(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、PET検査装置と放射線治療装置とが別々に分かれて配置されていると、PET検査装置から放射線治療装置へと患者を移動させる必要がある。すると、PET検査装置を用いて得られた病変部の位置及びその他診断情報に正確に対応する位置に放射線を照射するのが難しい。
また、特許文献1に記載されたように患者を乗せたベッドを移動させる場合にも、ベッドを移動させることによってベッド上における患者の位置が変化する可能性があり、厳密な位置合わせが困難である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、PET検査によって病変部の
位置を検出した結果が精度良く放射線の照射位置に反映される放射線治療システム(例え
ばX線治療システム)及び
光子検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係るX線治療システムは、患者が内部に配置される環状のガントリーと、前記ガントリーに設けられ前記患者に対して陽電子放射断層撮影(PET)をするためのPET用検出装置と、前記ガントリーに設けられ前記患者に対してX線を照射する照射部と、前記ガントリーを所定の回転中心回りに回転動作させる回転駆動部と、を備える。前記PET用検出装置は、前記患者に投与されたトレーサー核種の核崩壊に基づいて患者から放出される光子を検出するために前記患者を間に挟んで対向配置された一対の光子検出部と、前記一対の光子検出部と前記ガントリーとの各々に連結され前記ガントリーに対して前記一対の光子検出部を移動させる光子検出部移動装置と、を有する。前記回転駆動部は、前記ガントリーを前記所定の回転中心回りに回転動作させることにより前記照射部および前記PET用検出装置を前記所定の回転中心回りに回転動作させる。前記光子検出部移動装置は、前記PETにおける光子の検出をする場合には前記患者から所定距離だけ離れた位置に前記一対の光子検出部を配置し、
前記ガントリーの内周面には、前記一対の光子検出部が収納される一対の凹形状部が開口され、前記凹形状部の内部が前記光子検出部の退避位置であり、前記凹形状部の開口部分に前記照射部からの放射線または当該放射線の散乱線を遮蔽する蓋部材が設けられ、前記照射部から前記患者へ前記X線を照射する場合には前記X線の照射が開始される前に前記一対の光子検出部を前記患者から前記所定距離よりもさらに離れた
前記退避位置へ移動させるように構成される。
【0008】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様に係るX線治療システムにおいて、前記退避位置は、前記X線の照射範囲外であり、且つ前記X線による散乱線が前記一対の光子検出部に到達可能な範囲外に位置し、前記所定距離は、前記X線の照射範囲内若しくは前記X線による散乱線が前記一対の光子検出部に到達可能な範囲内に設定される。
なお、検出位置が前記X線の照射範囲外であれば一対の光子検出部の退避は不要である。
【0010】
本発明の第
三の態様によれば、第一の態様に係るX線治療システムにおいて、前記一対の光子検出部は前記所定の回転中心を間に挟んで対向配置されている。
【0011】
本発明の第
四の態様によれば、第一の態様に係るX線治療システムにおいて、前記一対の光子検出部はアイソセンターを間に挟んで対向配置されている。
【0012】
本発明の第
五の態様によれば、第一の態様に係るX線治療システムにおいて、前記照射部は、X線透視画像とX線CT画像との少なくとも何れかを取得するためにkV‐X線を照射するkV‐X線照射部と、前記患者の体内の病変部に対する治療をするためにMVビームを照射するMVビーム照射部と、を有する。そして、前記一対の光子検出部は、前記kV‐X線の照射方向と前記MVビームの照射方向との両方に交差する線上に配置されている。
【0013】
本発明の第六の態様に係る
光子検出方法は、第一から第五のいずれかの態様に係るX線治療システム
が行う光子検出方法であって、前記X線を照射する所定の方向
にて前記一対の光子検出部
が光子を検出する。
【0014】
上記態様に係る
光子検出方法によれば、例えば治療直前に一対の光子検出部の軸がMVビーム照射方向と一致するように設定され、治療MVビームを照射する方向から前記患者の画像を取得してX線の照射対象の二次元の位置が決定される。次に、前記ガントリーを回転させることによって、MVビーム照射方向を光子検出部の軸と一致させる。この結果、決定された位置にX線を正確に照射することができる。
