図6(b)は、第1の洗浄部材6Aが中央にあり、第2の洗浄部材61Bが周縁にある状態を示している。
【0029】
こうして前記左側に位置する第1の洗浄部材6Aが前記右側に向かう旋回の開始時には、第2の洗浄部材6Bが、回転板51の旋回軸52とスピンチャック3の回転昇降軸3bとを結ぶ直線L上に位置し、旋回の終了時には、前記第1の洗浄部材6Aが前記直線L上に位置することとなる。さらに回転板51の半径R1はウエハWの半径R2よりも短いことから、第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの旋回半径は、ウエハWの半径R2よりも短くなる。前記旋回半径とは、洗浄部材6A、6Bの中心と回転板51の旋回中心O1を結ぶ線の長さをいう。
【0030】
また回転板51には、図3及び図4に示すように洗浄液ノズル55とブローノズル56とが設置されている。洗浄液ノズル55からは第2の洗浄部材6BでウエハW裏面から除去されたパーティクルを洗い流すための洗浄液(例えばDIW)が供給され、ブローノズル56からは洗浄を終えた後にウエハW裏面に付着している洗浄液の乾燥を促進するための例えば窒素(N)等の気体が供給される。
【0031】
この他、図2及び図4に示すようにアンダーカップ43の底部には、アンダーカップ43内に溜まった洗浄液を排出するためのドレイン管16と、洗浄装置1内の気流を排気するための2つの排気管15とが設けられている。排気管15はアンダーカップ43底部に溜まった洗浄液が排気管15へ流れ込むのを防ぐため、アンダーカップ43の底面から上方へと延伸されている。また上方から滴り落ちてきた洗浄液が排気管15に直接入らないように、エアナイフ31の周囲に取り付けられたリング状のカバーをなすインナーカップ42によって覆われている。また図中の13はウエハWの洗浄終了後にウエハW外周縁近傍に上方から圧縮エア等を吹き付けて残存する洗浄液の乾燥を補助するためのブローノズルであり、14は洗浄機構5に設けられた洗浄液ノズル55と共に洗浄液をウエハW裏面に供給するための洗浄液ノズルである。なおブローノズル13は、不図示の昇降機構を備え、ウエハW搬入出時には搬送中のウエハWや搬送機構と干渉しないように上方へ退避するようになっている。
【0032】
また、各ベルト23の張設されていないアンダーカップ43の側壁43cには、UVランプ12を納めたランプボックス11が取り付けられている。処理対象のウエハWは、左X方向より洗浄装置1内に搬入出され、その際UVランプ12の上方を通過するように構成されている。UVランプ12は、洗浄を終えて搬出されるウエハWの裏面に紫外光を照射して、ウエハW裏面に残存しているパーティクルを収縮させる役割を果たす。
【0033】
また各駆動機構25、53や、UVランプ12、排気管15に設けられた図示しない圧力調整部等は、塗布、現像装置全体の動作を制御する制御部100により制御されるようになっている。制御部100は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には外部の搬送装置から受け取ったウエハWを吸着パッド2とスピンチャック3との間で受け渡したり、洗浄機構5により洗浄したりする動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして、当該コンピュータプログラムが制御部100に読み出されることにより、制御部100は洗浄装置1の動作を制御する。なお、このコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶機構に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0034】
以上に説明した構成に基づいて、ウエハWの裏面を洗浄する動作について図7図12を参照しながら説明する。図7はウエハWの裏面洗浄に係る工程を説明するための平面図であり、点線にて第1及び第2の洗浄部材6A、6Bとその旋回ルートを示している。図8図10は洗浄装置1の各動作を説明するための縦断面図である。また図11及び図12は、吸着パッド2またはスピンチャック3に保持されている夫々の状態において、ウエハWの洗浄される領域を模式的に示した平面図である。なおこれらの図においては、図示の便宜上、カバー体54やブラシカバー64、インナーカップ42、排気管15、UVランプ12やブローノズル13等の記載を必要に応じて適宜省略している。
【0035】
