特許第5904239号(P5904239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5904239情報記録媒体基板用ガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5904239
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月13日
(54)【発明の名称】情報記録媒体基板用ガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスク
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/73 20060101AFI20160331BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20160331BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20160331BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20160331BHJP
【FI】
   G11B5/73
   C03C3/085
   C03C3/087
   C03C3/093
【請求項の数】19
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-153134(P2014-153134)
(22)【出願日】2014年7月28日
(62)【分割の表示】特願2010-30190(P2010-30190)の分割
【原出願日】2010年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-232561(P2014-232561A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2009-90104(P2009-90104)
(32)【優先日】2009年4月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 達雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 哲也
(72)【発明者】
【氏名】レイエス ディアス マヌエル
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−357318(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/062847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/73
C03C 3/085
C03C 3/087
C03C 3/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記酸化物基準のモル%表示で、SiOを61〜72%、Alを5.5〜12%、LiOを0〜%、NaOを0〜13%、KOを0〜22%、MgOを4〜13%、CaOを2%超8%以下、TiOを0〜6%、ZrOを0.5〜5%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8〜22%であり、LiOの含有量とROとの比LiO/ROが0.52以下、NaOの含有量とROとの比NaO/ROが0.35以上またはKOの含有量とROとの比KO/ROが0.45以上であり、Bを含有しない、またはBを1%未満含有し、ヤング率が75GPa以上かつ比弾性率が28MNm/kg以上であり、120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気下に20時間保持した時そのガラス表面に析出しているLi量、Na量、K量をそれぞれCLi、CNa、Cとして、C=CLi+CNa+Cが12nmol/cm以下である情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項2】
SiO含有量からAl含有量を減じた差が53%超であり、Al含有量が11%以下であり、25℃、0.01N硝酸に浸漬したときのガラスのエッチング速度が0.3nm/h以下である、請求項1の情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項3】
LiO/ROが0.5以下またはNaO/ROが0.4以上である請求項1または2の情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項4】
TiOおよびZrOの含有量の合計TiO+ZrOが0.5〜8%である請求項1〜3のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項5】
O含有量からLiO含有量を減じた差が9%以下である請求項1〜4のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項6】
