(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5905466
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】モデルベースの細線手法を用いるレチクルの欠陥検査
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20160407BHJP
【FI】
G03F1/84
【請求項の数】56
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-527222(P2013-527222)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-539070(P2013-539070A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011049747
(87)【国際公開番号】WO2012030830
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年8月27日
(31)【優先権主張番号】12/871,821
(32)【優先日】2010年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シ リュイファン
(72)【発明者】
【氏名】リ シャオチュン
【審査官】
赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−515952(JP,A)
【文献】
特開2009−294123(JP,A)
【文献】
特開2008−165198(JP,A)
【文献】
特開2007−064842(JP,A)
【文献】
特開2007−310162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86;7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフによる重大欠陥を識別するためにフォトマスクを検査する方法であって、
1つまたは複数の印刷可能な特徴および1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む前記フォトマスクを提供することであって、前記フォトマスクは、リソグラフ・システムを使用して、基板上に前記1つまたは複数の印刷可能な特徴のリソグラフの転送を達成するように構成される、前記フォトマスクを提供することと、
検査装置を使用して前記フォトマスクの試験光強度画像を生成することであって、前記試験光強度画像は、試験透過画像および試験反射画像を含む、前記試験光強度画像を生成することと、
帯域制限されたマスクパターンを構成することと、
前記リソグラフの転送に利用するために、前記リソグラフ・システムのモデルを提供することと、
前記リソグラフ・システムの前記モデルを前記帯域制限されたマスクパターンに適用することにより、前記帯域制限されたマスクパターンの空中画像を構成することと、
前記マスクパターンの前記空中画像を使用して、モデルベースの特徴マップを構築することであって、前記モデルベースの特徴マップは、前記1つまたは複数の印刷可能な特徴と、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を区別するものであることと、
リソグラフによる重大欠陥を識別するために、前記モデルベースの特徴マップを使用して、前記試験光強度画像を分析することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記フォトマスクの基準光強度画像を獲得することをさらに含み、前記基準光強度画像は、基準透過画像および基準ダイの基準反射画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯域制限されたマスクパターンは、前記基準光強度画像を使用して構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験光強度画像および前記基準光強度画像を互いに対して位置合わせすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記位置合わせすることは、
前記試験透過画像を前記試験反射画像に対して位置合わせすることと、
前記基準透過画像を前記基準反射画像に対して位置合わせすることと、
前記基準透過画像を前記試験透過画像に対して位置合わせすること、または前記基準反射画像を前記試験反射画像に対して位置合わせすることと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モデルベースの特徴マップに基づいて前記試験光強度画像を分析することは、
前記位置合わせされた試験光強度画像の一部、および前記位置合わせされた基準光強度画像の対応する一部を識別することと、
前記位置合わせされた試験透過画像と前記位置合わせされた基準透過画像、ならびにそれぞれの識別された部分に対する、前記位置合わせされた試験反射画像と前記位置合わせされた基準反射画像とのあらゆる差を識別することと、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の印刷可能な特徴を含む、前記識別された部分は、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、前記識別された部分より高い感度で検査される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記モデルベースの特徴マップは、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、前記識別された部分に対応する領域を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記モデルベースの特徴マップを構築することは、前記空中画像の低い光強度領域および高い光強度領域を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モデルベースの特徴マップを使用して、前記試験光強度画像を分析することは、前記試験光強度画像を前記モデルベースの特徴マップと位置合わせすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基準光強度画像は、印刷パターンのデータベースモデルから獲得される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記基準光強度画像は、基準ダイから獲得される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴は、準解像度の補助特徴(SRAF)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷不可能な特徴の少なくとも1つは、前記印刷可能な特徴の少なくとも1つより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記空中画像を構成することは、前記空中画像内の光強度分布に基づいて、前記1つまたは複数の印刷可能な特徴から前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記空中画像を構成することは、前記空中画像から前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を除外することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
