(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端に掃除機の吸引パイプに接続される接続部を有し他端に吸込部を有する筒状体と、一端に開口を有し他端に捕集部を有するとともに前記吸込部から前記接続部に向かう向きと前記開口から前記捕集部に向かう向きとが一致するように前記筒状体の内側に接合された捕集具とを備える吸込具を形成するための吸込具形成部材であって、
特定方向に配置された端部を有しこれら端部同士の接合により筒状体を形成することが可能なベースと、このベースに接合されており前記ベースの前記特定方向の端部同士の接合により前記捕集具を形成することが可能な捕集具形成部材とを有し、
前記ベースは、前記特定方向の端部を含む部分にそれぞれ形成されたベース接合部と、
前記ベース接合部同士の接合により筒状体が形成されたときの当該筒状体の軸方向の一端に位置して前記接続部を形成する接続部形成部と、
前記ベース接合部同士の接合により筒状体が形成されたときの当該筒状体の軸方向の他端に位置して前記吸込部を形成する吸込部形成部とを有しており、
前記捕集具形成部材は、前記ベース接合部同士の接合により捕集具が形成されたときの当該捕集具における前記開口を形成する開口形成部と、
前記ベース接合部同士の接合により捕集具が形成されたときの当該捕集具における前記捕集部を形成する捕集部形成部とを有しており、
前記捕集具形成部材は、前記ベース接合部同士の接合により捕集具が形成されたときの当該捕集具における捕集部の終端が、前記ベース接合部同士の接合により筒状体が形成されたときの当該筒状体における前記接続部側の端部から外部に露出する寸法に形成されており、かつ、前記ベース接合部同士の接合により捕集具が形成されたときの当該捕集具が最大外径となった状態における当該捕集具の外周面と前記ベース接合部同士の接合により筒状体が形成されたときの当該筒状体の内周面との間に隙間が形成される形状を有することを特徴とする吸込具形成部材。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、
図1に示す吸込具10における逆止弁折曲部50cの延びる方向をX軸方向とし、同吸込具10における接続部30bと吸込部30cとを結ぶ方向をY軸方向とし、X軸及びY軸のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、
図1に示すように吸込具10内に所定の空間が形成された状態を第2状態とし、
図4に示すように平坦化された状態を第1状態とする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態における吸込具10は、筒状の本体20と、この本体20の内部に接合された袋状を呈する捕集具70とを有している。
【0020】
本体20は、略多角柱状の筒状体30と、この筒状体30に一体的に設けられた補強部40,40と、筒状体30に一体的に設けられた逆止弁50と、筒状体30に一体的に設けられた逆止弁規制部60とを有している。この本体20は、紙や合成樹脂等からなる折り曲げ可能なシート状の部材で形成されている。なお、本実施形態では、補強部40,40は2箇所に設けられている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、筒状体30は、後述する板状部材21の特定方向(X軸方向)の端部同士を重ねて接合することにより形成されており、その重なった部分である重合部30aを有している。そして、その軸方向(Y軸方向)の一端に掃除機の吸引パイプPと接続される接続部30bを有し、その軸方向の他端に害虫や塵埃等を吸い込む吸込部30cを有しており、吸込部30cから接続部30bにかけて次第に縮径する形状を呈する。また、筒状体30は、その外周面に、外側に凸となるように折り曲げられており、かつ、接続部30bと吸込部30cとを結ぶ方向に延びる複数の稜線30j,30j…を有している。さらに、Y軸方向の所定位置に複数個の穴30r,30r…を有している。
【0022】
重合部30aは、
図9に示す使用状態において上方となる部分、すなわち、
図1のZ軸方向において筒状体30の逆止弁折曲部50cと対向する部分に位置する。また、この重合部30aは、板状部材21が二重になっていることから、筒状体30の他の部分と比べて高い剛性をもつ。
【0023】
接続部30bは、吸引パイプPに接続される部分であり、そのXZ面での断面形状は、複数の稜線30j,30j…との交点を頂点とする多角形となっている。
【0024】
吸込部30cは、害虫や塵埃等を吸い込む部分であり、Z軸方向における重合部30aと逆止弁折曲部50cとの間に位置する部分で補強部40,40とつながる補強部接続部30d,30dと、Z軸方向における重合部30aと対向する部分で逆止弁50とつながる逆止弁接続部30gと、Z軸方向における逆止弁折曲部50cと対向する部分で逆止弁規制部60とつながる逆止弁規制部接続部30hとを有している。なお、本実施形態では、吸込部30cは六角形となるように形成されている。
【0025】
補強部接続部30d,30dは、後述する第1補強部40a,40aとつながる第1補強部接続部30e,30eと、この第1補強部接続部30e,30eに隣接するとともに後述する第2補強部40e,40eとつながる第2補強部接続部30f,30fとからなる。第1補強部接続部30e,30eは、吸込部30cにおける第1稜線30n及び第2稜線30qの端部が位置する部分と逆止弁接続部30gとの間に位置しており、第2補強部接続部30f,30fは、吸込部30cにおける第1稜線30n及び第2稜線30qの端部が位置する部分と逆止弁規制部接続部30hとの間に位置している。
【0026】
複数の稜線30j,30j…は、重合部30aが位置する部分に形成された上方稜線30k,30kと、Z軸方向において上方稜線30k,30kと対向する部分に形成された下方稜線30m,30mと、上方稜線30k,30kと下方稜線30m,30mとの間に位置する部分に形成された第1稜線30n及び第2稜線30qとを有している。なお、本実施形態では、上方稜線30k,30kと下方稜線30m,30mとは、それぞれ2本ずつ形成されている。
【0027】
上方稜線30k,30kは、重合部30aにおけるX軸方向の両端に位置する部分に形成されている。下方稜線30m,30mは、後述する逆止弁折曲部50cにおけるX軸方向の両端に位置する部分を始点とし、吸込部30cから接続部30bに向けて少なくとも所定寸法延びる形状を有している。そして、第1稜線30n及び第2稜線30qは、吸込部30cから接続部30bに至るように直線状に延びる形状を有している。
【0028】
