(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィプロセスにおいて、プロセス制御および検証などのために、形成した構造の測定を頻繁に行うことが望ましい。そのような測定を行うためのさまざまなツールが知られており、クリティカルディメンジョン(CD)を測定するために使用されることが多い走査電子顕微鏡、およびデバイス内の2つの層のオーバーレイ、すなわちアライメントの精度を測定するための専用ツールが含まれる。最近、さまざまな形態のスキャトロメータがリソグラフィ分野で使用されるために開発されている。これらのデバイスは、放射ビームをターゲット上に誘導し、散乱放射の1つ以上の特性−例えば、波長の関数としての単一の反射角での強度、反射角の関数としての1つ以上の波長での強度、または反射角の関数としての偏光−を測定して、ターゲットの対象となっている特性を決定することができる「スペクトル」を得る。対象となっている特性の決定は、さまざまな技術、例えば、厳密結合波分析や有限要素法などの反復的解決法によるターゲット構造の再構築、ライブラリ探索、および主成分分析によって行うことができる。
【0004】
[0004] 従来のスキャトロメータによって用いられるターゲットは、例えば、40μm×40μmの比較的大きい格子であり、測定ビームは、格子より小さいスポットを生成する(すなわち、格子は満たされない)。これによって、かぎりないと見なされ得るほどにターゲットの再構築が単純化される。しかし、ターゲットのサイズを、例えば、スクライブライン内ではなく、製品フィーチャ内に位置決めすることができるように10μm×10μm以下などに縮小するために、いわゆる暗視野メトロロジが提案されている。ターゲットを製品フィーチャ内に配置することによって測定の精度が向上する。というのは、より小さいターゲットは、製品フィーチャの方法とより似たようにプロセス変動によって影響を受けるからであり、また、実際のフィーチャの位置におけるプロセス変動の効果を決定するために必要な補間がより少なくなり得るからである。
【0005】
[0005] 暗視野メトロロジにおいて、小さい格子を大きい測定スポットで照明する(すなわち、格子が満たされる)。この照明はオフアクシスであることが多く、すなわち、測定ビームは、基板に対する法線を含まない狭い角度範囲内でターゲットに入射する。スキャトロメータの測定分岐において、ターゲットによって回折した0次は視野絞りによって遮断され、格子は1次回折ビームのうちの1つのみを用いてディテクタ上に結像される。格子の第2イメージは、他方の1次回折ビームのみを用いて得られる。同一の格子同士の重ね合わせによって格子が形成される場合、これらの2つの重なった格子間のオーバーレイエラーの程度は、各々の1次回折ビームから形成されたイメージの強度差から得ることができる。暗視野メトロロジにはいくつかの欠点がある。例えば、格子ごとに2つのイメージが必要となるのでスループットが低下し、別々にバイアスがかけられた格子の複数の対がオーバーレイの正確な決定のために必要となる。また、格子の複数の対の使用によって、メトロロジターゲットに充てられる必要があり、それゆえに製品フィーチャのために利用できない基板上の空間が増加する。格子が過剰に満たされるので、結像システムの収差が格子の位置変動を引き起こして測定結果に影響を及ぼす場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0024] 本明細書は、本発明の特徴を組み入れた1つ以上の実施形態を開示する。開示される実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。本発明は、添付の請求項により定義される。
【0016】
[0025] 説明されている実施形態および本明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などに関する言及は、説明されている実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、各実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含むとは限らないことを示す。また、そのような表現は同一の実施形態を必ずしも示すものではない。さらに、実施形態と関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合、明示的に説明されているか否かによらず、他の実施形態と関連してそのような特徴、構造、または特性を達成することは当業者の知識の範囲内であると理解されたい。
【0017】
[0026] 本発明の実施形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの組合せの形式で実現されてよい。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読取かつ実行可能である機械読取可能媒体に記憶された命令として実現されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、演算デバイス)により読取可能な形式で情報を記憶または伝送する任意の機構を含んでよい。例えば、機械読取可能媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、または音響的もしくはその他の伝送信号形式(例えば、搬送波、赤外信号、デジタル信号)、またはその他を含んでよい。さらに本明細書では、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令は、ある動作を実行するためのものとして記述されていてもよい。しかし、当然のことながら、これらの記述は単に便宜上のものであり、これらの動作は、そのファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令などを実行する演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、または他のデバイスにより実際に得られるものである。
