【文献】
大亦ほか,放送通信連携サービスにおけるコンテンツの提示制御方式の一検討,電子情報通信学会2011年総合大会講演論文集 通信2,2011年 2月28日,p.169
【文献】
Multimedia Home Platform (MHP) Specification 1.0.3 Digital Video Broadcasting (DVB) ETSI ES 201 812,2006年 8月,p.747-748,URL,http://www.mhp.org/specs/es_201812v010102p.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による放送システムの全体構成図である。送信装置1は、放送事業者の設備であり、放送送出装置2及びデータ管理装置3を備える。コンテンツ配信装置5、5、…はそれぞれ、コンテンツを配信する装置であり、異なる事業者が設ける設備である。コンテンツ配信装置5を保有する事業者は、例えば、放送事業者、サービス事業者、アプリケーション提供者等である。ユーザが保有する受信装置4は、放送送出装置2から放送を受信するとともに、インターネットを介してデータ管理装置3及びコンテンツ配信装置5と通信する。同図においては、受信装置4を1台のみ示しているが、複数台が備えられる。
【0014】
本実施形態の放送システムは、放送通信連携サービスを実現する。放送通信連携サービスの形態は複数存在するが、本実施形態では、受信装置4において、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting;統合デジタル放送サービス)方式による放送サービスと、インターネットによる通信サービスとを連携する。ユーザは、受信装置4によって、放送通信連携サービスを利用することができる。
【0015】
放送送出装置2から放送される放送信号は、現用の放送設備によって放送されている従来のデジタル放送の放送信号と同一であり、ARIB(Association of Radio Industries and Broadcast;社団法人電波産業会)標準規格で規定される。受信装置4は、放送送出装置2から放送される放送信号を受信するとともに、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と記載する。)を実行する。この受信装置4において実行されるアプリケーションは、インターネットを経由してコンテンツ配信装置5から配信されるコンテンツを取得する。
【0016】
従来想定されている放送通信連携サービスでは、放送の受信機において様々なアプリケーションが利用可能な状態である場合、放送番組の表示画面(以下、「放送画面」と記載する。)の上に、インターネットを経由してアプリケーションが取得したコンテンツの表示画面(以下、「アプリケーション画面」と記載する。)を重ね合わせて表示する。本実施形態では、放送信号を用い、放送番組単位で、あるいは、放送番組とは非同期に、放送番組とアプリケーション間の画面表示方法及び音声出力方法を制御する。画面表示方法には、例えば、放送画面のみを表示する、放送画面とアプリケーション画面を重ねてあるいは隣り合わせに表示する、などの方法がある。また、音声出力方法には、放送番組の音声のみを出力する、放送番組の音声とアプリケーションの音声を独立にあるいは混合して出力する、などの方法がある。放送事業者が要求する画面表示方法や音声出力方法をポリシーと呼ぶ。ポリシーには、放送番組の内容の重要性や演出等に応じて複数の段階があり、これらの段階をポリシーレベルと呼ぶ。つまり、ポリシーレベルは、放送番組の画面表示や音声出力に対してアプリケーションの画面表示や音声出力を制限するレベルを示し、例えば、整数値で表される。ポリシーレベル高いとは、アプリケーションの画面表示や音声出力の規制のレベルが高い(規制がより厳しい)ことである。例えば、緊急性・重要性の高い放送のコンテンツを優先的に表示させたい場合、ポリシーレベルを高く設定する。以下、画面表示方法及び音声出力方法を「出力方法」とも記載する。また、放送番組を単に「番組」とも記載する。
【0017】
放送送出装置2は、番組編成設備、番組送出設備、送信設備等から構成される一般的なデジタル放送用の放送設備である。放送送出装置2は、放送送信部21と指示受信部22を備える。放送送信部21は、コンテンツを含んだ放送信号を放送する。コンテンツには、放送スケジュールに従って放送される通常コンテンツである番組や、番組とは非同期に発生する緊急コンテンツであるイベントがある。例えば、イベントは、緊急警報信号や緊急地震速報、データ放送のモジュールアップデート、イベントメッセージなどであり、番組とは必ずしも連動して発生しない放送の内容である。指示受信部22は、データ管理装置3からポリシーデータを受信する。ポリシーデータは、放送中の番組、放送信号に含まれるイベント、アプリケーションの提供者などに基づいて、放送とアプリケーションの出力方法をどのように制御するかを示すデータである。放送送信部21は、指示受信部22が受信したポリシーデータを放送信号に多重して伝送する。
【0018】
データ管理装置3は、ポリシーデータを管理する。データ管理装置3は、入力部31、送信部32、及び、指示部33を備える。入力部31は、更新されたポリシーデータ、配信経路の入力を受ける。送信部32は、インターネットによる配信を示す配信経路が入力された場合、更新されたポリシーデータをインターネットにより受信装置4へ送信する。
指示部33は、放送による配信を示す配信経路が入力された場合、放送送出装置2に更新されたポリシーデータを出力する。
【0019】
受信装置4は、例えば、テレビ、セットトップボックス、パーソナルコンピュータ、携帯端末等のデバイスであり、送出装置2から放送される放送信号の受信、および、インターネットを介した通信が可能な受信機である。受信装置4は、放送信号により放送された番組の表示画面及び音声を出力する。さらに、受信装置4は、アプリケーションを実行し、実行されているアプリケーションがインターネットを経由してコンテンツ配信装置5から取得したコンテンツの表示画面及び音声を、番組の表示画面及び音声に連携させて出力する。受信装置4は、放送とアプリケーションの出力方法をポリシーデータに従って制御する。ポリシーデータは、受信装置4にあらかじめ実装されていてもよく、放送または通信により取得してもよい。
【0020】
コンテンツ配信装置5は、一般的なコンテンツ配信サーバであり、受信装置4上で実行されるアプリケーションに、インターネットを経由してテキストや静止画、動画などのコンテンツを配信する。
【0021】
受信装置4上で動作するアプリケーションは、様々な事業者によって提供される。各アプリケーションには、当該アプリケーションの提供者を示すオーソリティデータが付加される。オーソリティデータが示す提供者は、放送事業者、放送事業者が認定した他事業者、それ以外の提供者などに分けられる。なお、アプリケーションの取得の経路は任意である。例えば、受信装置4は、放送により、あるいは、インターネットを介した通信によりアプリケーションを受信してもよく、情報記録媒体等から読み込んでもよく、出荷時に実装されていてもよい。以下、アプリケーションの提供者が放送事業者であるアプリケーションを「放送事業者提供アプリケーション」、アプリケーションの提供者が放送事業者により認定されている他事業者であるアプリケーションを「認定アプリケーション」と記載する。
【0022】
ここで、番組及びイベントと、ポリシーの関係の概念について説明する。
ポリシーは、番組ポリシーとトリガーポリシーの2種類に分類される。番組ポリシーとは、番組に対して紐づけられたポリシーであり、番組単位にポリシーレベルが設定される。一方、トリガーポリシーとは、イベントに付与されるポリシーであり、イベント単位にポリシーレベルが設定される。受信装置4は、トリガーポリシーが設定されているイベントの発生中は、番組ポリシーよりもトリガーポリシーのポリシーレベルを優先する。また、複数のイベントが同時に発生した場合には、受信装置4は、最も高いポリシーレベルを優先させる。以下、番組ポリシーのポリシーレベルを番組ポリシーレベルと記載し、トリガーポリシーのポリシーレベルをトリガーポリシーレベルと記載する。
【0023】
図2は、受信装置4におけるポリシーレベルの判断例を示す図である。