例えば馬蹄形状の搬送機構(後述する搬送アームF3)は処理対象のウエハWを洗浄装置1内に搬入してアッパーカップ41の開口部41a上方で停止し、支持ピン32はスピンチャック3の下方から上昇して搬送機構の下方にて待機する。搬送機構は支持ピン32の上方から下降してウエハWを支持ピン32へと引き渡し、洗浄装置1の外へと退出する。このとき吸着パッド2はウエハWを保持する面が第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの上面よりも高くなる洗浄位置で待機し、スピンチャック3は第1の洗浄部材6A、6Bの上面よりも低い位置まで退避している。このような位置関係により、支持ピン32が下降すると、ウエハWは先ず吸着パッド2に受け渡され、吸着パッド2により、ウエハW裏面から洗浄部材6A、6Bを押し当てても動かないようにウエハWが吸着保持される(図7(a)、図8(a))。
【0036】
次いで図7(b)及び図8(b)に示すように、ウエハW裏面の中央部を含む領域(中央領域)の研磨処理を行う。前記中央領域はウエハW裏面においてスピンチャック3にて保持される領域を含む領域である。この処理では、研磨用の第2の洗浄部材6Bを上昇させてウエハW裏面に押し当てると共に、ウエハWを吸着保持する吸着パッド2を右X方向へ移動させることにより、ウエハWを図8(a)に示す第1の位置から移動させて、ウエハW裏面の研磨を開始する。そしてウエハWを予め決められた第2の位置(例えばウエハWの右端が回転板51の右端よりも僅かに右側にある位置)まで搬送する。このとき第2の洗浄部材6Bを駆動機構53により鉛直軸周りに回転させると共に、回転板51を旋回させる。こうして吸着パッド2によるウエハWの移動と回転板51による第2の洗浄部材6Bの旋回移動との組み合わせによりウエハW裏面の研磨が進行する。
【0037】
図11(a)は回転板51の旋回の開始位置、図11(b)は回転板51の旋回の終了位置を夫々示している。そして開始位置及び終了位置は、前記研磨しようとする中央領域全体に洗浄部材6Bが行きわたるように設定され、こうして開始位置から終了位置に至る回転板51の旋回角度が設定される。この例では、旋回角度が、例えば平面的に見て旋回中心O1と第1の洗浄部材6Aの中心とを結んだ線と、旋回中心O1と第2の洗浄部材6Bの中心とを結んだ線とのなす角θになるように、旋回開始位置及び終了位置が夫々設定されている。
【0038】
このように回転板51を図11(a)に示す位置から図11(b)に示す位置まで時計回りにθ度旋回させることにより、図11(a)、(b)に示すように、例えば第2の洗浄部材6Bの中心を、位置P1から位置P2まで移動させて研磨を行う。これにより第2の洗浄部材6Bによって、図11(b)に左上斜線で塗りつぶした領域T1を満遍なく研磨することができる。第2の洗浄部材6Bを位置P2まで移動させて研磨を終えた後、第2の洗浄部材6Bを待機位置まで下降させる。このとき第1の洗浄部材6Aの中心は位置P1にある。
【0039】
続いて図7(c)、図9(a)に示すように、ウエハW裏面の中央領域の洗浄を行う。この洗浄では、洗浄用の第1の洗浄部材6Aを上昇させてウエハW裏面に押し当てると共に、ウエハWを吸着保持する吸着パッド2を前記第2の位置から前記第1の位置まで左X方向へ移動させる。またエアナイフ31を作動させてスピンチャック3の表面に洗浄液が廻り込んで付着するのを防止すると共に、洗浄液ノズル55より洗浄液を供給する。そして第1の洗浄部材6Aを鉛直軸周りに回転させると共に、回転板51を時計周りにθ度旋回させる。これにより第1の洗浄部材6Aの中心は位置P1から位置P2に移動する。
【0040】
ここで洗浄が行われている期間中、ウエハWの裏面全体は洗浄液の液膜に覆われており、第1の洗浄部材6Aで除去されたパーティクルは、このウエハW裏面から流れ落ちる洗浄液と共にアンダーカップ43へ洗い流される。またエアナイフ31の噴出口31aからはウエハW裏面へ向けて気体が噴出され、洗浄液がエアナイフ31の外側へ向けて吹き飛ばされることにより、エアナイフ31と対向するウエハW裏面は乾燥した状態が保たれている。このような構成により、ウエハW裏面を覆う洗浄液がエアナイフ31の内側にまで回り込んでしまうのを防止することができる。この結果、スピンチャック3の表面は常に乾燥状態に維持され、処理された洗浄液による汚染やウォータマークの形成を防止することが可能となる。こうして吸着パッド2によるウエハWの移動と、回転板51による第1の洗浄部材6Aの旋回移動との組み合わせによって、第1の洗浄部材6Aにより前記領域T1が満遍なく洗浄される。そして第1の洗浄部材6Aを位置P2まで移動させて洗浄を終えた後、第1の洗浄部材6Aを待機位置まで下降させる。
【0041】
上述の領域T1の洗浄を終えたら、吸着パッド2からスピンチャック3へのウエハWの受け渡しを行う。ウエハWの受け渡しは、例えばエアナイフ31を作動させたまま、洗浄機構5の移動や回転、洗浄液の供給を停止し、吸着パッド2によるウエハWの吸着を解除する一方で、退避しているスピンチャック3を洗浄位置の高さ位置まで上昇させてウエハWの裏面を支え、次に吸着パッド2を下方へ退避させることにより行われる。
