(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置及び液供給装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0014】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、第1実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0015】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0017】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0018】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0019】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0022】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0023】
次に、処理ユニット16の概略構成について
図2を参照して説明する。
図2は、処理ユニット16の概略構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、処理流体供給部40と、回収カップ50とを備える。
【0025】
チャンバ20は、基板保持機構30と処理流体供給部40と回収カップ50とを収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0026】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0027】
処理流体供給部40は、ウェハWに対して処理流体を供給する。処理流体供給部40は、処理流体供給源70に接続される。
【0028】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0029】
次に、基板保持機構30および処理流体供給部40の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、基板保持機構30および処理流体供給部40の構成を示す図である。本実施形態に係る処理ユニット16(「基板処理装置」の一例に相当)は、ウェハWに対してHF等のエッチング液を供給することにより、ウェハW上に形成された膜をエッチング除去する。
【0030】
図3に示すように、基板保持機構30が備える保持部31の上面には、ウェハWを側面から保持する保持部材311が設けられる。ウェハWは、かかる保持部材311によって保持部31の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。なお、基板保持機構30の構成は、図示のものに限定されない。
【0031】
処理流体供給部40は、基板保持機構30に保持されたウェハWに対してエッチング液を供給する。かかる処理流体供給部40は、複数のノズル41〜45と、調整部46と、支持部47a,47bと、アーム48と、旋回昇降機構49とを備える。
【0032】
複数のノズル41〜45は、ウェハWの径方向に並べて配置される。調整部46は、ノズル41〜45の配列方向に延在する長尺状の部材であり、両端部に設けられた支持部47a,47bを介してアーム48に支持される。かかる調整部46の下部に、ノズル41〜45が設けられる。アーム48は、調整部46および支持部47a,47bを介してノズル41〜45を水平に支持する。旋回昇降機構49は、アーム48を旋回および昇降させる。
【0033】
調整部46には、第1温度のエッチング液(以下、「第1エッチング液L1」と記載する)と第1温度よりも高温の第2温度のエッチング液(以下、「第2エッチング液L2」と記載する)とが処理流体供給源70から供給される。第1エッチング液L1は、調整部46のウェハW外周部側の端部に支持部47bを介して供給され、第2エッチング液L2は、調整部46のウェハW中心部側の端部に支持部47aを介して供給される。本実施形態では、支持部47a及び支持部47bが中空となっており、その中を各エッチング液が通過するようにしている。しかしこれに限らず、アーム48と調整部46とを接続する第1エッチング液L1用の配管及び第2エッチング液L2用の配管を、支持部47a及び支持部47bの外部に設けても良い。
【0034】
そして、調整部46は、処理流体供給源70から供給される第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とをノズル41〜45ごとに異なる割合で各ノズル41〜45へ供給する。
【0035】
具体的には、調整部46は、ウェハW外周部に近いノズル41〜45ほど第1エッチング液L1に対する第2エッチング液L2の割合が多くなるように、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とをノズル41〜45へ供給する。
【0036】
