(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
受光素子からの出力信号を用いて測光する第1測光モードと、前記受光素子からの出力信号を用いて前記第1測光モードよりも暗い環境で測光するための第2測光モードとを設定可能な設定部と、
前記設定部が前記第1測光モード又は前記第2測光モードに設定されている場合において、前記出力信号の最大値が第1の値よりも大きいとき前記出力信号よりも後に前記受光素子から出力された信号を用いて測光演算を行い、前記設定部が前記第1測光モードに設定され前記出力信号の最大値が前記第1の値よりも小さい場合、前記出力信号の最大値が前記第1の値より小さい第2の値よりも大きく、前記出力信号の最小値が前記第2の値よりも小さい第3の値よりも小さいとき前記出力信号を用いて測光演算を行い、前記設定部が前記第2測光モードに設定され前記出力信号の最大値が前記第1の値よりも小さい場合、前記出力信号の最大値が前記第2の値より小さい第4の値よりも大きく、前記出力信号の最小値が前記第3の値よりも小さい第5の値よりも小さいとき前記出力信号を用いて測光演算を行う演算部とを含む測光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による測光装置を搭載した一眼レフ電子カメラの要部構成を説明する図である。
図1において、カメラ本体4に対して着脱可能な撮影レンズ1を構成する鏡筒が装着されている。
【0009】
被写体からの光は、撮影光学系2および絞り3を介してカメラ本体4へ入射される。カメラ本体4に入射した被写体光は、レリーズ前は
図1に例示したミラーダウン状態にある半透過のクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)5で上方のファインダー部へ向けて折り曲げられ、スクリーン6へ向けて進行する。また、メインミラー5を透過した被写体光は、サブミラー14によって下方へ折り曲げられ、焦点検出センサー15へ導かれる。
【0010】
スクリーン6へ入射された被写体光束は、撮影光学系2によって拡散面6aに結像する。スクリーン6を透過した光束はさらに、ファインダー光学系の光軸22に沿ってペンタプリズム8へ入射される。ペンタプリズム8は、入射された被写体光をファインダーレンズ9へ導く。撮影者は、接眼部10からファインダーレンズ9を通してファインダーによる被写体像を観察する。
【0011】
また、スクリーン6を通過した光束の一部は、ファインダー光学系の光軸22から傾いた測光光学系光軸23の方向へ進み、三角プリズム11の反射面11aで上方へ折り曲げられる。この光束は不図示の測光絞りおよび測光レンズ12を介して測光センサー13の受光面に再結像する。
【0012】
レリーズ後は、メインミラー5が上方へ回動し、全ての被写体光は開駆動されたメカニカルシャッター16を介して撮像素子17へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。撮像素子17は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。撮像が終了するとメカニカルシャッター16が閉駆動され、メインミラー5がダウン位置へ戻る。
【0013】
上述した電子カメラにおいて、測光センサー13は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCMOSイメージセンサーなどによって構成される。光電変換素子は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する。測光センサー13による蓄積信号は、測光演算の他にもTTL(through the lens)調光演算の他に、顔検出処理やシーン認識処理などにも用いられる。このため、測光センサー13による蓄積信号に基づいて得られる画像から色情報が得られるように、測光センサー13の受光面には画素位置に対応させてベイヤー配列されたカラーフィルタ13aが設けられている。
【0014】
<測光部の構成>
本実施形態は上記電子カメラの測光部に特徴を有するので、以下の説明は測光部を中心に行う。
図2は、電子カメラの測光部を説明するブロック図である。測光部は、測光光学系11,12と、測光センサー13と、A/D変換部51と、信号処理部52と、マイクロコンピュータ53とを有する。マイクロコンピュータ53には、レリーズ釦54が押下操作されたことを示すレリーズ操作信号や、モード設定部材55から「低輝度撮影モード」への切替えまたは「通常モード」への切替えを指示する信号が入力される。「低輝度撮影モード」は、「通常モード」に比べて暗い環境(たとえば、LV0以下)で測光処理を行わせるモードである。
