(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示すように、塗布・現像装置1は、露光装置E1による露光処理の前に、ウェハ(基板)の表面にレジスト剤を塗布してレジスト膜を形成する処理を行い、露光装置E1による露光処理の後に、レジスト膜の現像処理を行う。
図1及び
図2に示すように、塗布・現像装置1は、キャリアブロックS1と、キャリアブロックS1に隣接する処理ブロックS2と、処理ブロックS2に隣接するインターフェースブロックS3とを備える。以下、塗布・現像装置1の説明における「前後左右」は、インターフェースブロックS3側を前側、キャリアブロックS1側を後側とした方向を意味するものとする。
【0017】
キャリアブロックS1は、キャリアステーション12と、搬入・搬出部13とを有する。キャリアステーション12は、複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、複数枚のウェハWを密封状態で収容し、ウェハWを出し入れするための開閉扉(不図示)を一側面11a側に有する。キャリア11は、側面11aが搬入・搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0018】
搬入・搬出部13は、キャリアステーション12上の複数のキャリア11にそれぞれ対応する複数の開閉扉13aを有する。側面11aの開閉扉と開閉扉13aとを同時に開放することで、キャリア11内と搬入・搬出部13内とが連通する。搬入・搬出部13は受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウェハWを取り出して処理ブロックS2に渡し、処理ブロックS2からウェハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0019】
処理ブロックS2は、下層反射防止膜形成(BCT)ブロック14と、レジスト膜形成(COT)ブロック15と、上層反射防止膜形成(TCT)ブロック16と、現像処理(DEV)ブロック17とを有する。これらのブロックは、床面側からDEVブロック17、BCTブロック14、COTブロック15、TCTブロック16の順に積層されている。
【0020】
BCTブロック14は、塗布ユニット(不図示)と、加熱・冷却ユニット(不図示)と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA2とを内蔵している。塗布ユニットは、反射防止膜形成用の薬液をウェハWの表面に塗布する。加熱・冷却ユニットは、例えば熱板によりウェハWを加熱して薬液を加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却することで、薬液の硬化等のための熱処理を行う。
【0021】
COTブロック15は、塗布ユニット(不図示)と、加熱・冷却ユニット(不図示)と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。塗布ユニットは、レジスト膜形成用の薬液(レジスト剤)を下層反射防止膜の上に塗布する。加熱・冷却ユニットは、例えば熱板によりウェハWを加熱してレジスト剤を加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却することで、レジスト剤の硬化等のための熱処理を行う。レジスト剤は、ポジ型であってもネガ型であってもよい。
【0022】
TCTブロック16は、塗布ユニット(不図示)と、加熱・冷却ユニット(不図示)と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。塗布ユニットは、反射防止膜形成用の薬液をレジスト膜の上に塗布する。加熱・冷却ユニットは、例えば熱板によりウェハWを加熱して薬液を加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却することで、薬液の硬化等のための熱処理を行う。
【0023】
図3に示すように、DEVブロック17は、複数の現像処理ユニット(基板液処理装置)U1と、複数の加熱・冷却ユニット(熱処理部)U2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずに処理ブロックS2の前後間でウェハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している。
【0024】
