(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905454
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】黒色二色性染料
(51)【国際特許分類】
C09B 67/22 20060101AFI20160407BHJP
C09B 31/043 20060101ALI20160407BHJP
C09B 31/18 20060101ALI20160407BHJP
C09B 31/28 20060101ALI20160407BHJP
C09K 19/60 20060101ALI20160407BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20160407BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
C09B67/22 A
C09B31/043
C09B31/18
C09B31/28
C09K19/60 A
G02B5/30
G02F1/137 500
【請求項の数】15
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2013-514643(P2013-514643)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-534945(P2013-534945A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】EP2011059545
(87)【国際公開番号】WO2011157614
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年6月6日
(31)【優先権主張番号】10166666.7
(32)【優先日】2010年6月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10165830.0
(32)【優先日】2010年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/354272
(32)【優先日】2010年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール バシェ
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルドゥス デ ケイザー
(72)【発明者】
【氏名】ウアス レーマン
【審査官】
山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−278409(JP,A)
【文献】
特開平7−224282(JP,A)
【文献】
特開平5−132628(JP,A)
【文献】
特開昭63−301850(JP,A)
【文献】
特開平11−172252(JP,A)
【文献】
特開平10−88142(JP,A)
【文献】
特開平5−230385(JP,A)
【文献】
特開平10−231437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00−69/10
C09K 19/00−19/60
G02B 5/00−5/32
G02F 1/00−1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の染料を含む組成物であって、少なくとも1つの染料は式A
【化1】
にしたがい、少なくとも1つの染料は式B
Ar
1−N=N−[Ar
2−N=N−]
qAr
3−N=N−Ar
4 (B)
にしたがい
ここで、
n、m、pのそれぞれは0〜2の数であり;
qは0または1であり;
Ar
1は、式
【化2】
のうちの1つの残基であり;
Ar
2は、1,4−フェニレン、1個または2個のR
5残基によって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、1個または2個のR
5残基によって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
4は、1個または2個の、C
1−C
8アルキルアミノ残基か、またはジ(C
1−C
8アルキル)アミノ残基か、またはアルキル基が一緒に結合して1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成しているジ(C
1−C
8アルキル)アミノ残基によって置換されたナフチルであるか、あるいは、アルキル基が一緒に結合して1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成している2個のC
1−C
8アルキルアミノ残基によって置換されたナフチルであるか;あるいは、Ar
4は、R
11によって置換され、場合によってC
1−C
8アルキルまたはフェニルまたはハロゲンまたはCNによってさらに置換された
チエニルであり;
R
1は、C
1−C
12アルキル、C
3−C
12シクロアルキル、またはO、SもしくはNR’
3によって中断されたC
3−C
5シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルのそれぞれは非置換であるかまたは置換されており;
R
3は、Hであるか、またはR
1について定義のとおりであるか;
あるいは、R
1およびR
3は一緒になって、C
2−C
12アルキレン、またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレンであり、前記基のそれぞれは非置換であるかまたは置換されており、したがってR
1およびR
3は、R
1およびR
3が結合している窒素原子と一緒になって、2〜12個の炭素原子の脂肪族含窒素複素環式残基を形成しており;
R’
3は、H、またはC
1−C
8アルキルであり;
R
4残基、R
5残基およびR
6残基のそれぞれが存在する場合には、このR
4残基、R
5残基およびR
6残基のそれぞれは、非置換または置換されたC
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、ハロゲン、CNから独立して選択されており;
Xは、H、Hal、COOR
2から選択されており;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはハロゲンであり;
R
2は、非置換または置換されたC
1−C
12アルキルであり;
R
8は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、C
1−C
12アルキル−フェニル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであって、前記基のアルキル部分のそれぞれは非置換であるかまたは置換されているものとし;またはC
3−C
12シクロアルキル、フェニル、CN、Halであり;
R
11は、NR’R”であって、ここで、R’およびR”は、HまたはC
1−C
4アルキルまたはC
3−C
12シクロアルキルまたはフェニルまたは置換されたフェニルから独立して選択されているか;あるいは、R’およびR”は一緒になって、1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成しており;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;ニトロ;ホルミル;SCN;CN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキル−SO
2;フェニル;フェノキシ;フェニル−SO
2;フェニルまたはフェノキシまたはフェニル−SO
2であって、そのそれぞれはフェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されているものとする;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、H;Hal;CN;SCN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
3−C
12シクロアルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキルアミノ;ジ(C
1−C
12アルキル)アミノ;ピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;フェニル;フェニル−SO
2;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、H;Hal;OCF
3;CN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキルアミノ;ジ(C
1−C
12アルキル)アミノ;C
1−C
12アルキル−CONH;C
1−C
12アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニル−SO
2;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはCNまたはCF
3またはOCF
3によって置換されたフェニルまたはフェニル−SO
2;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはCOR
2またはフェニルまたはR
8で置換されたフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシであり;
ここで、上記アルキル部分の任意の置換基は、ハロゲン、CF
3、CN、OH、C
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、フェニル;C
1−C
8ジアルキルアミノ、または、2〜5個の炭素環原子および場合によって結合窒素原子以外に1個の酸素環原子を含有するN結合脂肪族もしくは芳香族複素環式環から選択される、前記組成物。
【請求項2】
式Aの少なくとも1つの染料が赤色染料および場合によって黄色染料を含み、式Bの染料が青色染料を含む組成物であって、黒色二色性染料組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式Aの化合物が式A1
【化3】
にしたがい、
ここで、
mは0または1であり、
R
4およびR
5が存在する場合には、このR
4およびR
5はC
1−C
4アルキルから選択され、
HalはFまたはCF
3であり、そして
全ての他の記号は請求項1で定義のとおりである、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
式Aの染料が黄色染料および赤色染料を含み;
黄色染料が式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3はモルホリニルであり、R
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルであり;そして
赤色染料が式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3はピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノであり、R
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルであり;そして
式Bの染料が、式B1、B2、B3、B4
【化4】
のうちの1つにしたがう青色染料であり、
ここで、式B1、B2、B3およびB4のいずれにおいても、
qは0または1であり;
Arは、1,4−フェニレン;メチルによって置換された1,4−フェニレン;または1,4−ナフチレンであり;
Ar
1は、式
【化5】
のうちの1つの残基であり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、1個または2個のメチルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、シクロヘキシル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2は、C
