特許第5909365号(P5909365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909365
(24)【登録日】2016年4月1日
(45)【発行日】2016年4月26日
(54)【発明の名称】接触プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/012 20060101AFI20160412BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20160412BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20160412BHJP
【FI】
   G01B5/012
   G01B21/00 P
   G01B11/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-730(P2012-730)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-140094(P2013-140094A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】日高 和彦
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02950441(FR,A1)
【文献】 特開2011−017552(JP,A)
【文献】 特開2007−218734(JP,A)
【文献】 独国特許発明第102005037160 (DE,B4)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が被測定物に接触するとともに接触に応じて姿勢が変化するように保持されたスタイラスと、前記スタイラスの姿勢を光学的に検出する光学検出手段とを備え、姿勢情報から被測定物の接触位置の座標を取得する接触プローブにおいて、
前記スタイラスには、前記光学検出手段の照射対象になる被照射部が設けられ、この被照射部には3以上の反射面が形成され、
前記光学検出手段は、
前記各反射面への照射光を伝搬する3以上のファイバと、
前記各ファイバに所定の波長幅のスペクトルを示す照射光を供給する光源と、
前記ファイバおよび対応する前記反射面の間の光軸上にそれぞれ設けられて前記各ファイバからの照射光をそれぞれ集光する集光レンズ群と、
波長幅に応じた照射光の焦点位置の範囲内にある前記各反射面からの各反射光を前記各ファイバ経由で受光して、各反射光の波長を検出する波長検出器と、を有し、
前記波長検出器は、
前記各ファイバ経由で受光した各反射光を互いに平行な光にする3以上のレンズからなる並行レンズ群と、
前記並行レンズ群からの各光の照射を受けてその波長に応じた方向にそれぞれ出射する分光素子と、
前記分光素子からの出射方向に応じた各出射光を3以上のレンズによってそれぞれ集光する検出レンズ群と、
前記検出レンズ群で集光された3以上の光の焦点位置をそれぞれ検出する受光素子群と、を含み、
前記受光素子群は、前記分光素子からの出射方向に応じた3以上の光の焦点位置の各範囲をカバーする複数の素子からなり、前記複数の素子が一平面上に配置され、検出する焦点位置に基づいて各光の波長を算出し、
前記光学検出手段は、前記3以上の反射面と集光レンズ群との各間隔の変化によって生じる各反射光の波長変化に基づいて、前記スタイラスの姿勢情報を算出することを特徴とする接触プローブ。
【請求項2】
請求項記載の接触プローブにおいて、
前記被照射部に形成された3以上の反射面は、プローブ軸をその軸とする円錐面上あるいは逆円錐面上に配置されていることを特徴とする接触プローブ。
【請求項3】
請求項記載の接触プローブにおいて、
前記被照射部に形成された3以上の反射面は、プローブ軸に直角な平面上に配置されていることを特徴とする接触プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の波長検出器、および、これを用いた接触プローブに関する。特に、三次元測定機用の倣いプローブやタッチトリガープローブなどの接触プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の三次元測定機用の接触プローブには、スタイラス(可動体)の姿勢を三角測量する光学検出方式、可動体の移動量をリニアスケールで検出する光学検出方式、可動体の弾性変形部に電歪素子を配置し、歪量を検出することで可動体の姿勢を検出する方式等、様々な方式が存在する。このようなスタイラスの姿勢検出器は、内界センサとして接触プローブの筐体に内蔵されている。例えば、3つのLEDからの光をスタイラス上部の反射ミラーの3つの反射面に当てて、3つの反射光の光量を光センサが検出する。スタイラスの姿勢変化により反射ミラーが変位するので、3つの反射光の反射方向がそれぞれ変化し、光センサ上の入射位置がシフトする。