【0042】
続いて図7(d)、(e)、図9(b)に示すように、ウエハWの中央部以外の領域(周縁領域)の研磨及び洗浄を行う。具体的には、図12(a)に示すように、洗浄用の第1の洗浄部材6Aが周縁、研磨用の第2の洗浄部材6Bが中央に夫々位置する旋回開始位置まで回転板51を旋回移動させた後、第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bを上昇させてウエハW裏面に押し当てる。そしてウエハWをスピンチャック3により鉛直軸周りに回転させながら、第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bを、図12(b)に示すように、第1の洗浄部材6Aが中央、第2の洗浄部材6Bが周縁領域に位置するまで回転板51を旋回させる。このとき第1及び第2の洗浄部材6A、6Bを夫々回転させ、洗浄液ノズル55から洗浄液を供給する。
【0043】
このようにウエハW裏面の周縁領域では、スピンチャック3によるウエハWの回転と回転板51による第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bの旋回移動との組み合わせにより研磨と洗浄が同時に進行する。ウエハWを回転させながら、洗浄部材6Aを周縁から中央に向け、洗浄部材6Bを中央から周縁に向けて徐々に移動させていくことにより、洗浄部材6A及び洗浄部材6BがウエハWに当接した領域は夫々同心円状の軌跡を描きながらウエハW裏面を移動していく。こうして、図12(b)中に右上斜線で塗りつぶした領域T2を満遍なく研磨及び洗浄することができる。
【0044】
ここで領域T1と領域T2とを合わせた領域は図12(b)に示すようにウエハW裏面全体を包含しており、洗浄されないデッドスペースを生じないように各機器のサイズや移動範囲が調整されている。またウエハWをスピンチャック3で保持して洗浄を行っている期間中は、洗浄液ノズル55だけでなく、エアナイフ31の左側方に設置されている洗浄液ノズル14からも洗浄液を供給している。ウエハW表面に濡れている領域と乾燥している領域とが混在していると洗浄液を乾燥させた際にウォータマークを生じる原因となるので、洗浄液を満遍なく行き渡らせてウォータマークの発生を抑制するためである。従ってこの例では、洗浄液ノズル55及び洗浄液ノズル14により洗浄液供給部が構成されている。但し、洗浄液供給部を洗浄液ノズル55及び洗浄液ノズル14のいずれか一方により構成してもよい。
【0045】
こうしてウエハW裏面全体の洗浄を完了すると、図7(f)及び図10に示すように、第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bの回転を停止して下降させ、洗浄液の供給を停止して、洗浄液の振り切り乾燥の動作に移る。振り切り乾燥は、スピンチャック3を高速で回転させてウエハW裏面に付着している洗浄液を振り切ることにより行われる。既述のように満遍なく濡らされたウエハWを一気に振り切って乾燥させることにより、ウォータマークの発生が抑制される。このとき、上方に退避していたブローノズル13を下降させ、同時にブローノズル56をウエハW周縁部に位置させるように回転板51を移動させて、ウエハW周縁部の上面と下面とから気体を吹き付けることにより、振り切り乾燥が促進される。なお、スピンチャック3に保持される第2の領域については振り切り乾燥を行うことができないが、エアナイフ31によって乾燥された状態でスピンチャック3と接触するようになっているのでウォータマークが発生することは殆どない。
【0046】
以上に説明した動作によりウエハW裏面全体の洗浄と乾燥とを終えたら、搬入時とは逆の動作でウエハWを搬送機構へ引き渡して搬出する。このときUVランプ12を点灯して馬蹄形状の搬送機構の下方からウエハW裏面へ向けて紫外線を照射する。これにより万一パーティクルが付着している場合であっても、例えば有機物は紫外線の照射により分解されるので、このようなタイプのパーティクルを収縮させて、デフォーカス等の影響を小さくすることができる。
一方ウエハWの搬出動作と並行して、吸着パッド2やスピンチャック3は図8(a)に示した位置まで移動して次のウエハWの搬入を待つ。そして図8図12を参照して説明した動作を繰り返し、複数のウエハWを順次洗浄する。
【0047】
上述の実施の形態によれば、ウエハWの裏面を支えて保持し、そのままの状態で洗浄を行うので、洗浄装置1に加えてウエハWを反転するリバーサを設置するスペースやウエハWの反転動作を行うためのスペースを必要としない。この結果、従来タイプの洗浄装置と比較して、当該洗浄装置1が設置される塗布、現像装置をコンパクトにすることができる。また洗浄装置1は、2つの基板保持機構(吸着パッド2、スピンチャック3)の間でウエハWを持ち替えるので、吸着パッド2やスピンチャック3で覆われてしまうことにより洗浄することのできないデッドスペースを生じないようにすることができる。