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
8アルキル、シクロヘキシル、C
1−C
8アルキル−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は、独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシによって置換されたフェニル;C
2−C
8アルキルまたはC
3−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはビニルであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;C
1−C
8アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロであり;
R
18は、HまたはC
1−C
8アルキルアミノであり;
R
19は、C
1−C
8アルキルであり;
R
20は、HまたはC
1−C
8アルキルであるか;
あるいは、R
18およびR
19のアルキル基は、共通のC
1−C
3アルキレン架橋基を形成しており;
そして全ての他の記号は請求項1で定義のとおりである、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物A2
【化6】
および化合物A3
【化7】
および化合物B6、B6’、B7、B8、B10の少なくとも1つ
【化8】
を含有する組成物であって、
ここで、
Halは、フルオロまたはCF
3であり;
nは、0〜2の数であり;
R
19は分枝C
3−C
6アルキルでありかつR
20はHであるか、あるいは、R
19およびR
20はC
1−C
4アルキルであり;そして
R
2は、直線状または分枝C
1−C
8アルキルであり;
qは、0または1であり;
Ar
1は、Xbによって置換されたフェニルであるか、または、式
【化9】
のうちの1つの複素環式残基であり;
ここで、
Ar
2は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
8は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
12シクロアルキル、フェニル、C
1−C
12アルキル−フェニル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、H;CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;ピロリジニル;ピペリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、H;CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
1つの染料が式A4
【化10】
[式中、
XはHであり、
mは1であり、
nは0、1または2であり、
R
4およびR
5はメチルであり、そして
部分−N(R
1)R
3はピロリジニルである]
にしたがう組成物であって、かつ、請求項4で定義された式B1、B2、B3またはB4の少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
液晶材料中に溶解させた染料を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
式(A)にしたがう染料の質量部対式(B)にしたがう染料の質量部の比が0.1:20〜5:1である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
合計で50〜2000質量部の液晶材料に対して、合計で1〜20質量部の式(B)にしたがう染料、および合計で0.1〜5質量部の式(A)にしたがう各染料を含有する、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
合計で100〜500質量部の液晶材料に対して、合計で1.5〜5質量部の式(B)にしたがう染料、および合計で0.5〜2質量部の式(A)にしたがう各染料を含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の染料組成物を含有する液晶ディスプレー。
【請求項12】
偏光フィルム中に染料組成物を含有する、請求項11に記載の液晶ディスプレー。
【請求項13】
式B10の化合物が式B11、B12またはB13
【化11】
にしたがい、
ここで、
qは0または1であり;
Ar
5は、式
【化12】
の複素環式残基であり;
Ar
6は、式
【化13】
のうちの1つの複素環式残基であり;
ここで、
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2は、C
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
8アルキル、シクロヘキシル、フェニル、C
1−C
8アルキル−フェニル、C
1−C
8アルキル−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシによって置換されたフェニル;C
2−C
8アルキルまたはC
3−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはビニルであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;C
1−C
8アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は、独立して、H、ハロゲン、ニトロである、
請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
偏光フィルムまたは液晶ディスプレーを製造するための方法であって、請求項1から10および13のいずれか1項に記載の染料組成物を液晶材料中に溶解させることを含む、前記方法。
【請求項15】
偏光フィルムまたは液晶ディスプレーを製造するための、請求項1から10および13のいずれか1項に記載の染料組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色二色性染料組成物およびディスプレー技術におけるその使用、ならびにこの目的のためのある新規青色染料に関する。
【0002】
ここ数年にわたる液晶(LC)技術に基づくディスプレーの急速な開発で、二色性染料は、
・造影フィルム
・反射ディスプレー
などのためのポリマー分散LC材料、またはポリマーネットワーク分散LC材料(PDLCまたはPNLC)などのゲスト・ホストLC材料など、この分野の様々な適用についてますます注目を集めている。
【0003】
重合性LC材料(たとえば、一端または両端上に1個または2個のアルキル(オキシ)アクリレート基を含有するLC分子、たとえば、式
アルキル−O−[LC]−O−(CH
2)
n−O−CO−C(R)=CH
2
[式中、[LC]は分子のメソゲン部分を表し、アルキルは、たとえば1〜12個の炭素原子のアルキル基であり、RはHまたはメチルであり、nは1〜12の範囲である]の化合物)を用いる場合;これらの適用には、多くの場合、
・(インセル)偏光子
・色補正フィルム
・輝度増強フィルム(BEF)
などのための異方性フィルムが含まれる。
【0004】
当該技術分野では周知のように、液晶ディスプレー(LCD)中のLCに染料を添加することで、偏光子のないLCD(いわゆる、すでに上述したゲスト・ホストLCDシステム)に至る。
【0005】
二色性染料(例えば、黄、赤、青)の好適な黒色混合物が特に興味深い。
【0006】
今日、LCD用のほとんどの偏光子は、ヨウ素または二色性着色剤を含浸させた一軸延伸されたポリビニルアルコール(PVA)フィルムに基づく。対応する二色性着色剤は、PVAと相溶性でなければならない。したがって、それらはスルホ基などの可溶化置換基を有する。そのような偏光子フィルムは、通常、LCセルの内部で使用することができないが、重合性液晶に基づくコーティング可能な材料は、この適用に適している。対応する二色性染料は、液晶材料と相溶性(高溶解性)でなければならず、したがって、例えばスルホ基を有する染料は、この種類の偏光子に適用することができない。
【0007】
LCの秩序パラメータに対してマイナスの影響のない、LC媒体中の二色性染料の特に良好な溶解性は、大きな課題である。
【0008】
上述の適用のための公知二色性黒色染料混合物(例えば、US−4565424を参照のこと)は、色強度が限定されている。その結果、良好な彩度の黒色を得るためには、比較的高濃度のこれらの染料混合物を適用しなければならない。そのような高濃度は液晶相の配向を乱す可能性がある。
【0009】
WO2011/024891A1は、式Ar
1−N=N−Ar
2−L
1−Ar
3−L
2−Ar
4[式中、L
1およびL
2は、それぞれアゾ、エステル、イミノまたはビニレン基である。ただし、L
1およびL
2は両方ともアゾ基であるわけではないとする]の少なくとも1つの染料を含有する二色性染料組成物を開示している。さらに、前記組成物は、チエニル置換されたジスアゾまたはトリスアゾ染料を含有し得る。WO2011/024892A1は、チエニル置換されたジスアゾまたはトリスアゾ染料を含有する二色性染料組成物を開示している。
【0010】
高い色強度、高い彩度、ならびに良好な二色性比および一般的特性を有する黒色を提供するいくつかの染料が現在見いだされている。
【0011】
加えて、高い二色性比を有するいくつかの新規青色二色性染料が見いだされている。これらは、本発明の二色性黒色混合物の成分として非常に適している。
【0012】
本発明はしたがって、主に、2つ以上の染料を含む組成物に関し、ここで、少なくとも1つの染料は式A
【化1】
にしたがい、少なくとも1つの染料は式B
Ar
1−N=N−[Ar
2−N=N−]
qAr
3−N=N−Ar
4 (B)
にしたがい、
ここで、
n、m、pのそれぞれは0〜2の数であり;
qは0または1であり;
Ar
1は、式
【化2】
のうちの1つの残基であり;
Ar
2は、1,4−フェニレン、1個または2個のR
5残基によって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、1個または2個のR
5残基によって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
4は、1個または2個の、C
1−C
8アルキルアミノ残基か、またはジ(C
1−C
8アルキル)アミノ残基か、またはアルキル基が一緒に結合して1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成しているジ(C
1−C
8アルキル)アミノ残基によって置換されたナフチルであるか、あるいは、アルキル基が一緒に結合して1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成している2個のC
1−C
8アルキルアミノ残基によって置換されたナフチルであるか;あるいは、Ar
4は、R
11によって置換され、場合によってC
1−C
8アルキルまたはフェニルまたはハロゲンまたはCNによってさらに置換された
チエニルであり、Ar
4は特に式
【化3】
にしたがい;
R
1は、C
1−C
12アルキル、C
3−C
12シクロアルキル、またはO、SもしくはNR’
3によって中断されたC
3−C
5シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルのそれぞれは非置換であるかまたは置換されており;
R
3は、Hであるか、またはR
1について定義のとおりであるか;
あるいは、R
1およびR
3は一緒になって、C
2−C
12アルキレン、またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレンであり、前記基のそれぞれは非置換であるかまたは置換されており、したがってR
1およびR
3は、R
1およびR