【0015】
本発明の第七の態様によれば、第六の態様に係る
光子検出方法において、前記
光子の検出後前記X線の照射前に、前記回転駆動部が前記ガントリーを回転させることによって、前記ガントリーに設けられた前記一対の光子検出部を回転させ、前記一対の光子検出部
が前記所定の方向とは異な
る第二の所定の方向
にて光子を検出する。
【0016】
上記態様に係る
光子検出方法においては、一対の光子検出部を備えたPET用検出装置が採用されており、光子検出面内の分解能が高い反面、光子検出面に垂直な方向の分解能がやや劣る場合がある。これに対して、ガントリーを回転させて取得される複数の画像を用いてX線照射対象の位置を決定することにより、光子検出面に垂直な方向の分解能を上げることができる。また、この場合、X線照射対象の三次元の位置を正確に決定することができる。
【0017】
本発明の第八の態様によれば、第
六の態様に係る
光子検出において、前記
光子の検出後、かつ、前記照射部から前記患者への前記X線の照射が開始される前に、
前記光子検出部移動装置が、前記一対の光子検出部を前記患者から前記所定距離よりもさらに離れた前記退避位置へ移動させる。
【0018】
本発明の第九の態様によれば、第七の態様に係る
光子検出方法において、前記
前記光子検出部が前記第二の所定の方向にて光子を検出した後、かつ、前記照射部から前記患者への前記X線の照射が開始される前に、
前記光子検出部移動装置が、前記一対の光子検出部を前記患者から前記所定距離よりもさらに離れた前記退避位置へ移動させる。
【発明の効果】
【0020】
上記放射線治療システムによれば、PET検査によって病変部の位置を検出した結果を、照射部からの放射線の照射位置に精度良く反映させることができる。さらに、照射部から放射線を照射する際に光子検出部移動装置が一対の光子検出部を退避させることができるので、照射部から照射される放射線による光子検出部への影響を低く抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る放射線治療システム(例えばX線治療システム)について説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線治療システム1を示す正面図である。
【0023】
本実施形態に係る放射線治療システムは、患者の体内へ向かって放射線を照射することにより治療を行なう装置を備えたシステムである。
図1に示すように、放射線治療システム1は、カウチ2と、環状のガントリー11を備えたOリング部7と、PET用検出装置12と、照射部15と、回転駆動部20とを備えている。
【0024】
カウチ2は、患者をガントリー11内に配置するための装置である。カウチ2は、基台部3と、基台部3に対して相対移動するベッド4と、基台部3に対してベッド4を相対移動させる移動機構6とを有している。
【0025】
基台部3は、放射線治療システム1が設置される床面に載置若しくは固定されており、ガントリー11の高さ方向の寸法に対応した高さを有している。基台部3の高さは、環状のガントリー11の略中心にベッド4を配置することができる程度の高さで構成されており、ベッド4の厳密な位置は移動機構6によって規定される。
【0026】
ベッド4は、略平板状の天面部5を有している。天面部5は、患者を寝た状態、その他診断や治療に必要な体位となる状態で乗せられるように構成されている。
【0027】
移動機構6は、鉛直軸Z1および互いに直交する2つの水平軸X1,Y1を自由度として有している。すなわち、移動機構6は、鉛直軸Z1方向へベッド4を進退移動させ、鉛直軸Z1回りにベッド4を回転移動させ、各水平軸X1,Y1方向へベッド4を進退移動させ、各水平軸X1,Y1回りにベッド4を回転移動させることができる。移動機構6は、後述するPET用検出装置12によって検出された結果に基づいてベッド4を移動させるように構成されている。
【0028】
図2は、本実施形態に係る放射線治療システム1の一部を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る放射線治療システム1の内部構造を示す正面図である。
図4は、本実施形態に係る放射線治療システム1の内部構造を示す斜視図である。
図2に示すOリング部7は、
図1に示すカウチ2のベッド4上に乗せられた患者が内部に配置され、診断および治療を受けるための機構である。
図2ないし
図4に示すように、Oリング部7は、基部8と、環状の本体部9と、本体部9に連結されたガントリー11とを備える。
【0029】