Oが10%以上である請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項7】
SiOが62〜71%、Alが5.5〜12%、LiOが0〜%、NaOが0〜13%、KOが0〜19%、MgOが5〜12%、CaOが2%超8%以下、TiOが0〜5%、ZrOが0.5〜4%、ROが11〜20%である請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項8】
SiOが63〜70%、Alが5.5〜9%、LiOが0〜%、NaOが0〜13%、KOが0〜12.8%、MgOが5〜11%、CaOが2%超8%以下、TiOが0〜4%、ZrOが0.5〜4%、ROが13〜19%である請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項9】
CaO、SrOおよびBaOのいずれか1以上を合計で3%以下含有する請求項1〜8いずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項10】
Alが5.5〜11%、LiOが0〜4%、NaOが0〜13%、KOが0〜12%、MgOが4〜11%、ROが8〜17%であり、CaOを2%超8%以下含有する請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項11】
SiOが61〜71%、Alが5.5〜11%、LiOが0〜%、NaOが0〜12%、KOが0〜10%、MgOが4〜9%であり、CaOを2.5〜7%含有する請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項12】
ZrOが0.5〜3%である請求項10または11の情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項13】
ガラス転移点が500℃以上である請求項1〜12のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項14】
ヤング率が76GPa以上、比弾性率が30MNm/kg以上かつガラス転移点が590℃以上である請求項10〜12の何れかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項15】
−50〜70℃における平均線膨張係数が56×10−7/℃以上である請求項1〜14のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項16】
液相温度をT、粘度が10dPa・sとなる温度をTとして、(T−T)<50℃未満である請求項1〜15のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項17】
密度が2.60g/cm以下である請求項1〜16のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかの情報記録媒体基板用ガラスからなる情報記録媒体用ガラス基板。
【請求項19】
請求項18の情報記録媒体用ガラス基板上に磁気記録層が形成されている磁気ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク(ハードディスク)など情報記録媒体の基板に用いられるガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体用基板、特に磁気ディスク用基板としてガラス基板が広く用いられており、モル%で示した組成が、SiO:65.4%、Al:8.6%、LiO:12.5%、NaO:10.5%、ZrO:3.0%である市販ガラスが知られている。この市販ガラスは化学強化処理されて使用されている。
一方、特許文献1には、化学強化処理を行わない磁気ディスク用基板ガラスが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−358626号公報(表1〜14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気ディスク用ガラス基板の研磨工程や洗浄工程では低pHの酸が用いられるため、磁気ディスク用ガラス基板としては、低pHにおける研磨工程や洗浄工程で面荒れが発生しないこと、すなわち耐酸性が求められる。また、低pHの酸を用いることで、研磨速度の向上や、洗浄工程での欠点除去能力の向上が可能となるが、耐酸性の低いガラスでは、高pHの酸を用いることになり、研磨速度の低下や、洗浄後の欠点品質の低下が生じてしまう。
【0005】
磁気ディスク用ガラス基板としては、その在庫中に表面性状が著しく変化し、前記基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれやすくならないこと、すなわち耐候性が求められる。Li、Na、Kなどのアルカリ金属成分はガラスの溶融促進剤として広く使用されるが、これらの成分は空気中の水分によってガラスから選択的に抽出され、最終的には空気中の炭酸ガスや亜硫酸ガスといった成分と反応し、アルカリ炭酸塩やアルカリ硫酸塩としてガラス表面に付着する(白ヤケ)ため、その反応が起きにくいことが必要である。
