(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口制御部は、マクロ撮影モードにおいて、当該マクロ撮影モードでない場合と比べて、前記開口の開口面積を小さくして、前記開口の数を増やす請求項5から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
前記開口制御部は、高速撮影モードにおいて、当該高速撮影モードでない場合と比べて、前記開口の開口面積を大きくして、前記開口の数を減らす請求項5から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の構成例を示す。撮像装置100は、異なる経路を通過する光を撮像する毎に、当該開口の位置に応じてフォーカス位置を調整することで、光学系の収差の影響を低減させた複数の視差画像を得る。撮像装置100は、光学系110と、可変開口部120と、開口制御部130と、撮像部140と、調整部150と、駆動部152と、画像生成部160とを備える。
【0009】
光学系110は、外部から入射する光を撮像素子へと導く。光学系110は、光軸O−Oに垂直に備わる複数のレンズ112、114等を有し、被写体の像を撮像部140内にフォーカスさせる。一例として、光学系110は、焦点距離を予め定められた範囲で可変にするズームレンズである。光学系110は、1以上の凸レンズまたは凹レンズを含んでよく、これに代えて、1以上の凸レンズおよび凹レンズの組み合わせであってもよい。また、光学系110は、1以上の非球面レンズを含んでもよい。また、光学系110は、1以上の凹面鏡または凸面鏡等のミラーを含んでもよい。
【0010】
可変開口部120は、光学系110の光軸と垂直方向における開口位置が可変である開口を有する。可変開口部120は、開口の開口面積も可変としてよい。一例として、可変開口部120は、開口制御部130から受け取る制御信号に応じて、開口形状、開口位置、開口面積、および/または開口の数等を切り換える。図中において、可変開口部120は、2つの開口h
1およびh
2を形成させ、光学系110の光の入射面における2つの領域p
1およびp
2からの光をそれぞれ通過させる例を示す。
【0011】
可変開口部120は、例えば、予め定められた開口を有する開口部を有し、当該開口部を光軸に対して垂直な面内で移動させて開口位置を可変にする。これに加えて、可変開口部120は、予め定められた異なる開口を有する複数の開口部を有し、当該複数の開口部を交換して、開口形状、開口位置、開口面積、および/または開口の数等を切り換えてもよい。これに代えて、可変開口部120は、電界の印加の有無によって印加された領域の光の通過および遮断を切り換える液晶シャッタ等を有し、当該液晶シャッタに印加する電界を切り換えることより、開口形状、開口位置、開口面積、および/または開口の数等を切り換えてもよい。
【0012】
開口制御部130は、開口の開口位置を複数の領域のそれぞれからの光を通過させる位置に切り換える。即ち、開口制御部130は、光学系110の入射面における互いに異なる複数の領域にそれぞれ対応して設けられた複数の開口のそれぞれを、異なるタイミングで順番に開き、残りの開口を閉じることによって切り替えていき、当該複数の領域のそれぞれを通過する光を光学系110内部へとそれぞれ通過させる。
【0013】
例えば、開口制御部130は、可変開口部120の開口h
1を開けてh
2を閉じた状態から、開口h
1を閉じてh
2を開ける状態に切り換えて、入射面における領域p
1およびp
2からの光を光学系110の内部へと、それぞれ順に通過させる。これに代えて、開口制御部130は、複数の開口を開けて、複数の領域のそれぞれを通過する光を光学系110内部へと通過させてもよい。
【0014】
例えば、開口制御部130は、可変開口部120の開口h
1およびh
2を開け、入射面における領域p
1およびp
2からの光を光学系110の内部へと通過させる。この場合、光学系110は、レンズ112とレンズ114の間に開口を通過した光に対応してプリズム等を設け、撮像部140に入力させる光の光路を変えてよい。これによって、光学系110は、異なる開口を通過した被写体からの複数の光を、撮像部140の内部に設けられた撮像素子の異なる領域にそれぞれフォーカスさせて同時にそれぞれの光を撮像することができる。
【0015】
開口制御部130は、開口の開口位置を切り換える制御信号を可変開口部120に送信する。また、開口制御部130は、開口形状、開口位置、開口面積および/または開口の数等を切り換える制御信号を可変開口部120に送信してもよい。一例として、開口制御部130は、予め定められた異なる開口位置の複数の開口が予め定められた順序で切り替わるように、制御信号を可変開口部120に送信する。
【0016】
