特許第5906196号(P5906196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5906196イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させる方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906196
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 27/02 20060101AFI20160407BHJP
   H01J 37/317 20060101ALI20160407BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20160407BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20160407BHJP
【FI】
   H01J27/02
   H01J37/317 Z
   H01J37/08
   H01L21/265 603A
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-555205(P2012-555205)
(86)(22)【出願日】2011年2月26日
(65)【公表番号】特表2013-521596(P2013-521596A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】US2011026388
(87)【国際公開番号】WO2011106750
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】61/308,428
(32)【優先日】2010年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/390,715
(32)【優先日】2010年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カイム,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,ジョセフ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アヴィラ,アンソニー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】レイ,リチャード,エス.
【審査官】 桐畑 幸▲廣▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−095820(JP,A)
【文献】 特開平07−065761(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/121549(WO,A1)
【文献】 特開平03−165443(JP,A)
【文献】 特開平08−288233(JP,A)
【文献】 特表2011−502923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 27/02
H01J 37/08
H01J 37/317
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源にドーパント組成物を流す工程と、
前記イオン源において前記ドーパント組成物からイオンドーパント種を発生する工程と、
前記イオンドーパント種を基板中に注入する工程と、
を含むイオン注入方法であって、前記ドーパント組成物が、ドーパントガスおよび補給ガスを含み、前記補給ガスが希釈ガスおよび共通種ガスの少なくとも1つを含み、かつ、前記ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている、方法
【請求項2】
前記ドーパント組成物が、質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つのゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮された1種以上のゲルマニウム化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーパント組成物が、同位体濃縮されたゲルマンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドーパント組成物が、同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ドーパント組成物が、同位体濃縮されたゲルマンおよび同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記補給ガスが、アルゴン、水素、窒素、ヘリウム、アンモニア、フッ素、およびキセノンからなる群から選択される1種以上の希釈ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記補給ガスが、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択される1種以上の共通種ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパントガスが、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ドーパント組成物が、
(i)キセノン、水素、および同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム;
(ii)ゲルマンおよび同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム;
(iii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよび同位体濃縮されたゲルマン;
(iv)キセノン、水素、および同位体濃縮された三フッ化ホウ素;
(v)ジボランおよび同位体濃縮された三フッ化ホウ素;ならびに
(vi)同位体濃縮された三フッ化ホウ素および同位体濃縮されたジボラン
からなる群から選択されるドーパントガス配合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ドーパントガスと補給ガスとを含むドーパント組成物であって、前記補給ガスが、希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、かつ、前記ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが、同位体濃縮され、但し、前記ドーパント組成物の同位体濃縮されたドーパントガスまたは共通種ガスが、質量数72のゲルマニウム同位体が同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムからなる場合、前記同位体濃縮レベルが、質量数72のゲルマニウム同位体の場合で51.6%を超える、ドーパント組成物。
【請求項11】
質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つのゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮された1種以上のゲルマニウム化合物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
同位体濃縮されたゲルマンおよび四フッ化ゲルマニウムの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ドーパントガスが、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記補給ガスが、アルゴン、水素、窒素、ヘリウム、アンモニア、フッ素、キセノン、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択される少なくとも1種のガスを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記ドーパント組成物が、
(i)キセノン、水素、および同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム;
(ii)ゲルマンおよび同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム;
(iii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよび同位体濃縮されたゲルマン;
(iv)キセノン、水素、および同位体濃縮された三フッ化ホウ素;
(v)ジボランおよび同位体濃縮された三フッ化ホウ素;
(vi)同位体濃縮された三フッ化ホウ素および同位体濃縮されたジボラン、
(vii)キセノンおよび同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム、ならびに
(viii)水素および同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム
からなる群から選択される組成物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
イオン注入システムのためのガス供給装置であって、
(i)質量数72のゲルマニウムが55%〜100%の範囲の濃度に同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含むドーパント源ガスを保持する、第一のガス保管および分配のための容器と、
(ii)希釈ガスと共通種ガスとのうちの少なくとも1つを含む補給ガスを保持する、第二のガス保管および分配のための容器とを備え、
前記ドーパント源ガスが、吸着状態、遊離の気体状態、または液化ガス状態で、第一のガス保管および分配のための容器内に保持されている、ガス供給装置。
【請求項17】
前記補給ガスが水素を含む、請求項16に記載のガス供給装置。
【請求項18】
前記補給ガスがキセノンを含む、請求項16に記載のガス供給装置。
【請求項19】