同図は、番組A(ニュース/報道)の放送に続いて番組B(スポーツ)の放送が開始され、番組Bの放送中に緊急地震速報が送出された場合の例を示している。本実施形態では、ポリシーレベルを1〜4の4段階の値で表現し、ポリシーレベルが高いほど数値は大きくなり、アプリケーションの画面表示や音声出力に対する制限が厳しくなる。番組Aの番組ポリシーレベルは「3」、番組Bの番組ポリシーレベルは「1」、緊急地震速報のトリガーポリシーレベルは「4」である。
【0024】
このとき、受信装置4は、番組Aの放送時間である時刻T
As〜時刻T
Aeの時間帯において放送事業者が要求するポリシーレベルは、番組Aの番組ポリシーレベル「3」であると判断する。また、受信装置4は、番組Bの放送時間である時刻T
Bs〜時刻T
Beの時間帯のポリシーレベルは、番組Bの番組ポリシーレベル「1」であるが、その時間帯の中でも緊急地震速報が発生している時刻T
αs〜時刻T
αeの時間帯におけるポリシーレベルは、緊急地震速報のトリガーポリシーレベル「4」であると判断する。
このように受信装置4は、放送事業者のポリシーに従ってポリシーレベルを判断し、判断したポリシーレベルに基づいて放送とアプリケーションの出力制御を実行する。
【0025】
図3は、ポリシーレベルと放送画面及びアプリケーション画面の画面表示方法との関係を示す図である。同図においては、放送画面と、放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面と、認定アプリケーションのアプリケーション画面の計3つの表示画面の関係をポリシーレベル毎に示している。なお、オーソリティデータが放送事業者でもなく、放送事業者が認定している他事業者でもない提供者を示すアプリケーションについては、アプリケーション画面の表示も音声出力も許可しない。
【0026】
図3(a)に示すように、ポリシーレベルが「4」の場合、放送画面の全画面表示のみが許可される。
図3(b)に示すように、ポリシーレベルが「3」の場合、放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面、及び、認定アプリケーションのアプリケーション画面の表示が許可される。ただし、全てのアプリケーション画面について、放送画面上への重ね合わせは禁止され、放送画面の外側への表示のみが許可される。
【0027】
図3(c)に示すように、ポリシーレベルが「2」の場合、放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面、及び、認定アプリケーションのアプリケーション画面の表示が許可される。ただし、放送事業者提供アプリケーションのみが放送画面上への重ね合わせが許可される。放送事業者提供アプリケーション以外のアプリケーション画面については、放送画面上への重ね合わせは禁止され、放送画面の外側への表示のみが許可される。
【0028】
図3(d)に示すように、ポリシーレベルが「1」の場合、放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面および認定アプリケーションのアプリケーション画面の表示を許可する。放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面、認定アプリケーションのアプリケーション画面とも、放送画面上への重ね合わせが許可される。
【0029】
なお、ポリシーレベル毎の音声出力方法は、以下のようになる。ポリシーレベルが「4」または「3」の場合、放送音声のみ音声出力が許可される。ポリシーレベルが「2」の場合、放送事業者提供アプリケーションのみ音声出力が許可される。ただし、放送音声とアプリケーションの音声は、切替えにより独立して出力される。ポリシーレベルが「1」の場合、放送事業者提供アプリケーションの音声出力と、認定アプリケーションの音声出力とが許可される。ただし、放送事業者提供アプリケーション、認定アプリケーションとも、放送音声と各アプリケーションの音声は、切替えにより独立して出力される。
【0030】
図4は、受信装置4の内部構成を示すブロック図である。
放送受信部401は、一般的なチューナであり、デジタル放送の放送信号を受信し、復調する。分離部402は、一般的なデマルチプレクサであり、放送受信部401において復調され、出力されたMPEG(Moving Picture Experts Group)−2 TS(Transport Stream)信号を、映像データ、音声データ、データ放送や字幕データ、SI(ServiceInformation)データなどの番組情報等に分離する。また、分離部402は、バイナリデータとしてセクション形式やエンジニアリングサービスにより伝送されるポリシーデータを分離する。
【0031】
通信入出力部414は、インターネットを介した通信によるデータの入出力を行う。通信入出力部414は、データ管理装置3からポリシーデータを受信するとともに、コンテンツ配信装置5からアプリケーション実行部412に配信されたコンテンツを受信する。
【0032】
ポリシーデータ記憶部404は、放送事業者のポリシーを解釈し、表示制御を実行するために用いられるポリシーデータと、当該ポリシーデータのバージョンデータを記憶する。ポリシーデータは、イベント解釈プログラム、ポリシーレベルテーブル、出力決定テーブルからなる。イベント解釈プログラムは、放送信号を解析して番組と非同期に発生するイベントの開始及び終了を検出する処理を実行させるためのプログラムである。ポリシーレベルテーブルは、各番組の番組ポリシーレベルや各イベントのトリガーポリシーレベルを記述したデータである。出力決定テーブルは、ポリシーレベル毎の出力方法を記述したデータである。
【0033】
ポリシーデータ管理部403は、ポリシーデータ記憶部404に記憶されるポリシーデータを管理する。ポリシーデータ管理部403は、ポリシーデータ記憶部404から読み出したポリシーレベルテーブルをポリシーレベル照合部406に出力し、ポリシーデータ記憶部404から読み出したイベント解釈プログラムをイベント解釈部405に出力し、ポリシーデータ記憶部404から読み出した出力決定テーブルをポリシー調停部409に出力する。また、ポリシーデータ管理部403は、放送または通信により受信したポリシーデータにより、ポリシーデータ記憶部404に記憶されているポリシーデータとポリシーデータのバージョンデータを更新する。
【0034】
イベント解釈部405は、ポリシーデータ管理部403から取得したイベント解釈プログラムを実行することにより動作する。イベント解釈部405は、放送受信部401が受信した放送信号や、分離部402が分離したデータ放送や字幕データを解析し、イベントの発生または終了を検出する。イベント解釈部405は、イベントの発生または終了を検知すると、その検出したイベントのイベント番号(event_number)と、発生または終了を示すステータスデータとをポリシーレベル照合部406に出力する。
【0035】
ポリシーレベル照合部406は、ポリシーレベルテーブルを参照して、各番組の番組ポリシーレベルと、イベント番号に対応したトリガーポリシーレベルを決定する。ポリシーレベル照合部406は、分離部402から入力されたSIより取得した番組の放送開始時刻及び放送終了時刻のデータと、決定した当該番組の番組ポリシーレベルをイベント制御部407に出力する。また、ポリシーレベル照合部406は、イベント番号に対応して決定したトリガーポリシーレベルをポリシー調停部409に出力する。
【0036】
番組ポリシー記憶部408は、番組開始時刻及び番組終了時刻と、番組ポリシーレベルを対応付けて記憶する。イベント制御部407は、ポリシーレベル照合部406から入力された番組開始時刻及び番組終了時刻のデータと、番組ポリシーレベルとを対応付けて番組ポリシー記憶部408に書き込み、番組ポリシー記憶部408に記憶されているこれらの情報を基に、表示制御を実行する時刻を管理する。イベント制御部407は、番組ポリシー記憶部408に記憶されている番組開始時刻のデータを参照し、実行時刻を通知すべき時刻となったことを検出した場合、実行時刻と、その実行時刻に対応した番組ポリシーレベルをポリシー調停部409に出力する。
【0037】
