(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2枚の基板(ただし、基板の少なくとも一方は光に対して透明であり、基板の少なくとも一方は電極層を有する)と、基板間に配置され、重合された成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間において、LC媒体中で、電圧を印加しながら重合することで得ることができ、ただし、少なくとも1種類の重合性化合物は請求項1に記載の化合物である)とから成るLCセルを含むPSまたはPSA型LCディスプレイにおける請求項1に記載の重合性化合物の使用。
PSA−VA(Polymer Sustained Alignment−Vertically Aligned:垂直配向型ポリマー維持配向)、PSA−OCB(Polymer Sustained Alignment−Optically Compensated Bend:光学補償ベンド型ポリマー維持配向)、PS−IPS(Polymer Sustained−In−plane Switching:ポリマー維持面内スイッチング)、PS−FFS(Polymer Sustained−Fringe Field Switching:ポリマー維持フリンジ場スイッチング)またはPS−TN(Polymer Sustained−Twisted Nematic:ポリマー維持ツイストネマチック)ディスプレイであることを特徴とする請求項8に記載のLCディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
よって、本発明は、2枚の基板(ただし、基板の少なくとも一方は光に対して透明であり、基板の少なくとも一方は電極層を有する)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間において、LC媒体中で、電圧を印加しながら重合することで得ることができる)とから成るLCセルを含むPS(polymer stabilised:ポリマー安定化)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)型の液晶(liquid−crystal:LC)ディスプレイであって、少なくとも1種類の重合性化合物が式Iより選択されることを特徴とする液晶ディスプレイに関する。
【0021】
【化2】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
R
aおよびR
bは、それぞれ互いに独立に、P−Sp−、H、ハロゲン、SF
5、NO
2、炭素基または炭化水素基を表し、ただし、基R
aおよびR
bの少なくとも一方はP−Sp−を表し、
Pは、それぞれの出現において同一または異なって、重合性基を表し、
Spは、それぞれの出現において同一または異なって、スペーサー基または単結合を表し、
A
1およびA
3は、それぞれ互いに独立に、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,5−ジイルまたはナフタレン−2,7−ジイル(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)、シクロヘキサン−1,3−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよい)、1,3−シクロヘキセニレン、ピペリジン−2,4−ジイル、ピペリジン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,7−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,7−ジイルまたはインダン−2,4−ジイルを表し、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより単置換または多置換されていてもよく、m1=m3=1の場合、基A
1およびA
3の一方はA
2に示される意味の1つを有してもよく、
A
2は、それぞれの出現において同一または異なって、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイル(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−2,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたはオクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルを表し、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより単置換または多置換されていてもよく、または、A
1に示される意味の1つを有してもよく、
Lは、P−Sp−、H、OH、ハロゲン、SF
5、NO
2、炭素基または炭化水素基を表し、
Z
1、Z
2は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−(CH
2)
n1−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−(CF
2)
n1−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、CR
0R
00または単結合を表し、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
m1およびm3は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、ただし、m1+m3>0であり、
m2は、0、1、2または3を表し、
n1は、1、2、3または4を表す。
【0022】
本発明は、更に、式Iの新規な重合性化合物(反応性メソゲン、「RM」)、および、それの調製方法に関する。
【0023】
本発明は、更に、1種類以上の式Iの重合性化合物を含むLC媒体に関する。
【0024】
本発明は、更に、
−1種類以上の式Iの重合性化合物を含む重合性成分A)と、
−1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、単量体の、または未重合の)化合物を含み、以下では「LCホスト混合物」とも言う液晶成分B)と
を含むLC媒体に関する。
【0025】
本発明は、更に、PSおよびPSAディスプレイにおける式Iの重合性化合物の使用に関する。
【0026】
本発明は、更に、1種類以上の式Iの化合物または本発明によるLC媒体を含むLCディスプレイに関し、特には、PSまたはPSAディスプレイに関し、特に好ましくは、PSA−VA、PSA−OCB、PS−IPS、PS−FFSまたはPS−TNディスプレイに関する。
【0027】
特に、1種類、2種類または3種類の式Iの重合性化合物を含むLC媒体が好ましい。
【0028】
更に、重合性成分A)が、式Iの重合性化合物のみから成るLC媒体が好ましい。
【0029】
更に、成分B)が、ネマチック液晶相を有するLC化合物またはLC混合物であるLC媒体が好ましい。
【0030】
更に、アキラルな重合性化合物、およびアキラルな化合物を含み、好ましくはアキラルな化合物のみから成るLC媒体が好ましい。
【0031】
重合性化合物をLC媒体に個々に加えることができるが、本発明による2種類以上の重合性化合物を含む混合物を使用することも可能である。このタイプの混合物を重合すると、共重合体が形成される。本発明は、更に、上記および下記の重合性混合物に関する。重合性化合物はメソゲンでも、非メソゲンでもよい。
【0032】
特に好ましい式Iの化合物は、
A
1〜3、Z
1〜2、P、Sp、m1、m2、m3およびn1は上記の意味を有し、
Lは、P−Sp−、OH、CH
2OH、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよい6〜20個のC原子を有するアリール、または1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし加えて、1個以上のH原子はF、ClまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、
Y
1は、ハロゲンを表し、
R
xは、P−Sp−、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルキル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はF、ClまたはP−Sp−で置き換えられていてもよい)、置換されていてもよい6〜40個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ基、または置換されていてもよい2〜40個のC原子を有するヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表し、
R
aおよびR
bは、P−Sp−、H、上で定義される通りのL、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、ただし、基R
aおよびR
bの少なくとも一方はP−Sp−であるものである。
【0033】
特に好ましい式Iの化合物は、
−R
aおよびR
bは、同一または異なって、基P−Sp−を表し、
−R
aおよびR
bは、同一または異なって、基P−Sp−を表し、ただし、基Spの1つは単結合を表し、
−基R
aおよびR
bの一方はP−Sp−を表し、他方は上で定義される通りのL、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、
−Spは単結合を表し、
−Z
1およびZ
2は単結合を表し、
−基A
2は、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイル(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)、シクロヘキサン−1,4−ジイル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基はOおよび/またはSで置き換えられていてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−2,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルまたはオクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルより選択され、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより単置換または多置換されていてもよく、
−基A
2は、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイル(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)より選択され、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより単置換または多置換されていてもよく、
−基A
1およびA