これにより、調整部46から各ノズル41〜45に供給されるエッチング液の温度は、ウェハWの最も中心部側に位置するノズル41が最も低くなり、ウェハWの最も外周部側に位置するノズル45が最も高くなる。
【0037】
このように、本実施形態に係る処理ユニット16では、ウェハW外周部に近いノズル41〜45ほどウェハWへ供給するエッチング液の温度を高くすることとした。これにより、処理ユニット16は、ウェハW面内におけるエッチング液の温度均一性を高めることができ、これにより、エッチング処理の面内均一性を高めることができる。
【0038】
かかる点について、回転するウェハWの中心部に対して1つのノズルからエッチング液を供給する場合と比較しながら説明する。
図4Aは、回転するウェハWの中心部に対して1つのノズルからエッチング液を供給した場合におけるウェハ位置とエッチングレートとの関係を示す図である。また、
図4Bは、本実施形態におけるエッチング液の温度とウェハ位置との関係を示す図である。
【0039】
図4Aに示すように、回転するウェハWの中心部に対して1つのノズルからエッチング液を供給した場合のエッチングレートは、ウェハWの中心部が最も多く、ウェハWの外周部に近付くに従って徐々に少なくなる。これは、エッチング液の温度が、ウェハWの中心部に供給されてからウェハWの外周部に到達するまでの間に低下するためである。
【0040】
このように、回転するウェハWの中心部に対して1つのノズルからエッチング液を供給する方法では、ウェハW面内の温度にバラツキが生じ易いことから、エッチングの均一性を向上させるという点でさらなる改善の余地があった。
【0041】
そこで、
図4Bに示すように、本実施形態に係る処理ユニット16では、ウェハW外周部に近いノズル41〜45ほど温度の高いエッチング液を供給することとした。これにより、ウェハW面内におけるエッチング液の温度均一性が高まるため、エッチング処理の面内均一性を高めることができる。
【0042】
各ノズル41〜45から供給するエッチング液の温度は、たとえば、各ノズル41〜45から同一温度のエッチング液を供給した場合におけるウェハW面内の温度分布に基づいて決定することができる。たとえば、各ノズル41〜45からX℃のエッチング液を供給した場合にウェハW外周部の温度がX−α℃であったとすると、処理ユニット16は、ウェハW外周部に位置するノズル45から供給するエッチング液の温度をX+α℃に設定すればよい。
【0043】
次に、処理流体供給源70の構成について
図5を参照して説明する。
図5は、処理流体供給源70の構成を示す図である。
【0044】
図5に示すように、処理流体供給源70は、循環ライン71と、吐出ライン72とを備える。循環ライン71は、タンク711と、配管部712と、ポンプ713と、フィルタ714と、加熱部715と、分岐部716と、バルブ717とを備える。
【0045】
タンク711は、エッチング液を貯留する。配管部712は、タンク711に両端部が接続されることによってエッチング液を循環させる経路を形成する。かかる配管部712には、上流側から順に、ポンプ713、フィルタ714、加熱部715、分岐部716およびバルブ717が設けられる。
【0046】
ポンプ713は、タンク711に貯留されたエッチング液を下流側へ送り出す。フィルタ714は、エッチング液中の異物を除去する。加熱部715は、たとえばヒータであり、上流側から供給されるエッチング液を第1温度へ昇温する。バルブ717は、配管部712の開閉を行う。
【0047】
一方、吐出ライン72は、配管部721と、バルブ722と、分岐部723と、加熱部724とを備える。配管部721は、循環ライン71の分岐部716に接続される。かかる配管部721には、上流側から順に、バルブ722、分岐部723および加熱部724が設けられる。バルブ722は、配管部721の開閉を行う。
【0048】
分岐部723は、循環ライン71から供給されるエッチング液、すなわち、第1エッチング液L1を加熱部724と処理流体供給部40(
図3参照)とにそれぞれ供給する。加熱部724は、たとえばヒータであり、分岐部723から供給される第1エッチング液L1を第2温度へ昇温して、昇温後のエッチング液である第2エッチング液L2を処理流体供給部40へ供給する。
【0049】
このように、処理流体供給源70は、循環ライン71から供給される第1エッチング液L1を吐出ライン72において第2温度へ昇温することで、2系統の温度に調節されたエッチング液L1,L2を処理流体供給部40へ供給することができる。
【0050】
なお、循環ライン71は、基板処理システム1に対してたとえば1つ設けられ、吐出ライン72は、処理ユニット16ごとに設けられてもよい。すなわち、循環ライン71の分岐部716に、複数の吐出ライン72を接続してもよい。このように構成することで、基板処理システム1の大型化を防止することができる。
【0051】
上記の例では、循環ライン71から吐出ライン72へ第1エッチング液L1を供給し、吐出ライン72において第1エッチング液L1の温度を第2温度へ昇温することとしたが、処理流体供給源70の構成は上記の例に限定されない。そこで、処理流体供給源70の他の構成例について
図6を参照して説明する。
図6は、処理流体供給源の他の構成を示す図である。
【0052】