イオン注入システムの作業を向上させる方法であって、当該イオン注入システムにおける使用のために、請求項16〜18のいずれか1項に記載のガス供給装置を提供することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づき、“METHOD AND APPARATUS FOR ENHANCED LIFETIME AND PERFORMANCE OF ION SOURCE IN AN ION IMPLANTATION SYSTEM”でRobert Kaimらにより2010年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/308,428号、および“METHOD AND APPARATUS FOR ENHANCED LIFETIME AND PERFORMANCE OF ION SOURCE IN AN ION IMPLANTATION SYSTEM”でRobert Kaimらにより2010年10月7日に出願された米国仮特許出願61/390,715号の優先権の利益を主張する。上記の米国仮特許出願第61/308,428号および第61/390,715号の開示は、あらゆる目的でそれらそれぞれの記載内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させるための、ドーパントおよびドーパントガス混合物を使用したイオン注入に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体の製造において実施されているイオン注入は、マイクロエレクトロニクスデバイスのウエハなどの基板上への化学種の堆積を、基板上にそのような化学種のエネルギーイオンを衝突させることによって行うことを含む。イオン注入種を生成するために、たとえばドーパント種のハロゲン化物または水素化物を含むことができるドーパントガスのイオン化が行われる。このイオン化は、イオンビームを発生させるためにイオン源を使用して行われる。
【0004】
イオン源において発生すると、そのイオンビームは、抽出、磁気フィルタリング、加速/減速、アナライザマグネット処理、コリメーション、走査、および磁気補正によって処理されて、基板上に衝突する最終イオンビームが得られる。
【0005】
誘導加熱陰極イオン源、Freeman型、Bernas型、および種々のその他のものなどの様々な種類のイオン源が開発されているが、使用されるイオン源の個別の種類とは無関係に、イオン源は、イオン源の停止、保守、または修復が必要となる「グリッチ(glitching)」またはその他の障害が起こることなく、長時間の連続運転が可能である必要がある。したがって、イオン源の寿命は、システムの効率的で費用対効果の高い運転に関して、イオン注入システムの重要な性質の1つである。
【0006】
イオンの熱イオン放出に悪影響が生じて、アーク電流の低下、イオン源の性能の低下および寿命の短縮が起こる陰極表面上への堆積物の蓄積、ならびにアークチャンバー中での遊離のフッ素の発生によって生じる四フッ化ゲルマニウムなどのドーパントガスによる有害なエッチング反応、ならびに陰極材料のストリッピングまたはスパッタリングによる陰極の物理的完全性の低下、およびその結果生じるイオン源の性能の低下と寿命の短縮などの、種々の原因によってイオン源の故障が生じる。
【0007】
イオン源の故障を回避し、イオン源の運転効率および寿命を高レベルで維持することが必要な結果、当技術分野では、イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能を向上させる努力を絶えず行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、イオン注入システムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法においてイオン源の寿命および性能を向上させるための方法および装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様においては、本開示は、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源にドーパント組成物を流す工程を含むイオン注入方法であって、ドーパント組成物が、
(i)質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物であって、前記少なくとも1つのゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルが、質量数70のゲルマニウム同位体の場合で21.2%を超え、質量数72のゲルマニウム同位体の場合で27.3%を超え、質量数73のゲルマニウム同位体の場合で7.9%を超え、質量数74のゲルマニウム同位体の場合で37.1%を超え、質量数76のゲルマニウム同位体の場合で7.4%を超え、但し、ドーパント組成物が、質量数72のゲルマニウム同位体が同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムからなる場合、前記同位体濃縮レベルが、質量数72のゲルマニウム同位体の場合で51.6%を超える、ゲルマニウム化合物と;
(ii)ドーパントガスおよび補給ガスを含むドーパントガス配合物であって、補給ガスが希釈ガスおよび共通種ガス(co-species gas)の少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている、ドーパントガス配合物と、
からなる群から選択される、イオン注入方法に関する。
【0010】
別の一態様においては、本開示は、上述の種類のイオン注入方法におけるイオン源の運転方法であって:
前記ドーパント組成物中に含まれる異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す工程と;
前記異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す間のイオン源の運転中の陰極バイアス電力を監視する工程と;
イオン源、陰極、および/またはイオン源の1つ以上の他の構成要素の運転寿命を延長するために、監視した陰極バイアス電力に応じて、前記逐次供給されるドーパント組成物の少なくとも1つを調節する工程と、
を含むイオン源の運転方法に関する。
【0011】
本開示のさらなる一態様は、ドーパント供給材料からイオン注入用のイオンドーピング種を発生させるために配置されたイオン源の性能および寿命を改善する方法であって、本開示のイオン注入方法に関連して前述したようなドーパント組成物から前記イオンドーピング種を発生させる工程を含む方法に関する。
【0012】
本開示は、別の一態様において、イオン源と、ドーパント組成物を前記イオン源に供給するために配置されたドーパント組成物源とを含むイオン注入システムであって、前記ドーパント組成物源が、本開示のイオン注入方法に関連して前述したようなドーパント組成物を含む、イオン注入システムに関する。
【0013】
本開示の別の一態様は、内部容積を有する容器と、内部容積中のドーパント供給材料とを含むドーパント供給材料装置であって、ドーパント供給材料が、本開示のイオン注入方法に関連して前述したようなドーパント組成物を含むドーパント供給材料装置に関する。
【0014】
本開示のさらなる一態様は、ゲルマニウムイオンを基板中に注入するイオン注入システム中の供給源の寿命およびターボポンプの寿命の少なくとも1つを増加させる方法であって、前記イオン注入システムのイオン化室中のゲルマニウム含有ドーパントガスをイオン化する工程を含み、前記ゲルマニウム含有ドーパントガスが、ゲルマンと、水素、アルゴン、窒素、およびヘリウムの1つ以上との混合物を含み、前記ドーパントガスは、任意選択により、少なくとも1つの同位体Ge種が同位体濃縮されている、方法に関する。
【0015】
本開示のさらに別の一態様は、四フッ化ゲルマニウムがイオン源に導入されてイオン化される、イオン注入システム中のイオン源の寿命を増加させる方法であって、アンモニアを前記四フッ化ゲルマニウムとともにイオン源に導入する工程を含み、前記四フッ化ゲルマニウムは、任意選択により、少なくとも1つのGe同位体種が同位体濃縮されている、方法に関する。
【0016】
本開示のさらなる一態様は、ドーパントガスと補給ガスとを含むドーパントガス組成物であって、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている、ドーパントガス組成物に関する。
【0017】
別の一態様においては、本開示は、
異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す工程と;
前記異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す間のイオン源の運転中の陰極バイアス電力を監視する工程と;
イオン源、陰極、および/またはイオン源の1つ以上の他の構成要素の運転寿命を延長するために、監視した陰極バイアス電力に応じて、前記逐次供給されるドーパント組成物の少なくとも1つを調節する工程と、
を含む、イオン源の運転方法に関する。
【0018】
本開示のさらなる一態様は、
ドーパント材料をイオン源に流す工程と;
前記ドーパント材料をイオン源に流す間のイオン源の運転中の陰極バイアス電力を監視する工程と;
監視した陰極バイアス電力に応じて、洗浄剤または析出剤(cleaning or deposition agent)をイオン源に流さなかった対応するイオン源よりも、イオン源、陰極、および/またはイオン源の1つ以上の他の構成要素の運転寿命を延長するために、洗浄剤または析出剤をイオン源に流す工程と、
を含む、イオン源の運転方法に関する。
【0019】
本開示の別の態様、特徴、および実施形態は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一態様によるイオン注入プロセスシステムの概略図である。
図2】本開示の別の一態様によるイオン注入プロセスシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、イオン注入システムのイオン源の寿命(耐用寿命)および性能を改善するための、同位体濃縮されたドーパントおよび/または補給材料の使用に関する。
【0022】
本明細書において使用される場合、文脈が明らかに別のことを意味するのでなければ、単数形”a”、”and”、および”the”は複数の指示対象を含んでいる。
【0023】
本開示の特徴、態様、および実施形態に関して本明細書において様々に記載されるように本開示は、特定の実施において、このような特徴、態様、および実施形態の一部またはすべてを含む、からなる、またはから本質的になるとして構成されることができ、それらの要素および構成要素を組み合わせることで、本発明の種々のさらなる実施を構成することができる。本開示は、本明細書において種々の実施形態において説明され、本発明の種々の特徴および態様を参照して説明される。本開示は、本開示の範囲内となる種々の並べ替えおよび組み合わせでのこのような特徴、態様、および実施形態が意図される。したがって、これらの特定の特徴、態様、および実施形態、あるいはそれらから選択される1つ以上のそのような組み合わせおよび並べ替えのいずれかを含む、からなる、またはから本質的にあるとして、本開示を規定することができる。