複数個の穴30r,30r…は、筒状体30の側面の所定箇所に設けられている。この穴30rは、清掃中に吸込部30cが閉塞したとしても、吸込具10外から吸込具10内を通って吸引パイプPへと至る気流を確保するために設けられるものである。よって、この穴30rは、接続部30bにおける吸引パイプPの先端との接触部分よりも吸込部30c寄りに設けられている。なお、本実施形態では、穴30r,30r…は、筒状体30の側面の3箇所に設けられている。
【0029】
補強部40,40は、逆止弁接続部30gと逆止弁規制部接続部30hとの間に位置する補強部接続部30d,30dから延びるように当該筒状体30に一体的に設けられており、吸込部30cを補強するものである。なお、本実施形態では、補強部40,40は、吸込部30cにおいてYZ面に対して対称となる2箇所に設けられている。各補強部40,40は、板状部材21の折り曲げにより形成された互いに隣接する第1補強部40a及び第2補強部40eの重なった部分が接合されることにより形成されている。この第1補強部40a,40aを形成するために板状部材21が折り曲げられた部分、すなわち、第1補強部40a,40aと第1補強部接続部30e,30eとの境界部分である第1補強部折曲部40b,40bは直線状を呈し、同様に、第2補強部40e,40eを形成するために板状部材21が折り曲げられた部分、すなわち、第2補強部40e,40eと第2補強部接続部30f,30fとの境界部分であるである第2補強部折曲部40f,40fは直線状を呈する。そして、各第1補強部折曲部40b,40bは、吸込部30cにおける第1稜線30n及び第2稜線30qの端部が位置する部分よりもZ軸方向において逆止弁接続部30gの位置する側に位置しており、各第2補強部折曲部40f,40fは、吸込部30cにおける第1稜線30n及び第2稜線30qの端部が位置する部分よりもZ軸方向において逆止弁規制部接続部30hの位置する側に位置している。
【0030】
各第1補強部40a,40aは、隣接する第2補強部40e,40eの一部と重なる部分に第1補強部接合部40c,40cを有し、各第2補強部40e,40eは、第1補強部接合部40c,40cと対応する部分に第2補強部接合部40g,40gを有している。そして、各第1補強部接合部40c,40cは、それぞれ対応する第2補強部接合部40g,40gと互いに接合されている。また、各第1補強部40a,40aは、隣接する第2補強部40e,40eと接合された状態において当該補強部40,40を折り畳むことを可能とする補強部折曲部40d,40dを有している。
【0031】
逆止弁50は、吸込部30cにおける逆止弁接続部30gから延びるように当該筒状体30に一体的に設けられており、一旦吸い込んだ捕集物が吸込具10の外へ出ないように阻止するものである。
図3に示すように、この逆止弁50は、板状部材21を折り曲げることにより形成されている。逆止弁50は、逆止弁接続部30gにつながった基部50aと、この基部50aとつながっており後述する吸込口60bを略塞ぐ形状を有する可動部50bとを有している。そして、この逆止弁50を形成するために板状部材21が折り曲げられた部分、すなわち、逆止弁50と逆止弁接続部30gとの境界部分である逆止弁折曲部50cは直線状を呈する。また、基部50aと可動部50bとの境界部分には、基部50aに対して可動部50bの折り曲げを可能とする直線状を呈する可動部折曲部50dが設けられている。
【0032】
基部50aは、吸込部30cにおける逆止弁接続部30gにつながる部分であり、その表面は、後述する起立部60dの裏面と接合されている。可動部50bは、吸引パイプP側からの吸い込み時に可動部折曲部50dを支点として内側へ倒れることにより吸込口60bからの吸い込みを許容する許容位置と、吸引パイプP側からの吸い込みの停止時に可動部折曲部50dを支点として起立することにより吸込口60bを塞ぐ閉塞位置との間を移動可能なものである。なお、
図9では、可動部50bが閉塞位置にある状態を二点鎖線で、許容位置にある状態を実線でそれぞれ示している。
【0033】
逆止弁規制部60は、吸込部30cにおける逆止弁規制部接続部30hから延びるように当該筒状体30に一体的に設けられており、逆止弁50が閉塞位置から外側に向けて突出することを規制するものである。この逆止弁規制部60は、吸込部30cの形状に合わせて略六角形に形成されている。また、
図3に示すように、この逆止弁規制部60は、板状部材21を折り曲げることにより形成されている。
図6に示すように、逆止弁規制部60は、吸込部30cにおける逆止弁規制部接続部30hとつながった可動部規制部60aと、この可動部規制部60aとつながった起立部60dと、この起立部60dとつながった起立補助部60g,60gとを有している。そして、この可動部規制部60aを形成するために板状部材21が折り曲げられた部分、すなわち、可動部規制部60aと吸込部30cとの境界部分である逆止弁規制部折曲部60eは直線状を呈する。また、可動部規制部60aと起立部60dとの境界部分には、可動部規制部60aに対して起立部60dを折り曲げ可能とする直線状を呈する起立部折曲部60fが設けられている。そして、起立部60dと各起立補助部60g,60gとの境界部分には、起立部60dに対して各起立補助部60gを折り曲げ可能とする直線状を呈する起立補助部折曲部60h,60hが設けられている。
【0034】
可動部規制部60aは、害虫や塵埃等を吸い込むための略矩形状の吸込口60bを画定する吸込口画定部60cを有している。起立部60dは、その裏面が基部50aの表面と接合されている。起立補助部60g,60gは、起立部60dにおける起立部折曲部60fの延びる方向と同方向の両端につながっており当該起立部60dの起立を補助するものである。
【0035】
捕集具70は、不織布により袋状に形成されており、気体の通過を許容しながら吸込物を捕集するものである。なお、この捕集具70は、不織布からなるものに限らず、布からなるもの、あるいは、金属や合成樹脂からなる網状のものであってもよい。
図3に示すように、捕集具70は、その内周に害虫や塵埃等を通過させる開口を画定する開口画定部70kと、害虫や塵埃等を捕集する捕集部70hとを有している。ここで、捕集部70hとは、捕集具70における開口画定部70k以外の部分を指す。この捕集具70は、開口と捕集部70hとを結ぶ向きが吸込部30cと接続部30bとを結ぶ向きと一致するように筒状体30の内面に接合されている。
【0036】
開口画定部70kは、Z軸方向において第1稜線30n及び第2稜線30qが形成された部分と逆止弁接続部30gが形成された部分との間に位置する部分の外周に設けられて筒状体30の内周面と接合される下方接合部70bと、Z軸方向において第1稜線30n及び第2稜線30qが形成された部分と逆止弁規制部接続部30hが形成された部分との間に位置する部分の外周に設けられて筒状体30の内周面と接合される上方接合部70fとを有している。
【0037】
