(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1を参照して、この発明の第1実施形態に係る情報伝送システム1の構成例について詳細に説明する。
【0015】
情報伝送システム1は送信装置10と受信装置20とビデオカメラ30とモニタ40とを含む。ビデオカメラ30は有線もしくは無線で受信装置20と接続される。モニタ40は有線もしくは無線で受信装置20と接続される。
【0016】
送信装置10は収音部110と変調部120と発光部130とを備える。収音部110は収音素子1101を含む。収音素子1101は送信装置10と有線もしくは無線で接続される。また、収音素子1101は送信装置10の筐体表面もしくは筐体内部に設置されてもよい。発光部130は発光素子1301を含む。発光素子1301は送信装置10の外部から視認可能でなければならない。例えば送信装置10と有線もしくは無線で接続し、送信装置10の筐体外に設置してもよいし、送信装置10の筐体表面に設置されてもよい。筐体が透光性素材で成形されていれば筐体内部に設置されてもよい。
【0017】
受信装置20は映像処理部210と復号部220と発音部230とを備える。発音部230は発音素子2301を含む。発音素子2301は受信装置20と有線もしくは無線で接続される。また、発音素子2301は受信装置20の筐体表面もしくは筐体内部に設置されてもよい。
【0018】
図2を参照して、この実施形態の情報伝送システム1の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0019】
送信装置10の備える収音部110は、収音素子1101を介して入力された音声を事前に定められた標本化周波数に従って標本化し、その標本結果である音声信号sを出力する(S110)。収音素子1101は典型的にはマイクロホンであり、収音部110はアンプや標本化器など周知の技術により構成することができる。音声信号sは変調部120へ出力される。
【0020】
送信装置10の備える変調部120は、入力された音声信号sを送信信号として、変調もしくは符号化し、その結果である変調信号mを出力する(S120)。変調部120は通信路符号化素子や変調素子などの周知の技術により構成することができる。通信路符号化素子はあらかじめ定められた方法により音声信号sを通信路符号化する。変調素子はあらかじめ定められた方法により通信路符号化結果を変調する。変調結果は変調信号mとして発光部130へ出力される。
【0021】
送信装置10の備える発光部130は、入力された変調信号mに従って発光素子1301を発光させることで可視光信号fを送出する(S130)。発光部130は発光制御素子などの周知の技術により構成することができる。発光素子1301は可視光を発光する部品であればいかなるものでも適用することができる。例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)などを利用することができる。発光素子1301の発光間隔はビデオカメラ30の標本化周波数を勘案して調整する。
【0022】
ビデオカメラ30は、送信装置10の存在する場面を撮影し、その映像を受信装置20へ出力する。ビデオカメラ30は、可視光信号fを認識できる程度の解像度で映像を撮影することができるものであればどのようなものでもよい。送信装置10の備える発光素子1301は、上述の手順により周囲の音声に基づいて生成された可視光信号fを送出しているため、ビデオカメラ30が出力する映像には可視光信号fが写り込んでいる。
【0023】
受信装置20の備える映像処理部210は、入力された映像から可視光信号fを検出する(S210)。映像中から可視光信号を検出する技術は様々な方法が提案されており、例えば、「Premachandra Halpage Chinthaka Nuwandika, Yendo Tomohiro, Tehrani Mehrdad Panahpour, Yamazato Takaya, Okada Hiraku, Fujii Toshiaki, Tanimoto Masayuki, “LED Traffic Light Detection Using a High-speed-camera for a Road-to-vehicle Visible Light Communication System”, FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)推進委員会, 情報科学技術フォーラム講演論文集9(4), 45-50, 2010-08-20.(参考文献1)」に記載されている方法を適用することができる。参考文献1では車載カメラを用いた可視光通信技術という特性上ハイスピードカメラにのみ言及しているが、例えば従来の監視カメラのように標本化周波数の低いビデオカメラにおいても応用することができることは言うまでもない。検出した可視光信号fは復号部220へ出力される。また、入力された映像はモニタ40へ出力される。