【0006】
また、アルカリ金属成分が磁性膜に拡散すると記録した情報が消えるなどの現象が起きやすくなるため、記録媒体としての信頼性を著しく落としてしまうという問題がある。
【0007】
本発明者は、前記市販化学強化ガラスについて後述する耐候性試験を行ったところLi、Na、Kの析出量合計Cは3.5nmol/cm(後述する例123)、化学強化をしないものではCは18.3nmol/cmであり(後述する例124)、化学強化をしないものの耐候性は決して高くはなく、化学強化処理によって耐候性が改善していることがわかった。すなわち、このガラスは化学強化処理によって初めて磁気ディスク用ガラス基板として使用できるガラスと考えられ、その理由は、化学強化処理に伴いガラス表面にイオン半径の大きなアルカリ成分が増加し、移動度を落としているためと考えられる。しかし、化学強化処理には、工程が増加するためコストアップにつながる、化学強化処理によって基板表面に汚れが付着しやすくなる、などの問題がある。
【0008】
一方、特許文献1に例示されている組成はアルカリ金属成分に加え、Bを1モル%以上含むものが大部分である。Bはガラスの脆さ低下、低比重化、ガラスの溶融性促進などを目的に添加されているが、アルカリ金属成分と共存すると蒸気圧が非常に低いアルカリボレート化合物を形成するため、ガラス融液から同成分の揮散が激しく起こる。図1に、Malcolm W.Chase,Jr.編,NIST‐JANAF Thermochemical Tables,(米国),第4版,the American Chemical Society and the American Institute of Physics,1998年,p.242−274,の熱力学データから計算したホウ素化合物の蒸気圧曲線を示す。各温度における気相と凝縮相の自由エネルギー差ΔGから、次式で蒸気圧Pを計算した。結果を図1に示す。
ΔG=RTlnP
ここで、Rは気体定数である。
【0009】
図1からわかるように、ホウ素のアルカリ化合物は、Bに比較すると、はるかに高い蒸気圧を示す。これにより、脈理などの不均質が発生しガラス品質低下を引き起こすと同時に、揮散物がガラス溶融窯に使用しているれんが物質に凝縮しれんが強度を著しく低下させる、揮散物の回収処理に莫大なコストがかかる、といった問題が発生する。
【0010】
また、ガラスからのアルカリ金属成分の揮散に対するB含有量の影響を調べるために、後述する例29、137、138のガラスを白金るつぼに入れて、1600℃の温度で23時間放置して、放置前後のガラス中のLiOおよびNaOの量をICP−MSにより分析した。なお、例29、137、138のガラスのB含有量はそれぞれ0モル%、1モル%、1.5モル%である。
その結果、例29、137、138の放置前後でのLiO減少量(絶対量)はそれぞれ0.0質量%、0.1質量%、0.1質量%、NaO減少量(絶対量)はそれぞれ0.4質量%、0.8質量%、0.9質量%であった。すなわち、Bを含有しない例29とBを1モル%以上含有する例137、138とでは、特にNaO減少量において顕著な差が認められた。
【0011】
また、特許文献1にはBを含まない組成も5例示されているが、いずれのガラスもアルカリ金属成分の含有量が多いためCは12nmol/cm以上であると考えられ、アルカリ金属の磁性膜への拡散が多くなり、信頼性を低下させるという懸念がある。また、後述する例125は特許文献1の例63のガラスであるが、後述する硝酸エッチング速度は181nm/hである。このため、低pHにおける研磨工程や洗浄工程で面荒れが発生し、品質を低下させるという懸念がある。
【0012】
本発明者は耐酸性試験において硝酸エッチング速度が大きく、また耐候性試験においてアルカリの析出が多いガラスがこれらの問題を引き起こすと考え、化学強化処理を行うことなく、またBを多く含有させることなくこのような課題を解決することを目的として本発明をなした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、下記酸化物基準のモル%表示で、SiOを61〜72%、Alを5.5〜12%、LiOを0〜%、NaOを0〜13%、KOを0〜22%、MgOを4〜13%、CaOを2%超8%以下、TiOを0〜6%、ZrOを0.5〜5%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8〜22%であり、LiOの含有量とROとの比LiO/ROが0.52以下、NaOの含有量とROとの比NaO/ROが0.35以上またはKOの含有量とROとの比KO/ROが0.45以上であり、Bを含有しない、またはBを1%未満含有し、ヤング率が75GPa以上かつ比弾性率が28MNm/kg以上であり、120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気下に20時間保持した時そのガラス表面に析出しているLi量、Na量、K量をそれぞれCLi、CNa、Cとして、C=CLi+CNa+Cが12nmol/cm以下である情報記録媒体基板用ガラスを提供する。なお、たとえばLiOを0〜%含有するとは、LiOは必須ではないが%まで含有してもよい、の意である。
