【実施例1】
【0013】
本発明
方法で製造された液体ライトガイド1は、
図1に示すように、樹脂製チューブ2の中空部にコアとなる導光液3が充填されている。
樹脂製チューブ2は、本例では、FEPで形成された外径10.5mm、内径10mm、長さ1mのものを用いた。
導光液3は38%塩化カルシウム溶液を用い、20℃で、大気圧+400hPa(約1400hPa)となるように充填した。
【0014】
当該チューブ2の両端側にはコレットチャックタイプの口金4が外装され、当該口金によりチューブ2の両端開口部に挿入された透光性プラグ5が固定されている。
口金4は、放射状の割溝(図示せず)によりスプリングチャック6が形成されたコレット7と、スプリングチャック6を締め付けるロックナット8とを備え、スプリングチャック6外周面に形成されたテーパねじと、ロックナット8に形成されたテーパねじが螺合されてスプリングチャック6部分を縮径させることにより、樹脂製チューブ2を透光性プラグ5に押し付けて、当該チューブ2の両端開口部を封止できるようになっている。
なお、透光性プラグ5としては石英ロッドを用いている。
【0015】
この液体ライトガイド1の設計使用温度は−10℃〜45℃であり、その温度範囲内において、導光液3の充填圧力が1100hPaを下回らないことを確認した。
また、液体ライトガイド1の設計耐圧は、導光液3の充填圧力を気温20℃において10000hPaまで上昇させた場合に100日間安全使用できることを確認した。
【0016】
以上が液体ライトガイドの一構成例であって、次にその製造方法について説明する。
まず、
図2に示すように、樹脂製チューブ2の一端側に挿入した透光性プラグ5を口金4で固定し、他端側にコレット7を外装したものを用意し、
図3に示すように導光液3を貯留した液槽11内に沈めて中空部に導光液3を充填する。
次いで、開口された他端側を高くしてチューブ2内に残る気泡をすべて排出させた後、
図4に示すようにチューブ2の他端側に透光性プラグ5を仮止めすると、チューブ2内には気泡を生ずることなく導光液3を充填される。
【0017】
この状態で、
図5に示すように、樹脂製チューブ2を液槽11から取り出し、他端側からロックナット8を外装し、当該チューブ2がずれないように固定した状態で、プランジャ12により透光性プラグ5をチューブ2内に押し込む加圧工程を実行する。
これにより導光液3が充填された中空部の実質長さが短くなるが、導光液3などの液体は一般に非圧縮性であるので、その分、樹脂製チューブ2が拡径して容積が一定に維持され、その結果、導光液3の充填圧力は樹脂製チューブ2の面内方向に作用する張力分だけ大気圧よりも高くなっていると考えられる。
【0018】
そして
図6〜
図7に示すように、プランジャ12で透光性ロッド5を押し込んだ状態のまま、ロックナット8を締め付けると、コレット7のスプリングチャック6が縮径され、チューブ2が透光性ロッド5とチャック6の間に強固にはさまれて、当該チューブ2が封止されることになる。
封止完了後、
図8に示すように樹脂製チューブの先端余剰分を切断すれば、
図1に示す液体ライトガイド1が完成する。
【0019】
なお、この方法で、液体ライトガイド1を製造する場合、導光液3の充填圧力を正確に求めることは困難であるので、透光性ロッド5の押込力を導光液の充填圧力として用いてもよい。
また、より正確に制御するのであれば、予め、圧力センサを先端に設けた透光性ロッド5と同サイズのセンシングロッドを透光性ロッド5に替えて樹脂製チューブ2の一端側に装着したダミーチューブを用いて、上述と同じ工程で、導光液3を充填し、開口端を透光性ロッド5で仮止めした後、透光性ロッド5を押し込む加圧工程において、透光性ロッド5の押込量と、圧力センサで検出された圧力の関係を予め測定しておけばよい。
そして、液体ライトガイド1を製造する際に、測定されたデータを参照して、透光性ロッド5の押込量を調整することにより、導光液3の充填圧力をコントロールすることができる。
【0020】
表1は同様の方法で製造された液体ライトガイド1について、加圧工程で透光性ロッド5の押込量を調整することにより、大気圧との差圧ΔPを0〜10000hPaまで変化させて、100日経過後にチューブ3内部の気泡発生状態を観察した実験結果である。
なお、製造日の大気圧は、1014hPaであった。
これによれば、差圧ΔP=0hPaで製造されたものは100日経過後に気泡が発生していることが目視で確認され、伝送効率の著しい低下がみられた。
差圧ΔP=100hPaで製造されたものは僅かに気泡が発生していることが確認されたが、差圧ΔP=0hPaで製造されたものに比して十分な優位性を確認することができ、大きな伝送効率の低下も見られなかった。
差圧ΔP=200hPaで製造されたものは気泡の発生はほとんど認められず、差圧ΔP=100hPaで製造されたものに比較しても十分な優位性を確認できた。
さらに、差圧ΔP=300hPa以上で製造されたものは、気泡の発生が確認できなかった。
【0021】
【表1】