ポリシーレベル記憶部410は、ポリシー調停部409に入力された実行時刻及び番組ポリシーレベルと、トリガーポリシーレベル及びステータスデータを記憶する。ポリシー調停部409は、イベント制御部407から入力された実行時刻及び番組ポリシーレベルと、ポリシーレベル照合部406から入力されたトリガーポリシーレベルとからポリシーレベルを決定する。ポリシー調停部409は、出力決定テーブルを参照し、決定したポリシーレベルと、アプリケーション管理部413から取得した起動中のアプリケーションのオーソリティや出力状況から、放送およびアプリケーションの出力方法を決定する。出力状況とは、起動中のアプリケーションから画像や音声が出力されているか否かの情報である。ポリシー調停部409は、決定した画面表示方法を表示制御部415に出力し、決定した音声出力方法を音声制御部417に出力する。
【0038】
アプリケーション記憶部411は、アプリケーションと、当該アプリケーションのオーソリティを示すオーソリティデータを記憶する。アプリケーション実行部412は、アプリケーション記憶部411に記憶されているアプリケーションを読み出して実行する。アプリケーション管理部413は、アプリケーション実行部412によりアプリケーションの起動または停止の状態、起動しているアプリケーションの出力状況を管理する。アプリケーション管理部413は、ポリシー調停部409からの問い合わせを受け、起動されているアプリケーションの出力状況と、アプリケーション記憶部411から読み出した当該アプリケーションのオーソリティデータとを返送する。
【0039】
表示制御部415は、ポリシー調停部409から出力された画面表示方法に従って、放送画面およびアプリケーション画面を映像表示部416に表示させる。映像表示部416は、一般的なディスプレイであり、放送およびアプリケーションの画面を表示する。
音声制御部417は、ポリシー調停部409より出力された音声出力方法に従って、番組とアプリケーションの音声を音声出力部418から出力させる。音声出力部418は、一般的なスピーカーあり、放送およびアプリケーションの音声を出力する。
【0040】
図5は、ポリシーデータ記憶部404に記憶されるポリシーデータを示す図である。同図に示すように、ポリシーデータ記憶部404は、イベント解釈プログラム、ポリシーレベルテーブル、及び、出力決定テーブルからなるポリシーデータと、バージョンデータとを記憶する。
【0041】
イベント解釈プログラムは、番組中に発生するイベントを検出するための処理を実行させるプログラムである。具体的には、このイベント解釈プログラムは、放送信号の振舞いを解析してイベントの発生や終了を検出し、検出したイベントを特定するイベント番号を出力するための処理を実行させるプログラムである。放送信号の振舞いとは、イベントの開始や終了に応じた放送信号の内容の変化を示す。例えば、放送信号の所定箇所に所定の値が設定されたり、放送信号内の所定の情報が消失したりする。
【0042】
以下に、イベント解釈プログラムにより実行されるイベント検出処理において、イベントを検出する条件となる放送信号の振舞いの例を示す。受信装置4のイベント解釈部405は、イベント解釈プログラムを実行し、下記の条件に合致した場合にイベントの発生または終了を検出する。なお、イベント検出処理において検出されるイベントは、下記のイベントに限るものではない。
【0043】
(1)緊急警報信号;緊急警報信号のイベントが発生した場合、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)の緊急警報放送用起動フラグ(TMCC情報のB26ビット)が「0」から「1」に変化し、緊急警報信号のイベントが終了した場合、この緊急警報放送用起動フラグが「1」から「0」に変化する。
【0044】
(2)緊急地震速報;緊急地震速報のイベントが発生した場合、独立PES(Packetized Elementary Stream)方式で伝送される字幕データのデータグループ内のdata_group_data_byteに、「緊急地震速報」のテキストにあたるバイナリデータが出現する。緊急地震速報のイベントが終了した場合、このバイナリデータが消失する。なお、本イベントが対応する放送サービスは、ISDB-T方式に限られる。
【0045】
(3)データ放送のモジュールアップデートとイベントメッセージ:データ放送では、情報の内容を更新するために、BMLファイルや画像ファイルをデータカルーセル方式またはイベントメッセージ方式により伝送する。このとき、更新情報の伝送とともに、データカルーセル方式では、DII(Download Info Indication)及びDDB(Download DataBlock)のdata_event_id、もしくは、DIIのmoduleVersionの値が変化し、イベントメッセージ方式では、event_msg_idの値が変化する。これらの値が出現により、イベントの発生が検出される。また、これらの値の消失、または、イベント発生から一定時間の経過により、イベント発生の終了が検出される。
例えば、独立型のデータ放送による気象情報の提供において該当地域に気象警報が発令された場合や、ニュースの提供においてニュース項目が更新された場合、番組連動型のデータ放送において、番組の進行に合わせてデータ放送による放送画面へのオーバーレイ表示を行う場合などに適用できる。
【0046】
図6は、ポリシーレベルテーブルの設定例を示す図である。同図では、XML(extensible markup language)により記述したポリシーレベルテーブルを示しているが、他の記述方式を用いてもよい。ポリシーレベルテーブルには、番組のジャンルごとの番組ポリシーレベルと、番組中に発生するイベントごとのトリガーポリシーレベルが記述される。タグ「policy_level」で示されるポリシーレベルの値は、ポリシーレベルの段階を表す。
【0047】
番組のジャンル毎のポリシーは、「program_policy」タグに囲まれた範囲に記述されている。番組のジャンルを示す番組ジャンル情報は、放送信号に含まれるEIT(イベント情報テーブル:Event Information Table)のコンテント記述子(Content Descriptor)に規定されている記述子と同様である。番組ジャンル情報は、番組ジャンルの大分類(以下、「大ジャンル」と記載する。)を示す「content_nibble_level_1」と、番組ジャンルの中分類(以下、「中ジャンル」と記載する。)を示す「content_nibble_level_2」からなる。
【0048】
同図に示すポリシーレベルテーブルには、値が「0x0」の大ジャンル(content_nibble_level_1)は、ジャンル名(genre_name)が「news(ニュース/報道)」であり、この大ジャンルに属する任意の値(「*」は、任意の値であることを示す。)の中ジャンル(content_nibble_level_2)については、番組ポリシーレベル(policy_level)が「3」であることが記述されている。つまり、大ジャンル「ニュース/報道」に属する全ての番組の番組ポリシーレベルは「3」であることを示している。
但し、値が「0x1」の中ジャンル(content_nibble_level_2)については、ジャンル名(genre_name)が「weather(天気)」であり、番組ポリシーレベル(policy_level)が「2」であることが記述されている。つまり、大ジャンル「ニュース/報道」に属する中ジャンル「天気」の番組に限っては、番組ポリシーレベルが「2」であることを示している。
【0049】
また、ポリシーレベルテーブルには、値が「0x1」の大ジャンル(content_nibble_level_1)は、ジャンル名(genre_name)が「sports(スポーツ)」であり、この大ジャンルに属する任意の値の中ジャンル(content_nibble_level_2)については、番組ポリシーレベル(policy_level)が「1」であることが記述されている。つまり、大ジャンル「スポーツ」に属する全ての番組の番組ポリシーレベルは「1」であることを示している。
【0050】
一方、番組中に発生するイベントのポリシーは、「trigger_policy」タグに囲まれた範囲に記述されている。各イベントのポリシーは、イベント番号(event_number)毎に定義される。このイベント番号は、イベント解釈プログラムを実行しているイベント解釈部405から通知されるイベント番号であり、イベント解釈部405において検出されたイベントを示す。