また、Alが5.5〜11%、ROが10〜22%である前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
【0014】
また、SiOを62〜71%、Alを5.5〜10%、LiOを0〜%、NaOを0〜13%、KOを0〜20%、MgOを5〜12%、CaOを2%超8%以下、TiOを0〜5%、ZrOを0〜5%含有し、ROが11〜20%である前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
また、SiOを63〜70%、Alを5.5〜9%、LiOを0〜%、NaOを0〜13%、KOを0〜19%、MgOを5〜11%、CaOを2%超8%以下、TiOを0〜4%、ZrOを0〜4%含有し、ROが13〜19%である前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
【0015】
また、CaO、SrOおよびBaOのいずれか1以上を合計で3%以下含有する、または、LiOが0〜4%以下でありCaOを2%超8%以下含有する前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
これらのうち、1番目と2番目の態様のガラス、すなわち、前記情報記録媒体基板用ガラスであってCaO、SrOおよびBaOの含有量の合計CaO+SrO+BaOが0〜3%である態様のものは比弾性率と膨張係数を大きくしたいときに好適である(以下、この2者の態様のガラスをガラスAと総称する)。
3番目の態様のガラス、すなわち、前記情報記録媒体基板用ガラスであってLiOが0〜4%以下でありCaOを2%超8%以下含有する態様のものはガラス転移点を高くしたいときに好適である(以下、この態様のガラスをガラスBという)。
また、Bを含有しない、またはBを1%未満含有する前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
【0016】
また、前記情報記録媒体基板用ガラスからなる情報記録媒体用ガラス基板を提供する。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板上に磁気記録層が形成されている磁気ディスクを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐酸性が高い情報記録媒体基板用ガラスを得ることが可能になるので、低pHにおける研磨工程や洗浄工程での面荒れを防止できる。
また、情報記録媒体用ガラス基板の研磨速度を向上することができ、研磨工程の効率化を実現できる。
また、洗浄工程での欠点品質を向上することができ、高品質の情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
【0018】
また、化学強化処理なしで耐候性試験後のアルカリ析出総量が小さい情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、前記基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれにくくなる。
また、磁性膜へのアルカリ拡散を抑制でき、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
また、化学強化処理を行うことなく情報記録媒体用ガラス基板を製造できるので、工程を減らすことができ、また化学強化処理後の基板表面へのよごれ付着の問題を解決できる。
また、ヤング率、比弾性率が高い情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、ドライブ回転中に反りやたわみが発生しにくくなり、高記録密度の磁気ディスクなど情報記録媒体を得ることができる。
また、密度が小さい情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、ドライブ回転時にモーター負荷が低減できるため、低消費電力を達成できる。
また、平均線膨張係数が大きい情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、金属製のドライブ部材との熱膨張マッチングが高くなり、温度変動時の発生応力が小さく、基板割れ等が発生しにくくなる。
【0019】
また、液相温度が、粘度が10dPa・sとなる温度に比して低い情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法などの連続成形が可能となり、大量生産が可能となる。
また、ガラス転移点が高い情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、基板上に磁性膜を形成した後に行う熱処理温度を高くでき、記録密度の高い情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】温度と、Bおよびホウ素のアルカリ化合物の蒸気圧との関係を示す図である。