【0015】
本実施形態における測光モードには、たとえば、「分割測光モード」、「中央重点測光モード」、「スポット測光モード」がある。「分割測光モード」は、撮影画面を複数に分割して複数の輝度値を算出し、これら複数の輝度値に基づいて露出演算を行うモードである。「中央重点測光モード」は、撮影画面の中央部に重点をおいた輝度値に基づいて露出演算を行うモードである。「スポット測光モード」は、撮影画面のうち所定の狭い範囲の輝度値に基づいて露出演算を行うモードである。本実施形態では、マイクロコンピュータ53が不図示の測光モード切替え操作部材からの操作信号に応じて測光モードを切替える他、「低輝度撮影モード」の場合には測光モード切替え操作部材からの操作信号にかかわらず自動的に「分割測光モード」へ切替える。
【0016】
マイクロコンピュータ53は、測光に関する演算と測光センサー13に対する蓄積動作の制御とを行う。蓄積動作の制御は、蓄積時間および増幅ゲインの少なくとも一方を変化させる。増幅ゲインは、測光センサー13に設けられている不図示の増幅アンプのゲインのことをいう。
【0017】
測光光学系11および12を通過した測光用光束は、測光センサー13上に被写体像を結像する。測光センサー13は、カラーフィルタ13a(
図1)を通して受光した光電変換信号を出力する。カラーフィルタ13aは、たとえば、測光センサー13の画素位置に配設されたR,G,B色のフィルタによって構成される。R色のフィルタを通して受光した画素からはR色成分の光に対応する光電変換信号が出力され、G色のフィルタを通して受光した画素からはG色成分の光に対応する光電変換信号が出力され、B色のフィルタを通して受光した画素からはB色成分の光に対応する光電変換信号が出力される。
【0018】
測光センサー13には、マイクロコンピュータ53に含まれる測光センサー制御部531から駆動用クロック信号、蓄積時間を制御する信号、および増幅ゲインを制御するゲイン制御信号がそれぞれ入力される。測光センサー13は、蓄積した電荷信号をA/D変換部51へ出力する。A/D変換部51は、入力された信号をA/D変換(アナログ信号→ディジタル信号へ変換)することにより、画素ごとに測光デジタル信号を得る。信号処理部52は、測光デジタル信号に対してクランプ処理などを行う。クランプ処理は、測光センサー13にあらかじめ設けられている遮光画素(オプティカルブラックと呼ばれる)からの出力データがいわゆる黒レベル(測光出力データの基準)となるようにクランプすることをいう。
【0019】
蓄積時間、ゲイン算出部532は、信号処理部52から出力された測光出力データに基づいて、測光センサー13の次回の蓄積のための蓄積時間および増幅ゲインをそれぞれ算出する。有効性判定部533は、信号処理部52から出力された測光出力データの有効性を判定する。目標レベル、有効性判定レベル算出部534は、信号処理部52から出力された測光出力データに基づいて、次回の蓄積によって得ようとする測光出力データの目標レベル、および次回の蓄積後の測光出力データの有効性判定に用いる判定レベルをそれぞれ算出する。測光センサー制御部531は、蓄積時間、ゲイン算出部532による算出結果、有効性判定部533による判定結果、および目標レベル、有効性判定レベル算出部534による算出結果に基づいて、上述した制御信号(駆動用クロック信号、蓄積時間制御信号、およびゲイン制御信号)を測光センサー13へ送出する。
【0020】
上記構成により、測光センサー制御部531は、次回の電荷蓄積後の測光出力データの最大値を目標値Vagcに近づけるように、測光センサー13の蓄積時間および増幅ゲインを決定し、決定した蓄積時間および増幅ゲインで次回蓄積を行うように測光センサー13をフィードバック制御する。目標値Vagcは、ダイナミックレンジの上限レベルVovより低くした値とする。本説明では、測光センサー13の出力値が線形性を有する範囲をダイナミックレンジと呼び、該ダイナミックレンジの上限を上限レベルVovとし、ダイナミックレンジの下限を下限レベルVunとする。
【0021】
上述した蓄積制御によって得られた測光出力データは測光演算のために使用される。Bv値算出、露出演算部535は、有効性判定部533によって有効と判定された測光出力データに基づいてBv値を算出し、このBv値に応じて所定の露出演算を行う。測光領域設定部536は、測光モードに応じて測光演算に用いる領域を設定する。この測光領域は、上記Bv値算出、露出演算部535が撮影画面の中で輝度値を算出する範囲に相当する。つまり、Bv値算出、露出演算部535は、測光領域設定部536で設定された領域に対応する画素からの測光出力データを用いて上記演算を行う。