【0048】
またウエハWの裏面を第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bにより洗浄しているので、ウエハWと洗浄部材との接触面積が大きくなり、洗浄部材が単独の場合に比べて洗浄力を高めることができる。さらに第1の洗浄部材6Aと第2の洗浄部材6Bは、共通の旋回軸52により各々水平方向に旋回するように構成され、旋回軸52は基板の中央領域を洗浄するときにはウエハWに重なって位置するように配置されている。このように旋回軸52はウエハWの移動領域を利用して設置されるので、装置の小型化を図ることができる。
【0049】
さらに本発明では、ウエハWの裏面を、中央領域と周縁領域とに分けて洗浄を行っているので、ウエハWの裏面全体を一気に洗浄する場合に比べて、個々の洗浄領域が小さい。従って第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの旋回半径をウエハWよりも短くしても、ウエハWの裏面全面を洗浄することができる。このように回転板51の半径がウエハWよりも小さく、さらに回転板51の旋回軸52をウエハWの移動領域の下に設けているので、ウエハWの裏面の中央領域の洗浄の際、ウエハWをスライド移動させたときに、平面的に見てウエハWと回転板51とが重なる。このため、スピンチャック3の側方に回転板51を設けたとしても、前記移動領域の他に設置スペースを確保する必要がなく、より洗浄装置1の小型化を図ることができる。
これに対してウエハWの裏面を中央領域と周縁領域とに分けずに洗浄を行う場合には、ウエハWの中心を通ってウエハWの外縁まで洗浄部材を移動させなくてはならない。従ってウエハWの外側に洗浄部材の駆動機構がある場合には、洗浄部材の旋回半径はウエハWより大きくなり、装置が大型化してしまう。
【0050】
また既述のように、ウエハW裏面を中央領域と周縁領域とに分けて洗浄を行っており、個々の洗浄領域が小さいので、洗浄部材6A、6Bの移動距離が短い。この移動距離はそのまま洗浄時間に反映されるので、ウエハWの中心から外縁までブラシを移動させる場合(移動距離が長い場合)に比べて、洗浄時間が短縮されるため、スループットが高くなる。
【0051】
さらにウエハW裏面の中央部以外の周縁領域を洗浄するときには、回転板51の旋回軸52から一方向に第1の洗浄部材6Aが旋回して移動することにより、第1及び第2の洗浄部材6A、6BがウエハW裏面の前記周縁領域を洗浄するように、これら洗浄部材6A、6Bが配置されている。従って洗浄部材6A、6Bを一方向に旋回移動させることによって、ウエハW裏面の前記周縁領域全体が洗浄されるので、洗浄部材6A、6Bの移動時間が短くて済み、スループットの向上を図ることができる。
【0052】
さらにまた第1の洗浄部材6Aが前記一方向に向かう旋回の開始時には、第2の洗浄部材6Bが回転板51の旋回軸52とスピンチャック3の回転昇降軸3bとを結ぶ直線L上に位置し、旋回の終了時には、前記第1の洗浄部材6Aが前記直線L上に位置するように配置されている。つまり2つの洗浄部材6A、6Bを同時に用いた洗浄において、一方の洗浄部材6A(6B)を中央から周縁に移動させることにより、ウエハW裏面の周縁領域全体を万遍なく洗浄することができる。このため洗浄部材6A、6Bを大きく旋回させることなく、洗浄を行うことができるので、スループットの向上に有効である。
【0053】
また2つの洗浄部材6A、6Bを片方ずつ用いた洗浄においても、一方の洗浄部材6Aを中央から周縁まで例えば時計回りに移動させると、他方の洗浄部材6Bは中央にあるため、次いで他方の洗浄部材6Bを中央から周縁まで反時計回り又は時計回りに移動させることにより、万遍なくウエハWの周縁領域全体の洗浄が行われる。
このように第1の洗浄部材6A及び第2の洗浄部材6Bの配置を工夫することによって、回転板51の旋回移動に無駄な移動がなくなるため、処理時間の短縮につながり、スループットの向上を図ることができる。
【0054】
さらに第1の洗浄部材6Aは洗浄用、第2の洗浄部材6Bは研磨用であって、互いに種別が異なるため、1台の装置において、研磨処理と洗浄処理の2種類の処理を行うことができるので、塗布、現像装置に別々の装置として組み込む場合に比べて、塗布、現像装置全体をコンパクトにすることができる。さらにまた第1及び第2の洗浄部材6A、6Bは面状体である回転板51に取り付けられ、この回転板51の裏面側に駆動機構53が設けられている。このため、ウエハWの裏面に下方側が洗浄液を供給し、洗浄液が飛散する環境であっても、ウエハWと駆動機構53との間に回転板51があるので、駆動機構53への洗浄液の付着が防止される。さらに駆動機構53の周囲やブラシの駆動機構の周囲をカバー体54及びブラシカバー64により夫々覆っているので、これら駆動機構53、64の防水を図ることができる。