そして、光センサが、それぞれの反射光のシフト量を検出することにより、スタイラスの姿勢変化を算出する。このようなLEDの光を用いたスタイラスの姿勢の光学検出方式が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−218734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の検出方式には以下の課題が有った。まず、光学検出方式の場合、プローブ内の光源や受光素子群のような熱源が原因となって、倣いプローブの高精度化が進む中、プローブ内部の熱源のよるプローブの熱変形がサブミクロンオーダでは無視できない誤差要因となっている。一方で、S/N(SN比)を高めるためには、光学検出方式における受光素子群をできるだけ可動体の近傍に配置することが常套手段である。このような背景から、従来の光学検出方式では、熱源による可動体の熱変形の問題と、S/Nの問題はトレードオフの関係にあった。
【0005】
特に、光学検出方式のうちの三角測量の場合、受光(検出)素子として2分割あるいは4分割のPSD(光位置センサ;position sensor device)が広く用いられている。PSDは高速検出が可能であるという利点があるが、PSDは光量の重心値を検出する方式であり、可動体の姿勢データと電気ノイズや振動ノイズとを分離することが困難である。また、被測定物の姿勢を検出するには機能性に問題があった。
【0006】
次に、PZTに代表される電歪素子を用いる方式では、当該圧電素子が、衝撃による破損やスタイラス交換の困難性の問題を有することから、一般的にその取り扱いが難しい。
【0007】
本発明の目的は、異なる波長の3以上の光の波長を検出できる波長検出器、および、この波長検出器を用いてスタイラスの姿勢を光学的に検出できる接触プローブを提供することである。特に、波長検出器については、3以上の光の波長を簡単な光学素子の構成によって同時に、しかも、高い精度で検出できること、また、接触プローブについては、光源や受光素子群などの熱源をプローブ本体の筐体から隔離可能であり、該熱源を隔離しても高い精度での測定が可能であり、さらに、容易に取り扱うことができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
なわち、本発明に係る接触プローブは、先端が被測定物に接触するとともに接触に応じて姿勢が変化するように保持されたスタイラスと、前記スタイラスの姿勢を光学的に検出する光学検出手段とを備え、姿勢情報から被測定物の接触位置の座標を取得するように構成されている。
前記スタイラスには、前記光学検出手段の照射対象になる被照射部が設けられ、この被照射部には3以上の反射面が形成されている。
前記光学検出手段は、
前記各反射面への照射光を伝搬する3以上のファイバと、
前記各ファイバに所定の波長幅のスペクトルを示す照射光を供給する光源と、
前記ファイバおよび対応する前記反射面の間の光軸上にそれぞれ設けられて前記各ファイバからの照射光をそれぞれ集光する集光レンズ群と、
波長幅に応じた照射光の焦点位置の範囲内にある前記各反射面からの各反射光を前記各ファイバ経由で受光して、各反射光の波長を検出する波長検出器と、を有する。
波長検出器は並行レンズ群、分光素子、検出レンズ群、および、受光素子群を有して構成される。
並行レンズ群は、前記3以上の反射光から取り出された各光を3以上のレンズによって互いに行な光にする。
分光素子は、前記並行レンズ群からの各光の照射を受けてその波長に応じた方向にそれぞれ出射する。
検出レンズ群は、前記分光素子からの出射方向に応じた各出射光を3以上のレンズによってそれぞれ集光する。
受光素子群は、前記検出レンズ群で集光された3以上の光の焦点位置をそれぞれ検出する。
そして、前記受光素子群は、前記分光素子からの出射方向に応じた3以上の光の焦点位置の各範囲をカバーする複数の素子からなり、前記複数の素子が一平面上に配置され、検出する焦点位置に基づいて各光の波長を算出する。
光学検出手段は、前記3以上の反射面と集光レンズ群との各間隔の変化によって生じる各反射光の波長変化に基づいて、前記スタイラスの姿勢情報を算出するように構成されている。
【0009】
この構成によれば、3以上の光について、各波長を同時に検出することができる。具体的には、焦点位置を検出することにより、光の波長を特定している。
分光素子によって、並行レンズ群からの3以上の光は、それぞれの波長に応じた方向に進行する。並行レンズ群を用いるので、3以上の光が光ファイバなどからの放射光であっても、効率よく互いに並行する光を作り出せる。分光素子としては、プリズムや回折格子を利用できるが、特に、省スペース化のためには回折格子を採用することが好ましい。
また、分光素子の出射側に検出レンズ群を設けている。分光素子からの各光は、対応する個々の検出レンズで集光されて、その後段に設けられた受光素子群の受光面で焦点を結ぶ。