基部8は、放射線治療システム1が設置される床面に固定されており、本体部9の全体を支持する。本実施形態では、基部8の一部は床面内に配されており、基部8には、本実施形態における回転駆動部20の一部である水平揺動部21が配されている。水平揺動部21は、ガントリー11の回転中心O1を通る鉛直軸回りにOリング部7を所定の角度の範囲において回転駆動させる装置である。
【0030】
本体部9は、下端部が基部8に連結された環状のフレーム10を有している。本体部9は、基部8に設けられた水平揺動部21によって鉛直軸回りに揺動する。本実施形態では、本体部9における環状のフレーム10の中心は、ガントリー11の回転中心O1と一致しており、照射部15から照射される放射線におけるアイソセンターとなる。
【0031】
ガントリー11は、本体部9のフレーム10の内側に配され、フレーム10に沿って回転移動される環状部材である。ガントリー11には、PET用検出装置12と、放射線を照射する照射部15と、回転駆動部20の周方向回転部22とが取り付けられている。
【0032】
図5は、本実施形態に係る放射線治療システム1におけるPET用検出装置12を示す部分断面図である。
図5に示すように、PET用検出装置12は、患者に対して陽電子放射断層撮影(PET)をするために設けられており、一対の光子検出部13と、光子検出部移動装置14とを有している。
【0033】
一対の光子検出部13は、患者に投与されたトレーサー核種の崩壊に基づいて患者から放出される光子を検出する目的で、患者を間に挟んで対向配置されるように設けられている。すなわち、一対の光子検出部13は、ガントリー11における所定の回転中心O1を間に挟んで対向配置されている。また、本実施形態では、ガントリー11の回転中心O1へ向けて照射部15から放射線が照射され、所定の回転中心O1は放射線治療システム1におけるアイソセンターとなる。
本実施形態では、一対の光子検出部13の各々は平板形状を有する。また、光子検出部13は、図示しないPET診断用コンピュータシステムに接続されている。
【0034】
光子検出部移動装置14は、光子検出部13をガントリー11に連結し、光子検出部13をガントリー11に対して移動させる装置である。本実施形態では、光子検出部移動装置14は、照射部15から照射される放射線若しくは放射線の散乱線が光子検出部13に当たることによる光子検出部13への悪影響を低く抑える目的で設けられている。すなわち、光子検出部移動装置14は、PET検査における光子の検出をする場合には、患者から所定距離で離れた位置(検査位置A1)に一対の光子検出部13を配置する。また、光子検出部移動装置14は、照射部15から患者へ放射線を照射する場合には、必要に応じて放射線の照射が開始される前に、患者から上記所定距離よりさらに離れた位置である退避位置A2へ一対の光子検出部13を移動させる。
【0035】
退避位置A2は、照射部15から照射される放射線の照射方向及び照射範囲に基づいて位置が設定されている。退避位置A2は、放射線の照射範囲外であって且つ放射線による散乱線が光子検出部13に到達可能な範囲外に位置している。具体的には、退避位置A2は、ガントリー11内に設けられている。本実施形態では、ガントリー11の内周面には、一対の光子検出部13が入り込む一対の凹形状部11Aが開口されている。そして、凹形状部11A内が光子検出部13の退避位置A2に設定されている。さらに、凹形状部11Aの内面には、上記光子検出部移動装置14が固定されている。また、必要に応じて、凹形状部11Aの開口部分には、放射線若しくは散乱線を遮蔽する蓋部材を配することもできる。
【0036】
また、光子検出部移動装置14は、患者に対する光子検出部13の距離を変更することができる。たとえば、一対の光子検出部13間の距離を光子検出部移動装置14により変更することにより、PET検査における感度と分解能のバランスを調整することができる。本実施形態では、上記所定距離は、放射線の照射範囲内若しくは放射線による散乱線が一対の光子検出部13に到達可能な範囲内に位置していてもよい。これは、PET検査をする際には、照射部15から放射線が照射されないので、光子検出部13への悪影響が生じないからである。
光子検出部移動装置14の構造としては、ボールネジを用いた直動機構やパンタグラフを用いた伸縮機構等など、公知の構造を適宜選択して採用することができる。
【0037】
