【実施例】
【0041】
予備実験1
本実験では、ごま油またはなたね油を水表面に滴下し、油膜の広がり(大きさ:直径)を測定した。
【0042】
(1)方法
ガラスビーカーに、常温の水をコップ1杯分(180g)注ぎ、常温の試験油を0.3g滴下し、油膜の直径を、滴下から30秒後および10分後に測定した。
【0043】
[実験条件]
気温:22℃
ガラスビーカー:300ml容量、内部直径7cm(液面:38.465cm
2)
水:蒸留水180g(22℃)
油滴下量:0.3g
[使用油]
試験油を調製するために用いた油は、下記のとおりであり、いずれも日清オイリオグループ株式会社製造品を用いた。
焙煎ごま油:焙煎温度210℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値220)
調合ごま油:焙煎ごま油60%と精製なたね油40%のブレンド油
精製ごま油:未焙煎のごまを圧搾、脱酸、脱色、脱臭を行った精製油
精製なたね油:キャノーラ原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清キャノーラ油)
(2)結果
油膜の直径の測定結果を表Aに示す。それぞれの油について2回の実験を行い、表Aは、平均値とともに括弧内に各実験の測定値を示す。
【表A】
【0044】
未精製油である焙煎ごま油は、30秒後に平均5.0cmの油膜、10分後に平均7.0cmの油膜を形成し、油滴下時に油膜が薄く広がることが確認できた。焙煎ごま油(60%)と精製なたね油(40%)のブレンド品である調合ごま油は、焙煎ごま油と同様、10分後に平均7.0cmの油膜を形成した。一方、精製ごま油は、測定された油膜直径が30秒後に平均1.8cm、10分後に平均2.7cmと小さく、精製なたね油と同様、薄い油膜とならず油滴となった。
【0045】
これら結果から、焙煎ごま油を含む油が、薄い油膜を形成して、液体の高い保温効果を発揮することが期待される。
【0046】
予備実験2
本実験では、ごま油またはなたね油を温湯表面に滴下し、保温効果を比較した。
【0047】
(1)方法
ガラスビーカー内の80℃の水(180g)に、常温の油を0.3g滴下し、以降の温度を経時的に測定した。なお、対照区には油を滴下しないものを使用した。
【0048】
[実験条件]
気温:23℃
ガラスビーカー:300ml容量、内部直径7cm(液面:38.465cm
2)
水:蒸留水180g(80℃)
油滴下量:0.3g
[使用油]
試験油を調製するために用いた油は、下記のとおりであり、いずれも日清オイリオグループ株式会社製造品を用いた。
焙煎ごま油:焙煎温度210℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値220)
調合ごま油:焙煎ごま油60%と精製なたね油40%のブレンド油
精製ごま油:未焙煎のごまを圧搾、脱酸、脱色、脱臭を行った精製油
精製なたね油:キャノーラ原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清キャノーラ油)
(2)結果
測定結果を表Bに示す。
【表B】
【0049】
焙煎ごま油を滴下したサンプルでは、焙煎ごま油は80℃の水面において薄く広がり(10分後には直径7 cm)、対照区と比較して、優れた保温効果を示した。同様に、調合ごま油を滴下したサンプルでも、調合ごま油は80℃の水面において薄く広がり(10分後には直径7 cm)、対照区と比較して、優れた保温効果を示した。これらの結果は、焙煎ごま油および調合ごま油が、保温効果を有していることを示す。
【0050】
一方、精製ごま油を滴下したサンプルでは、対照区と同等の温度低下を示した。これらの結果は、精製ごま油が、ほとんど保温効果を有していないことを示す。精製なたね油を滴下したサンプルも、対照区と同等の温度低下を示したため、精製なたね油もほとんど保温効果を有していない。
【0051】
これら結果より、焙煎ごま油を含む油が、薄い油膜を形成して、液体の高い保温効果を発揮できることが示された。
【0052】
実施例1
予備実験の結果を踏まえて、本実施例では、種々の組成を有する食用油を水表面に滴下し、油膜の広がり(大きさ:直径)を測定した。食用油として、焙煎油からなる油、焙煎油と未焙煎の精製油とをブレンドした油、および未焙煎の精製油からなる油を使用した。 (1)方法