3が結合している窒素原子と一緒になって、2〜12個の炭素原子の脂肪族含窒素複素環式残基を形成しており;
R’
3は、H、またはC
1−C
8アルキルであり;
R
4残基、R
5残基およびR
6残基のそれぞれが存在する場合には、このR
4残基、R
5残基およびR
6残基のそれぞれは、非置換または置換されたC
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、ハロゲン、CNから独立して選択されており;
Xは、H、Hal、COOR
2から選択されており;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはハロゲン、特にCF
3またはフルオロであり;
R
2は、非置換または置換されたC
1−C
12アルキルであり;
R
8は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、C
1−C
12アルキル−フェニル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであって、前記基のアルキル部分のそれぞれは非置換であるかまたは置換されているものとし;またはC
3−C
12シクロアルキル、フェニル、CN、Halであり;
R
11は、NR’R”であって、ここで、R’およびR”は、HまたはC
1−C
4アルキルまたはC
3−C
12シクロアルキルまたはフェニルまたは置換されたフェニルから独立して選択されているか;あるいは、R’およびR”は一緒になって、1つの共通のC
1−C
8アルキレン架橋基またはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレン架橋基を形成しており;R
11は特に、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;ニトロ;ホルミル;SCN;CN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキル−SO
2;フェニル;フェノキシ;フェニル−SO
2;フェニルまたはフェノキシまたはフェニル−SO
2であって、そのそれぞれはフェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されているものとする;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、H;Hal;CN;SCN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
3−C
12シクロアルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキルアミノ;ジ(C
1−C
12アルキル)アミノ;ピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;フェニル;フェニル−SO
2;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、H;Hal;OCF
3;CN;COOR
2;COR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキルアミノ;ジ(C
1−C
12アルキル)アミノ;C
1−C
12アルキル−CONH;C
1−C
12アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニル−SO
2;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはCNまたはCF
3またはOCF
3によって置換されたフェニルまたはフェニル−SO
2;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはCOR
2またはフェニルまたはR
8で置換されたフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシであり;
ここで、上記アルキル部分の任意の置換基は、好ましくは、ハロゲン、CF
3、CN、OH、C
1−C
4アルキル、C
1−C
4アルコキシ、フェニル;C
1−C
8ジアルキルアミノ、または、2〜5個の炭素環原子および場合によって結合窒素原子以外に1個の酸素環原子を含有するN結合脂肪族もしくは芳香族複素環式環から選択される。
【0013】
アルキルは、任意の非環式飽和一価ヒドロカルビル基を表す;アルケニルは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有するそのような基(例えば、アリルにおいて)を意味する。アルケニル基が2個以上の二重結合を含有する場合、これらの結合は、通常、積み重ならず、−[CH=CH−]
nまたは−[CH=C(CH
3)−]
n[式中、nは、例えば、2〜50の範囲である]におけるように、交互の順で配置され得る。特に別段の定めがない限り、好ましいアルキルは1〜12個の炭素原子を含有し;好ましいアルケニルは2〜3個の炭素原子を含有する。
【0014】
中断されていると表示されている場合、2個以上、特に3個以上の炭素原子の任意のアルキル部分、または別の部分の一部であるアルキルもしくはアルキレン部分は、O、S、COO、OCNR
10、OCOO、OCONR
10、NR
10CNR
10、またはNR
10もしくはNR’
3などのヘテロ官能基によって中断され得、ここで、R’
3は前記定義のとおりであり、R
10は、例えば、H、C
1−C
12アルキル、C
3−C
12シクロアルキル、フェニルである。それらは1以上のこれらのスペーサー基によって中断される可能性があり、それぞれの場合、1つの基が、一般に、アルキルもしくはアルキレン部分の1個の炭素−炭素結合またはその部分が結合している炭素−炭素結合に挿入される。ヘテロ−ヘテロ結合、例えば、O−O、S−S、NH−NHは、通常、起こらない;中断されたアルキルがさらに置換されているならば、その置換基は一般的にヘテロ原子に対してαではない;中断されたアルコキシまたはアルキルチオは、中断するヘテロ原子を炭素鎖内に含有する。−O−、−NR
10−、−S−の種類の2個以上の中断する基が1個の基中に存在する場合、それらは多くの場合同一である。中断されたシクロアルキルの例として、ジオキサニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニルが挙げられる。
【0015】
残基モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルは、好ましくはN結合している、すなわち、
【化4】
である。
【0016】
アルキルという用語はしたがって、使用される場合はいつでも、直線状または分枝状の、特に中断されていない、そして必要に応じて、置換されたC
1−C
22アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを主に含む。アルコキシはアルキル−O−であり;アルキルチオはアルキル−S−である。
【0017】
アルケニルという用語はしたがって、用いられる場合はいつでも、中断されていない、そして必要に応じて置換されたC
2−C
22アルキル、例えばビニル、アリルを主に含む。
【0018】
シクロアルキル、例えばC
3−C
12シクロアルキルまたは例えば1〜3個のC
1〜C
4アルキル基によって置換された前記シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチル、または2−アダマンチルが含まれる。シクロヘキシル、1−アダマンチルおよびシクロペンチルが最も好ましい。C
3−C
12シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルが含まれ;これらの残基のうち好ましいのは、C
3−C
6シクロアルキルならびにシクロドデシルであり、特にシクロヘキシルである。存在するさらなる環構造は、通常5〜7個の環員を含有する複素環式脂肪族環(ヘテロシクロアルキル)であり、それらのうち、少なくとも1つ、特に1〜3個のヘテロ部分は、通常、O、S、NR’
3、NR
10から選択され、ここで、R
10は中断するNR
10基について前記説明のとおりであり;例として、S、O、またはNR
10によって中断されたC
4−C
18シクロアルキル、例えばピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルが挙げられる;C
2−C
4ヘテロシクロアルキルの例として、オキシラニル、オキセタニル、ピペラジニル、モルホリニルが挙げられる。不飽和変異体は、2個の隣接する環員上の水素原子を引き抜くことによってそれらの間で二重結合が形成され、これらの構造から誘導することができ;そのような部分の例として、シクロヘキセニルが挙げられる。
【0019】
アルコキシ、例えばC
1−C
24アルコキシは、直鎖または分枝基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。
【0020】
C
1−C
12アルキルチオ基は、直鎖または分枝アルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオである。
【0021】
ナフチルは、ほとんどの場合、1−ナフチルであり;1,4−ナフチレンは残基
【化5】
である。
【0022】
ハロゲンは、I、Br、Cl、F、好ましくはF、Cl、Br、特にFを意味する。
【0023】
1個もしくは2個の残基C
1−C
8アルキルアミノまたはジ(C
1−C
8アルキル)アミノあるいはそのアルキル基が一緒に結合して1個の共通の架橋基C
1−C
8アルキレンまたはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレンを形成するジ(C
1−C
8アルキル)アミノによって、あるいはそのアルキル基が一緒に結合して、1個の共通の架橋基C
1−C
8アルキレンまたはO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたC
2−C
8アルキレンを形成する2個の残基C
1−C
8アルキルアミノによって置換されたナフチルとしてのAr
4は、好ましくは、
【化6】
[式中、
R
19はC
1−C
8アルキルであり、R
20はHもしくはC
1−C
6アルキルであるか、あるいはR
19およびR
20は、共通の架橋基C
1−C
8アルキレンまたはO、Sおよび/もしくはNR’
3、特にOによって中断されたC
2−C
8アルキレン、例えばピロリジニル、ピペリジニルもしくはモルホリニルを形成する];あるいは
【化7】
[式中、
R
18およびR
19はC
1−C
8アルキルアミノであり、そのアルキル基は共通の架橋基C
1−C
3アルキレンを形成し、R
20はHである]
である。
【0024】
NR
1R
3(R
1およびR
3は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、2〜12個の炭素原子の脂肪族複素環式残基、または2〜12個の炭素環原子を含有し、場合によってO、Sおよび/もしくはNR’
3によって中断されたN結合脂肪族複素環式環を形成し、そのそれぞれは、置換されていないか、または置換されている)は、好ましい場合、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたは、適切な場合、そのC
1−C
4アルキル置換変異体である。
【0025】
好ましい態様において、本発明は、式Aの少なくとも1つの染料が赤色染料および場合によって黄色染料を含み、そして式Bの染料が青色染料を含む組成物に関し、この組成物は、黒色二色性染料組成物である。
【0026】
好ましくは、本発明は、3つ以上の染料を含む組成物であって、少なくとも2つの染料が式A
【化8】
にしたがい、少なくとも1つの染料が式B
Ar
1−N=N−[Ar
2−N=N−]
qAr
3−N=N−Ar
4 (B)
にしたがう組成物に関し、ここで、X、R
1、R
3、R
4、R
5、R
6、n、mおよびpは前記定義のとおりである。
【0027】