3は、1,3−フェニレン、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−2,5−ジイルおよびナフタレン−2,7−ジイル(ただし加えて、これらの基における1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)より選択され、ただし、これら全ての基は無置換であっても、Lにより単置換または多置換されていてもよく、
−好ましくは隣接する環基A
1〜3または対応する架橋基Z
1、2にメタ位またはパラ位で連結されている基A
1および/またはA
3は、P−Sp−を表す1個以上の置換基Lを有しており、
−m1=m3=1、および、m2=0、1または2であり、
−m1=m2=0、m3=1であるものである。
【0034】
式Iの化合物は、更に特に好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0037】
【化5】
式中、R、PおよびSpは、それぞれの出現において同一または異なって、上記の意味を有し、Rは、好ましくは、P−Spを表し、Lは上および下で示される意味の1つを有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3である。
【0038】
基P−Spおよび/またはRに対してオルト位またはメタ位に、少なくとも1個の、P−Sp−を表す置換基Lを有する式I1〜I20の化合物が特に好ましい。RがP−Sp−を表す、このタイプの化合物が特に好ましい。少なくとも1個、好ましくは2個の基Spが単結合を表し、少なくとも1個、好ましくは1個のみの基Spがスペーサー基を表す、このタイプの化合物が更に好ましい。このタイプの化合物は、特に好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0042】
【化9】
式中、R、PおよびSpは、それぞれの出現において同一または異なって、上記の意味を有し、Rは、好ましくは、P−Spを表し、Lは上および下で示されるP−Sp以外の意味の1つを有し、rは、0、1、2、3または4であり、sは、0、1、2または3であり、tは、0、1または2である。
【0044】
他に示さない限り、用語「PSA」はPSディスプレイおよびPSAディスプレイを表すために使用する。
【0045】
用語「メソゲン基」は当業者には既知であり、文献に記載されており、引力および斥力的相互作用の異方性により、低分子量または高分子物質中で液晶(LC)相の発生に本質的に寄与する基を表す。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物がLC相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状の単位である。メソゲン化合物またはLC化合物に関して使用される用語および定義の概説が、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁に記載されている。
【0046】
用語「スペーサー基」は、上および下で「Sp」とも言われ、当業者には既知であり、文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に示さない限り、用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、上および下において、重合性メソゲン化合物(「RM」)中でメソゲン基と重合性基(1個または複数)とを互いに連結している屈曲性基を表す。
【0047】
用語「反応性メソゲン」または「RM」は、メソゲン基および重合に適した1個以上の官能基(重合性基または基Pとしても知られる)を含有する化合物を表す。
【0048】
用語「低分子量化合物」および「非重合性化合物」は、通常、単量体で、当業者には既知の通常の条件下、特にRMの重合のために使用される条件下での重合に適した官能基を1個も含有しない化合物を表す。
【0049】
用語「有機基」は、炭素基または炭化水素基を表す。
【0050】
用語「炭素基」は、少なくとも1個の炭素原子を含有する一価または多価の有機基を表し、更に原子を含有していないか(例えば、−C≡C−など)、または、任意で、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどの原子の1個以上を更に含有している(例えば、カルボニルなど)。用語「炭化水素基」は、1個以上のH原子を更に含有し、任意で、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeなどのヘテロ原子の1個以上を含有してもよい炭素基を表す。
【0051】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0052】
炭素基または炭化水素基は、飽和基であっても、不飽和基であってもよい。不飽和基は、例えば、アリール、アルケニルまたはアルキニル基である。3個より多いC原子を有する炭素基または炭化水素基は、直鎖状、分岐状および/または環状のいずれでもよく、また、スピロ結合または縮合環を有していてもよい。
【0053】
用語「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは多価の基、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンなども包含する。
【0054】
用語「アリール」は、芳香族炭素基、またはそれらから誘導される基を表す。用語「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子を含有する、上の定義の通りの「アリール」を表す。
【0055】
好ましい炭素基および炭化水素基は、置換されていてもよい1〜40個、好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜18個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、置換されていてもよい6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアリールまたはアリールオキシ、または置換されていてもよい6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0056】
更に好ましい炭素基および炭化水素基は、C
1〜C
40アルキル、C
2〜C
40アルケニル、C
2〜C
40アルキニル、C
3〜C
40アリル、C
4〜C
40アルキルジエニル、C
4〜C
40ポリエニル、C
6〜C
40アリール、C
6〜C
40アルキルアリール、C
6〜C
40アリールアルキル、C
6〜C
40アルキルアリールオキシ、C
6〜C
40アリールアルキルオキシ、C
2〜C
40ヘテロアリール、C
4〜C
40シクロアルキル、C
4〜C
40シクロアルケニルなどである。特に好ましくは、C
1〜C
22アルキル、C
2〜C
22アルケニル、C
2〜C
22アルキニル、C
3〜C
22アリル、C
4〜C
22アルキルジエニル、C
6〜C
12アリール、C
6〜C
20アリールアルキルおよびC
2〜C
20ヘテロアリールである。
【0057】
更に好ましい炭素基および炭化水素基は、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であり、無置換であるか、または、F、Cl、Br、IまたはCNで単置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0058】
R
xは、好ましくは、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキル鎖(ただし加えて、1個以上の隣接していないC原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、1個以上のH原子はフッ素で置き換えられていてもよい)、6〜40個のC原子を有する置換されていてもよいアリールまたはアリールオキシ基、または5〜40個のC原子を有する置換されていてもよいヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基を表す。
【0059】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、ドデカニル、トリフルオロメチル、パーフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロヘキシルなどである。
【0060】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどである。
【0061】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどである。
【0062】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、n−ドデシルオキシなどである。
【0063】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどである。
【0064】
アリールおよびヘテロアリール基は単環であっても、多環であってもよく、即ち、それらは1個の環を有していてもよく(例えば、フェニルなど)、または2個以上の環を有していてもよく、また、2個以上の環は縮合していてもよく(例えば、ナフチルなど)、または、共有結合によって連結されていてもよく(例えば、ビフェニルなど)、または、縮合環および連結環の組み合わせを含有していてもよい。ヘテロアリール基は1個以上のヘテロ原子、好ましくは、O、N、SおよびSeより選択されるヘテロ原子を含有する。
【0065】
6〜25個のC原子を有する単環、二環または三環式アリール基および2〜25個のC原子を有する単環、二環または三環式ヘテロアリール基が特に好ましく、これらは縮合環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員または7員のアリールおよびヘテロアリール基が好ましく、ただし加えて、1個以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、N、SまたはOで置き換えられていてもよい。
【0066】
好ましいアリール基は、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、[1,1’:3’,1”]ターフェニル−2’−イル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどである。
【0067】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどの5員環;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンなどの6員環;またはインドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフタイミダゾール、フェナントライミダゾール、ピリダイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基;またはこれらの基の組み合わせである。また、ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキル、または更なるアリールまたはヘテロアリール基で置換されていてもよい。