【0051】
同図に示すポリシーレベルテーブルには、イベント番号(event_number)が「000」のイベントについては、イベント名(event_name)が「EWS(緊急警報信号)」であり、トリガーポリシーレベル(policy_level)が「4」であることが記述されている。
また、イベント番号(event_number)が「001」のイベントについては、イベント名(event_name)が「EEW(緊急地震速報)」であり、トリガーポリシーレベル(policy_level)が「4」であることが記述されている。
また、イベント番号(event_number)が「002」のイベントについては、イベント名(event_name)が「weather_alart(気象警報)」であり、トリガーポリシーレベル(policy_level)が「3」であることが記述されている。
【0052】
図7は、出力決定テーブルの設定例を示す図である。同図では、XMLにより記述した出力決定テーブルを示しているが、他の記述方式を用いてもよい。出力決定テーブルは、放送とアプリケーションの画面表示方法(レイアウト)と、音声出力方法とをポリシーレベル毎に示すデータである。
【0053】
「policy_level="4"」タグに囲まれた範囲には、ポリシーレベルが「4」である場合の出力方法が記述され、「policy_level="3"」タグに囲まれた範囲には、ポリシーレベルが「3」である場合の出力方法が記述され、「policy_level="2"」タグに囲まれた範囲には、ポリシーレベルが「2」である場合の出力方法が記述され、「policy_level="1"」タグに囲まれた範囲には、ポリシーレベルが「1」の場合の出力方法が記述される。また、「display」タグ内には、画面表示方法が記述され、「sound」タグ内には、音声出力方法が記述されている。
【0054】
「display」タグ内の「authority」タグは、アプリケーションのオーソリティの種別(放送事業者、放送事業者が認定した他事業者、それ以外の提供者)を示し、「overlay」タグは、放送画面上に重ねてアプリケーション画面の表示が可(1)であるか不可(0)であるかを示し、「next_to」タグは、放送画面の横へのアプリケーション画面の表示が可(1)であるか不可(0)であるかを示す。
また、「sound」タグ内の「authority」タグは、アプリケーションのオーソリティの種別を示し、「output」タグは、放送の音声とは独立にアプリケーションの音声出力が可(1)であるか不可(0)であるかを示し、「mix」タグは、放送音声と混合してアプリケーションの音声出力が可(1)であるか不可(0)であるかを示す。
【0055】
例えば、ポリシーレベル(policy_level)が「4」である場合、任意のオーソリティ(authority)については、放送画面上に重ねた表示(overlay)、放送画面の横への表示(next_to)とも「0(不可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「4」の場合、全てのアプリケーションのアプリケーション画面は、放送画面上の表示も、放送画面の横への表示も不可であることを示す。つまり、放送画面のみ表示が許可される。
【0056】
また、ポリシーレベル(policy_level)が「4」である場合、任意のオーソリティ(authority)については、独立した音声の出力(output)、放送音声と混合した出力(mix)とも「0(不可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「4」の場合、全てのアプリケーションの音声は、音声出力が不可であり、放送音声との混合も不可であることを示す。つまり、番組の音声のみ出力が許可される。
【0057】
一方、ポリシーレベル(policy_level)が「1」であり、オーソリティ(authority)が「broadcaster(放送事業者)」、あるいは、「certified(放送事業者が認定する他の事業者)」である場合、放送画面上に重ねた表示(overlay)、放送画面の横への表示(next_to)とも「1(可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「1」の場合、放送事業者提供アプリケーションのアプリケーション画面、及び、認定アプリケーションのアプリケーション画面は、放送画面上の表示も、放送画面の横への表示も可能であることを示す。
【0058】
また、ポリシーレベル(policy_level)が「1」であり、オーソリティ(authority)が「other(その他事業者)」である場合、放送画面上に重ねた表示(overlay)、放送画面の横への表示(next_to)とも「0(不可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「1(可)」の場合、放送事業者提供アプリケーション及び認定アプリケーション以外のアプリケーションについては、のアプリケーション画面の表示が不可であることを示す。
【0059】
また、ポリシーレベル(policy_level)が「1」であり、オーソリティ(authority)が「broadcaster(放送事業者)」、あるいは、「certified(放送事業者が認定する他の事業者)」である場合、独立した音声の出力(output)は「1(可)」、放送音声と混合した出力(mix)は「0(不可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「1」の場合、放送事業者提供アプリケーション、認定アプリケーションとも音声出力が可能であり、放送音声との混合は不可であることを示す。
【0060】
また、ポリシーレベル(policy_level)が「1」であり、オーソリティ(authority)が「other(その他事業者)」である場合、独立した音声の出力(output)、放送音声と混合した出力(mix)とも「0(不可)」であることが記述されている。これは、ポリシーレベルが「1」の場合、放送事業者提供アプリケーション及び認定アプリケーション以外のアプリケーションの音声出力は不可であることを示す。
【0061】
続いて、放送システムの処理手順について説明する。
受信装置4のアプリケーション記憶部411には、予め、1以上のアプリケーションが記憶される。各アプリケーションには、アプリケーションの提供者のデジタル署名が付加されている。受信装置4のアプリケーション実行部412は、アプリケーション記憶部411から1以上のアプリケーションを読み出して実行している。アプリケーション実行部412は、通信入出力部414へコンテンツ配信装置5にコンテンツ要求を送信するよう指示し、通信入出力部414は、インターネットを介してコンテンツ配信装置5へコンテンツ要求を送信する。コンテンツ配信装置5は、コンテンツ要求を受信すると、受信装置4へコンテンツを配信する。受信装置4の通信入出力部414は、インターネットを介してコンテンツ配信装置5から受信したコンテンツをアプリケーション実行部412へ出力する。
【0062】
図8は、受信装置4の処理フローを示す図である。
放送送出装置2の放送送信部21は、デジタル放送の放送信号を放送する。受信装置4の放送受信部401は、放送送出装置2が放送した放送信号を受信すると(ステップS10:YES)、受信した放送信号を復調して分離部402及びイベント解釈部405に出力する(ステップS12)。分離部402は、放送受信部401が放送信号を復調して得たMPEG−2 TS信号を、映像データ、音声データ、データ放送・字幕データ、SIデータなどの番組情報等に分離する(ステップS14)。SIは、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)により提供される各種情報を示す。分離部402は、映像データを表示制御部415に出力し、音声データを音声制御部417に出力し、SIデータをポリシーレベル照合部406に出力し、データ放送・字幕データをイベント解釈部405に出力する。
【0063】