一般的に、本発明の黒色二色性染料は、本質的に式Aの染料(通常、1つの黄色および1つの赤色染料または1つの赤色染料だけ)およびB(青色)からなる。すなわち、LC材料において色および/または二色性効果を有意に変更するために有効な量の他の染料は含まれない。したがって、本発明の二色性染料は、二色性染料の全質量を基準として、少なくとも90質量%、好ましくは95質量%で存在する。
【0028】
本発明の染料組成物において、式Aの2つの染料は、通常、黄色染料および赤色染料であり、式Bの染料は青色染料であり、それらの混合物は黒色二色性染料組成物を形成する。
【0029】
式Aの化合物は、多くの場合、式A1
【化9】
にしたがい、
ここで、
mは0または1であり、
R
4およびR
5が存在する場合には、このR
4およびR
5はC
1−C
4アルキルから選択され、
HalはFまたはCF
3であり、そして
全ての他の記号は前記定義のとおりである。
【0030】
任意の黄色染料は、好ましくは式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3はモルホリニルであり、R
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルである。
【0031】
赤色染料は、好ましくは式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノであり、そしてR
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルである。
【0032】
式Bの染料は、一般的に青色染料を意味し、これは、好ましくは、式B1、B2、B3、B4
【化10】
のうちの1つにしたがう青色染料であり、
ここで、式B1、B2、B3およびB4のいずれにおいても、
qは0または1であり;
Arは、1,4−フェニレン;メチルによって置換された1,4−フェニレン;または1,4−ナフチレンであり;
Ar
1は、式
【化11】
のうちの1つの残基であり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、1個または2個のメチルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、シクロヘキシル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2は、C
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
8アルキル、シクロヘキシル、C
1−C
8アルキル−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は、独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシによって置換されたフェニル;C
2−C
8アルキルまたはC
3−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはビニルであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;C
1−C
8アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロであり;
R
18は、HまたはC
1−C
8アルキルアミノであり;
R
19は、C
1−C
8アルキルであり;
R
20は、HまたはC
1−C
8アルキルであるか;
あるいは、R
18およびR
19のアルキル基は、共通のC
1−C
3アルキレン架橋基を形成しており;
そして全ての他の記号は上記でさらに定義するとおりである。
【0033】
したがって、好ましい組成物は、黄色染料が式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3がモルホリニルであり、そしてR
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルであり;そして
赤色染料が式AまたはA1にしたがうが、ただし、部分−N(R
1)R
3がピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノであり、そしてR
4、R
5、R
6のいずれかが存在する場合には、このR
4、R
5、R
6のいずれかはメチルであり;そして
式Bの染料が本明細書中で前述の式B1、B2、B3、B4のうちの1つを構成する青色染料である組成物である。
【0034】
特に好ましい組成物は、化合物A2
【化12】
および化合物A3
【化13】
および少なくとも1つの化合物B6、B6’、B7、B8、B10
【化14】
を含有する組成物であり;
ここで、
Halは、フルオロまたはCF
3であり;
nは、0〜2の数であり;
R
19は分枝C
3−C
6アルキルでありかつR
20はHであるか、あるいは、R
19およびR
20はC
1−C
4アルキルであり;そして
R
2は、直線状または分枝C
1−C
8アルキルであり;
qは、0または1であり;
Ar
1は、Xbによって置換されたフェニルであるか、または、式
【化15】
のうちの1つの複素環式残基であり;
ここで、
Ar
2は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2はC
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
12シクロアルキル、フェニル、C
1−C
12アルキル−フェニル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、H;CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;ピロリジニル;ピペリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、H;CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシである。
【0035】
LCディスプレーの偏光フィルムで使用するための本発明の黒色二色性染料混合物の一例は、黒色染料としての3個のアゾ化合物A2aと、A3aと、B6aまたはB7aまたはB8aのうちの1つとの組み合わせである:
【化16】
【0036】
別の好ましい組成物は、1つの染料が式A4
【化17】
[式中、
XはHであり、
mは1であり、
nは0、1または2であり、
R
4およびR
5はメチルであり、そして
部分−N(R
1)R
3はピロリジニルである]
にしたがう組成物であって、かつ、前記定義の式B1、B2、B3またはB4の少なくとも1つの化合物、好ましくは式B6、B6’、B7、B8、またはB10の少なくとも1つの化合物、さらに好ましくは式B10の化合物を含有する組成物である。
【0037】
本発明の黒色二色性染料組成物で使用するための別の好ましい青色染料は、式B10のもの、またはさらに好ましくは、式B11、B12、B13のものであり、これらの式を以下で説明する。
【0038】
式B10の染料のうち、好ましいものは式B11、B12および/またはB13
【化18】
にしたがう染料であり、
ここで、
qは0または1であり;
Ar
5は、式
【化19】
の複素環式残基であり;
Ar
1は、式
【化20】
のうちの1つの複素環式残基であり;
そして他の記号は式B10について定義したとおりであり;
特に
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2は、C
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
8アルキル、シクロヘキシル、フェニル、C
1−C
8アルキル−フェニル、C
1−C
8アルキル−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシによって置換されたフェニル;C
2−C
8アルキルまたはC
3−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはビニルであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;C
1−C
8アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は、独立して、H、ハロゲン、ニトロである。
【0039】
混合物を液晶材料と混合する;本発明の染料混合物は、1以上の染料の、溶媒、特に高蒸気圧の溶媒、例えば低級アルキルエーテル、炭化水素、またはハロ炭化水素、例えばジクロロメタン中プレ溶液を形成し、このプレ溶液をLC材料と混合し、そして溶媒を減圧および/または加熱下で除去するなど、公知技術にしたがって、液晶材料中に容易に溶解させることができる。LC材料のほとんどは市販されており;液晶材料における染料の適用、液晶材料の種類、液晶セルの組み立ておよび試験法は当該技術分野で公知であり、そのいくつかは、例えば、US−4565424(例えば、第13〜18段を参照のこと)に記載されている。本発明の化合物は、特にアゾ染料化学の分野において公知の方法にしたがって製造することができ、所望によりさらに精製することができる;これらの方法のいくつかも、US−4565424に記載されている(例えば、第9〜10段を参照のこと)。本発明の新規染料は本発明の実施例にしたがって、または同様にして得ることができ、精製することができる。US−4565424、特に前記節の開示は参考として本明細書で援用される。
【0040】
本発明はしたがって、本発明の染料混合物(一般的に、赤色および青色染料ならびに場合によって前記定義の黄色染料)を液晶材料中に溶解した状態で含有する組成物をさらに提供する。
【0041】
最適な黒の色合いを得るため、式(A)にしたがう染料対式(B)にしたがう染料の質量比、すなわち、(A):(B)は、通常、0.1:20〜5:1である。
【0042】
染料組成物は、1〜20、好ましくは1〜10、特に1.5〜5質量部の少なくとも1つの、式(B)にしたがう染料、および0.1〜5、特に0.5〜2.0質量部の式(A)にしたがう各染料を含み得る。
【0043】
青/赤/黄色染料混合物の場合、最適な黒の色合いを得るためには、本発明の染料組成物は、通常、約1〜20、例えば1〜10、特に1.5〜5質量部の青色染料および0.1〜5、特に0.5〜2質量部の赤色染料を、1質量部の黄色染料を基準として含有する。
【0044】
最終LC組成物は、1〜20部、好ましくは1〜10部、特に1.5〜5部の式(B)にしたがう染料、0.1〜5部、特に0.5〜2部の式(A)にしたがう各染料を、50〜2000部、特に100〜500部の液晶材料を基準として含有し得、全ての部は質量部で記載する。
【0045】
最終LC組成物はしたがって、多くの場合、
1〜20部、例えば1〜10部、特に1.5〜5質量部の青色染料、
0.1〜5部、特に0.5〜2質量部の赤色染料、および
1質量部の黄色染料を、
50〜2000部、特に100〜500質量部の液晶材料を基準として含有する。
【0046】
特に好ましいのは、1〜5質量%の本発明の黒色染料混合物をLC材料中に含有する組成物である。LC組成物は、通常、LC材料を主成分(すなわち、50%、特に90質量%以上)として含有し、若干のさらなる副成分(例えば、49%まで、特に9%まで)、例えば重合助剤、添加剤、光開始剤または重合後のそれらの残余を含有し得る(全ての部およびパーセンテージは質量基準で記載する)。
【0047】
したがって、本発明はさらに、前述の染料組成物を含有する液晶ディスプレー、特に偏光フィルム中に染料組成物を含有する液晶ディスプレー;偏光フィルムまたは液晶ディスプレーを製造するための方法であって、本発明による染料組成物を液晶材料中に溶解させることを含む方法;および本発明の黒色二色性染料組成物、または以下でさらに記載する新規染料のいずれかの、偏光フィルムまたは液晶ディスプレーを製造するための使用に関する。
【0048】
本発明の黒色二色性染料組成物で有用な染料の数例を以下に挙げる:
1.
黄二色性ジアゾ染料
【表1】
【0049】
2.
赤二色性ジアゾ染料
【表2-1】
【0050】
【表2-2】
【0051】
3.
青二色性トリスアゾ染料(芳香族成分に基づく)
【表3】
【0052】
4.