【0068】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、飽和環、即ち、単結合のみを含有するものと、部分的に不飽和な環、即ち、多重結合も含有するものとの両者を包含する。ヘテロ環は1個以上のヘテロ原子、好ましくは、Si、O、N、SおよびSeより選択されるヘテロ原子を含有する。
【0069】
(非芳香族)脂環式およびヘテロ環式基は、単環式、即ち、1個の環のみを含有していてもよく(例えば、シクロヘキサンなど)、または、多環式、即ち、複数の環を含有していてもよい(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)。飽和基が、特に好ましい。更に、3〜25個のC原子を有する単環、二環または三環式基が好ましく、これらは縮合環を含有していてもよく、置換されていてもよい。更に、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ただし加えて、1個以上のC原子はSiで置き換えられていてもよく、および/または1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、および/または1個以上の隣接していないCH
2基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよい。
【0070】
好ましい脂環式およびヘテロ環式基は、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジンなどの5員基、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジンなどの6員基、シクロヘプタンなどの7員基、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルなどの縮合基である。
【0071】
アリール、ヘテロアリール、炭素基および炭化水素基は、1個以上の置換基を有していてもよく、置換基は、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C
1〜12アルキル、C
6〜12アリール、C
1〜12アルコキシ、ヒドロキシル、またはこれらの基の組み合わせを含む群より選択される。
【0072】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシなどの溶解促進基、フッ素、ニトロまたはニトリルなどの電子求引基、またはポリマーのガラス転移温度(Tg)を上昇させる基であり、特に、例えば、t−ブチルまたは置換されていてもよいアリール基などの嵩高い基である。
【0073】
好ましい置換基(下で「L」とも言われる)は、例えば、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2であり、式中、R
xは上記の意味を有し、Y
1はハロゲン、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有する置換されていてもよいシリルまたはアリール、および1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよい。
【0074】
「置換されたシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、−CN、R
0、−OR
0、−CO−R
0、−CO−O−R
0、−O−CO−R
0または−O−CO−O−R
0で置換されていることを意味し、ただし、R
0は上記の意味を有する。
【0075】
特に好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2、OC
2F
5、更にはフェニルである。
【0076】
【化10】
式中、Lは上記の意味の1つを有する。
【0077】
重合性基Pは、例えば、フリーラジカルまたはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に適するか、または、例えば、ポリマー主鎖上への付加または縮合といったポリマー類似反応に適する基である。特に好ましくは、連鎖重合のための基、特に、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含有するもの、および、例えば、オキセタンまたはエポキシ基などの開環重合に適する基である。
【0078】
基Pは、好ましくは、CH
2=CW
1−COO−、CH
2=CW
1−CO−、
【0079】
【化11】
CH
2=CW
2−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−(O)
k3−、CW
1=CH−CO−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−CO−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、CH
2=CH−(CO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−より選択され、式中、W
1は、H、F、Cl、CN、CF
3、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、特に、H、F、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、W
7およびW
8は、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、上で定義される通りの基Lの1個以上で置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、k
1、k
2およびk
3は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、k
3は、好ましくは、1を表す。
【0080】
特に好ましい基Pは、CH
2=CH−COO−、CH
2=C(CH
3)−COO−、CH
2=CH−、CH
2=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、
【0081】
【化12】
であり、特に、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシドである。
【0082】
本発明の更に好ましい実施形態において、式Iおよびそれのサブ式の化合物は、2個以上の重合性基Pを含有する分岐状の基R
aおよび/またはR
bおよび/またはL(多官能重合性基)を1個以上含有する。このタイプの適切な基、およびそれらを含有する重合性化合物は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号公報に記載されている。以下の式より選択される多官能重合性基が特に好ましい。
【0083】
【化13】
式中、
alkylは、単結合または1〜12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを表し、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−C(R
x)=C(R
x)−、−C≡C−、−N(R
x)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、加えて、1個以上のH原子はF、ClまたはCNで置き換えられていてもよく、ここで、R
xは上記の意味を有し、好ましくは、上で定義される通りのR
0を表し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’に示される意味の1つを有し、
P
1〜5は、それぞれ互いに独立に、上でPに示される意味の1つを有する。
【0084】
スペーサー基Spは、好ましくは、基「P−Sp−」が式「P−Sp’−X’−」に合致するように式Sp’−X’より選択され、ただし、
Sp’は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレンを表し、ただし、F、Cl、Br、IまたはCNで単置換または多置換されていてもよく、加えて、1個以上の隣接していないCH
2基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−NR
0−CO−O−、−O−CO−NR
0−、−NR
0−CO−NR
0−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
2=CY
3−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合を表し、
R
0およびR
00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、および
Y
2およびY
3は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。
【0085】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
0−、−NR
0−CO−、−NR
0−CO−NR
0−または単結合である。
【0086】
典型的なスペーサー基Sp’は、例えば、−(CH
2)
p1−、−(CH
2CH
2O)
q1−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
0R
00−O)
p1−であり、式中、p1は1〜12の整数、q1は1〜3の整数、およびR
0およびR
00は上記の意味を有する。
【0087】
特に好ましい基−X’−Sp’−は、−(CH
2)
p1−、−O−(CH
2)
p1−、−OCO−(CH
2)
p1−、−OCOO−(CH
2)
p1−である。
【0088】
特に好ましい基Sp’は、例えば、いずれの場合も直鎖状のエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0089】
重合性化合物は、当業者には既知であり、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載される方法に類似して調製される。式Iの重合性アクリレート類およびメタクリレート類の合成は、米国特許第5,723,066号明細書に記載される方法に類似して行うことができる。更に、特に好ましい方法を実施例で記載する。
【0090】
最も単純な場合、一般式HO−A
1−Z
1−(A
2−Z
2)
m1−A
3−OH(ただし、A
1〜3、Z
1、2およびm1は上記の意味を有する)の商業的に入手可能なジオール類、例えば、1−(3−ヒドロキシフェニル)フェニル−3−オールなどを、基Pを含有する対応する酸、酸誘導体、またはハロゲン化化合物、例えば塩化(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリル酸などを使用して、例えば、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの脱水剤の存在下でエステル化またはエーテル化することで合成を行う。