さらに、受光素子群は複数の素子からなる多素子型であるので、受光素子群に集光された光の強度は複数の素子によって検出される。そのため、焦点位置を中心とする複数の素子にまたがった強度分布が得られ、そのピーク位置を焦点位置として検出することができる。この際、1つの平面上に複数の素子を配置し、この素子群に3つの光を互いに干渉しない位置関係で照射すれば、1つの受光素子群によって、同時に3つの光の波長が独立して検出される。なお、受光素子群としては、複数の素子が一列に並んでいる素子列(ラインイメージセンサとも呼ばれる。)を採用できるが、CCD等いわゆるエリアセンサでも構わない。
並行レンズ群および検出レンズ群を使うことで、分光素子と受光素子群をそれぞれ1つの共通部品とすることができ、3以上の光ごとに分光素子と受光素子群を個別に設ける必要が無くなる。そのため、個別に設けた場合のアライメント調整の手間が省け、光学特性の個体差や個々のアライメントによって生じる検出誤差などの影響を排除することができる。このように、本発明によれば、3以上の光の各波長を簡単な光学素子の構成によって同時に、しかも、高い精度で検出することができる。
【0010】
また、前記受光素子群は、複数の素子が一列に並んでいる素子列を複数含み、これらの複数の素子列を一平面上に配置して構成されたものであることが好ましい。
発明者らは、光の強度分布からピーク位置を検出することにより波長を特定するのであれば、最低1列の素子列さえあれば光の波長を検出することができることに着目し、この考えを3以上の光の波長検出の場合に応用した。すなわち、受光面に複数の素子列を配置して、各光が少なくともいずれかの素子列によって検出されるようにした。この構成によれば、例えばCCDのように受光面全体に隙間無く素子が配置されているものと比較して、必要な素子の数を大幅に削減することができ、無駄な素子による信号処理時間を省くことができる。その結果、信号処理スピードが高まり、測定の高速化を実現することができる。
【0011】
また、前記各素子列は、前記分光素子からの出射光の波長に応じた方向の変化に対して、その変化範囲をカバーする方向に並んでおり、対応する光の波長を特定することが好ましい。
この構成では、各素子列が、対応する検出レンズからの光の取り得る焦点位置の範囲をカバーして、各素子列に対応する光の波長を特定する。すなわち、1つの光の波長はいずれか1つの素子列によって検出される。この結果、受光面のなかで素子の無い部分に光が焦点を結んでしまうようなことを確実に避けることができる。
【0013】
この構成によれば、光源や受光素子群などの熱源をプローブ本体の筐体から隔離可能であり、該熱源を隔離しても高い精度での測定が可能であり、さらに、容易に取り扱うことができる。
【0014】
また、前記被照射部に形成された3以上の反射面は、プローブ軸をその軸とする円錐面上あるいは逆円錐面上に配置されていることが好ましい。あるいは、前記被照射部に形成された3以上の反射面は、プローブ軸に直角な平面上に配置されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明の一実施形態に係る接触プローブの全体構成図であり、(B)〜(D)は接触プローブの姿勢の検出原理を説明するための図である。
図2】(A)〜(D)は、前記スタイラスが鉛直上方に移動した場合の姿勢変化の検出原理を説明するための図である。
図3】(A)〜(D)は、前記スタイラスが鉛直下方に移動した場合の姿勢変化の検出原理を説明するための図である。
図4】(A)〜(D)は、前記スタイラスが傾いた場合の姿勢変化の検出原理を説明するための図である。
図5】(A)、(B)は、環境変化によって前記スタイラスの基準姿勢が変化した場合の姿勢変化の検出原理を説明するための図である。
図6】前記接触プローブの変形例を示す図である。
図7】(A)は前記接触プローブの着脱部についての説明図であり、(B)は着脱部の変形例についての説明図である。
図8】前記接触プローブの変形例についての全体構成図であり、可動体の反射面を4箇所とするものである。
図9】前記接触プローブの別の変形例についての全体構成図であり、4つの光ファイバを伝搬された4つの反射光の光軸を平面配列としたものである。
図10】前記接触プローブの更に別の変形例についての全体構成図であり、4つの素子列を四角形の周上に配置したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一実施形態に係る接触プローブ10について図面に基づいて説明する。
図1に示す接触プローブ10は、三次元測定機用の倣いプローブである。同図(A)のように、接触プローブ10は、被測定物Wとの接触によって姿勢が自在に変化する可動体20と、可動体20の姿勢を光学的に検出する光学検出手段30とを備え、その姿勢情報から被測定物Wの接触位置の座標を取得する。本実施形態では倣いプローブに関する。従って、可動体20が被測定物Wと接触した状態を保って、プローブ10を表面に沿って移動させると、可動体20の姿勢が連続的に検出されて、被測定物Wの表面性状(粗さ上方や凹凸情報等)を測定することができる。なお、本発明の接触プローブ10をタッチトリガープローブとして用いることもできる。