図2】アルカリ酸化物比率(LiO/RO、NaO/RO、KO/RO)とCの関係を示す図である。各点の数字はC(単位:nmol/cm)であり、頂点LiにおいてはLiO/RO=1、頂点NaにおいてはNaO/RO=1、頂点KにおいてはKO/RO=1である。
図3】KO/RO=0におけるNaO/ROとCの関係を示す図である。図中のy=56x−77x+32は近似曲線の式(y、xはそれぞれKO/RO=0におけるC、NaO/ROである。)であり、Rは決定係数である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の情報記録媒体基板用ガラス(以下、本発明のガラスという。)の密度dは2.60g/cm以下であることが好ましい。2.60g/cm超ではドライブ回転時にモーター負荷がかかって消費電力が大きくなる、またはドライブ回転が不安定になるおそれがある。好ましくは2.54g/cm以下である。
【0022】
本発明のガラスはヤング率Eが75GPa以上かつ比弾性率E/dが28MNm/kg以上であることが好ましい。Eが75GPa未満であるかE/dが28MNm/kg未満であるとドライブ回転中に反りやたわみが発生しやすく、高記録密度の情報記録媒体を得ることが困難になるおそれがある。より好ましくはEが76GPa以上かつE/dが30MNm/kg以上であり、Eが77GPa以上かつE/dが30MNm/kg以上であることが特に好ましい。
【0023】
本発明のガラスのガラス転移点Tgは500℃以上であることが好ましい。500℃未満では磁性層形成熱処理温度を充分高くすることができず、磁性層の保磁力増加が困難になるおそれがある。より好ましくは510℃以上である。ガラスBにおいてはTgは典型的には590℃以上である。
【0024】
本発明のガラスは、その液相温度をT、粘度が10dPa・sとなる温度をTとして、(T−T)は50℃未満であることが好ましい。(T−T)が50℃以上ではフロート成形が困難になるおそれがあり、より好ましくは40℃未満、特に好ましくは30℃未満である。
【0025】
本発明のガラスの−50〜70℃における平均線膨張係数αは56×10−7/℃以上であることが好ましい。56×10−7/℃未満では、金属製のドライブなど他の部材の熱膨張係数との差が大きくなり、温度変動時の応力発生による基板の割れなどが起こりやすくなるおそれがある。より好ましくは58×10−7/℃以上である。αは典型的には100×10−7/℃以下である。
【0026】
本発明の情報記録媒体用ガラス基板(以下、本発明のガラス基板という。)は、120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気下に20時間保持した時そのガラス表面に析出しているLi量、Na量、K量をそれぞれCLi、CNa、CとしてC=CLi+CNa+Cが12nmol/cm以下であることが好ましい。Cが12nmol/cm超では、基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれやすくなる。より好ましくは11nmol/cm以下である。
【0027】
本発明のガラス基板は、下記硝酸エッチング速度が0.3nm/h以下である耐酸性に優れたものであることが好ましい。そのようなものでないと、情報記録媒体用ガラス基板、特に磁気ディスク用ガラス基板を製造する際の表面研磨や最終洗浄工程においてpH=1〜2の強酸性液を使用する場合に、ガラス表面の荒れや剥離割れを引き起こすおそれがあり、より好ましくは0.2nm/h以下である。
硝酸エッチング速度:厚さが1〜2mm、大きさが4cm×4cmのガラス板の両面を酸化セリウムで鏡面研磨したものを測定サンプルとし、これを25℃、0.01N硝酸に3時間浸漬し、硝酸に溶出したSi量をICP発光法で分析して測定する。得られたSi量、ガラス中のSiO含有量、およびガラスの密度からガラスがエッチングされた速度を算出する。
【0028】
次に、本発明のガラスの組成についてモル百分率表示を用いて説明する。
SiOはガラスの骨格を形成する成分であり、必須である。61%未満では、耐酸性もしくは耐候性が低下する、dが大きくなる、またはTが上昇しガラスが不安定になる。好ましくは62%以上、より好ましくは63%以上である。72%超では、後記TおよびTが上昇しガラスの溶解、成形が困難となる、EもしくはE/dが低下する、またはαが小さくなる。好ましくは71%以下、より好ましくは70%以下である。
【0029】
Alは耐候性を高める効果を有し、必須である。3%未満では前記効果が小さい、EもしくはE/dが低下する、またはTgが低くなる。好ましくは4%以上、より好ましくは5%以上である。12%超では耐酸性が低下する、後記TおよびTが上昇しガラスの溶解、成形が困難となる、αが小さくなる、またはTが高くなりすぎる。好ましくは11%以下、より好ましくは10%以下、典型的には9%以下である。
SiO含有量からAl含有量を減じた差SiO−Alは53%超であることが好ましい。53%以下では耐酸性が不十分となるおそれがある。
【0030】