ポリシーレベル照合部406は、SIにより示されるEIT(イベント情報テーブル:Event Information Table)のコンテンツ記述子から、番組のID(event_id)、番組開始時刻及び番組終了時刻、ならびに、ジャンル情報を読み出す(ステップS16)。ポリシーレベル照合部406は、ポリシーデータ管理部403にポリシーレベルテーブルの読み出しを指示する。ポリシーデータ管理部403は、ポリシーデータ記憶部404からポリシーレベルテーブルを読み出してポリシーレベル照合部406へ出力する。ポリシーレベル照合部406は、受信したポリシーレベルテーブルからジャンル情報で示される大ジャンル及び中ジャンルに対応した番組ポリシーレベルを読み出す(ステップS18)。ポリシーレベル照合部406は、番組のID、番組開始時刻及び番組終了時刻、及び、番組ポリシーレベルを設定した番組ポリシーデータをイベント制御部407に出力する。これにより、番組編成の変更などでEITの内容が変更された場合にも、随時その変更をイベント制御部407に通知することができる。
【0064】
イベント制御部407は、ポリシーレベル照合部406から受信した番組ポリシーデータを番組ポリシーデータ記憶部404に書き込む(ステップS20)。イベント制御部407は、番組ポリシーデータ記憶部404に記憶されている番組ポリシーデータが示す番組開始時刻となったことを検出すると、あるいは、処理時間を考慮し、番組開始時刻より所定時間前の時刻となったことを検出すると、その番組開始時刻が設定されている番組ポリシーデータから読み出した番組ポリシーレベルと、番組開始時刻を設定した実行時刻とを、ポリシー調停部409に出力する(ステップS22)。
【0065】
一方、イベント解釈部405は、ステップS12において放送受信部401から入力された放送信号、および、ステップS14において分離部402から入力されたデータ放送・字幕データを解析し、イベントの発生または終了を検出する。放送受信部401は、イベントの発生または終了を検出した場合(ステップS24:YES)、その検出したイベントのイベント番号と、イベントの発生または終了を示すステータスデータをポリシーレベル照合部406に出力する。
【0066】
ポリシーレベル照合部406は、イベント解釈部405からイベント番号を受信すると、上記と同様にポリシーデータ管理部403からポリシーデータ記憶部404内のポリシーレベルテーブルを取得する。ポリシーレベル照合部406は、ポリシーレベルテーブルから、受信したイベント番号に対応したトリガーポリシーレベルを読み出す(ステップS26)。なお、複数のイベント番号を受信した場合、各イベント番号のトリガーポリシーレベルを読み出す。ポリシーレベル照合部406は、イベントのイベント番号と、当該イベントのステータスデータと、トリガーポリシーレベルとを設定したトリガーポリシーデータをポリシー調停部409に出力する(ステップS28)。
【0067】
ポリシー調停部409は、ステップS22においてイベント制御部407から番組ポリシーレベル及び実行時刻を受信すると、受信した番組ポリシーレベル及び実行時刻をポリシーレベル記憶部410に書き込む。また、ポリシー調停部409は、ステップS28においてポリシーレベル照合部406からトリガーポリシーデータを受信すると、受信したトリガーポリシーデータをポリシーレベル記憶部410に書き込む。このとき、受信したトリガーポリシーデータと同一のイベントのイベント番号が設定されているトリガーポリシーデータがすでに記憶されている場合、ポリシー調停部409から受信したトリガーポリシーデータにより上書きする。
【0068】
ポリシー調停部409は、イベントの発生を示すステータスデータが設定されているポリシーデータがポリシーレベル記憶部410に記憶されている場合、イベント発生中であると判断する(ステップS30:YES)。イベント発生中であると判断した場合、ポリシー調停部409は、イベントの発生を示すステータスデータが設定されているポリシーデータから読み出したトリガーポリシーレベルを現在のポリシーレベルとして決定する(ステップS32)。なお、イベントの発生を示すステータスデータが設定されているポリシーデータが複数ある場合、ポリシー調停部409は、最も高いトリガーポリシーレベルを現在のポリシーレベルとして決定する。
【0069】
ポリシー調停部409は、イベントの発生を示すステータスデータが設定されているポリシーデータがポリシーレベル記憶部410に記憶されていない場合、イベントが発生していないと判断する(ステップS30:NO)。イベントが発生していないと判断した場合、ポリシー調停部409は、ポリシーレベル記憶部410を参照して、現在時刻に最も近い実行時刻を特定し、特定した実行時刻に対応した番組ポリシーレベルを読み出す。ポリシー調停部409は、読み出した番組ポリシーレベルを現在のポリシーレベルとして決定する(ステップS34)。
【0070】
ポリシー調停部409は、ステップS32またはステップS34の後、アプリケーション管理部413に起動中のアプリケーションのオーソリティデータを通知するよう要求する。アプリケーション管理部413は、現在起動中のアプリケーションを特定し、特定したアプリケーションのアプリケーションID、当該アプリケーションに付加された電子署名をアプリケーション記憶部411から読み出す。起動中のアプリケーションは複数の場合もある。アプリケーション管理部413は、電子署名により示される事業者を示すオーソリティデータを生成する。アプリケーション管理部413は、起動中のアプリケーションのアプリケーションIDと、当該アプリケーションのオーソリティデータ及び出力状況とをポリシー調停部409に出力する(ステップS36)。
【0071】
ポリシー調停部409は、アプリケーション管理部413へ出力決定テーブルの読み出しを指示する。アプリケーション管理部413は、ポリシーデータ記憶部404から読み出した出力決定テーブルをポリシー調停部409へ出力する。ポリシー調停部409は、アプリケーション管理部413から取得した各アプリケーションのオーソリティデータが示す事業者から、事業者の種別を判断する。ポリシー調停部409は、入力されたポリシーレベルと、各アプリケーションのオーソリティデータが示す事業者の種別とに対応した出力方法(画面表示方法及び音声出力方法)を出力決定テーブルから読み出し、読み出した出力方法による制御を指示する(ステップS38)。具体的には、ポリシー調停部409は、出力状況が画面表示ありを示しているアプリケーションについては、当該アプリケーションのアプリケーションIDと、当該アプリケーションの画面表示方法を表示制御部415に出力する。また、ポリシー調停部409は、出力状況が音声出力ありを示しているアプリケーションについては、当該アプリケーションのアプリケーションIDと、当該アプリケーションの音声出力方法を音声制御部417に出力する。
【0072】
表示制御部415は、ポリシー調停部409から入力されたアプリケーションIDに対応した画面表示方法に従って、放送画面と、アプリケーションIDにより特定されるアプリケーションから出力されるアプリケーション画面の配置や重ね合わせの順序(放送画面の上にアプリケーション画面を表示するなど)を決定する。表示制御部415は、決定した画面の配置や重ね合わせの順序に従った画面を映像表示部416に表示させる。
また、音声制御部417は、ポリシー調停部409から入力されたアプリケーションIDに対応した画面表示方法に従って、放送の音声と、アプリケーションIDにより特定されるアプリケーションの音声出力レベルを決定し、決定した音声出力レベルに従って音声を音声出力部418から出力させる(ステップS40)。
【0073】
なお、上記実施形態においては、イベントの発生中は、トリガーポリシーレベルを番組ポリシーレベルより優先しているが、トリガーポリシーレベルと番組ポリシーレベルのいずれか高いほうを優先してもよい。具体的には、ステップS32において、ポリシー調停部409は、イベントの発生を示すステータスデータが設定されているポリシーデータからトリガーポリシー読み出す。さらに、ポリシー調停部409は、ポリシーレベル記憶部410を参照して、現在時刻に最も近い実行時刻を特定し、特定した実行時刻に対応した番組ポリシーレベルを読み出す。ポリシー調停部409は、トリガーポリシーレベルの示す値が番組ポリシーレベルの示す値よりも大きいと判断した場合、トリガーポリシーレベルを現在のポリシーレベルとして決定し、トリガーポリシーレベルの値が番組ポリシーレベルの値以下であると判断した場合、番組ポリシーレベルを現在のポリシーレベルとして決定する。
