(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5906249
(24)【登録日】2016年3月25日
(45)【発行日】2016年4月20日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20160407BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-534939(P2013-534939)
(86)(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公表番号】特表2014-500576(P2014-500576A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】US2011055100
(87)【国際公開番号】WO2012054238
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月5日
(31)【優先権主張番号】13/253,627
(32)【優先日】2011年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/394,521
(32)【優先日】2010年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】オウイェ アラン エイチ
(72)【発明者】
【氏名】スコット グラエム
(72)【発明者】
【氏名】ユー ケビン カイシェン
(72)【発明者】
【氏名】グリムベルゲン ミカエル エヌ
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−514390(JP,A)
【文献】
特開2007−012734(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0236315(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 −16/56
C23F 1/00 − 4/04
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
H05H 1/00 − 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー本体(110)と、
チャンバー本体(110)の上に配置され、チャンバー本体(110)内の処理容積(127)を囲むチャンバー蓋(120)と、
処理容積(127)内に配置された基板支持体(116)と、
チャンバー蓋(120)上に配置された蓋ヒーターアセンブリ(190)であって、蓋ヒーターアセンブリ(190)は、
内側開口部(194)を画定する平面リング形状を有する熱伝導性ベース(192)と、
熱伝導性ベース(192)上に配置された発熱体(198)と、
熱伝導性ベース(192)の内側開口部(194)全域に亘って配置され、複数の冷却孔(195、196)が貫通して形成された断熱センターコア(193)とを含む蓋ヒーターアセンブリ(190)と、
チャンバー蓋(120)を介して処理容積(127)内でガスにRF電力を結合させるように構成され、断熱センターコア(193)の上方かつ発熱体(198)よりも内側に、断熱センターコア(193)から離間して配置されたコイルアセンブリ(112)を含むプラズマ処理装置(100)。
【請求項2】
蓋ヒーターアセンブリ(190)は、発熱体(198)の上に、熱伝導性ベース(192)と同じ平面リング形状を有するRFシールド(199)を含む、請求項1記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項3】
蓋ヒーターアセンブリ(190)は、発熱体(198)の上に断熱材(191)を含む、請求項1記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項4】
蓋ヒーターアセンブリ(190)は、RFシールド(199)の上に断熱材(191)を含む、請求項2記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項5】
断熱センターコア(193)は、RF透過材料から形成される、請求項1〜4のいずれか1項記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項6】
複数の冷却孔(195、196)は、熱伝導性ベース(192)の中心に対して、熱伝導性ベース(192)の近くにより多くの開口面積を有する、請求項5記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項7】
複数の冷却孔(195、196)は、
断熱センターコア(193)の中央領域近傍に位置する複数の内孔(196)と、
断熱センターコア(193)の外側領域近傍に位置する複数の外孔(195)を含み、複数の内孔(196)は複数の外孔(195)よりも小さい、請求項5又は6記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項8】