下方接合部70bは、筒状体30の内周面における第1補強部接続部30e及び逆止弁接続部30gが位置する部分と複数個の穴30r,30r…が位置する部分との間の部分に接合されている。上方接合部70fは、筒状体30におけるY軸方向の略中央部分に接合されている。なお、開口画定部70kは、下方接合部70bが形成された部分と上方接合部70fが形成された部分とがY軸方向に離間しておりその周方向に連続してはいないが、下方接合部70bは筒状体30の内周面におけるZ軸方向の下半分と接合されており、上方接合部70fは筒状体30の内周面におけるZ軸方向の上半分と接合されているため、吸込口60bから吸い込んだ捕集物が開口画定部70kの外周面と筒状体30の内周面との間を通って吸引パイプPへと至ることはない。
【0038】
捕集部70hは、Z軸方向において重合部30aと対向する側に形成された穴30rが位置する部分と接続部30b側の端部との間のY軸方向に沿った領域に、捕集具70と筒状体30との接合強度を高めるための補強用接合部70cを有している。
【0039】
捕集具70は、下方接合部70b及び上方接合部70fが筒状体30内に接合された状態において、捕集部70hの一部が、接続部30b側の端部から筒状体30の外部に露出する寸法に形成されている。また、
図2及び
図3に示すように、捕集具70は、捕集部70hの最大外径における外周面と筒状体30の内周面との間に隙間Sが形成される形状を有している。また、筒状体30における接続部30bの内周面が多角形であることも相まって、この隙間Sの確保が一層確実となっている。なお、本実施形態では、筒状体30における接続部30bの外形は、多角形である例を示したが、この部分の外形は多角形に限らず、少なくとも一部に稜線を有する形状であれば、隙間Sは確保される。
【0040】
図4は、
図1に示す第2状態の吸込具10を、第1稜線30n及び第2稜線30qの部分のなす角度がそれぞれ略0度となるようにして平坦化させたものであり、この平坦化された第1状態と
図1に示した第2状態とを切り替え可能な吸込具構成部材10′の下面図である。この吸込具構成部材10′を
図1に示す第2状態から
図4に示す第1状態とするには、補強部折曲部40dの部分及び起立部折曲部60fの部分をそれぞれ谷折りするとともに、第1稜線30n及び第2稜線30qの部分のなす角が略0度となるように折り畳む。そして、この吸込具構成部材10′を第1状態から第2状態とするには、第1稜線30n及び第2稜線30qの部分のなす角が所定角度となるようにするとともに、補強部折曲部40dの部分及び起立部折曲部60fの部分の谷折り状態を解消するようにする。なお、補強部40と逆止弁規制部60とは互いに接合されておらず相対変位可能であるため、このような切り替えが可能となっている。
【0041】
次に、
図5及び
図6に基づいて、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へと切り替わる際の逆止弁規制部60の挙動及び逆止弁50の挙動をこの順に説明する。
【0042】
ここで、
図5(a)は、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へと切り替わる際の初期段階を示す断面図であり、
図6(a)は同段階を示す正面図である。
図5(b)は、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へと切り替わる中期段階を示す断面図であり、
図6(b)は、同段階を示す正面図である。
図5(c)は、吸込具構成部材10′が第2状態に切り替わった最終段階を示す断面図であり、
図6(c)は同段階を示す正面図である。なお、この
図5及び
図6では、補強部40,40は省略している。
【0043】
まず、逆止弁規制部60の挙動を説明する。
図5及び
図6に示すように、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ近づくにつれて、逆止弁規制部60は、起立部折曲部60fの部分の谷折り状態が解消されて次第に起立する姿勢へ変位する。より具体的には、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ切り替わるにつれて、第1稜線30n及び第2稜線30qの部分のなす角が増加するように、すなわち、逆止弁接続部30gと逆止弁規制部接続部30hとが互いにZ軸方向に沿って離間するように変位する。そして、逆止弁規制部60における可動部規制部60aは逆止弁規制部接続部30hとつながっており、起立部60dは基部50aを介して逆止弁接続部30gとつながっている。そのため、逆止弁接続部30gと逆止弁規制部接続部30hとが互いに離間するように変位すれば、逆止弁規制部60は、起立部折曲部60fの谷折り状態を解消するように、すなわち、起立部60dが起立するように変位する。
【0044】
さらに、
図6に示すように、逆止弁規制部60は、起立部60dの起立を補助する起立補助部60g,60gを有しているため、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ切り替わる際に、起立部60dが滑らかに起立する。より具体的には、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ切り替わる際、起立補助部60g,60gは、
図6(b)に示す中期段階で第1補強部接続部30eの内面と接触する。そして、その中間段階から
図6(c)に示す最終段階に至るまでは、起立補助部60g,60gは、第1補強部接続部30eの内面との接触部分が支点となり、起立補助部折曲部60hの部分が山折り状態となるように変位しながら起立部60dが起立する方向の力を発生させる。このようにして、起立補助部60g,60gは起立部60dを滑らかに起立させるように補助する。
【0045】
続いて、逆止弁50の挙動を説明する。
図5及び
図6に示すように、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ近づくにつれて、逆止弁50は次第に起立する姿勢へ変位する。より具体的には、逆止弁規制部60は、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ切り替わるにつれて、上記のように起立部60dが起立するように変位する。そして、逆止弁50の基部50aが逆止弁規制部60の起立部60dと接合されているため、基部50aが起立部60dに引き起こされるようにして逆止弁50が次第に起立する姿勢へ変位する。また、逆止弁50は、第1状態から第2状態へ切り替わる過程において、可動部50bの先端が重合部30aの内面と接触しない寸法に形成されている。
【0046】
このようにして