【0055】
上述の例では、洗浄手法の一例を挙げたものであり、洗浄時の洗浄部材の移動は上述の例には限られない。例えば図13に示すように、図7に示す工程を一通り実施した後、さらに図7の工程(d)、(e)と同様に、ウエハWの周縁領域の研磨及び洗浄を繰り返し(図13の工程(a)、(b))、続いてウエハWの再洗浄(図13の工程(c))を実施するようにしてもよい。図13の工程(a)、(b)については既述のとおりである。また図13の工程(c)のウエハWの再洗浄では、研磨用の第2の洗浄部材6Bは待機位置のままにして、洗浄用の第1の洗浄部材6Aのみを洗浄位置まで上昇させる。そしてウエハWをスピンチャック3により回転させ、当該第2の洗浄部材6Aを回転させながら、当該洗浄部材6Aを中央から周縁まで旋回移動させて、ウエハW裏面の周縁領域を洗浄することにより行われる。そして図13の工程(d)に示すように、例えば第1及び第2の洗浄部材6A、6BをウエハWの外方に退避させて第2の洗浄部材6Bの回転を停止し、洗浄液の供給を停止すると共に、スピンチャック3を高速で回転させて振り乾燥を行う。
また、ウエハWの搬入(図7、工程(a))→ウエハWの中央領域の研磨(図7、工程(b))→ウエハWの中央領域の洗浄(図7、工程(c))→ウエハWの周縁領域の研磨及び洗浄(図13、工程(a)、(b))→ウエハWの再洗浄(図13、工程(c))→ウエハWの乾燥(図13、工程(d))の順番で各工程を実施するようにしてもよい。各工程については既述のとおりである。
なお、図13の工程(a)においては、必ずしも洗浄用の第1の洗浄部材6AはウエハWに接触させる必要はなく、この場合には、図13の工程(a)では、第2の洗浄部材6Bによる研磨が行われることになる。
【0056】
以上において、第1及び第2の洗浄部材6A、6Bは互に横方向に離れて設けられ、吸着パッド2に保持されたウエハW裏面の中央部を含む領域を洗浄し、スピンチャック3に保持されたウエハW裏面の前記中央部以外の領域に洗浄する構成であれば、洗浄力を高めることができる。このため、第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの配置は上述の例には限られない。また第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの旋回軸52がウエハWの移動領域にあれば装置の小型化を図ることができるので、必ずしも前記第1及び第2の洗浄部材6A、6Bの旋回半径を、ウエハWの半径よりも短くする必要はない。さらに第1及び第2の洗浄部材6A、6Bは、互いに種別が同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。種別が同じとは材質やポアサイズが同じことをいう。また洗浄処理の種別によっては、ウエハWの裏面の中央領域の洗浄のときに、第1及び第2の洗浄部材6A、6BをウエハW裏面に同時に接触させて洗浄を行ってもよいし、ウエハWの周縁領域の洗浄のときに、第1の洗浄部材6A,6Bの一方を接触させて洗浄を行うようにしてもよい。
【0057】
また洗浄部材はウエハW裏面に接触せずに当該ウエハW裏面を洗浄するものであってもよく、例えば二流体ノズルやジェットノズル、メガソニックノズル等、洗浄液等を吹き付けることによってパーティクルを除去するタイプの洗浄部材を採用してもよい。さらにまた実施の形態においては回転式の洗浄部材6A、6Bを例示したが、これに替えて振動式の洗浄部材(ブラシ)を採用してもよい。更に洗浄液の種類もDIWに限定されることなく、他の洗浄液であってもよい。また旋回機構は、旋回軸に周方向に沿って広がるように設けられた面状体を備えるものであればよく、面状体は円板には限らない。
【0058】
さらに洗浄装置に設置する基板保持機構は、実施の形態に示したように2種類(吸着パッド2、スピンチャック3)だけに限定されるものではない。例えば3種類以上の基板保持機構を備え、これらの基板保持機構の間で2回以上基板を持ち替えるように構成してもよい。また2種類の洗浄部材6A、6Bだけに限定されるものではなく、例えば3種類以上の洗浄部材を設けるようにしてもよい。このとき、ウエハW裏面に接触して洗浄するタイプの洗浄部材と、ウエハW裏面に接触しないで洗浄するタイプの洗浄部材とを組み合わせて設けるようにしてもよい。
【0059】