【0022】
絞り制御部561およびシャッター制御部562は露出制御部56を構成する。絞り制御部561は、Bv値算出、露出演算部535による露出演算結果に基づいて撮影時に絞り3を制御する。シャッター制御部562は、Bv値算出、露出演算部535による露出演算結果に基づいて撮影時にメカニカルシャッター16を制御する。
【0023】
<撮影処理>
図3は、電子カメラの撮影制御回路(不図示)が行う撮影処理の流れを説明するフローチャートである。上記測光部は、撮影処理の中で測光処理(S12)を行う。
図3のステップS11において、撮影制御回路は、レリーズ釦54が半押し操作されたか否かを判定する。撮影制御回路は、半押し操作された場合にはステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、半押し操作されない場合にはステップS11を否定判定してステップS21へ進む。
【0024】
ステップS12において、撮影制御回路はマイクロコンピュータ53へ指示を送り、測光処理を行わせてステップS13へ進む。測光処理の詳細については後述する。ステップS13において、撮影制御回路は、焦点検出センサー15による検出信号を用いて公知のAF処理を行い、ステップS14へ進む。ステップS14において、撮影制御回路は、レリーズ釦54が全押し操作されたか否かを判定する。撮影制御回路は、全押し操作された場合にはステップS14を肯定判定してステップS15へ進み、全押し操作されない場合にはステップS14を否定判定してステップS11へ戻る。
【0025】
ステップS15において、撮影制御回路は不図示のシーケンス制御装置へ指示を送り、メインミラー5のアップ駆動を開始させてステップS16へ進む。ステップS16において、撮影制御回路は、撮像素子17の初期化を行ってステップS17へ進む。ステップS17において、撮影制御回路は撮像素子17に撮影用の電荷蓄積を所定時間行わせる。なお、測光処理結果を用いた露出演算で算出された制御露出とするように、絞り3の駆動およびメカニカルシャッター16の駆動がシーケンス制御装置(不図示)を構成する露出制御部56によって行われる。撮影制御回路は、撮像素子17から蓄積信号の読出しを指示してステップS18へ進む。
【0026】
ステップS18において、撮影制御回路はシーケンス制御装置(不図示)へ指示を送り、メインミラー5のダウン駆動を開始させてステップS19へ進む。ステップS19において、撮影制御回路は、画像を構成する光電変換信号に対する所定の画像処理を行ってステップS20へ進む。ステップS20において、撮影制御回路は、画像処理後のデータを記録媒体(不図示)に記録して
図3による撮影処理を終了する。
【0027】
ステップS11を否定判定して進むステップS21において、撮影制御回路はタイマー切れか否かを判定する。撮影制御回路は、無操作状態で所定時間が経過するとステップS21を肯定判定し、
図3による処理を終了する。一方、撮影制御回路は、所定時間が経過していない場合にはステップS21を否定判定し、ステップS11へ戻る。
【0028】
<測光処理>
図4は、マイクロコンピュータ53が行う測光処理の流れを説明するフローチャートである。
図4による測光処理は、
図3のステップS12に対応する。
図4のステップS101において、マイクロコンピュータ53は「低輝度撮影モード」か否かを判定する。マイクロコンピュータ53は、モード設定部材55から「低輝度撮影モード」への切替えを指示する信号が入力されている場合にステップS101を肯定判定し、「低輝度撮影モード」に設定してステップS102へ進む。マイクロコンピュータ53は、モード設定部材55から「低輝度撮影モード」への切替えを指示する信号が入力されていない場合にはステップS101を否定判定し、「通常モード」に設定してステップS111へ進む。
【0029】
ステップS111へ進む場合は「通常モード」(「低輝度撮影モード」でない)である。ステップS111において、マイクロコンピュータ53は「低輝度撮影モード」において自動設定していた測光モードを元の測光モード(すなわち、不図示の測光モード切替え操作部材からの操作信号に対応する測光モード)へ戻してステップS112へ進む。ステップS112において、マイクロコンピュータ53の目標レベル、有効性判定レベル算出部534は、有効性判定に用いる判定閾値として有効判定レベルVok、および上記下限レベルVunを以下のように設定してステップS104へ進む。有効判定レベルVokおよび下限レベルVunはそれぞれ、「通常モード」の場合にステップS107で行う有効性判定に用いる。