図6(c)に示す最終段階に至った際、すなわち、第2状態に切り替わった際に、各第1補強部折曲部40b,40b、各第2補強部折曲部40f,40f、逆止弁折曲部50c及び逆止弁規制部折曲部60eで形成される吸込部30cの六角形の形状と、逆止弁規制部60の外縁が呈する六角形の形状とが略一致し、かつ、吸込口60bが可動部50bにより略閉塞されるので、吸込部30cは逆止弁50及び逆止弁規制部60により略閉塞された状態となる。
【0047】
図7は、これまで説明してきた吸込具10ないし吸込具構成部材10′を形成するための吸込具形成部材11を示すものである。つまり、この吸込具形成部材11は、吸込具10ないし吸込具構成部材10′を展開したものに相当する。吸込具形成部材11は、その特定方向(X軸方向)の端部同士が接合されることにより本体20を形成する板状部材21と、この板状部材21に接合されており捕集具70を形成する捕集具形成部材71とを有する。
【0048】
吸込具10における本体20を形成する板状部材21は、筒状体30を形成するベース31と、補強部40,40を形成する補強部形成片41,41と、逆止弁50を形成する逆止弁形成片51と、逆止弁規制部60を形成する逆止弁規制部形成片61とを有している。また、この板状部材21は、折り曲げ可能な紙や合成樹脂からなる部材にて形成されている。
【0049】
ベース31は、特定方向(X軸方向)に端部が配置された所定形状を有しており、板状部材21が本体20に形成されたときに当該本体20における筒状体30を形成する。このベース31は、筒状体30における重合部30aを形成するベース接合部31a,31aと、筒状体30における接続部30bを形成する接続部形成部31bと、筒状体30における吸込部30cを形成する吸込部形成部31cと、筒状体30における複数の稜線30j,30j…を形成する複数の稜線形成部31j,31j…と、筒状体30における複数個の穴30r,30r…を形成する複数個の穴形成部31r,31r…とを有している。
【0050】
ベース接合部31a,31aは、ベース31の特定方向の両端にそれぞれ形成されており、それぞれが特定方向の端部を含む部分に形成されている。このベース接合部31a,31aは、互いに重ね合わされてその重なった部分が接合されることにより、筒状体30における重合部30aを形成する。また、ベース接合部31a,31aは、後述する上方稜線形成部31k,31kの外側の領域に形成されている。
【0051】
接続部形成部31bは、ベース31における特定方向と略直交する方向(Y軸方向)の一端側に設けられており、ベース31が筒状体30に形成されたときに接続部30bを形成する。
【0052】
吸込部形成部31cは、ベース31におけるY軸方向の他端側に設けられており、ベース31が筒状体30に形成されたときに吸込部30cを形成する。この吸込部形成部31cは、補強部形成片41を接続する補強部形成片接続部31d,31dと、逆止弁形成片51を接続する逆止弁形成片接続部31gと、逆止弁規制部形成片61を接続する逆止弁規制部形成片接続部31hとを含む。さらに各補強部形成片接続部31d,31dは、後述する第1補強部形成片41aと接続する第1補強部形成片接続部31eと、後述する第2補強部形成片41eと接続する第2補強部形成片接続部31fとを有する。なお、本実施形態では、補強部形成片接続部31d,31dは、逆止弁形成片接続部31gを挟んで対称な2箇所に形成されている。
【0053】
複数の稜線形成部31j,31j…は、それぞれが接続部形成部31bと吸込部形成部31cとを結ぶ方向に延びる形状を有し、互いにX軸方向に離間して配置されている。そして、ベース31が筒状体30に形成されたときに、複数の稜線形成部31j,31j…の部分が外側に凸となるように折り曲げられることにより、複数の稜線30j,30jを形成する。この複数の稜線形成部31j,31j…は、上方稜線形成部31k,31kと、稜線形成案内部31m,31mと、第1稜線形成部31n及び第2稜線形成部31qとを含む。なお、本実施形態では上方稜線形成部31k,31kと稜線形成案内部31m,31mとは、ベース31にそれぞれ2箇所ずつ形成されている。
【0054】
各上方稜線形成部31k,31kは、吸込部形成部31c側の端部を始点とし、終点が接続部形成部31bへ至らない寸法に形成されている。また、この上方稜線形成部31k,31kは、複数の稜線形成部31j,31j…において最もベース接合部31a,31a寄りに形成されている。
【0055】
各稜線形成案内部31m,31mは、吸込部形成部31c側の端部を始点とし、終点が接続部形成部31bへ至らない寸法に形成されている。また、この稜線形成案内部31m,31mは、ベース31の中央に形成された逆止弁形成片接続部31gのX軸方向の両端に形成されている。
【0056】
第1稜線形成部31n及び第2稜線形成部31qは、吸込部形成部31c側の端部から接続部形成部31b側の端部に至る寸法に形成されている。また、この第1稜線形成部31n及び第2稜線形成部31qは、それぞれが上方稜線形成部31k,31kと稜線形成案内部31m,31mとの間に形成されている。さらに、第1稜線形成部31n及び第2稜線形成部31qは、逆止弁規制部形成片接続部31hが設けられている側に位置する一方のベース接合部31aが、他方のベース接合部31aに近づくように当該第1稜線形成部31nの部分でベース31が略180度折り曲げられ、他方のベース接合部31aが一方のベース接合部31aに近づくように当該第2稜線形成部31qの部分でベース31が略180度折り曲げられることにより、ベース接合部31a,31a同士が重なる位置に形成されている。
【0057】
複数個の穴形成部31r,31r…は、第1稜線形成部31nと一方の稜線形成案内部31mとの間、各稜線形成案内部31m,31mの間及び他方の稜線形成案内部31mと第2稜線形成部31qとの間の3箇所に形成されている。
【0058】
補強部形成片41,41は、吸込部形成部31cにおける補強部形成片接続部31d,31dから延びるようにベース31に一体的に設けられており、板状部材21が本体20に形成されたときに当該本体20における補強部40,40を形成する。各補強部形成片41,41は、第1補強部形成片接続部31e,31eから延びるようにベース31に一体的に設けられた第1補強部形成片41a,41aと、第2補強部形成片接続部31f,31fから延びるようにベース31に一体的に設けられた第2補強部形成片41e,41eとを有する。そして、ベース31は、第1補強部形成片41a,41aが第1補強部形成片接続部31e,31eとの境界部分で折り曲げられることにより、本体20における第1補強部折曲部40b,40bを形成する第1補強部形成片折曲部41b,41bと、第2補強部形成片41e,41eが第2補強部形成片接続部31f,31fとの境界部分で折り曲げられることにより、本体20における第2補強部折曲部40f,40fを形成する第2補強部形成片折曲部41f,41fとを有している。