【0074】
また、ポリシーデータの更新の必要性がある場合、データ管理装置3の入力部31は、更新されたポリシーデータと、バージョンデータと、配信経路との入力を受ける。配信経路がインターネットによる配信を示している場合、データ管理装置3の送信部32は、インターネットを経由して受信装置4へ更新されたポリシーデータとバージョンデータを送信する。受信装置4の通信入出力部414は、受信したポリシーデータとバージョンデータをポリシーデータ管理部403へ出力する。
【0075】
ポリシーデータ管理部403は、通信入出力部414から入力されたバージョンデータがポリシーデータ記憶部404に現在に記憶されているバージョンデータよりも新しいバージョンを示している場合、ポリシーデータ記憶部404に現在記憶されているポリシーデータ及びバージョンデータを、入力されたポリシーデータ及びバージョンデータに更新する。
【0076】
一方、配信経路が放送による配信を示している場合、データ管理装置3の指示部33は、更新されたポリシーデータ及びバージョンデータを放送送出装置2に出力する。放送送出装置2の放送送信部21は、データ管理装置3から受信したポリシーデータ及びバージョンデータをバイナリデータとしてセクション形式で、あるいは、エンジニアリングサービスで放送信号により放送する。受信装置4の放送受信部401において受信され、復調された放送信号は、分離部402に出力される。分離部402は、ポリシーデータ及びバージョンデータを放送信号から分離し、ポリシーデータ管理部403に出力する。ポリシーデータ管理部403は、上記と同様に、入力されたバージョンデータが示すバージョンが新しい場合、ポリシーデータ記憶部404に現在記憶されているポリシーデータ及びバージョンデータを入力されたポリシーデータ及びバージョンデータに更新する。
【0077】
上記実施形態においては、オーソリティデータがアプリケーションの提供者を示す場合を示しているが、他の情報を用いてもよい。例えば、オーソリティデータがアプリケーションの提供者の種別自体を示してもよく、アプリケーションの出力を制限する度合いに従ってレベル分けたした値を用いてもよい。また、例えば、アプリケーションの提供者と関係なく、放送事業者がアプリケーション個々に放送事業者認定か否かを決定し、この放送事業者認定か否かを示す情報をオーソリティデータとして用いてもよい。ポリシーテーブルには、ポリシーレベル及びオーソリティデータ毎に出力方法を記述する。また、オーソリティデータに代えて、各アプリケーションを特定する識別子を用いてもよい。
【0078】
なお、オーソリティデータに、アプリケーションの出力を制限する度合いに従ってレベル分けたした値を用いる場合、放送送出装置2から放送信号により、あるいは、データ管理装置3からインターネットを経由した通信により各アプリケーションのオーソリティデータを送信してもよい。アプリケーション管理部413は、アプリケーション記憶部411に記憶されている各アプリケーションのオーソリティデータを、放送信号により、あるいは、インターネットを経由した通信により受信した各アプリケーションのオーソリティデータにより更新する。また、送信するオーソリティデータに、番組、イベント、あるいは、有効期間の情報を付加してもよい。
図8のステップS36において、アプリケーション管理部413は、起動中のアプリケーションと、現在放送されている番組あるいは現在発生しているイベントとに対応し、現在時刻が有効期間内であるオーソリティデータを読み出し、ポリシー調停部409に出力する。これにより、放送事業者の意向に従って、各アプリケーションの出力を制御することができる。
【0079】
また、アプリケーションは、インターネットを経由して取得したコンテンツを表示するものでなくともよい。例えば、受信装置4が備える時計に基づく時刻を表示するアプリケーションや、受信装置4が備えるバッテリーの残量を表示するアプリケーションなどであってもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、放送信号により電子番組表の情報を受信装置4に配信しているが、データ管理装置3からインターネットを介して電子番組表の情報を受信装置4に送信してもよい。受信装置4の通信入出力部414は、受信した電子番組表の情報をポリシーレベル照合部406へ出力し、ポリシーレベル照合部406は、受信した電子番組表の情報から放送番組のジャンル情報と、放送開始時刻及び放送終了時刻を取得する。
【0081】
また、データ管理装置3は、イベントのイベント番号と、ステータスデータを設定したイベント通知情報を、インターネットを介して受信装置4に送信してもよい。受信装置4の通信入出力部414は、イベント通知情報をポリシーレベル照合部406に出力する。
ポリシーレベル照合部406は、受信したイベント通知情報からイベントのイベント番号と、ステータスデータを取得する。
【0082】
また、上記実施形態において、受信装置4は、放送信号から番組のジャンルを抽出し、抽出した番組のジャンルに対応した番組ポリシーレベルをポリシーレベルテーブルから読み出しているが、放送送出装置2が、番組ポリシーレベルを放送信号に設定して放送してもよい。受信装置4のポリシーレベル照合部406は、受信した放送信号から番組ポリシーレベルを読み出す。あるいは、データ管理装置3が番組ポリシーレベルを受信装置4へ送信してもよい。受信装置4の通信入出力部414は、受信した番組ポリシーレベルをポリシーレベル照合部406に出力する。
【0083】
また、上記実施形態においては、受信装置4は、放送信号からイベントの発生を検出し、検出したイベントに対応したトリガーポリシーレベルをポリシーレベルテーブルから読み出しているが、放送送出装置2が、発生しているイベントのトリガーポリシーレベルを放送信号に設定して放送してもよい。受信装置4のポリシーレベル照合部406は、受信した放送信号からトリガーポリシーレベルを読み出す。あるいは、データ管理装置3がトリガーポリシーレベルを受信装置4へ送信してもよい。受信装置4の通信入出力部414は、受信したトリガーポリシーレベルをポリシーレベル照合部406に出力する。
【0084】
ポリシーレベル(番組ポリシーレベル、トリガーポリシーレベル)を放送信号に設定して放送する場合、ポリシーレベルは、放送信号に含まれるPMT(番組対応テーブル:Program Map Table)、AIT(アプリケーション情報テーブル:Application Information Table)、またはEITに記述される。受信装置4のポリシーレベル照合部406は、放送信号に含まれるPMT、AIT、またはEITからポリシーレベルを読み出す。
【0085】
図9は、PMTにポリシーレベルを記述した例を示す図である。同図の例では、ポリシーレベルを設定するために、ARIB STD−B23に規定されているait_identifier_info()記述子を一部定義しなおしている。
PMTは、一つの放送番組に対応しており、その放送番組のTS(トランスポート・ストリーム:Transport Stream)パケットを特定するための情報を含んでいる。TSパケットは、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2により圧縮された放送番組の映像データや音声データであるES(エレメンタリー・ストリーム:Elementary Stream)を伝送するものである。さらに、PMTには、AITのESを伝送するTSパケットを特定するための情報も含まれている。AITのESを伝送するTSパケットを特定するための情報の中には、AITのESに対するデータ符号化方式を示す記述子が含まれている。ait_identifier_info()記述子は、AITのESに対するデータ符号化方式を示す記述子に記述される。なお、AITは、アプリケーションを特定したり制御したりするための付加的なアプリケーション情報を含む。
【0086】
同図に示すように、ait_identifier_info()記述子に、ポリシーレベルを設定するための新たなデータとしてpolicy_levelが追加されている。放送送出装置2は、ポリシーレベルを、この追加されたpolicy_levelに設定する。