【0030】
本実施形態の測光装置は、たとえば、EV0において蓄積時間int=100msec、増幅ゲイン=4倍で蓄積させた場合に、測光出力データが25LSB(ただし、LSBは最下位ビット)となるように構成されているものとする。そして、「通常モード」における有効判定レベルVokを200LSBとする。また、「通常モード」における下限レベルVunを10LSBとする。下限レベルVunの値は、「通常モード」における最長蓄積時間(後述する蓄積時間上限値)で蓄積した場合の測光センサー13の測光出力データが上述した線形特性を満たすように定めたものである。
【0031】
ステップS102へ進む場合は「低輝度撮影モード」である。ステップS102において、マイクロコンピュータ53は「分割測光モード」に設定してステップS103へ進む。ステップS103において、マイクロコンピュータ53の目標レベル、有効性判定レベル算出部534は、有効性判定に用いる判定閾値として有効判定レベルVokN、および下限レベルVunNを以下のように設定してステップS104へ進む。有効判定レベルVokNおよび下限レベルVunNはそれぞれ、「低輝度撮影モード」の場合にステップS107で行う有効性判定に用いる。
【0032】
本実施形態では、「低輝度撮影モード」における有効判定レベルVokNを、次式(1)により算出する。
VokN=Vok−Vx (1)
ただし、Vokは「通常モード」における有効判定レベルである。Vxは所定値であり、「通常モード」および「低輝度撮影モード」の最長蓄積時間(後述する蓄積時間上限値)に応じて定める。本例では、Vx=150LSBとする。
【0033】
また、本実施形態では、「低輝度撮影モード」における下限レベルVunNを、次式(2)により算出する。
VunN=Vun−Vy (2)
ただし、Vunは「通常モード」における下限レベルである。Vyは所定値であり、「通常モード」および「低輝度撮影モード」の最長蓄積時間(後述する蓄積時間上限値)に応じて定める。本例では、Vy=8LSBとする。
【0034】
ステップS104において、マイクロコンピュータ53の測光センサー制御部531は、測光センサー13に蓄積動作をさせてステップS105へ進む。ステップS105において、マイクロコンピュータ53は、測光センサー13から読出した測光出力データを信号処理部52を介して入力してステップS106へ進む。
【0035】
ステップS106において、マイクロコンピュータ53は、次回蓄積時間int'と、次回増幅ゲインとを算出してステップS107へ進む。次回の蓄積時間int'は、蓄積時間、ゲイン算出部532が次式(3)により算出する。なお、本説明では次回増幅ゲインを4倍とする。
int'=int×Vagc/Vomax (3)
ただし、intは前回の蓄積時間である。Vagcは、次回の電荷蓄積後の測光出力データの最大値の目標値であり、たとえば720LSBとする。Vomaxは、前回の蓄積によって得た測光出力データの最大値である。たとえば、蓄積時間int=100msecでした前回の測光出力データの最大値Vomaxが600LSBであった場合を例にすると、int'=100×720/600=120msecである。なお、初回の蓄積の場合は前回の条件や前回の測光出力データが存在しないので、所定の初期条件(たとえば、蓄積時間int=100msec、増幅ゲイン4倍)で行う。
【0036】
本実施形態の測光センサー制御部531は、測光センサー13に対して設定する蓄積時間int'に蓄積時間の上限を定める。「通常モード」においては、蓄積時間上限値をたとえば100msecとし、上式(3)によって100msecを超える値が算出される場合でも蓄積時間int'の最長を100msecに抑える。また、「低輝度撮影モード」においては、蓄積時間上限値をたとえば400msecとし、上式(3)によって400msecを超える値が算出される場合でも蓄積時間int'の最長を400msecに抑える。
【0037】
ステップS107において、マイクロコンピュータ53の有効性判定部533は、ステップS104の蓄積で得られた測光出力データの有効性判定処理を行ってステップS108へ進む。有効性判定処理の詳細については後述する。
【0038】