【0018】
[0027] しかし、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実行され得る例示的環境を提示することは有益である。
【0019】
[0028]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたパターニングデバイスサポートまたはサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0020】
[0029] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0021】
[0030] パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。パターニングデバイスサポートは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0022】
[0031] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0023】
[0032] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0024】
[0033] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0025】
[0034] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0026】
[0035] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0027】
[0036] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0028】
[0037]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0029】
[0038] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0030】
[0039] 放射ビームBは、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。
【0031】
[0040] パターニングデバイス(例えば、マスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。小さいアライメントマーカをデバイスフィーチャの中でもダイ内に含めることができ、その場合、マーカは可能な限り小さく、隣接するフィーチャと異なる結像またはプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムについて、以下にさらに説明する。
【0032】
[0041] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0033】
[0042] 1.ステップモードにおいては、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0034】
[0043] 2.スキャンモードにおいては、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0035】
[0044] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0036】
[0045] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0037】
[0046] リソグラフィ装置LAは、いわゆるデュアルステージタイプで、2つの基板テーブルWTaおよびWTbならびに2つのステーション、すなわち、露光ステーションおよび測定ステーションを有し、それらの間で基板テーブルを交換することができる。1つの基板または1つの基板テーブルを露光ステーションで露光している間に、別の基板を測定ステーションで他の基板テーブル上に載せ、さまざまな予備工程を実行することができる。予備工程は、レベルセンサLSを使用して基板の表面制御をマッピングすることと、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマーカの位置を測定することとを含み得る。これによって、装置のスループットを大幅に増加させることができる。位置センサIFが、測定ステーションに、および露光ステーションにあるときに基板テーブルの位置を測定できない場合、第2位置センサを設けて、両方のステーションで基板テーブルの位置を追跡可能にすることができる。
【0038】
[0047]