図5に示す照射部15は、図示しない放射線発生源によって発せられた放射線を患者に対して照射する。照射部15は、kV‐X線照射部16と、MVビーム照射部17とを有する。kV‐X線照射部16は、X線透視撮影、およびX線CT画像を取得するためにkV‐X線を照射する。MVビーム照射部17は、患者の体内の病変部Tに対する治療をするためにMVビームを照射する。
本実施形態では、kV‐X線照射部16は、MVビーム照射部17を間に挟んで2箇所に設けられている。また、回転中心O1を挟んでkV‐X線照射部16と反対側には、kV‐X線検出部18が設けられている。また、回転中心O1を挟んでMVビーム照射部17と反対側には、MVビーム検出部19が設けられている。
【0038】
ここで、照射部15と光子検出部13との位置関係について説明する。
図5に示すように、一対の光子検出部13は、kV‐X線の照射方向L1とMVビームの照射方向L2との両方に交差する線上に配置されている。具体的には、MVビーム照射部17とMVビーム検出部19とを結ぶ直線と直交する線L3上に光子検出部13が配置され、線L3に沿って一対の光子検出部13が進退動作されるように構成されている。本実施形態では、MVビーム照射部17とMVビーム検出部19とを結ぶ直線は、上記照射方向L2を示す線と一致している。
【0039】
回転駆動部20は、ガントリー11を所定の回転中心O1回りに回転動作させる。本実施形態において、「所定の回転中心O1」とは、環状に形成されたガントリー11の中心点である。また、回転駆動部20は、水平揺動部21と、周方向回転部22とを有する。水平揺動部21は、中心点を通る鉛直軸回りにガントリー11を回転させるために設けられる。周方向回転部22は、フレーム10に対してガントリー11を周方向に回転させるために設けられる。水平揺動部21と周方向回転部22とは、互いに独立して動作させることが可能である。
回転駆動部20は、ガントリー11を所定の回転中心O1回りに回転動作させることにより、照射部15およびPET用検出装置12を所定の回転中心O1回りに回転動作させる。これにより、照射部15とPET用検出装置12との相対位置関係が維持された状態で照射部15とPET用検出装置12とが一体として移動される。
【0040】
次に、本実施形態に係る放射線治療システム1の作用及び放射線治療システム1を用いた照射野決定方法について、放射線治療システム1を用いた治療方法とともに説明する。
図6は、本実施形態に係る放射線治療システム1の使用時の動作を説明するためのフローチャートである。
放射線治療システム1の使用時には、まず、病変部Tに特異的なトレーサー核種を患者に投与する。その後、患者をカウチ2のベッド4に乗せる。さらに、事前の検査等によって把握した病変部Tの位置に好適に放射線を照射できる体位に保持されていることを確認する(
図6に示すステップS1)。トレーサー核種の種類は、検査対象に対応して適宜選択することができる。
【0041】
次に、従来の治療と同様に、X線撮影、もしくはコーンビームCTにより、患者の治療計画時の画像と照合することで、高精度でセットアップを行う。
続いて、PET用検出装置12及びPET診断用コンピュータシステムを用いてPET検査を行なう(ステップS2)。
PET検査においては、まず、光子検出部13が治療ビームを照射する方向での検出ができる位置に移動され、病変部Tが一対の光子検出部13の間に配置される。すると、患者に投与されたトレーサー核種が崩壊したタイミングで、患者の体外に光子が飛び出す。患者を間に挟むように対向配置された一対の光子検出部13に光子が到達すると、光子検出部13からPET診断用コンピュータシステムへ検出信号が出力される。PET診断用コンピュータシステムでは、光子検出部13への光子の入射状態に基づいて、三次元空間内においてトレーサー核種が崩壊した位置が特定される。PET検査では、トレーサー核種が崩壊した位置の情報に基づいてトレーサー核種の濃度が高い部位を検出し、三次元の位置情報を得る。トレーサー核種は病変部Tへ特異的に集積するので、PET検査により病変部Tの三次元の位置情報が得られる。本実施形態では、光子検出器面方向の分解能が優れていることから、正面および側面の2方向からPET検査を行うことにより、病変部Tの三次元の位置情報を高分解能で取得可能である。
【0042】
次に、PET検査において得られた病変部Tの三次元の位置情報に基づいて、病変部Tの位置がアイソセンター(本実施形態では所定の回転中心O1)に一致するように移動機構6によりベッド4を移動させる(ステップS3)。その後、必要に応じてPET検査によって病変部Tの位置がアイソセンターに一致していることを確認する(ステップS4)。
【0043】