【0017】
<可動体>
可動体20は、スタイラス22と、スタイラス22の上端に設けられた被照射部24とからなる。スタイラス22は、その下端の接触部26が被測定物Wに接触するとともに、その接触状態に応じて姿勢が変化する。被照射部24はスタイラス22と一体に形成されており、光学検出手段30の照射対象になる。スタイラス20の保持機構については詳しく説明しないが、例えば、特許文献1に記載のような切込みを有する支持プレートによって、被照射部24をプローブ本体の筐体60に保持させてもよい。スタイラス22の接触部26が被測定物Wに接触すると、支持プレートの弾性変形によってスタイラス22の姿勢が自在に変化する。
【0018】
被照射部24の上部は、円錐体に形成されている。この円錐面上の3箇所に反射面28が形成されている。反射面28の表面は粗面である。これは、照射光が特定の反射角に反射することを抑えて、照射光の大部分を表面にて散乱させ、可動体20の傾き角に対する姿勢(角度)検出可能範囲を広げるためである。
【0019】
<光学検出手段>
光学検出手段30は、光源32、ファイバ伝搬部(3以上のファイバ)34、集光レンズ群36、および、波長検出器40を有して構成される。
光源32は、ファイバ伝搬部34に所定の波長幅のスペクトルを示す光、例えば白色光を照射光として供給する。
【0020】
ファイバ伝搬部34は、3つのファイバ経路を構成する。1つ目の経路34Aは、光源32から第1反射面28Aに照射光を伝搬するとともに、第1反射面28Aからの反射光を波長検出器40に伝搬する経路である。経路の途中には、分岐部34Dが設けられており、分岐部34Cから集光レンズ群36までのファイバは照射光と反射光の両方が通過する。2つ目、3つ目の経路34B,34Cも、1つ目の経路34Aと同様に、それぞれ、光源32から第2反射面28B、第3反射面28Cに各照射光を伝搬するとともに、第2反射面28B、第3反射面28Cからの各反射光を波長検出器40に伝搬する。照射光の出口となる3つのファイバの先端は、可動体20の被照射部の上方にプローブ軸(スタイラス22の長手方向の中心軸)を中心に120度ピッチで配置されている。
【0021】
集光レンズ群36は、ファイバおよび対応する反射面28の間の光軸上にそれぞれ設けられた集光レンズから構成され、各ファイバからの照射光をそれぞれ反射面28に向けて集光する。本実施形態では、2組のレンズアレイ37,38を用いて、前段のレンズアレイ37によりファイバの各出口から放射される照射光を集めて、互いに並行する直線光にする。そして、後段のレンズアレイ38により各直線光をそれぞれ対応する反射面28に向けて集光する。
【0022】
ここで、後段のレンズアレイ38の位置調整を説明する。スタイラス22の基準姿勢の状態で、集光レンズ群36からの照射光が反射面28で焦点を結ぶように、反射面28に対して後段のレンズアレイ38の相対的な位置関係を調整する。「基準姿勢」とは、スタイラスの接触部26が被測定物Wと接触していない状態、つまり、可動体20に外力が作用していない状態での姿勢を示す。
【0023】
照射光は所定の波長域のスペクトルを示す光であるので、集光レンズ群36による照射光の焦点位置は、波長に応じて照射光の光軸上で変化する。つまり、所定の焦点範囲がある。よって、厳密には、接触プローブ10の使用条件に応じて、どの波長の焦点位置を反射面28に合わせるかによって調整状態が異なる。例えば、スタイラス22の基準姿勢の状態で、照射光の波長域の中間波長の焦点位置を反射面28に合わせてもよい。この場合は、スタイラス22の基準姿勢からの姿勢の変化を検出するのに適する。また、基準姿勢ではなく、接触部26が所定の押圧力で被測定物Wに接触している状態をプローブの「中立姿勢」として、この中立姿勢の状態で、照射光の波長域の中間波長の焦点位置を反射面28に合わせてもよい。この場合は、接触部26を被測定物Wの表面に沿ってスキャンするのに適する。
【0024】
なお、本実施形態では、集光レンズ群36において3つの照射光の光軸は互いに平行となるようにレンズが配置されている。つまり、ファイバの各出口34Eと、反射面28の各中心とを結ぶ光軸が互いに平行になっている。この点については、各光軸が互いに平行でなくてもよい。その理由は、本発明では、後段のレンズアレイ38から反射面28までの間隔をそれぞれ測定することによって、スタイラス22の姿勢を検出しているからであり、3つの光軸が平行でなくても姿勢検出は可能になる。しかし、本実施形態のように3つの光軸を平行にすることで、光軸同士の間隔を最小にすることができるので、レンズアレイ37,38のレンズ間隔が小さくなって、プローブ本体の筐体60をコンパクトにすることができる。
【0025】