ガラスビーカーに、常温の水をコップ1杯分(180g)注ぎ、常温の試験油を0.3g滴下し、油膜の直径を、滴下から30秒後および10分後に測定した。試験油の色値は、基準油脂分析試験法で用いられるロビボンド比色計(25.4mmセル)を用いて色度(Y値、R値、B値)を測定し、色値を算出した。
【0053】
[実験条件]
気温:23℃
ガラスビーカー:300ml容量、内部直径7cm(液面:38.465cm
2)
水:蒸留水180g(23℃)
油滴下量:0.3g
[使用油]
下記表1に記載の組成で、試料番号1A〜11Aの試験油を調製した。試験油を調製するために用いた油は、下記のとおりであり、いずれも日清オイリオグループ株式会社製造品を用いた。
焙煎ごま油:焙煎温度210℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値220)
焙煎なたね油:焙煎温度180℃でなたねを焙煎し、圧搾、ろ過を経た焙煎なたね油(色値226)
精製ごま油:未焙煎のごまを圧搾、脱酸、脱色、脱臭を行った精製油
精製なたね油:キャノーラ原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清キャノーラ油)
精製大豆油:大豆原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清大豆サラダ油(S))。
【0054】
(2)結果
油膜の直径の測定結果を表1に示す。それぞれの油について2回の実験を行い、表1は、平均値を示す。
【表1】
【0055】
表1に示されるとおり、試料番号1Aおよび2Aの試験油は、焙煎油からなる油であり、試料番号3A〜8Aの試験油は、焙煎油と未焙煎の精製油とを種々の重量比でブレンドした油であり、試料番号9A〜11Aの試験油は、未焙煎の精製油からなる油である。表1において「焙煎油/液面(g/cm
2)」は、試験油に含まれる焙煎油の重量(g)を水の液面の面積(38.465cm
2)で割った値、すなわち、水の液面の単位面積当たりの焙煎油の添加量を表す。また、表1において「色値」は、測定された試験油の色値を表す。
【0056】
焙煎油を含んで色値が23以上の試験油を、焙煎食用油が0.00078g/cm
2以上の量となるように液面に添加した場合、10分後に6cm以上の油膜を形成し、油滴下時に油膜が薄く広がることが確認できた。さらに、焙煎油を含んで色値が72以上の試験油を、焙煎食用油が0.0023g/cm
2以上の量となるように液面に添加した場合、30秒後に3cm以上の油膜を形成し、10分後に6cm以上の油膜を形成し、さらに油滴下時に油膜が薄く広がることが確認できた。さらに、焙煎油を含んで色値が159以上の試験油を、焙煎食用油が0.0047g/cm
2以上の量となるように液面に添加した場合、10分後に7cmの油膜を形成し、油滴下時に油膜が薄く広がることが確認できた。
【0057】
これに対し、焙煎油を含んで色値が9.3の試験油を、焙煎食用油が0.00023g/cm
2の量となるように液面に添加した場合は、10分後に3.8cmの油膜を形成し、薄い油膜とならなかった。
【0058】
一方、試験油として精製ごま油、精製なたね油、および精製なたね油と精製大豆油の混合油を添加した場合は、測定された油膜直径が、10分後でも1.6〜1.8cmと小さく、薄い油膜とならず油滴となった。
【0059】
これらの結果から、焙煎油を含んで色値が23以上の油を、焙煎油が0.00078g/cm
2以上の量となるように液面に添加すると、少量の油の添加で、焙煎油を含む油が液面に薄く広がることがわかる。
【0060】
実施例2
本実施例では、種々の組成を有する食用油を温湯表面に滴下し、保温効果を比較した。食用油として、焙煎油からなる油、焙煎油と未焙煎の精製油とをブレンドした油、および未焙煎の精製油からなる油を使用した。
【0061】
(1)方法
ガラスビーカー内の80℃の水(180g)に、23℃の試験油を0.01〜1.0g滴下し、以降の温度を経時的に測定した。なお、参考例(試料番号9B)には油を滴下しないものを使用した。
【0062】
[実験条件]
気温:18℃
ガラスビーカー:300ml容量、直径7cm(液面:38.465cm
2)
水:蒸留水180g(80℃)
油滴下量:0.01〜1.0g
[使用油]