撮像部140は、光学系110の入射面における互いに異なる複数の領域のそれぞれを通過する光を撮像した複数の画像を出力する。撮像部140は、撮像素子142を有し、複数の領域のそれぞれを通過する光を撮像して、複数の画像をそれぞれ出力する。また撮像部140は、画像処理部144および記憶部146を有し、撮像した複数の画像を記憶する。
【0017】
撮像素子142は、光学系110が被写体を結像させる撮像面に平行に受光面が設けられ、当該被写体の像を撮像する。撮像素子142は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型半導体光検出器等である。図中において、撮像素子142は、入射面における2つの領域p
1およびp
2をそれぞれ通過する被写体からの光を受光して撮像する例を示す。
【0018】
画像処理部144は、撮像素子142に接続され、撮像素子142からの画像信号から撮像画像を生成して記憶部146に格納する。画像処理部144は、使用者の指示に応じたタイミングで撮像画像を生成してよく、これに代えて、予め定められた複数のタイミングで予め定められた複数の撮像画像を生成してもよい。また、画像処理部144は、調整部150の指示に応じたタイミングで撮像画像を生成してもよい。
【0019】
記憶部146は、画像処理部144に接続され、撮像素子142が撮像した複数の画像を記録および保持する。記憶部146は、一例として、フラッシュメモリ等の半導体メモリである。
【0020】
調整部150は、複数の領域のそれぞれに対応してフォーカス位置を調整する。調整部150は、開口制御部130が切り換える開口の開口位置に応じて、フォーカス位置を調整してよい。調整部150は、一例として、複数の開口位置のそれぞれに対応付けて、フォーカス位置の調整量を予め記憶してよい。調整部150は、フォーカス位置の調整量に応じた制御信号を駆動部152に送信してフォーカス位置を調整する。調整部150は、フォーカス位置を調整した後に、撮像部140の画像処理部144に撮像の指示を送信する。
【0021】
駆動部152は、光学系110の光学配置の少なくとも一部を変更して、光学系110が被写体を結像する結像面の位置を変更する。例えば、駆動部152は、モータまたはアクチュエータ等を有し、1以上のレンズの光軸方向における位置を変更する。
【0022】
図中において、駆動部152は、レンズ114を移動してフォーカス位置を変更する例を示す。これに代えて、駆動部152は、レンズ112およびレンズ114をそれぞれ移動してよく、また、光学系110は更に複数のレンズを設け、駆動部152は、2以上のレンズを移動してもよい。ここで、駆動部152は、画像のコントラスト情報、位相差情報、または被写体に赤外線等を照射して反射波が戻るまでの時間情報等に応じて、被写体のフォーカス位置を調節するオートフォーカス機能を構成する部品の一部であってよい。
【0023】
画像生成部160は、複数の領域のそれぞれに応じてフォーカス位置を調整して撮像した複数の画像を合成して出力画像を生成する。例えば、画像生成部160は、開口制御部130が切り換えるそれぞれの開口位置に応じてフォーカスを調整して撮像した複数の画像から出力画像を生成する。
【0024】
画像生成部160は、例えば、異なる開口の配置から視差を算出し、被写体までの距離を測定する。これによって、画像生成部160は、複数の画像に基づき、被写体との距離情報を有する画像を合成することができる。これに代えて、画像生成部160は、三次元測距データを生成してよい。これに代えて、画像生成部160は、ボケ画像を含む画像を生成してよい。これに代えて、画像生成部160は、3D画像を生成してよい。
【0025】
図2は、レンズの合焦位置のずれ量と像高の関係の一例を示す。本例は、球面収差といった収差のあるレンズを通過した光の合焦位置と、収差のないレンズを通過した理想的な合焦位置とを比べて、像高に対する合焦位置のずれ量を計算した結果である。
【0026】
図中の横軸は、光軸上における合焦位置の理想的な合焦点からのずれ量を示す。図中の縦軸は、結像面における光軸位置からの距離である像高を示す。例えば、像高がゼロの場合はレンズの中央近辺を通過する光が光軸上に合焦し、像高が大きくなるに従い、レンズの中央から離れた領域の光が徐々に加わって合焦する。即ち、像高は、光学系の絞りのF値に対応し、絞りの開口面積が小さい大きなF値には小さい像高が対応し、大きなF値には高い像高が対応する。
【0027】
図中には、赤、緑、および青の3つの波長に対するレンズの合焦位置のずれ量と像高の関係の一例を示す。ここで、像高がゼロの場合に、緑の波長の光のずれ量がゼロとなるように、それぞれの波長の特性を示した。図中の例より、絞りを開けて開口面積を大きくするにしたがい、絞りを開ける前に比べて合焦位置が移動し、ずれ量の変化の度合いは徐々に大きくなる。
【0028】