現像処理ユニットU1は、後述するように、露光されたレジスト膜の現像処理を行う。加熱・冷却ユニットU2は、例えば熱板によりウェハWを加熱することでレジスト膜を加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却する。加熱・冷却ユニットU2は、ポストエクスポージャベーク(PEB)、ポストベーク(PB)等の加熱処理を行う。PEBは、現像処理前にレジスト膜を加熱する処理である。PBは、現像処理後にレジスト膜を加熱する処理である。
【0025】
処理ブロックS2の後側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面からTCTブロック16に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルC30〜C38に区画されている。棚ユニットU10の近傍には、昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、セルC30〜C38間でウェハWを搬送する。処理ブロックS2の前側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、床面からDEVブロック17の上部に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルC40〜C42に区画されている。
【0026】
インターフェースブロックS3は、露光装置E1に接続される。インターフェースブロックS3は、受け渡しアームA8を内蔵している。受け渡しアームA8は、処理ブロックS2の棚ユニットU11から露光装置E1にウェハWを渡し、露光装置E1からウェハWを受け取り棚ユニットU11に戻す。
【0027】
このような塗布・現像装置1では、まずキャリア11がキャリアステーション12に設置される。このとき、キャリア11の一側面11aは搬入・搬出部13の開閉扉13aに向けられる。次に、キャリア11の開閉扉と搬入・搬出部13の開閉扉13aとが共に開放され、受け渡しアームA1により、キャリア11内のウェハWが取り出され、処理ブロックS2の棚ユニットU10のいずれかのセルに順次搬送される。
【0028】
受け渡しアームA1により棚ユニットU10のいずれかのセルに搬送されたウェハWは、昇降アームA7により、BCTブロック14に対応するセルC33に順次搬送される。セルC33に搬送されたウェハWは、搬送アームA2によってBCTブロック14内の各ユニットに搬送され、このウェハWの表面上に下層反射防止膜が形成される。
【0029】
下層反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA2によってセルC33の上のセルC34に搬送される。セルC34に搬送されたウェハWは、昇降アームA7によって、COTブロック15に対応するセルC35に搬送される。セルC35に搬送されたウェハWは、搬送アームA3によりCOTブロック15内の各ユニットに搬送され、このウェハWの下層反射防止膜の上にレジスト膜が形成される。
【0030】
レジスト膜が形成されたウェハWは、搬送アームA3によってセルC35の上のセルC36に搬送される。セルC36に搬送されたウェハWは、昇降アームA7によって、TCTブロック16に対応するセルC37に搬送される。セルC37に搬送されたウェハWは、搬送アームA4によってTCTブロック16内の各ユニットに搬送され、このウェハWのレジスト膜の上に上層反射防止膜が形成される。
【0031】
上層反射防止膜が形成されたウェハWは、搬送アームA4によってセルC37の上のセルC38に搬送される。セルC38に搬送されたウェハWは、昇降アームA7によって直接搬送アームA6に対応するセルC32に搬送され、直接搬送アームA6によって棚ユニットU11のセルC42に搬送される。セルC42に搬送されたウェハWは、インターフェースブロックS3の受け渡しアームA8により露光装置E1に渡され、露光装置E1においてレジスト膜の露光処理が行われる。露光処理後のウェハWは、受け渡しアームA8によりセルC42の下のセルC40,C41に搬送される。
【0032】
セルC40,C41に搬送されたウェハWは、搬送アームA5により、DEVブロック17内の各ユニットに搬送され、現像処理が行われる。これにより、ウェハWの表面上にレジストパターンが形成される。レジストパターンが形成されたウェハWは、搬送アームA5によって棚ユニットU10のうちDEVブロック17に対応したセルC30,C31に搬送される。セルC30,C31に搬送されたウェハWは、昇降アームA7によって、受け渡しアームA1がアクセス可能なセルに搬送され、受け渡しアームA1によって、キャリア11内に戻される。
【0033】
なお、塗布・現像装置1の構成は一例に過ぎずない。塗布・現像装置は、塗布ユニットや現像処理ユニット等の液処理ユニットと、加熱・冷却ユニット等の前処理・後処理ユニットと、搬送装置とを備えるものであればよく、これら各ユニットの個数や種類、レイアウト等は適宜変更可能である。