RFシールド(199a)は、ギャップ(199b)が一部に形成された平面リングである、請求項1〜7のいずれか1項記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項9】
RFシールド(199a)は、アルミニウムから形成されている、請求項8記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項10】
RFシールド(199、199a)は、発熱体(198)と接地導体が、発熱体(198)の近くでプラズマを点火させ維持するための一対の容量性電極を形成することを可能にする、請求項1〜9のいずれか1項記載のプラズマ処理装置(100)。
【請求項11】
熱伝導性ベース(192)は電気伝導性であり、発熱体(198)は、電気絶縁体(198b)内に埋め込まれた抵抗要素(198a)を含み、プラズマ処理装置(100)は、熱伝導性ベース(192)とプラズマ処理装置(100)内の接地導体が、プラズマを点火させ維持するための一対の容量性電極を形成することを可能にする、請求項1〜9のいずれか1項記載のプラズマ処理装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(分野)
本発明の実施形態は、概して、半導体基板処理システムに関する。より具体的には、本発明は、プラズマ処理システム用の蓋ヒーターアセンブリに関する。
【0002】
(背景)
集積回路の製造では、基板内で一貫した結果を達成するためだけではなく、基板から基板への再現性のある結果を得るために、様々なプロセスパラメータの正確な制御が必要とされる。半導体デバイスを形成するための構造の幾何学的制限は、技術の限界に押し付けられているので、厳しい公差及び精密なプロセス制御が、製造の成功には不可欠である。しかしながら、微細化とともに、正確なクリティカルディメンジョン及びエッチングプロセスの制御はますます困難になっている。
【0003】
多くの半導体デバイスは、プラズマの存在下で処理される。プラズマが基板上に均一に配置されていない場合、処理結果もまた、不均一となる可能性がある。様々な要因がプラズマの均一性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、処理中にプラズマチャンバーの蓋を加熱する電気的手段を用いたヒーターは、プラズマの不均一性に寄与する可能性がある。ヒーター内の任意の接地された金属部品は、RF電源からチャンバーへと伝達される電力を弱める可能性がある。ヒーター内の電気加熱回路は、チャンバー内へ伝達される電力に影響を与えるように局所的に作用する可能性がある。加熱時のいかなる不均一性も、処理中において、堆積を増加させ、不要な粒子を生み出す可能性がある。
【0004】
図1は、ヒーター13を備えた従来のプラズマ処理チャンバー10を概略的に記載している。プラズマ処理チャンバー10は、内部で基板12を処理するための処理容積15を画定するチャンバー本体を含む。1以上のコイル15、16が、チャンバー本体11のチャンバー蓋18の上に配置されている。コイル15、16は、処理中に処理容積15内でプラズマ17を点火し、維持する。電気発熱体14を含むヒーター13は、チャンバー蓋18を加熱するように構成され、チャンバー蓋18とコイル15、16の間に配置されている。ヒーター13のいずれの金属部品も、チャンバー本体11と同様に、接地されている。接地された部品は、コイル15、16からプラズマ17へ伝送される電力を低減する。電気発熱体14は、コイル15、16の見通し線内に位置しているので、電気発熱体14は、コイル15、16と、プラズマ17との間の電力伝達に干渉する。電気発熱体14に近いチャンバー蓋18の領域は、電気発熱体14から遠い領域よりも、最大で摂氏10度温度が高い場合がある。チャンバー蓋18の温度不均一性は、プロセスの不均一性と粒子汚染をもたらす可能性のあるプラズマ17の均一性に直接影響を与える。
【0005】
従来のプラズマ処理チャンバーは、より大きなクリティカルディメンジョンでロバスト(堅牢)な実行装置であることが証明されているが、プラズマの均一性を制御するための既存の技術は、プラズマの均一性の改善が、次世代のサブミクロン構造(例えば、約55ナノメートル又はそれを超えたクリティカルディメンジョンを有する構造)の製造の成功に貢献すると思われる1つの領域である。
【0006】
本発明者らは、処理チャンバーの蓋の温度を制御するために利用されるヒーターの設計の改善が、プラズマの均一性と点火、及びRF電力の効率的な結合に有益な効果を有していることを発見した。
【0007】
本発明の実施形態は、概して、プラズマ処理チャンバー用の蓋ヒーターを提供する。他の実施形態は、プラズマ処理チャンバーの蓋の温度を制御するための方法及び装置を提供する。本方法及び装置は、プラズマ処理チャンバー内のプラズマ位置の位置制御を高め、RF電源と処理チャンバー内のプラズマとの間の結合を向上させる。本発明の実施形態は、プラズマ位置の制御が望まれるアプリケーションの中でも特に、エッチング、成膜、インプラント(注入)、及び熱処理システムで利用することができる。