図6に示すように、処理流体供給源70Aは、循環ライン71Aと、吐出ライン72Aとを備える。循環ライン71Aは、循環ライン71と同様の構成を有する。かかる循環ライン71Aは、加熱部715においてエッチング液を第2温度へ昇温し、吐出ライン72Aに対して第2エッチング液L2を供給する。
【0053】
吐出ライン72Aは、吐出ライン72が備える加熱部724に代えて、冷却部725を備える。冷却部725は、たとえばウォータージャケットであり、分岐部723から供給される第2エッチング液L2を第1温度へ冷却して、冷却後のエッチング液である第1エッチング液L1を処理流体供給部40へ供給する。
【0054】
このように、処理流体供給源70Aは、循環ライン71Aから吐出ライン72Aへ第2エッチング液L2を供給し、吐出ライン72Aにおいて第2エッチング液L2の温度を第1温度まで冷却する構成であってもよい。
【0055】
次に、処理流体供給部40が備える調整部46の構成について
図7および
図8を参照して説明する。
図7は、調整部46の模式平断面図である。また、
図8は、
図7におけるA−A断面図である。
【0056】
図7に示すように、調整部46は、本体部110と、仕切部材120と、第1供給口131〜135と、第2供給口141〜145とを備える。
【0057】
本体部110は、ノズル41〜45の配列方向に延在する内部空間Sを有する。ノズル41〜45は、かかる本体部110の下部に接続される。
【0058】
仕切部材120は、本体部110の内部空間Sを仕切る部材である。具体的には、仕切部材120は、両端部が、本体部110におけるウェハW中心部側の側壁とウェハW外周部側の側壁にそれぞれ固定される。かかる仕切部材120により、本体部110の内部空間Sは、ノズル41〜45の配列方向から見て左右に隣接する2つの空間に仕切られる。以下では、仕切部材120によって仕切られた2つの空間のうち、X軸正方向に向かって左側の空間を第1空間S1と記載し、右側の空間を第2空間S2と記載する。
【0059】
本体部110の第1空間S1側の側壁には、第1エッチング液L1を第1空間S1へ流入させる第1流入口111が形成され、第2空間S2側の側壁には、第2エッチング液L2を第2空間S2へ流入させる第2流入口112が形成される。したがって、処理流体供給源70から供給される第1エッチング液L1および第2エッチング液L2のうち、第1エッチング液L1は第1空間S1へ供給され、第2エッチング液L2は第2空間S2へ供給される。
【0060】
なお、第1流入口111は、本体部110のウェハW外周部側の側壁に形成され、第2流入口112は、ウェハW中心部側の側壁に形成される。このように、本体部110の一方の側壁に第1流入口111を形成し、他方の側壁に第2流入口112を形成することで、温度の異なる第1エッチング液L1と第2エッチング液L2との熱干渉を抑えることができる。また、各ノズル41〜45からエッチング液が吐出されるタイミングを揃えることもできる。
【0061】
第1供給口131〜135および第2供給口141〜145は、本体部110の下部に形成される円形の開口部である。具体的には、第1供給口131〜135は、本体部110における第1空間S1側の下部に形成され、第2供給口141〜145は、本体部110における第2空間S2側の下部に形成される。
【0062】
第1供給口131および第2供給口141は、本体部110を上方から見た場合に、ノズル41と重複する位置に形成される。同様に、第1供給口132および第2供給口142、第1供給口133および第2供給口143、第1供給口134および第2供給口144、第1供給口135および第2供給口145は、それぞれノズル42〜45と重複する位置に形成される。
【0063】
これにより、ノズル41は、第1供給口131を介して本体部110の第1空間S1に連通し、第2供給口141を介して第2空間S2に連通する。同様に、ノズル42〜45は、第1供給口132〜135を介して本体部110の第1空間S1に連通し、第2供給口142〜145を介して第2空間S2に連通する。
【0064】
このように、ノズル41〜45は、第1供給口131〜135および第2供給口141〜145を介して第1空間S1および第2空間S2にそれぞれ連通する。たとえば、
図8に示すように、ノズル42は、第1供給口132を介して第1空間S1に連通するとともに第2供給口142を介して第2空間S2に連通する。したがって、ノズル42には、第1供給口132を介して第1エッチング液L1が供給されるとともに、第2供給口142を介して第2エッチング液L2が供給される。
【0065】
このように、ノズル41〜45には、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とが供給されるため、ノズル41〜45からは、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とが混合されて吐出される。
【0066】
そして、