【0024】
本開示の化合物、組成物、特徴、工程、および方法は、本明細書に記載の種々のそれらの規定および例示に関して適用可能な特定の置換基、同位体、部分、構造、構成要素、特性、工程、または条件を排除する条件または制限によって、特定の実施形態においてさらに規定することができる。
【0025】
本開示のイオン注入システムおよび方法は、このような同位体濃縮されたドーパントおよび/または補給材料を用いることで、このような同位体濃縮されたドーパントおよび/または補給材料を用いない対応するイオン注入システムおよび方法よりも向上したイオン源の寿命および性能が実現される。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「ドーパントガス」は、ドーパント種、すなわちイオン注入基板中に注入される化学種を含み、水素化物、ハロゲン化物、有機、またはその他の部分などの非ドーパント成分に配位または会合している気相材料を意味する。ドーパントガスの例には、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、シラン、ホスフィン、およびアルシンが含まれる。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「補給ガス」は、希釈ガスまたは共通種ガスを意味する。
【0028】
希釈ガスは、ドーパント種を含有しないガスであり、希釈ガスが存在しないドーパントガスを処理する対応するイオン源の寿命および性能と比較して、そのような希釈ガスを含有するドーパントガスとの混合物を処理するイオン源の寿命および性能を改善するのにドーパントガスとの混合物中で有効である。例示的な希釈ガスの例には、水素、アルゴン、フッ素、およびキセノンが含まれる。
【0029】
共通種ガスは、ドーパントガスと同じドーパント種を含有するガスであり、このような同じドーパント種は、ドーパントガスの非ドーパント成分とは異なる非ドーパント成分に配位または会合している。
【0030】
たとえば、ドーパントガスは四フッ化ゲルマニウムであってよく、共通種ガスはゲルマンGeHであってよい。
【0031】
一態様における本開示は、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源にドーパント組成物を流す工程を含むイオン注入方法であって、ドーパント組成物が、
(i)質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物であって、前記少なくとも1つのゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルが、質量数70のゲルマニウム同位体の場合で21.2%を超え、質量数72のゲルマニウム同位体の場合で27.3%を超え、質量数73のゲルマニウム同位体の場合で7.9%を超え、質量数74のゲルマニウム同位体の場合で37.1%を超え、質量数76のゲルマニウム同位体の場合で7.4%を超え、但し、ドーパント組成物が、質量数72のゲルマニウム同位体が同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムからなる場合、前記同位体濃縮レベルが、質量数72のゲルマニウム同位体の場合で51.6%を超える、ゲルマニウム化合物と;
(ii)ドーパントガスおよび補給ガスを含むドーパントガス配合物であって、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている、ドーパントガス配合物と、
からなる群から選択される、イオン注入方法に関する。
【0032】
このような方法の種々の実施形態においては、ドーパント組成物は、質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つのゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物からなる群から選択することができる。したがってドーパント組成物は:質量数70のゲルマニウム同位体が21.2%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が27.3%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が51.6%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数73のゲルマニウム同位体が7.9%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数74のゲルマニウム同位体が37.1%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;または質量数76のゲルマニウム同位体が7.4%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物を含むことができる
【0033】
他の実施形態における方法は、四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマンの少なくとも1つを含むゲルマニウム化合物を用いて実施することができる。たとえば、ゲルマニウム化合物は四フッ化ゲルマニウムを含むことができ、その四フッ化ゲルマニウム中のゲルマニウムは:21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;27.3%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;51.6%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有することができる。
【0034】
本開示のさらに別の実施形態は、ドーパント組成物がゲルマンを含み、そのゲルマン中のゲルマニウムが:21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;51.6%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有する場合に行うことができる。
【0035】
以上に大まかに説明したイオン注入方法は、別の実施形態においては、ドーパント組成物が、ドーパントガスおよび補給ガスを含むドーパントガス配合物からなる群から選択され、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている場合に実施することができる。種々の実施形態においては、このような同位体濃縮されているドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つは、質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つのゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物からなる群から選択することができる。このような同位体濃縮されたゲルマニウム化合物の説明的な例には:質量数70のゲルマニウム同位体が21.2%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が27.3%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が51.6%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数73のゲルマニウム同位体が7.9%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数74のゲルマニウム同位体が37.1%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;および質量数76のゲルマニウム同位体が7.4%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物が含まれる。
【0036】
イオン注入方法の種々の実施において、ドーパント組成物は、四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマンの少なくとも1つを含むことができる。たとえば、ドーパント組成物は、ゲルマニウムが:21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;27.3%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;51.6%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有する四フッ化ゲルマニウムを含むことができる。
【0037】
あるいは、ドーパント組成物は、ゲルマニウムが:21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;27.3%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有するゲルマンを含むことができる。
【0038】
本発明の方法の別の実施形態においては、補給ガスは、希釈ガス、たとえばアルゴン、水素、フッ素、およびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つのガス種を含むことができる。さらに別の実施形態は、共通種ガスを含む補給ガスを含むことができる。
【0039】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランの少なくとも1つを含むドーパント組成物が使用される。
【0040】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択されるドーパントガスと、アルゴン、水素、フッ素、およびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つの希釈ガス種を含む希釈ガスとが使用される。
【0041】
本発明の方法の別の実施形態におけるドーパント組成物は、
(i)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム、ならびにキセノンおよび水素;
(ii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマン;