このように、レンズの端部を通過する光は、レンズの中央部を通過する光に比べて異なる位置に結像し、レンズを通過する光が当該レンズの中央から離れるにしたがい、結像位置のずれが大きくなってしまう。通常のレンズ絞りにおいて、絞りの中心位置は光軸中心と一致する為、合焦位置は絞りを絞ると理想位置に近づく。しかし、絞りの中心位置が光軸中心と一致しない場合は、通常のレンズ絞りの場合に比べて、合焦する光がレンズの中心からより離れた領域を通過することになり、絞りの中心がレンズ中心より離れるに従って、理想像面からのずれ量の変化の度合いはより大きくなってしまう。
【0029】
これより、光学系の光軸中心とは異なる開口位置の開口を複数用いて撮像する場合、開口位置に応じて焦点位置が異なってしまうことがわかる。そこで、本実施例の撮像装置100は、複数の開口を時間的に順次切り換え、開口位置に応じたフォーカス位置の補正をしつつ、開口毎に画像を撮像する。
【0030】
図3は、本実施形態に係る可変開口部120が形成する複数の開口の構成例を示す。
図3は、光学系110の光軸に対して垂直な面を示す。図中の点Oは、光軸を示す。図中の点線の円は、光学系110の最大開口200を示す。また、図中の実線の円は、可変開口部120が形成する開口210、220、230を示す。
【0031】
開口制御部130は、このような複数の開口210、220、230を切り換える。例えば、開口制御部130は、開口の中心位置を互いに異なる予め定められた複数の位置に切り換える。開口制御部130は、一例として複数の開口220のそれぞれを、開口の中心位置を光軸Oを中心とした開口210の周囲の同心円状に切り換える。
【0032】
また、可変開口部120は、複数の開口を、光学系の光軸Oを中心として回転対称な形状にしてよい。開口制御部130は、このような開口を形成する可変開口部120を回転させることで、複数の開口を切り換えることができる。
【0033】
また、一例として、開口制御部130は、互いに隣接する少なくとも2つの開口の一部が重なるように開口位置を切り換える。これによって、撮像部140は、合成すべき複数の画像のうち少なくとも2つの画像の一部として、異なる開口を通過した同じ領域の光を撮像する。したがって、画像生成部160は、当該領域の情報を比較することで複数の画像を矛盾無く合成することができる。例えば、画像生成部160は、距離情報を含む画像を生成する場合、当該領域の距離を同一距離にして、複数の画像を矛盾無く合成する。
【0034】
開口制御部130は、複数の開口210、220、230を重ねた領域が、予め定められた面積の光を通過させるように開口位置および開口面積を制御する。例えば、開口制御部130は、複数の開口を重ねた領域内に、最大開口200が含まれるように開口の開口位置および開口面積を制御する。これによって、画像生成部160は、複数の開口210、220、230を通過した光を撮像した複数の画像を合成することで、最大開口200といった予め定められた面積を通過する光によって結像される被写体の画像を生成することができる。
【0035】
ここで、光学系110は、
図2で説明したように収差を有し、例えば、円形のレンズの収差は、中心から離れた外縁を通過する光に対して、中心を通過する光と比べて焦点位置大きく変化させる傾向を示す。このようなレンズを含む光学系110で被写体を撮像すると、光軸Oの近辺を通過する光の結像位置と、光軸Oから離れた位置を通過する光の結像位置に差異が発生し、結像にゆがみ等を生じさせる。即ち、異なる開口位置の開口を通過するそれぞれの光は、光学系110の異なる領域をそれぞれ通過するので、通過する領域に応じて焦点位置が変化してしまう。
【0036】
このような収差の影響を受けて撮像された複数の画像から、合成画像を生成すると、例えば正確な距離情報が得られない三次元測距データ、ボカすべき領域が異なってしまうボケ画像を含む画像、または立体感が不自然な3D画像等が生成されてしまう。これに対して、本実施形態に係る撮像装置100は、開口制御部130が切り換えるそれぞれの開口位置に応じて開口毎にフォーカスを調整しつつ撮像する。
【0037】
したがって、画像生成部160は、収差の影響を低減させて複数の画像を合成することができる。これによって、画像生成部160は、より正確な距離情報が得られる三次元測距データ、ボカすべき領域をボカしたボケ画像を含む画像、または自然な立体感が得られる3D画像等を生成することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置100は、光学系110の入射面を複数の領域に分割して、当該複数の領域に対応する複数の開口を時間的に順次切り換え、フォーカス位置を調整しつつ複数の開口毎に複数の画像を撮像する。ここで、開口制御部130は、一例として、光学系110の光軸Oに近い開口の開口面積を、光学系110の光軸Oから遠い開口の開口面積より大きくする。