青二色性ジアゾまたはトリスアゾ染料(ヘテロ芳香族成分を含む)
【表4-1】
【0053】
【表4-2】
【0054】
【表4-3】
【0055】
本発明におけるいくつかの特に有用な青色染料は、新規化合物である。したがって本発明はさらに、式B10
【化21】
[式中、
qは0または1であり;
Ar
1は、Xbによって置換されたフェニルであるか、または式
【化22】
のうちの1つの複素環式残基であり;
Ar
2は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Ar
3は、1,4−フェニレン、C
1−C
4アルキルによって置換された1,4−フェニレン、または1,4−ナフチレンであり;
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;好ましくは、Xbは、COOR
2、フェニル、R
8で置換されたフェニル、C
3−C
12シクロアルキル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
HalはCF
3またはフルオロであり;
R
2はC
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシ、C
3−C
12シクロアルキル、フェニル、C
1−C
12アルキル−フェニル、C
1−C
12アルキル−シクロヘキシル、C
1−C
12アルコキシ−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはピペリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシまたはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、H;CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;ピロリジニル;ピペリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオによって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシ
またはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、H;CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
12アルキル;C
1−C
12アルコキシ;C
1−C
12アルキルチオ;C
1−C
12アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはCNまたはCF
3またはOCF
3によって置換されたフェニル;C
2−C
12アルキルまたはC
3−C
12アルコキシ
またはC
3−C
12アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはC
2−C
3アルケニルまたはC
1−C
8アルコキシまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはCOR
2またはフェニルまたはフルオロまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は、独立して、H、ハロゲン、ニトロ、C
1−C
12アルキル、C
1−C
12アルコキシである]
の化合物である染料に関する。ただし、
【化23】
[式中、
R
21はF、CF
3またはCNである]
の化合物は除外される。
【0056】
式B10の染料のうち、好ましいものは、式B11、B12および/またはB13
【化24】
にしたがい、
ここで、
qは0または1であり;
Ar
5は、式
【化25】
の複素環式残基であり;
Ar
6は、式
【化26】
のうちの1つの複素環式残基であり;
ここで、
Xbは、Hal、COOR
2、CN、フェニル、R
8で置換されたフェニルであり;
Halは、CF
3またはフルオロであり;
R
2は、C
1−C
8アルキルであり;
R
8は、C
1−C
8アルキル、シクロヘキシル、フェニル、C
1−C
8アルキル−フェニル、C
1−C
8アルキル−シクロヘキシルであり;
R
11は、ピロリジニルまたはジ(C
1−C
4アルキル)アミノまたはモルホリニルであり;
R
12およびR
13は独立して、H;Hal;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルまたはシクロヘキシルまたはC
1−C
8アルコキシによって置換されたフェニル;C
2−C
8アルキルまたはC
3−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはOによって中断されているものとする;C
1−C
8アルキルまたはビニルであって、そのそれぞれはCNもしくはCOOR
2によって置換されているものとし;あるいは、R
12およびR
13は一緒になってC
3−C
4アルキレンであり;
R
14は、CF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオであって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
15は、CF
3;OCF
3;CN;COOR
2;C
1−C
8アルキル;C
1−C
8アルコキシ;C
1−C
8アルキルチオ;C
1−C
8アルキル−SO
2;ピロリジニル;ジ(C
1−C
4アルキル)アミノ;モルホリニル;フェニル;フェニルまたはC
1−C
8アルキルによって置換されたフェニル;Oによって中断されたC
2−C
8アルキル;C
1−C
8アルキルまたはビニルまたはC
1−C
8アルキルチオまたはC
1−C
8アルキル−SO
2であって、そのそれぞれはCNまたはCOOR
2またはフェニルまたはCF
3によって置換されているものとする;
R
16およびR
17は独立して、H、ハロゲン、ニトロであり;そして
他の記号は式B10について定義のとおりである。ただし、
【化27】
[式中、
R
21は、F、CF
3またはCNである]
の化合物は除外される。
【0057】
好ましくは、式B11のAr
2およびAr
3のうちの少なくとも1つは1,4−ナフチレンである。
【0058】
新規青色二色性染料のいくつかの例は以下に列挙される化合物である:
【表5-1】
【0059】
【表5-2】
【0060】
【表5-3】
【0061】
【表5-4】
【0062】
【表5-5】
【0063】
以下の実施例は説明の目的のためだけに含まれ、請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。特に別段の定めがない限り、全ての部およびパーセンテージは質量基準である。一晩とは、約12〜15時間の期間を表す;室温は18〜23℃の温度範囲を示す;周囲条件も同様であり、これはまた大気圧も意味する。略語:
NBS N−ブロモスクシンイミド
THF テトラヒドロフラン
TBME tert−ブチルメチルエーテル
NMP N−メチルピロリドン
Mn 分子量(数平均)
Mw 分子量(質量平均)
PDI 多分散性
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】LCセルにおける実施例92の黒色混合物の可視範囲での吸収特性を示す図(黒線:平行吸光度(A
‖);太い黒線:垂直(A
⊥)吸光度)。
【実施例】
【0065】
実施例1
化合物1a:10部の2−アミノ−チアゾールを100部のHCl(32%)中に溶解させる。100部の氷および7部の亜硝酸ナトリウムを少量ずつ添加する。3時間−5℃〜0℃で撹拌後、0.5部のスルファミン酸を添加する。
【0066】
その後、11部のm−トルイジンを添加し、反応混合物を2時間0〜5℃で撹拌し、続いて40部の塩化ナトリウムを添加し、2時間さらに撹拌する。沈殿をろ去し、400部の20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。フィルターケーキを次いで500部の弱アルカリ水(ソーダ)中に懸濁させ、ろ過し、中性になるまで洗浄し、真空中50℃にて乾燥する。9.5部の化合物1aを得る。
【0067】
【化28】
(化合物1a)
【0068】
化合物1b:4.36部の化合物1aを88部のTHF中に溶解させる。2.9部のテトラフルオロホウ酸溶液(水中50%)を添加し、続いて2.8部の亜硝酸tert−ブチルを1分以内に15℃で添加する。1.5時間15℃で撹拌後、沈殿をろ過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄する。フィルターケーキを次いで2.4部のm−トルイジンの70部のメタノール中溶液に添加する。60分後、6部の酢酸ナトリウムの4N水溶液、次いで30部のメタノールを添加する。暗赤色懸濁液を一晩攪拌し、ろ過し、残留物を200部のメタノールで洗浄し、60℃で乾燥する。2.2部の暗色粉末(化合物1b)を得る。
【0069】
【化29】
(化合物1b)
【0070】
化合物1c:
A)1.1部の化合物1bを25部のN−メチルピロリドン中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。1部のニトロシル硫酸(硫酸中40%)を5分以内に滴加して暗褐色懸濁液(A)を得、これを1時間撹拌する。
【0071】
B)0.55部の2−ピロリジノ−チオフェン(2−ブロモチオフェンおよびピロリジンから製造)を、30部の酢酸ナトリウムのメタノール溶液(0.625モル濃度)中に溶解させ、溶液を0〜5℃に冷却し、続いて懸濁液(A)を5分以内に滴加する。得られる懸濁液を0〜5℃で2時間撹拌し、次いで25部の水で希釈する。ろ過後、粗生成物を水で洗浄し、真空中50℃にて乾燥する。1.15部の化合物1cを、カラムクロマトグラフィー(シリカ;トルエン/酢酸エチル)によってさらに精製する。