【0091】
重合性化合物は、電圧を印加しながら、LCディスプレイの基板間において、LC媒体中で、その場での重合により重合または架橋(化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)される。適切で好ましい重合方法は、例えば、熱重合または光重合であり、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。この場合、必要に応じて1種類以上の開始剤を加えてもよい。重合のための適切な条件、および開始剤の適切な種類と量は当業者には既知であり、文献に記載されている。フリーラジカル重合に適するものは、例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)である。開始剤を用いる場合、それの混合物全体における割合は、好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.001〜1重量%である。しかしながら、開始剤を添加することなく、重合を行うこともできる。更なる好ましい実施形態では、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0092】
また、例えば保管または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分A)またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含むこともできる。安定剤の適切な種類と量は当業者には既知であり、文献に記載されている。特に適切なのは、例えば、商業的に入手可能な安定剤のIrganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)である。安定剤を用いる場合、その割合は、RMまたは重合性成分A)の総量に対して、好ましくは10〜5000ppm、特に好ましくは50〜500ppmである。
【0093】
本発明による重合性化合物は開始剤を用いない重合に特に適しており、開始剤を用いない重合は、例えば材料費がより安価で、特に、ありうる開始剤、またはそれの分解生成物の残存によるLC媒体の汚染が少なくなるなどの特筆すべき利点を伴う。
【0094】
本発明によるLC媒体は、好ましくは5%未満、特に好ましくは1%未満、非常に特に好ましくは0.5%未満の重合性化合物、特に上記の式の重合性化合物を含む。
【0095】
本発明による重合性化合物をLC媒体に個々に加えることができるが、2種類以上の本発明の重合性化合物を含む混合物、または、1種類以上の本発明の重合性化合物および1種類以上の追加の重合性化合物(コモノマー)を含む混合物を使用することも可能である。コモノマーは、メソゲンでも、非メソゲンでもよい。このタイプの混合物を重合すると、共重合体が形成される。本発明は、更に、上記および下記の重合性混合物に関する。
【0096】
適切で好ましいメソゲンコモノマーは、例えば、以下の式より選択されるものである。
【0098】
【化15】
式中、
P
1およびP
2はPに示される意味の1つを有し、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、
Sp
1およびSp
2はSpに示される意味の1つを有するか、または単結合を表し、
Z
2およびZ
3は、それぞれ互いに独立に、−COO−または−OCO−を表し、
Lは、P−Sp−、F、Cl、Br、I、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
x)
2、−C(=O)Y
1、−C(=O)R
x、−N(R
x)
2、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよい6〜20個のC原子を有するアリール、または1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、ただし加えて、1個以上のH原子はF、ClまたはP−Sp−で置き換えられていてもよく、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
rは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表し、
tは、0、1または2を表し、
xは、0または1を表し、
R
yおよびR
zは、それぞれ互いに独立に、HまたはCH
3を表す。
【0099】
上記の重合性化合物に加え、本発明によるLCディスプレイにおいて使用するためのLC媒体は、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、単量体の、または未重合の)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。低分子量化合物は、重合性化合物の重合のために使用される条件下において重合反応に対して安定または非反応性である。原理的には、従来のVAおよびOCBディスプレイにおける使用に適した全てのLC混合物がホスト混合物として適している。適切なLC混合物は当業者には既知であり、文献に記載されており、例えば、VAディスプレイにおける混合物は欧州特許出願公開第1 378 557号公報に記載されており、OCBディスプレイ用の混合物は欧州特許出願公開第1 306 418号公報およびドイツ国特許出願公開第102 24 046号公報に記載されている。
【0100】
特に好ましいホスト混合物およびLC媒体を以下に示す。
【0101】
a)以下の式より選択される化合物の1種類以上を含むLC媒体:
【0102】
【化16】
式中、個々の基は、以下の意味を有する:
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【0103】
【化17】
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合を表し、好ましくは、単結合であり、
L
1〜4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0104】
好ましくは、基L
1およびL
2の両方がFを表すか、または、基L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表すか、または、基L
3およびL
4の両方がFを表すか、または、基L
3およびL
4の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0105】
式CYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0109】
【化21】
式中、aは1または2を表し、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0110】
式PYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0113】
【化24】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0114】
b)以下の式の化合物の1種類以上を追加的に含むLC媒体:
【0115】
【化25】
式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【0117】
【化27】
R
3およびR
4は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
yは、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合を表し、好ましくは、単結合である。
【0118】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0119】
【化28】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0120】
c)以下の式の化合物の1種類以上を追加的に含むLC媒体:
【0121】
【化29】
式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、以下の意味を有する:
R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、
【0123】
【化31】
eは、1または2を表す。
【0124】
式DKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0125】
【化32】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0126】
d)以下の式の化合物の1種類以上を追加的に含むLC媒体:
【0127】
【化33】
式中、個々の基は以下の意味を有する:
【0128】
【化34】
fは、0または1を表し、
R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
Z
xおよびZ
yは、それぞれ互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−または単結合を表し、好ましくは単結合であり、
L
1およびL
2は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2F、CHF
2を表す。
【0129】
好ましくは、基L
1およびL
2の両方がFを表すか、または、基L
1およびL
2の一方がFを表し、他方がClを表す。
【0130】
式LYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0132】
【化36】
式中、R
1は上記の意味を有し、vは、1〜6の整数を表す。R
1は、好ましくは、直鎖状のアルキルまたはアルケニルを表し、特に、CH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−である。
【0133】
e)以下の式より選択される化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0134】
【化37】
式中、alkylはC
1〜6アルキルを表し、LはHまたはFを表し、Xは、F、Cl、OCF
3、OCHF
2またはOCH=CF
2を表す。XがFを表す式G1の化合物が特に好ましい。
【0135】
f)以下の式より選択される化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0137】
【化39】
式中、R
5は上でR
1に示される意味の1つを有し、alkylはC
1〜6アルキルを表し、dは0または1を表し、zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数を表す。これらの化合物においてR
5は、特に好ましくは、C
1〜6アルキルまたはC
1〜6アルコキシまたはC
2〜6アルケニルであり、dは、好ましくは、1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、上記の式の化合物の1種類以上を5重量%以上の量で含む。
【0138】