下記表2に記載の組成で、試料番号1B〜9Bの試験油を調製した。試験油を調製するために用いた油は、下記のとおりであり、いずれも日清オイリオグループ株式会社製造品を用いた。
【0063】
焙煎ごま油:焙煎温度210℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値220)
焙煎なたね油:焙煎温度180℃でなたねを焙煎し、圧搾、ろ過を経た焙煎なたね油(色値226)
精製ごま油:未焙煎のごまを圧搾、脱酸、脱色、脱臭を行った精製油
精製なたね油:キャノーラ原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清キャノーラ油)。
【0064】
(2)結果
測定結果を表2に示す。
【表2】
【0065】
表2に示されるとおり、試料番号1B〜4Bおよび6Bの試験油は、焙煎油からなる油であり、試料番号5Bの試験油は、焙煎油と未焙煎の精製油とをブレンドした油であり、試料番号7Bおよび8Bの試験油は、未焙煎の精製油からなる油である。
【0066】
焙煎油を含んで色値が23以上の試験油を、焙煎食用油が0.00078g/cm
2以上の量となるように液面に添加したサンプル(試料番号1B〜5B)では、試験油は80℃の水面において薄く広がり(10分後には直径7 cm)、焙煎油を含んで色値が220の試験油を、焙煎食用油が0.00026g/cm
2の量となるように添加したサンプル(試料6B)と比較して、優れた保温効果を示した。試料番号1B〜5Bの結果は、液面の単位面積あたりの焙煎食用油の添加量が多いほど保温効果が高いことを示す。ただし、焙煎食用油以外の食用植物油脂が配合された色値の低い試料番号5Bの試験油は、液面の単位面積あたりの焙煎食用油の添加量が試料番号4Bより少ないにも関わらず、試料番号4Bの試験油と同様の保温効果を得ることができた。
【0067】
一方、焙煎油を含んで色値が220の試験油を、焙煎食用油が0.00026g/cm
2の量となるように添加したサンプル(試料番号6B)では、試験油を滴下しなかったサンプル(試料番号9B)と比べて顕著な保温効果は見られず、ほとんど保温効果を有していない。また、未焙煎の精製油からなる試験油(試料番号7Bおよび8B)も、試験油を滴下しなかったサンプル(試料番号9B)と比べて顕著な保温効果は見られず、ほとんど保温効果を有していない。
【0068】
これらの結果から、焙煎油を含んで色値が23以上の油を、焙煎油が0.00078g/cm
2以上の量となるように液面に添加すると、少量の油の添加で、液面に薄く広がり、優れた液体の保温効果を示すことがわかる。
【0069】
実施例3
本実施例では、焙煎食用油の焙煎温度と保温効果との関係について調べた。
【0070】
(1)方法
ガラスビーカー内の80℃の水(180g)に、20℃の試験油を0.3g滴下し、以降の温度を経時的に測定した。
【0071】
[実験条件]
気温:28℃
ガラスビーカー:300ml容量、直径7cm(液面:38.465cm
2)
水:蒸留水180g(80℃)
油滴下量:0.3g
[使用油]
下記の焙煎ごま油を試験油として使用した。いずれも日清オイリオグループ株式会社製造品を用いた。
【0072】
210℃焙煎ごま油:焙煎温度210℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値220)
180℃焙煎ごま油:焙煎温度180℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値111)
150℃焙煎ごま油:焙煎温度150℃でごまを焙煎し、圧搾、静置、ろ過した焙煎油(色値56)
精製なたね油:キャノーラ原油を脱酸、脱色、脱臭した精製油(日清キャノーラ油)。
【0073】
(2)結果
測定結果を表3に示す。
【表3】
【0074】
表3に示されるとおり、試料番号1Cの試験油は、220℃焙煎ごま油からなる油であり、試料番号2Cの試験油は、180℃焙煎ごま油からなる油であり、試料番号3Cの試験油は、150℃焙煎ごま油からなる油である。試料番号4Cは、未焙煎の精製油からなる油であり、試料番号5Cは、油を滴下しなかった。
【0075】
表3の結果から、焙煎食用油において、焙煎温度が上昇すると色値も大きくなり、色値が高いほど、高い保温効果を示すことがわかった。