【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
<分析方法>
トリアシルグリセロール含有量は、AOCS Ce5−86に準じて測定した。
各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じて測定した。
【0026】
<原料油脂の調製>
〔MCT1〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn−オクタン酸(炭素数8)とn−デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が75:25であるMCT(日清オイリオグループ株式会社製)を、MCT1とした。
〔MCT2〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn−オクタン酸であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製)をMCT2とした。
〔MCT3〕:トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸がn−オクタン酸(炭素数8)とn−デカン酸(炭素数10)であり、その質量比が30:70であるMCT(日清オイリオグループ株式会社社内製)をMCT3とした。
〔植物油脂1〕:パーム中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂1とした。
〔植物油脂2〕:パーム核油(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量46.1質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂2とした。
〔植物油脂3〕:ヤシ硬化油(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量47.2質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂3とした。
〔植物油脂4〕:ヤシ油とパーム油とを質量比15:85で混合した油脂(日清オイリオグループ株式会社社内製、ラウリン酸含有量7.1質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂4とした。
〔エステル交換油1(IE1)〕:パーム油65質量部と菜種油35質量部とを混合した後、1,3選択性有するリパーゼ製剤を対油0.5質量%添加し、60℃で16時間エステル交換反応を行った。反応終了後、リパーゼ製剤をろ過で除去し、常法の精製方法に従って、脱色、脱臭処理してエステル交換油1(IE1、日清オイリオグループ株式会社社内製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を得た。
〔エステル交換油2(IE2)〕:パーム油60質量部とパーム核油40質量部とを混合した混合油を、減圧下120℃に加熱することにより十分に乾燥させた後、対油0.1質量%のナトリウムメチラートを添加し、減圧下、110℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。反応終了後、ナトリウムメチラートを水洗除去し、常法の精製方法に従って、脱色、脱臭して、エステル交換油2(IE2、日清オイリオグループ株式会社社内製、ラウリン酸含有量18.2質量%、MCT含有量0質量%)を得た。
【0027】
表1〜2の配合に従って、例1〜12の油脂を調製した。
【0028】
【表1】
*;表中の数値は質量%
【0029】
【表2】
*;表中の数値は質量%
【0030】
<アイスクリームの製造>
以下の製造手順1〜6により、表3に示す配合に従って、例1〜例12の油脂をそれぞれ使用したクリーム(アイスクリームミックス)を製造した。出来上がったクリームは、5℃で1日エージングした後、アイスクリーマーにてフリージングし、カップに充填した後、−20℃で1日以上保管した。
製造手順
1.水相原料および油相原料をそれぞれ別々の容器を用いて、70℃で加熱混合溶解した。
2.1で調製した水相原料を撹拌しながら、そこに1で調製した油相原料を徐々に加え混合した。
3.80度まで加熱して殺菌した。
4.ホモミキサーにて予備乳化を行った(4000rpm、10分)
5.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目100kg/cm
2、2段目10kg/cm
2)。
6.氷水浴を用いて5℃まで冷却して、O/Wクリームを得た。
【0031】
【表3】
アイスクリーム中の無脂乳固形分含有量7.62質量%
アイスクリーム中の全油脂含有量と無脂乳固形分含有量との質量比=60.1:39.9
【0032】
<アイスクリームの風味評価>
上記で製造した例1〜例12の油脂を使用したアイスクリームついて、以下の基準に従って、パネラー5名により乳様の風味の評価を行った。結果を表1、2に示した。
乳様の風味の評価基準
◎:例1と比較して有意に乳様の風味の強さを感じる
○:例1と比較して乳様の風味の強さを感じる
△:例1と比較して僅かに乳様の風味の強さを感じる
▲:例1と比較して極僅かに乳様の風味の強さを感じる
×:例1と比較して乳様の風味を感じない
【0033】
表4の配合に従って、例13〜16の油脂を調製した。
【0034】
【表4】
*;表中の数値は質量%
【0035】
<ホイップクリームの製造>
以下の製造手順1〜6により、表5に示す配合に従って、例13〜例16の油脂をそれぞれ使用したホイップクリームを製造した。5℃で1日エージングした後、ホイップクリームに対して7質量%の砂糖を加えて泡立てた後、風味評価を実施した。
製造手順
1.水相原料および油相原料をそれぞれ別々の容器を用いて、70℃で加熱混合溶解した。