幾何学的特徴を、縁部、角部、および線端部からなる群から選択された1つまたは複数の幾何学特徴のタイプに分類するために、前記帯域制限されたマスクパターンに基づいて、幾何学マップを構成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記試験光強度画像の分析中に、前記幾何学特徴を分類するために、前記幾何学マップを使用することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記試験光強度画像を分析することは、異なる検出閾値を前記幾何学マップの少なくとも2つの異なる幾何学的特徴のタイプに適用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モデルベースの特徴マップは、対応するマスクエラー増大因子(MEEF)をそれぞれが有する複数の領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記試験光強度画像の分析中に、前記対応するMEEFに基づいて、前記複数の領域の各画像部分に対して、感度レベルを自動的に調節することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の印刷可能な特徴に対応する前記複数の領域のサブセットは、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴に対応する、前記複数の領域の別のサブセットより高い感度で分析される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記試験光強度画像を分析するために、1つまたは複数のユーザ定義の感度レベルを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数のユーザ定義の感度レベルは、前記モデルベースの特徴マップの異なる領域に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記帯域制限されたマスクパターンは、線形項のみを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記帯域制限されたマスクパターンは、1つまたは複数の二次項を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記リソグラフ・システムの前記モデルは、少なくとも以下のパラメータ、すなわち、前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の開口数、前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の波長、ならびに前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の照明条件を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記空中画像を構成することは、前記検査装置の帯域制限効果を取り除くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
フォトマスクの試験光強度画像を生成することであって、前記試験光強度画像は、試験透過画像および試験反射画像を含む、生成することと、
帯域制限されたマスクパターンを構成することと、
リソグラフ・システムのモデルを前記帯域制限されたマスクパターンに適用することにより、前記帯域制限されたマスクパターンの空中画像を構成することと、
前記マスクパターンの前記空中画像を使用して、モデルベースの特徴マップを構築することであって、前記モデルベースの特徴マップは、1つまたは複数の印刷可能な特徴と、1つまたは複数の印刷不可能な特徴を区別するものであることと、
あらゆるリソグラフによる重大欠陥を識別するために、前記モデルベースの特徴マップを使用して、前記試験光強度画像を分析することと、
を実行するように構成された、少なくとも1つのメモリおよび少なくとも1つのプロセッサを含む、リソグラフによる重大欠陥を識別するために、フォトマスクを検査するシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに前記フォトマスクの基準光強度画像を獲得するように構成されており、前記基準光強度画像は、基準透過画像および基準ダイの基準反射画像を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記帯域制限されたマスクパターンは、前記基準光強度画像を使用して構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに前記試験光強度画像および前記基準光強度画像を互いに対して位置合わせするように構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記位置合わせすることは、
前記試験透過画像を前記試験反射画像に対して位置合わせすることと、
前記基準透過画像を前記基準反射画像に対して位置合わせすることと、
前記基準透過画像を前記試験透過画像に対して位置合わせすること、または前記基準反射画像を前記試験反射画像に対して位置合わせすることと、
を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記モデルベースの特徴マップに基づいて前記試験光強度画像を分析することは、
前記位置合わせされた試験光強度画像の一部、および前記位置合わせされた基準光強度画像の対応する一部を識別することと、
前記位置合わせされた試験透過画像と前記位置合わせされた基準透過画像、ならびにそれぞれの識別された部分に対する、前記位置合わせされた試験反射画像と前記位置合わせされた基準反射画像とのあらゆる差を識別することと、
を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記1つまたは複数の印刷可能な特徴を含む、前記識別された部分は、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、前記識別された部分より高い感度で検査される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記モデルベースの特徴マップは、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、前記識別された部分に対応する領域を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記モデルベースの特徴マップを構築することは、前記空中画像の低い光強度領域および高い光強度領域を識別することを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項38】
前記モデルベースの特徴マップを使用して、前記試験光強度画像を分析することは、前記試験光強度画像を前記モデルベースの特徴マップと位置合わせすることを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項39】
前記基準光強度画像は、印刷パターンのデータベースモデルから獲得される、請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
前記基準光強度画像は、基準ダイから獲得される、請求項30に記載のシステム。
【請求項41】
前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴は、準解像度の補助特徴(SRAF)を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項42】
前記印刷不可能な特徴の少なくとも1つは、前記印刷可能な特徴の少なくとも1つより大きい、請求項29に記載のシステム。
【請求項43】
前記空中画像を構成することは、前記空中画像内の光強度分布に基づいて、前記1つまたは複数の印刷可能な特徴から前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を分離することを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項44】