ステップS108において、マイクロコンピュータ53は測光出力データが有効か否かを判定する。マイクロコンピュータ53は、ステップS107において有効と判断している場合にステップS108を肯定判定してステップS109へ進む。マイクロコンピュータ53は、ステップS107において有効と判断しなかった場合には、ステップS108を否定判定してステップS104へ戻る。ステップS104へ戻る場合は、ステップS104の蓄積で得られた測光出力データをBv値算出(S109)に用いることなしに蓄積動作をやり直す。
【0039】
ステップS109において、マイクロコンピュータ53のBv値算出、露出演算部535は、上記有効と判断した測光出力データに基づいてBv値を算出し、ステップS110へ進む。ステップS110において、マイクロコンピュータ53のBv値算出、露出演算部535は、上記Bv値に応じて所定の露出演算を行って
図4による処理を終了する。
【0040】
<有効性判定処理>
図5は、マイクロコンピュータ53の有効性判定部533が行う有効性判定処理の流れを説明するフローチャートである。
図4におけるステップS107として有効性判定処理を行う有効性判定部533は、ステップS1071において、ステップS104の蓄積で得た測光出力データの最大値Vomaxおよび最小値Vominをそれぞれ算出してステップS1072へ進む。なお、最大値Vomaxは、上記ステップS106において使用した値と同じである。
【0041】
ステップS1072において、有効性判定部533は、最大値Vomaxが上限レベルVovより小か否かを判定する。有効性判定部533は、Vomax<Vovが成立する場合にステップS1072を肯定判定してステップS1073へ進む。ステップS1073へ進む場合は、測光センサー13の出力データがオーバーフローしていない場合である。有効性判定部533は、Vomax<Vovが成立しない場合には、ステップS1072を否定判定して
図5による処理を終了する。
【0042】
ステップS1073において、有効性判定部533は、最小値Vominが下限レベルVunより小か否かを判定する。有効性判定部533は、Vomin<Vunが成立する場合にステップS1073を肯定判定してステップS1075へ進む。有効性判定部533は、Vomin<Vunが成立しない場合には、ステップS1073を否定判定してステップS1074へ進む。ステップS1073を否定判定する場合は、測光センサー13の出力データがアンダーフローしていない場合である。
【0043】
なお、「低輝度撮影モード」の場合に有効性判定処理を行う有効性判定部533は、ステップS1073において、最小値Vominが下限レベルVunNより小か否かを判定する。下限レベルVunNの値は、上述したように「通常モード」時の下限レベルVunより小さな値である。有効性判定部533は、Vomin<VunNが成立する場合にステップS1073を肯定判定してステップS1075へ進む。有効性判定部533は、Vomin<VunNが成立しない場合には、ステップS1073を否定判定してステップS1074へ進む。
【0044】
ステップS1075において、有効性判定部533は、最大値Vomaxが有効判定レベルVokより大か否かを判定する。Vokの値は上述した通りである。有効性判定部533は、Vomax>Vokが成立する場合にステップS1075を肯定判定してステップS1074へ進む。ステップS1075を肯定判定する場合は、測光センサー13の出力データにアンダーフローデータが含まれるものの、有効判定レベルVokより大のデータが存在する場合である。有効性判定部533は、Vomax>Vokが成立しない場合には、ステップS1075を否定判定して
図5による処理を終了する。
【0045】
なお、「低輝度撮影モード」の場合に有効性判定処理を行う有効性判定部533は、ステップS1075において、最大値Vomaxが有効判定レベルVokNより大か否かを判定する。有効判定レベルVokNの値は、上述したように「通常モード」時の有効判定レベルVokより小さな値である。有効性判定部533は、Vomax>VokNが成立する場合にステップS1075を肯定判定してステップS1074へ進む。ステップS1075を肯定判定する場合は、測光センサー13の出力データにアンダーフローデータが含まれるものの、有効判定レベルVokNより大のデータが存在する場合である。有効性判定部533は、Vomax>VokNが成立しない場合には、ステップS1075を否定判定して