図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたはクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの一部を形成し、リソグラフィセルLCは、基板に対して露光前および露光後プロセスを行う装置を備える。従来、これらの装置としては、レジスト層を堆積するスピンコータSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE,冷却プレートCH、およびベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラまたはロボットROは、入力/出力ポートI/O1およびI/O2から基板を持ち上げ、異なる処理装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBへ基板を送り出す。総称してトラックと呼ばれることが多いこれらのデバイスは、監視制御システムSCSによって制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にある。また、監視制御システムSCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。従って、別の装置を動作させてスループットおよび処理効率を最大化することができる。
【0039】
[0048] 暗視野メトロロジの例を、第WO2009/078708号および国際出願第WO2009/106279(PCT/EP第09/001271号、2009年2月23日に出願、現在の優先日には未公開)に見ることができ、これらの文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
[0049] 本発明の一実施形態に係る暗視野メトロロジ装置が
図3に示されている。暗視野メトロロジ装置は、独立型デバイスとすることができ、あるいは、リソグラフィ装置LA(例えば、測定ステーションに)またはリソグラフィセルLCに組み込むことができる。この装置において、放射源11(例えば、キセノンランプ)によって放出される光が、レンズ12および14ならびに対物レンズ16を備える光学システムによって、ビームスプリッタ15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F配置の二重シーケンスに配置される。従って、放射が基板に入射する角度範囲は、基板に対する共役面、すなわち、瞳面に空間強度分布を規定することによって選択することができる。特に、これは、適切な形態の開口プレート13をレンズ12とレンズ14との間の共役面に挿入することによって実現することができる。本実施形態において、開口プレート13は、レンズ12、14、および16が形成する照明システムの光軸から外れて位置する単一の小さい開口を有するので、測定ビームは、基板に対する法線を含まない細い円錐の角度内で基板Wに入射する。それによって、照明システムは単極でオフアクシス照明モードを形成する。単極外の不必要な光が検出イメージのコントラストを低下させることになるため、瞳面の他の部分は暗いことが望ましい。一実施形態において、格子上の測定ビームの主光線の入射角は格子のピッチに応じて選択されるので、格子からの1次回折ビームのうちの1つが対物レンズ16の光軸に沿って対物レンズ16内に誘導される。対物レンズ16は高開口数(NA)、例えば、0.95以上を有する。
【0041】
[0050] 一例において、基板W上のターゲットによって回折した0次ビーム(実線)および1つの1次ビーム(一点鎖線)がビームスプリッタ15を介して誘導されて戻り、対物レンズ16によって集光される。第2ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1測定分岐では、光学システム18は、0次および1次回折ビームを用いて第1センサ19(例えば、CCDまたはCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面イメージ)を形成する。センサ19が捕捉した瞳面イメージは、メトロロジ装置の焦点合わせおよび/または1次ビームの強度測定値の規格化のために使用することができる。また、瞳面イメージは、再構築などの多数の測定目的(本開示の主題ではない)のために使用することができる。
【0042】
[0051] 第2測定分岐では、光学システム20および22は、基板W上のターゲットのイメージをセンサ23(例えば、CCDまたはCMOSセンサ)上に形成する。第2測定分岐では、開口絞り21が、基板Wおよびセンサ23に対する共役面に設けられる。開口絞り21は、0次回折ビームを遮断する機能を果たすので、センサ23上に形成されるターゲットのイメージは1次ビームのみで形成される。センサ19および23が捕捉したイメージは、イメージプロセッサおよびコントローラ24に出力され、その機能は以下にさらに説明する。本発明の別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明を使用し、オフアクシス開口を有する開口絞りを使用して実質的に回折光の1次のみを通過させてセンサに到達させる。別の実施形態では、1次ビームの代わりに、または、1次ビームに加えて、2次、3次、およびさらに高次のビームを測定に使用することができる。
【0043】
[0052]
図4は、本発明の一実施形態に係る基板上に形成された複合ターゲットを示している。複合ターゲットは接近して配置された4つの格子32〜35を備える。そのため、格子32〜35はすべて、メトロロジ装置の照明ビームによって形成された測定スポット31内に入り、従ってすべて同時に照明され、センサ19および23上に同時に結像される。格子32〜35それら自身は、基板W上に形成された半導体デバイスの異なる層にパターン形成された格子を重ね合わせることによって形成された複合格子である。複合格子の回折部分が形成された層と層との間のオーバーレイの測定を容易にするために、格子32〜35は、別々にバイアスがかけられる。本発明の一実施形態において、格子32〜35は+D、−D、+3D、−3Dというバイアスを有することができる。これは、格子のうちの1つの格子が、当該格子の成分がともに公称位置に正確に印刷された場合、それら成分のうちの1つが他方の成分に対して距離Dの分オフセットするように配置された成分を有することを意味する。第2格子は、当該格子の成分が完全に印刷された場合、第1格子などと反対方向のDのオフセットが生じるように配置された成分を有する。