前記空中画像を構成することは、前記空中画像から前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴を除外することを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項45】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに幾何学的特徴を、縁部、角部、および線端部からなる群から選択された1つまたは複数の幾何学特徴のタイプに分類するために、前記帯域制限されたマスクパターンに基づいて、幾何学マップを構成するように構成されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項46】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに前記試験光強度画像の分析中に、前記幾何学特徴を分類するために、前記幾何学マップを使用するように構成されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記試験画像を分析することは、異なる検出閾値を前記幾何学的マップの少なくとも2つの異なる幾何学特徴のタイプに適用することを含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記モデルベースの特徴マップは、対応するマスクエラー増大因子(MEEF)をそれぞれが有する複数の領域を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項49】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに前記試験光強度画像の分析中に、前記対応するMEEFに基づいて、前記複数の領域の各画像部分に対して、感度レベルを自動的に調節するように構成されている、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記1つまたは複数の印刷可能な特徴に対応する前記複数の領域のサブセットは、前記1つまたは複数の印刷不可能な特徴に対応する、前記複数の領域の別のサブセットより高い感度で分析される、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに前記試験光強度画像を分析するために、1つまたは複数のユーザ定義の感度レベルを提供するように構成されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項52】
前記1つまたは複数のユーザ定義の感度レベルは、前記モデルベースの特徴マップの異なる領域に対応する、請求項29に記載のシステム。
【請求項53】
前記帯域制限されたマスクパターンは、線形項のみを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項54】
前記帯域制限されたマスクパターンは、1つまたは複数の二次項を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項55】
前記フォトマスクの試験光強度画像は検査装置を用いてい生成され、
リソグラフ・システムを使用して、基板上へリソグラフが転送され、
前記リソグラフ・システムの前記モデルは、少なくとも以下のパラメータ、すなわち、前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の開口数、前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の波長、ならびに前記リソグラフ・システムおよび前記検査装置の照明条件を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項56】
前記フォトマスクの試験光強度画像は検査装置を用いてい生成され、
前記空中画像を構成することは、前記検査装置の帯域制限効果を取り除くことを含む、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本願は、2007年1月11日にWihlらにより、「METHOD FOR DETECTING LIGHOGRAPHICALLY SIGNIFICANT DEFECTS ON RETICLES」という名称で出願された、米国特許出願第11/622,432号の一部継続出願であり、その全体がすべての目的に対して参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の密度および複雑性が増加し続けるにつれ、フォトマスクパターンを検査することは、より困難な課題になっている。ICの新世代毎に、現在リソグラフ・システムの光学的限界に到達し超える、より高密度でより複雑なパターンを有している。これらの光学的限界を克服するために、光近接効果補正(OPC)などの様々な解像度向上技術(RET)が導入されてきた。たとえば、OPCは、得られる印刷パターンが元の所望のパターンに対応するように、フォトマスクパターンを修正することにより、一部の回析限界を克服する役に立つ。こうした修正は、主要なIC特徴(フィーチャ)のサイズおよび縁部、すなわち印刷可能な特徴への摂動(外乱:perturbations)を含むことができる。他の修正は、パターン角部への追加のセリフ(小さなパターン:serifs)および/または準解像度の補助特徴(SRAF:sub-resolution assist feature)を近接に提供することであり、準解像度の補助特徴(SRAF)は印刷特徴をもたらすとは予期されず、したがって、印刷不可能な特徴と呼ばれる。これらの印刷不可能な特徴は、こうしないと印刷工程中に生じやすい、パターンの外乱を取り消すことが予期される。しかし、OPCは、より複雑なマスクパターンでさえも作成し、通常、得られるウエハ画像と著しく異なる。さらに、OPCの欠陥は、印刷可能な欠陥に変換しないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
印刷不可能な特徴および印刷可能な特徴は、得られる印刷パターンに異なる効果を有し、異なる検査パラメータ、たとえば、感度レベルを使用して、検査される必要があることが多い。印刷不可能な特徴を含む領域は、通常、検査中に誤検出を回避するための「感度が低下」する。従来の検査方法は、概して印刷可能な特徴と印刷不可能な特徴との差に対して、特徴のサイズなどのユーザ定義の特徴に依存する。この手法は、ルールベースと呼ばれる場合もあり、そこでユーザが特徴の識別に対して具体的な規則を定義する。しかし、多くの現代のICにおいて、印刷不可能な特徴は、印刷可能な特徴より大きい可能性が多い。さらに、印刷不可能を含む領域を定義することは、複雑であり、多くの検査資源を消費する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
モデルベースの手法およびモデル化された画像から獲得した情報を使用して、様々な欠陥を識別するために、フォトマスクを検査するための新規の検査方法およびシステムが提供される。モデル化された画像、またはシミュレーション画像は、試験(テスト:test)画像または参照(基準:reference)画像から直接生成される。一部の例には、基板上のリソグラフ・システムによって投影された、予期されるパターンを表す空中(aerial)画像、ならびに予期されるレジストパターンを表すフォトレジスト画像が含まれる。試験画像は、まず帯域制限(band limited)されたマスクパターンとして表され、帯域制限されたマスクパターンは、より速い画像処理に対する線形項のみを含んでもよい。次にこのパターンを使用して、モデル化された画像を構成し、次いでモデル化された画像を使用して、モデルベースの特徴マップを構成する。このマップは、フォトマスクの欠陥を識別するために、元の(original)試験画像の検査に対する基礎として働き、それらのリソグラフの重要性に基づく様々な特徴のタイプと他の特徴を区別できる、情報を含んでもよい。
【0005】