【0008】
一実施形態では、熱伝導性ベースを含む蓋ヒーターアセンブリが提供される。熱伝導性ベースは、内側開口部を画定する平面リング形状を有している。また、蓋ヒーターアセンブリは、熱伝導性ベース上に配置された発熱体と、熱伝導性ベースの内側開口部全域に亘って配置された断熱センターコアを更に含む。
【0009】
別の一実施形態では、チャンバー本体と、チャンバー本体の処理容積を囲むチャンバー蓋と、処理容積内に配置された基板支持体と、チャンバー蓋を介して処理容積内でガスにRF電力を結合させるように構成されたチャンバー蓋の上方に配置されたコイルアセンブリを含むプラズマ処理チャンバーが提供される。プラズマ処理チャンバーは、チャンバーの蓋に結合された蓋ヒーターアセンブリを更に含む。蓋ヒーターアセンブリは、内側開口部を有する加熱リングと、加熱リングの内側開口部全域に亘って配置された断熱センターコアを含む。内側開口部の直径はコイルアセンブリよりも少なくとも大きく、加熱リングとコイルアセンブリは、コイルアセンブリの磁場が実質的に内側開口部の内側に向けられるように配置されている
【0010】
更に別の一実施形態では、内側開口部を画定する平面リング形状を有する熱伝導性ベースと、熱伝導性ベース上に配置された発熱体を含む蓋ヒーターアセンブリが提供される。蓋ヒーターアセンブリは、発熱体の上に配置されたRFシールドを更に含む。RFシールドは、ギャップを有する平面リングであり、ギャップは、抵抗発熱体が誘導ヒーターと抵抗ヒーターの両方として機能するように、アンテナ近くに供給されるRF電力から発熱体がRFホットとなることを可能にする。
【0011】
更に別の一実施形態では、チャンバーの蓋に結合された熱伝導性リングを加熱することにより、チャンバーの蓋を加熱する工程と、熱伝導性リングの開口部の内側に位置する断熱センターコアを使用して、チャンバー蓋からの熱損失を防止する工程を含むプラズマ処理方法が提供される。本方法は、チャンバー蓋の下の処理容積に処理ガスを向ける工程と、チャンバーの蓋の上方に位置するコイルアセンブリを用いてプラズマを点火する工程を更に含む。コイルアセンブリの磁場は、実質的に熱伝導性リングの内側にある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本発明のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限されていると解釈されるべきではなく、本発明は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】チャンバー蓋を加熱するためのヒーターを備える従来のプラズマ処理チャンバーの概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理チャンバーの概略断面図である。
【
図3】
図2のプラズマ処理チャンバーの蓋ヒーターアセンブリの組立分解等角図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプラズマ処理チャンバーの部分断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るヒーターアセンブリの上面斜視図である。
【0013】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。また、一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0014】
図2は、本発明の蓋ヒーターアセンブリ190の一実施形態を有する典型的なプラズマ処理チャンバー100の模式図を示す。プラズマ処理チャンバー100の特定の実施形態が、エッチングリアクタとして
図2に示されているが、蓋ヒーターアセンブリ190は、特に、化学蒸着チャンバー、物理蒸着チャンバー、注入チャンバー、窒化チャンバー、プラズマアニールチャンバー、プラズマ処理チャンバー、及びアッシングチャンバーを含む他の種類のプラズマ処理チャンバーで有益に利用することができることが理解される。したがって、
図2のプラズマ処理チャンバーの実施形態は、例示的な目的のために提供されており、発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【0015】
プラズマ処理チャンバー100は、概して、チャンバー本体110、ガスパネル138、及びコントローラ140を含む。チャンバー本体110は、処理容積127を取り囲む底部128、側壁130、及び蓋120を含む。側壁130及び底部128は、ステンレス鋼やアルミニウム等の伝導性材料から製造される。蓋120は、アルミニウム、ステンレス鋼、セラミックス、又は他の適切な材料から製造することができる。
【0016】
ガスパネル138からの処理ガスは、シャワーヘッド及び/又は1以上のノズルを介して、チャンバー本体110の処理容積127に供給される。