【0039】
光学系110の光軸Oに近い開口を通過する光は、光学系110に含まれるレンズの中央部を通過するので、レンズの外縁部に比べてより小さな収差を発生させ、また、発生させる収差の変化の度合いは、レンズの中央部においてはほとんど一定となる。一方、光学系110の光軸Oから離れた位置の開口を通過する光は、光学系110に含まれるレンズの外縁部を通過するので、レンズの中央部に比べて大きな収差を発生させ、また、収差の変化の度合いもレンズの外縁部に近づくほど大きく変化する。
【0040】
そこで、開口制御部130は、光軸Oに近い領域から遠くなるにつれて、開口面積を徐々に小さくする。これによって、開口制御部130は、収差の変化の度合いが大きくなるレンズの外縁部を通過する光を、より小さい開口面積の開口を通過させて、当該開口面積内の収差の変化の度合いを低下させることができる。
【0041】
図中において、開口制御部130は、光軸Oに近い開口210から、開口220、230と、光軸Oからの距離に応じて開口面積を小さくする例を示す。開口制御部130は、一例として、開口210、開口210の周りの複数の開口220、および開口220の周りの複数の開口230を、予め定められた順に順次切り換える。
【0042】
ここで、開口制御部130は、一例として、可変開口部120が形成する複数の開口のうち、発生する収差がほぼ同じとなる光を通過させる複数の開口を、同時に形成させてよい。例えば、光学系110が、光軸Oを中心として同心円状に収差が変化する収差の分布を発生させる場合、開口制御部130は、同心円状に形成される複数の開口を開ける。図中の例において、開口制御部130は、複数の開口220のうち2以上の開口220を開き、当該2以上の開口220を通過する光を撮像部140が撮像する。
【0043】
また、開口制御部130は、複数の開口230のうち2以上の開口230を開き、当該2以上の開口230を通過する光を撮像部140が撮像してもよい。これによって、撮像装置100は、一の出力画像を合成するのに用いる画像の数を低減させて、撮像時間を短縮させることができる。撮像装置100は、動きのある被写体を撮像する場合に、このような複数の開口を形成して高速撮影モードとしてもよい。
【0044】
これに代えて、またはこれに加えて、開口制御部130は、高速撮影モードにおいて、当該高速撮影モードでない場合と比べて、開口の開口面積を大きくして、開口の数を減らしてもよい。撮像装置100は、切り換える開口の数を減らすことによって、撮像時間を短縮させることができる。開口制御部130は、ユーザの撮像時間の指定に応じて、撮像時間に対応する開口の数、開口面積、開口形状、および/または開口位置等を定めてよい。開口制御部130は、撮像時間に対応する開口の数、開口面積、開口形状、および/または開口位置等を予め定めて記憶し、ユーザの指定に応じて読み出してよい。
【0045】
また、開口制御部130は、静止している被写体を撮影する場合、高速撮影モードに比べて開口面積を小さくして、開口の数を増やしてよい。撮像装置100は、開口の数を増やすことで開口毎にフォーカス位置を調整して、光学系110の収差の分布の影響を低減させることができる。
【0046】
また、開口制御部130は、マクロ撮影モードにおいて、当該マクロ撮影モードでない場合、例えば、通常撮影モード、風景撮影モード、ポートレート撮影モード、スポーツ撮影モード等の接写を目的としない撮影モード等と比べて、開口の開口面積を小さくして、開口の数を増やしてよい。撮像装置100は、開口の数を増やすことで光学系110の収差の分布の影響を低減させることができる。また、このように開口制御部130が開口面積を小さくすることで、撮像装置100は、光学系110の色収差の影響を低減させることができる。
【0047】
光学系110が有するレンズ等は、通過させる光の波長によって屈折率が異なるので、
図2に示すように、当該通過させる光の波長に応じて異なる距離に焦点を結ぶ。例えば、このようなレンズを有する光学系110は、波長の短い青色の光に比べて、波長の長い赤色の光の焦点距離をより長くしてしまう。これによって、光学系110は、当該光学系110を通過する波長によって光軸方向における被写体の結像位置がずれてしまう軸上色収差を生じさせてしまう。
【0048】
このような光学系110は、レンズの外縁側に近づくにつれて結像位置のずれ量を大きくしてしまい、結果としてレンズの中心部分と比較し色収差の発生量を大きくさせてしまう。そこで、開口制御部130は、複数の開口の開口面積を小さくすることによって、当該色収差の影響を低減させる。
【0049】