【0072】
【化30】
(化合物1c)
【0073】
実施例2
化合物2a:
A)15部の2−アミノ−チアゾールをHCl(37%)中に溶解させ、35部の氷を添加し、続いて38部の亜硝酸ナトリウムの4N溶液を添加する。−5℃〜0℃で1.5時間後、0.5部のスルファミン酸を添加する(溶液A)。
【0074】
B)38部のフェニルアミノ−N−メタンスルホン酸ナトリウム(82%)を200部の水中に溶解させ、溶液を0℃まで冷却する(溶液B)。溶液Aをゆっくりと溶液Bに0.5時間以内に添加し;水酸化ナトリウム(30%)を添加することによってpHを8.5〜9に維持する。3時間5℃で撹拌した後、赤褐色懸濁液をろ過し、塩水(15%)で洗浄する。フィルターケーキを次いで500部の水酸化ナトリウムの1N溶液に移し、1時間70℃で撹拌し、室温で一晩保持する。沈殿をろ去し、800部の水で洗浄し、乾燥する。17.3部の化合物2aを得る。
【0075】
【化31】
(化合物2a)
【0076】
化合物2b:15.3部の化合物2aを200部のNMP中に溶解させ、溶液を0℃〜5℃まで冷却する。24部のニトロシル硫酸(40%)を滴加し、1.5時間0〜5℃で撹拌する。得られる溶液を8部のm−トルイジンの200部のメタノール中溶液に0℃で撹拌しながら添加する。最終的に15℃まで上昇される温度で撹拌を一晩続ける。氷の添加によって温度を20℃に保ちつつ、50部の水酸化ナトリウム(30%)を添加することによって、pHを続いて12まで上昇させる。400部の水を添加すると粘着性沈殿が形成される。これをろ去し、次いで酢酸エチル中に溶解させる。溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固させる。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;トルエン/酢酸エチル)後、2.7部の純粋な化合物2bを得る。
【0077】
【化32】
(化合物2b)
【0078】
化合物2c:2.7部の化合物2bを50部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却し、2.6部のニトロシル硫酸(40%)を5分以内に滴加する。1.5時間0〜5℃で撹拌後、溶液を、1.3部の2−ピロリジノ−チオフェンの50部のNMPおよび5.5部の水酸化ナトリウム(30%)中冷却(0℃)溶液にゆっくりと添加する。30分間撹拌後、1.5部の水酸化ナトリウム(30%)を添加することによってpHを7まで上昇させる。反応混合物を2時間5℃で撹拌し、75部の水で希釈し、ろ過する。フィルターケーキを水で洗浄し、次いで300部のメタノール中に懸濁させ、4時間室温で撹拌する。ろ過し、メタノールでリンスし、真空で乾燥した後、2.5部の化合物2cを得る。
【0079】
【化33】
(化合物2c)
【0080】
実施例3
化合物3a:9.4部の化合物1a(実施例1)を180部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。13.7部のニトロシル硫酸(40%)を20分以内に滴加する。得られる褐色懸濁液を1時間0〜5℃で撹拌し、次いで6.15部の1−ナフチルアミンの150部のメタノール中溶液に添加する。2時間0〜5℃で撹拌後、26部の水酸化ナトリウム(30%)を10分以内に滴加し、続いて110部の水を滴加する。沈殿をろ去し、500部の水で洗浄し、50℃で乾燥する。粗生成物(19.3部)を500部の水中に懸濁させ、2時間撹拌し、ろ過し、500部の水で洗浄し、真空中50℃にて18時間乾燥し:12.6部の化合物3aを得る。
【0081】
【化34】
(化合物3a)
【0082】
化合物3b:22.2部の化合物3aを220部のNMP中に溶解させ、溶液を0℃まで冷却する。19部のニトロシル硫酸を10分以内に滴加し、2時間撹拌する。12部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加し、3時間5℃で撹拌し、220部の水を添加し、30部の水酸化ナトリウム(30%)を添加することによってpHを7〜8まで上昇させる。沈殿をろ過し、1000部の水で洗浄し、50℃で乾燥する。28.1部の粗生成物3bを得、これをトルエン/2−プロパノールから再結晶する。
【0083】
【化35】
(化合物3b)
【0084】
実施例4
化合物4a:9部の化合物2a(実施例2)を180部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。14.5部のニトロシル硫酸(40%)を滴加し、1時間0〜5℃で撹拌する。6.4部の1−ナフチルアミン(180部のメタノール中に溶解させ、0〜5℃まで冷却)を5分以内に添加し、反応混合物を3時間0℃〜5℃で撹拌する。28部の2N水酸化ナトリウムを15分以内に滴加し、続いて350部の水を滴加する。沈殿をろ過し、水で十分に洗浄し、50℃で乾燥する:11.8部の化合物4a。
【0085】
【化36】
(化合物4a)
【0086】
化合物4b:14.4部の化合物4aを290部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。12.7部のニトロシル硫酸(40%)を10分以内に滴加し、2.5時間0〜5℃で撹拌する。8部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加する。100部の2N水酸化ナトリウム、続いて80部の水を添加した後、沈殿をろ過し、1000部の水で洗浄する。フィルターケーキを700部のメタノール中に懸濁させ、一晩室温で撹拌する。ろ過後、残留物を1000部のメタノールで洗浄し、50℃で乾燥する:17.8部の粗生成物。トルエン/2−プロパノールから再結晶して、13部の純粋な化合物4bを得る。
【0087】
【化37】
(化合物4b)
【0088】
実施例5
化合物5a:10部の2−アミノ−チアゾールを100部のHCl(32%)中に溶解させる。次いで、100部の氷および7部の亜硝酸ナトリウムを少量ずつ添加し、3時間−5℃〜0℃で撹拌する。0.5部のスルファミン酸を添加する。
【0089】
続いて、11部のo−トルイジンを添加し、反応混合物を一晩0℃〜室温で撹拌する。40部の塩化ナトリウムを添加し、3時間さらに撹拌した後、沈殿をろ去する。フィルターケーキを次いで250部の水中に懸濁させ、22部の2N水酸化ナトリウムを添加することによってpHを8.5まで上昇させる。得られる塊を250部のジクロロメタン中に懸濁させ、室温で2時間撹拌し、ろ過し、さらなるジクロロメタン(橙色溶液)で洗浄する。残留物を次いで400部の4N水酸化ナトリウム中に懸濁させ、室温で撹拌し、ろ過する。フィルターケーキをジクロロメタン中に溶解させ、橙色溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥する。合わせた橙色ジクロロメタン溶液をシリカゲル上で精製し、蒸発乾固させる。真空中50℃で乾燥後、3.9部の橙色粉末(化合物1a)を得る。
【0090】
【化38】
(化合物5a)
【0091】
化合物5b:化合物5aを用いて実施例3(化合物3a)と同様に進行して、化合物5b:
【化39】
(化合物5b)
を得る。
【0092】
化合物5c:化合物3aの代わりに化合物5bを用いて実施例3と同様に進行して、染料5c:
【化40】
(化合物5c)
を得る。
【0093】
実施例6
化合物6a:75部の4N亜硝酸ナトリウムを50分以内に48.6部の4−トリフルオロメチル−アニリンの190部の1N HClおよび560部の氷中懸濁液に添加し、2時間5℃で撹拌する。0.5部のスルファミン酸を添加し、溶液をろ過する。ろ過した溶液を次いで60部のフェニルアミノ−N−メタンスルホン酸ナトリウムおよび57部の炭酸水素ナトリウムの450部の水中冷却(5℃)溶液に滴加し、2時間10℃で、そして一晩室温で撹拌する。反応塊をろ過し、残留物を350部の塩水(25%)で洗浄する。粗生成物を800部の温水(70℃)に移し、100部の水酸化ナトリウム(30%)を10分以内に滴加し、3.5時間70〜75℃で撹拌する。反応塊を60℃でろ過し、5000部の水で中性的に洗浄する。35℃にて真空乾燥して、72.5部の黄橙色生成物6aを得る。
【0094】
【化41】
(化合物6a)
【0095】
化合物6b:
A)10.6部の化合物6aを50部のNMP中に溶解させ、50部の2N HClをそれに添加する。0〜5℃まで冷却した後、10部の4N亜硝酸ナトリウムを10分以内に滴加する。30分間0〜5℃で撹拌することによってジアゾ化を完了する(溶液A)。
【0096】
B)5.8部の1−ナフチルアミンを20部のNMP中に溶解させ、20部の2N HClをそれに添加する。溶液を5℃まで冷却し、そして溶液Aを5分間にわたって添加し、1時間5〜7℃で撹拌する。反応混合物をろ過し、そして残留物をビーカーに移し、弱アルカリ水(500部)中に懸濁させる。ろ過後、残留物を水で中性的に洗浄し、真空中50℃にて乾燥する。粗生成物(12.2部)を再結晶する(トルエン/ヘキサン):7.1部の純粋な化合物6b。
【0097】
【化42】
(化合物6b)
【0098】
化合物6c:62部の化合物6bを1400部のNMP中に溶解させ、溶液を0℃まで冷却する。47部のニトロシル硫酸(40%)を10分以内に滴加し、1.5時間0℃で撹拌する。29.7部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加し、撹拌を1.5時間0〜5℃で続ける。275部の4N酢酸ナトリウムを次いで15分以内に滴加する。45分間5℃で撹拌後、300部の水を15分以内に添加する。1時間10〜15℃で撹拌後、反応塊をろ過する。残留物を2000部の水/メタノール(1:1)で洗浄し、次いで2000部の水で洗浄する。フィルターケーキをビーカーに移し、1400部のメタノールとともに1時間撹拌する。ろ過後フィルターケーキを1200部のメタノールで洗浄し、真空中50℃にて乾燥する:74部の化合物6c。