【0024】
モニタ40は、入力された映像を表示する。モニタ40は、ビデオカメラ30が撮影した映像を、状況が視認できる程度の解像度で表示することができればどのようなものであってもよい。
【0025】
受信装置20の備える復号部220は、入力された可視光信号fを復号し、受信信号を生成する(S220)。ここで、可視光信号fは音声信号sを変調した変調信号mに従って送出されたものであるため、受信信号は音声信号sと同じ信号となる。復号部220は復調素子、復号素子などの周知の技術により構成することができる。復調素子は送信装置10の備える変調部120を構成する変調素子に対応した復調処理を行う。復号素子は送信装置10の備える変調部120を構成する通信路符号化素子に対応した復号処理を行う。音声信号sは発音部230へ出力される。
【0026】
受信装置20の備える発音部230は、入力された音声信号sを発音素子2301から発音させる(S230)。発音素子2301は典型的にはスピーカーであり、発音部230はデジタル/アナログ変換器、アンプなど周知の技術により構成することができる。
【0027】
上記のように、この実施形態の情報伝送システム1によれば、映像中の場面の周囲の音声を収音した音声信号を映像に付加して伝送することができる。これにより映像と音声を同時に再生することができるため、映像中の状況を認識することが容易になる。また、音声を伝送するための追加設備は必要なく、既存のビデオカメラを流用することができるため、低コストで導入することが可能である。
【0028】
なお、送信装置10と受信装置20とビデオカメラ30とモニタ40はいずれも複数で構成してもよい。例えば、ビデオカメラ30を複数とし、受信装置20を1台とする構成も可能である。この場合には、受信装置20はビデオカメラ30と同数だけ映像処理部210を備え、ビデオカメラ30と映像処理部210が一対一で対応するように構成すればよい。
【0029】
[第2実施形態]
図3を参照して、この発明の第2実施形態に係る情報伝送システム2の構成例について詳細に説明する。
【0030】
情報伝送システム2は送信装置11と受信装置21とビデオカメラ30とモニタ40とを含む。ビデオカメラ30とモニタ40の構成は第1実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0031】
送信装置11は第1実施形態に係る送信装置10と同様に、収音部110と発光部130とを備え、さらに音声処理部115を備える。また、変調部120の替わりに変調部121を備える。
【0032】
受信装置21は第1実施形態に係る受信装置20と同様に、映像処理部210と復号部220と発音部230とを備え、さらに解釈部225を備える。
【0033】
図4を参照して、この実施形態の情報伝送システム2の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0034】
送信装置11の備える音声処理部115は、収音部110の出力する音声信号sから、その音声信号の特徴を示す中間パラメータrを抽出する(S115)。中間パラメータrは、音声信号sの特徴を表すことができるパラメータであればいかなるものでもよいが、音声信号sよりも情報量が少ないものであることが望ましい。抽出された中間パラメータrは変調部121へ出力される。
【0035】
中間パラメータrについてより詳細に説明する。中間パラメータrを例示すると、単純な中間パラメータ、音声符号化に用いられるパラメータ、感情判別に用いられるパラメータ、音声認識に用いられるパラメータなどが挙げられる。
【0036】
単純な中間パラメータとは、高域をカットした音声信号やあらかじめ定められた周波数幅毎のパワーなどである。高域をカットした音声信号は音声信号sからローパスフィルタなどを用いて抽出できる。周波数幅毎のパワーは音声信号sからフィルタバンクなどを用いて抽出できる。
【0037】
音声符号化に用いられるパラメータとは、音声信号を周知の音声符号化方式により符号化したパラメータであり、例えば線スペクトル係数などである。
【0038】
感情判別に用いられるパラメータとは、「平賀裕, 斉藤善行, 森島繁生, 原島博, “音声に含まれる感情情報抽出の一検討”, 電子情報通信学会技術報告. HC, ヒューマンコミュニケーション 93(439), 1-8, 1994-01-26(参考文献2)」に記載されている感情認識技術における、平均・最大・最小ピッチおよび平均・最大・最小パワーおよびそれらの変化や、「平館郁雄, 赤木正人, “怒りの感情音声における音響特徴量の分析”, 電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 101(744), 43-50, 2002-03-21(参考文献3)」に記載されている感情認識技術における、基本周波数・パワー・フォルマント周波数などである。