図2に示される実施形態では、プラズマ処理チャンバー100は、チャンバー本体の側壁130に沿って配置された複数のノズル136と、蓋120の下に取り付けられた中央ノズル137を含む。中央ノズル137は、独立して制御可能な半径方向及び下向きのガス出口ポートを含んでもよい。
【0017】
コントローラ140は、中央処理装置(CPU)144、メモリ142、及びサポート回路146を含む。コントローラ140は、プラズマ処理チャンバー100のコンポーネントやチャンバー本体110内で実行される処理に連結され、これらを制御し、集積回路製造工場のデータベースとオプションのデータ交換を促進することができる。
【0018】
図示の実施形態では、蓋120は、実質的に平坦なセラミックス部材である。チャンバー本体110の他の実施形態は、他のタイプの天井(例えば、ドーム状の天井)を有することができる。蓋120の上方には、1以上の誘導コイル要素を含むアンテナ112が配置されている。
図2に示される実施形態では、アンテナ11は2つの同軸のコイル要素113、114を含む。しかしながら、コイル要素の他の構成及び組み合わせが考えられてもよい。アンテナ112は、第1整合ネットワーク170を介して、高周波(RF)プラズマ電源118に結合されている。プラズマ処理時には、アンテナ112は、電源118によって供給されるRF電力で通電され、これによってチャンバー本体110の処理容積127内で処理ガスから形成されたプラズマ106を維持する。
【0019】
一実施形態では、基板台座アセンブリ116は、処理容積127内に配置されている。基板台座アセンブリ116は、取り付けアセンブリ162、ベースアセンブリ115、及び静電チャック188を含む。あるいはまた、一段高くなった正方形の表面を静電チャック188の代わりに用いてもよい。取り付けアセンブリ162は、ベースアセンブリ115をチャンバー本体110の底部128に結合する。
【0020】
静電チャック188は、一般的にセラミックス又は類似の誘電体材料から形成され、少なくとも1つのクランプ電極を含む。一実施形態では、静電チャック188は、第2整合ネットワーク124を介して基板バイアス電源122に結合される少なくとも1つのRF電極186を含むことができる。静電チャック188は、オプションで1以上の基板ヒーターを含むことができる。一実施形態では、加熱電源132に接続された同心ヒーター184A、184Bとして図示される2つの同心で独立制御可能な抵抗ヒーターを使用して、基板150の端部から中心までの温度プロファイルを制御する。
【0021】
静電チャック188は、チャックの基板支持面内に形成され、熱伝達(又は裏面)ガスの供給源148に流体結合された複数のガス通路(溝等、図示せず)を更に含むことができる。動作時には、裏面ガス(例えば、ヘリウム(He))がガス流路内に制御された圧力で供給され、これによって静電チャック188と基板150との間の熱伝達を向上させる。従来、静電チャックの少なくとも基板支持面には、基板を処理する時に使用される化学薬品及び温度に耐えるコーティングが施されている。
【0022】
ベースアセンブリ115は、一般的にアルミニウム又は他の金属材料から形成される。ベースアセンブリ115は、加熱又は冷却液の供給源182に結合された1以上の冷却通路を含む。少なくとも1種の気体(特に、フロン、ヘリウム、又は窒素等)、あるいは液体(特に、水又は油等)が可能である熱伝導流体が、ベースアセンブリ115の温度を制御するように通路を通って供給源182によって供給され、これによってベースアセンブリ115を加熱又は冷却し、これによって処理中にベースアセンブリ115上に配置された基板150の温度を部分的に制御する。
【0023】
台座アセンブリ116、したがって基板150の温度は、複数のセンサ(
図2には図示せず)を使用して監視されている。台座アセンブリ116を介したセンサのルーティングを更に後述する。温度センサ(例えば、光ファイバ温度センサ)がコントローラ140に結合され、これによって台座アセンブリ116の温度プロファイルを示す計量値を提供する。
【0024】
蓋120の温度は、蓋ヒーターアセンブリ190によって制御される。蓋120がセラミックス材料から製造される実施形態では、蓋ヒーターアセンブリ190は、蓋120の外面に付着させる又はクランプすることができる。蓋ヒーターアセンブリ190は、蓋120の上面120aに直接接触することによって熱エネルギーを供給するように構成される。一実施形態では、蓋120の温度を監視するために、1以上のセンサ123を使用することができ、蓋120の温度を制御する蓋ヒーターアセンブリ190を調整するために、コントローラ140を使用することができる。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係る蓋ヒーターアセンブリ190の組立分解等角図である。
図4は、蓋ヒーターアセンブリ190の詳細を示すプラズマ処理チャンバー100の部分断面図である。
【0026】
蓋ヒーターアセンブリ190は、中央開口部194を有する加熱リング189と、加熱リング189の中央開口部全域に亘って配置された断熱センターコア193を含む。断熱センターコア193は、慣例により蓋120からの熱損失を制御するために配置されている。一実施形態では、断熱センターコア193の外側の側壁193