また、本実施形態では、3つのファイバ出口34Eを可動体20の被照射部24の上方に配置しているが、次のような変形例もある。まず、可動体20の被照射部24の形状を下向きに尖った円錐形状にする。そして、この逆円錐面上に3つの反射面28を配置する。3つのファイバ出口34Eを被照射部24の下方に配置して、照射光を上方に向けて各反射面28を狙って出射するように構成してもよい。
【0026】
図1(B)は、可動体20をZ軸上方から見た図である。被照射部24の円錐面上に配置された円形の反射面28は、プローブ軸を中心に120°ピッチで配置されている。集光レンズ群36は、反射面28の各中心を狙って照射光を集光する。反射面28上の照射位置をp1〜p3で示す。
【0027】
<波長検出器>
次に、本発明で特徴的な波長検出器40について図1に基づいて説明する。
波長検出器40は、照射光の焦点位置の範囲内に位置する各反射面28からの反射光をファイバ経由で受光して、各反射光の波長を検出する。すなわち、反射面28と後段のレンズアレイ38との位置関係に応じて反射面28で焦点を結ぶ波長が決まり、集光レンズ群36で集光される反射光は、その波長の光になる。そして、波長検出器40は、後段のレンズアレイ38とこれに対応する反射面28との間隔の変化によって生じる反射光の波長変化を検出し、この波長変化に基づいて、スタイラス22の姿勢情報を算出する。
【0028】
具体的には、波長検出器40は、並行レンズ群42、回折格子(分光素子)44、検出レンズ群46、および、受光素子群48を有して構成される。
図1(C)は、並行レンズ群42および回折格子44を反射光の入射方向から見た図である。便宜上、両者を重ねて表記している。同図のように並行レンズ群42は、矩形の枠材に3つのレンズ50を直線上に配置したレンズアレイである。反射光を出射するファイバの各出口34Fが並行レンズ群42の各レンズ50を向くように配置されている。本実施形態では、ファイバの光軸とレンズ50の光軸が一致している。同図のS1〜S3は、3つの反射光の光軸を示す。この並行レンズ群42により、3つの反射光が互いに並行な光になる。
【0029】
また、回折格子44は矩形板状であり、例えば、等ピッチで形成された多数の平行溝を有する回折格子を利用してもよい。少なくとも、互いに平行な3つの反射光の光軸が回折格子44を同時に通過するように、並行レンズ群42と回折格子44との位置関係が調整されている。本実施形態では、回折格子44への入射光の入射角αは、α>0度で固定されている。α=0度でもよい。一方、回折格子44を透過した光は、その波長に応じた回折角の方向において最も強く検出される。よって、回折格子44は、並行レンズ群42からの各反射光の照射を受けてその波長に応じた回折方向に反射光を出射することになる。なお、本実施形態では、透過型の回折格子44を用いているが、反射型の回折格子を用いても、その回折方向に検出レンズ群46と受光素子群48を配置することで、同様の効果が得られる。
【0030】
回折格子44の出射側に検出レンズ群46を設けて、回折格子44からの各反射光を検出レンズ群46で集光する。検出レンズ群46は、3つのレンズを直線上に配置したレンズアレイであり、前述の並行レンズ群42と同じものを使用してもよい。回折格子44からの各光は、対応する個々の検出レンズで集光されて、その後段に設けられた受光素子群48の受光面で焦点を結ぶ。回折格子44の透過光の回折方向は波長に応じて異なるが、対応する個々の検出レンズは、どの方向に進行する光も集光できるサイズを有する。
【0031】
受光素子群48は、回折格子44の透過光の焦点位置を、その回折方向に応じて検出する。図1(D)は、受光素子群48を入射方向から見た図である。同図に示すように、受光素子群48は、複数の素子52が一列に並んでいる素子列である。この素子列は、3つの領域に区分され、3つの領域で回折格子44の3つの透過光をそれぞれ受光する。つまり、各領域の素子列が、回折格子44からの回折方向に応じた光の焦点位置の範囲をカバーしている。従って、回折格子44からの光は、少なくともいずれかの素子に集光される。なお、素子列は矩形の基板上に配置されている。そして、各素子52の受光強度情報より焦点位置を算出し、焦点位置に基づいて回折光の波長を算出する。さらに、その波長変化を取得して、スタイラス22の姿勢の変化を導出する。これらの演算処理は、図示しない演算手段において実行するようにしてもよい。
【0032】
<検出原理>
以上の構成の接触プローブ10を用いて、スタイラス22の姿勢を検出する原理について、図2図4を用いて説明する。ここでは、接触プローブ10を倣いプローブとして用いて、可動体の3方向の姿勢変化(Z軸方向(鉛直方向)の移動、X軸周りの回転、Y軸周りの回転)を検出する。
【0033】