【0034】
続いて、現像処理ユニット(基板液処理装置)U1について更に詳細に説明する。
図4に示すように、現像処理ユニットU1は、基板回転機構20と、昇降装置22と、現像液供給機構(処理液供給機構)23と、リンス液供給機構(処理液供給機構)24と、カップ30と、排気機構42と、制御部27とを備える。
【0035】
基板回転機構20は、電動モータ等の動力源を内蔵した本体部20aと、本体部20aから鉛直上方に突出する回転軸20bと、回転軸20bの先端部に設けられたチャック20cとを有する。本体部20aは、動力源により回転軸20b及びチャック20cを回転させる。チャック20cは、略水平に配置されたウェハWの中心部を支持し、例えば吸着により保持する。すなわち、基板回転機構20は、ウェハWを水平に保持し、鉛直な軸線を中心に回転させる。
【0036】
昇降装置22は、基板回転機構20に隣接するように設けられ、基板回転機構20を昇降させる。これにより、ウェハWの受け渡しを行う受け渡し高さと、現像処理を行う現像高さとの間でチャック20cを昇降させることが可能となっている。
【0037】
図4及び
図5に示すように、現像液供給機構23は、現像液(処理液)の供給源23aと、現像液ノズル23cと、移動体23dとを有し、ウェハWの表面Waに現像液を供給する。供給源23aは、現像液の貯蔵容器、ポンプ及びバルブ等を有する。現像液ノズル23cは、供給管23bを介して供給源23aに接続され、供給源23aから供給された現像液を吐出する。移動体23dは、アーム23eを介して現像液ノズル23cに接続されている。移動体23dは、基板回転機構20の周囲に水平に設けられたガイドレール43に沿って移動することで、現像液ノズル23cを水平方向に移送する。現像液ノズル23cは、ガイドレール43の延在方向(図示右方向又は左方向)から見て、チャック20cの中心の上方に位置する。現像液ノズル23cの吐出孔h1は下方に開口する。吐出孔h1は、ガイドレール43の延在方向に沿ったスリット状を呈している。
【0038】
ウェハWの表面Waに現像液を供給する際には、移動体23dにより現像液ノズル23cが移送され、チャック20cに保持されたウェハWの上方に配置される。そして、供給源23aから供給された現像液が現像液ノズル23cから下方に吐出され、表面Waに供給される。
【0039】
リンス液供給機構24は、リンス液(処理液)の供給源24aと、リンス液ノズル24cと、移動体24dとを有し、ウェハWの表面Waにリンス液を供給する。リンス液は、例えば純水又はDIW(Deionized Water)等である。供給源24aは、リンス液の貯蔵容器、ポンプ及びバルブ等を有する。リンス液ノズル24cは、供給管24bを介して供給源24aに接続され、供給源24aから供給されたリンス液を吐出する。移動体24dは、アーム24eを介してリンス液ノズル24cに接続されている。移動体24dは、上記ガイドレール43に沿って移動することで、リンス液ノズル24cを水平方向に移送する。アーム24eに支持されたリンス液ノズル24cは、ガイドレール43の延在方向(図示右方向又は左方向)から見て、チャック20cの中心の上方に位置する。リンス液ノズル24cの吐出孔h2は下方に開口する。
【0040】
ウェハWの表面Waにリンス液を供給する際には、移動体24dによりリンス液ノズル24cが移送され、チャック20cに保持されたウェハWの上方に配置される。そして、供給源24aから供給されたリンス液がリンス液ノズル24cから下方に吐出され、表面Waに供給される。
【0041】
カップ30は、基板回転機構20に保持されたウェハWを収容する。すなわち、基板回転機構20はカップ30内に収容されたウェハWを保持する。なお、ガイドレール43はカップ30の外側に配置される。カップ30は、基板回転機構20を囲む円環形状の底板(底部)31と、底板31の外縁から鉛直上方に突出した円筒状の外壁32と、底板31の内縁から鉛直上方に突出した円筒状の内壁33とを有する。底板31は、チャック20cに保持されたウェハWの裏面Wbに対向する。
【0042】
外壁32の全部分は、チャック20cに保持されたウェハWの周縁Wcより外側に位置する。外壁32の上端部は開放され、吸気口32aを構成する。吸気口32aは、上記現像高さのチャック20cに保持されたウェハWより上方に位置する。外壁32の吸気口32a側の部分には、内側に傾いた傾斜壁部32bが形成されている。
【0043】
内壁33の全部分は、チャック20cに保持されたウェハWの周縁Wcより内側に位置する。内壁33の上端33aは、上記現像高さのチャック20cに保持されたウェハWより下方に位置する。
【0044】