LiOは必須ではないが、E、E/dもしくはαを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり、14.3%まで含有してもよい。14.3%超では、耐酸性もしくは耐候性が低下する、またはTgが低くなる。好ましくは13%以下、より好ましくは12.4%以下である。E/dおよびαを大きくしたい場合、たとえばガラスAにおいては、LiOは好ましくは11%以下、より好ましくは10.2%以下、典型的には9.5%以下である。Tgを高くしたい場合には、LiOは含有しないか、5%未満で含有することが好ましく、LiO含有量は典型的には0〜4.5%である。
【0031】
NaOは必須ではないが、αを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり22%まで含有してもよい。22%超では、耐酸性もしくは耐候性が低下する、またはTgが低くなる。好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下、典型的には18%以下である。Tgを高くしたい場合には、NaOは好ましくは13%以下、より好ましくは12%以下、典型的には11%以下である。
【0032】
Oは必須ではないが、αを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり22%まで含有してもよい。22%超では耐酸性もしくは耐候性が低下する、またはEもしくはE/dが低下する。好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下、特に好ましくは13%以下、さらに好ましくは12.8%以下、典型的には12.5%以下である。Tgを高くしたい場合には、KOは好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、典型的には9%以下である。
E/dを大きくしたい場合には、KO含有量からLiO含有量を減じた差KO−LiOは9%以下であることが好ましく、典型的には8.5%以下である。
【0033】
LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8%未満では、αが小さくなる、またはガラスの溶解性が低下する。好ましくは9%以上、より好ましくは10%以上である。E/dおよびαを大きくしたい場合、たとえばガラスAにおいては、ROは好ましくは11%以上、より好ましくは13%以上である。ROが22%超では耐候性が低下する。好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下である。ガラスBにおいては、ROは好ましくは17%以下、より好ましくは15%以下である。
【0034】
図2に耐候性とアルカリ酸化物成分の比率の関係を示す。図2からわかるように、Cはアルカリ酸化物成分比率に強く依存し、LiO/ROが0.52超かつNaO/ROが0.35未満かつKO/ROが0.45未満では、耐候性が低下する。LiO/ROが0.5以下またはNaO/ROが0.4以上であることが好ましい。
【0035】
前記のようにLiOはE、E/dもしくはαを大きくし、NaOおよびKOはαを大きくするが、LiO、NaO、KOはいずれも耐候性を低下させる。これに対し、MgOは耐候性を維持したままE、E/dもしくはαを大きくすることができるので、MgOの添加によりROを少なくすることができ、ガラスの耐候性を向上させることができる。このように、MgOは耐候性を維持したままE、E/dもしくはαを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があるため必須である。4%未満では前記効果が小さい。好ましくは5%以上である。13%超ではTが高くなりすぎる。好ましくは12%以下、より好ましくは11%以下である。Tgを高くしたい場合などにはMgOは好ましくは9%以下である。
【0036】
CaO、SrOおよびBaOはいずれも必須ではないが、耐候性を維持したままαを大きくしたい場合、またはガラスの溶解性を向上させたい場合などには含有させてもよい。
EもしくはE/dを大きくしたい、dを小さくしたい、または、Tを低くしたい場合などには、CaO、SrOおよびBaOのいずれも含有しない、または、CaO、SrOおよびBaOのいずれか1以上を合計で3%以下の範囲で含有するものとすることが好ましい。前記合計CaO+SrO+BaOは、好ましくは2%以下、典型的には1%以下である。
【0037】
Eをたとえば76GPa以上、E/dをたとえば30MNm/kg以上、かつ、Tgをたとえば590℃以上にしたい場合などには、LiOを0〜5%未満とし、かつ、CaOを2%超8%以下含有するものとすることが好ましい。LiOが5%以上またはCaOが2%以下ではTgをたとえば590℃以上にしにくくなる。CaOが8%超ではE/dを30MNm/kg以上にしにくくなる。好ましくは、LiOは0〜4.5%かつCaOは2.5〜7%であり、典型的には、LiOは0〜3%かつCaOは3〜5.5%である。
【0038】