まず、鉛直方向の移動について説明する。可動体20が鉛直上方に移動した場合、図2(A)のように反射面28上の照射位置p1、p2、p3は、共に上方に移動する。同図(B)に照射位置p1〜p3の平面配置を示す。このとき、反射面28で焦点を結ぶ波長は、プローブの中立姿勢で焦点を結ぶように設定した波長よりも短くなる。このとき、集光レンズアレイ38で最も多く集光される光の波長は、反射面28で焦点を結んでいる光の波長である。そうすると、同図(C)の回折格子44を通過する反射光の強度が最も高くなる波長は、反射面28で焦点を結んだ光の波長となる。つまり、可動体20の鉛直上方移動の際、短い波長の光が受光素子群48を最も強く照射する。
【0034】
同時に、透過型の回折格子44は、波長に応じた回折角の方向に強い光(回折光)を生じる。図2のように回折格子44への3つの入射光がいずれも短い波長になる場合、いずれも小さい回折角の光が受光素子群48を照射する。従って、素子列上の光強度分布は、同図(D)のようになり、中立状態での光強度分布を点線、可動体20の上方変位状態での光強度分布を実線でそれぞれ示すと、可動体20の上昇前後で素子列上の三つの山の頂点(ピーク位置)は、すべて下方へ変位Δp1、Δp2、Δp3だけ移動する。
【0035】
これとは逆に、図3(A)のように可動体20が鉛直下向きに移動すると、同図(D)に実線で示す素子列上の三つの山の頂点は点線の頂点よりもすべて上方へ移動する。このピーク位置が上方へ移動する理由は、前述のように、反射面28の下降に伴って、回折格子44への入射光が長い波長の光に移行するため、回折光の回折角が大きくなるからである。
なお、可動体20の鉛直方向の移動では、受光素子群48の素子列上のピーク位置の変位は、Δp1=Δp2=Δp3となる。
【0036】
次に、可動体20が傾いた場合、つまり、可動体20がX軸周りに回転、Y軸周りに回転、または、X軸周りおよびY軸周りに回転した場合について説明する。
まず、便宜的に可動体20が、図4(A)のようにY軸周りに角度θYだけ回転した場合を説明する。反射面28内の照射位置p1、p2、p3のうち、p1は下方に移動して、p2とp3は上方に移動する。照射位置p1については、反射面28で焦点を結ぶ波長は中立状態での設定波長よりも長くなる。その結果、長い波長の光が大きい回折角で受光素子群48を照射するので、同図(D)のように、素子列上のp1に対応する反射光のピーク位置は、上方へ移動する。一方、照射位置p2とp3の2つについては、それぞれの反射面28で焦点を結ぶ波長は、中立状態での設定波長よりも短くなる。その結果、短い波長の光が小さい回折角で受光素子群48を照射するので、同図(D)のように、p2とp3に対応する各反射光のピーク位置はそれぞれ下方へ移動する。
【0037】
なお、図4(B)にはX軸とY軸を記載し、Z軸を両軸の交点で示している。本実施形態では照射位置p1〜p3をプローブ軸中心に120°ピッチで配置し、さらに、同図のようにp1をX軸上に配置している。Y軸から各照射位置までの距離に基づいて、照射位置p1の下方変位量と、p2(p3)の上方変位量との比は2:1になる。この関係は、同図(D)の各ピーク位置の変位の関係にも表れて、ピーク位置の変位Δp1、Δp2、Δp3は、2:(−1):(−1)の関係になる(ここで、マイナスは変位方向が逆であることを表わす)。
【0038】
このようなピーク位置が移動する原理は、可動体20がX軸周りに回転する場合も同じである。X軸周りに角度θXだけ回転した場合、つまり、図1(A)のプローブ10が中立姿勢であるとして、この状態からスタイラス22が傾いて、接触部26が図面奥(Y軸の正方向)に向かって微小変位した場合には、反射面28内の照射位置p1〜p3のうち、p1は変化せず、p2は上方に移動し、p3は下方に移動する。このため、素子列上のp1に対応する反射光のピーク位置も移動せず、p2に対応するピーク位置は下方へ移動し、p3に対応するピーク位置は上方へ移動する。なお、前述のY軸周りに角度θYと、上記のX軸周りの角度θXとが同じ場合、Y軸周りに回転した際のピーク位置の変位Δp1、Δp2、Δp3は、0:−(√3):(√3)の関係になる。
【0039】
このような関係から、可動体20がX軸周りに回転、Y軸周りに回転、または、X軸周りおよびY軸周りに回転して傾いた場合、ピーク位置の変位Δp1、Δp2、Δp3の検出値に基づいて、各反射面28と対応する各集光レンズとの相対距離を算出することによって、可動体20の傾きが一義的に定まる。つまり、変位Δp1、Δp2、Δp3を検出することで、可動体20の姿勢(スタイラス22の鉛直方向の変位、および、スタイラス22の傾き)情報を導出することができる。
【0040】
上記の波長検出器40を用いることで、3つの反射光の各波長を独立して同時に検出することができる。また、検出器40を少ない光学素子の配置で構成することができ、しかも、波長の変化を高い精度で検出することができる。
特に、反射光を伝搬する各ファイバからの出射光を、一つの回折格子44(またはプリズム)を介して、一つの受光素子群48で検出しているので、光学素子の個体差や個々のアライメントによって生じる姿勢検出誤差を軽減することができる。