g)以下の式のビフェニル化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0139】
【化40】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0140】
LC混合物における式B1〜B3のビフェニル類の割合は、好ましくは、少なくとも3重量%、特に5重量%以上である。
【0142】
式B1〜B3の化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0143】
【化41】
式中、alkyl
*は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの化合物の1種類以上を含む。
【0144】
h)以下の式のターフェニル化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0145】
【化42】
式中、R
5およびR
6は、それぞれ互いに独立に、上でR
1に示される意味の1つを有し、
【0146】
【化43】
式中、L
5はFまたはCl、好ましくはFを表し、L
6はF、Cl、OCF
3、CF
3、CH
3、CH
2FまたはCHF
2、好ましくはFを表す。
【0147】
式Tの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0150】
【化46】
式中、Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、R
*は2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、mは1〜6の整数を表す。R
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0151】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを表す。
【0152】
本発明によるLC媒体は、好ましくは、式Tおよびそれの好ましいサブ式のターフェニル類を2〜30重量%、特には5〜20重量%の量で含む。
【0153】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれ1〜5個のC原子を有するアルキル、更にアルコキシを表す。
【0154】
混合物のΔn値を0.1以上とする場合、本発明による混合物においてターフェニル類を使用することが好ましい。好ましい混合物は、2〜20重量%の1種類以上の式Tのターフェニル化合物、好ましくは、T1〜T22の化合物群より選択されるターフェニル化合物を含む。
【0155】
i)以下の式の化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0156】
【化47】
式中、R
1およびR
2は上記の意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、直鎖状のアルキルまたはアルケニルを表す。
【0157】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4より選択される化合物の1種類以上を含む。
【0158】
k)以下の式の化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0160】
【化49】
R
9は、H、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表し、qは1、2または3を表し、R
7はR
1に示される意味の1つを有し、好ましくは3重量%を超える量、特に5重量%以上、非常に特に好ましくは5〜30重量%の量である。
【0161】
式IFの化合物は、特に好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0162】
【化50】
式中、R
7は、好ましくは、直鎖状のアルキルを表し、R
9は、CH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表す。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0163】
m)以下の式の化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0164】
【化51】
式中、R
8はR
1に示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0165】
n)例えば以下の式より選択される化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する化合物の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0167】
【化53】
式中、R
10およびR
11は、それぞれ互いに独立に、R
1に示される意味の1つを有し、好ましくは直鎖状のアルキル、直鎖状のアルコキシまたは直鎖状のアルケニルを表し、Z、Z
1およびZ
2は、それぞれ互いに独立に、−C
2H
4−、−CH=CH−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH
2−または単結合を表す。
【0168】
o)以下の式のジフルオロジベンゾクロマン類および/またはクロマン類の1種類以上を付加的に含むLC媒体:
【0169】
【化54】
式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上記の意味を有し、cは0または1を表し、好ましくは3〜20重量%の量、特に3〜15重量%の量である。
【0170】
式BCおよびCRの化合物は、特に好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0172】
【化56】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenyl
*は、好ましくは、CH
2=CH−、CH
2=CHCH
2CH
2−、CH
3−CH=CH−、CH
3−CH
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
2−CH=CH−、CH
3−(CH
2)
3−CH=CH−またはCH
3−CH=CH−(CH
2)
2−を表す。
【0173】
1種類、2種類または3種類の式BC−2の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0174】
p)1種類以上の以下の式のフッ素化されたフェナントレン類またはジベンゾフラン類を付加的に含むLC媒体:
【0175】
【化57】
式中、R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、上記の意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0176】
式PHおよびBFの化合物は、特に好ましくは、以下のサブ式より選択される:
【0177】
【化58】
式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。
【0178】
q)好ましくはPSA−OCBディスプレイにおいて使用するための、以下の式の化合物の1種類以上を含むLC媒体:
【0179】
【化59】
式中、
R
0は、それぞれの出現において同一または異なって、それぞれ9個までのC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、
X
0は、F、Cl、または、いずれの場合もハロゲン化されており、それぞれ6個までのC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシを表し、
Z
0は、−CF
2O−または単結合を表し、
Y
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。
【0180】
X
0は、好ましくは、F、Cl、CF
3、CHF
2、OCF
3、OCHF
2、OCFHCF
3、OCFHCHF
2、OCFHCHF
2、OCF
2CH
3、OCF
2CHF
2、OCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCF
2CF
2CHF
2、OCFHCF
2CF
3、OCFHCF
2CHF
2、OCF
2CF
2CF
3、OCF
2CF
2CClF
2、OCClFCF
2CF
3またはCH=CF
2、特に好ましくはFまたはOCF
3である。
【0181】
式AAの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0183】
【化61】
式中、R
0およびX
0は上記の意味を有し、X
0は好ましくはFを表す。式AA2およびAA6の化合物が特に好ましい。
【0184】
式BBの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0185】
【化62】
式中、R
0およびX
0は上記の意味を有し、X
0は好ましくはFを表す。式BB1、BB2およびBB5の化合物が特に好ましい。
【0186】
式CCの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される:
【0187】
【化63】
式中、R
0は、それぞれの出現において同一または異なって、上記の意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0188】
r)式Iまたはそのサブ式の重合性化合物およびコモノマー以外には、末端ビニルまたはビニルオキシ基(−CH=CH
2、−O−CH=CH
2)を含有する化合物を含まないLC媒体。
【0189】
s)1〜5種類、好ましくは、1種類、2種類または3種類の重合性化合物を含むLC媒体。
【0190】
t)混合物全体における重合性化合物の割合が0.05〜5%、好ましくは0.1〜1%であるLC媒体。
【0191】
u)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY1、CY2、PY1および/またはPY2の化合物を含むLC媒体。混合物全体における、これらの化合物の割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、いずれの場合も2〜20%である。
【0192】
v)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY9、CY10、PY9および/またはPY10の化合物を含むLC媒体。混合物全体における、これらの化合物の割合は、好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、いずれの場合も2〜20%である。
【0193】
w)1〜10種類、好ましくは1〜8種類の式ZKの化合物、特に式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を含むLC媒体。混合物全体における、これらの化合物の割合は、好ましくは3〜25%、特に好ましくは5〜45%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、いずれの場合も2〜20%である。