図5による処理を終了する。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラの測光装置は、蓄積型の測光センサー13からの測光出力データをVagcに近づけるように次回の蓄積時間int'を演算する蓄積時間、ゲイン算出部532と、測光出力データと下限レベルおよび下限レベルより大きい有効判定レベルとの比較に基づいて測光出力データが有効か否かを判定する有効性判定部533と、有効性判定部533が否定判定した場合に測光出力データを用いて測光演算することなしに蓄積時間、ゲイン算出部532で演算された蓄積時間で測光センサー13に次の蓄積をさせる測光センサー制御部531と、低輝度撮影モードにおいて、下限レベルを通常モードにおける値より小さく変更するように有効性判定部533を制御するマイクロコンピュータ53と、を備えるようにした。これにより、たとえばLV0以下のような暗い環境で適切に測光できる。
【0047】
一般に、暗い環境では蓄積型の測光センサー13からの測光出力データが小さくなる。夜間などの低輝度撮影を行うモードにおいて測光出力データが有効か否かを判定する際の比較に用いる下限レベルを小さく変更することで、通常モードにおいては測光演算し得なかった低レベルの測光出力データを低輝度撮影モードでは測光演算に用いる可能性が高まる。このように、暗い環境で適切に測光することができる。
【0048】
(2)上記(1)の測光装置において、マイクロコンピュータ53はさらに、低輝度撮影モードにおいて、有効判定レベルを通常モードにおける値より小さく変更するように有効性判定部533を制御するようにしたので、たとえばLV0以下のような暗い環境で適切に測光することができる。夜間などの低輝度撮影を行うモードにおいて測光出力データが有効か否かを判定する際の比較に用いる有効判定レベルを小さく変更することで、測光センサの出力が線形性を保っているにもかかわらず、通常モードにおいては測光演算し得なかった低レベルの測光出力データを低輝度撮影モードでは測光演算に用いる可能性が高まる。また、これにより、レリーズタイムラグが小さくなる可能性も高まる。このように、暗い環境で適切に測光することができる。
【0049】
具体的に例示すると、ある時点での次回蓄積時間算出int’が300msecだったとする。300msecで測光センサー13の蓄積を開始する直前に被写体の輝度が暗くなってLV−1となり、その状態で蓄積した場合の測光出力データの最大値Vomaxが80LSB、最小値Vominが4LSBであったとする。
この場合、「通常モード」用の有効判定レベルVok(たとえば200LSB)、下限レベルVun(たとえば10LSB)を使用すると、Vomin<Vun、Vomax<Vokとなるため、有効とは判定されない。しかしながら、「低輝度モード」用の有効判定レベルVokN(たとえば50LSB、下限レベルVunN(たとえば2LSB)を使用することで、Vomin>VunN、Vomax>VokNとなるので有効と判定される。
有効と判定されない場合は、当該測光出力データを捨ててステップS104へ戻って測光用センサー13の蓄積をやり直すところ、上述したように制御することで有効判定が得られればデータを捨てないで済むから、時間の無駄にならない。よって、レリーズタイムラグを少なく抑えることが出来る。
【0050】
(3)上記(1)または(2)の測光装置において、有効性判定部533は、測光出力データの最小値が下限レベルより大きい場合、または測光出力データの最大値が有効判定レベルより大きい場合に有効を判定するので、信頼性が見込める測光出力データの場合にのみ測光演算する結果、無駄な演算を省いて適切な測光データが得られる。
また、これにより、レリーズタイムラグが小さくなる可能性も高まる。
【0051】
(4)上記(1)〜(3)の測光装置において、マイクロコンピュータ53はさらに、低輝度撮影モードにおいて蓄積時間の上限を通常モードにおける上限より長く変更するように蓄積時間、ゲイン算出部532を制御するようにしたので、通常モードにおける蓄積時間の上限と同等にする場合に比べて、暗い環境での測光出力データのレベルを高めることができる。
【0052】
(5)上記(4)の測光装置において、マイクロコンピュータ53は、蓄積時間の上限の長さに応じて下限レベルを小さく変更するので、測光出力データが有効か否かを判定する際の比較を適切に行うことができる。
【0053】
(6)上記(4)または(5)の測光装置において、マイクロコンピュータ53は、蓄積時間の上限の長さに応じて有効判定レベルを小さく変更するので、測光出力データが有効か否かを判定する際の比較を適切に行うことができる。
【0054】
以上の説明はあくまで一例であり、たとえば、上述した測光装置を備えるカメラであれば電子カメラでもフィルムカメラでもよく、一眼レフタイプと異なるカメラに適用しても構わない。
【0055】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。