そして、このような波長検出器40を接触プローブ10の内界センサとして用いれば、光源32や受光素子群48などの熱源が、プローブ本体の筐体60内に配置する必要がなくなり、かつ、スタイラス22の姿勢を高い精度で検出することができる。
【0041】
さらに、ファイバの直径がサブミリメートルであることから直径ミリメートルのコンパクトな接触プローブ10を実現することができる。
【0042】
また、先述の通り、波長検出器40は、各ファイバの軸上の集光レンズと反射面28の距離を測るものであるから、本実施形態のように、プローブ軸をその軸とする円錐面上(あるいは逆円錐面上でもよい。)に各反射面28を配置することによって、測定環境の変化前後における可動体20の基準姿勢の変化をも検出することができる。例えば、図5(A)に示すように測定環境が変化して、可動体20の基準姿勢がX軸方向に変化量Δxだけ平行移動した場合、同図(B)のように測定環境の変化前後の各ピーク位置を比較することによって、その変位Δp1、Δp2、Δp3に基づいて変化量Δxを検出することができる。同様に、測定環境の変化によるY軸方向の変化量Δy、Z軸方向の変化量Δzについてもそれぞれ検出することができる。このように、スタイラスの接触部26が被測定物Wに接触していないにも関わらず、受光素子群48からの検出信号が変化している場合には、可動体20の基準姿勢がその初期状態から異なる状態にあると判断することができる。従って、本実施形態の接触プローブは、可動体20の基準姿勢の変化を検出することができる。
【0043】
これを応用して、非接触状態での可動体20の基準姿勢を常時観測することで、測定の直前でのスタイラス22の接触部の位置が、定期的な校正時における位置から外れてしまったとしても、受光素子群48上のピーク位置の変位Δp1、Δp2、Δp3から基準姿勢の各変化量Δx、Δy、Δzを算出し、座標測定値からこれらの変化量Δx、Δy、Δzをキャンセルすることができる。従って、より高精度な測定が可能となる。
【0044】
本発明の接触プローブ10において、三つのピーク位置の変位Δp1、Δp2、Δp3から同定することができる可動体20の姿勢変化は、Z軸方向(鉛直方向)の移動、X軸周りの回転、Y軸周りの回転の3つである。よって、可動体20の自由度は3自由度になる。例えば、図6に示すように、反射面28がプローブ軸に直角な平面上に配置された可動体20Aの場合には、X−Y平面の併進、θzの回転変位が発生しないように可動体20Aの自由度を拘束するように可動体20Aを支持すれば、可動体20Aの自由度が3自由度になる。従って、このような可動体20Aを備えた接触プローブにも本発明の波長検出器40を適用することができる。
【0045】
本実施形態では図7(A)に示すように、点線で囲った部分がプローブ本体の筐体60となっており、スタイラス22を交換する場合には、被照射部24を含む可動体20全体を取り外すことになる。しかし、可動体の構成はこれに限定されるものではない。例えば、同図(B)に示すように、可動体20Bの被照射体を、Z軸方向に分離できる2つの部材24A,24Bで構成してもよい。すなわち、反射面28を有する上側被照射体24Aと、スタイラス22と一体形成された下側被照射体24Bとの2部材としてもよい。これらの部材に、例えば、三つのV溝、三つの球、および2部材を吸着するための磁石を含めて被照射体24を構成することで、6点接触によるキネマティックに6自由度が拘束された構成の可動体20Bが得られる。つまり、反射面28は可動体20Bの一部でありつつ、筐体60Aの一部に含めることができ、上側被照射体24Aとスタイラス22の一体部分のみを着脱できる。この構造の利点は、反射面28を有する上側被照射体24Aと、筐体60Bとの弾性連結部材(支持プレートなど)を筐体60Bの共通部品として扱えることにあり、接触プローブの製作が安価にできることにもある。その他に、波長検出器40のような非接触型の検出方式が抱える防塵性の問題も軽減できるという効果もある。
【0046】
ファイバで伝搬される照射光の照射対象は、前述の三つの反射面28に限定されるものではなく、図8に示す接触プローブ110ように、可動体120の四つの反射面28を照射対象としてもよいし、五以上の反射面を照射対象としてもよい。図8のケースでは、ファイバ伝搬部134は4つのファイバ経路を構成する。並行レンズ群142は4つのレンズが一直線上に配置されたレンズアレイであり、回折格子144および受光素子群148も一直線状である。
【0047】
図1図8の例では、反射光を伝搬する各ファイバの出口(S1〜S4)が一直線上に並んでいるが、図9に示す接触プローブ210のように、各ファイバの出口(S1〜S4)を一平面上に2次元配置してもよい。この場合の利点は、ファイバの受光素子群48側でのアライメントを行う必要がなくなることである。この場合、同図(C)のように、並行レンズ群242も一平面上に2次元配置され、回折格子244は並行レンズ群242からの4つの並行光をすべてカバーできるサイズになる。