【0194】
x)混合物全体における式CY、PYおよびZKの化合物の割合が70%を超え、好ましくは80%を超えるLC媒体。
【0195】
上記の好ましい実施形態a)〜x)の化合物を上記の重合された化合物と組み合わせることにより、本発明によるLC媒体の高い透明点および高いHR値を保持しつつ、低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温での安定性が得られ、PS(A)ディスプレイにおいてプレチルト角を設定することができる。特に、先行技術からの媒体と比べて、PS(A)ディスプレイにおいて、このLC媒体は非常に短縮された応答時間、また特に中間調の応答時間を示す。
【0196】
液晶混合物は、好ましくは少なくとも80K、特に好ましくは少なくとも100Kのネマチック相範囲、および20℃において250mPa・s以下、好ましくは200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0197】
VA型のディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は負の誘電異方性Δεを有し、20℃、1kHzで、好ましくは約−0.5〜−7.5、特に約−2.5〜−5.5である。
【0198】
OCB型のディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は正の誘電異方性Δεを有し、20℃、1kHzで、好ましくは約+7〜+17である。
【0199】
VA型のディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体の複屈折Δnは、好ましくは0.16未満であり、特に好ましくは0.06〜0.14の間であり、特に0.07〜0.12の間である。
【0200】
OCB型のディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体の複屈折Δnは、好ましくは0.14〜0.22の間であり、特に0.16〜0.22の間である。
【0201】
また、誘電体は、当業者には既知であり、文献に記載される添加剤を更に含んでもよい。例えば、0〜15重量%の多色性色素を加えてもよく、更には、ナノ粒子、導電性塩、好ましくは、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキソキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテルの錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)を導電性向上のために添加してもよく、または誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するために、物質を加えることができる。この種の物質は、例えば、独国特許出願公開第22 09 127、22 40 864、23 21 632、23 38 281、24 50 088、26 37 430および28 53 728号公報に記載されている。
【0202】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態a)〜x)の個々の成分は既知であるか、その方法が文献に記載されている標準的な方法に基づくため、当業者が先行技術から容易に導き出せる方法によって調製される。式CYに対応する化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0 364 538号公報に記載されている。式ZKに対応する化合物は、例えば、ドイツ国特許出願公開第26 36 684号公報およびドイツ国特許出願公開第33 21 373号公報に記載されている。
【0203】
本発明によって使用できるLC媒体は、それ自体は従来の方法で調製され、例えば、1種類以上の上記の化合物と、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤とを混合することによって調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要成分を構成する成分に、有利には加温して、溶解する。また、成分の有機溶媒溶液、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール等の溶液の2種以上を混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製する方法にも関する。
【0204】
また、本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体で置き換えられた化合物も含んでよいことは、当業者には言うまでもない。
【0205】
本発明によるLCディスプレイの構成は、冒頭で引用した先行技術に記載される通りのPS(A)ディスプレイの従来の構造に対応している。突起のない構造が好ましく、特に、加えて、カラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスリットを有するものが好ましい。PSA−VAディスプレイ用に特に適切で好ましい電極構造は、例えば、米国特許出願公開第2006/0066793号公報に記載されている。
【0206】
以下の例は、本発明を限定することなく説明するものである。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく使用される化合物、それらのそれぞれの濃度、およびそれらの互いの組み合わせに関する好ましい混合の考え方を示す。加えて、例は、いかなる特性および特性の組み合わせが達成可能であるかを示す。
【0208】
【表1】
更に、
V
0は20℃における容量閾電圧(V)を表し、
n
eは20℃および589nmにおける異常光屈折率を表し、
n
0は20℃および589nmにおける正常光屈折率を表し、
Δnは20℃および589nmにおける光学的異方性を表し、
ε
⊥は20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率を表し、
ε
‖は20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率を表し、
Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性を表し、
cl.p.、T(N,I)は透明点(℃)を表し、
γ
1は20℃における回転粘度(mPa・s)を表し、
K
1は20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数(pN)を表し、
K
2は20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数(pN)を表し、
K
3は20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数(pN)を表し、
LTSは試験用セル中で決定される低温安定性(相)を表し、
HR
20は20℃における電圧保持率(%)を表し、および
HR
100は100℃における電圧保持率(%)を表す。
【0209】
他に明記しない限り、本出願において全ての濃度は重量パーセントで示されており、他に明らかに示さない限り、対応する混合物または混合成分に関するものである。
【0210】
他に明記しない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示される。
【0211】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月刊、ドイツ国、メルク社に従って決定されるか決定されたものであり、いずれの場合も、他に明らかに示さない限り、温度は20℃が適用され、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0212】
本発明において、用語「閾電圧」は、他に明らかに示さない限り、フレデリックス閾値としても知られる容量閾値(V
0)に関する。例において、一般的に通常であるが、10%相対コントラストに対する光学的閾値(V
10)を示される場合もある。
【0213】
容量閾電圧の測定用に使用されるディスプレイは、4μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行な外板と、外板の内側にラビングされたポリイミドの被覆配向層を有する電極層とを有しており、配向層は液晶分子のホメオトロピックエッジ配向を生じさせる。
【0214】
重合性化合物は、ディスプレイ中で、所定の時間のUV照射により、同時に電圧をディスプレイに印加(通常、10V〜30Vの交流、1kHz)しながら重合する。例において、他に示さない限り、28mW/cm
2の水銀蒸気ランプを使用し、365nm帯域通過フィルターが装着された標準的なUVメーター(モデルUshio UNIメーター)を使用して強度を測定した。
【0215】
チルト角は、回転結晶実験(Autronic−Melchers TBA−105)によって決定される。ここで、小さい値(即ち、角度90°から大きく外れている)が大きなチルトに対応する。
【実施例】
【0216】
<例1>
2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−イル(1)を以下の通り調製する:
<1.1. 3,3’−ジベンジルオキシビフェニル>
【0217】
【化64】
化合物は文献(CAS26988−39−6)に記載されており、例えば、商業的に入手可能な化合物であるm−ベンジルオキシブロモベンゼン(CAS53087−13−1)およびm−ベンジルオキシベンゼンボロン酸(CAS156682−54−1)を鈴木カップリングすることで調製できる。
【0218】
<1.2. ビフェニル−3,3’−ジオール>
【0219】
【化65】
146g(0.392mol)の3,3’−ジベンジルオキシビフェニルを1.5lのTHFに溶解し、Pd/C触媒上で完全に水素化する。触媒を濾別し、濾液を蒸発させ、残渣をトルエン/酢酸エチルでシリカゲルに通して濾過し、無色の固体としてビフェニル−3,3’−ジオールを得る。
【0220】
1H−NMR(DMSO−d
6、400MHz):δ=6.76ppm(ddd、J=0.9Hz、J=2.4Hz、J=8.1Hz、2H、Ar−H)、6.97(t、J=2.0Hz、2H、Ar−H)、7.00(ddd、J=1.0Hz、J=1.6Hz、J=7.7Hz、2H、Ar−H)、7.23(t、J=7.9Hz、2H、Ar−H)、9.47(s、br.、2H、OH)。
【0221】
<1.3. 2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−イル>
【0222】
【化66】