(iii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよび同位体濃縮されたゲルマン;
(iv)同位体濃縮された三フッ化ホウ素、ならびにキセノンおよび水素;
(v)同位体濃縮された三フッ化ホウ素およびジボラン;ならびに
(vi)同位体濃縮された三フッ化ホウ素および同位体濃縮されたジボラン、
からなる群から選択されるドーパントガス配合物を含む。
【0042】
本発明の方法の種々の実施形態において、ドーパントガスおよび共通種ガスは、互いの混合物として、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源に流される。本発明の方法の別の実施形態は、ドーパントガスおよび共通種ガスが、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源に逐次流されて行われる。
【0043】
本開示のイオン注入方法において、一実施形態でのイオン源は、前記ドーパント組成物中に含まれる異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す工程と;異なるドーパント材料をイオン源に逐次流す間のイオン源の運転中の陰極バイアス電力を監視する工程と;イオン源、陰極、および/またはイオン源の1つ以上の他の構成要素の運転寿命を延長するために、監視した陰極バイアス電力に応じて、逐次供給されるドーパント組成物の少なくとも1つを調節する工程との方法により、運転することができる。
【0044】
別の一態様における本開示は、ドーパント供給材料からイオン注入用のイオンドーピング種を発生させるために配置されたイオン源の性能および寿命を改善する方法であって、本明細書において様々に記載されるような本開示のいずれかのドーパント組成物から、そのようなイオンドーピング種を発生させる工程を含む方法に関する。このような方法の一実施形態においては、ドーパントガスおよび共通種ガスは、互いの混合物として、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源に流される。このような方法の別の一実施形態においては、ドーパントガスおよび共通種ガスは、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源に逐次流される。
【0045】
本開示のさらなる一態様は、イオン源と、ドーパント組成物を前記イオン源に供給するために配置されたドーパント組成物源とを含むイオン注入システムであって、ドーパント組成物源が、本明細書において様々に記載されるようないずれかのドーパント組成物を含むイオン注入システムに関する。このようなイオン注入システムにおいて、ドーパント組成物はドーパントガスおよび共通種ガスを含むことができ、ドーパントガスおよび共通種ガスが互いの混合物として、ドーパント組成物が供給される前記イオン源に流されるように、ドーパント組成物源を配置することができる。あるいは、ドーパントガスおよび共通種ガスが、ドーパント組成物源に逐次流されるように、ドーパント組成物源を配置することができる。
【0046】
本開示のさらに別の一態様は、ドーパント供給材料装置であって、内部容積を有する容器と、内部容積中のドーパント供給材料とを含み、ドーパント供給材料が、本明細書において様々に記載されるようないずれかのドーパント組成物を含む、ドーパント供給材料装置に関する。
【0047】
本開示は、別の一態様において、ゲルマニウムイオンが基板中に注入されるイオン注入システム中における供給源の寿命およびターボポンプの寿命の少なくとも1つを増加させる方法に関する。この方法は、イオン注入システムのイオン化室中のゲルマニウム含有ドーパントガスをイオン化する工程を含み、ゲルマニウム含有ドーパントガスが、ゲルマンと、水素、アルゴン、窒素、およびヘリウムの1つ以上との混合物を含み、ドーパントガスは、任意選択により、少なくとも1つの同位体Ge種が同位体濃縮されている。
【0048】
たとえば、ゲルマンは、混合物の全体積を基準として5〜35体積パーセントの範囲内の濃度でこのような混合物中に存在することができる。
【0049】
本開示は、さらなる一態様において、四フッ化ゲルマニウムがイオン源中に導入されてイオン化される、イオン注入システム中のイオン源の寿命を増加させる方法に関する。この方法は、アンモニアを四フッ化ゲルマニウムとともにイオン源に導入する工程を含み、四フッ化ゲルマニウムは、任意選択により、少なくとも1つのGe同位体種が同位体濃縮されている。このような方法においては、アンモニアおよび四フッ化ゲルマニウムは、供給容器中の混合物として提供することができ、その供給容器から、混合物はイオン源に導入するために分配される。あるいは、このような方法においては、アンモニアおよび四フッ化ゲルマニウムは、別個の供給容器中に提供することができ、それらの容器からイオン源に導入するために分配される。さらに別の一実施形態として、アンモニアおよび四フッ化ゲルマニウムは、イオン源に導入した後にイオン源中で互いに混合することができる。
【0050】
このような方法の別の一変形は、キセノンをイオン源に導入する工程を含む。キセノンは、アンモニアおよび/または四フッ化ゲルマニウムとの混合物で導入することができる。
【0051】
上記で概説したこのような方法の別の一実施形態においては、四フッ化ゲルマニウムは、少なくとも1つのGe同位体種が同位体濃縮されていてよく、たとえば、少なくとも1つのGe同位体種が、70Ge、72Ge、および74Geからなる群から選択されるゲルマニウム同位体を含む。
【0052】
本開示のさらなる一態様は、ドーパントガスと補給ガスとを含むドーパントガス組成物、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが、同位体濃縮されている、ドーパントガス組成物に関する。ドーパントガスと、存在する場合には共通種ガスとの少なくとも1つが同位体濃縮されている組成物は、質量数70、72、73、74、または76の少なくとも1つのゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで同位体濃縮されているゲルマニウム化合物からなる群から選択することができる。
【0053】
このような化合物は、質量数70のゲルマニウム同位体が21.2%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が27.3%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数72のゲルマニウム同位体が51.6%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数73のゲルマニウム同位体が7.9%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;質量数74のゲルマニウム同位体が37.1%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物;または質量数76のゲルマニウム同位体が7.4%を超えるまで同位体濃縮されたゲルマニウム化合物を含むことができる。
【0054】
ドーパント組成物は、別の一実施形態においては、四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマンの少なくとも1つを含む。
【0055】
組成物が四フッ化ゲルマニウムを含む場合、四フッ化ゲルマニウム中のゲルマニウムは、21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;27.3%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;51.6%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有することができる。
【0056】
組成物がゲルマンを含む場合、ゲルマン中のゲルマニウムは、21.2%を超える質量数70のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;27.3%を超える質量数72のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;7.9%を超える質量数73のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;37.1%を超える質量数74のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベル;または7.4%を超える質量数76のゲルマニウム同位体の同位体濃縮レベルを有することができる。
【0057】
別の実施形態におけるドーパント組成物は、共通種ガス、または希釈ガス、または共通種ガスと希釈ガスとの両方を含む補給ガスを含んで構成することができる。希釈ガスは、たとえば、アルゴン、水素、フッ素、およびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つのガス種を含むことができる。
【0058】
別の一実施形態のドーパント組成物は、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランの少なくとも1つを含むことができる。さらなるドーパント組成物は、四フッ化ゲルマニウム、ゲルマン、三フッ化ホウ素、ジボラン、四フッ化ケイ素、およびシランからなる群から選択されるドーパントガスと、アルゴン、水素、フッ素、およびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つの希釈ガス種を含む希釈ガスとを含むことができる。
【0059】
特定の実施形態におけるドーパント組成物は:
(i)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム、ならびにキセノンおよび水素;
(ii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマン;
(iii)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムおよび同位体濃縮されたゲルマン;
(iv)同位体濃縮された三フッ化ホウ素、ならびにキセノンおよび水素;
(v)同位体濃縮された三フッ化ホウ素およびジボラン;および
(vi)同位体濃縮された三フッ化ホウ素および同位体濃縮されたジボラン、
のいずれかを含むことができる。
【0060】
本開示のドーパント組成物は、同位体濃縮されたドーパントガスおよび同位体濃縮された補給ガスを使用しない対応する方法の寿命および性能と比較して、注入方法の寿命および性能を改善するのに有効である。
【0061】