OWは、加熱リング189の内側の側壁192
IWに直接接触する。断熱センターコア193は、蓋120に結合され、加熱リング189の内側の領域における熱損失の割合を制御することによって、蓋120の全域に亘って実質的に均一な温度を維持するように構成される。一実施形態では、断熱センターコア193は、略円盤形状を有しており、(
図4に示される)下面193Iは、蓋120の上面120aに付けられている。
【0027】
図2に示されるように、加熱リングの中央開口部194は、加熱リング189がアンテナ112の見通し線の外側になるのに十分な大きさの直径Dを有する。その結果、アンテナ112からのRF電力は、プラズマ106と結合するために加熱リング189と交差する必要はない。
【0028】
加熱リング189は、中央開口部194を有する伝導性ベース192と、伝導性ベース192を加熱するように構成された電気発熱体198と、電気発熱体198上に配置された断熱材191を含む。伝導性ベース192と、電気発熱体198と、断熱材191は、垂直に積み重ねられている。一実施形態では、加熱リング189は、断熱材191と発熱体198との間に配置されたRFシールド199も含む。
【0029】
伝導性ベース192は、平面リング状に形成されている。伝導性ベース192は、蓋120と嵌合するように、構造的及び幾何学的形状と均一加熱面を提供する。伝導性ベース192は、熱伝導性である。伝導性ベース192は、一般的に、電気発熱体198と蓋120との間に均一な熱伝達を提供するのに十分な質量を有する。伝導性ベース192は、電気伝導性であることもできる。一実施形態では、伝導性ベース192は、良好な熱伝達特性を有する金属材料(例えば、アルミニウム等)から製造される。
【0030】
電気発熱体198は、一般的に、電気絶縁体198b内に埋め込まれた抵抗要素198aを含む。抵抗要素198aは、電源178に結合されている。一実施形態では、電源178はAC電源である。電源178は、蓋ヒーターアセンブリ190に供給される電力を調整するコントローラ140に接続することができる。
【0031】
断熱材191は、電気発熱体198の上面に、又はRFシールド199が存在する場合は、RFシールド199の上面に付着している。断熱材191は、加熱リング189内で均一な温度を維持するように構成される。断熱材191は、蓋ヒーターアセンブリ190が高温の間に不用意にも触れたときに受ける可能性のある火傷からの保護を提供する。断熱材191は、一般的には、高温エラストマー(例えば、シリコーン又は他の高温フォーム)等のRF磁場及び電場にほとんど影響を与えない材料から製造される。
【0032】
RFシールド199は、アンテナ112によって生成される磁力線及び電気力線の向きに抵抗要素198aが影響を及ぼすことを実質的に防ぐ。あるいはまた、
図6を用いて以下で説明されるように、プラズマ点火を強化するために、RFシールド199を使用することができる。RFシールド199は、一般的に、金属材料(アルミニウム等)から製造される。RFシールド199は、アルミニウム箔又はアルミニウム板であることが可能である。
【0033】
断熱センターコア193は、加熱リング189の中央開口部194の内側に配置された円盤状本体である。断熱センターコア193の外径は、プラズマ生成中にアンテナ112の見通し線を覆うのに十分大きい。断熱センターコア193はRF透過性であり、これによって蓋ヒーターアセンブリ190は、アンテナ112とプラズマ106との間の結合を妨害することなく蓋120の均一加熱を提供することができる。
【0034】
図5は、断熱材191又はRFシールド199の無い蓋ヒーターアセンブリ190の上面図である。
図5に示されるように、断熱センターコア193は、外側領域195a内に亘って形成された複数の外側貫通孔195と、中央領域196aに亘って形成された複数の貫通孔196を有する。外側貫通孔195及び内側貫通孔196は、蓋120の放射冷却を制御するように構成されている。外側貫通孔195は、内側貫通孔196よりも直径が大きく、これによって断熱センターコア193の中央領域196a近くよりも、断熱センターコア193の外側領域195a近くに、より多くの冷却を提供する。外側領域195aは、中央領域196aよりも加熱リング189に近いため、外側貫通孔196を介してより多くの放射冷却が起こり、これによって加熱リング189の近くのより熱い蓋温度を補償し、これによって蓋内でのより均一な温度プロファイルを可能にする。
図5に示される一実施形態では、外側貫通孔195は外側領域195a内に円形パターンで形成され、内側貫通孔196は中央領域196a内に円形パターンで形成されている。しかしながら、蓋120内の均一な温度プロファイルを得るために、他のパターンの冷却孔及び他の形状の冷却孔を使用してもよい。例えば、外側貫通孔196は、内側貫通孔196を含む中央領域よりも大きな開口面積を有するように配置してもよい。
【0035】