内壁33と外壁32との間には、内壁33を囲むように底板31の上面から鉛直上方に突出した第1環状壁34が設けられている。第1環状壁34は、ウェハWの周縁Wcに沿うと共に、底板31からウェハW側に突出する。底板31のうち、外壁32と第1環状壁34との間の部分には、排液口31aが形成されており、排液口31aには排液管41が接続されている。底板31のうち、第1環状壁34と内壁33との間の部分には、排気口31bが形成されている。
【0045】
排気機構42は、本体部42aと排気ダクト42bとを有する。排気ダクト42bは、本体部42aと排気口31bとを接続する。本体部42aは、ポンプ及びフィルタ等(不図示)を有し、排気ダクト42b及び排気口31bを介してカップ30内の気体を吸引する。
【0046】
内壁33の上には、傘状部35が設けられている。傘状部35は、第1環状壁34とウェハWの裏面Wbとの間に位置すると共に、第1環状壁34より外側に張り出す。傘状部35の周縁部には、第2環状壁36が設けられている。第2環状壁36は、底板31側に突出して第1環状壁34を囲む。
【0047】
内壁33に囲まれる空間の上部は、蓋部材38により塞がれている。基板回転機構20の本体部20aは蓋部材38の下方に位置し、チャック20cは蓋部材38の上方に位置し、回転軸20bは蓋部材38を貫通している。
【0048】
カップ30内において、ウェハW上から落下した現像液又はリンス液は、傘状部35及び第2環状壁36により第1環状壁34の外側の領域P1に導かれる。領域P1に導かれた現像液又はリンス液は排液口31aから排液管41に排出される。
【0049】
カップ30の吸気口32aにはカップ30外の気体が進入する。吸気口32aに進入した気体は、傘状部35と傾斜壁部32bとの間及び外壁32と第2環状壁36との間を経て第1環状壁34の内側の領域P2に導かれる。領域P2に導かれた気体は排気口31bから排気ダクト42bに排出される。吸気口32aはウェハWの表面Wa側に形成され、排気口31bはウェハWの裏面Wb側に形成されているので、傘状部35と傾斜壁部32bとの間、外壁32と第2環状壁36との間、及び領域P2は、気体を表面Wa側から裏面Wb側に導く流路FPを構成する。流路FPは、ウェハWの周縁Wcに沿って形成される。
【0050】
ここで、
図6に示すように、排液口31a及び排気口31bは、それぞれ底板31の一箇所に形成されている。排気口31bは、ウェハWの周縁Wc寄りに位置し、周縁Wcの一部分に沿って円弧状に延びた形状を呈している。これに対応して、排気ダクト42bと排気口31bとの接続部も周縁Wcに沿って延びている。排気ダクト42bは、平面視において排気口31bの一端部から外壁32の外側に延出し、本体部42aに繋がっている。
【0051】
第2環状壁36の中心軸と内壁33の中心軸とは略一致している。一方、第1環状壁34の中心軸は、内壁33の中心軸に対して排気口31b側にずれている。これにより、第1環状壁34と第2環状壁36との間隔は排気口31bから離れるのに応じて大きくなっている。このため、排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗が小さくなっている。
【0052】
なお、第1環状壁34の中心軸と内壁33の中心軸とが略一致し、第2環状壁36の中心軸が内壁33の中心軸に対して排気口31bの逆側にずれていてもよい。第1環状壁34の中心軸が内壁33の中心軸に対して排気口31b側にずれると共に、第2環状壁36の中心軸が内壁33の中心軸に対して排気口31bの逆側にずれていてもよい。これらの場合も、第1環状壁34と第2環状壁36との間隔が排気口31bから離れるのに応じて大きくなるので、排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗が小さくなる。
【0053】
制御部27は、制御用のコンピュータであり、現像処理条件の設定画面を表示する表示部(不図示)と、現像処理条件を入力する入力部(不図示)と、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からプログラムを読み取る読取部(不図示)とを有する。記録媒体には、本実施形態に係る現像処理方法(基板処理方法)を現像処理ユニットU1に実行させるためのプログラムが記録されている。記録媒体としては、例えば、ハードディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク又はメモリカード等が挙げられる。制御部27は、入力部に入力された現像処理条件と、読取部により読み取られたプログラムとに応じて、基板回転機構20、昇降装置22、現像液供給機構23、リンス液供給機構24を制御し、現像処理を実行する。以下、制御部27の制御手順について説明する。
【0054】