さらに本発明の基板の洗浄には、上述のように、洗浄部材を用いて基板裏面を研磨する処理や、接着剤にて接着された基板同士を剥離した後に、これら基板に付着した接着剤を除去するための洗浄処理等の処理も含まれる。例えば前記基板同士を剥離した後に基板を洗浄する処理について簡単に説明する。基板であるウエハWの大口径化に伴い、ウエハWの裏面を研磨する際のウエハWの反りや割れを抑えるために、被処理ウエハを支持基板に接着剤にて貼り付けて補強することが行われている。このときウエハ裏面が上になるように、ウエハWの被処理面を下向きにして支持基板に接着され、ウエハの被処理面が接合面となる。そしてウエハ裏面を上向きにしたまま研磨を行った後、被処理ウエハと支持基板とを剥離し、被処理ウエハの被処理面の洗浄を行う。被処理ウエハは被処理面が下向きの状態で剥離されるので、本発明の洗浄装置1にて被処理面を下向きにしたまま、当該被処理面の洗浄が行われる。従ってこの洗浄処理では、被処理ウエハの被処理面が基板の裏面に相当する。例えば洗浄部材としては、ウエハに接触して洗浄するタイプのものや、2流体ノズルなどのウエハと接触せずに洗浄するタイプのものが用いられる。
【0060】
図14図16に、上記の洗浄装置1が組み込まれる塗布、現像装置の一例を示す。図14図15図16は夫々当該塗布、現像装置7の平面図、斜視図、概略縦断側面図である。この塗布、現像装置7は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックD3にはさらに露光装置D4が接続されている。以降の説明ではブロックD1〜D3の配列方向を前後方向とする。キャリアブロックD1は、同一のロットの基板であるウエハWを複数枚含むキャリアCを塗布、現像装置7内に搬入出する役割を有し、キャリアCの載置台71と、開閉部72と、開閉部72を介してキャリアCからウエハWを搬送するための移載機構73とを備えている。
【0061】
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う第1〜第6の単位ブロックB1〜B6が下から順に積層されて構成されている。説明の便宜上ウエハWに下層側の反射防止膜を形成する処理を「BCT」、ウエハWにレジスト膜を形成する処理を「COT」、露光後のウエハWにレジストパターンを形成するための処理を「DEV」と夫々表現する場合がある。この例では、図15に示すように下からBCT層、COT層、DEV層が2層ずつ積み上げられ、同じ単位ブロックにおいて互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。
【0062】
ここでは単位ブロックのうち代表してCOT層E3を、図14を参照しながら説明する。キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かう搬送領域74の左右の一方側には棚ユニットUが前後方向に複数配置され、他方側には夫々液処理モジュールであるレジスト膜形成モジュールCOT、保護膜形成モジュールITCが前後方向に並べて設けられている。前記レジスト膜形成モジュールCOTは、ウエハWにレジストを供給してレジスト膜を形成する。保護膜形成モジュールITCは、レジスト膜上に所定の処理液を供給し、当該レジスト膜を保護する保護膜を形成する。棚ユニットUは、加熱モジュール及び洗浄装置1を備えており、前記洗浄装置1は例えばインターフェイスブロックD3側に配置されている。前記搬送領域74には、ウエハWの搬送機構である搬送アームF3が設けられている。
【0063】
他の単位ブロックE1、E2、E5及びE6は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックE3、E4と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、レジスト膜形成モジュールCOTの代わりに反射防止膜形成モジュールを備え、単位ブロックE5、E6は、現像モジュールを備える。図16では各単位ブロックE1〜E6の搬送アームはF1〜F6として示している。
【0064】
処理ブロックD2におけるキャリアブロックD1側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡しアーム75とが設けられている。タワーT1は、互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、単位ブロックE1〜E6の各高さに設けられるモジュールは、当該単位ブロックE1〜E6の各搬送アームF1〜F6との間でウエハWを受け渡すことができる。これらのモジュールとしては、受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュール、及びウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールなどが含まれている。