ある特定の実施形態では、リソグラフによる重大欠陥を識別するためにフォトマスクを検査する方法は、フォトマスクを提供し、検査装置を使用してフォトマスクの試験光強度画像(test light intensity images)を生成し、帯域制限されたマスクパターンを構成することである。フォトマスクは、1つまたは複数の印刷可能な特徴、および1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む。フォトマスクは、リソグラフ・システムを使用して、基板上に印刷可能な特徴のリソグラフの転送を達成するように構成される。生成された試験光強度画像は、試験透過画像(透過画像のテスト版)および試験反射画像(反射画像のテスト版)を含む。次いで方法は、リソグラフ・システムのモデルを提供すること、およびリソグラフ・システムモデルをパターンに適用することにより、帯域制限されたマスクパターンから空中画像を構成することを進める。次いでモデルベースの特徴マップが、マスクパターンの空中画像を使用して構築され、最後に試験光強度画像は、リソグラフによる重大欠陥を識別するために、モデルベースの特徴マップを使用して分析される。
【0006】
ある特定の実施形態では、方法はまた、基準ダイの基準光強度画像、たとえば、フォトマスクの基準透過画像(透過画像の基準版)および基準反射画像(反射画像の基準版)を獲得することである。帯域制限されたマスクパターンは、基準光強度画像も使用して構成されてもよい。試験光強度画像は、通常、基準光強度画像と位置合わせされる。たとえば、試験透過画像は、試験反射画像に対して位置合わせされ、基準透過画像は、基準反射画像に対して位置合わせされる一方で、基準透過画像は、試験透過画像に対して位置合わせされるか、または基準反射画像は、試験反射画像に対して位置合わせされる。概して、少なくとも試験透過画像は、基準画像の源、たとえば、(ダイツーダイ検査方式における)基準ダイまたは(ダイツーデータベース方式における)ラスタライズされたデータベース画像に関わらず、試験反射画像に対して位置合わせされる。
【0007】
ある特定の実施形態では、モデルベースの特徴マップに基づいて、試験光強度画像を分析することは、次の2つの動作(オペレーション)、すなわち、位置合わせされた試験画像の一部および位置合わせされた基準画像の対応する一部を識別すること、ならびにこれらの2つのタイプの画像間のあらゆる差を識別することである。具体的には、位置合わせされた試験透過画像と位置合わせされた基準透過画像との差、ならびに位置合わせされた試験反射画像と位置合わせされた基準反射画像との差が、それぞれの識別された部分に対して決定される。分析された画像の特定の部分は、モデルベースの特徴マップ内で識別される。該1つまたは複数の印刷可能な特徴を含む識別された部分は、該1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、識別された部分より高い感度で検査されることが可能である。該モデルベースの特徴マップは、該1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む、識別された部分に対応する領域を含む。
【0008】
ある特定の実施形態では、モデルベースの特徴マップを構築することは、空中画像の低い光強度領域および高い光強度領域を識別することである。低い光強度領域は、該1つまたは複数の印刷可能な特徴に対応する一方で、高い光強度領域は、該1つの印刷不可能な特徴に対応する。モデルベースの特徴マップを使用して、試験光強度画像を分析することは、試験光強度画像をモデルベースの特徴マップと位置合わせすることでもよい。
【0009】
ある特定の実施形態では、基準画像は、印刷パターンのデータベースモデル(すなわち、ダイツーデータベース検査方式)から獲得される。他の実施形態では、基準画像は、基準ダイ(すなわち、ダイツーダイ検査方式)から獲得される。印刷不可能な特徴は、準解像度の補助特徴(SRAF)、ならびに他のタイプの光近接効果補正(OPC)特徴を含んでもよい。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの印刷不可能な特徴は、少なくとも1つの印刷可能な特徴より大きい。同じまたは他の実施形態では、フォトマスク上の少なくとも1つの印刷可能な特徴は、約200ナノメートルより小さいか、または約100ナノメートルよりさらに小さい。
【0010】
空中画像を構成することは、印刷可能なベース、たとえば、帯域制限されたマスクパターンにおける光強度分布に基づいて、印刷可能な特徴から印刷不可能な特徴の少なくとも一部を分離することであってもよい。同じまたは他の実施形態では、空中画像を構成することは、モデル化された画像、たとえば、空中画像から印刷不可能な特徴の一部または全部を除外するものである。ある特定の実施形態では、検査方法はまた、幾何学的特徴を、縁部、角部、および線端部などの、1つまたは複数の幾何学的特徴のタイプに分類するために、帯域制限されたマスクパターンに基づいて幾何学的マップを構成することである。幾何学的マップを使用して、試験画像を分析中にパターン特徴を分類してもよい。さらに、試験画像を分析することは、異なる閾値を幾何学的マップの少なくとも2つの異なる幾何学的特徴のタイプに適用することであってもよい。
【0011】
ある特定の実施形態では、モデルベースの特徴マップは、対応するマスクエラー増大因子(MEEF)をそれぞれが有する、複数の画像部分を含む。方法は、試験画像の分析中に、対応するMEEFに基づいて、各画像部分に対して感度レベルを自動的に調節することである。ある特定の実施形態では、方法は、試験画像を分析するために、ユーザ定義の感度レベルを提供することである。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の印刷可能な特徴に対応する領域のサブセットは、1つまたは複数の印刷不可能な特徴に対応する、これらの領域の別のサブセットより高い感度で分析される。同じまたは他の実施形態では、帯域制限されたマスクパターンは、線形項のみを含む。他の実施形態では、帯域制限されたマスクパターンは、1つまたは複数の二次項を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、リソグラフ・システムモデルは、少なくとも1つまたは複数の以下のパラメータ、すなわち、リソグラフ・システムの開口数および検査装置、リソグラフ・システムの波長および検査装置、ならびにリソグラフ・システムの照明条件および検査装置を含む。ある特定の実施形態では、空中画像を構成することは、検査装置の帯域制限効果を取り除くことである。
【0013】
ある特定の実施形態では、以下の動作、すなわち、試験透過画像および試験反射画像を含む、フォトマスクの試験光強度画像を生成することと、帯域制限されたマスクパターンを構成することと、リソグラフ・システムモデルを帯域制限されたマスクパターンに適用することにより、帯域制限されたマスクパターンの空中画像を構成することと、マスクパターンの空中画像を使用して、モデルベースの特徴マップを構築することと、あらゆるリソグラフによる重大欠陥を識別するために、モデルベースの特徴マップを使用して、試験光強度画像を分析することと、を実行するように構成された、少なくとも1つのメモリおよび少なくとも1つのプロセッサを含む、リソグラフによる重大欠陥を識別するために、フォトマスクを検査するシステムが提供される。
【0014】
これら、および本発明の他の態様は、図を参照にして以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】ある特定の実施形態による、フォトマスク上に提供されたベースパターンを示す図である。
【
図1B】リソグラフの転送後、
図1Aにおいて得られるベースパターンのウエハ画像を示す図である。
【
図1C】ある特定の実施形態による、フォトマスクからマスクパターンをウエハ上に転送するための、リソグラフ・システムを簡略にした概略図である。
【
図1D】ある特定の実施形態による、フォトマスク検査装置の概略図である。
【
図2】欠陥を識別するために、フォトマスクを検査するための方法の一例に対応するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明において、多数の具体的な詳細が、本発明の完全な理解を提供するために説明される。本発明は、これらの具体的な詳細の一部またはすべてを伴わずに実施されてもよい。他の例では、周知の工程動作は、本発明を無用に不明瞭にしないために、詳述されなかった。本発明は具体的な実施形態とともに記載されるが、本発明をその実施形態に限定することを意図しないことは理解されよう。