最初に、5.00g(26.9mmol)のビフェニル−3,3’−ジオール、9.5ml(0.112mol)のメタクリル酸および0.7gのN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を200mlのトルエンに添加し、氷冷しながら23.5g(0.114mol)のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの溶液を加え、混合物を室温で一晩撹拌する。4.4gのシュウ酸二水和物を添加後、反応物を1時間撹拌して濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をシリカゲルでヘプタン/酢酸エチル(2:1)によりクロマトグラフにかけ、融点70℃の無色の結晶として2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−3−イルを得る。
【0223】
<例2>
アクリル酸3’−アクリロイルオキシビフェニル−3−イル(2)を以下の通り調製する:
【0224】
【化67】
例1と同様にして、ビフェニル−3,3’−ジオールおよびメタクリル酸より、融点48℃の無色の固体としてアクリル酸3’−アクリロイルオキシビフェニル−3−イルを得る。
【0225】
<例3>
2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロポキシ]ビフェニル−3−イル(3)を以下の通り調製する:
<3.1. 3’−(3−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニル−3−オール>
【0226】
【化68】
26.0g(0.140mol)のビフェニル−3,3’−ジオールおよび10.0gの3−ブロモ−1−プロパノールを300mlのアセトンに溶解し、19.3g(0.140mol)の炭酸カリウムを添加後、混合物を還流下で一晩加熱する。引き続いて反応物を濾過して蒸発させ、残渣をシリカゲルでトルエン/酢酸エチル(1:1)によりクロマトグラフにかけ、無色の結晶として3’−(3−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニル−3−オールを得る。
【0227】
<3.2. 2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロポキシ]ビフェニル−3−イル>
【0228】
【化69】
1.3に記載される反応と同様にして、3’−(3−ヒドロキシプロポキシ)ビフェニル−3−オールより、融点49℃の無色の固体として2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロポキシ]ビフェニル−3−イルを得る。
【0229】
<例4>
2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]ビフェニル−3−イル(4)を以下の通り調製する:
<4.1. 3−(3’−ベンジルオキシビフェニル−3−イル)プロピオン酸>
【0230】
【化70】
最初に、21.5g(77.2mmol)のメタホウ酸ナトリウム八水和物、0.700g(977mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、0.1ml(2mmol)のヒドラジン水化物および10.0g(42.3mmol)の3−(3−ブロモフェニル)プロピオン酸を10mlのテトラヒドロフランおよび30mlの水に添加し、30mlのTHF中の10.0g(43.9mmol)の3−ベンジルオキシベンゼンボロン酸の溶液を加える。引き続いて反応物を還流下で一晩加熱し、水に加え、MTBエーテルで3回抽出する。有機相を合わせ、これをヘプタン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲルに通して濾過し、粗生成物をトルエンより再結晶して、無色の固体として3−(3’−ベンジルオキシビフェニル−3−イル)プロピオン酸を得る。
【0231】
<4.2. 3−(3’−ベンジルオキシビフェニル−3−イル)プロパノール>
【0232】
【化71】
最初に、1.1g(29mmol)の水素化リチウムアルミニウムを50mlのTHFに添加し、50mlのTHF中の8.0g(24.1mmol)の3−(3’−ベンジルオキシビフェニル−3−イル)プロピオン酸の溶液を加える。反応物を室温で1時間撹拌し、還流下で1時間加熱し、水に加え、希硫酸を使用して酸性化する。水相を分離し、MTBエーテルで抽出する。有機相を合わせ、これを水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣を更に精製することなく、次の工程において使用する。
【0233】
<4.3. 3’−(3−ヒドロキシプロピル)ビフェニル−3−オール>
【0234】
【化72】
7.8g(23.7mmol)の3−(3’−ベンジルオキシビフェニル−3−イル)プロパノールをTHF中においてパラジウム/活性炭触媒上で完全に水素化する。触媒を濾別し、濾液を蒸発させ、残渣をシリカゲルでトルエン/酢酸エチル(2:1)によりクロマトグラフにかけ、無色のオイルとして3’−(3−ヒドロキシプロピル)ビフェニル−3−オールを得る。
【0235】
1H−NMR(CDCl
3、300MHz):δ=1.95ppm(m
c、2H、−CH
2CH
2CH
2OH)、2.35(s、1H、OH)、2.78(m
c、2H、CH
2CH
2CH
2OH)、3.71(m
c、2H、−CH
2CH
2CH
2OH)、4.95(s、1H、OH)、6.81(ddd、1H、J=1.0Hz、J=2.6Hz、J=8.0Hz、1H、Ar−H)、7.05(dd、J=1.9Hz、J=2.4Hz、1H、Ar−H)、7.12〜7.44(m、6H、Ar−H)。
【0236】
<4.4. 2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]ビフェニル−3−イル>
【0237】
【化73】
例1と同様にして、3’−(3−ヒドロキシプロピル)ビフェニル−3−オールおよびメタクリル酸より、無色のオイルとして2−メチルアクリル酸3’−[3−(2−メチルアクリロイルオキシ)プロピル]ビフェニル−3−イルを得る。
【0238】
<例5>
<2−メチルアクリル酸3’,5’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−イル(5)>
【0239】
【化74】
1.3に記載される合成と同様にして、ビフェニル−3,5,4’−トリオール(A.N.Cammidgeら、Tetrahedron Lett.2006年、47巻、5569〜5572頁の方法によって調製)および塩化メタクリロイルより、無色のオイルとして2−メチルアクリル酸3’,5’−ビス(2−メチルアクリロイルオキシ)ビフェニル−4−イルを得る。相挙動Tg−35I。
【0240】
<例6>
<アクリル酸3’,5’−ビス(アクリロイルオキシ)ビフェニル−4−イル(6)>
【0241】
【化75】
1.3に記載される合成と同様にして、ビフェニル−3,5,4’−トリオールおよび塩化アクリロイルより、無色のオイルとしてアクリル酸3’,5’−ビス(アクリロイルオキシ)ビフェニル−4−イルを得る。相挙動Tg−28I。
【0242】
<例7>
2−メチルアクリル酸5−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4’−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチル]ビフェニル−3−イル(7)を以下の通り調製する:
<7.1. 2−(3’,5’−ジメトキシビフェニル−4−イル)エタノール>
【0243】
【化76】
最初に、20g(99mmol)の2−(4−ブロモフェニル)エタノール、20g(72mmol)のメタホウ酸ナトリウム八水和物および2.0g(2.8mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を30mlのTHFおよび120mlの水に添加し、0.03mlのヒドラジン水化物を添加後、60mlのTHF中の15.5g(85mmol)の3,5−ジメトキシベンゼンボロン酸の溶液を滴下して加える。反応物を還流下で一晩加熱し、引き続いてジクロロメタンで4回抽出する。有機相を合わせ、これを水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、粗生成物をシリカゲルでヘプタン/酢酸エチル(2:1)によりクロマトグラフにかけ、無色の固体として2−(3’,5’−ジメトキシビフェニル−4−イル)エタノールを得る。
【0244】
1H−NMR(CDCl
3、400MHz)
δ=3.83(s、6H、OCH
3)、6.45(t、J=2.3Hz、1H、Ar−H)、6.71(d、J=2.3Hz、2H、Ar−H)、7.28(AB−d、J=8.1Hz、2H、Ar−H)、7.52(AB−d、J=8.1Hz、2H、Ar−H)。
【0245】
<7.2. 4’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−3,5−ジオール>
【0246】
【化77】
17.0g(65.2mmol)の2−(3’,5’−ジメトキシビフェニル−4−イル)エタノールを1lのキシレンに溶解し、ジエチルエーテル中のヨウ化メチルマグネシウムの3M溶液の110ml(330mmol)を添加後、混合物を還流下で3日間加熱する。引き続き水を加えて反応物を注意深く加水分解し、希塩酸を使用して酸性化する。有機相を分離し、水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、粗生成物をトルエンより再結晶し、無色の固体として4’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−3,5−ジオールを得る。
【0247】
<7.3. 2−メチルアクリル酸5−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4’−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチル]ビフェニル−3−イル>
【0248】
【化78】
1.3に記載される合成と同様にして、4’−(2−ヒドロキシエチル)ビフェニル−3,5−ジオールおよび塩化アクリロイルより、2−メチルアクリル酸5−(2−メチルアクリロイルオキシ)−4’−[2−(2−メチルアクリロイルオキシ)エチル]ビフェニル−3−イルを得る。
【0249】
相挙動Tg−38I。
【0250】
<例8>
2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−3−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−4−イル(8)を以下の通り調製する:
<8.1. 2−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)−4−ブロモフェノール>
【0251】
【化79】