【0099】
【化43】
(化合物6c)
【0100】
実施例7
化合物7a:8.1部の4−トリフルオロメチル−アニリンを75部の2N HClに添加する。13部の4N亜硝酸ナトリウムを30分以内に添加し、5℃で1時間撹拌することによってジアゾ化を完了する(溶液A)。
【0101】
7.4部の1−ナフチルアミンを75部のエタノール中に溶解させ、75部の水を添加する。0〜5℃まで冷却した後、溶液Aを10分以内に添加する。0〜5℃で1時間後、50部の4N 酢酸ナトリウムを添加し、温度を室温まで上昇させる。120部の水を添加し、反応混合物をろ過し、そして残留物を750部の水で洗浄し、50℃で乾燥させる。14.9部の生成物7aを得る。
【0102】
【化44】
(化合物7a)
【0103】
化合物7b:4.8部の化合物7aを120部のTHF中に溶解させ、溶液を冷却し(0〜5℃)、3部のテトラフルオロホウ酸(50%)を添加する。2.7部の亜硝酸tert−ブチルを1分以内に滴加し、得られるものを2時間0〜15℃で撹拌する。得られる沈殿をろ過し、60部のジエチルエーテルで洗浄する。湿潤フィルターケーキを2.2部の1−ナフチルアミンの80部のメタノール中冷却溶液(5℃)に移し、混合物を1時間5〜15℃で撹拌する。沈殿をろ過し、150部のメタノールで洗浄し、真空で乾燥する:2.94部の化合物7b。
【0104】
【化45】
(化合物7b)
【0105】
化合物7c:2.94部の化合物7bを60部のNMP中に溶解させる。2.0部のニトロシル硫酸(40%)を2分以内に冷却溶液(0〜5℃)に添加する。さらに30部のNMPを粘稠性反応塊に添加する。0〜5℃で1時間後、1.25部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加し、0〜5℃でさらに1時間後、10部の4N酢酸ナトリウムおよび続いて150部の水を添加する。室温で1時間撹拌することによってカップリング反応を完了する。沈殿をろ過し、150部の水で洗浄し、真空中50℃で乾燥する:3.71部の粗生成物7c、これはカラムクロマトグラフィー(シリカ;ヘキサン/トルエン)および再結晶(トルエン/ヘキサン)によって精製することができる。
【0106】
【化46】
(化合物7c)
【0107】
実施例8
化合物8a:20.4部の4−アミノビフェニルを400部の2N HCl中に懸濁させ、懸濁液を5℃まで冷却する。31.2部の亜硝酸ナトリウムを1時間以内に添加する。5℃で2時間後、溶液をろ過する(溶液A)。
【0108】
17.2部の1−ナフチルアミンを480部の水/エタノール(1:1)中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。溶液Aを次いで20分以内に添加し、粘稠性反応混合物を得、これを200部の水/エタノールで希釈する。0〜5℃で1時間後、160部の4N酢酸ナトリウムを添加し、温度を室温まで上昇させる。室温での撹拌を一晩続ける。反応塊をろ過し、フィルターケーキを1500部の水中に懸濁させる。4N水酸化ナトリウムの添加によって、pHを8〜9まで上昇させる。沈殿をろ過し、水で洗浄し、50℃で乾燥する:33.75部の化合物8a。
【0109】
【化47】
(化合物8a)
【0110】
化合物8b:21.0部の化合物8aを450部のスルホラン中に溶解させ、20.8部のニトロシル硫酸を30分以内に添加し、反応混合物を2時間18〜20℃で撹拌する(溶液A)。
【0111】
9.3部の1−ナフチルアミンを260部の水/エタノール(1:1)中に溶解させる。溶液を0〜5℃まで冷却し、溶液Aを20分以内で添加する。0〜5℃で1時間後、80部の4N酢酸ナトリウムを添加し、そして温度を室温まで上昇させる。形成された沈殿をろ過し、500部のエタノール/水(1:1)で洗浄し、次いで1000部の水で洗浄する。フィルターケーキを1000部のメタノール中に懸濁させ、懸濁液を室温で1時間撹拌する。ろ過後、22.6部の黒色粉末(化合物8b)を得る。
【0112】
【化48】
(化合物8b)
【0113】
化合物8c:7.4部の化合物8bを75部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。温度を5℃に保持しながら、4.9部のニトロシル硫酸(40%)を7分以内に滴加する。5℃で15分間撹拌後、3部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加し、撹拌を4時間10℃で続ける。ろ過後、残留物を100部の2−プロパノール/水(1:1)で洗浄し真空中50℃で乾燥する:8.9部の化合物8c。
【0114】
【化49】
(化合物8c)
【0115】
実施例9
化合物9a:8.3部の4−アミノ−安息香酸エチルエステルを75部の2N HCl中に懸濁させる。5℃まで冷却した後、13部の4N亜硝酸ナトリウムを30分以内に添加する。5℃で1時間さらに撹拌した後、0.5部のスルファミン酸を添加する(溶液A)。
【0116】
7.4部の1−ナフチルアミンを75部のエタノール中に溶解させ、75部の水を添加し、懸濁液を0〜5℃まで冷却し、溶液Aを1時間にわたって添加する。50部のエタノール、20部のDMFおよび100部の水を添加することによって、次第に粘稠性を増す反応塊を希釈する。0〜5℃で1時間後、50部の4N酢酸ナトリウムを添加し、温度を室温まで上昇させる。次いで、300部の水を添加し、反応塊をろ過する。残留物を750部の水で洗浄し、50℃で乾燥する:16.4部の化合物9a。
【0117】
【化50】
(化合物9a)
【0118】
化合物9b:11.4部の化合物9aを250部のTHF中に溶解させる。0〜5℃まで冷却した後、7.2部のテトラフルオロホウ酸(50%)、続いて6.4部の亜硝酸tert−ブチルを添加する。0〜15℃で2時間後、残留物をろ去し、150部のジエチルエーテルで洗浄する。湿潤フィルターケーキを5.2部の1−ナフチルアミンの200部のメタノール中冷却溶液(5℃)に移す。5〜15℃で1時間後、反応混合物をろ過し、残留物を300部のメタノールで洗浄し、真空中50℃で乾燥する:12.5部の化合物9b。
【0119】
【化51】
(化合物9b)
【0120】
化合物9c:6.25部の化合物9bを130部のNMP中に溶解させ、溶液を0〜5℃まで冷却する。4.2部のニトロシル硫酸(40%)を2分以内に添加する。0〜5℃で1時間撹拌後、2.63部の1−(N−2−ブチルアミノ)−ナフタレンを添加する。0〜5℃で1時間後、30部の4N酢酸ナトリウムを添加し、続いて30部の水を添加する。室温で1時間撹拌後、反応混合物をろ過し、残留物を300部の水で洗浄し、真空中50℃で乾燥する:7.61部の粗生成物9c。9cはカラムクロマトグラフィー(シリカ;トルエン/酢酸エチル)によって精製される。
【0121】
【化52】
(化合物9c)
【0122】
実施例10
化合物10a:16.1部の4−トリフルオロメチル−アニリンを125部の2N HCl中に0℃で懸濁させ、25部の4N亜硝酸ナトリウムを3部/分の速度で添加する。0℃で2時間撹拌後、1部のスルファミン酸を添加する。ろ過後、得られる黄色溶液を45分以内に22.3部のm−トリルアミノ−N−メタンスルホン酸ナトリウムの200部の水中溶液(pH9)に添加する。1Mの炭酸ナトリウム(合計:152部)を添加することによってpHを9に維持する。0〜5℃で4時間撹拌後、100部のNaOH(30%)を添加し、反応混合物を45〜50℃で6時間撹拌する。沈殿をろ去し、1000部の水で洗浄し、真空中60℃にて乾燥する:26.2部の化合物10a。
【0123】
【化53】
(化合物10a)
【0124】
化合物10b:40部の化合物10aを350部の酢酸中に懸濁させ、31.7部のニトロシル硫酸を10℃で15分以内に滴加する。撹拌を1時間5℃で続ける(溶液A)。
【0125】
14.7部のフェニル−ピロリジンを180部の酢酸中に溶解させる。次いで26.5部の酢酸ナトリウムを添加し、0℃まで冷却した後、溶液Aを10分以内に添加する。氷を添加することによって温度を0〜5℃で保持する。5〜10℃で1時間後、100部の1N NaOHを滴加する。10分後に沈殿をろ去し、まず800部の2−プロパノール/水(1:1)で、次いで600部の氷冷2−プロパノールで洗浄し、真空中50℃で乾燥する:42部の粗生成物10b、これをトルエン/2−プロパノールから再結晶する。
【0126】
【化54】
(化合物10b)
【0127】
実施例11
化合物11a:10.7部のm−トルイジンを125部の2N HCl中に溶解させる。溶液を0℃まで冷却し、25部の4N亜硝酸ナトリウムを10分以内に添加する。1時間撹拌することによってジアゾ化を完了する(溶液A)。
【0128】
10.7部のm−トルイジンを250部のメタノール中に溶解させる。26部の酢酸ナトリウム三水和物を添加し、続いて溶液Aを5分以内に滴加する。5〜10℃で2時間撹拌後、メタノールを真空中で蒸発させ、残留物をろ去し、水で洗浄する。フィルターケーキを500部のトルエン中に溶解させ、トルエン相を水性相から分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。乾燥したトルエン溶液をシリカ上でろ過し、蒸発させる。得られる暗赤色油状物を30部のトルエン中に溶解させ、200部のn−ヘキサンを添加した後、結晶が形成し始める。ろ過後、n−ヘキサンで洗浄し、真空中50℃にて乾燥して、化合物11aを得る。
【0129】
【化55】
(化合物11a)
【0130】