まず、制御部27は、チャック20cを上記受け渡し高さまで上昇させるように昇降装置22を制御した状態で待機する。この状態で、上述した搬送アームA5により、ウェハWが現像処理ユニットU1内に搬入される。ウェハWにはレジスト膜Rが形成され、レジスト膜Rには露光装置E1により露光処理が施されている。ウェハWは、レジスト膜Rを上にした状態でチャック20c上に水平に配置される。ウェハWが配置されると、制御部27は、ウェハWを保持するようにチャック20cを制御し、チャック20cを上記現像高さまで下降させるように昇降装置22を制御する。
【0055】
次に制御部27は、
図7(a)に示すように、ウェハWを回転させるように基板回転機構20を制御する。これと共に、現像液ノズル23cをウェハWの外周から中心に向かって移動させながら、現像液ノズル23cから現像液L1を吐出するように現像液供給機構23を制御する。これにより、渦巻き状の線に沿って、ウェハWの表面Wa全体に現像液L1が供給され、
図7(b)に示すように、現像液L1のパドルが表面Wa上に形成される。ウェハWの回転を止めるように基板回転機構20を制御し、ウェハWを静止状態にする。この間に、レジスト膜Rの可用部分の溶解が進行する。
【0056】
次に制御部27は、現像液ノズル23cをウェハW上から退避させるように現像液供給機構23を制御し、代わりにリンス液ノズル24cをウェハWの中心の上方に移動させるようにリンス液供給機構24を制御する。この状態で、
図7(c)に示すように、ウェハWを回転させるように基板回転機構20を制御する。これと共に、リンス液ノズル24cからリンス液L2を吐出するようにリンス液供給機構24を制御する。これにより、ウェハWの表面Waにリンス液L2が供給される。現像液L1により溶解したレジスト膜Rの成分が現像液L1と共にリンス液L2に洗い流されることで、
図7(d)に示すようにレジストパターンRpが形成される。
【0057】
次に制御部27は、リンス液L2の供給を停止させるようにリンス液供給機構24を制御すると共に、その後もウェハWの回転を継続させるように基板回転機構20を制御する。これによりリンス液L2がウェハWの周囲に振り切られた後に、制御部27はウェハWの回転を止めるように基板回転機構20を制御する。以上で現像処理が完了する。
【0058】
現像処理中において、カップ30外の気体は、
図8に2点鎖線で示すように、吸気口32aを通ってカップ30内に導かれ、流路FPを通ってウェハWの表面Wa側から裏面Wb側に導かれ、排気口31bを通って排出される。流路FPはウェハWの周縁Wcに沿って形成されているので、表面Wa上には周縁Wcに向かう気流SFが形成される。この気流SFにより、揮発した現像液L1又はリンス液L2等が継続的に排出される。仮に、流路FPの通気抵抗がウェハWの周方向において均一であると、気体は排気口31bに近い流路FPを通り易くなる。表面Wa上では、排気口31bに近い流路FPに向かう気体の量が、排気口31bから遠い流路FPに向かう気体の量に比べ大きくなるので、通気流量のばらつきが生じる。これに対し、流路FPは、排気口31bから離れるのに応じて通気抵抗が小さくなるように構成されているので、排気口31bから離れた流路FPにも気体が回り込み易い。従って、表面Wa上における通気流量のばらつきを低減できる。
【0059】
表面Wa上における通気流量のばらつきを低減することにより、揮発した現像液L1又はリンス液L2等をしっかりと排出できる。更に、表面Wa上に形成される液膜の厚さの均一性を向上させ、液処理の安定性を向上させることも期待される。このような効果は、表面Wa上に現像液L1のパドルを形成した後のように、ウェハWを静止させる処理においてより顕著となる。
【0060】
一方、流路FPの通気抵抗により表面Wa上における通気流量のばらつき低減することにより、排気口31bを偏在させ易くなる。例えば上述した現像処理ユニットU1において、排気口31bは底板31の周方向において一箇所のみに形成されている。これにより、排気ダクト42bの配管スペースを確保し易くなり、装置全体の小型化が期待される。
【0061】
第1環状壁34及び第2環状壁36は、カップ30内を液体導入領域P1と気体導入領域P2とに画する要素として機能する一方で、排気口31bから離れるのに応じて通気抵抗が大きくなるように流路FPを構成する部材としても機能する。このように、液体導入領域P1と気体導入領域P2とを画する部材を流路FPの構成に兼用することで、装置の構成を単純化できる。
【0062】
排気口31bは、ウェハWの周縁Wc寄りに位置し、周縁Wcの一部に沿って延びた形状を呈している。このため、排気口31bが延在する範囲においては排気口31bが流路FPの配置に沿うので、流路FPの通気流量の均一性が高められる。排気口31bが延在する範囲以外では、排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗が小さくされることにより、流路FPの通気流量の均一性が高められる。これらの相乗効果によりウェハWの表面Wa上における通気流量のばらつきを更に低減できる。