【0059】
各第1補強部形成片41a,41aは、第1補強部形成片41a,41a及び第2補強部形成片41e,41eがそれぞれ第1補強部形成片折曲部41b,41b及び第2補強部形成片折曲部41f,41fの部分で折り曲げられ、かつ、ベース31から筒状体30が形成されたときに、隣接する第2補強部形成片41e,41eの一部と重なる第1補強部形成片接合部41c,41cを有しており、各第2補強部形成片41e,41eは、第1補強部形成片接合部41c,41cと対応する位置に第2補強部形成片接合部41g,41gを有している。また、第1補強部形成片41a,41aは、第2補強部形成片41e,41eと接合されて補強部40を形成したときの当該補強部40を折り曲げ可能とする補強部折曲部40dを形成する第1補強部形成片接合部折曲部41d,41dを有している。第1補強部形成片41a,41a及び第2補強部形成片41e,41eは、それぞれ第1補強部形成片折曲部41b,41b及び第2補強部形成片折曲部41f,41fの部分で折り曲げられるとともにベース接合部31a,31a同士が接合され、第1補強部形成片接合部41c,41cと第2補強部形成片接合部41g,41gとが接合されることにより補強部40,40を形成する。
【0060】
逆止弁形成片51は、吸込部形成部31cにおける逆止弁形成片接続部31gから延びるようにベース31に一体的に設けられており、板状部材21が本体20に形成されたときに当該本体20における逆止弁50を形成する。この逆止弁形成片51は、逆止弁形成片接続部31gとつながっており逆止弁50における基部50aを形成する基部形成部51aと、この基部形成部51aとつながっており逆止弁50における可動部50bを形成する略矩形状の可動部形成部51bとを有している。そして、ベース31は、逆止弁形成片51が逆止弁形成片接続部31gとの境界部分で折り曲げられることにより、本体20における逆止弁折曲部50cを形成する逆止弁形成片折曲部51cを有している。また、逆止弁形成片51は、基部形成部51aと可動部形成部51bとの境界部分に、基部形成部51aに対して可動部形成部51bが折り曲げられることにより可動部折曲部50dを形成する可動部形成部折曲部51dを有している。逆止弁形成片51は、逆止弁形成片折曲部51cの部分で折り曲げられることにより逆止弁50を形成する。
【0061】
逆止弁規制部形成片61は、吸込部形成部31cにおける逆止弁規制部形成片接続部31hから延びるようにベース31に一体的に設けられており、板状部材21が本体20に形成されたときに当該本体20における逆止弁規制部60を形成する。この逆止弁規制部形成片61は、逆止弁規制部形成片接続部31hとつながっており逆止弁規制部60における可動部規制部60aを形成する可動部規制部形成部61aと、この可動部規制部形成部61aとつながっており逆止弁規制部60における起立部60dを形成する起立部形成部61dと、この起立部形成部61dとつながっており逆止弁規制部60における起立補助部60g,60gを形成する起立補助部形成部61g,61gとを有している。そして、ベース31は、逆止弁規制部形成片61が逆止弁規制部形成片接続部31hとの境界部分で折り曲げられることにより、本体20における逆止弁規制部折曲部60eを形成する逆止弁規制部形成片折曲部61eを有している。また、逆止弁規制部形成片61は、可動部規制部形成部61aと起立部形成部61dとの境界部分に、可動部規制部形成部61aに対して起立部形成部61dが折り曲げられることにより起立部折曲部60fを形成する起立部形成部折曲部61fと、起立部形成部61dと各起立補助部形成部61g,61gとの境界部分に、起立部形成部61dに対して各起立補助部形成部61hが折り曲げられることにより起立補助部折曲部60hを形成する起立補助部形成部折曲部61hを有している。
【0062】
可動部規制部形成部61aは、可動部規制部60aにおける吸込口60bを形成する吸込口形成部61bと、吸込口画定部60cを形成する吸込口画定部形成部61cとを有している。起立補助部形成部61g,61gは、起立部形成部61dにおける起立部形成部折曲部61fの延びる方向と同方向の両端につながっている。逆止弁規制部形成片61は、逆止弁規制部形成片折曲部61eの部分で折り曲げられることにより逆止弁規制部60を形成する。
【0063】
捕集具形成部材71は、略台形状の第1不織布71aと、略台形状の第2不織布71eとが圧着されることにより形成されている。捕集具形成部材71は、第1不織布71aが
図7において紙面奥行き側に配置されるようにベース31に接合されている。第1不織布71aは、その下底部分における紙面奥行き側に位置してベース31と接合される下方接合部形成部71bと、その紙面奥行き側に位置して上底部分と下底部分とを結ぶ方向に延びる形状を有する補強用接合部形成部71cと、下方接合部形成部71bを除く周縁部分に形成された第1圧着部71dとを有している。第2不織布71eは、その下底部分における紙面手前側に位置してベース31と接合される上方接合部形成部71fと、この上方接合部形成部71fを除く周縁部分に形成された第2圧着部71gとを有している。そして、第1圧着部71dと第2圧着部71gとが圧着されることにより、捕集部70hを形成する捕集部形成部71hを有する捕集具形成部材71が形成されている。
【0064】
下方接合部形成部71bは、ベース31における第1補強部形成片折曲部41b,41b及び逆止弁形成片折曲部51cが位置する部分と複数個の穴形成部31r,31r…が位置する部分との間の部分に接合されている。補強用接合部形成部71cは、複数個の穴形成部31r,31r…における中央に位置する穴形成部31rが形成された部分と接続部形成部31b側の端部との間の部分に接合されている。上方接合部形成部71fは、接続部形成部31b側の端部と吸込部形成部31c側の端部との間における略中央部分に位置するように形成されている。そして、下方接合部形成部71bと上方接合部形成部71fとで開口を形成する開口形成部を構成する。
【0065】
次に、吸込具形成部材11を用いて吸込具構成部材10′及び吸込具10を製造する工程を説明する。
【0066】
まず、捕集具形成部材71における下方接合部形成部71b及び補強用接合部形成部71cをそれぞれベース31の所定位置に接合し、上方接合部形成部71fに接着剤や両面テープ等の接合材を設ける。そして、逆止弁形成片51を当該逆止弁形成片51が第1不織布70a上に重なるように、逆止弁形成片接続部31gとの境界部分で略180度折り曲げる。なお、この状態で、逆止弁形成片51は第2不織布71eと重ならない寸法に形成されている。
【0067】