【0087】
図10は、AITにポリシーレベルを記述した例を示す図である。同図に示すように、この記述例では、セキュリティポリシー記述子(security_policy_descriptor())を新たに定義する。そして、ARIB STD−B23で規定されているAITの共通記述子ループにこの新たに定義したセキュリティポリシー記述子を追加する。セキュリティポリシー記述子には、ポリシーレベルを設定するためのデータとしてpolicy_levelが含まれる。放送送出装置2は、ポリシーレベルをこのセキュリティポリシー記述子のpolicy_levelに設定する。ポリシーレベルの設定値を更新した場合、放送送出装置2は、AIT内に含まれるデータであるversion_numberの設定値も更新する。
【0088】
図11は、EITにポリシーレベルを記述した例を示す図である。
同図の例では、ポリシーレベルを設定するために、EITのイベント情報セクションにイベントセキュリティ記述子(event_security_descriptor())を新たに定義する。イベントセキュリティ記述子には、ポリシーレベルを設定するためのデータとしてpolicy_levelが含まれる。放送送出装置2は、ポリシーレベルをこのイベントセキュリティ記述子のpolicy_levelに設定する。
【0089】
また、EITに追加した上記のイベントセキュリティ記述子には、アプリケーションを指定するアプリケーション識別子と、アプリケーション識別子で指定されるアプリケーションの状態を制御するための制御コードとを含めてもよい。同図の例では、イベントセキュリティ記述子には、アプリケーション識別子としての記述子application_identifier()と、制御コードを指定するためのデータapplication_control_codeと、アプリケーションを伝送するプロトコルを指定するためのデータprotocol_idと、放送番組に連動するアプリケーションであるか否かを指定するためのデータassociated_application_flagとが含まれる。
【0090】
図12は、アプリケーション識別子としての記述子application_identifier()のデータ構造を示す図である。application_identifier()には、アプリケーションを作成した組織を指定するためのデータorganization_idと、アプリケーションを識別する番号を指定するためのデータapplication_idとが含まれる。application_idは、アプリケーションを作成した組織内で一意に付与される番号である。
【0091】
図13は、アプリケーションの状態を制御するための制御コード(application_control_code)の一例を示す図である。
同図に示すように、識別名「AUTOSTART」(コード「0x01」)は、アプリケーションの自動起動を示す制御コードである。また、識別名「PRESENT」(コード「0x02」)は、アプリケーションのスタンバイを示す制御コードである。また、識別名「DESTROY」(コード「0x03」)は、アプリケーションの終了を示す制御コードである。また、識別名「KILL」(コード「0x04」)は、アプリケーションの強制終了を示す制御コードである。また、識別名「REMOTE」(コード「0x06」)は、間接アプリケーションを示す制御コードである。また、識別名「DISABLED」(コード「0x07」)は、アプリケーションの不使用を示す制御コードである。また、識別名「KILL ALL」(コード「0x08」)は、全てのアプリケーションの強制終了を示す制御コードである。
【0092】
なお、制御コードは、AITまたはPMTに記述してもよい。
図14は、AITに制御コードを記述した例を示す図である。
同図に示す例では、制御コードを設定するために、ARIB STD−B23に規定されているapplication_information_section()記述子を一部定義しなおしている。
同図に示すように、application_information_section()記述子に、アプリケーション識別子を指定する記述子application_identifier()と、制御コードを指定するためのデータapplication_control_codeとが新たに追加されている。このapplication_identifier()のデータ構造は、
図12に示したものと同様である。また、application_control_codeに設定される値は、
図13に示したものと同様である。
【0093】
なお、上述した例では、PMT、AIT、またはEITのうち同一のテーブルにポリシーレベルおよび制御コードを記述しているが、ポリシーレベルと制御コードとを異なるテーブルに記述してもよい。例えば、ポリシーレベルをEITに記述し、制御コードをAITに記述してもよい。或いは、ポリシーレベルをPMTに記述し、制御コードをAITに記述してもよい。
【0094】
受信装置4は、放送信号に制御コードが設定されている場合、放送信号に設定されている制御コードに基づいてアプリケーションの状態を制御する。
図15は、制御コードに基づいてアプリケーションの状態を制御する場合における受信装置4bの内部構成を示すブロック図である。同図において、
図4に示す受信装置4と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、受信装置4bが
図4に示す受信装置4と異なる点は、アプリケーション制御部430を更に備える点である。
【0095】
アプリケーション制御部430は、放送信号に含まれるPMT、AIT、またはEITからアプリケーション識別子と制御コードを読み出し、読み出したアプリケーション識別子のアプリケーションに対して読み出した制御コードが示す処理を行う。例えば、アプリケーション制御部430は、放送信号に含まれるPMT、AIT、またはEITに全てのアプリケーションの強制終了を示す制御コード(識別名「KILL ALL」)が設定されている場合、アプリケーション実行部412において実行されている全てのアプリケーションを終了する。
これにより、緊急のイベントが発生した場合などには、放送事業者側から現在実行されている全てのアプリケーションの終了を放送信号で指示することにより、受信装置において表示されている全てのアプリケーションの画面表示を終了させ、コンテンツ(放送番組)の表示画面のみを表示させることが可能となる。
【0096】
また、上記実施形態においては、オーソリティデータが示すアプリケーションの属性として{「放送事業者提供アプリケーション」,「認定アプリケーション」}を用いたが、例えば、{「公式アプリケーション」,「非公式アプリケーション」}をアプリケーションの属性として用いてもよい。公式アプリケーションは、システム管理者に承認されたアプリケーションである。また、非公式アプリケーションは、システム管理者に承認されないアプリケーションである。なお、公式アプリケーションを、認証済アプリケーション、認定アプリケーション、オーソライズドアプリケーション、A(Authorized)タイプアプリケーション、Aアプリケーションとも呼ぶ。また、非公式アプリケーションを、一般アプリケーション、非認証アプリケーション、非認定アプリケーション、U(Unauthorized)タイプアプリケーション、Uアプリケーションとも呼ぶ。
【0097】
アプリケーション管理部413は、アプリケーションに付加されている電子署名の検証が成功した場合、公式アプリケーションを示すオーソリティデータを生成し、電子署名が付加されていない場合、非公式アプリケーションを示すオーソリティデータを生成する。
【0098】
また、上記実施形態においては、受信装置4は、ポリシーレベルに応じて出力方法を決定しているが、実行しているアプリケーションの属性に応じて出力方法を決定してもよい。この場合、放送送出装置2は、各属性に対応する出力方法を示すデータを放送信号に設定して伝送する。例えば、画面表示方法を示すデータを放送信号により送信する場合、放送送出装置2は、アプリケーションの各属性に表示制御情報を付与した表示制御データ(例えば、{公式アプリケーション 1,非公式アプリケーション 0})を放送信号に設定する。表示制御データは、PMT、EIT、または、AITに記述する。表示制御情報は、放送画面およびアプリケーション画面の表示方法を示すデータである。