ここで、無収差系のレンズでは、F値が小さいほど解像度を高くする事が可能である。しかし、一般に、F値が小さい明るいレンズは、絞り開放付近では収差の影響が大きくなり、レンズの解像度が開放付近では低下する傾向を有する。例えば、レンズの解像度の指標として、MTF(Modulation Transfer Function)が知られており、一例として、開放F値が2.0のレンズの開放付近のMTFよりも、当該レンズのF値を4.0に絞った場合の方が、MTFが高い場合がある。このような、開放付近の収差の影響が大きいレンズでは、収差の影響を取り除いてやると、非常に解像度の高い画像を撮像することができる。
【0050】
高いF値に相当するように開口面積を小さくして開口位置を複数個所に変えることにより複数の開口によって低いF値に相当する開口範囲をカバーして複数の画像を撮像し、撮像した複数の画像を合成すると、理論的にはフォーカスが合っている領域は解像度が高く、かつ、被写界深度の浅い画像を得ることができる。
【0051】
収差を有するレンズは、開口位置に応じたフォーカス位置のずれを生じさせるので、合成した画像の解像度は低下し、高いF値に相当する開口を用いても低いF値に相当する開口で撮像した画像と同等程度の画像を生成させてしまう。これに対して、本実施形態に係る撮像装置100は、開口制御部130が切り換えるそれぞれの開口位置に応じてフォーカスを調整するので、開口毎に収差の影響を補正しつつ撮像することができる。
【0052】
具体的には、開口制御部130は、例えばF値2.0のレンズに相当する開口面積の領域を占めるように、F値4.0に相当する開口面積の開口位置を変え、調整部150は、開口位置に応じてフォーカス位置を調整し、撮像部140が複数の画像を撮像する。これによって、画像生成部160は、F値4.0相当の収差量で、かつ、F値2.0相当の浅い被写界深度の画像を得ることができる。
【0053】
以上の本実施例の開口制御部130は、可変開口部120の開口面積および開口位置を変えることを説明した。これに代えて、開口制御部130は、略同一の面積および形状の開口の開口位置を変えてもよい。
図4は、本実施形態に係る可変開口部120が形成する複数の開口の変形例を示す。
【0054】
本例において、開口制御部130は、可変開口部120に、予め定められた面積の開口210を形成させ、当該開口210の開口位置を変える。開口制御部130は、複数の開口210を重ねた領域内に、最大開口200が含まれるように開口位置を制御して切り換える。一例として、開口制御部130は、開口210の開口位置を図面の縦方向または横方向に一定のピッチで移動させて開口を切り換える。これによって、開口制御部130および可変開口部120は、より簡単な構成および簡単な制御で、光学系110の入射面における複数の領域のそれぞれを通過する光をそれぞれ撮像部140に撮像させることができる。
【0055】
以上の本実施形態の開口制御部130は、可変開口部120に、円形の開口部を形成させることを説明した。これに代えて、開口制御部130は、開口制御部130は、光軸Oを中心とした円形の開口と、光軸Oを中心とした同心円で形成されるリング状の開口とを組み合わせて形成してもよい。この場合、開口制御部130は、例えば、リング状の開口の半径方向の幅を、光軸Oから離れて外側の開口になるにしたがい、小さくして形成させる。また、この場合、開口制御部130は、円形の開口の半径に比べて、リング状の開口の半径方向の幅を狭く形成させてもよい。
【0056】
これに代えて、開口制御部130は、楕円または多角形等の形状を形成させてもよい。これに代えて、開口制御部130は、円、楕円、リング、および多角形等のうち2以上の形状を組み合わせた複数の開口を形成させてもよい。
【0057】
図5は、本実施形態に係る撮像装置100の動作フローを示す。まず、撮像装置100は、撮像すべき被写体にフォーカスを合わせる(S300)。ここで、フォーカス合わせは、オートフォーカスでよく、これに代えて、ユーザによるマニュアルフォーカスであってもよい。
【0058】
次に、開口制御部130は、可変開口部120に開口を形成させる(S310)。一例として、開口制御部130は、予め定められた開口の形状、開口位置、および個数を、予め定められた順で形成させる。
【0059】
次に、調整部150は、開口制御部130が形成した開口に応じて、フォーカス位置を調整する(S320)。撮像装置100は、撮影モード、開口の形状、開口面積、開口位置、および/または開口の数といった情報に対応するフォーカス位置の調整量を、予め記憶してよい。これによって、開口制御部130は、ユーザの指定による撮影モード等に応じた開口を形成し、調整部150は、当該開口に応じたフォーカス位置を調整することが直ちにできる。
【0060】
次に、撮像部140は、開口を通過する光を撮像する(S330)。撮像装置100は、開口制御部130が形成する開口毎にフォーカスを調整して撮像するステップS310からステップS330までの工程を、開口制御部130が形成する複数の開口を予め定められた順序で形成し終えるまで繰り返す(S340)。