次いで、逆止弁規制部形成片61を逆止弁規制部形成片接続部31hとの境界部分で略180度折り曲げた後、起立部形成部61dを可動部規制部形成部61aとの境界部分で略180度折り返す。そして、各第1補強部形成片41a,41aを各第1補強部形成片接続部31e,31eとの境界部分で略180度折り曲げた後、各第1補強部形成片接合部41c,41cを第1補強部形成片接合部折曲部41d,41dの部分で略180度折り返す。続いて、各第2補強部形成片41e,41eを第2補強部形成片接続部31f,31fとの境界部分で略180度折り曲げる。
【0068】
そして、各第1補強部形成片接合部41c,41cにおける各第2補強部形成片接合部41g,41gと当接する部分及び起立部形成部61dにおける基部50aと当接する部分にそれぞれ接着剤や両面テープ等の接合材を設ける。
【0069】
次に、逆止弁規制部形成片61が接続されている側の一方のベース接合部31aが、他方のベース接合部31aに近づくように第1稜線形成部31nの部分でベース31を略180度折り曲げる。このとき、一方の第1補強部形成片接合部41cとそれと対応する第2補強部形成片接合部41gとが接合され、起立部形成部61dと基部50aとが接合され、さらに、上方接合部形成部71fの一部とそれと対応する部分のベース31とが接合される。
【0070】
続いて、一方のベース接合部31aにおける他方のベース接合部31aとの接合部分に接合材を設け、他方のベース接合部31aが一方のベース接合部31aに近づくように第2稜線形成部31qの部分でベース31を略180度折り曲げる。この際、可動部規制部形成部61aが他方の第2補強部形成片41eとベース31との間に入り込むようにしながら折り曲げる。このとき、他方の第1補強部形成片接合部41cとそれと対応する第2補強部形成片接合部41gとが接合され、ベース接合部31a,31a同士が接合され、さらに、上方接合部形成部71fの残りの部分とそれと対応する部分のベース31とが接合される。
【0071】
以上の工程により、ベース31から吸込具構成部材10′が形成される。
【0072】
引き続いて、この吸込具構成部材10′における第1稜線30n及び第2稜線30qの部分のなす角が増加するように、すなわち、逆止弁接続部30gと逆止弁規制部接続部30hとが互いにZ軸方向に沿って離間するように変位させることにより、補強部折曲部40d及び起立部折曲部60fの谷折り状態が解消して吸込具構成部材10′から吸込具10が形成される。
【0073】
次に、
図8に基づいて、吸込具10と吸引パイプPとの接続状態を説明する。
【0074】
吸込具10における接続部30b側の端部の径は、吸引パイプPの先端の径よりも小さいため、吸込具10は、接続部30b側の端部が吸引パイプPの内側に入り込むようにして吸引パイプPと接続されている。この状態において、吸込具10における複数の稜線30j,30j…のすべてが、吸引パイプPの先端の内周面に接触している。また、接続部30bが多角形状であり吸引パイプPの先端部分が円形であるため、接続部30bと吸引パイプPの先端部分との間には、所定のクリアランスCが形成されている。また、吸引パイプPの先端部分は、複数個の穴30r,30r…の位置よりも接続部30b側の端部寄りに位置している。
【0075】
続いて、
図9に基づいて、吸込具10の使用状態を説明する。
【0076】
図9は、吸込具10の接続部30bが吸引パイプPの先端と接続されて吸込部30cが床面に当接され、掃除機による吸い込みがなされているときの側面図である。なお、この図では、逆止弁50が見えるように一部破断面としており、また、掃除機による吸い込みがなされていないときの逆止弁50における可動部50bの状態を二点鎖線で示している。
図9に示すように、吸込具10における吸込部30cが床面に当接された状態では、吸込具10は床面に対して傾斜する姿勢となる。このとき、重合部30aが傾斜姿勢の筒状体30において上方に位置している。そして、この傾斜姿勢の筒状体30において下方に位置する部分の吸込部30c側の端部に逆止弁50が接続されている。
【0077】
図9に示すように、掃除機による吸い込み中の可動部50bは、可動部折曲部50dの部分で折れ曲がっており、その先端部分が傾斜した筒状体30において下方に位置する部分の内面に近接している。すなわち、可動部50bは、吸込口60bからの吸い込みを許容する許容位置に位置している。そして、掃除機による吸い込みを停止すると、可動部50bは、
図9において二点鎖線で示した位置、すなわち、吸込口60bを閉塞する閉塞位置に向かって変位する。ここで、掃除機による吸い込みを停止した際に可動部50bが閉塞位置に変位し切らなかったとしても、吸い込んだ捕集物が傾斜姿勢の筒状体30における下方に位置する部分の内面を伝って吸込部30c側へ向かって落下するので、可動部50bは、その落下してきた捕集物により閉塞位置に向けて内側から押されることにより閉塞位置に位置するように変位する。
【0078】
以上のように、本実施形態の吸込具形成部材11は、ベース接合部31a,31a同士が接合されて筒状体30が形成されたとき、捕集具70における捕集部70hの終端が筒状体30の接続部30b側の端部から外部に露出した吸込具10が形成される。この吸込具10により吸い込まれた捕集物は捕集部70hに集積するが、捕集部70hの終端が接続部30b側の端部から外部に露出しているため、この終端部分に目詰まりが生じても、筒状体30の吸込部30cから吸い込まれた空気は、捕集部70hにおける接続部30b側の端部から外部に露出している部分のうち、捕集物が集積していない部分、すなわち、捕集具70の目詰まりが生じていない部分を通して吸引パイプPへ流れる。つまり、捕集部70hの終端が接続部30b側の端部から外部に露出していることにより、筒状体30の吸込部30cから捕集具70を介して吸引パイプPへと至る気流を確保することができる。その結果、捕集具70の終端に目詰まりが生じた直後に吸込具10内が陰圧となって当該吸込具10が潰れるということを抑制することができる。よって、この吸込具形成部材11によれば、害虫の捕獲に加えて砂やほこり等を捕集することができ、また、その内部が陰圧となることを抑制することのできる吸込具10を形成することができる。
【0079】
また、本実施形態の捕集具形成部材71は、ベース接合部31a,31a同士の接合により捕集具70が形成されたときの当該捕集具70が最大外径となった状態における当該捕集具70の外周面と、筒状体30の内周面との間に隙間Sが形成される形状を有している。したがって、捕集具70に、捕集部70hにおける接続部30b側の端部から露出している部分に集積することのできる量を越えて筒状体30の内側の領域に至る量の捕集物が集積したとしても、隙間Sを介して筒状体30の吸込部30cから吸引パイプPへと至る気流を確保することができる。その結果、吸込具10の内部が陰圧となることが一層抑制される。よって、この吸込具形成部材11によれば、その内部が陰圧となることを一層抑制することのできる吸込具10を形成することができる。