【0039】
音声認識に用いられるパラメータとは、周知の音声認識技術で用いる音声特徴量である。ここでは周知のいかなる音声認識技術であっても適用することが可能である。音声認識技術は様々な方法が提案されており、具体的なパラメータは各音声認識技術に依存するので、詳細な説明は省略する。
【0040】
送信装置11の備える変調部121は、入力された中間パラメータrを送信信号として、変調もしくは符号化し、その結果である変調信号mを出力する(S121)。変調および符号化の方法は第1実施形態に係る変調部120と同様である。変調信号mは第1実施形態と同様に発光部130へ出力される。
【0041】
受信装置21の備える解釈部225は、復号部220の出力する受信信号を解釈する(S225)。ここで、受信信号は可視光信号fを復号したものであり、可視光信号fは送信装置11の音声処理部115が生成した中間パラメータrであるため、受信信号は中間パラメータrと同じ信号となる。解釈部225の処理内容は、中間パラメータrがどのようなものであるかによって異なる。
【0042】
中間パラメータrが上述の単純な中間パラメータである場合には、解釈部225は受信信号が音声信号であるとして発音部230へ出力する。この場合、特定の周波数帯域の音声のみが再生されるため、対話内容を聞き分けることはできないが、音量の変化などから映像中の状況が緊迫した状況であるのか否かなどを判断するためには有用な情報となる。
【0043】
中間パラメータrが上述の音声符号化に用いられるパラメータである場合には、解釈部225は対応する復号方法により受信信号を復号して、生成した音声信号を発音部230へ出力する。
【0044】
中間パラメータrが上述の感情判別に用いられるパラメータである場合には、解釈部225は対応する感情認識技術に従って感情認識を実行し、感情認識結果を示す情報を表す音声信号を発音部230へ出力する。例えば、発話者が怒っていることが認識された際にアラート音を出力して注意を促すことなどが考えられる。
【0045】
中間パラメータrが上述の音声認識に用いられるパラメータである場合には、解釈部225は対応する音声認識技術に従って音声認識を実行する。生成された音声認識結果はさらに分析され、状況を認識するために有用と考えられる何らかの音声信号が発音部230へ出力される。例えば、音声認識結果をさらに音声合成して収音した会話内容を再現してもよいし、音声認識結果を検索して、話者の感情を推定できるような特定のキーワードが含まれている場合にはアラート音を発音するようにしてもよい。ここで用いる音声認識技術や音声合成技術は周知のいかなる方法であっても適用することができる。音声認識技術や音声合成技術は様々な方法が提案されているため、詳細な説明は省略する。
【0046】
上記のように、この実施形態の情報伝送システム2によれば、映像中の場面の周囲の音声の特徴を抽出した中間パラメータを映像に付加して伝送することができる。これにより映像と同時に映像中の状況を認識するために有用な音声を再生することができる。第1実施形態と比較して伝送する情報量が減少するため、仮に既存のビデオカメラの標本化周波数が低く音声信号を伝送するために十分な通信帯域が確保できない場合であっても、既存のビデオカメラを流用することができ、低コストで実現することができる。
【0047】
[第3実施形態]
図5を参照して、この発明の第3実施形態に係る情報伝送システム3の構成例について詳細に説明する。
【0048】
情報伝送システム3は送信装置10と受信装置22とビデオカメラ30とモニタ40と呈示手段50とを含む。送信装置10とビデオカメラ30とモニタ40の構成は第1実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0049】
受信装置22は第1実施形態に係る受信装置20と同様に、映像処理部210と復号部220と発音部230とを備え、さらに判別部240を備える。
【0050】
呈示手段50は有線もしくは無線で受信装置22と接続される。呈示手段50は複数台存在してもよい。また、呈示手段50を受信装置22の筐体内に組み込んで一体型の装置としてもよい。
【0051】
図6を参照して、この実施形態の情報伝送システム3の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0052】