【0063】
なお、周縁Wcに沿って排気口31bを延在させることは、排気口31bの開口面積の拡大にも寄与する。排気口31bの開口面積を拡大することにより、カップ30内の気体をよりしっかりと排出できる。上述のように、排気口31bは底板31の周方向において一箇所のみに形成されているので、この効果がより顕著となる。
【0064】
排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗を小さくする構成は、上述したものに限られない。
図9に示す現像処理ユニットU3のカップ30Aは、底板31とウェハWとが対向する方向(鉛直方向)において、第1環状壁34Aと第2環状壁36Aとが重なり合う長さ(以下、「重複長さ」という。)を排気口31bから離れるのに応じて小さくしたものである。具体的に、第1環状壁34A及び第2環状壁36Aの中心軸は、いずれも内壁33の中心軸に略一致している。第2環状壁36Aが底板31側に突出する高さは周方向において略一定となっている。一方、第1環状壁34AがウェハW側に突出する高さは、排気口31bから離れるのに応じて小さくなっている。これにより、第1環状壁34Aと第2環状壁36Aとの重複長さが排気口31bから離れるのに応じて小さくなっている。
【0065】
図10に示す現像処理ユニットU4のカップ30Bは、カップ30Aにおける第1環状壁34Aの高さと第2環状壁36Aの高さとの関係を逆にしたものである。具体的に、カップ30Bの第1環状壁34BがウェハW側に突出する高さは、周方向において略一定となっている。一方、第2環状壁36Bが底板31側に突出する高さは、排気口31bから離れるのに応じて小さくなっている。これにより、第1環状壁34Bと第2環状壁36Bとの重複長さが排気口31bから離れるのに応じて小さくなっている。
【0066】
カップ30A及びカップ30Bの構成によっても、排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗を小さくできる。液体導入領域P1と気体導入領域P2とを画する第1環状壁34A,34B及び第2環状壁36A,36Bを流路FPの構成に兼用することで、装置の構成を単純化できる。
【0067】
なお、カップ30Aの第1環状壁34Aとカップ30Bの第2環状壁36Bとを組み合わせてもよい。更に、第1環状壁34と第2環状壁36との間隔を排気口31bから離れるのに応じて大きくするカップ30の構成と、第1環状壁34A,34Bと第2環状壁36A,36Bとの重複長さを排気口31bから離れるのに応じて小さくするカップ30A,30Bの構成とを組み合わせてもよい。第1環状壁34,34A,34B又は第2環状壁36,36A,36Bを鉛直方向に対して傾斜させることで、第1環状壁34,34A,34Bと第2環状壁36,36A,36Bとの間隔又は重複長さを調節してもよい。
【0068】
図11及び
図12に示す現像処理ユニットU5のカップ30Cは、ウェハWの全周に亘って流路FPを上流側と下流側とに仕切る仕切板(仕切部材)37により、流路FPの通気抵抗を排気口31bから離れるのに応じて小さくしたものである。カップ30Cの第1環状壁34C及び第2環状壁36Cの中心軸は、いずれも内壁33の中心軸に略一致している。第1環状壁34CがウェハW側に突出する高さと、第2環状壁36Cが底板31側に突出する高さとはいずれも周方向において略一定となっている。仕切板37は、第1環状壁34Cの上端部において、第1環状壁34Cと内壁33との間を塞ぐように形成されている。
【0069】
仕切板37には、ウェハWの周縁Wcに沿って点在する複数の通気孔37aが形成されている。すなわち、カップ30Cは、仕切板37と、仕切板37に設けられた複数の通気孔37aとを有する。通気孔37aは、排気口31bから離れるのに応じて開口面積が大きくなるように形成されている。一例として、通気孔37aは円形を呈しており、排気口31bから離れるのに応じてその直径が大きくなっている。このような構成によっても、排気口31bから離れるのに応じて流路FPの通気抵抗を小さくできる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、上述した構成をBCTブロック14、COTブロック15又はTCTブロック16の塗布ユニットに適用してもよい。すなわち、上述した構成を反射防止膜形成用の薬液又はレジスト膜形成用の薬液の塗布装置に適用してもよい。更に、ウェハWを接着するための接着剤の塗布装置等に適用してもよい。