本明細書において使用される場合、ドーパントガスおよび/または共通種ガスに関する用語「同位体濃縮された」または「濃縮された」は、そのようなガスのドーパント種が、ドーパント種の天然の同位体分布から変動していることを意味する。たとえば、四フッ化ゲルマニウムドーパントガス中のゲルマニウムの濃度の天然存在度の同位体分布、および例示的な同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムドーパントガス中のゲルマニウム濃度の同位体分布を以下の表Iに示している。
【0062】
【表1】
【0063】
表Iに示される情報は、ゲルマニウム同位体は質量数70、72、73、74、および76で生じ、74Geが最も多いことを示している。
【0064】
本開示は、ゲルマニウムドーパントガス中のゲルマニウムのこのような安定同位体の任意の1つ以上が濃縮されている、すなわちその天然存在量を超えるまで濃度が増加している、イオン注入を意図している。したがって、ドーパントガスは、一実施形態において、ゲルマニウムが、少なくとも1つの同位体で天然存在量を超えるまで同位体濃縮されている四フッ化ゲルマニウムまたはゲルマンを含むことができる。本開示は、別の一実施形態において、ゲルマニウムドーパントガスであって、ドーパントガスが四フッ化ゲルマニウムであり、そのようなドーパントガスは、質量数70、72、73、または74のゲルマニウム同位体の天然存在量を超えるまで濃縮されており、但し、種々の実施形態において、天然存在量を超えて濃縮されたゲルマニウム同位体が、たとえば四フッ化ゲルマニウム中の72Geである場合に、濃縮された濃度が51.6%を超え、たとえば、対応する実施形態において52%、55%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える72Ge濃度を有する、ゲルマニウムドーパントガスに関する。別の実施形態においては、ドーパント組成物中のゲルマニウム化合物中の72Geの濃縮レベルが27.3%を超えることができる。
【0065】
具体例として、同位体濃縮されたドーパントガスは、
(i)70Geが21.2%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、70Ge濃度が22%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、ゲルマン(GeH);
(ii)72Geが27.3%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、72Ge濃度が28%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、ゲルマン(GeH);
(iii)74Geが37.1%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、74Ge濃度が38%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、ゲルマン(GeH)、;
(iv)70Geが21.2%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、70Ge濃度が22%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、四フッ化ゲルマニウム(GeF);
(v)ある実施形態では72Geが27.3%を超えるまで、別の実施形態では51.6%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、70Ge濃度が52%、55%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、四フッ化ゲルマニウム(GeF);および
(vi)74Geが37.1%を超えるまで同位体濃縮された、たとえば、種々の対応する実施形態において、70Ge濃度が38%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または99.99%を超える、四フッ化ゲルマニウム(GeF)、
からなる群から選択されるドーパントを含むことができる。
【0066】
74Geを含有するゲルマニウムドーパントの使用を考慮する場合、注入されるゲルマニウム種としての74Geの使用またはドーパント組成物中の74Geの存在は、そのような74Ge含有するドーパントが質量数75のヒ素をも処理する注入装置中で使用される場合、相互汚染の危険性が生じるが、その理由は、Ge注入においてヒ素残留物によるカウンタードーピングが生じうるからである。次に、このようなカウンタードーピングによって、注入されたマイクロエレクトロニクスデバイス構造に欠陥が生じたり、さらにはそれらの意図する目的で使用できなくなったりすることがある。したがって、同じ注入装置の別の使用においてヒ素も注入される場合、天然存在度のゲルマニウムドーパントガスを使用すると、望ましくない種を分離し所望の同位体の高電流ビームを発生させる注入装置の能力に問題が生じ、イオン源およびビームラインを含めた洗浄作業の効率が低下しうる。
【0067】
このような75Asとの相互汚染に加えて、イオン注入システム中に74Geが存在すると、BFまたはGeFと、ドーパントガスをアークチャンバーに送達するステンレス鋼管との腐食性副生成物、たとえばFeFによる相互汚染が発生しうる。しかしこのような相互汚染の問題は、ヒ素がドーパントとして使用されない注入装置システムや、アークチャンバー界面までのドーパントガス送達管がFeFの生成が起こらないまたは最小限となる黒鉛、タングステン、またはその他の好適な材料の構成要素を使用する場合には発生しない。このような注入装置システムにおいては、このような相互汚染の不都合が生じずに、74Ge含有ドーパントガスを使用することができる。
【0068】
悪影響が生じずに74Ge含有ドーパントガスを利用できるイオン注入システムにおいて、本開示は、その一態様において、前出の表Iに示されるように74Geの天然存在濃度が他の安定なゲルマニウム同位体(70Ge、72Ge、および73Ge)よりも高いことを利用した、天然存在度を超えるまで74Geが濃縮されたゲルマニウム含有ドーパントガスの使用を意図している。天然存在度の同位体組成物中の他の安定な同位体よりも74Geがこのように高濃度であるため、対応する濃縮レベルまで濃縮されるより低い天然存在濃度の他のゲルマニウム同位体よりも、74Geではより経済的に、天然存在度を超える濃縮レベルが可能である。あるいは、資本設備および加工費の観点から、74Geの天然存在濃度がより高いことは、他の安定なゲルマニウム同位体(70Ge、72Ge、および73Ge)で同じ費用で得られるよりも高い濃縮率を実現するのに有利となりうる。
【0069】
ゲルマニウム注入におけるヒ素汚染の問題に対処するために、ヒ素ドーピングが行われるイオン注入システムにおいては、より豊富でない質量数72のゲルマニウム同位体を有利に使用することができる。しかし、たとえば四フッ化ゲルマニウム中の質量数72のゲルマニウム同位体の天然存在度は、質量数74のゲルマニウム同位体の37.1%に対して27.3%である(前出の表I参照)。したがって、天然存在度のゲルマニウムでは、利用可能なビーム電流が低下し、処理能力が低下する可能性があり、注入の費用が増加する。
【0070】
したがって、本開示により、四フッ化ゲルマニウムまたはゲルマン中で同位体濃縮された質量数72のゲルマニウムを使用すると、ドーパント組成物中に質量数74のゲルマニウムが存在することによる相互汚染の影響が生じやすいシステムにおいて、利用可能なビーム電流の増加、処理能力の増加、および注入の費用の減少に関して非常に有益となる。たとえば、四フッ化ゲルマニウムまたはゲルマン中で質量数72のゲルマニウム同位体が、たとえば27.3%を超えるレベルまで濃縮されると、それに対応したビーム電流の増加に有益であり、それによってイオン注入システムにおいて処理能力が対応して増加するため有利となる。
【0071】
ビーム電流、処理能力、および全体的な性能の増加に関する類似の利点は、70Geが同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム、またはゲルマンなどの他の同位体濃縮されたドーパント組成物でも実現可能である。
【0072】
したがって本開示は、同位体濃縮されたドーパントガスおよび/または同位体濃縮された共通種ガスであって、ドーパントおよび/または共通種ガスの同位体が天然存在濃度レベルから調節されていない対応するシステムに対してイオン注入システム中のイオン源の性能および寿命を改善する程度にまで、有益な同位体の濃度がそのようなドーパントおよび/または共通種ガス中の天然存在量よりも増加している、同位体濃縮されたドーパントガスおよび/または同位体濃縮された共通種ガスを広く意図している。したがって用語「同位体濃縮された」は、考慮される特定の同位体種の天然存在量に対して濃度が増加していることを示すものと理解されたい。
【0073】
種々の特定の実施形態において、有益な/望ましい同位体は、天然存在濃度に対して5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、またはそれを超えるパーセントの量だけ、そのような同位体天然存在度濃度レベルを超えて増加させることができる。特定の他の実施形態においては、有益な/望ましい同位体は、天然存在濃度レベルから、含まれる個別の同位体種に依存して10、20、30、40、50、60、70、80、90、99、99.99、またはそれを超えるパーセントなどのより高い濃度レベルまで濃縮することができる。
【0074】
本明細書において使用される場合、表現「天然存在濃度に対して...の量だけ増加させる」などのような、天然存在濃度を超えて同位体のパーセント増加値に関する用語「だけ(by)」は、そのパーセント増加値が、指定の元素または化合物中の特定の同位体の天然存在原子パーセント値を基準としていることを意味する。したがって、たとえば、「たとえば、GeF中の70Geに関して天然存在濃度に対して20%の量だけ増加した」という表現は、GeF中の70Geの21.2%原子パーセントの天然存在度が、同位体濃縮されたGeF化合物中の70Geで21.2%×1.20=25.4%だけ増加したことを意味する。
【0075】
対照的に、表現「天然存在濃度レベルから...のより高い濃度レベルまで濃縮した」などのような、天然存在度濃度を超える同位体のパーセント値に関する用語「まで」は、同位体濃縮された元素または化合物中の原子パーセント濃度が指定の数値であることを意味する。したがって、たとえば、「GeF中の70Geに関して天然存在濃度レベルから40パーセントのより高い濃度レベルまで濃縮した」という表現は、同位体濃縮されたGeF中に70Geが40原子%の量で存在することを意味する。上記のような表現における用語「だけ」または「まで」に関連すること以外で他に特定される場合、同位体濃度またはレベルへの言及は、具体的に明記される数値を有する同位体濃縮された元素または化合物の原子パーセント濃度に言及するものと理解されたい。