化合物11b:4部の化合物11aを60部のNMP中に溶解させ、5.6部のニトロシル硫酸(40%)を0〜5℃で添加する。この温度で1時間撹拌後、2.7部のフェニル−ピロリジンを添加し、撹拌を0〜5℃で一晩続ける。次いで、50部の2N NaOHを添加することによってpHを7〜8に上昇させ、残留物をろ去し、500部の水で洗浄し、50℃で乾燥する:4.5部の化合物11b。粗生成物をトルエン/ヘキサンから再結晶する。
【0131】
【化56】
(化合物11b)
【0132】
実施例12
化合物12a:4部の化合物11aを60部のNMP中に溶解させ、5.6部のニトロシル硫酸(40%)を0〜5℃で添加し、0〜5℃で1時間撹拌することによってジアゾ化を完了させる(溶液A)。
【0133】
9.2部の酢酸ナトリウム三水和物を180部のメタノール/水(3:1)中に溶解させ、2.9部のフェニル−モルホリンを添加する。0〜5℃まで冷却した後、溶液Aをゆっくりと添加する。0℃〜室温で一晩攪拌後、50部の2N NaOHを添加することによってpHを7〜8まで上昇させる。沈殿をろ去し、500部の水で洗浄し、50℃で乾燥する:6部の粗化合物12a。粗生成物をトルエン/n−ヘキサンから再結晶する。
【0134】
【化57】
(化合物12a)
【0135】
実施例13
化合物13a:11.2部の4−フルオロアニリンを125部の2N HCl中に溶解させ、0℃まで冷却した後、25部の4N亜硝酸ナトリウムを3部/分の速度で添加する。0℃で1時間撹拌後、1部のスルファミン酸を添加する(溶液A)。
【0136】
22.3部のm−トリルアミノ−N−メタンスルホン酸ナトリウムを200部の水中に5℃で溶解させ、1M炭酸ナトリウムでpHを9まで上昇させる。137部の1M炭酸ナトリウムを添加することによってpHを9で保持しながら、溶液Aを次いで45分以内に滴加する。0〜5℃で4時間、次いで室温で一晩撹拌することによってカップリングを完了させる。100部のNaOH(30%)を添加し、45分後、温度を6時間45℃まで上昇させる。沈殿をろ去し、800部の水で洗浄し、真空中60℃にて乾燥する:21.3部の化合物13a。
【0137】
【化58】
(化合物13a)
【0138】
化合物13b:43部の化合物13aを500部のNMP中に溶解させる。0℃まで冷却した後、59.3部のニトロシル硫酸を15分以内に滴加する。0℃で2時間撹拌することによって、ジアゾ化を完了させる。
【0139】
30.5部のフェニル−モルホリンを100部のNMP中に溶解させ、95部の2N HCl、続いて溶液Aを20分以内に添加する。0℃で1時間後、40部の酢酸ナトリウム三水和物を添加する。40部の酢酸ナトリウム三水和物をさらに3回、それぞれさらに1時間後に添加する。0℃〜室温で一晩攪拌後、500部の水を30分以内に添加し、沈殿をろ去し、乾燥する。フィルターケーキを250部の2−プロパノール中に懸濁させ、懸濁液を75℃で30分間撹拌する。0℃まで冷却した後、沈殿をろ過し、冷(0℃)2−プロパノールで洗浄し、真空中50℃にて乾燥する:24部の化合物13b。粗生成物をトルエン/2−プロパノールから再結晶する。
【0140】
【化59】
(化合物13b)
【0141】
実施例14:LC材料における適用
実施例1からの1.5部の化合物1cを100部のLicrystal(商標)(Merck, Germany)BL006および約500部のジクロロメタンとよく混合する。
【0142】
室温での蒸発により溶媒を除去した後、染料・LC混合物を、LC材料の透明点(140℃)超に加熱し、材料の液滴を小さなLCセルの開口部(約1×1cm
2、反平行ラビングされたポリイミドでコーティングされた、2つのガラス製基体、セルキャップ約5μm)に置き、140℃のホットプレート上に置く。セルを毛細管力によって充填する。充填後、セルを穏やかに室温まで冷却する。
【0143】
偏光子を用いてAgilent分光光度計で二色性比を測定する:ポリイミドのラビング方向を偏光子の偏光方向に対して平行および垂直にしてセルを配置する。垂直状態における最大吸収での平行(A
‖)および垂直(A
⊥)吸光度の比によって、二色性比を計算する:DR=A
⊥/A
‖
【表6】
【0144】
実施例15および16:LC材料における適用
下記化合物を用いて実施例14で示したようにして実施。
【0145】
【表7】
【0146】
実施例17〜26:LC材料における適用
1.5部ではなく3部の下表に示した対応する染料を添加する以外は実施例14で示したように進行して、以下の吸収最大、最大吸光度および二色性比が観察された:
【表8-1】
【0147】
【表8-2】
【0148】
実施例27および28:LC材料における適用
1.5部ではなく2部の、下表で示される対応する染料を適用する以外は実施例14で示したように進行して、以下の吸収最大、最大吸光度および二色性比が観察された:
【表9】
【0149】
実施例29〜88:LC材料における適用
100部のLicrystal BL006中に3部の対応する二色性染料を適用することによって、実施例15〜22と同様に進行して、以下の吸収最大(nm)、最大吸光度Aおよび二色性比DR(括弧内)が観察された(下表):
【表10-1】
【0150】
【表10-2】
【0151】
【表10-3】
【0152】
【表10-4】
【0153】
実施例89および90:LC材料における適用
1.5部ではなく2部の下表で示す対応する染料を適用する以外は実施例14において示したように進行して、以下の吸収最大、最大吸光度および二色性比が観察された:
【表11】
【0154】
実施例91:二色性黒色(混合物)
5.0部の化合物1c(実施例1)、2.0部の化合物10b(実施例10)および2.0部の化合物13b(実施例13)の混合物を267部のLicrystal(商標)BL006および約1200部のジクロロメタンとあわせて混合し、実施例14で示すように適用する。中性の黒い色合いが得られる。
【0155】
混合物は、偏光子適用のため、コントラスト増強フィルム(LCディスプレー)のため、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)において、ポリマー分散液晶(PDLC)、e−ブック適用、反射ディスプレーおよび多くの他の液晶適用において、非常に適している。
【0156】
実施例92:二色性黒色(混合物)
6.0部の化合物6c(実施例6)、2.0部の化合物10b(実施例10)および2.0部の化合物13b(実施例13)の混合物を267部のLicrystal(商標)BL006および約1200部のジクロロメタンとあわせて混合し、実施例14で示すように適用する。得られる中性黒の二色性比は9.1である。5ミクロンLCセルを用いて400〜800nmの範囲で記録された吸収スペクトルは、得られた黒の色合いおよび混合物の二色性特性を実証する;最大吸光度Aは約1.8である(
図1を参照のこと)。
【0157】
混合物は、偏光子適用のため、コントラスト増強フィルム(LCディスプレー)のため、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)において、ポリマー分散液晶(PDLC)、e−ブック適用、反射ディスプレーおよび多くの他の液晶適用において、非常に適している。
【0158】
実施例93:二色性黒色(混合物)
4.8部の化合物1c(実施例1)および3.2部の化合物11b(実施例11)を267部のLicrystal(商標)BL006および約1200部のジクロロメタンとあわせて混合し、実施例14で示すように適用する。最大吸光度Aは2.3、二色性比DRは12.1である。
【0159】
混合物は、偏光子適用のため、コントラスト増強フィルム(LCディスプレー)のため、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)において、ポリマー分散液晶(PDLC)、e−ブック適用、反射ディスプレーおよび多くの他の液晶適用において、非常に適している。
【0160】
比較例:
市販の黒色混合物(Black S−428、三井化学株式会社製;黄色および赤色アゾ染料ならびに青アントラキノン染料の混合物)10部を267部のLicrystal(商標)BL006および約1200部のジクロロメタンと混合し、実施例14と同様に適用する。最大吸光度Aは1.0である。
【0161】
実施例92と比較例とを比較することによって、明らかに高い色強度の本発明の黒色組成物が得られる。すなわち、染料混合物の濃度を有意に減少させ、好適な彩度を達成することができる。
【0162】
実施例94:偏光フィルム
200部のPaliocolor(登録商標)242(式−O−CH
2−CH
2−CH
2−アクリレートの2つの残基を含有する重合性LC材料;BASF Germany)を6部の化合物6c(実施例6)、2部の化合物10b(実施例10)および2部の化合物13b(実施例13)ならびに5部のIrgacure(登録商標)907(BASF Germany)と混合する。この混合物を1000部のジクロロメタン中に溶解させる。
【0163】
溶液を、平行ラビングに付したポリイミド(Daxin DA 7013, Taiwan)でコーティングされたガラス基体上にスピンコーティングする。その後、ガラス基体をホットプレート上で130℃まで2分間加熱し、室温までゆっくりと冷却する。コーティングされたガラス基体を次いで中圧UVランプに約15秒間暴露する(すなわち、約150mJ/cm
2)。
【0164】
コーティングされたガラス基体を通常の偏光子上に置くことによって、得られた結果を確認する。400〜700nmの領域を通過する入射光のパーセンテージをUV−VIS分光光度計(Agilent(登録商標)8453)によって測定する。偏光方向をポリイミドのラビング方向に対して平行または垂直にすることにより、明らかな異方性効果が観察される:可視領域中の光の一部は平行構造中を透過するが(>30%)、垂直構造中光はほとんど透過しない(3%未満)。
【0165】
フィルムは、インセル偏光子としての使用に非常に適している。