TiOは必須ではないが、E、E/dもしくはTgを高くする、または耐候性を高くする効果があり、6%まで含有してもよい。6%超ではTが高くなりすぎるおそれがある、または分相現象が起りやすくなるおそれがある。好ましくは5%以下、より好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4%以下である。また、TiOを含有する場合、その含有量は0.1%以上であることが好ましい。
【0039】
ZrOは必須ではないが、耐候性を高くする、EもしくはE/dを大きくする、Tgを高くする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があるため5%まで含有してもよい。5%超ではdが大きくなる、またはTが高くなりすぎるおそれがある。好ましくは4%以下、典型的には2.5%以下である。Tgを高くしたい場合などにはZrO含有量は典型的には0.5%以上であり、また好ましくは3%以下である。
【0040】
TiOおよびZrOの含有量の合計TiO+ZrOは0〜8%であることが好ましい。8%超ではdが大きくなる、Tが高くなりすぎる、または分相現象が起こりやすくなるおそれがある。より好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下、典型的には5.5%以下である。TiOまたはZrOを含有する場合、TiO+ZrOは0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、特に好ましくは1.5%以上、典型的には2%以上である。
【0041】
ガラスAにおいては、SiOが62〜71%、Alが4〜12%、LiOが0〜12.4%、NaOが0〜20%、KOが0〜19%、MgOが5〜12%、TiOが0〜5%、ZrOが0〜4%、ROが11〜20%であることが好ましく、SiOが63〜70%、Alが5〜9%、LiOが0〜10.2%、NaOが0〜19%、KOが0〜12.8%、MgOが5〜11%、TiOが0〜4%、ZrOが0〜4%、ROが13〜19%であること、または、SiOが63〜70%、Alが5〜9%、LiOが0〜11%、NaOが0〜18%、KOが0〜12.5%、MgOが5〜9%、TiOが0〜4%、ZrOが0〜2.5%、ROが13〜19%であることがより好ましい。
【0042】
ガラスBにおいては、Alが3〜11%、LiOが0〜5%未満、NaOが0〜13%、KOが0〜12%、MgOが4〜11%、ROが8〜17%であり、CaOを2%超8%以下含有することが好ましく、SiOが61〜71%、Alが4〜11%、LiOが0〜4.5%、NaOが0〜12%、KOが0〜10%、MgOが4〜9%であり、CaOを2.5〜7%含有することがより好ましい。
【0043】
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。その場合、当該他の成分の含有量の合計は好ましくは5%以下、典型的には2%以下である。
【0044】
また、SO、Cl、As、Sb、SnO等の清澄剤を合計で2%まで
含有してもよい。
また、Fe、Co、NiOなどの着色剤を合計で2%まで含有してもよい。
なお、Bはアルカリ金属酸化物成分と共存すると非常に揮散しやすくなるため、含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5%未満である。
【0045】
また、ZnOを含有する場合、MgOおよびZnOの質量百分率表示含有量の合計は、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。
また、BまたはZnOを含有するしないにかかわらず、MgOおよびZnOの質量百分率表示含有量の合計をSiO、AlおよびBの質量百分率表示含有量の合計で除して得られる比(MgO+ZnO)/(SiO+Al+B)は0.08以下であることが好ましい。
【0046】
本発明のガラス基板は通常は円形のガラス板である。
【0047】
本発明のガラス基板は典型的には磁気ディスク用ガラス基板として用いられる。
磁気ディスク用ガラス基板はノートブックパソコン等に用いられる2.5インチ基板(ガラス基板外径:65mm)やポータブルMP3プレーヤなどに用いられる1.8インチ基板(ガラス基板外径:48mm)などに広く使用され、その市場は年々拡大しており、一方で低価格での供給が求められている。このようなガラス基板に使用されるガラスは、大量生産に適したものであることが好ましい。
板ガラスの大量生産はフロート法、フュージョン法、ダウンドロー法などの連続成形法により広く行われており、本発明のガラスは先に述べたようにたとえばフロート成形が可能なガラスであるので大量生産に好適である。
【0048】
本発明のガラスおよびガラス基板の製造方法は特に限定されず、各種方法を適用できる。たとえば、通常使用される各成分の原料を目標組成となるように調合し、これをガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、周知のフロート法、プレス法、フュージョン法またダウンドロー法などの方法により所定の厚さの板ガラスに成形し、徐冷後必要に応じて研削、研磨などの加工を行った後、所定の寸法・形状のガラス基板とされる。成形法としては、特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法、ダウンドロー法にも好適である。