【0076】
種々の実施形態においては、有益な同位体は、組成物中の全同位体の過半部分、すなわち組成物中で50%を超える異性体濃度まで増加してよい。たとえば、特定の実施形態における四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマン中の質量数72のゲルマニウム同位体は、それぞれ>52%および>27.3%まで濃縮することができる。他の特定の実施形態においては、四フッ化ゲルマニウムまたはゲルマン中の質量数70のゲルマニウム同位体は>21.2%まで濃縮することができる。
【0077】
したがって、質量数72のゲルマニウム同位体が濃縮された四フッ化ゲルマニウムは、ビーム電流の増加、処理能力の増加、および/または注入作業の経済的特性の改善が所望の程度で実現される、少なくとも52%〜100%のレベルまで有利に濃縮することができ、あるいは、55%〜100%、60%〜90%、75〜95%、80〜100%、またはこのような下限の1つおよびこのような上限の別の1つを含むこのような範囲の別の組み合わせなどの他の特定の範囲の濃縮レベルまで濃縮することができる。質量数72のゲルマニウム同位体が濃縮されたゲルマンは、ビーム電流、処理能力、および費用の前述のプロセス特性の所望の改善が達成される、27.3%を超えて100%までのレベルまで有利に濃縮することができ、あるいは30%〜100%、35%〜85%、40%〜60%、50%〜99%、75〜95%、またはこのような下限の1つおよびこのような上限の別の1つを含むこのような範囲の別の組み合わせなどの他の特定の範囲の濃縮レベルまで濃縮することができる。
【0078】
これに対応して、質量数70のゲルマニウム同位体が濃縮された四フッ化ゲルマニウムは、ビーム電流、処理能力、および費用の所望のレベルの改善が実現される、21.2%を超えて100%までのレベルまで、あるいは45%〜100%、50%〜99%、60%〜85%、75%〜98%、またはこのような下限の1つおよびこのような上限の別の1つを含むこのような範囲の別の組み合わせなどの他の特定の範囲の濃縮レベルまで有利に濃縮することができる。質量数70のゲルマニウム同位体が濃縮されるゲルマンの対応した使用も行うことができ、その場合、70Geの濃縮は、同位体濃縮されたドーパントガスが使用される特定のイオン注入作業および装置において適切となりうるような、21.2%を超え100%までのレベル、あるいは25%〜100%、30%〜99%、40%〜95%、50%〜90%、75%〜95%、80%〜99%、またはこのような下限の1つおよびこのような上限の別の1つを含むこのような範囲の別の組み合わせなどの他の範囲の濃縮レベルまで行われる。
【0079】
したがって本開示は、イオン注入において従来知られていなかったレベルまで同位体濃縮されたドーパントガスおよび/または補給ガスを使用することによる、イオン注入システム中のイオン源の寿命および性能の改善を意図している。ドーパントガスは天然存在度を超えるまで同位体濃縮されてよいし、または共通種ガスが存在する場合、これは天然存在度を超えるまで同位体濃縮されてよいし、またはドーパントガスと共通種ガスとの両方が天然存在度を超えるまで同位体濃縮されてよい。ドーパントガス、共通種ガス、および希釈ガスを含む天然存在度を超える同位体濃縮のあらゆる組み合わせが、本開示の範囲内であるとして意図される。
【0080】
イオン源の寿命および性能を改善するために本開示の実施において有用に使用することができるドーパントガス混合物の例には、
(1)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムと、希釈ガスとしてのキセノンおよび水素との組み合わせ;
(2)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムと、共通種ガスとしてのゲルマンとの組み合わせ;
(3)同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムと、共通種ガスとしての同位体濃縮されたゲルマンとの組み合わせ;
(4)同位体濃縮された三フッ化ホウ素と、希釈ガスとしてのキセノンおよび水素との組み合わせ;
(5)同位体濃縮された三フッ化ホウ素と、希釈ガスとしてのジボランとの組み合わせ;または
(6)同位体濃縮された三フッ化ホウ素と、共通種ガスとしての同位体濃縮されたジボランとの組み合わせ、
を含むドーパントガス組成物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
特定の一実施形態においては、高レベルのビーム電流を得て、処理能力および供給源の寿命の両方を改善するために、ドーパントガス混合物は、存在するゲルマニウムの全同位体種を基準として55%を超える、たとえば60%、70%、80%、または90%を超える濃度を有する原子質量72のゲルマニウムを含む。
【0082】
ドーパントガス混合物が四フッ化ゲルマニウムを含まない特定の別の一実施形態においては、高レベルのビーム電流を得て、処理能力および供給源の寿命の両方を改善するために、ドーパントガス混合物は、存在するゲルマニウムの全同位体種を基準として25%を超える、たとえば30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超える濃度を有する原子質量72のゲルマニウムを含む。
【0083】
さらに別の特定の一実施形態においては、高レベルのビーム電流を得るために、ドーパントガス混合物は、存在するゲルマニウムの全同位体種を基準として25%を超える、たとえば30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超える濃度を有する原子質量70のゲルマニウムを含み、それに対応して処理能力および供給源の寿命が増加する。
【0084】
本開示の特定の実施形態におけるドーパントガス組成物は、ゲルマニウム含有ドーパントガスと、任意選択により補給ガスとを含むことができ、補給ガスは希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガス組成物は、少なくとも1つのGe同位体種が同位体濃縮されている。このような組成物は、特定の実施形態においては、同位体濃縮されたゲルマン、あるいは同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウム、あるいはどちらも同位体濃縮されたゲルマンおよび四フッ化ゲルマニウム、あるいはゲルマニウム含有成分の1つのみが同位体濃縮されているゲルマンおよび四フッ化ゲルマニウムの両方を含むことができる。別の実施形態においては、四フッ化ゲルマニウムが同位体濃縮された形態で存在する場合、ドーパントガス組成物は、質量数70、72、73、74、または76のゲルマニウムが同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含むことができる。別の実施形態は、質量数70、73、または74のゲルマニウムが同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含むことができる。さらに別の実施形態は、質量数70、72、または74のゲルマニウムが同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムを含むことができる。ある実施形態においては、質量数72のゲルマニウムが四フッ化ゲルマニウム中に存在する場合、そのような質量数72の同位体の同位体濃縮は、個別の実施において51.6%を超える、たとえば、52%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.9%、または99.99%を超えることができ、このような数値のいずれかから100%までの同位体濃縮が、本開示の広い範囲内であると意図される。
【0085】
別の実施形態におけるドーパントガス組成物は、ゲルマンおよび/または四フッ化ゲルマニウムなどのゲルマニウム含有成分を、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、アンモニア、およびキセノンの1つ以上の混合物で含むことができ、ゲルマニウム含有成分は、任意選択により、たとえば質量数70、72、73、74、または76のゲルマニウムが同位体濃縮されている。一実施形態においては、ドーパントガス組成物は四フッ化ゲルマニウムおよびアンモニアを含み、四フッ化ゲルマニウムは、たとえば質量数70、72、73、74、または76のゲルマニウムが同位体濃縮されており、別の一実施形態においては、四フッ化ゲルマニウムは、質量数72のゲルマニウムが同位体濃縮されており、このような質量数72の同位体の同位体濃縮は、個別の実施において51.6%を超える、たとえば、52%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.9%、または99.99%を超えることができ、このような数値のいずれかから100%までの同位体濃縮が、本開示の広い範囲内であると意図される。
【0086】
例示的な一実施形態においては、本開示は、ドーパントガスと、任意選択により補給ガスとを含むドーパントガス混合物が、注入用のイオンドーパント種を発生させるイオン源に供給され、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には補給ガスとの少なくとも1つが、同位体濃縮された成分を含む、イオン注入方法に関する。
【0087】
別の一実施形態においては、本開示は、ドーパントガスからイオン注入用のイオンドーピング種を発生させるために配置されたイオン源の性能および寿命の改善に関し、ドーパントガスと、任意選択により補給ガスとを含むドーパントガス混合物を使用する工程を含み、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には補給ガスとの少なくとも1つが、同位体濃縮された成分を含む、改善に関する。
【0088】