図7に示すように、第1供給口131〜135は、ウェハWの中心部に近いものほど口径が大きく形成され、第2供給口141〜145は、ウェハWの外周部に近いものほど口径が大きく形成される。このため、ウェハW中心部に近いノズル(たとえば、ノズル41)には、第1エッチング液L1が第2エッチング液L2よりも多く供給され、ウェハW外周部に近いノズル(たとえば、ノズル45)には、第2エッチング液L2が第1エッチング液L1よりも多く供給される。これにより、ノズル41〜45からは、ウェハW外周部に近いものほど高温のエッチング液が吐出されることとなる。
【0067】
このように、本実施形態に係る処理ユニット16では、第1供給口131〜135および第2供給口141〜145の口径を異ならせることにより、各ノズル41〜45に供給される第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の流量を異ならせることとした。これにより、2種類の温度のエッチング液(第1エッチング液L1および第2エッチング液L2)から、複数種類の温度のエッチング液を作り出すことができるため、たとえばノズル41〜45ごとにエッチング液の温調機構を設ける場合と比較して装置構成を簡略化することができる。
【0068】
なお、第1供給口131の口径と第2供給口145の口径は同一であり、第1供給口132の口径と第2供給口144の口径は同一であり、第1供給口133の口径と第2供給口143の口径は同一である。したがって、各ノズル41〜45に供給されるエッチング液の流量を揃えることができる。
【0069】
また、第1流入口111は、第1供給口131〜135のうち口径が最も小さい第1供給口135が形成される側の側壁に形成され、第2流入口112は、第2供給口141〜145のうち口径が最も小さい第2供給口141が形成される側の側壁に形成される。
【0070】
このように、処理ユニット16では、第1流入口111と第2流入口112とを、口径が最も小さい第1供給口135および第2供給口141が形成される側にそれぞれ形成することとした。これにより、第1空間S1および第2空間S2内における第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の圧力損失を抑えることができ、各供給口にほぼ同一の圧力でエッチング液が流れ込むようになる。したがって、各ノズル41〜45に供給されるエッチング液の流量をさらに揃えることができる。
【0071】
また、ノズル42は、第1供給口132および第2供給口142から吐出口421に向かって漸次幅狭となるすり鉢形状を有している(
図8参照)。また、他のノズル41,43〜45もノズル42と同様の構成を有する。したがって、たとえば寸胴なノズルと比較して、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とがノズル41〜45内で混ざりやすくなるため、各ノズル41〜45から所望の温度のエッチング液を安定して吐出させることができる。
【0072】
なお、第1供給口131〜135および第2供給口141〜145は、互いに向かって斜めに開口させてもよい。このように構成することで、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とがノズル41〜45内でより混ざりやすくなるため、ノズル41〜45から吐出するエッチング液の温度をより安定させることができる。具体的に開口させる方向としては、第1供給口131〜135および第2供給口141〜145から供給されたそれぞれのエッチング液がノズル41〜45内の空間で衝突する方向がある。またはその逆で、それぞれのエッチング液がノズル41〜45の内壁に直接衝突する方向に向けても良い。この場合、一方のエッチング液はノズル41〜45の内壁に衝突した後その表面を伝わっていき、同じく表面を伝わってきた他方のエッチング液と混ざることができる。
【0073】
また、ノズル41〜45は、内部にらせん状の溝を有していてもよい。これにより、ノズル41〜45内に旋回流が生じ易くなるため、第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とがノズル41〜45内でより混ざりやすくなる。
【0074】
また、第1空間S1および第2空間S2内における第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の圧力損失を抑えるために、調整部46の構成を工夫してもよい。かかる点について
図9Aおよび
図9Bを参照して説明する。
図9Aおよび
図9Bは、調整部の他の構成を示す図である。
【0075】
図9Aに示すように、調整部46Aは、仕切部材120Aを備える。かかる仕切部材120Aは、口径が最も小さい第1供給口135および第2供給口141側の空間が最も狭くなるように本体部110に配置される。これにより、第1空間S1の流路幅は、口径が大きい第1供給口131側ほど広く、口径が小さい第1供給口135側ほど狭くなり、第2空間S2の流路幅も、口径が大きい第2供給口145側ほど広く、口径が小さい第2供給口141側ほど狭くなる。このため、第1空間S1および第2空間S2内における第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の圧力損失を抑えることができ、各供給口131〜135,141〜145にほぼ同一の圧力でエッチング液が流れ込むようになる。
【0076】
また、