図7は、本実施形態に係る放射線治療システム1の使用時の一過程を示す説明図であり、必要に応じてPET検査の終了後、光子検出部13を退避位置A2へ移動させる状態が示されている。
病変部Tの位置がアイソセンターに一致したことがPET検査により確認された後、光子検出部移動装置14によって、光子検出部13を凹形状部11A内へと移動させる(ステップS5、
図7参照)。これにより、光子検出部13は、照射部15から照射される放射線の影響を受けない退避位置A2に配置される。
【0044】
続いて、照射部15を、照射する位置にガントリーの回転により移動させ、その後、MVビームをアイソセンターへ向けて照射する(ステップS6)。PET検査の終了後からMVビームの照射開始までの間は、カウチ2及びガントリー11は移動しないため、ベッド4上に乗せられた患者はPET検査終了時の姿勢が保たれる。これにより、MVビームの照射時において、患者の病変部Tの位置はアイソセンターに位置している。
【0045】
必要な線量のMVビームが病変部Tに照射された後、照射部15からのMVビームの照射は停止され、ガントリー11が所定の角度だけフレーム10の周方向に移動される(ステップS7)。例えば、ガントリー11がフレーム10の周方向に45°移動されて停止する。これにより、病変部Tに対するPET用検出装置12の角度と、病変部Tに対する照射部15の角度とが、上記所定の角度ずれる。PET用検出装置12と照射部15とが所定の角度ずれた新たな位置関係において、上記ステップS2からステップS6までの各ステップを順に行い、病変部Tに対してMVビームを照射する。その後、再び上記ステップS7を行なってガントリー11をフレーム10の周方向に回転させる。
なお、位置確認をPET検査によって行なうステップ(上記ステップS4)は、不要な場合には省略することもできる。
【0046】
ステップS2からステップS7までを繰り返すことにより、アイソセンターに対して異なる角度からMVビームを照射することができる。このとき、PET検査を行なった後にベッド4を移動させることなく放射線の照射を開始することができる。これにより、ベッド4を動かすことによってベッド4上における患者の姿勢が変わったり患者の位置がずれたりする可能性を低く抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る放射線治療システム1の他の使用方法としては、照射部15からMVビームを照射する前に、ガントリー11を回転させ、MVビームを照射する角度から複数のPET検査画像を取得してもよい。その後、ガントリー11を回転させMVビーム照射部を前記角度に設定し照射することが可能である。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の放射線治療システム1によれば、PET検査によって病変部Tの位置を検出した結果が照射部15からの放射線の照射位置に精度良く反映される。これにより、治療用のビーム(例えばMVビーム)を照射する直前に病変部Tの正確な位置を把握することができる。その結果、BEV(Beam’s Eye View)を用いて患部を確認して正確な治療をすることができる。
また、光子検出面内の分解能に対して、面に垂直な方向の分解能を上げる手段として、回転するガントリー11に設けられたPET用検出装置12を用いて複数の方向から病変部Tの画像を取得し、病変部Tの三次元的に正確な位置を確認することができる。例えばガントリー12の回転中心回りに45°ごとに1枚のPET検査画像を取得し、複数のPET検査画像を重ね合わせることによって病変部Tの正確な位置を画像化することができる。また、この結果から3次元の腫瘍位置を同定することも可能である。
【0049】
さらに、本実施形態の放射線治療システム1によれば、照射部15から放射線を照射する際に光子検出部移動装置14が一対の光子検出部13を退避させるので、照射部15から照射される放射線による光子検出部13への影響を低く抑えることができる。
また、本実施形態の放射線治療システム1によれば、ガントリー11が環状であるので、従来のCアーム構造を有する場合と比較して剛性が高く、位置精度の高い治療をすることができる。さらに、剛性が高い環状のガントリー11に一対の光子検出部13が配置されているので、高い位置精度を保ちつつ、照射部15と光子検出部13とが干渉しない。
【0050】
また、本実施形態の放射線治療システム1によれば、ガントリー11に設けられた凹形状部11A内に光子検出部13を入れて配置することにより、ガントリー11によって放射線およびその散乱線の一部を遮蔽することができる。
【0051】