【0017】
「導入」
多くの従来のフォトマスクの検査方法は、印刷不可能な特徴を含む、後に「感度が低下する(de-sensing)」領域に対して、印刷不可能な特徴(細線とも呼ばれる)から印刷可能な特徴(主要特徴とも呼ばれる)を分離するための、ルールベース手法(rule-based methods)を使用する。試験画像および/または基準画像は、ユーザによって設定されたルールに基づいて、特徴マップを生成するために使用される。通常は、ユーザは、印刷可能な特徴から印刷不可能な特徴を分離するために、基準として線幅を定義する。これらのルールベースの方法は複雑であるばかりでなく、現代のICに多いおける場合と同様に、通常、主要特徴と細線とを区別する方法がない。基準ダイを使用する、ルールベースの細線の「感度低下」方法の簡単な説明は、その複雑性および欠陥をより良好に示すために役立つことがある。
【0018】
ルールベースの方法は、基準画像および試験画像を捕捉することから始まる。強度閾値は、特徴の「概要」を定義するために、これらの画像に適用される。特徴の「概要(スケルトン:skeleton)」は、この閾値内の強度値をもつ画像領域の集合である。フォトマスクは、不透明な細線および透明な細線などの、異なるタイプの細線で設計されることが多く、これらは「概要」を定義する際にさらなる複雑性を追加する。不透明な細線は、透過された画像上のそれらの周囲より暗く見える、モリブデン・シリコンの細い縞または点である。他方、透明な細線は、反射画像上のこれらの周囲より暗く見える、モリブデン・シリコン/クロム表面上に作成される切断部の細い縞または点である。さらに、ダイツーダイ検査では、欠陥領域は、試験画像および基準画像からは明白にならない。したがって、基準画像と試験画像を組み合わせた分析を実行する必要がある。次の動作では、概要特徴の線幅は、細線と主要特徴を区別するように測定されて、「未加工(ロウ:raw)」の特徴マップを形成する。上述のように、この線幅閾値を含むルールは、ユーザによって設定される。
【0019】
この時点で、ルールベースの「感度低下(de-sense)」アルゴリズムは、現代のIC設計を含む、フォトマスク上の細線と主要特徴を区別するその目的を実現することができない場合がある。これは、アルゴリズムの「崩壊(ブレークダウン:breaking down)」としばしば呼ばれる。現代のICは、それらがフォトマスクならびに得られる試験画像および基準画像上に現れる際に、主要特徴と同程度のサイズである、またより大きい可能性さえもある、細線を有する。換言すると、線幅は、これら2つのタイプの特徴を区別するために、この段階で基準として使用できないことが多い。工程が、従来の線幅ルールの適用を前に進めることができる場合、主要特徴に対応する領域は、(細線に対応する領域の代わりに、または細線に対応する領域に加えて)構成された特徴マップ内に現れることがあり、結果として、この特徴マップの基づくフォトマスクの後続の検査中に「感度低下」になる。次いでこの感度低下は、十分な感度レベルが、致命的欠陥の検査に適用されなかったため、検査を通過して検知されなかった、多くの致命的欠陥をもたらすことがある。同時に、多くの細線特徴は、特徴マップ内で捕捉されず、続いて低速検査および潜在的に許容できるフォトマスクの除去をもたらす高感度で検査されることがある。検査者は、通常、検査された画像の複雑性、およびフォトマスクとウエハレベルの画像との間に類似が少ないために、「誤検出」および「検出漏れ」を捕捉することができない。このことは、以下の例からさらに示すことが可能である。
図1Aは、フォトマスク上に提供された例示的ベースパターンを示すが、
図1Bは、該ベースパターンの得られるウエハ画像を示す。この2つの画像間の類似は、あるとしても非常に少ない。OPCの大量使用は、こうした矛盾をもたらす。
【0020】
「未加工」の特徴マップは、概して細線の主要特徴のみ、またはより具体的には、これらの細線の特徴に対応する領域を含むように設計される。上記からわかるように、この設計基準は、ルールベースの「感度低下」手法で達成されないことが多い。次いで、「未加工」の特徴マップの主要特徴は、特徴マップと検査された画像との間の特徴のサイズのばらつき、位置、および位置合わせの耐性に適応するはずであるために、細線の特徴を中心に一部を拡張した境界を生成するためにサイズを拡大(すなわち、拡張)される。拡張された特徴は、最終特徴マップを形成し、次いで最終特徴マップは、検査された画像を「感度を低下」するために使用される。具体的には、より低い感度は、特徴マップの拡張された領域に適用される。上の説明からわかるように、ルールベース手法は非常に複雑であり、現代のICに適用される際に、特に著しい制約を有する。
【0021】
本明細書に記載された新規の方法およびシステムは、これらの問題の一部を解決する。上述のように、特徴マップを構成するために、フォトマスク画像に依存する代わりに、新規の方法は、得られるICが、リソグラフ・システムによりウエハ上に投影されるか、またはフォトレジスト・システムを使用して開発されるように、得られるICのモデル化された画像の開発を進める。モデル化された画像は、細線を含まないが、細線のOPC効果を構成する。次いでこのモデル化された画像を使用して、細線と主要特徴を区別するために分離ルールを必要とすることなく、モデルベースの特徴マップを構成する。
【0022】
モデルベースの検査方法は、透過試験画像および反射試験画像のような、フォトマスクの1つまたは複数の試験画像を捕捉して同様に始まる。基準画像の対応する組は、ダイツーダイ検査方式における基準ダイから、またはダイツーデータベース方式におけるデータベースから獲得することができる。試験画像および基準画像は、通常、位置合わせされる。マスクパターン回復アルゴリズムは、次いで透過画像と反射画像(基準画像または試験画像のいずれか)を組み合わせて帯域制限されたマスクパターンに発展される。帯域制限されたマスクパターンは、検査されたフォトマスクの振幅を表示する。しかし、ユーザ定義のルールに基づいてルールベースの特徴マップを構築するために、フォトマスク画像に依存する代わりに、工程は、モデル化された画像(たとえば、空中画像またはフォトレジスト画像)を構成して進み、次いでモデルベースの特徴マップを構築するために使用される。モデル化された画像は、印刷可能な特徴のみを(空中平面またはフォトレジスト平面のような、ある種のモデル化されたレベルにおいて)含むように設計されてもよく、したがって、ユーザ定義のルールを必要とすることなく、特徴マップを構成するための良好な基盤の役を果たす。全体として、モデル化されたベース画像は、主要特徴、次いで従来使用されたフォトマスク画像から、細線をはるかに容易に分離させる。
【0023】
より具体的には、後続の動作における、検査システムの特徴、リソグラフ・システム、およびある特定の実施形態におけるフォトレジスト工程は、帯域制限されたマスクパターンからモデル化された画像(たとえば、空中画像またはパターン画像)を構成するために使用される。たとえば、検査方法に提供されたリソグラフ・システムモデルは、以下のステッパの条件、すなわち、開口数、波長、および照射条件を含んでもよい。他のモデル構成要素は、検査システムの様々な特徴、およびある特定の実施形態における、フォトレジスト・システムを含んでもよい。モデル化された画像は、リソグラフにより投影された画像またはフォトレジストのパターン画像を近接に表し、通常印刷不可能な特徴を含まない。同時に、モデル化された画像は、印刷不可能な特徴の様々な効果(たとえば、OPC)からなる。
図1Aおよび1Bから明らかなように、現代のOPCの複雑性のために、フォトマスク画像とウエハ画像との間に類似性が欠如していることが多いことを、再度指摘することが重要である。したがって、どの領域が「感度を低下」される必要があるか、またどの領域が、より高い感度レベルで検査される必要があるかを、フォトマスク画像から決定することは困難である。このモデルベース手法は、リソグラフによる重大欠陥に焦点を合わせ、リソグラフの露出またはフォトレジストの発展中に、無関係な多くの他のタイプの欠陥を無視する。
【0024】