本発明のさらなる一実施形態は、ドーパントガス源および任意選択の補給ガス源であって、それぞれのガス源が、ドーパントガスおよび補給ガスのそれぞれをドーパントガスおよび補給ガスを混合してドーパントガス混合物を形成するのに適合したシステム中の混合位置まで分配するように配置された、ドーパントガス源および任意選択の補給ガス源と、混合位置を構成するかまたは混合位置からのドーパントガス混合物を受け取るように配置されたイオン源とを含むイオン注入システムであって、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガスと、存在する場合には補給ガスとの少なくとも1つが、同位体濃縮された成分を含む、イオン注入システムに関する。したがって、ドーパントガス混合物は、ドーパントガスおよび補給ガスを含むことができ、ドーパントガスおよび補給ガスの両方が同位体濃縮された成分(たとえば、有益な/望ましい同位体)を含むか、またはドーパントガスおよび補給ガス両方が異なる同位体成分で同位体濃縮されていてもよい。
【0089】
本開示のさらなる実施形態は、イオン注入における同位体質量数70のゲルマニウムドーパントガスおよび/または共通種ガスの使用であって、ドーパントガスおよび/または共通種ガスは、天然存在量を超えるまで、たとえば、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、99.99%のレベル、または使用される個別のイオン注入用途に適切な他のレベルまで原子質量70のゲルマニウムが同位体濃縮されている、使用に関する。
【0090】
本開示のさらなる一実施形態は、ドーパントガスと共通種ガスとを含むドーパントガス試薬の利用であって、該ガスは、同位体濃縮されたドーパントガスおよび/または共通種ガス成分を含む本明細書に記載の組成物であってよい、利用に関する。
【0091】
さらなる一実施形態においては、ドーパントガスと共通種ガスとを含むドーパント試薬はイオン注入システム中に配置され、イオン源に供給するためにイオン源まで流され、ドーパントガスおよび共通種ガスは互いの混合物となる。
【0092】
さらなる一実施形態においては、ドーパントガスおよび共通種ガスは、イオン化するためにイオン源に逐次流される。このような逐次作業は、それぞれのドーパントガスおよび共通種ガスの均等な時間を基準とした流れを利用した任意の好適な方法で行うことができ、あるいは、それぞれの時間を基準とした流れは、互いに異なっていてもよいし、または所望の性質のドープ基板を得るために調節することができる。
【0093】
本開示によりイオン種がイオン注入される基板は、任意の好適な種類のものであってよい。
【0094】
基板は、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、またはその他のあらゆる好適な基板組成物であってよい。基板は、マイクロエレクトロニクスデバイス基板、すなわち、マイクロエレクトロニクスデバイスまたはデバイス前駆体構成要素を製造するためのマイクロエレクトロニクス構造を形成するために利用される基板を含むことができる。
【0095】
別の実施形態においては、基板は、ディスプレイ、およびソーラーパネルなどの製品の製造者用に注入することができる。本開示が、あらゆる好適な性質のイオン注入用途に適用可能であることを理解されたい。
【0096】
一実施形態においては、本開示は、内部容積を有する容器と、内部容積中のドーパント組成物とを含み、ドーパント組成物が、記載のあらゆる好適な種類のものであってよい、ドーパント組成物供給装置に関する。このようなドーパント組成物供給装置は、たとえば、ドーパント組成物をイオン源に適切に流すための適切な装置および制御構成要素を含む好適な流動回路によって、イオン源に連結するよう配置することができる。
【0097】
これより図面を参照すると、図1は、本開示の一態様におけるイオン注入プロセスシステムの概略図である。
【0098】
イオン注入プロセスシステム300は、図示されるイオン注入室301中の基板328のイオン注入ドーピングのために供給されるドーパントガスを保持する容積を有する保管および分配容器302を含む。保管および分配容器は、ガスを保管するためにドーパントガスを物理的に吸着させる収着媒体を有する種類のものであってよく、容器から排出するための分配条件下で、収着媒体からガスは脱着される。収着媒体は固相炭素吸着材料であってよい。このような種類の収着剤型容器は、ATMI, Inc.(Danbury, Connecticut, USA)よりSDSおよびSAGEの商標で市販されている。あるいは、容器は、容器の内部容積中に1つ以上の圧力調整器を有する内圧制御型であってもよい。このような圧力制御容器は、ATMI, Inc.(Danbury, Connecticut, USA)よりVACの商標で市販されている。さらに別のものとして、容器は、たとえば容器および/またはその内容物を加熱することによって揮発して、揮発または昇華生成物としてドーパントガスを発生する固体の形態のドーパント源材料を収容することができる。このような種類の固体供給容器は、ATMI, Inc.(Danbury, Connecticut, USA)よりProEvapの商標で市販されている。
【0099】
図1中、保管および分配容器302は、吸着状態、遊離の気体状態、または液化ガス状態のドーパントガスを保持する内部容積を取り囲む円筒形容器壁304を含む。
【0100】
保管および分配容器302は、分配ライン372を介して混合室360(任意選択である)とガス流連通して連結されたバルブヘッド308を含み、混合室360は排出ライン312に接続される。圧力センサー310は、ライン312中に質量流量調整器314とともに配置することができ;他の任意選択の監視および検出構成要素をラインに連結することができ、作動装置、フィードバック、およびコンピューター制御システム、サイクルタイマーなどの制御手段を接続することができる。
【0101】
混合室360が使用される場合はこれも、ガス供給ライン370と流体連通して接続することができ、ガス供給ライン370には補給ガス供給容器362および364が連結され、これらのそれぞれは互いに同じまたは異なる種類のものであってよく、前述の容器302と同じまたは異なる種類のものであってよい。容器362はたとえば希釈ガスを含有することができ、容器364はたとえば共通種ガスを含有することができ、ドーパントガスと希釈ガスおよび/または共通種ガスとの組み合わせを含有するドーパントガス混合物を調製できるように配置することができる。
【0102】
補給容器362は、バルブヘッド380が固定される主容器部分を有して形成され、このバルブヘッド380は補給容器供給ライン366と連結される。類似の方法で、補給容器364はバルブヘッド382が固定される主容器部分を有して形成される。バルブヘッド382は、補給容器供給368に連結される。このような配置による供給ライン366および368は、希釈ガスおよび/または共通種ガスを混合室360まで送達することで、注入装置のイオン源に通すための、希釈ガスおよび/または共通種ガスを含有するドーパントガス混合物が得られる。このような目的のため、補給容器供給ライン366および368、ならびに分配ライン372には、容器から分配される材料の流れまたはその他の性質を手動または自動で制御するための好適な弁、制御装置、および/またはセンサーを取り付けることができ、およびこのような弁、制御装置、および/またはセンサーは、あらゆる好適な方法で対応する供給/分配ラインに連結または接続することができる。
【0103】
次に、このような弁は、中央処理装置(CPU)に操作可能に接続された弁作動装置に連結することができる。CPUは、前述の制御装置および/またはセンサーと通信する関係で連結して、互いに対して各容器から送達される流体の速度、条件、および量を制御するためにプログラム可能に配置することができ、それによって混合室360からライン312中に流れるドーパントガス混合物が、イオン注入作業を行うために望ましい組成、温度、圧力、および流量を有する。
【0104】
図示されるシステム300において、イオン注入室301は、ライン312から分配されたドーパントガス混合物を受け取るイオン源316を含み、イオンビーム305を発生する。イオンビーム305は質量分析装置322を通過し、そこで必要なイオンが選択され、選択されないイオンは拒絶される。
【0105】
選択されたイオンは、加速電極アレイ324を通過し、次に偏向電極326を通過する。得られた集中イオンビームは、スピンドル332上に搭載された回転可能なホルダー330上に配置された基板要素328上に衝突する。希望通りのドープ構造を形成するために基板をドーピングするために、ドーパントイオンのイオンビームが使用される。
【0106】
イオン注入室301のそれぞれの部分は、それぞれポンプ320、342、および346によってライン318、340、および344から排気される。
【0107】
図2は、本開示の別の一態様によるイオン注入プロセスシステムの概略図である。図2のシステムは、図1と同じ構成要素および特徴に関しては対応して番号が付けられているが、図2のシステムは、流動回路配列においてそれぞれドーパントガス容器および補給ガス容器が使用され、容器304、362、および364のそれぞれは、それぞれ別々の質量流量調整器314、400、および402をその供給ライン中に有する。この配列によって、それぞれの容器からのガスの流れは、関連の供給ライン中の専用の質量流量調整器によって調節されて、運転中のそれぞれのガスで選択された流量または流量比が実現される。それぞれの質量流量調整器は、中央処理装置(CPU)と操作可能に接続され、それによってそれぞれの質量流量調整器は、システムの最適な運転を実現するために必要または望ましくなるように、運転中に調節することができる。
【0108】
本開示のさらなる一態様においては、ドーパントガスは、第1の場合では、1種類以上の補給ガス、すなわち、希釈ガスおよび/または共通種ガスを含有する混合物で供給することができ、ドーパントガスおよび補給ガスの混合物は、1つの供給容器中に収容され、それよりガス混合物を、イオン注入システムのイオン源に分配し流すことができる。たとえば、図1のシステム中、容器302は、ドーパントガスおよび補給ガス混合物が収容される1つのガス供給容器(補給容器362および364は存在しない)で構成することができる。
【0109】
このような方法は、水素、不活性ガス、または他の希釈ガスを、1つの供給容器から供給できる共充填(co-packaged)混合物として含む混合物中のドーパントガスとしてゲルマンを提供するために利用できる。これは高圧の100%ゲルマンよりも安定な充填技術であり、ゲルマンを四フッ化ゲルマニウムの代替として使用することができ、四フッ化ゲルマニウムは、一部のイオン注入用途では、供給源の寿命およびターボポンプ寿命に関して問題が生じることがあるが、これらはゲルマンの使用によって回避される。
【0110】