一実施形態では、断熱センターコア193を貫通して中心孔197を形成することができ、これによって(
図2に図示されている)センターノズル137は、コア193を貫通して延び、ガス供給源に接続できる。
【0036】
断熱センターコア193は、一般的に、RF透過性、断熱性、クリーンルーム適応性、耐薬品性、難燃性のある材料から形成されている。一実施形態では、断熱センターコア193は、高温エラストマー(発泡シリコーン又は他の高温フォーム等)から形成することができる。
【0037】
動作時には、加熱リング189は、電源178からの電力によって加熱される。その後、加熱リング189は、蓋120と接触する伝導性ベース192の部分を介して伝導することによって蓋120を加熱する。断熱センターコア193は、蓋120からの熱損失を制御する。断熱センターコア193の断熱と、貫通孔195、196の分布の組み合わせによって、実質的に均一な温度プロファイルを蓋120の全面に亘って得ることができる。一実施形態では、蓋120内の温度を監視するためにセンサ123を使用することができ、所望の温度及び/又は均一性を達成するように蓋ヒーターアセンブリ190を調整するためにコントローラ140を使用することができる。プラズマ106を点火及び/又は維持している間、アンテナ112の磁場112aは、発熱体198a又は伝導性ベース192によって妨げられることなく、断熱センターコア193及び蓋120を貫通する。
【0038】
本発明の別の一実施形態では、リングヒーター及び断熱センターコアを備えた蓋ヒーターアセンブリは、加熱に加えて、プラズマの維持及び/又は点火を助長するために使用することができる。
【0039】
図6は、本発明の一実施形態に係る蓋ヒーターアセンブリ600の上部斜視図である。蓋ヒーターアセンブリ600は、加熱リング602と、オプションで断熱センターコア193を含む。加熱リング602は、抵抗発熱体と、RFシールド199aと、オプションで断熱材とを有する伝導性ベース192を含む。RFシールド199と同様に、RFシールド199aは、電気発熱体198を覆うためにリング形状を有している。しかしながら、RFシールド199aは、ギャップ199bを有している。ギャップ199bは、伝導体192がRFホットになることを可能にする。RF電力は、RFシールド199a内に渦電流を発生させ、これによってシールド199aは誘導ヒーターとして機能し、一方、伝導体192は抵抗ヒーターと、蓋ヒーターアセンブリ600の下方でチャンバー内のガスにRF電力を結合させるためのアンテナの両方として機能する。RFシールド199aからの誘導加熱は、電気発熱体198からの抵抗加熱の他に追加の加熱を提供し、これによってチャンバー蓋を抵抗加熱するのに必要な電力を低減する。
【0040】
導電体192に供給されるRF電力は、容量結合プラズマ発生用のRF供給源として機能することができる。導電体192と、処理チャンバー内のRF接地導体は、容量結合プラズマ源の2つの電極となる。プラズマ点火が困難となる可能性のある場合に、容量結合プラズマの機能は、低電力レベル及び/又は低ガス濃度レベルでのプラズマ処理のためには特に有益である。例えば、フォトリソグラフィ用マスクの製造中に、クロムエッチングは通常低電力レベル(例えば500W未満、例えば250W程度)で実行される。クロムエッチングで使用する処理ガス(SF
6等)は、プラズマを点火して維持することが困難である。SF
6が高濃度に希釈された場合、例えば、Heによって体積で約1:30の比率で希釈されたSF
6は、更により困難である。RFシールド199aからの追加的の容量結合は、低電力レベル又は低ガス濃度レベルでプラズマを点火することをより容易にする。
【0041】
蓋ヒーターアセンブリ600は、加熱リング602の下方にノズルが位置するプラズマ処理チャンバーでのプラズマ点火に適している。例えば、処理チャンバー内にガスを向けるようにノズル136が位置している、
図2に図示された処理チャンバー200等である。RFシールド199aは、追加のRF結合及び/又は加熱を可能にする。
【0042】
RFシールド199aは、一般的には、金属材料(アルミニウム等)から製造される。RFシールド199aは、アルミ箔又はアルミ板であってもよい。一実施形態では、RFシールド199aは、約0.062インチの厚さを有するアルミニウムシートから形成可能である。
【0043】
本発明の実施形態は、従来の外部チャンバー蓋ヒーターに比べていくつかの利点を提供する。抵抗発熱体と蓋ヒーターの伝導性部品が、RFコイルの見通し線の外側に位置しているので、本発明の実施形態は、RF電力とプラズマ間の干渉を低減する。したがって、プラズマの均一性が改善された。本発明の実施形態はまた、断熱センターコアでチャンバー蓋を実質的に覆うことによって、対流からの熱損失を低減する。本発明の実施形態はまた、抵抗ヒーター上に間隔をあけたRFシールドを使用することによって、更なる加熱と結合を提供し、これはプラズマプロセスでSF
6等の維持するのが難しいガスの使用を可能にする。
【0044】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。