受信装置22の備える判別部240は、復号部220の出力する受信信号を解析して、映像中の状況が注意すべき状況であるか否かを示す判別結果dを出力する(S240)。判別結果dは、例えば危険度や映像中の状況の種類などである。危険度は音声信号sの音量の変化を解析し、音量もしくは音量の変化率などをあらかじめ定めた閾値に照らして判別する。例えば、短時間に急激に音量が大きくなった場合には危険度が高く、音量の変化が平坦でありほとんど変化がない場合には危険度が低いと判断することができる。状況の種類は音声信号sを分析して音声中の状況をあらかじめ定めた離散値に分類する。音声信号から状況を判断する方法は様々な方法が提案されている。例えば、上記の参考文献2には、人の声から音声中の状況を判別する方法が記載されている。また、「相場亮人, 伊藤仁, 伊藤彰則, 牧野正三, “多段GMMおよびセグメントモデルを用いた異常音検出の検討”, 電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 109(166), 71-75, 2009-07-27(参考文献4)」には、音全般から状況を判別する方法が記載されている。判別結果dは呈示手段50へ出力される。
【0053】
呈示手段50は判別部240の出力する判別結果dをあらかじめ定められた方法で呈示する。呈示方法は音声、画像、映像など様々な方法を用いることができる。呈示手段50は受信装置22に接続されたスピーカーやディスプレイであってもよいし、受信装置22とネットワークを介して接続されるコンピュータや携帯電話、スマートフォンもしくはタブレット端末などで実行されるプログラムであってもよい。判別結果dは判別部240から呈示手段50へ更新される度に出力してもよいし、呈示手段50から判別部240へ定期的に取得するように構成してもよい。
【0054】
上記のように、この実施形態の情報伝送システム3によれば、音声信号sを解析して映像中の状況が注意すべき状況であるか否かを示す情報を呈示手段50へ出力することができる。呈示手段50は、受信装置22と遠隔にあってもよく、複数あってもよい。これにより受信装置22とは遠隔にいる複数の係員に対しても映像中の状況の変化を知らせることができ、問題発生時に迅速な対応を行うことが可能となる。
【0055】
<変形例>
図7を参照して、第3実施形態の変形例に係る情報伝送システム3’の構成例について詳細に説明する。
【0056】
情報伝送システム3’は送信装置11と受信装置22’とビデオカメラ30とモニタ40と呈示手段50とを含む。送信装置11の構成は第2実施形態と同様であり、ビデオカメラ30とモニタ40の構成は第1実施形態と同様であり、呈示手段50の構成は第3実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0057】
受信装置22’は第2実施形態に係る受信装置21と同様に、映像処理部210と復号部220と解釈部225と発音部230とを備え、さらに判別部241を備える。
【0058】
図8を参照して、この変形例の情報伝送システム3’の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0059】
受信装置22の備える判別部241は、解釈部225の出力する受信信号を解析して、映像中の状況が注意すべき状況であるか否かを示す判別結果dを出力する(S241)。ここで、受信信号は可視光信号fを復号したものであり、可視光信号fは送信装置11の音声処理部115が生成した中間パラメータrである。判別部241の処理内容は、中間パラメータrがどのようなものであるかによって異なる。
【0060】
中間パラメータrが上述の単純な中間パラメータである場合には、第3実施形態に係る判別部240と同様に受信信号から音量の変化を解析して、危険度もしくは状況の変化を判別結果dとすることができる。
【0061】
中間パラメータrが上述の音声符号化に用いられるパラメータである場合には、解釈部225が復号した音声信号から音量の変化を解析して、危険度もしくは状況の変化を判別結果dとすることができる。
【0062】
中間パラメータrが上述の感情判別に用いられるパラメータである場合には、解釈部225の出力する感情認識結果を判別結果dとすることができる。
【0063】
中間パラメータrが上述の音声認識に用いられるパラメータである場合には、解釈部225の出力する音声認識結果を解析して判別結果dとすることができる。例えば、音声認識結果を検索して、話者の感情を推定できるような特定のキーワードが含まれている場合には、注意すべき状況であると判断することが考えられる。
【0064】
上記のように、この変形例の情報伝送システム3’によれば、中間パラメータrを解析して映像中の状況が注意すべき状況であるか否かを示す情報を呈示手段50へ出力することができる。第3実施形態と比較して伝送する情報量が減少するため、仮に既存のビデオカメラの標本化周波数が低く音声信号を伝送するために十分な通信帯域が確保できない場合であっても、既存のビデオカメラを流用することができ、低コストで実現することができる。