1つの供給容器中に供給される場合に、本開示の広い実施において有利に使用することができるゲルマンガス混合物の説明的な一例として、ゲルマン含有ガス組成物は、組成物の全体積を基準として5〜35体積%のゲルマン、または他の好適な濃度のゲルマンを含むことができ、残部は水素、アルゴン、窒素、およびヘリウムの1つ以上であり、ゲルマンは、天然存在度のゲルマン、あるいは70Geまたは72Geまたはその他のゲルマニウム同位体が同位体濃縮されたゲルマンのいずれかであるか、あるいはゲルマンを含有するドーパントガス混合物が、任意選択により少なくとも1つのGe同位体種が別の方法で同位体濃縮されている。
【0111】
別の一態様においては、本開示は、四フッ化ゲルマニウムがドーパントガスとして使用されるイオン注入システム中の供給源の寿命を増加させるための、四フッ化ゲルマニウムとの共流動(co-flow)ガスとしてのアンモニアの使用であって、四フッ化ゲルマニウムが任意選択により少なくとも1つのGe同位体種で同位体濃縮されていてよい、使用に関する。ゲルマニウムを注入する場合に四フッ化ゲルマニウムとの混合物中の補給ガスとしてアンモニアを使用することによって、アンモニア(NH)を構成する窒素および水素が四フッ化ゲルマニウムからのフッ素を効果的に捕捉する。このようなフッ素の捕捉の結果、GeF/NH混合物は、イオン源内のハロゲンサイクルを少なくとも部分的に防止し、このハロゲンサイクルが生じると、アークスリット上で成長するタングステンウィスカー、および/または、陰極および/または対陰極上に堆積するタングステンのために供給源の寿命が不十分となる。
【0112】
GeFとの共流動ガスとしてのこのようなアンモニアの使用は、種々の配置のいずれにおいても実施することができる。一実施形態においては、アンモニアおよび四フッ化ゲルマニウムで個別のガス供給容器が使用され、それぞれのガス供給容器空のガスがイオン源まで共に流される。共流動ガスは、質量流量調整器に通す前に混合したり、質量流量調整器とイオン源との間で混合したり、イオン源内で混合したりすることができる。
【0113】
あるいは、あらゆる好適な相対比でアンモニアと四フッ化ゲルマニウムとの混合物を収容する1つの供給容器を提供することができる。
【0114】
さらに別の代案として、別個の供給容器中の補給ガスとしてキセノンを提供することができる。供給容器から分配した後、キセノンをアンモニアおよび/または四フッ化ゲルマニウムと混合することができる。キセノンは、アンモニアおよび/または四フッ化ゲルマニウムと混合されたキセノンを収容するガス容器中の補給ガスとして提供することもできる。イオン源に導入されるガス中にキセノンが存在すると、陰極上でのキセノンのスパッタリング効果により、そのような陰極上に移籍する過剰のタングステンが除去されることによって、供給源の寿命が改善される。
【0115】
さらに別の一態様における本開示は、改善されたイオン注入方法であって、たとえばゲルマンまたは四フッ化ゲルマニウムなどの1つ以上の同位体濃縮されたドーパント材料を、イオン化室に流してイオンドーパント種を発生させる工程と、イオンドーパント種を抽出する工程と、あらかじめ決定されたイオンドーパント種を選択する工程と、選択された/所望のイオンドーパント種をマイクロエレクトロニクス基板または半導体基板中に注入する工程とを含む、から本質的になる、またはからなる、イオン注入方法に関する。
【0116】
種々の実施形態においては、有益な/所望の同位体を、天然存在濃度に対して、そのような同位体の天然存在度濃度レベルよりも、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、またはそれを超えるパーセント値の量だけ増加させることができ、あるいは、含まれる特定の同位体種の天然存在量に依存して、有益な/所望の同位体を天然存在度濃度レベルから、10、20、30、40、50、60、70、80、90、またはそれを超えるパーセント値などのより高い濃度レベルまで濃縮することができる。所望のゲルマニウム同位体の濃縮は、そのような同位体の存在度または濃度を増加させるために行われ、それに対応してイオンビーム中の同位体の量が増加する。次にこれによって、同じ/所望のゲルマニウム同位体をより低い濃度/少ない量で含有するゲルマニウム源を使用するシステムおよび/または方法と比較して、処理能力の対応した利点が得られる。
【0117】
好ましい一実施形態においては、≧52%の原子質量72のゲルマニウム同位体を含有する四フッ化ゲルマニウムガス、>27.3%の原子質量72のゲルマニウム同位体を含有するゲルマンガス、または両方のガスの混合物が、ドーパント材料として使用される。別の好ましい一実施形態においては、>21.2%の原子質量70のゲルマニウム同位体を含有する四フッ化ゲルマニウムガス、>21.2%の原子質量70のゲルマニウム同位体を含有するゲルマンガス、または両方のガスの混合物が、ドーパント材料として使用される。
【0118】
ゲルマニウム含有ドーパントガスと、任意選択により補給ガスとを含むドーパントガス組成物であって、補給ガスが希釈ガスと共通種ガスとの少なくとも1つを含み、ドーパントガス組成物が、少なくとも1つのGe同位体種で同位体濃縮されたドーパントガス組成物において、組成物は、ゲルマンと四フッ化ゲルマニウムとの少なくとも1つを含むことができ、このような成分のいずれかまたは両方は、たとえば、質量数70、72、73、74、または76のゲルマニウム、あるいは質量数70、72、または74のゲルマニウムが同位体濃縮されている。このような組成物において、四フッ化ゲルマニウムが存在し、質量数72のゲルマニウムが同位体濃縮されている場合、同位体濃縮レベルは51.6%を超えることができる。ドーパントガス組成物は、あらゆる好適な性質の補給ガスを含むことができる。
【0119】
ゲルマニウム含有成分と、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素、アンモニア、およびキセノンとの1つ以上とを含み、ゲルマニウム含有成分が任意選択により同位体濃縮されている、ドーパントガス組成物が意図される。特定の実施形態においてゲルマニウム含有成分は、ゲルマンおよび/または四フッ化ゲルマニウムを含むことができる。特定の実施形態におけるドーパントガス組成物は、アンモニアを含むことができる。別の実施形態においては、組成物は、たとえば四フッ化ゲルマニウムおよびアンモニアからなることができ、四フッ化ゲルマニウムは同位体が濃縮されている。あるいは、組成物は、同位体濃縮された四フッ化ゲルマニウムと、アンモニアおよびキセノンの少なくとも1つとを含むことができる。
【0120】
本開示のさらなる一態様は、ドーパント材料の逐次流動であって、たとえばイオン源の運転中にあらかじめ決定された陰極バイアス電力を維持することによって、イオン源またはその構成要素の運転寿命を延長するために、陰極バイアス電力がイオン源の運転中に監視され、監視した陰極バイアス電力が、イオン源に送達されるそれぞれのドーパント化合物間で制御/選択/交替するためのフィードバック制御プロセス中で使用される、ドーパント材料の逐次流動に関する。このような方法は、イオン源の運転中にあらかじめ決定された陰極バイアス電力を維持または実現のために必要となる、イオン源の陰極の修復または修正、すなわち陰極の再生またはエッチングを行うために使用することができる。
【0121】
イオン源は、このような監視および制御方法において好適なあらゆる種類のものであってよく、たとえば間接加熱陰極(IHC)イオン源であってよい。このような方法の陰極バイアス電力は、イオン源/陰極の運転寿命を延長するための、複数の異なるドーパント化合物の逐次流動を制御するフィードバック機構として有利に使用される。
【0122】
複数の異なるドーパント化合物は、同じドーパント種のドーパント化合物であり、たとえば、ドーパント種がゲルマニウムの場合のドーパント化合物としての四フッ化ゲルマニウムおよびゲルマンであってよく、これらが好ましい。このような異なるドーパント源化合物は、本明細書において様々に記載されるような同位体濃縮された少なくとも1つの化合物を含むことができる。
【0123】
イオン源の運転効率を維持するための、イオン源のアークチャンバー中の陰極を含むイオン注入システムのこの運転方法は、一実施形態において、陰極を逐次供給されるドーパント組成物と接触させながら、陰極バイアス電力を測定する工程と、イオン源、陰極、および/またはイオン源の1つ以上の他の構成要素の運転寿命を延長するために、測定した陰極バイアス電力に応じて、前記逐次供給されたドーパント組成物の少なくとも1つを調節する工程とを含む。
【0124】
逐次供給されるドーパント組成物に関する用語「調節する」は、測定した陰極バイアス電力に応じて、逐次供給されるドーパント組成物の少なくとも1つに関して、順序、時間、プロセス条件、またはドーパント組成物の選択を制御する、すなわち選択的に変化させることを意味する。したがって、それぞれのドーパント組成物の供給時間は、設定点の陰極バイアス電力値を維持するために互いに関して変動させることができるし、あるドーパント組成物を別のドーパント組成物よりも高電圧で供給することができるし、フィードバック監視および制御システムは、それぞれのドーパント組成物の間で他の方法で制御/選択/交替するように配置することができる。
【0125】
別の一実施形態においては、本発明の方法は、1つ以上のドーパント組成物に関して、洗浄剤または析出剤をイオン源に同時または逐次流すために使用することができ、陰極のエッチングを行って陰極から堆積物が除去するために、陰極バイアス電力またはイオン源の他の電力利用の変量が使用され、たとえば監視した電力使用が、初期、またはその他のあらかじめ決定された、または設定点の値またはレベルを超えて増加する場合に、イオン源に洗浄剤を流しエッチングすることによって使用され、および/または、監視した電力使用が、初期、またはその他のあらかじめ決定された、または設定点の値またはレベルより低くなった場合に、イオン源に積取材を流すことによって陰極材料の再生を行うために、陰極バイアス電力またはイオン源の他の電力利用の変量が使用される。
【0126】
したがって、本開示の組成物、プロセス、方法、装置、およびシステムは、イオン注入システム中のイオン源の性能および寿命の対応する改善を得るために、多種多様な方法で実施および適用が可能であることが理解されよう。
【0127】
特定の態様、特徴、および説明的実施形態を参照しながら本開示を本明細書において説明してきたが、本開示の有用性はそのように限定されるものではなく、本明細書における説明に基づいて本発明の分野の当業者によって提案されるような多数の他の変形、修正、および別の実施形態まで拡張され、それらが含まれることが理解されよう。これに対応して、以下に特許請求されるような本発明は、このようなすべての変形、修正、および別の実施形態が本発明の意図および範囲内に含まれると広く解釈され説明されることを意図している。
図1
図2