【実施例】
【0049】
各成分の原料を表1〜18のSiOからZrOまたはBまでの欄にモル%表示で示した組成となるように調合し、白金るつぼを用いて1550〜1600℃の温度で3〜5時間溶解した。溶解にあたっては、白金スターラを溶融ガラス中に挿入し、2時間撹拌してガラスを均質化した。次いで溶融ガラスを流し出して板状に成形し、毎分1℃の冷却速度で室温まで徐冷した。ROはLiO、NaOおよびKOの各含有量(単位:モル%)の合計を示している。
【0050】
例1〜48、63、126〜132、137、138のガラスは参考例、例49〜117(ただし例63を除く)は実施例、例118〜125、133〜136のガラスは比較例である。なお、例126〜136のガラスは上述したような溶解は行わず、また、例123のガラスは前記市販化学強化ガラスと同じものであり、例124のガラスを化学強化したものである。
【0051】
こうして得られたガラス板について、密度d(単位:g/cm)、前記平均線膨張係数α(単位:×10−7/℃)、ヤング率E(単位:GPa)、比弾性率E/d(単位:MNm/kg)、ガラス転移点Tg(単位:℃)、液相温度T(単位:℃)、粘度が10dPa・sとなる温度T(単位:℃)、粘度が10dPa・sとなる温度T(単位:℃)、前記C(単位:nmol/cm)、前記硝酸エッチング速度(単位:nm/h)を以下に示す方法によって測定した。結果を表1〜18に示すが、表中の空欄は測定しなかったことを示し、*を付したものは組成から推定した値である。
なお、表19〜36に各ガラスの質量百分率表示組成を示す。
【0052】
d:泡のないガラス20〜50gを用い、アルキメデス法にて測定した。
α:示差熱膨張計を用いて、石英ガラスを参照試料として室温から5℃/分の割合で昇温した際のガラスの伸び率をガラスが軟化してもはや伸びが観測されなくなる温度すなわち屈伏点まで測定し、得られた熱膨張曲線から−50〜70℃における平均線膨張係数を算出した。
E:厚さが5〜10mm、大きさが3cm角のガラス板について、超音波パルス法により測定した。
【0053】
Tg:示差熱膨張計を用いて、石英ガラスを参照試料として室温から5℃/分の割合で昇温した際のガラスの伸び率を屈伏点まで測定し、得られた熱膨張曲線における屈曲点に相当する温度をガラス転移点とした。
:ガラスを乳鉢で2mm程度のガラス粒に粉砕し、このガラス粒を白金ボートに並べて置き、温度傾斜炉中で24時間熱処理した。結晶が析出しているガラス粒の温度の最高値を液相温度とした。なお、たとえば「≧1150」、「≦1050」とはそれぞれ「1150℃以上」、「1050℃以下」の意である。
、T:回転粘度計により測定した。
【0054】
:厚さが1〜2mm、大きさが4cm×4cmのガラス板の両面を酸化セリウムで鏡面研磨し、炭酸カルシウムおよび中性洗剤を用いて洗浄した後、高度加速寿命試験装置(エスペック社製不飽和型プレッシャークッカーEHS−411M)に入れて120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気に20時間静置した。洗浄済みチャック付ポリ袋に試験後試料と超純水20mlを入れ超音波洗浄機で10分間表面析出物を溶解し、ICP−MSを使用して各アルカリ成分の溶出物を定量した。溶出量はモル換算し、試料表面積で規格化した。
【0055】
硝酸エッチング速度:先に述べた方法により測定した(単位:nm/h)。結果を耐酸性の欄に示す。
耐酸性はAlに強い感度を持っており、Alを少なくするほど耐酸性が向上する。一方、耐候性もAlに強い感度を持っており、Alを少なくするほど耐候性が低下する。また、耐候性はアルカリ成分にも強い感度を持っており、アルカリ総量を減少させること、あるいはアルカリ比率を適切な範囲にすることで耐候性が向上する。本発明のガラスは例122に比べてアルカリ総量を減少させ、アルカリ比率を適切な範囲にすることにより、Alの減少による耐候性の低下を抑制し、例122よりも耐酸性に優れたガラスとなっている。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】
【0071】
【表16】
【0072】
【表17】
【0073】
【表18】
【0074】
【表19】
【0075】
【表20】
【0076】
【表21】
【0077】
【表22】
【0078】
【表23】
【0079】
【表24】
【0080】
【表25】
【0081】
【表26】
【0082】
【表27】
【0083】
【表28】
【0084】
【表29】
【0085】
【表30】
【0086】
【表31】
【0087】
【表32】
【0088】
【表33】
【0089】
【表34】
【0090】
【表35】
【0091】
【表36】
【産業上の利用可能性】
【0092】
磁気ディスク用ガラス基板に利用できる。
図1
図2
図3