図9Bに示すように、調整部46Bは、本体部110Bを備える。かかる本体部110Bの第2空間S2側の下部は、口径が最も大きい第2供給口145から口径が最も小さい第2供給口141へ向かって低くなるように傾斜している。同様に、ここでは図示を省略するが、本体部110Bの第1空間S1側の下部も、口径が最も大きい第1供給口131から口径が最も小さい第1供給口135へ向かって低くなるように傾斜している。
【0077】
これにより、第1空間S1における流路の高さは、口径が大きい第1供給口131側ほど高く、口径が小さい第1供給口135側ほど低くなり、第2空間S2の流路の高さも、口径が大きい第2供給口145側ほど高く、口径が小さい第2供給口141側ほど低くなるため、第1空間S1および第2空間S2内における第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の圧力損失を抑えることができ、各供給口131〜135,141〜145にほぼ同一の圧力でエッチング液が流れ込むようになる。
【0078】
このように、第1供給口131〜135および第2供給口141〜145のうち、口径の大きい第1供給口131および第2供給口145側の空間が広くなるように本体部110の内部空間Sを仕切ることにより、第1空間S1および第2空間S2内における第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の圧力損失を抑えることができ、各供給口131〜135,141〜145にほぼ同一の圧力でエッチング液が流れ込むようになる。
【0079】
なお、
図9Bでは、吐出口411,421,431,441,451の高さ位置を揃えるために、各ノズル41B〜45Bの形状を異ならせる場合の例を示したが、吐出口411,421,431,441,451の高さ位置は必ずしも揃えることを要しない。すなわち、ノズル41B〜45Bは同一形状であってもよい。
【0080】
上述してきたように、第1の実施形態に係る処理ユニット16(「基板処理装置」の一例に相当)は、基板保持機構30(「保持機構」の一例に相当)と、処理流体供給部40と、処理流体供給源70,70A(「供給源」の一例に相当)とを備える。基板保持機構30は、ウェハWを回転可能に保持する。処理流体供給部40は、基板保持機構30に保持されたウェハWに対して薬液であるエッチング液を供給する。処理流体供給源70,70Aは、第1温度のエッチング液と、第1温度よりも高温の第2温度のエッチング液とを処理流体供給部40へ供給する。
【0081】
また、処理流体供給部40は、複数のノズル41〜45と、調整部46,46A,46Bとを備える。複数のノズル41〜45は、ウェハWの径方向に並べて配置される。調整部46,46A,46Bは、処理流体供給源70,70Aから供給される第1温度のエッチング液と第2温度のエッチング液とを所定の割合で各ノズル41〜45へ供給する。また、調整部46,46A,46Bは、ウェハWの外周部側に配置されるノズル(たとえば、ノズル45)に対して、ウェハWの中心部側に配置されるノズル(たとえば、ノズル41)よりも第2温度のエッチング液を多い割合で供給する。
【0082】
したがって、第1の実施形態に係る処理ユニット16によれば、エッチングの均一性を高めることができる。
【0083】
なお、上述した第1の実施形態では、第1のエッチング液と第2のエッチング液とを本体部110の両側壁に形成された第1流入口111および第2流入口112から第1空間S1および第2空間S2へ流入させる場合の例について説明したが、第1のエッチング液および第2のエッチング液の流入位置は、上記の例に限定されない。たとえば、口径が最も大きい第1供給口131側の側壁に第1流入口111を形成するとともに、口径が最も大きい第2供給口145側の側壁に第2流入口112を形成してもよい。また、本体部110のいずれか一方の側壁に第1流入口111および第2流入口112の双方を形成してもよい。また、第1流入口111および第2流入口112は、本体部110の側壁ではなく、上部(天井部)に形成されてもよい。なお、本体部110は必須構成ではなく、第1エッチング液及び第2エッチング液を供給する配管の先端に複数の供給口を直接設けてもよい。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る処理流体供給部の構成について
図10を参照して説明する。
図10は、第2の実施形態に係る基板保持機構および処理流体供給部の構成を示す図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
図10に示すように、第2の実施形態に係る処理流体供給部40Cは、ノズル41〜45と、調整部46Cと、アーム48と、旋回昇降機構49とを備える。ノズル41〜45は、アーム48に設けられる。
【0086】
調整部46Cは、処理流体供給源70から供給される第1エッチング液L1と第2エッチング液L2とをノズル41〜45に応じた混合比で混合し、混合後のエッチング液L3〜L7を各ノズル41〜45へ供給する。
【0087】
つづいて、調整部46Cの構成について
図11を参照して説明する。
図11は、第2の実施形態に係る調整部46Cの構成を示す図である。
【0088】