【0099】
なお、上記の例では、アプリケーションの各属性に対応する出力方法を個々に設定して送信することとしたが、アプリケーションの属性を指定せず、全てのアプリケーションに対して一意の出力方法を送信しても良く、また、アプリケーションの属性は単一としても良い。さらにまた、各属性に対応する出力方法の一覧を受信装置4側で用意し、そのいずれかを指定するデータを放送信号に設定して伝送することとしても良い。
【0100】
図16は、アプリケーションの属性に応じた画面表示方法の一例を示す図である。同図においては、放送画面とアプリケーション画面の計2つの表示画面の関係を示している。
【0101】
図16(a)に示すように、表示制御情報が「0」の場合、放送画面の全画面表示のみが許可される。
図16(b)に示すように、表示制御情報が「1」の場合、アプリケーション画面の表示が許可される。また、アプリケーション画面の放送画面上への重ね合わせが許可される。
【0102】
図16(c)〜(e)に示すように、表示制御情報が「L1」、「L2」、または「L3」の場合、アプリケーション画面の表示が許可される。ただし、アプリケーション画面の放送画面上への重ね合わせは禁止され、放送画面の外側への表示のみが許可される。
【0103】
図17は、アプリケーションの属性に応じて画面表示方法を決定する場合における受信装置4aの内部構成を示すブロック図である。同図において、
図4に示す受信装置4と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、受信装置4aが
図4に示す受信装置4と異なる点は、ポリシーデータ管理部403、ポリシーデータ記憶部404、イベント解釈部405、ポリシーレベル照合部406、イベント制御部407、番組ポリシー記憶部408、ポリシー調停部409、およびポリシーレベル記憶部410に代えて、表示制御データ管理部420、表示制御データ記憶部421、および提示制御部422を備える点である。
【0104】
分離部402は、放送受信部401において復調され、出力された放送信号を、PMT、映像、音声、字幕、データ放送、PSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)、独立エレメンタリストリーム(ES)で送信されたAITなどの各種データに分離する。なお、AITはデータ放送に含まれる場合もある。
【0105】
表示制御データ管理部420は、分離部402において分離されたPMT、EITまたはAITから表示制御データを読み出し、読み出した表示制御データを表示制御データ記憶部412に書き込む。また、表示制御データ管理部420は、新たに表示制御データが入力されると、表示制御データ記憶部421に記憶している表示制御データを、入力された表示制御データに更新する。
表示制御データ記憶部412は、表示制御データを記憶する。
提示制御部422は、アプリケーション実行部412が実行しているアプリケーションの属性に対応する表示制御情報を表示制御データ記憶部421に記憶されている表示制御データから読み出し、読み出した表示制御情報の画面表示方法を表示制御部415に出力する。
【0106】
[6.効果]
上記実施形態によれば、受信装置において、放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力方法を、放送番組ごと、あるいは、放送番組とは非同期に発生するイベントごとに決定する。従来は、コンテンツの表示方法を決定する制御情報を各番組と紐付けているため、番組とは無関係に配信される緊急地震速報やニュース速報など、緊急性や速報性のあるような情報については、他のコンテンツとの表示を制御することができなかった。しかし、本実施形態によれば、放送番組単位だけでなく、番組の内容とは無関係に配信される緊急性や速報性のあるような情報についても、放送およびアプリケーションの画面表示および音声出力を制御することができる。
【0107】
また、上記実施形態によれば、受信装置において、各アプリケーションの属性を管理し、その属性に応じて放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力方法を決定する。これにより、放送番組を配信する事業者(放送事業者)が、アプリケーションの提供者などの属性に合わせて、放送とアプリケーションの画面表示および音声出力を制御することができる。
【0108】
また、上記実施形態によれば、受信装置において、デジタル放送の信号に多重される番組制御情報を解析して番組の属性を抽出し、番組の属性ごとに放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力方法を規定した情報を参照して、番組の編成に合わせた画面表示方法および音声出力方法を決定する。これにより、放送信号に多重されている番組の属性を用いて画面表示および音声出力の制御を行うため、放送事業者側の送出設備を改修することなく番組単位の制御を実現することができる。
【0109】
また、上記実施形態によれば、受信装置において、デジタル放送信号を解析することによって放送番組とは非同期に発生するイベントを抽出し、イベントの種別ごとに放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力を規定した情報を参照して、イベントの発生および終了に応じた画面表示方法および音声出力方法を決定する。これにより、放送事業者側の送出設備を改修することなくイベント単位の画面表示方法および音声出力方法の制御を実現することができる。
【0110】
また、上記実施形態によれば、受信装置において、番組の属性ごとに放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力方法を規定した情報と、イベントの種別ごとに放送とアプリケーションの画面表示方法および音声出力方法を規定した情報と、デジタル放送の信号を解析して放送番組とは非同期に発生するイベントを抽出するプログラムを放送または通信により更新する。これにより、放送事業者の事情により、画面表示および音声出力の制御方法を変更したい場合に、その変更を容易に受信装置に配信することができる。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、放送通信連携サービスに対応した受信装置において、放送番組や放送番組とは独立して発生するイベントに応じて、放送とアプリケーションの画面表示及び音声出力を制御する。これにより、放送事業者の意図に基づいた画面表示及び音声出力を行なうことができる。従って、受信装置に、番組制作者の演出意図にそぐわない配置によってアプリケーションの画面が放送画面上に重なって表示されたり、アプリケーションの音声が放送の音声に混じってしまったりすることがない。加えて、視聴者が、受信装置において表示されているコンテンツが、放送により提供されているコンテンツであるのか、アプリケーションにより表示されているコンテンツであるのか混乱をきたすことがないという効果も期待される。また、緊急地震速報などの緊急性の高い情報を放送する際にも、放送画面の上にアプリケーション画面を重ね合わせないように制御することができるため、視聴者への情報伝達の確実性が向上する。さらに、受信装置側の機能の追加のみで本実施形態の機能を実現することが可能であるため、放送送出設備の設備改修のためのコストがかからないという効果も見込まれる。
【0112】
[7.その他]
なお、上記実施形態では、ポリシーレベルが高いほど大きな数値のデータで表していたが、ポリシーレベルの段階の順序を表すことができれば、他のデータ表現を用いても良い。
【0113】
上述した放送送出装置2、データ管理装置3、受信装置4、及び、コンテンツ配信装置5は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、放送送出装置2、データ管理装置3、受信装置4、及び、コンテンツ配信装置5の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0114】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。