【0080】
また、本実施形態の板状部材21によれば、ベース接合部31a,31a同士が接合されたとき、外側に凸となった稜線30jを形成するようにベース31の折り曲げを誘導する稜線形成部31jをそれぞれ折り曲げることにより、周方向に互いに離間した複数の稜線30j,30j…を有する筒状体30が形成される。そして、この筒状体30の一端に形成された接続部30bと掃除機の吸引パイプPとが接続されると、複数の稜線30j,30j…は、吸引パイプPの先端の内周面とそれぞれ接触する。これら稜線31jの部分は、接続部30bと吸込部30cとを結ぶ方向に延びており、かつ、外側に凸となるように折り曲げられていることにより、単にベース31が円柱状に丸められた場合に比べて高い剛性をもつ。そのため、各稜線31j,31j…が形成された部分が、吸引パイプPの先端と接続部30bとの接触部分に集中する荷重を分担することができる。よって、本実施形態の板状部材21によれば、使用時における吸引パイプPとの接続部30bの変形を抑制し、効率良く清掃作業を行うことができる吸込具10を形成することができる。
【0081】
また、本実施形態の板状部材21は、ベース接合部31a,31a同士が接合されたとき、そのベース接合部31a,31a同士の重なった部分である重合部30aの周方向の両端に上方稜線30k,30kを有した筒状体30が形成される。この重合部30aは、筒状体30におけるその他の部分に比べて高い剛性をもつ。よって、この板状部材21によれば、使用時における接続部30bの変形をさらに抑制することができる吸込具10を形成することができる。
【0082】
また、本実施形態の板状部材21は、各稜線形成部31j,31j…を折り曲げることにより複数の稜線30j,30j…が形成された筒状体30の接続部30bにおける吸引パイプPの先端との接触部分は、その断面が多角形となるので、その接触部分における全ての領域で高い剛性をもつ。よって、この板状部材21によれば、使用時に吸引パイプPから接続部30bに対してどの方向からの集中的な荷重が加わったとしても、この接続部30bの変形を抑制することができる吸込具10を形成することができる。
【0083】
また、本実施形態の板状部材21は、ベース接合部31a,31a同士が近づくように第1稜線形成部31n及び第2稜線形成部31qの部分でベース31をそれぞれ略180度ずつ折り曲げることにより、ベース31はベース接合部31a,31a同士が重なるように折り畳まれるので、あとはその重なった部分同士を接合するという簡易な作業で、筒状体30を形成することができる。よって、本実施形態の板状部材21によれば、吸込具10の形成が容易となる。そして、ベース接合部31a,31a同士の重なった部分同士を接合することにより、吸込具構成部材10′が形成される。
【0084】
また、本実施形態の板状部材21から構成される吸込具構成部材10′は、筒状体が平坦化されており嵩張ることのない第1状態と、筒状体内に所定の空間が形成されており使用可能な第2状態との間を切り替え可能であるので、収納時や輸送時には第1状態とし使用時には第2状態とするというように、状況に応じてその形態を変更することができる。
【0085】
また、本実施形態の板状部材21は、ベース31の第1補強部形成片接続部31e,31e及び第2補強部形成片接続部31f,31fから延びるように当該ベース31と一体成形された第1補強部形成片41a,41a及び第2補強部形成片41e,41eを有しており、これら第1補強部形成片41a,41a及び第2補強部形成片41e,41eは、第1補強部形成片接続部31e,31e及び第2補強部形成片接続部31f,31fとの境界部分でそれぞれが折り曲げられ、かつ、ベース接合部31a,31a同士が接合されて筒状体30が形成されることにより互いに重なる部分、すなわち、第1補強部形成片接合部41c,41c及び第2補強部形成片接合部41g,41gを有している。よって、本実施形態の板状部材21によれば、第1補強部形成片41a,41a及び第2補強部形成片41e,41eを第1補強部形成片接続部31e,31e及び第2補強部形成片接続部31f,31fとの境界部分で折り曲げ、かつ、ベース接合部31a,31a同士を接合させて筒状体30を形成すれば、第1補強部形成片接合部41c,41cと第2補強部形成片接合部41g,41gとが互いに重なる状態となるので、あとはこの重なった部分を接合するという簡易な作業で、吸込部10を補強する補強部40の形成が可能な吸込具を形成することができる。
【0086】
また、本実施形態の板状部材21の第1補強部形成片41a,41aは、補強部40を形成したときの当該補強部40を折曲可能とする補強部折曲部40dを形成する補強部折曲部形成部41dを有しているので、第1補強部形成片41a及び第2補強部形成辺41eを接合して補強部40を形成した後であっても、補強部折曲部40dで折り曲げることができるので、薄型化が可能な吸込具10を形成することができる。
【0087】
また、本実施形態の吸込具10は、ベース31の逆止弁形成片接続部31gから延びる逆止弁形成片51を有しているので、この逆止弁形成片51を逆止弁形成片接続部31gとの境界部分で内側に折り曲げるという簡易な作業で、許容位置と閉塞位置との間を移動可能な逆止弁50を有する吸込具10を形成することができる。よって、この実施形態の板状部材21によれば、筒状体とは別体の逆止弁を用いて吸込具を製造する場合と比べて、逆止弁を形成するための製造工程を簡略化することができ、かつ、製造コストを低く抑えることのできる吸込具を形成することができる。
【0088】
また、本実施形態の板状部材21は、ベース接合部31a同士が接合されたときの逆止弁接続部30gの周方向の両端に位置しており外側に凸となった下方稜線30m,30mを形成する一対の稜線形成案内部31m,31mを有しているので、筒状体30が形成されたときにこの部分を折り曲げることにより、一対の稜線30m,30mの間の部分、すなわち、逆止弁接続部30gの剛性を高くすることができる。よって、この板状部材21によれば、逆止弁折曲部50cを直線状に維持しやすくなる吸込具10を形成することができる。
【0089】
また、本実施形態の板状部材21は、ベース接合部31a,31a同士の接合により形成された筒状体30の吸込部30cが床面に当接された状態において、当該筒状体30が傾斜する姿勢となる。そして、逆止弁50は、傾斜姿勢の筒状体30における下方に位置する部分の吸込部30c側に位置する逆止弁接続部30gから延びるように設けられているため、掃除機による吸い込みを停止した際に逆止弁50が閉塞位置に変位し切らなかったとしても、吸い込んだ捕集物が傾斜姿勢の筒状体30における下方に位置する部分の内面を伝って吸込部30c側へ向かって落下するので、逆止弁50は、その落下してきた捕集物により閉塞位置に向けて内側から押されることにより閉塞位置に位置するように変位する。よって、この板状部材21によれば、一旦吸込んだ捕集物が吸込具10の外に出ることをさらに抑制することが可能な吸込具10を形成することができる。