【0061】
次に、画像生成部160は、撮像された複数の画像を合成して出力画像を生成する(S350)。このようにして、本実施形態の撮像装置100は、開口制御部130が切り換えるそれぞれの開口に応じてフォーカスを調整して、光学系110の収差の影響を当該開口毎に補正しつつ撮像して、光学系110の収差の影響を低減させた画像を出力することができる。
【0062】
撮像装置100は、以上の撮像を繰り返すことで、動画を出力してもよい。この場合、撮像装置100は、画像生成部160による画像の合成を、撮像と同期して実行しなくてもよい。例えば、撮像装置100は、ステップS300からステップS340までの工程を先に実行して複数の画像を撮像して撮像を終了してから、画像の合成を実行して動画像を生成する。
【0063】
図6は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。コンピュータ1900は、ソフトウェアおよびハードウェアの協働により、調整部150および画像生成部160として機能する。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
【0064】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000およびグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010およびRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0065】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030および記憶部146を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。一例として、記憶部146は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラムおよびデータを格納する。
【0066】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010および入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、および/または、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。入出力チップ2070は、開口制御部130、画像処理部144、および駆動部152を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0067】
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を調整部150および画像生成部160として機能させる。
【0068】
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である調整部150および画像生成部160として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の調整部150および画像生成部160が構築される。
【0069】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、記憶部146等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置または通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030または記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0070】
また、CPU2000は、記憶部146等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、および/または記憶装置に含まれるものとする。
【0071】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(または不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0072】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0073】
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク、DVD−ROM、DVDまたはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0075】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。