【0065】
[第4実施形態]
図9を参照して、この発明の第4実施形態に係る情報伝送システム4の構成例について詳細に説明する。
【0066】
情報伝送システム4は送信装置12と受信装置23とビデオカメラ30とモニタ40とを含む。ビデオカメラ30とモニタ40の構成は第1実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0067】
送信装置12は第1実施形態に係る送信装置10と同様に、収音部110と変調部120と発光部130とを備え、さらに識別子発光部140を備える。識別子発光部140は発光素子1401を含む。発光素子1401の構成は、発光部130の発光素子1301と同様である。
【0068】
受信装置23は第1実施形態に係る受信装置20と同様に、復号部220と発音部230を備え、さらに同定部250を備える。また、映像処理部210の替わりに映像処理部211を備える。
【0069】
図10を参照して、この実施形態の情報伝送システム4の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0070】
送信装置12の備える識別子発光部140は、その送信装置12を一意に識別する識別子を変調した識別子変調信号に従って発光素子1401を発光させることで識別子可視光信号iを送出する(S140)。識別子は複数の送信装置12の間で重複のないようにあらかじめ与えられている。識別子の変調方法は、変調部120と同様であるためここでは説明は省略する。発光素子1401の発光間隔は、発光素子1301の発光間隔と同様に、ビデオカメラ30の標本化周波数を勘案して調整する。
【0071】
受信装置23の備える映像処理部211は、入力された映像から、可視光信号fに加えて識別子可視光信号iも検出する(S211)。識別子可視光信号iの検出は可視光信号fと同様に参考文献1に記載の方法などにより行うことができる。検出した識別子可視光信号iは、同定部250へ出力される。
【0072】
受信装置23の備える同定部250は、入力された識別子可視光信号iを復号して識別子を取得する(S251)。識別子可視光信号iの復号方法は、復号部220と同様であるためここでは説明を省略する。続いて、取得した識別子を用いてその識別子が示す送信装置12に関する情報を取得して出力する(S252)。同定部250はあらかじめ識別子の一覧と各識別子に紐付く情報を保持するようにしてもよいし、外部から送信装置12に関する情報を取得するようにしてもよい。送信装置12に関する情報は、その送信装置12にあらかじめ与えられた名称やその送信装置12を携行している係員の氏名などが考えられる。同定部255の出力する情報はビデオカメラ30の撮影している映像と共にモニタ40へ出力される。
【0073】
上記のように、この実施形態の情報伝送システム4によれば、送信装置12が複数存在する場合に、問題が起きている場面に写っている送信装置12がいずれであるかを容易に確認することができるため、映像中の状況をより精度よく認識することができる。その結果、問題発生時に迅速な対応を取ることができる。
【0074】
上記の説明では、第1実施形態の情報伝送システム1に対して、この実施形態の特徴を適用した例を説明したが、この考え方はその他の実施形態にも適用することができる。例えば、第3実施形態の変形例に係る送信装置11が識別子発光部140を備え、第3実施形態の変形例に係る受信装置22’が同定部250を備えるように構成することもできる。このように構成することで、同定部250は呈示手段50へ送信装置11に関する情報を表示することができる。例えば呈示手段50をすべての係員に携帯させることとすれば、いずれの送信装置11が注意すべき状況にあるのかを他の係員に知らせることができ、問題発生時により迅速な対応を行うことが可能となる。
【0075】
[第5実施形態]
図11を参照して、この発明の第5実施形態に係る情報伝送システム5の構成例について詳細に説明する。
【0076】
情報伝送システム5は送信装置10と受信装置24とビデオカメラ30とを含む。送信装置10とビデオカメラ30の構成は第1実施形態と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0077】
受信装置24は第1実施形態に係る受信装置20と同様に、映像処理部210と復号部220とを備え、さらに映像記憶部260と音声記憶部265とを備える。受信装置24は受信装置20とは異なり、発音部230を備えない。
【0078】
図12を参照して、この実施形態の情報伝送システム5の動作例について手続きの順に従って詳細に説明する。
【0079】