【0090】
また、本実施形態の板状部材21は、吸込部形成部31cにおける逆止弁規制部形成片接続部31hから延びる逆止弁規制部形成片61を有しているので、この逆止弁規制部形成片61を逆止弁規制部形成片接続部31hとの境界部分で内側に折り曲げるという簡易な作業で、逆止弁規制部60を有する吸込具10を形成することができる。この逆止弁規制部60は、一旦吸込んだ捕集物が逆止弁50を閉塞位置から外側に突出する方向に押したとしても、逆止弁50のその突出を規制する。よって、この板状部材21によれば、一旦吸込んだ捕集物が吸込具10の外に出ることをより一層抑制することが可能な吸込具10を形成することができる。
【0091】
さらに、本実施形態の吸込具10は、第1補強部40aと第2補強部40eとが互いに接合されているため、吸込部30cの形状を変形させるような外力が作用したとしても、この補強部同士が相対的に変位せず、その結果、吸込部30cの形状を維持することができる。
【0092】
また、本実施形態のベース31は、筒状体30の複数個の穴30r,30r…を形成する複数個の穴形成部31r,31r…を有しているので、吸込具10の使用時に吸込部30cが閉塞したとしても、この穴30r,30r…を介して吸込具10外から吸込具10内を通って吸引パイプPへと至る気流が確保される。よって、吸込具10内が陰圧となって当該吸込具10が潰れることを防止することができる。
【0093】
また、第1不織布70aの下方接合部形成部71bが、第1補強部形成片折曲部41b,41b及び逆止弁形成片折曲部51cが位置する部分と複数個の穴形成部31r,31r…が位置する部分との間の部分に接合されているので、ベース接合部31a,31a同士の接合により筒状体30が形成された状態においては、一旦吸い込んだ捕集物が穴30r,30r…から吸込具10外にこぼれ出ることを防止することができる。
【0094】
また、本実施形態の吸込具構成部材10′は、第1状態から第2状態へと切り替えると、逆止弁50が自ずと起立して閉塞位置に変位する。よって、この板状部材21によれば、吸込具10の形成が容易な吸込具構成部材10′を形成することができる。
【0095】
また、逆止弁規制部60は起立補助部60g,60gを有しているので、吸込具構成部材10′が第1状態から第2状態へ切り替わる際に、滑らかに起立部60dを起立させることができる。
【0096】
また、本実施形態の筒状体30は、吸込部30cから接続部30bへ向けて縮径しているので、様々な径の吸引パイプに対し、稜線30j,30j…が接触するように接続することができる。
【0097】
ところで、本実施形態の吸込具形成部材11は、上記課題を解決することに加え、その使用時に捕集具の筒状体からの離脱を抑制することのできる吸込具を形成するための吸込具形成部材を提供することを目的としている。
【0098】
なお、上記特許文献1には、一端に接続口を有し他端に吸込口を有する筒状のノズルと、このノズル内に固定されており吸込口側に開口を有し接続口側に捕集部を有する袋状の網と、捕獲した害虫を固定する粘着部材とを備える吸込具が開示されている。そして、網は、その端部が粘着部材とノズルとの間に挟み込まれて固定されることが記載されている。
【0099】
この特許文献1に記載されるような捕集具を有する吸込具は、網に捕集された捕集物を含めて当該捕集具を廃棄することが前提であることから、その使用時に捕集具が筒状体から離脱することのないように当該筒状体に固定されていることが望まれる。しかしながら、上記特許文献1に記載された吸込具における網は、その端部が粘着部材とノズルとの間に挟み込まれて当該部分のみでノズルに固定される構造であるから、掃除機の吸引力が大きい場合や、捕集物の集積量が多くなった場合等、ノズルに固定されている網の端部に過大な力が作用した際に網がノズルから離脱し、吸引パイプを通って掃除機内に吸い込まれる虞があった。
【0100】
本実施形態の吸込具形成部材11では、吸込具形成部材71における開口形成部に加え、補強用接合部を設けることによりこの課題をも解決している。補強用接合部は、開口形成部、すなわち、上方接合部形成部71f及び下方接合部形成部71bとは異なる部分においてベースに接合される部分である。具体的に、上記実施形態では、補強用接合部71cは、第1不織布71aにおける上底部分と下底部分とを結ぶ方向に延びる形状を有する。このようにすれば、捕集具形成部材71とベース31との接合部分が多く確保されるので、捕集具70の筒状体30からの離脱を抑制することができる。
【0101】
そして、捕集具70の筒状体30からの離脱を抑制するために捕集具形成部材71に補強用接合部71cを設けることと、吸込具10の内部が陰圧となることを抑制するために捕集具70を形成する捕集具形成部材71の寸法を規定することとは、技術的に一体不可分な関係ではないため、本実施形態の吸込具形成部材11は、捕集具形成部材71の寸法の特定を伴わず、補強用接合部を有する吸込具10が形成されるものであってもよい。
【0102】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0103】
例えば、上記実施形態では、第1不織布71aにおける補強用接合部71cは、Y軸方向に延びる形状でなく、X軸方向に延びる形状であってもよい。さらに、この補強用接合部71cを設ける部分としては、下方接合部70bと接続部形成部31b側の端部との間であって、Y軸方向成分を有していればいずれの部分であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、接続部30bが多角形状である例について示したが、多角形状に限らず円形等であってもよく、その外形は問わない。
【0105】
また、上記実施形態では、逆止弁50は、可動部折曲部50dを支点として可動部50bが許容位置と閉塞位置との間を移動する例について示したが、基部50aを省略し、可動部が逆止弁折曲部50cを支点として許容位置と閉塞位置との間を移動する構成としてもよい。
【0106】
また、逆止弁形成片51と逆止弁規制部形成片61とは、吸込部形成部31cにおいて互いに逆の接続部に接続された構成であってもよい。つまり、逆止弁形成片51が吸込部形成部31cにおけるX軸方向の一端側に接続されており、逆止弁規制部形成片61が吸込部形成部31cにおけるX軸方向の中央部分に接続された構成であってもよい。