受光素子群248としては、CMOSタイプのエリアイメージセンサを用いれば、構成が簡易となるが、より高速な検出を実現したい場合は、同図(D)のように基板の表面に4つの素子列を配置したものを用いるとよい。素子列とは、複数の素子52が一列に並んでいるもので、例えば、ラインセンサなどがある。
各素子列は、波長に応じた回折格子242の出射方向の変化に対して、その変化範囲をカバーする方向に並んでおり、対応する光の波長を特定する。素子列のアライメントを簡易化するために、予め一つの基板上に複数の素子列が並列配置されたものを適用してもよい。
【0048】
更には、図10に示す接触プローブ310のように、4枚の回折格子を一平面上に配置したものを分光素子として用いてもよい。例えば、同図(C)のように、並行レンズ群242の4つのレンズ50が、円形枠材344A〜344Dの中心に対して回転対象に配置されている場合に、この対象性を保つように4つの回折格子344A〜344Dが配置されている分光素子344を用いることができる。
また、受光素子群348についても、複数の素子列を互いに直交させて配置したものを用いてもよい。例えば、同図(D)のように、4つの素子列が正方形の周に沿って配置されたものを利用できる。
【0049】
以上のように本発明の波長検出器40,140,240,340は、熱源を隔離することばかりでなく、高速検出、コンパクト化を実現する優位性を持っている。また、波長検出器の変位検出は大気の環境変化にロバストであり、プローブとしての環境ロバスト性にも繋がる。
高速検出に関しては、数十キロHz程度のサンプリングが可能であり、コンパクト化に関しては、数ミリメートル径の接触プローブを実現することができる。その一方、集光レンズに対する反射面の移動範囲(作動距離)を大きく保つことが可能なため、プローブの内界センサとして用いた場合、スペースを広くとれるため、機構設計の自由度が高くなる利点を持つ。機構設計面での優位性としては、他の非接触内界センサと同様、検出部と可動体が分離されているため、スタイラスチェンジや修理等のメンテナンスを考慮した機構設計が容易である。
【0050】
<偏光を利用した接触プローブ>
また、前述の接触プローブに偏光を利用して、図1におけるファイバ伝搬部34を1つのファイバ経路を構成するファイバ伝搬部としてもよい。このような接触プローブは、光源、1経路のファイバ、反射面側の偏光分岐手段、集光レンズ群、検出器側の偏光分岐手段、および、波長検出器を有する光学検出手段を備える。可動体や、集光レンズ部、波長検出器については、図1と同様の構成になる。
【0051】
偏光を利用した光学検出手段の構成について簡単に説明する。
光源は、所定の波長幅のスペクトルを示す照射光を1経路のファイバに供給する。
反射面側の偏光分岐手段は、前記1経路のファイバ出口に配置され、ファイバにより伝搬された照射光を受光して、これを3つの異なる状態の偏光にするとともに、偏光状態ごとに分岐して、後段の集光レンズ群の各レンズに向けて出射する。
反射面側の偏光分岐手段には、例えば、偏光素子と、スプリッタなどの分岐素子とから構成したものを採用できる。一例として、まず、白色光を偏光フィルターに通して、所定の偏光面の直線偏光を取り出し、この直線偏光を3つに分岐する。分岐した1つの直線偏光を1/2位相板に通して、円偏光を得る。また、分岐した他の1つの直線偏光を1/4位相板に通して、もとの直線偏光と直交する偏光面を有する直線偏光を得る。このようにして得た3つの異なる状態の偏光を、後段の集光レンズ群の対応するレンズに入射させてもよい。
【0052】
集光レンズ群は、3つの異なる状態の偏光をそれぞれ対応する反射面に向けて集光する。
各反射面からの反射光は、前記の偏光分岐手段で合成され、1経路のファイバを経由して検出器に向けて伝搬される。
検出器側の偏光分岐手段は、該ファイバからの反射光を偏光状態ごとに3つの反射光に分岐する。
波長検出器は、分岐された各反射光の波長を検出する。
そして、波長検出器は、3つの反射面と集光レンズ群との各間隔の変化によって生じる各反射光の波長変化に基づいて、スタイラスの姿勢情報を算出する。
【0053】
この構成によれば、集光レンズ群の前段において、照射光を異なる3つの状態の偏光にすることで、前述の複数のファイバを用いた可動体の多点測長を一つのファイバで実現することができる。すなわち、3つの反射面の反射光をそれぞれ独立した3つのファイバで伝搬するのではなく、光の偏向を用いて1のファイバでまとめて伝搬することで、ファイバの共通化を実現でき、3つの反射光の光学特性の均一化が可能となる。
【符号の説明】
【0054】
10 倣いプローブ(接触プローブ)
20 可動体
22 スタイラス
24 被照射部
28 反射面
30 光学検出手段
32 光源
34 ファイバ伝搬部
36 集光レンズ群
40 波長検出器
42 並行レンズ群
44 回折格子(分光素子)
46 検出レンズ群
48 受光素子群
60 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10