次いでモデル化された画像は、モデルベースの特徴マップを構成するために使用される。このマップは、リソグラフによる著しい特徴および欠陥を含む領域を具体的に定義し、焦点を合わせる。マップを使用して、後続の検査中にすべての他の領域(たとえば、上述のように、「拡張された概要」の特徴に対応する領域)の「感度を低下」するために、検査システムに命令を提供する。このモデルベースの特徴マップは、フォトマスク画像内の特徴のルール定義された分類によって生成された、ルールベースの特徴マップと反対に、モデル化された画像(たとえば、空中平面内の画像)から生成されるので、モデルベースの特徴マップは、リソグラフによる著しい領域を自動的に占め、特徴のサイズに関わらず他の領域を無視する。換言すると、ユーザ定義のルールは、特徴マップを構成するために必要ない。その代わりに、リソグラフ・システムまたはフォトレジスト・システムのモデルは、印刷可能な特徴の領域を定義する、モデル化された画像を取得するために適用される。
【0025】
次いでこのモデルベースの特徴マップを使用して、試験画像(たとえば、レチクル画像平面内の画像、より具体的には、フォトマスクから獲得した元の画像)を分析する。このモデルベースの特徴マップによって定義された各領域は、独自のマスクエラー増大因子(MEEF)、およびフォトマスクの重要部分のより具体的な検査が可能な他の特徴を有してもよい。たとえば、細線のみを含む領域(たとえば、SRAF)は、主要特徴を含む領域より低い感度で検査されてもよい。上に示されたように、モデルベースの特徴マップの領域は、これら2つのタイプの特徴を区別する。より一般的には、特徴マップは、具体的な検査パラメータでそれぞれを後に検査される3つ、4つ、さらにそれ以上のタイプの領域を区別することができる。全体として、本明細書に記載された新規の工程および検査システムにより、モデル化された画像に基づいて、主要特徴から細線を分離できる、より有効でより複雑性が少ないことが可能になる。
【0026】
「検査システムの例」
図1Cは、ある特定の実施形態による、マスクパターンをフォトマスクMからウエハW上に転送するために使用できる、通常のリソグラフ・システム100の簡略にした概略図である。このようなシステムの例には、スキャナおよびステッパ、より具体的には、オランダ、フェルトホーヘンのASMLから市販のPAS5500システムが含まれる。概して、照射源103は、光ビームを照明レンズ105を通してマスク平面102内に配置されたフォトマスクM上に向ける。照明レンズ105は、該平面102において開口数101を有する。開口数101の値は、フォトマスク上のどの欠陥がリソグラフの重大欠陥であり、その欠陥はそうではないかに、影響を与える。フォトマスクMを通過するビームの一部は、パターン透過を開始するために、結像光学系153を通ってウエハW上に向けられる、パターン化された光学信号を形成する。
【0027】
図1Dは、ある特定の実施形態による、レチクル平面152において比較的大きい開口数151bをもつ、結像レンズ151aを有する、検査システム150の概略図を提供する。示された検査システム150には、高められた検査に対して、たとえば、60−200Xの倍率を提供するように設計された、顕微鏡的倍率の光学系153が含まれる。検査システムのレチクル平面152における開口数151bは、リソグラフ・システム100のレチクル平面102における開口数101よりかなり大きいことが多く、これは試験検査画像と実際に印刷された画像との間に差をもたらすはずである。これらの光学系(100、150)のそれぞれは、生成された画像内に異なる光学効果を誘発し、これらは、本明細書に記載された新規の検査技法において説明され、補償される。
【0028】
新規の検査技法は、
図1Dに概略的に示されたシステムなどの、様々な具体的に構成された検査システム上で実施されてもよい。システム150には、照射光学系161を通ってレチクル平面152内のフォトマスクM上に向けられる、光ビームを生成する照射源160が含まれる。光源の例には、レーザまたはフィルター処理されたランプが含まれる。一例では、源は193nmレーザである。上に説明されたように、検査システム150は、対応するリソグラフ・システムのレチクル平面の開口数(たとえば、
図1Cにおける要素101)より大きくてもよい、レチクル平面152における開口数151aを有する。検査されるべきフォトマスクMは、レチクル平面152に配置され、源に露出される。マスクMからパターン化された画像は、拡大光学素子153の集合を通って向けられ、拡大光学素子153はセンサ154上にパターン化された画像を投影する。適切なセンサには、電荷結合素子(CCD)、CCDアレイ、時間遅延積分(TDI)センサ、TDIセンサアレイ、光電子増倍管(PMT)、および他のセンサが含まれる。センサ154によって捕捉される信号は、コンピュータシステム173により、またはより一般的には、信号処理装置によって処理されることが可能であり、信号処理装置には、処理のために、アナログ信号をセンサ154からデジタル信号に変換するように構成された、アナログ・デジタル変換器が含まれてもよい。コンピュータシステム173は、強度、位相、および/または検知された光ビームの他の特徴を分析するように構成されてもよい。コンピュータシステム173は、得られる試験画像および他の検査特徴を表示するための、ユーザインターフェースを(たとえば、コンピュータ画面上に)提供するように(たとえば、プログラミング命令とともに)構成されてもよい。また、コンピュータシステム173には、検出閾値の変更などの、ユーザ入力を提供するための、1つまたは複数の入力デバイス(たとえば、キーボード、マウス、ジョイスティック)が含まれてもよい。ある特定の実施形態では、コンピュータシステム173は、以下に説明される検査技法を実施するように構成される。コンピュータシステム173は、通常、入力/出力ポートに結合された1つまたは複数のプロセッサ、および適切なバスまたは他の通信機構を介する1つまたは複数のメモリを有する。
【0029】
このような情報およびプログラム命令は、特別に構成されたコンピュータシステム上で実施されてもよいので、こうしたシステムには、コンピュータ可読媒体上に記憶できる、本明細書に記載された様々な動作を実行するための、プログラム命令/コンピュータコードが含まれる。機械可動媒体の例には、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープなどの磁気媒体、CD−ROMディスクなどの光媒体、光学ディスクなどの光磁気記録媒体、ならびに読取専用記憶装置(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などのプログラム命令を記憶し実行するように特別に構成された、ハードウェア装置が含まれるが、これに限定されない。プログラム命令の例には、コンパイラなどによって生成された機械コード、およびインタープリタを使用するコンピュータによって実行され得る、ファイルを含むより高いレベルコードの両方が含まれる。ある特定の実施形態では、フォトマスクを検査するためのシステムには、以下の動作、すなわち、試験透過画像および試験反射画像を含む、マスクの試験光強度画像を生成すること、帯域制限されたマスクパターンを構成すること、リソグラフ・システムモデルを帯域制限されたマスクパターンに適用することにより、帯域制限されたマスクパターンの空中画像を構成すること、マスクパターンの空中画像を使用してモデルベースの特徴マップを構築すること、およびフォトマスクの欠陥を識別するために、モデルベースの特徴マップを使用して、試験光強度画像を分析することを、実行するように構成された、少なくとも1つのメモリおよび少なくとも1つのプロセッサが含まれる。検査システムの一例には、米国カリフォルニア州MilpitasのKLA−Tencorから市販の特別に構成されたTeraScan(商標)DUV検査システムが含まれる。
【0030】
「検査方法の例」