受信装置24の備える映像記憶部260は、ビデオカメラ30が撮影した映像を記憶する。また、受信装置24の備える音声記憶部265は、復号部220の出力する音声信号sを記憶する。映像記憶部260と音声記憶部265は、例えば、ハードディスクや光ディスクもしくはフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子により構成される補助記憶装置により構成することができる。
【0080】
上記のように、この実施形態の情報伝送システム5によれば、過去一定期間に撮影された映像と収音された音声が記憶されているため、問題が発生していたことが後から発覚した場合であっても、事件の詳細や発生過程について後から詳細に確認することができる。
【0081】
上記の説明では、第1実施形態の情報伝送システム1に対して、この実施形態の特徴を適用した例を説明したが、この考え方はその他の実施形態にも適用することができる。例えば、第2実施形態に係る受信装置21が映像記憶部260と音声記憶部265を備え、発音部230を備えないように構成することもできる。このように構成する場合、音声記憶部265には中間パラメータrを記憶するように構成すればよい。また、第4実施形態に係る受信装置23が映像記憶部260と音声記憶部265を備え、発音部230を備えないように構成することもできる。このように構成する場合、音声記憶部265には音声信号sと識別子を記憶するように構成すればよい。
【0082】
[遠隔監視システムへの適用]
図13を参照して、この発明の情報伝送技術を遠隔監視システムに適用した場合の構成例を説明する。ここでは、第1実施形態に係る情報伝送システム1を例として説明するが、他の実施形態であっても同様に遠隔監視システムに適用することが可能である。
【0083】
監視対象施設にはビデオカメラ30が設置されており、監視対象施設の係員などである対象者8はビデオカメラの画角内で行動する。対象者8は身体もしくは携行品に送信装置10を装着する。送信装置10の一部である発光素子1301はビデオカメラ30から撮影できるように対象者8の頭部等に取り付けられることが望ましい。また、送信装置10の一部である収音素子1101は対象者8の周囲の音声、特に対象者8の発話内容を収音できるように対象者8の上半身等に取り付けられることが望ましい。
【0084】
監視対象施設の遠隔にある監視センターには受信装置20とモニタ40とが設置されている。受信装置20はビデオカメラ30と有線もしくは無線で接続されており、ビデオカメラ30が撮影する映像を受信している。受信装置20が出力する映像はモニタ40に表示され、受信装置20は発音素子2301を介して送信装置10から伝送された音声を発音する。監視センターの係員などである監視員9はモニタ40に表示される映像と発音素子2301から発音される音声を監視する。
【0085】
ビデオカメラ30は複数台存在してもよく、それぞれのビデオカメラ30に対応するモニタ40と受信装置20を隣接して設置してもよい。受信装置20が複数の映像処理部110を備える構成とすれば、ビデオカメラ30が複数存在する場合であっても、受信装置20は1台とすることができる。このように複数台のモニタ40が設置されている場合には、従来は監視員9がすべてのモニタを注視していなければならなかったが、この発明の情報伝送システムを適用すれば映像中の状況を認識することが容易になり、監視対象施設で問題が発生していることを迅速に把握することができる。また、音声と映像の対応関係が明確となるため、どのビデオカメラ30が撮影している区域で問題が発生しているかも迅速に把握することができる。
【0086】
このように、この発明の情報伝送技術を適用した遠隔監視システムによれば、より精度の高い監視業務を実行することが可能となる。また、すでにビデオカメラ30が設置されている場合であっても、そのビデオカメラ30を流用することができ音声を伝送するために追加で必要となる設備はない。つまり低いコストで導入することが可能である。
【0087】
[プログラム、記録媒体]
この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。上記実施例において説明した各種の処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
【0088】
また、上記実施形態で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0089】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0090】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0091】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0092】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。