【0044】
[0053]
図5に示す本発明の一実施形態に係る方法において、格子32〜35の成分を含む2つの層間のオーバーレイエラーを測定する。
図3のメトロロジ装置を使用して、格子32〜35のイメージを、1次回折ビームのうちの1つから得る。格子が製品領域に位置する場合、製品フィーチャはこのイメージ内で可視であり得る。そして、基板Wあるいは開口プレート13を180°C回転させることで、他方の1次回折ビームを用いて格子の第2イメージを得ることができる。イメージプロセッサおよびコントローラ24は、これらのイメージを処理して格子23〜35の別個のイメージを特定する。これは、パターンマッチング技術によって行うことができる。格子の別個のイメージが特定されると、例えば、選択したピクセル強度値を平均する、または合計することによって、それら個別のイメージの強度を測定することができる。次に、こうして以下の式などによって得られた強度値から、イメージプロセッサおよびコントローラ24によってオーバーレイを決定することができる。
【数1】
【0045】
[0054] 従って、本実施形態によって、スループットを低下させずに、反対方向にバイアスがかけられた格子の単一の対を使用する場合よりも正確なオーバーレイの決定が可能になる。式(1)では、Nは、別々にバイアスがかけられた格子の数未満の数であるので、例えば、4つの別々にバイアスがかけられた格子であれば、オーバーレイと強度の関係を第3高調波の関数としてモデル化することができる。各格子は別々の既知のオーバーレイバイアスを有するので、各格子についての上記式のオーバーレイ値は、すべての格子に共通する実際の不明のオーバーレイとそれぞれの既知のオーバーレイバイアスの合計である。従って、N個の異なる格子の各々に関する2つの測定値によって、実際の不明のオーバーレイ値および(N−1)Kの値を与えるように解くことができるN個の式が与えられる。
【0046】
[0055]
図6および
図7に示すように、本発明の本実施形態を、同時に結像される数より多い数の格子を含むように拡張することができる。
図6は、バイアス−4D、−3D、−2D、−D、0、+D、+2D、+3D、+4Dを有することができる9つの複合格子51〜59を示している。
図7に示すように、これらの格子の別個のイメージ61〜69を、センサ23が捕捉したイメージ内で特定することができる。
【0047】
[0056] スポットの強度プロファイルが格子の領域にわたって不均一である場合、強度値の計算より前にイメージプロセッサおよびコントローラ24によって補正を行うことができる。この補正は、ウェーハのパターン形成されていない部分を用いて、較正手順においてスポット強度プロファイルを測定することによって規定することができる。格子同士が基板上で特に接近している場合、第2測定分岐での光フィルタリングが信号間のクロストークを引き起こすおそれがある。その場合、空間フィルタ21の中央開口は、依然として0次を遮断しつつ可能な限り大きく形成されるべきである。
【0048】
[0057] 本発明のさらなる実施形態において、XおよびYオーバーレイエラーの同時測定が可能になる。第2実施形態では、照明分岐の瞳面の強度分布が、例えば開口71および72を有する開口プレート70を設けることによって
図8に示すように配置される。この配置によって、基板上の測定スポットが、一方がYZ面の主光線を有し、他方がXZ面の主光線を有する2つの光円錐によって照明されることが確実になる。すなわち、照明システムは、2つの極でオフアクシス照明モードを形成する。測定ビームは、
図9に示すように、一組の格子82〜85を照明するように配置される。格子82〜85は、X方向のオーバーレイ測定向けの、すなわち、Y軸に平行な線を有し、かつ+Dおよび−Dのバイアスをそれぞれ有する2つの格子と、Y方向のオーバーレイ測定向けの、すなわち、X軸に平行な線を有し、かつ再び+Dおよび−Dのバイアスをそれぞれ有する2つの格子とを備える。これらの格子の別個のイメージ92〜95が
図10に示されている。第1実施形態と同様に、イメージプロセッサおよびコントローラ24によって、これらのイメージを別々に特定し、それらの強度を決定することができる。一例において、第2実施形態の動作は第1実施形態と同じであり、同一の考慮事項および利点が当てはまる。
【0049】
[0058] 当然のことながら、本発明の本実施形態において設けられたターゲットアレイは、スクライブライン内または製品領域内に配置することができる。測定スポット31によって照明された領域内に複数のターゲットを含めることによって、いくつかの利点が生じ得る。例えば、1度の露光で複数のターゲットイメージを得ることによって、スループットが増加する。また、メトロロジターゲットに充てられる必要がある基板上の領域がより少なくて済む。また特に、異なる1次回折ビームの強度とオーバーレイとの間に非線形関係が存在する場合、オーバーレイ測定の精度を向上することができる。
【0050】
ターゲット位置補正