【0065】
インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えている。タワーT2とタワーT3に対しては、昇降自在なインターフェイスアーム76により、タワーT2とタワーT4に対しては昇降自在なインターフェイスアーム77により、夫々ウエハWの受け渡しが行われる。またタワーT2と露光装置D4の間でウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアーム78が設けられている。
タワーT2には、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温調モジュールなどが互いに積層されている。またタワーT3、T4にも夫々モジュールが設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0066】
この塗布、現像装置7及び露光装置D4からなるシステムのウエハWの搬送経路について説明する。ウエハWはロットごとにキャリアCから搬出される。つまり、一のロットのウエハWが全て払い出された後に他のロットのウエハWがキャリアCから搬出されるように設定されている。また、キャリアCから払い出される前に、各ウエハWの搬送経路は予め設定されており、上記のように二重化された単位ブロックのうち、予め設定された単位ブロックに搬送される。
【0067】
ウエハWは、キャリアCから移載機構73により、処理ブロックD2におけるタワーT1の受け渡しモジュールTRS0に搬送される。この受け渡しモジュールTRS0からウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。
例えばウエハWを単位ブロックE1に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE1に対応する受け渡しモジュールTRS1(搬送アームF1によりウエハWの受け渡しが可能な受け渡しモジュール)に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。またウエハWを単位ブロックE2に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE2に対応する受け渡しモジュールTRS2に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。これらのウエハWの受け渡しは、受け渡しアーム75により行われる。
【0068】
このように振り分けられたウエハWは、TRS1(TRS2)→反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール→TRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて受け渡しアーム75により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
そしてTRS3、TRS4に振り分けられたウエハWは、TRS3(TRS4)→レジスト膜形成モジュールCOT→加熱モジュール→保護膜形成モジュールITC→加熱モジュール→洗浄装置1→タワーT2の受け渡しモジュールTRSの順で搬送される。前記受け渡しモジュールTRSに搬送されたウエハWは、インターフェイスアーム76、78により、タワーT3を介して露光装置D4へ搬入される。露光後のウエハWは、インターフェイスアーム77によりタワーT2、T4間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワーT2の受け渡しモジュールTRS5、TRS6に夫々搬送される。然る後、加熱モジュール→現像モジュール→加熱モジュール→タワーT1の受け渡しモジュールTRSに搬送された後、移載機構73を介してキャリアCに戻される。
【0069】
このように洗浄装置1は、例えば単位ブロックE3、E4の棚ユニットUに設けたが、塗布、現像装置7において、洗浄装置1を設ける場所はインターフェイスブロックD3のタワーT2であってもよい。その場合、例えばレジスト膜及び保護膜を形成したウエハWを、インターフェイスブロックD3に搬送し、ここで洗浄処理が行われた後、露光装置D4へ搬送される。
【符号の説明】
【0070】
W ウエハ
1 洗浄装置
2 吸着パッド
3 スピンチャック
3b 回転昇降軸
5 洗浄機構
51 回転板
52 旋回軸
53 駆動機構
6A 第1の洗浄部材
6B 第2の洗浄部材
62A、62B 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16