また、本実施形態の放射線治療システム1によれば、一対の光子検出部13がアイソセンターを間に挟んで対向配置されている。この結果、照射部15におけるkV‐X線照射部16、MVビーム照射部17、kV‐X線検出部18、及びMVビーム検出部19に干渉しない位置に一対の光子検出部13が配された状態で好適にPET検査をすることができる。
【0052】
また、対向配置された光子検出部13を用いたPET検査では、一対の光子検出部13間の距離による分解能の変化が少ない。このため、PET検査時において、一対の光子検出部13を患者に近づけて高感度のPET検査を行なうことができる。
【0053】
さらに、本実施形態の放射線治療システム1によれば、X線透視撮影、およびCT検査とPET検査との両方を行うことができる。そのため、たとえばX線透視画像では病変部Tの確認が難しい場合にPET検査にて病変部Tの確認をするなど、互いの不具合を補完して確実に病変部Tの位置を特定することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0055】
例えば、上記実施形態においてはkV‐X線を使用したX線透視撮影、およびCT検査をする場合についての説明は省略されている。しかし、必要に応じて、PET検査の前後いずれか若しくは両方のタイミングでX線透視撮影、およびCT検査をしてもよい。また、ステップ1(S1)とステップ2(S2)の間で、X線投資画像、もしくはX線CT画像によるセットアップをすることもできる。
【0056】
また、ガントリー11をフレーム10の周方向に移動させ、放射線の照射をせずに所定角度ごとにPET検査を行なうことによって、PET検査によって得られた画像の重ね合わせによる病変部Tの詳細な位置情報及び形状情報を得ることができる。このようにして得られた詳細な位置情報及び形状情報を使用して、上記ステップS2からステップS7までの各ステップを行なって放射線の照射をしてもよい。
【0057】
また、本実施形態の放射線治療システム1によれば、PET検査によって得られた画像を用いて治療計画を作成することができ、PET検査による診断後直ちに当該治療計画に沿って放射線の照射をすることもできる。例えば、骨転移がある症例においては、治療計画を作成するための他の機器を用いた事前検査を省略することによって迅速に治療を行なうことができるので、高い治療効果を得ることができる。
【0058】
また、上述の実施形態では、治療用のX線を患者に照射することによって患者の治療を行なう例を示した。しかし、X線以外の放射線や、放射線に代えて粒子線を患者に照射することによって患者の治療を行なう装置及び照射野決定方法を同様に構成することもできる。
【実施例】
【0059】
次に、実施例を用いて本発明の放射線治療システムについてより詳細に説明する。
本実施例では、上記実施形態で説明した放射線治療システムと、既存の対向型PET装置とを比較して、病変部の位置を確認する際の感度及び精度に関する検討を行なった。
下記表1に、既存の対向型PET装置(比較例)の構成と、本実施例におけるPET用検出装置(実施例)の構成とを示す。
【0060】
【表1】
【0061】
また、
図8A及び
図8Bは、本実施形態に係るPET用検出装置と既存の対向型PET装置とにおける光子の検出状態を検討するための実験装置を示す模式図である。
図9は、本実施形態に係るPET用検出装置を使用した検出結果(実施例)を示す図である。
図10は、本実施形態に係るPET用検出装置を用いた場合の位置合わせの精度を説明するためのグラフである。
図10において、左側の3つのバーは、18F放射性トレーサー核種を模した放射線源(
図8Aに示す直径12mmの放射線源)に対する暴露時間をそれぞれ1min、3min、5minとした場合における位置誤差(Registration Error)をそれぞれ示し、最も右側のバーは、X線透視装置を使用した対照実験における位置誤差を示している。
【0062】
図8A及び
図8Bに示すように、本実施例及び比較例では、スラブファントムを使用し、既存のX線透視装置と本実施形態に係るPET用検出装置とを比較した。
図9に示すように、本実施形態に係るPET用検出装置はX線透視装置と同様に放射線源の像を得ることができた。また、
図10に示すように、本実施形態に係るPET用検出装置では、位置合わせの誤差は1mm以下であり、セットアップマージン内に収まる精度で病変部の位置を確認することができることが示唆された。
また、上記表1に示すように、本実施例では、比較例と比べて検出素子数が多く検出面積が広いので、感度及び分解能の面で有利であると考えられる。