2.1で調製した水相原料を撹拌しながら、そこに1で調製した油相原料を徐々に加え混合した。
3.80度まで加熱して殺菌した。
4.ホモミキサーにて予備乳化を行った(4000rpm、10分)
5.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目50kg/cm
2、2段目10kg/cm
2)。
6.氷水浴を用いて5℃まで冷却して、ホイップクリームを得た。
【0036】
【表5】
ホイップクリーム中の無脂乳固形分含有量4.29質量%
ホイップクリーム中の全油脂含有量と無脂乳固形分含有量との質量比=91.2:8.8
【0037】
<ホイップクリームの風味評価>
上記で製造した例13〜例16の油脂を使用したホイップクリームついて、以下の基準に従って、パネラー5名により乳様の風味の評価を行った。結果を表4に示した。
乳様の風味の評価基準
◎:例13と比較して有意に乳様の風味の強さを感じる
○:例13と比較して乳様の風味の強さを感じる
△:例13と比較して僅かに乳様の風味の強さを感じる
▲:例13と比較して極僅かに乳様の風味の強さを感じる
×:例13と比較して乳様の風味を感じない
【0038】
表6の配合に従って、例17〜18の油脂を調製した。
なお、原料油脂として、さらに以下のものを使用した。
〔植物油脂5〕:パーム油(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂5とした。
〔植物油脂6〕:ヤシ油(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量47.2質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂6とした。
〔植物油脂7〕:紅花油(日清オイリオグループ株式会社社内製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂7とした。
【0039】
【表6】
*;表中の数値は質量%
【0040】
<コーヒーホワイトナーの製造>
以下の製造手順1〜6により、表7に示す配合に従って、例17、18の油脂をそれぞれ使用したコーヒーホワイトナーを製造した。5℃で1日エージングした後、コーヒーホワイトナーの風味評価を実施した。
製造手順
1.水相原料および油相原料をそれぞれ別々の容器を用いて、70℃で加熱混合溶解した。
2.1で調製した水相原料を撹拌しながら、そこに1で調製した油相原料を徐々に加え混合した。
3.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目200kg/cm
2、2段目50kg/cm
2)。
4.85度10分間の加熱殺菌を行った。
5.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目150kg/cm
2、2段目50kg/cm
2)。
6.氷水浴を用いて30℃まで冷却して、コーヒーホワイトナーを得た。
【0041】
【表7】
コーヒーホワイトナー中の無脂乳固形分含有量4.0質量%
コーヒーホワイトナー中の全油脂含有量と無脂乳固形分含有量との質量比=86.2:13.8
【0042】
<コーヒーホワイトナーの風味評価>
インスタントコーヒー2gに熱湯100gを注いだコーヒーに、上記で製造した例17、18の油脂を使用したコーヒーホワイトナーを5g添加して撹拌した後、以下の基準に従って、パネラー5名により乳様の風味の評価を行った。結果を表6に示した。
乳様の風味の評価基準
◎:例17と比較して有意に乳様の風味の強さを感じる
○:例17と比較して乳様の風味の強さを感じる
△:例17と比較して僅かに乳様の風味の強さを感じる
▲:例17と比較して極僅かに乳様の風味の強さを感じる
×:例17と比較して乳様の風味を感じない
【0043】
表8の配合に従って、例19〜20の油脂を調製した。
なお、原料油脂として、さらに以下のものを使用した。
〔植物油脂8〕:パームステアリン(日清オイリオグループ株式会社内製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂8とした。
〔植物油脂9〕:菜種油(日清オイリオグループ株式会社製、ラウリン酸含有量0質量%、MCT含有量0質量%)を植物油脂9とした。
〔バターオイル1〕:バターオイル(日清オイリオグループ株式会社社内製、ラウリン酸含有量2.6質量%、MCT含有量0質量%)をバターオイル1とした。
【0044】
【表8】
*;表中の数値は質量%
【0045】
<マーガリンの製造>
以下の製造手順1〜4により、表9に示す配合に従って、例19、20の油脂をそれぞれ使用したマーガリンを製造した。5℃で1日エージングした後、風味評価を実施した。
製造手順
1.水相原料および油相原料をそれぞれ別々の容器を用いて、70℃で加熱混合溶解した。
2.1で調製した油相原料を撹拌しながら、そこに1で調製した水相原料を徐々に加え混合した。
3.80度まで加熱して殺菌した。
4.オンレーターを使用して常法のとおりに急冷混練を行った。
【0046】
【表9】
*調整食用脂はバター69質量%およびパーム油31質量%含有品
マーガリン中の無脂乳固形分含有量1.11質量%
マーガリン中の全油脂含有量と無脂乳固形分含有量との質量比=98.7:1.3
【0047】
<マーガリンの風味評価>
上記で製造した例19、20の油脂を使用したマーガリンついて、以下の基準に従って、パネラー5名により乳様の風味(乳脂肪の味の強さ)評価を行った。結果を表8に示した。
乳様の風味の評価基準
◎:例19と比較して有意に乳脂肪の味の強さを感じる
○:例19と比較して乳脂肪の味の強さを感じる
△:例19と比較して僅かに乳脂肪の味の強さを感じる
▲:例19と比較して極僅かに乳脂肪の味の強さを感じる
×:例19と比較して乳脂肪の味が少ない