図11に示すように、調整部46Cは、第1配管部210と、第2配管部220と、接続部231〜235と、第3配管部241〜245と、第1オリフィス251〜255と、第2オリフィス261〜265とを備える。
【0089】
第1配管部210は、各ノズル41〜45に対応する分岐管211〜215を有しており、処理流体供給源70から第1エッチング液L1が供給される。第2配管部220は、各ノズル41〜45に対応する分岐管221〜225を有しており、処理流体供給源70から第2エッチング液L2が供給される。
【0090】
接続部231〜235は、第1配管部210の分岐管211〜215と第2配管部220の分岐管221〜225とをそれぞれ接続する。第1オリフィス251〜255は、第1配管部210の各分岐管211〜215に設けられ、第1エッチング液L1の流量を調節する流量調節部である。また、第2オリフィス261〜265は、第2配管部220の各分岐管221〜225に設けられ、第2エッチング液L2の流量を調節する流量調節部である。
【0091】
調整部46Cは上記のように構成されており、第1オリフィス251〜255によって流量が調節された第1エッチング液L1と、第2オリフィス261〜265によって流量が調節された第2エッチング液L2とが、接続部231〜235において混合されて各ノズル41〜45へエッチング液L3〜L7がそれぞれ供給される。
【0092】
ここで、第2の実施形態に係る調整部46Cでは、第1オリフィス251〜255および第2オリフィス261〜265の口径を異ならせることにより、各ノズル41〜45へ供給されるエッチング液L3〜L7の温度を異ならせることとしている。
【0093】
具体的には、第1オリフィス251〜255は、ウェハW中心部に近いものほど口径が大きく形成され、第2オリフィス261〜265は、ウェハWの外周部に近いものほど口径が大きく形成される。
【0094】
したがって、ウェハW中心部に近いノズル41〜45には、第1エッチング液L1が第2エッチング液L2よりも多く供給され、ウェハW外周部に近いノズル41〜45には、第2エッチング液L2が第1エッチング液L1よりも多く供給される。この結果、ノズル41〜45からは、ウェハW外周部に近いものほど高温のエッチング液が吐出されることとなる。
【0095】
このように、第2の実施形態に係る処理ユニット16では、第1オリフィス251〜255および第2オリフィス261〜265の口径を異ならせることにより、各ノズル41〜45に供給される第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の流量を異ならせることができる。また、基板の温度条件等が変化してとしても、各オリフィスを交換することで、エッチングレートが均一になるよう対応させることができる。
【0096】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る調整部の構成について
図12を参照して説明する。
図12は、第3の実施形態に係る調整部の構成を示す図である。
【0097】
図12に示すように、第3の実施形態に係る調整部46Dは、第2の実施形態に係る調整部46Cが備える第1オリフィス251〜255および第2オリフィス261〜265に代えて、それぞれ第1定圧弁271〜275および第2定圧弁281〜285を備える。第1定圧弁271〜275および第2定圧弁281〜285は、第1オリフィス251〜255および第2オリフィス261〜265とは異なり、下流側へ流す第1エッチング液L1および第2エッチング液L2の流量を変更することができる。
【0098】
このように、流量調節部として流量コントロールが可能な第1定圧弁271〜275および第2定圧弁281〜285を用いることにより、たとえばレシピ変更に伴い、各ノズル41〜45から吐出するエッチング液の流量に変更が生じた場合にも対応することが可能である。
【0099】
なお、
図12では、第1定圧弁271〜275および第2定圧弁281〜285を各ノズル41〜45に対応してそれぞれ設けることとしたが、第1定圧弁271〜275および第2定圧弁281〜285のうち、第1定圧弁275および第2定圧弁281は、省略しても構わない。第1の実施形態における第1供給口135および第2供給口141、第2の実施形態における第1オリフィス255および第2オリフィス261についても同様である。
【0100】
上述した各実施形態では、薬液としてエッチング液を用いる場合の例について説明したが、本願の開示する基板処理装置は、基板に対してエッチング液を供給する場合に限らず、たとえばSC1(アンモニア水と過酸化水素水との混合液)やSC2(塩酸等の酸と過酸化水素水との混合液)などの洗浄液を供給する場合にも適用可能である。また、めっき液や現像液を供給する場合にも適用可能である。異なる観点で説明すると、上述した各実施形態におけるノズル41〜45及び調整部46,46b,46c等からなる処理流体供給部40は、上述した特徴的な機能を持つ1つの液供給装置として、エッチング処理や洗浄処理等、様々な処理を行う装置において用いることができる。
【0101】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。