図2は、汚染欠陥などのリソグラフによる重大欠陥を識別するために、フォトマスクを検査するための、モデルベースの検査方法の一例に対応するフローチャートを示す。たとえば、クロム金属を吸着する薄膜によって画定されるパターンをもつ、透明の溶融シリカブランクから作成されたフォトマスクを使用することができる。概して、レチクル、フォトマスク、半導体ウエハ、位相シフトマスク、および埋め込まれた位相シフトマスク(EPSM)などの、様々な半導体基板を、この方法を使用して検査することができる。様々なタイプのフォトマスクを、これらの方法を使用して検査できる。概してフォトマスクは、1つまたは複数の印刷可能な特徴、および1つまたは複数の印刷不可能な特徴を含む。印刷可能な特徴は、得られるウエハ画像上に現れる特徴として定義される。印刷可能な特徴は、同じ形状で現れても現れなくてもよく、またはフォトマスク上に形成されてもされなくてもよい。たとえば、
図1Aは、フォトマスク上に提供された例示的ベースパターンを示すが、
図1Bは、該ベースパターンの得られるウエハ画像を示す。したがって、フォトマスクにおいて、印刷可能な特徴は、ウエハ平面上の印刷可能な特徴に対応する領域として理解されてもよい。印刷不可能な特徴(「細線」)は、回析および他の理由に起因する結像エラーを補償するために使用される、様々な光近接効果補正(OPC)特徴を含んでもよい。このような特徴の1つのタイプは、準解像度の補助特徴(SRAF)である。ある特定の実施形態では、提供されたフォトマスク上の少なくとも1つの印刷不可能な特徴は、少なくとも1つの印刷可能な特徴より大きい。
【0031】
一旦フォトマスクが検査工程に提供されると、たとえば、検査システムの検査段階に配置されると、工程は、1つまたは複数のフォトマスクの試験画像を捕捉することを202において開始してもよい。たとえば、フォトマスクは、2つ以上の光強度画像を異なる照射および/または集合条件で捕捉するために照射されてもよい。特定の一実施形態では、透過光強度画像および反射光強度画像が捕捉される。他の実施形態では、2つ以上の反射画像または2つ以上の透過画像が、生成される一方で、フォトマスクは、異なる波長で照射される。たとえば、フォトマスク材料が照射光波長の強力な機能である透過をもたらす場合は、2つの、異なるが近接して離間された波長を使用して、それぞれが異なる透過レベルを検知する、1対の透過された画像を生成することが可能である。基準画像は、データベース(たとえば、ダイツーデータベース方式)または別の基準ダイ(たとえば、ダイツーダイ方式)から獲得されてもよい。
【0032】
捕捉された試験画像は、通常動作204において位置合わせされる。この位置合わせは、複数の試験画像および基準画像に対する、検査システム(複数可)の光学特性を整合するものであってもよい。たとえば、透過画像および反射画像の場合、画像の一部の調節は、2つのそれぞれの信号の光路内の差を補償するためになされることが可能である。位置合わせ調節は、使用される検査システムの特有の幾何学に依存してもよい。ある特定の実施形態では、位置合わせは、試験透過画像を試験反射画像に対して位置合わせすること、基準透過画像を基準反射画像に対して位置合わせすること、および基準透過画像を試験透過画像に対して位置合わせすること、または基準反射画像を試験反射画像に対して位置合わせすることである。
【0033】
一旦位置合わせされると、試験画像は、206において帯域制限されたマスク増幅機能を回復するために処理されることが可能である。この機能は、帯域制限されたマスクパターンと呼ばれる場合もある。一手法では、部分的コヒーレント光結像が、2つ以上のコヒーレントシステムの和として、モデル化されることが可能であり、2つ以上のコヒーレントシステムの和は、さらに米国特許出願第11/622,432号においてより詳しく説明されており、動作206を説明する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、部分的コヒーレント結像に対してホプキンス方程式を使用して、透過交差係数(TCC:Transmission-Cross-Coefficient)マトリクスを形成することができる。次いでこのマトリクスは、対応する固有ベクトルに分解されることが可能であり、固有ベクトルは、コヒーレントシステムのカーネルとして作用する。これらのコヒーレントシステムのそれぞれからの強度貢献の固有値加重和は、画像強度をもたらし、画像強度を使用して、透過信号の強度を表すことができる。ある特定の実施形態では、試験画像の反射および透過強度は、帯域制限されたマスク増幅機能と呼ばれる線形項のみで表されることが可能である。この機能の一例は、方程式1(Equation 1)に表される。
【数1】
式中、a
Rは、前景トーンと背景トーンとの差の複素反射振幅であり、I
T(x,y)は、検査システムを使用して、マスクの透過強度画像を説明し、C
Tは、マスクの背景トーンの複素透過振幅であり(たとえば、石英(クォーツ)およびクロム・バイナリマスクにおいて、C
Tは、クロムパターンの特性を説明することができる)、a
Tは、マスク前景トーンと背景トーンとの差の複素透過振幅であり(たとえば、上のように同じマスクを使用して)、a
Tは、石英とクロムとの差の光特性を説明することができ、当然のことながらC
Tおよびa
Tは、説明された材料層の特性に依存して変化する)、I
R(x,y)は、検査システムを使用して、マスクの反射強度画像を説明し、C
Rは、マスクの背景トーンの複素反射振幅であり、a
Rは、マスク前景トーンと背景トーンとの差の複素反射振幅であり、Re(x)は、xの実際の構成要素を表し、P(x,y)は、検査されるフォトマスクのマスクパターンを定義し、Eiおよびλiは、検査具に関連した透過交差係数(TCC)結像マトリクスの関連した素子の固有ベクトルおよび固有値のそれぞれを指し、Diは、Eiの直列利得である。
【0034】
帯域制限されたマスクパターンM(x,y)は、関数
【数2】
でコンボリューションしたマスクパターンP(x,y)によって定義され、
【数3】
は、「回復カーネル」と呼ばれる。したがって、帯域制限されたマスクパターンは、マスクパターン関数P(x,y)の修正版である。
【0035】
次いで帯域制限されたマスクパターンを動作208において使用して、モデル化された試験空中画像および/またはモデル化された試験レジスト画像などの、モデル化された試験画像を生成する。モデル化された画像は、シミュレーション画像と呼ばれる場合もある。リソグラフおよび/またはフォトレジスト・システムモデルは、この目的のために提供される。リソグラフ・システムモデルには、リソグラフおよび検査システムの開口数、リソグラフおよび検査システムに使用される波長、リソグラフおよび検査システムに使用される照射条件、ならびに他のリソグラフおよび検査パラメータが含まれてもよい。たとえば、米国特許出願第11/622,432号にさらに説明されているように、リソグラフ・システムモデルの基礎カーネルは、回復されたマスクパターンの帯域制限された本質に起因する、リソグラフ・システムの通過帯域内のあらゆるロールオフを取り消すために調節されてもよい。修正されたコヒーレント基盤の組を定義する関数(Fi(x,y))を使用して、リソグラフ・システムモデル内の帯域制限されたマスクパターンを実装するために、修正されたTCCマトリクスを説明する。リソグラフ・システムのためのTCCマトリクスは、多くの項を含んでもよい。しかし、ほとんどの光強度は第1の数項に表されるので、正確な見積りが、それらの項(たとえば、最初の10項など)のみを使用して得ることができる。したがって、必要に応じて、打ち切られたモデルを利用して、コンピュータの負担を著しく低減することができる。ユーザは、それぞれの特定のフォトマスク検査アプリケーションに必要な、級数内の項数をとることにより、所望の精度を得られる。全体として、リソグラフ・システムモデルのアプリケーションにより、モデル化された試験画像内の印刷不可能な特徴のリソグラフ効果を捕捉することが可能になる。
【0036】
ある特定の実施形態では、モデル化された試験画像を構成することは、帯域制限されたマスクパターンの光強度分布に基づいて、印刷可能な特徴から印刷不可能な特徴を分離させる。たとえば、印刷不可能な特徴は、モデル化された画像内に現れなくてもよい。また、方法は、幾何学の特徴を、縁部、角部、および線端などの1つまたは複数の幾何学の特徴のタイプに分類するために、帯域制限されたマスクパターンに基づいて構成することであってもよい。さらに、リソグラフによる重大欠陥を識別する工程は、異なる検出閾値を幾何学マップの異なる幾何学の特徴のタイプに適用することによって、高められることができる。