[0059] 光学システムが収差、焦点はずれ、照明不均質性、またはそれらの組合せの影響を被る場合、(小さいターゲットオーバーレイ測定の)測定非対称性または(暗視野の)強度は、オーバーレイのみならず光ビーム内のターゲットの実際の位置によっても決まる。この位置を予測することはできないので、それが測定オーバーレイの重大なノイズおよび許容不可能な不正確につながる場合がある。正確な位置決めにかかる時間が装置のスループットを低下させることになる。より少ない収差で光エレメントを設けるだけで、装置はより高価になる。従って、位置依存エラーの補正技術を説明する。
【0051】
[0060] 暗視野において、光ビーム内のターゲットの位置は基本的に既知である。というのは、DF(暗視野)像は像面に記録されるからである(YSのアライメントカメラ)。この情報を用いて、収差の経験的較正を介して、または収差の理論的知識から、測定強度を補正することができる。
【0052】
[0061] 較正の場合、ずらした位置での一連の測定を行って、今後の測定を補正するために較正テーブルを準備する。理論的手法については、測定光学システムの収差が既知である場合、測定の位置依存性を計算することができる。ここで、照明の不均質性を較正工程で測定することができ、その後、それをオーバーレイ測定の理論的補正手順用の入力として用いることができる。そして、補正オーバーレイを異なるモードで抽出することができる。
●入力:(i)位置情報、(ii)焦点はずれ、(iii)収差を有するスカラーモデルを用いてオーバーレイの再構築を行うことができる。
●ライブラリ手法では、2次元変数およびパラメータとしての焦点はずれ−収差の組とともにスカラーまたはベクトルシミュレーションを用いることができる。鏡面反射に対する重なり依存の1次回折効率は、(線形)倍率として用いることができる。この目的のために、鏡面(0次)反射信号をセンサ19で測定することができ、一方、暗視野イメージをセンサ23によって捕捉する。
【0053】
[0062] Z方向の位置エラーである焦点はずれは、さらなる収差として作用する。従って、焦点変動が分かっている場合、同一の原理を適用して測定間の焦点変動が引き起こす測定信号の強度や他の特性を補正することができる。これによって、焦点(Z位置決め)も極めて正確に行う必要がない場合が、測定時間が節約されることになる。これは以下の方法によって解決することができる。
●較正手順の一部として焦点を測定し、この情報を補正手順において用いる、または事前に焦点を補正する。これは測定中に焦点が再生可能であることを必要とする。
●格子のイメージを分析することなどによって、各測定位置での焦点を測定する(および/または補正する)。
【0054】
[0063] 位置変動を考慮する測定値の補正は、上述の暗視野オーバーレイ測定に限らず他のタイプの測定に適用することができる。前述のとおり、上記装置を用いて他のタイプの測定を行うことができる。同時係属の国際特許出願PCT/EP第2009/006518号において、例えば、瞳イメージセンサ19を用いてターゲットからの+1および−1の回折信号を強度を測定し、これらの強度信号を結合してオーバーレイ測定値を得る。そのような測定中、センサ23を使用して、瞳面センサ19に記録されたイメージと同時に第2イメージを撮る。上述の手順と同様に、この第2イメージによって、瞳面で測定された信号の補正を行うために使用可能な位置情報が与えられる。PCT/EP第2009/006518号は、2009年9月9日に出願され、2008年9月16日に出願された米国特許出願第61/097,374号の優先権を主張する。
【0055】
[0064] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0056】
[0065] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0057】
[0066] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0058】
[0067] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0059】
結論
[0068] 発明の概要および要約の項目は、発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、従って本発明および請求の範囲をいかなる意味でも制限しないものとする。
【0060】
[0069] 本発明を、複数の特定の機能の実施およびそれらの関係を示す機能構成ブロックを用いて説明してきた。これらの機能構成ブロックの境界は、説明の都合上、本明細書において任意に定義されている。これら特定の機能やそれらの関係が適切に実現される限り、別の境界を定義することができる。
【0061】
[0070] 特定の実施形態に関する前述の説明は、本発明の全般的な特徴をすべて示すものであり、従って当業者の知識を適用すれば、過度の実験を行わなくとも、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態などのさまざまな用途に対して容易に変更および/または改変を行うことができる。従って、そのような改変や変更は、本明細書で提示した教示ならびに説明に基づき、開示した実施形態の等価物の趣旨および範囲内に収まるものとする。なお、当然ながら、ここで用いた語法や用語は説明のためであって限定を意図するものではなく、本明細書の用語または語法は、上記教示や説明を考慮しながら当業者が解釈すべきものである。
【0062】
[0071] 本発明の範囲は上述の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ規定されるべきである。