最初に、60.0g(122mmol)の臭化(3−ベンジルオキシプロピル)トリフェニルホスホニウムを400mlのTHFに添加し、100mlのTHF中の25.0g(223mmol)のカリウムtert−ブトキシドの溶液を−10℃において滴下して加える。引き続いて、200mlのTHF中の20.0g(99.5mmol)の5−ブロモ−2−ヒドロキシベンズアルデヒドの溶液を0℃において滴下して加え、反応物を室温で一晩撹拌する。引き続いて、水を使用して反応混合物を加水分解し、MTBエーテルで3回抽出する。有機相を合わせ、これを水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をヘプタン/酢酸エチル(4:1)でシリカゲルに通して濾過し、無色のオイルとしてシス−およびトランス−2−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)−4−ブロモフェノールの混合物を得て、これを更に精製することなく反応させる。
【0252】
<8.2. 3’−ベンジルオキシ−3−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)ビフェニル−4−オール>
【0253】
【化80】
最初に、10.3g(31mmol)の2−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)−4−ブロモフェノール、5.5g(20mmol)のメタホウ酸ナトリウム八水和物および0.6g(0.84mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を20mlのTHFおよび60mlの水に添加し、0.03mlのヒドラジン水化物を添加後、40mlのTHF中の6.0g(26mmol)の3−ベンジルオキシベンゼンボロン酸の溶液を滴下して加える。反応物を還流下で一晩加熱し、引き続いてジクロロメタンで4回抽出する。有機相を合わせ、これを水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、粗生成物をトルエンおよびエタノールよりそれぞれ1回ずつ再結晶し、無色の固体として3’−ベンジルオキシ−3−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)ビフェニル−4−オールを得る。
【0254】
<8.3. 3’−(4−ヒドロキシブチル)ビフェニル−3,4’−ジオール>
【0255】
【化81】
3’−ベンジルオキシ−3−(4−ベンジルオキシブタ−1−エニル)ビフェニル−4−オールをTHFに溶解し、パラジウム/活性炭触媒上で完全に水素化する。触媒を濾別し、濾液を真空中で濃縮し、ヘプタン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲルに通して濾過し、無色の固体として3’−(4−ヒドロキシブチル)ビフェニル−3,4’−ジオールを得る。
【0256】
1H−NMR(400MHz、CDCl
3)
δ=1.66ppm(quint.、J=6.6Hz、2H、CH
2CH
2(CH
2)
2OH)、1.79(quint.、J=7.7Hz、2H、(CH
2)
2CH
2CH
2OH)、2.75(t、J=7.5Hz、2H、CH
2(CH
2)
3OH)、3.79(t、br.、J=5.9Hz、2H、(CH
2)
3CH
2OH)、4.90(s、1H、OH)、5.78(s、1H、OH)、6.77(dd、J=2.5Hz、8.0Hz、1H、Ar−H)、6.85(d、J=8.2Hz、1H、Ar−H)、7.02(m
c、1H、Ar−H)、7.12(d、J=7.9Hz、1H、Ar−H)、7.25〜7.35(m、3H、Ar−H)。
【0257】
<8.4. 2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−3−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−4−イル>
【0258】
【化82】
1.3に記載される合成と同様にして、3’−(4−ヒドロキシブチル)ビフェニル−3,4’−ジオールおよび塩化メタクリロイルより、無色のオイルとして2−メチルアクリル酸3’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−3−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−4−イルを得る。
【0259】
<例9>
<2−メチルアクリル酸4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−3−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−4−イル(9)>
【0260】
【化83】
2−メチルアクリル酸4’−(2−メチルアクリロイルオキシ)−3−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−4−イルは例8の異性体であり、4−ベンジルオキシベンゼンボロン酸より出発して、上記の合成と同様にして、融点76℃の無色の固体として得られる。
【0261】
<例10>
2−メチルアクリル酸4−{4’−アクリロイルオキシ−5−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−3−イル}ブチル(10)を以下の通り調製する:
<10.1. 4’−ベンジルオキシ−3,5−ジブロモビフェニル>
【0262】
【化84】
最初に、9.0g(32mmol)のメタホウ酸ナトリウム八水和物および1.3g(1.82mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を200mlの水および40mlのTHFに添加し、80mlのTHF中の55g(171mmol)の1,3,5−トリブロモベンゼンの溶液を加え、10g(45.5mmol)の4−ベンジルオキシベンゼンボロン酸の溶液を還流下において滴下して加える。反応物を還流下で16時間加熱し、水に加え、MTBエーテルで3回抽出する。有機相を合わせ、これを飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルでヘプタン/酢酸エチル(19:1)によりクロマトグラフにかけ、エタノールより再結晶し、無色の結晶として4’−ベンジルオキシ−3,5−ジブロモビフェニルを得る。
【0263】
<10.2. 4−[4’−ベンジルオキシ−5−(4−ヒドロキシブタ−1−イニル)ビフェニル−3−イル]ブタ−3−イン−1−オール>
【0264】
【化85】
10.0g(23.8mmol)の4’−ベンジルオキシ−3,5−ジブロモビフェニルを80mlのDMFに溶解し、11.5mlのトリエチルアミン、1.4g(2.0mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)および0.4g(2.1mmol)のヨウ化銅を加え、引き続いて、20mlのDMF中の5.5ml(71.3mmol)の3−ブチン−1−オールの溶液を滴下して加える。反応物を80℃で一晩撹拌し、水に加え、希塩酸を使用して酸性化し、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせ、これを飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をトルエン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲルに通して濾過して、無色のオイルとして4−[4’−ベンジルオキシ−5−(4−ヒドロキシブタ−1−イニル)ビフェニル−3−イル]ブタ−3−イン−1−オールを得る。
【0265】
<10.3. 3’,5’−ビス(4−ヒドロキシブチル)ビフェニル−4−オール>
【0266】
【化86】
4−[4’−ベンジルオキシ−5−(4−ヒドロキシブタ−1−イニル)ビフェニル−3−イル]ブタ−3−イン−1−オールをTHFに溶解し、パラジウム/活性炭触媒上で完全に水素化する。触媒を濾別し、濾液を真空中で蒸発させ、残渣をトルエン/酢酸エチル(1:1)でシリカゲルに通して濾過する。
【0267】
1H−NMR(400MHz、DMSO−d
6)
δ=1.46(m
c、4H、CH
2)、1.63(m
c、4H、CH
2)、2.59(t、J=7.6Hz、4H、Ar−CH
2−(CH
2)
3OH)、3.42(q、J=6.2Hz、4H、−CH
2OH)、4.38(t、J=5.2Hz、2H、OH)、6.83(m
c、2H、Ar−H)、6.93(s、br.1H、Ar−H)、7.18(m
c、2H、Ar−H)、7.46(m
c、2H、Ar−H)、9.49(s、1H、Ar−OH)。
【0268】
<10.4. 2−メチルアクリル酸4−{4’−アクリロイルオキシ−5−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−3−イル}ブチル
【0269】
【化87】
1.3に記載される合成と同様にして、3’,5’−ビス(4−ヒドロキシブチル)ビフェニル−4−オールおよび塩化メタクリロイルより、無色のオイルとして2−メチルアクリル酸4−{4’−アクリロイルオキシ−5−[4−(2−メチルアクリロイルオキシ)ブチル]ビフェニル−3−イル}ブチルを得る。
【0270】
同様に、以下の化合物を調製する:
(Acr:アクリレート、MAcr:メタクリレート)
【0271】
【表2】
【0272】
【表3】
【0273】
【表4】
【0274】
【表5】
【0275】
【表6】
<使用例1>
化合物(1)の溶解性を、先行技術(例えば、欧州特許出願公開第1 498 468号公報)から既知で、重合性基がメソゲン基にパラ位で結合している構造的に類似の化合物(A)の溶解性と比較する:
【0276】
【化88】
この目的のために、それぞれの化合物を、5重量%の濃度で、商業的に入手可能なネマチックLC混合物LCT−06−441(メルク社、ダルムシュタット市)に50℃で撹拌して(1/2時間)溶解した後、撹拌せずに室温まで冷却する。結果:
(1):室温において一晩で結晶化、
(A):室温まで冷却すると直ちに結晶化。
【0277】
本発明による化合物は、先行技術からの化合物よりも極めて良好な溶解性を示す。
【0278】
<使用例2−混合物例>
ネマチックLCホスト混合物N1を以下の通り調合する:
【0279】
【表7】
例1〜10からの重合性モノマー化合物の0.3%をLC混合物N1に添加し、得られた混合物をVA−e/o試験用セル(90°でラビング済み、配向層VA−ポリイミド、層厚dは約4μm)に導入する。それぞれのセルに、10Vの電圧(交流)を印加しながら、28mW/cm
2の強度を有するUV光を20分間照射して、モノマー化合物を重合する。第2の一連の実験においては、0.006%の光開始剤Irgacure651をLC/モノマー混合物に追加的に加え、照射時間を2分に短縮する。UV照射の前後において、回転結晶実験(Autronic−Melchers TBA−105)によりチルト角を決定する。
【0280】
比較の目的のために、先行技術(例えば、欧州特許出願公開第1 498 468号公報)から既知で、重合性基がメソゲン基にパラ位で結合している構造的に類似の重合性化合物(A)および(B)を用いて上記の実験を行う:
【0281】
【化89】
結果を表1に示す。
【0282】
【表8】
表1から明らかなように、特に光開始剤を使用しない場合、本発明によるモノマー(1〜10)の重合後は、十分に大きいチルト(即ち、小さいチルト角)を達成することもできる。
【0283】
本発明による化合物(1)〜(10)は、溶解性がより優れるため(例5参照)、PS(A)ディスプレイにおける使用に特に適する。