【0037】
リソグラフおよび/またはフォトレジストのモデリングは、数を実質的に低減するか、または得られるシミュレーション画像からリソグラフによる重大欠陥を完全に除去する。このような欠陥は「ニューサンス欠陥」とも呼ばれ、印刷パターンにはほとんど、またはまったく影響を及ぼさない。本開示の目的のために、リソグラフによる重大欠陥は、最終印刷パターンにおいてリソグラフの重要性を有するこれらの欠陥として定義される。すなわち、該一部の欠陥(「ニューサンス欠陥」)は、マスク内に現れるが、フォトレジスト層に転送される印刷パターンに重大な影響はない。例には、大部分が無関係であるような小さい(またはパターンのリソグラフによる感受性のない部分上の)欠陥が含まれる。また、欠陥は、基板の比較的欠陥の感受性のない部分に形成される可能性がある。場合によっては、欠陥は、補助またはOPC特徴(または他の解像度向上特徴)上に形成される可能性があるが、最終印刷パターンに影響を与えない。したがって、リソグラフによる重大欠陥は、マスク上に存在する欠陥であり、リソグラフによる転送されたパターンに重大な影響を与える可能性がある。このようなリソグラフによる重大欠陥は、回路故障、準最適性能などに関係する問題を引き起こす可能性がある。
【0038】
工程は、前の動作で獲得した1つまたは複数のモデル画像に基づいて、210においてモデルベースの特徴マップの構築を続ける。モデルベースの特徴マップは、異なるタイプの特徴、たとえば、印刷可能な特徴、および印刷不可能な特徴を含む、フォトマスクの様々な領域を定義する。一例では、モデルベースの特徴マップは、モデル化された画像内で捕捉された情報に基づいて、それらのリソグラフの重要性に従ってフォトマスク特徴を含む領域を分類する。たとえば、主要特徴を含む領域は、1つのタイプに属してもよい一方で、SRAFを含む領域は、異なるタイプに属してもよい。具体例では、印刷特徴を含む領域は、帯域内特徴と呼ばれる。非印刷特徴を含む領域は、帯域外特徴と表示が付けられる。帯域内特徴は、検査される特徴のサイズおよび位置合わせの変形形態を構成することがある、一部の追加領域を確立するために、フォトマスク上のより大きい領域を網羅するように拡大(拡張)されることが可能である。特徴マップ上の帯域内領域は、特徴マップ上のこれらの帯域外領域をより高感度で検査されることになる。
【0039】
モデルベースの特徴マップにより、2つの異なる画像(たとえば、試験画像および基準画像)から2つの対応する領域を比較することが可能になる。異なる検査パラメータは、リソグラフの重要性および他の特徴に基づいた領域の異なる組に適用されてもよい。この手法により、たとえば、高いリソグラフの重要性、重度の欠陥の傾向、および/または何らかの他の基準内の減少を有する、モデルベースの特徴マップの領域に、検査資源の焦点を合わせることが可能になる。同時に、検査資源は、保存される一方で、他の重要性の低い領域を検査する。このことは、動作214において以下にさらに説明される。モデルベースの特徴マップは、また、リソグラフの印刷中の光インターフェース効果、およびリソグラフ・システムの他の特徴からなる、モデル化された画像、たとえば、空中画像から生成される。これらの特徴は、フォトマスク特徴のリソグラフの重要性に影響を与える可能性があり、フォトマスク特徴のリソグラフの重要性は、フォトマスクおよび/またはデータベースから獲得された試験画像および基準画像から直接明らかにならない。
【0040】
さらに、本明細書に記載されたフォトマスクの検査方法は、特徴マップの異なる領域に対して、マスクエラー増大因子(MEEF)からなってもよい。たとえば、通常のフォトマスクは、4倍(または10倍)に拡大される、最終ICの事前修正された画像を含む。この要因はパターン感度を結像誤差に変えるのに役立つ一方で、現代のIC回路の小さいサイズの特徴(たとえば、22ナノメートル以下)は、リソグラフの露出中に光ビーム散乱により悪影響を受ける。したがって、MEEFは、場合によっては1を超える、たとえば、4Xのフォトマスクを使用して露出されたウエハ上の寸法不良は、フォトマスク上の寸法不良の4分の1より大きくてもよい。ある特定の実施形態では、モデルベースの特徴マップ内のMEEFの価値獲得は、対応する画像領域に対して検出閾値の自動調節に使用される。たとえば、大きいMEEF値の領域は、より低いMEEF値の領域より注意深く検査されることが可能である。この動作は、自動方式で実施されてもよい。
【0041】
さらに、フォトマスクの検査方法は、1つまたは複数のユーザ定義の検出閾値を提供することであってもよい。たとえば、主要特徴を含むモデルベースの特徴マップ領域は、1つの検出閾値に割り当てられてもよい一方で、SRAFを含む領域は、より低い閾値に割り当てられてもよい。この区別を使用して、検査資源を最適化できる。
【0042】
動作212の間、幾何学特徴は、マスクパターン情報に基づいて分類されてもよい。たとえば、方法は、帯域制限されたマスクパターンに基づいて、幾何学マップを構成することであってもよい。幾何学マップは、以下の分類、すなわち、縁部、角部、線端部、および他の特徴を含んでもよい。検査中、フォトマスク特徴は、それに応じて分類され、ある特定の実施形態では、異なる検出閾値は、異なる特徴分類に適用される。
【0043】
動作214では、元の試験画像は、モデルベースの特徴マップ内に含まれる情報に基づいて、基準画像と比較される。たとえば、試験画像および基準画像は、モデルベースの特徴マップで識別される複数の領域に分割されてもよい。試験画像領域および対応する基準画像領域を含む領域の各組は、個別に検査されてもよい。MEEF、ユーザ定義の閾値、幾何学マップ、および各領域に対して特有な他の情報は、この動作に使用されてもよい。換言すると、試験画像を分析することは、試験画像の一部および基準画像の対応する一部を識別すること、ならびにそれぞれの識別された部分に対してこれらの画像内のあらゆる相違点を識別することであってもよい。具体的な一実施形態では、相違点は、位置合わせされた試験透過画面と位置合わせされた基準透過画面との間、および位置合わせされた試験反射画像と位置合わせされた基準反射画像との間で識別される。
【0044】
ある特定の実施形態では、検査は、複数のトーンマスクに同様に適用される。このようなマスクの一例は、最も暗い領域(たとえば、クロムまたは不透明な領域)、および2つの間の暗部を有するグレースケール領域のパターンをもつ石英または最も明るい領域を有する3トーンマスクである。このようなグレースケール領域は、多くの方法で(たとえば、EPSM材料などを使用して)獲得することができる。この場合、マスクは、個別に分析される2つの異なるマスクとして処理される。たとえば、3トーンマスクは、上述と同じモデルを使用して処理されることが可能である。しかし、3トーンマスクは、前景として処理されたグレースケールパターン(たとえば、EPSM材料)とともに背景パターン(たとえば、クロム)を有するマスクとして処理されることが可能である。画像は、同じ方程式および工程動作を使用して、上述のように処理されることが可能である。第2の分析は、背景パターンとしてのEPSM材料、および前景として処理される最も明るいパターン(たとえば、石英)を使用して、マスク上で実行される。位置合わせは、それぞれの材料が、画像を位置合わせするために使用できる、異なる縁効果を実証する実質的に異なる特性を有するので、容易に達成できる。次に、マスクパターンは合計され、次いでダイツーダイまたはダイツーデータベース比較における基準と比較されて、プロセスウィンドを通してウエハパターンの正確性を検証し、リソグラフによる重大欠陥を識別することができる。
【0045】
「結論」
前述の発明は、理解しやすいために多少詳しく説明したが、ある種の変更形態および修正形態が添付の特許請求の範囲内で実行されてもよいことは明らかであろう。本発明の工程、システム、および装置を実行する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、例示であり限定ではないとみなされるべきであり、本発明は、本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではない。